(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169559
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】均等化装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20241128BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H02J7/02 H
H02J7/00 P
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024160735
(22)【出願日】2024-09-18
(62)【分割の表示】P 2021063719の分割
【原出願日】2021-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100207859
【弁理士】
【氏名又は名称】塩谷 尚人
(72)【発明者】
【氏名】倉知 大祐
(72)【発明者】
【氏名】内山 正規
(72)【発明者】
【氏名】河原 慎吾
(57)【要約】
【課題】均等化装置の均等化能力(電流×時間)を向上させる。
【解決手段】均等化装置91は、電池パック95が有する複数のセル電池Bの各充電量の均等化を実施する。緩和判定部21は、電池パックの充電終了タイミングT1cからの経過時間tが、所定の緩和判定時間t2よりも大きいか否かを判定する。分極時均等化部23は、経過時間が緩和判定時間よりも大きいと判定され、且つバラツキ電圧が分極時判定電圧よりも大きいと判定されたことを条件に、均等化を実施する。解消後均等化部33は、経過時間が解消判定時間よりも大きいと判定され、且つバラツキ電圧が解消後判定電圧よりも大きいと判定されたことを条件に、均等化を実施する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パック(95)が有する複数のセル電池(B)の各充電量の均等化を実施する均等化装置(91~94)において、
前記電池パックの充電終了タイミング(T1c)からの経過時間(t)、又は前記電池パックが搭載されている機器(90)の主電源スイッチ(98s)がOFFに切り替えられたタイミング(T2c)からの経過時間(t)が、所定の緩和判定時間(t2)よりも大きいか否かを判定する緩和判定部(21)と、
各前記セル電池の電圧のバラツキを示すバラツキ電圧(ΔV)が、所定の分極時判定電圧(V2)よりも大きいか否かを判定する分極時バラツキ判定部(22)と、
前記経過時間が前記緩和判定時間よりも大きいと判定され、且つ前記バラツキ電圧が前記分極時判定電圧よりも大きいと判定されたことを条件に、前記均等化を実施する分極時均等化部(23)と、
前記経過時間が、前記緩和判定時間よりも大きい解消判定時間(t3)よりも大きいか否かを判定する解消判定部(31)と、
前記バラツキ電圧が、前記分極時判定電圧よりも小さい解消後判定電圧(V3)よりも大きいか否かを判定する解消後バラツキ判定部(32)と、
前記経過時間が前記解消判定時間よりも大きいと判定され、且つ前記バラツキ電圧が前記解消後判定電圧よりも大きいと判定されたことを条件に、前記均等化を実施する解消後均等化部(33)と、
を有する均等化装置。
【請求項2】
前記緩和判定部は、少なくとも前記電池パックの温度に基づいて前記緩和判定時間を設定するものであり、前記電池パックの温度が所定温度よりも低い場合に比べて当該所定温度よりも高い場合の方が、前記緩和判定時間を小さく設定する、又は、
値が大きいほど内部抵抗(Ra,Rb)が小さいことを示す変数をSOHpwとして、前記緩和判定部は、少なくとも前記電池パックのSOHpwに基づいて前記緩和判定時間を設定するものであり、前記電池パックの前記SOHpwが所定値よりも小さい場合に比べて当該所定値よりも大きい場合の方が、前記緩和判定時間を小さく設定する、
請求項1に記載の均等化装置。
【請求項3】
前記分極時バラツキ判定部は、少なくとも前記電池パックの温度に基づいて前記分極時判定電圧を設定するものであり、前記電池パックの温度が所定温度の場合に比べて当該所定温度よりも高い場合の方が、前記分極時判定電圧を小さく設定する、又は、
値が大きいほど内部抵抗(Ra,Rb)が小さいことを示す変数をSOHpwとして、前記分極時バラツキ判定部は、少なくとも前記電池パックのSOHpwに基づいて前記分極時判定電圧を設定するものであり、前記電池パックの前記SOHpwが所定値よりも小さい場合に比べて当該所定値よりも大きい場合の方が、前記分極時判定電圧を小さく設定する、
請求項1又は2に記載の均等化装置。
【請求項4】
前記解消判定部は、前記電池パックの状態に基づいて前記解消判定時間を設定する、請求項1~3のいずれか1項に記載の均等化装置。
【請求項5】
電池パック(95)が有する複数のセル電池(B)の各充電量の均等化を実施する均等化装置(91~94)において、
前記電池パックの充電終了タイミング(T1c)からの経過時間(t)、又は前記電池パックが搭載されている機器(90)の主電源スイッチ(98s)がOFFに切り替えられたタイミング(T2c)からの経過時間(t)が、所定の解消判定時間(t3)よりも大きいか否かを判定する解消判定部(31)と、
各前記セル電池の電圧のバラツキを示すバラツキ電圧(ΔV)が、所定の解消後判定電圧(V3)よりも大きいか否かを判定する解消後バラツキ判定部(32)と、
前記経過時間が前記解消判定時間よりも大きいと判定され、且つ前記バラツキ電圧が前記解消後判定電圧よりも大きいと判定されたことを条件に、前記均等化を実施する解消後均等化部(33)と、を有し、
前記解消判定部は、前記電池パックの状態に基づいて前記解消判定時間を設定する、均等化装置。
【請求項6】
前記解消判定部は、少なくとも前記電池パックの温度に基づいて前記解消判定時間を設定するものであり、前記電池パックの温度が所定温度よりも低い場合に比べて当該所定温度よりも高い場合の方が、前記解消判定時間を小さく設定する、又は、
値が大きいほど内部抵抗(Ra,Rb)が小さいことを示す変数をSOHpwとして、前記解消判定部は、少なくとも前記電池パックのSOHpwに基づいて前記解消判定時間を設定するものであり、前記電池パックの前記SOHpwが所定値よりも小さい場合に比べて当該所定値よりも大きい場合の方が、前記解消判定時間を小さく設定する、
請求項4又は5に記載の均等化装置。
【請求項7】
前記解消判定部と前記解消後バラツキ判定部と前記解消後均等化部とにより、前記均等化を実施するか否か判定するタイミングを、判定タイミングとして、
次回の前記判定タイミングまでの時間を設定する次回設定部(34)を有し、
前記次回設定部は、少なくとも今回の前記判定タイミングにおける前記バラツキ電圧に基づいて、次回の前記判定タイミングまでの時間を設定するものであり、今回の前記判定タイミングにおける前記バラツキ電圧が所定値よりも小さい場合に比べて当該所定値よりも大きい場合の方が、次回の前記判定タイミングまでの時間を長く設定する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の均等化装置。
【請求項8】
前記次回設定部は、前記セル電池の放電経路の抵抗の大きさに基づいて、次回の前記判定タイミングまでの時間を設定するものであり、前記放電経路の抵抗の大きさが所定値よりも小さい場合に比べて当該所定値よりも大きい場合の方が、次回の前記判定タイミングまでの時間を長く設定する、
請求項7に記載の均等化装置。
【請求項9】
前記次回設定部は、前記セル電池の電圧と当該セル電池の放電経路の抵抗の大きさとから、又は前記均等化により電流が流れる抵抗の端子間電圧と当該抵抗の大きさとから、均等化電流を計測すると共に、前記均等化電流に基づいて、次回の前記判定タイミングまでの時間を設定するものであり、前記均等化電流が所定値よりも大きい場合に比べて当該所定値よりも小さい場合の方が、次回の前記判定タイミングまでの時間を長く設定する、
請求項7又は8に記載の均等化装置。
【請求項10】
前記セル電池毎に当該セル電池の電圧を計測する計測部(41)を有すると共に、各前記計測部で計測された電圧を収集する制御部(50)とを有し、
前記計測部内に、前記解消判定部と前記解消後バラツキ判定部と前記解消後均等化部と前記次回設定部とが設けられており、
前記判定タイミングには、前記制御部がスリープしている状態又はOFFの状態において、前記計測部内における前記解消判定部と前記解消後バラツキ判定部と前記解消後均等化部とが、前記均等化を制御すると共に、前記計測部内における前記次回設定部が、次回の前記判定タイミングまでの時間を設定する、
請求項7~9のいずれか1項に記載の均等化装置。
【請求項11】
前記計測部は、前記セル電池の電圧を計測する計測回路(42)と、前記計測回路を制御するマイコン(43)とを有し、
前記計測回路は、前記マイコンとは別に演算回路(42c)を有し、
前記演算回路内に、前記解消判定部と前記解消後バラツキ判定部と前記解消後均等化部と前記次回設定部とが設けられており、
前記判定タイミングには、前記マイコンがスリープしている状態又はOFFの状態において、前記演算回路内における前記解消判定部と前記解消後バラツキ判定部と前記解消後均等化部とが、前記均等化を制御すると共に、前記演算回路内における前記次回設定部が、次回の前記判定タイミングまでの時間を設定する、
請求項10に記載の均等化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックに対して設けられる均等化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
均等化装置は、電池パックが有する複数のセル電池の各充電量の均等化を実施する。そして、このような技術を示す文献としては、例えば次の特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池パックの充電時には、各セル電池内において、正極側から負極側に充電電流が流れることにより、内部抵抗×充電電流の分だけ各セル電池の端子間電圧が上昇する。以下では、この端子間電圧の上昇を「充電分極」という。そして、各セル電池での充電分極は、電池パックの充電を終了しても直ぐには収まらない。内部抵抗の少なくとも一部に対しては、寄生容量等の容量成分が並列に存在し、それらの容量成分に蓄えられた電荷が放電するのに時間を要するからである。
【0005】
他方、電池パックの電力使用時(放電時)には、各セル電池内において、負極側から正極側に充電電流が流れることにより、内部抵抗×使用電流の分だけ各セル電池の端子間電圧が低下する。以下では、この端子間電圧の低下を「使用分極」という。そして、各セル電池での使用分極は、電池パックの電力使用を終了しても直ぐには収まらない。充電終了後の場合と同様、容量成分に蓄えられた電荷が放電するのに時間を要するからである。
【0006】
以下では、充電分極及び使用分極をまとめて単に「分極」という。以上のことから、一般的には、各セル電池の充電量の均等化期間は、分極解消後の期間に限定される。分極が収まるまでは、各セル電池の電圧を正しく把握することができないからである。
【0007】
しかしながら、電池パックは、一般的に高容量化するほど自己放電が大きくなるため、充電量のバラツキも大きくなり易くなり、均等化に要する時間が長くなる。また、電池パックの電力を多岐の目的でも使用する等の、電池パックの使われ方によっては、電池パックの電力使用期間が長くなり、使用分極の解消後の期間が短くなる。そのため、これらの場合においても、均等化期間を分極解消後の期間に限定した場合には、均等化装置の均等化能力(電流×時間)が不足してしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、均等化装置の均等化能力(電流×時間)を向上させることを、主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の手段は、電池パック(95)が有する複数のセル電池(B)の各充電量の均等化を実施する均等化装置(91~94)において、
前記電池パックの充電終了タイミング(T1c)からの経過時間(t)、又は前記電池パックが搭載されている機器(90)の主電源スイッチ(98s)がOFFに切り替えられたタイミング(T2c)からの経過時間(t)が、所定の緩和判定時間(t2)よりも大きいか否かを判定する緩和判定部(21)と、
各前記セル電池の電圧のバラツキを示すバラツキ電圧(ΔV)が、所定の分極時判定電圧(V2)よりも大きいか否かを判定する分極時バラツキ判定部(22)と、
前記経過時間が前記緩和判定時間よりも大きいと判定され、且つ前記バラツキ電圧が前記分極時判定電圧よりも大きいと判定されたことを条件に、前記均等化を実施する分極時均等化部(23)と、
前記経過時間が、前記緩和判定時間よりも大きい解消判定時間(t3)よりも大きいか否かを判定する解消判定部(31)と、
前記バラツキ電圧が、前記分極時判定電圧よりも小さい解消後判定電圧(V3)よりも大きいか否かを判定する解消後バラツキ判定部(32)と、
前記経過時間が前記解消判定時間よりも大きいと判定され、且つ前記バラツキ電圧が前記解消後判定電圧よりも大きいと判定されたことを条件に、前記均等化を実施する解消後均等化部(33)と、
を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態の均等化装置及びその周辺を示す回路図
【
図2】電池パックの充電期間及び充電終了後での電圧及び電流の推移を示すグラフ
【
図3】主電源ON期間及びその後の期間での電圧及び電流の推移を示すグラフ
【
図5】第1~第3の各均等化制御等を示すフローチャート
【
図6】第2実施形態の制御部及びその周辺を示すブロック図
【
図7】第3実施形態の制御部及びその周辺を示すブロック図
【
図8】第4実施形態の制御部及びその周辺を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施できる。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態の均等化装置91及びその周辺を示す回路図である。以下では、電気的に接続されていることを、単に「接続」されているという。均等化装置91は、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車等の電動車両90に搭載されている。そして、均等化装置91は、電動車両90に搭載される電池パック95に対して接続されている。
【0013】
まず、電池パック95について説明する。電池パック95は、例えばリチウムイオン電池等のセル電池Bの直列接続体を有する。以下では、電池パック95内における最も端子間電圧が高いセル電池Bの電圧を、「最高セル電圧Vmax」といい、電池パック95内における最も端子間電圧が低いセル電池Bの電圧を、「最低セル電圧Vmin」という。そして、セル電池Bの満充電時の電圧を、「満充電セル電圧Vf」といい、満充電セル電圧Vfから最高セル電圧Vmaxを減じたものを、「空き電圧(Vf-Vmax)」という。そして、各セル電池Bについて、当該セル電池Bの電圧から最低セル電圧Vminを減じたものを、「バラツキ電圧ΔV」という。
【0014】
電池パック95は、イグニッションスイッチ等の主電源スイッチ98sを介して、一般負荷98に接続されると共に、主電源スイッチ98sを介さずに、降圧回路(図示略)等を介して暗電流負荷97に接続されている。以下では、主電源スイッチ98sがONの状態を「主電源ON状態」といい、OFFの状態を「主電源OFF状態」という。そして、主電源ON状態である期間を「主電源ON期間」といい、主電源OFF状態である期間を「主電源OFF期間」という。
【0015】
以上の構成より、電池パック95は、主電源OFF期間には、一般負荷98及び暗電流負荷97のうちの暗電流負荷97にのみ給電可能になり、主電源ON期間には、一般負荷98及び暗電流負荷97の両方に給電可能になる。ただし、暗電流負荷97に対しては、電池パック95に代えて又は加えて、低圧電源等の他の電源が接続されていてもよい。
【0016】
そして、電池パック95を充電する充電時には、電池パック95に外部電源100が接続される。以下では、外部電源100により電池パック95が充電されている状態を「充電状態」といい、充電状態ではない状態を「非充電状態」という。
【0017】
各セル電池Bは、閉回路を構成しない開回路の状態において電圧を発生させる本体部Bbと、本体部Bbに対して直列に存在する内部抵抗Ra,Rbと、その内部抵抗Ra,Rbの一部(Rb)に対して並列に存在する寄生容量等の容量成分Cbとを有する。
【0018】
次に、本実施形態で解決すべき課題と、その解決手段の概要とについて説明する。電池パック95の充電時には、各セル電池B内において、充電方向に充電電流が流れることにより、「内部抵抗(Ra+Rb)×充電電流」の分だけセル電池Bの端子間電圧が上昇する。このとき容量成分Cbには、当該容量成分Cbの端子間電圧が内部抵抗Rbの端子間電圧と同じになるまで電荷が蓄えられる。以下では、この充電電流による各セル電池Bでの端子間電圧の上昇を「充電分極」という。その充電分極は、電池パック95の充電を終了しても直ぐには収まらない。容量成分Cbの電荷は、当該容量成分Cbの高電位側から内部抵抗Rbを通過して低電位側に流れ込むことにより、徐々に減少していくからである。
【0019】
他方、主電源ON状態等には、各セル電池B内において、放電方向に多くの使用電流が流れることにより、「内部抵抗(Ra+Rb)×使用電流」の分だけセル電池Bの端子間電圧が低下する。このとき容量成分Cbには、当該容量成分Cbの端子間電圧が内部抵抗Rbの端子間電圧と同じになるまで電荷が蓄えられる。以下では、この使用電流による各セル電池Bでの端子間電圧の低下を「使用分極」という。その使用分極は、電池パック95の電力使用を終了しても直ぐには収まらない。前述の通り、容量成分Cbの電荷は、容量成分Cbの高電位側から内部抵抗Rbを通過して低電位側に流れ込むことにより、徐々に減少していくからである。
【0020】
以下では、充電分極及び使用分極をまとめて単に「分極」という。以上のことから、一般的には、各セル電池Bのバラツキ電圧ΔVを低減する均等化期間は、分極解消後の期間に限定される。分極が収まるまでは、バラツキ電圧ΔVを正しく把握することができないからである。
【0021】
しかしながら、電池パック95は、一般的に高容量化するほど自己放電が大きくなるため、充電量のバラツキも大きくなり易くなり、均等化に要する時間が長くなる。また、電池パック95の電力を電動車両90の走行以外の目的でも使用する等の、電池パック95の使われ方によっては、電池パック95の電力使用期間が長くなり、使用分極の解消後の期間が短くなる。そのため、これらの場合においても、均等化期間を分極解消後の期間に限定した場合には、均等化装置91の均等化能力(電流×時間)が不足してしまうおそれがある。
【0022】
そこで、均等化装置91は、各セル電池Bのバラツキ電圧ΔVを低減する均等化放電を、分極解消後のみならず、充電中や分極発生中においても、所定の要件を満たすことを条件に、分極解消後に比べて大まかに実施する。そしてさらに、分極解消後の均等化放電の開始タイミングを、電池パック95の状態に応じて変更することにより、当該開始タイミングを極力早くする。
【0023】
次に、その均等化装置91の回路構成について説明する。均等化装置91は、セル電池B毎に、正極側配線Lpと負極側配線Lnとローパスフィルタ(Rf,Cf)と放電スイッチSwとを有する。ただし、各セル電池Bにとっての負極側配線Lnは、当該セル電池Bよりも1つ低電位側のセル電池Bにとっての正極側配線Lpと共通(兼用)である。
【0024】
正極側配線Lpは、接続配線Mを介してセル電池Bの正極端子に接続され、負極側配線Lnは、接続配線Mを介してセル電池Bの負極端子に接続されている。正極側配線Lpには、正極側抵抗Rpが設けられ、負極側配線Lnには、負極側抵抗Rnが設けられている。ただし、各セル電池Bにとっての負極側抵抗Rnは、当該セル電池Bよりも1つ低電位側のセル電池Bにとっての正極側抵抗Rpと共通(兼用)である。
【0025】
ローパスフィルタ(Rf,Cf)は、フィルタ用抵抗Rfとフィルタ用コンデンサCfとの直列接続体である。ローパスフィルタ(Rf,Cf)は、正極側配線Lpにおける正極側抵抗Rpよりもセル電池B側の部分と、負極側配線Lnにおける負極側抵抗Rnよりもセル電池B側の部分とを、接続している。
【0026】
放電スイッチSwは、MOSFETやIGBT等の半導体スイッチである。放電スイッチSwの正極側端子(図ではソース端子)は、正極側配線Lpにおける正極側抵抗Rpよりもセル電池B側とは反対側に接続されている。他方、放電スイッチSwの負極側端子(図ではドレイン端子)は、負極側配線Lnにおける負極側抵抗Rnよりもセル電池B側とは反対側に接続されている。
【0027】
各放電スイッチSwは、ONになると、当該放電スイッチSwに対応する正極側配線Lpから負極側配線Lnに電流が流れることにより、当該放電スイッチSwに対応するセル電池Bが放電される。以下では、この放電スイッチSwのONにより流れる電流を「均等化電流」といい、この均等化電流によるセル電池Bの放電を「均等化放電」という。
【0028】
各セル電池Bの均等化放電の際には、セル電池B内において、負極側から正極側に均等化電流が流れることにより、内部抵抗(Ra+Rb)×均等化電流の分だけ端子間電圧が低下する。このとき容量成分Cbには、当該容量成分Cbの端子間電圧が内部抵抗Rbの端子間電圧と同じになるまで電荷が蓄えられる。以下では、この均等化電流による端子間電圧の低下を「均等化分極」という。その均等化分極は、均等化放電を終了しても直ぐには収まらない。前述の通り、容量成分Cbの電荷は、当該容量成分Cbの高電位側から内部抵抗Rbを通過して低電位側に流れ込むことにより、徐々に減少していくからである。このような均等化分極があることから、充電時の均等化放電α1については、CC充電(定電流充電)中にのみ実施し、CV充電(定電圧充電)中には実施しない。その詳細については、後述する。
【0029】
次に、均等化装置91の制御系統について説明する。均等化装置91は、さらに、計測部41と複数のスイッチ駆動回路49と制御部50とを有する。これら計測部41と複数のスイッチ駆動回路49と制御部50とは、暗電流負荷97の一部を構成している。計測部41は、例えばマルチプレクサ等を有し、フィルタ用コンデンサCfと負極側抵抗Rnとの直列接続体(Cf,Rn)の端子間電圧を、当該直列接続体に対応するセル電池Bの電圧として計測する。
【0030】
スイッチ駆動回路49は、放電スイッチSw毎に設けられている。各スイッチ駆動回路49は、自身に対応する放電スイッチSwの制御端子(図ではゲート端子)に接続されており、当該放電スイッチSwのON,OFFを制御する。
【0031】
制御部50は、CPU、RAM、ROM等を有する電子制御ユニット(ECU)である。制御部50は、計測部41により計測された各セル電池Bの電圧に基づいて、スイッチ駆動回路49に指令を送信することにより、均等化放電を制御する。
【0032】
図2は、電池パック95の充電期間及び充電終了後における電圧及び電流の推移を示すグラフである。まず、電池パック95の充電期間(T1a~T1c)について説明する。外部電源100は、空き電圧(Vf-Vmax)が大きい間はCC充電を行い、空き電圧(Vf-Vmax)が小さくなるとCV充電に切り替える。そのことから、外部電源100は、充電開始タイミングT1aから、充電終了タイミングT1cよりも前の充電切替タイミングT1bまでは、CC充電を実施し、充電切替タイミングT1bから充電終了タイミングT1cまでは、CV充電を実施する。
【0033】
そのため、充電開始タイミングT1aから充電切替タイミングT1bまでは、充電電流が一定であり、電池パック95の端子間に印加される電圧が徐々に増加する。他方、充電切替タイミングT1bから充電終了タイミングT1cまでは、電池パック95の端子間に印加される電圧が一定であり、充電電流が徐々に減少する。
【0034】
次に、前述の、充電時の均等化放電α1については、CC充電中(T1a~T1b)にのみ実施し、CV充電中(T1b~T1c)には実施しない理由について、説明する。CC充電中は、電流をベースに充電が制御される。それに対して、CV充電中は、電圧をベースに充電が制御される。そのため、CC充電中に比べて、CV充電中は、電圧の計測精度や計測頻度を高く要求される。それにも関わらず、均等化分極が発生すると、電池パック95の電圧の計測精度及び計測頻度のうちの少なくともいずれか一方を落とす必要性が生じてしまう。
【0035】
つまり、電池パック95の電圧の計測精度を落とさないためには、均等化分極の緩和時間、すなわち均等化放電の終了から電圧計測までの時間を充分に長く確保する必要がある。そのため、電圧の計測頻度を落とす必要がある。そのため、CV充電を実施するのに充分な電圧の計測頻度を確保できない。他方、電圧の計測頻度を落とさない場合には、均等化分極の緩和時間を充分に確保できない。そのため、電圧の計測精度が落ちてしまう。そのため、CV充電を実施するのに充分な電圧の計測精度を確保できない。
【0036】
よって、前述の通り、制御部50は、充電中(T1a~T1c)においては、CC充電中(T1a~T1b)にのみ均等化放電α1を実施する。その均等化放電α1の実施時には、CC充電中において均等化放電α1を実施しない時や、CV充電中に比べて、電圧の計測精度及び計測頻度のうちの少なくともいずれか一方を落として、電池パック95の電圧を計測することになる。しかし、CC充電においては、CV充電の場合ほど、電圧の計測精度及び計測頻度が重要とならないので、許容できる。
【0037】
次に、電池パック95の充電終了後(T1c~)について説明する。以下では、電池パック95の充電終了タイミングT1cからの経過時間tを、「充電終了後の経過時間t」という。充電終了後の経過時間tが小さい間は、充電分極が充分に収まっていない。そのため、各セル電池Bの電圧が、当該セル電池Bの充電量に応じた電圧よりも充電分極の分だけ大きくなる。それにより、電池パック95の電圧が、当該電池パック95の充電量に応じた電圧よりも、各セル電池Bでの充電分極を積算した充電分極積算値Pc分だけ大きくなる。
【0038】
そこで、均等化装置91は、このような充電分極の解消前の期間には、相対的に大まかに、分極発生中の均等化放電α2を実施する。具体的には、この分極発生中の均等化放電α2は、充電分極がある程度緩和した状態になる緩和タイミングTdから、充電分極が解消したとみなせるようになる解消タイミングTeまでの期間(Td~Te)に実施する。そして、解消タイミングTe以降に、相対的に高精度に、分極解消後の均等化放電α3を実施する。
【0039】
充電分極の緩和速度は、この
図3に破線で決めすように、電池パック95の温度が低いほど遅くなり、その反対に、電池パック95の温度が高いほど速くなる。そのことから、充電分極の緩和タイミングTd及び解消タイミングTeは、この
図3に破線の矢印で示すように、電池パック95の温度が低いほど遅くなり、その反対に、電池パック95の温度が高いほど早くなる。
【0040】
図3は、主電源ON期間及びその後の期間における電圧及び電流の推移を示すグラフである。電動車両90は、主電源ON期間(T2b~T2c)の間、電池パック95の電力を多く使用する。そのため、主電源ON期間(T2b~T2c)には、主電源OFF期間(~T2b,T2c~)に比べて、使用電流が大きくなる。
【0041】
以下では、主電源ON期間(T2b~T2c)の終わり以降を、「主電源OFF後」といい、主電源ON期間(T2b~T2c)の終わりからの経過時間を「主電源OFF後の経過時間t」という。主電源OFF後の経過時間tが小さい間は、使用分極が充分に収まっていない。そのため、各セル電池Bの電圧が、当該セル電池Bの充電量に応じた電圧よりも使用分極の分だけ小さくなる。それにより、電池パック95の電圧が、当該電池パック95の充電量に応じた電圧よりも、各セル電池Bでの使用分極を積算した使用分極積算値Pu分だけ小さくなる。
【0042】
そこで、前述の充電終了後の場合と同様に、均等化装置91は、このような使用分極の解消前の期間には、相対的に大まかに、分極発生中の均等化放電α2を実施する。具体的には、この分極発生中の均等化放電α2は、使用分極がある程度緩和した状態となる緩和タイミングTdから、使用分極が解消したとみなせるようになる解消タイミングTeまでの期間(Td~Te)に実施する。そして、解消タイミングTe以降に、相対的に高精度に、分極解消後の均等化放電α3を実施する。
【0043】
図4は、均等化装置91及びその周辺を示すブロック図である。制御部50は、充電時の均等化放電α1を制御する第1制御部10と、分極発生中の均等化放電α2を制御する第2制御部20と、分極解消後の均等化放電α3を制御する第3制御部30とを有する。
【0044】
まず、第1制御部10について説明する。第1制御部10は、状態判定部11とバラツキ判定部12と均等化部13とを有する。なお、ここでいうバラツキ判定部12は、後述する他のバラツキ判定部22,32と区別していうと、充電中にバラツキ判定を実施する「充電時バラツキ判定部」である。そして、ここでいう均等化部13は、後述する他の均等化部23,33と区別していうと、充電時の均等化放電α1を実施する「充電時均等化部」である。
【0045】
状態判定部11は、電池パック95の充電期間内において、空き電圧(Vf-Vmax)が所定の閾空き電圧Vthよりも大きい(Vf-Vmax>Vth)か否か判定する。そして、空き電圧(Vf-Vmax)が閾空き電圧Vthよりも大きい(Vf-Vmax>Vth)と判定したことを条件に、CC充電中であると判定する。
【0046】
バラツキ判定部12は、各セル電池Bについて、バラツキ電圧ΔVが充電時の判定電圧V1よりも大きいか否かを判定する。その充電時の判定電圧V1は、CC充電中に均等化放電α1を実施するか否かの閾値となる電圧である。その充電時の判定電圧V1としては、均等化分極によるバラツキ電圧ΔVの誤差として想定して、当該誤差よりも大きい値に設定される。よって、電池パック95の電圧の計測精度を落とさずに計測頻度を落とした場合には、充電時の判定電圧V1を大きく設定する必要はない。他方、電圧の計測頻度を落とさずに計測精度を落とした場合には、その落とした分だけ、充電時の判定電圧V1を大きく設定する必要がある。なお、均等化分極によるバラツキ電圧ΔVの誤差は、例えば予め実験により計測しておいてもよいし、シミュレーション解析等により算出しておいてもよい。
【0047】
均等化部13は、状態判定部11によりCC充電中であると判定され、且つバラツキ判定部12により、いずれかのセル電池Bについて、バラツキ電圧ΔVが充電時の判定電圧V1よりも大きいと判定されたことを条件に、当該セル電池Bに対して充電時の均等化放電α1を実施する。
【0048】
次に、第2制御部20について説明する。第2制御部20は、緩和判定部21と、バラツキ判定部22と、均等化部23とを有する。なお、ここでいうバラツキ判定部22は、他のバラツキ判定部12,32と区別していうと、分極発生中にバラツキ判定を実施する「分極時バラツキ判定部」である。そして、ここでいう均等化部23は、他の均等化部13,33と区別していうと、分極発生中にバラツキ判定を実施する「分極時均等化部」である。以下では、充電終了後の経過時間tと、主電源OFF後の経過時間tとを、まとめて単に「経過時間t」という。
【0049】
緩和判定部21は、充電終了後及び主電源OFF後において、経過時間tが緩和判定時間t2よりも大きいか否かを判定する。緩和判定時間t2は、セル電池Bの充電分極や使用分極が所定基準以上緩和したか否かを判定する閾値となる時間である。緩和判定部21は、電池パック95の充電終了タイミングT1c、又は主電源スイッチ98sのターンOFFタイミングT2cにおける、セル電池Bの状態に基づいて、緩和判定時間t2を設定する。その詳細について以下に説明する。
【0050】
以下では、所定温度よりも低い場合に比べて当該所定温度よりも高い場合を、単に「高い場合」という。そして、所定値よりも小さい場合に比べて当該所定値よりも大きい場合を、単に「大きい場合」という。そして、所定値よりも大きい場合に比べて当該所定値よりも小さい場合を、単に「小さい場合」という。
【0051】
緩和判定部21は、まず、セル電池Bの温度に基づいて緩和判定時間t2を設定する。具体的には、緩和判定部21は、電池パック95の高い場合の方が、分極の緩和が速くなることから、緩和判定時間t2を小さく設定する。さらに、緩和判定部21は、SOHpw(State Of Health power)にも基づいて、緩和判定時間t2を設定する。そのSOHpwは、値が大きいほど内部抵抗Ra,Rbが小さいことを示す変数である。そのため、緩和判定部21は、電池パック95のSOHpwが大きい場合の方が、内部抵抗Ra,Rbが小さくなり分極の緩和が速くなることから、緩和判定時間t2を小さく設定する。
【0052】
さらに、緩和判定部21は、電池パック95の充電状態を示すSOC(State Of Charge)にも基づいて緩和判定時間t2を変更する。具体的には、例えば本実施形態では、充電終了後においては、充電終了タイミングT1cにおける電池パック95のSOCが小さい場合、つまり充電量が小さい場合の方が、充電分極が小さくなり易いことから、緩和判定時間t2を小さく設定する。他方、主電源OFF後においては、ターンOFFタイミングT2cにおける電池パック95のSOCが大きい場合、つまり使用電力が小さい場合の方が、使用分極が小さくなり易いことから、緩和判定時間t2を小さく設定する。
【0053】
バラツキ判定部22は、バラツキ電圧ΔVが分極発生中の判定電圧V2よりも大きいか否かを判定する。この分極発生中の判定電圧V2は、分極発生中に均等化放電α2を実施するか否かの閾値となる電圧である。この分極発生中の判定電圧V2は、次の誤差を想定して設定される。すなわち、分極発生中の均等化放電α2は、各セル電池Bでの分極の解消を待たずに、実施される。そのため、各セル電池Bの電圧の計測値に分極による誤差が乗っている。そのため、バラツキ判定部22は、分極による誤差分を吸収できるように、少なくとも分極による誤差よりも大きい電圧値を、分極発生中の判定電圧V2として設定する。なお、分極による誤差は、例えば予め実験により計測しておいてもよいし、シミュレーション解析等により算出しておいてもよい。
【0054】
そして、この分極発生中の判定電圧V2も、緩和判定時間t2の場合と同様、電池パック95の充電終了タイミングT1c、又は主電源スイッチ98sのターンOFFタイミングT2cにおける、セル電池Bの状態に基づいて設定される。
【0055】
具体的には、バラツキ判定部22は、電池パック95の温度が高い場合の方が、分極の緩和が速くなることから、分極発生中の判定電圧V2を小さく設定する。さらに、バラツキ判定部22は、電池パック95のSOHpwが大きい場合の方が、内部抵抗Ra,Rbが小さくなり分極の緩和が速くなることから、分極発生中の判定電圧V2を小さく設定する。
【0056】
さらに、バラツキ判定部22は、電池パック95のSOCにも基づいて判定電圧V2を変更する。具体的には、例えば本実施形態では、充電終了後においては、充電終了タイミングT1cにおける電池パック95のSOCが小さい場合、つまり充電量が小さい場合の方が、充電分極が小さくなり易いことから、分極発生中の判定電圧V2を小さく設定する。他方、主電源OFF後においては、ターンOFFタイミングT2cにおける電池パック95のSOCが大きい場合、つまり電力使用量が小さい場合の方が、使用分極が小さくなり易いことから、分極発生中の判定電圧V2を小さく設定する。
【0057】
均等化部23は、緩和判定部21により、経過時間tが緩和判定時間t2よりも大きいと判定された場合において、バラツキ判定部22により、いずれかのセル電池Bのバラツキ電圧ΔVが分極発生中の判定電圧V2よりも大きいと判定されたことを条件に、当該セル電池Bに対して分極発生中の均等化放電α2を実施する。
【0058】
次に第3制御部30について説明する。第3制御部30は、解消判定部31とバラツキ判定部32と均等化部33と次回設定部34を有する。なお、ここでいうバラツキ判定部32は、他のバラツキ判定部12,22と区別していうと、分極の解消後にバラツキ判定を実施する「解消後バラツキ判定部」である。そして、ここでいう均等化部33は、他の均等化部13,23と区別していうと、分極の解消後に均等化放電α3を実施する「解消後均等化部」である。
【0059】
解消判定部31は、充電終了後及び主電源OFF後において、経過時間tが、前述の緩和判定時間t2よりも大きい解消判定時間t3よりも大きいか否かを判定する。解消判定時間t3は、セル電池Bの分極が解消したか否かを判定する閾値となる時間である。解消判定時間t3は、緩和判定時間t2の場合と同様、充電終了タイミングT1c又はターンOFFタイミングT2cにおける、セル電池Bの状態に基づいて設定される。
【0060】
つまり、解消判定部31は、電池パック95の温度が高い場合の方が、分極の解消が速くなることから、解消判定時間t3を小さく設定する。さらに、解消判定部31は、電池パック95のSOHpwが大きい場合の方が、内部抵抗Ra,Rbが小さくなり分極,Puの解消が速くなることから、解消判定時間t3を小さく設定する。
【0061】
さらに、解消判定部31は、電池パック95のSOCにも基づいて解消判定時間t3を変更する。具体的には、例えば本実施形態では、電池パック95の充電後においては、充電終了タイミングT1cにおける電池パック95のSOCが小さい場合、つまり充電量が小さい場合の方が、充電分極が小さくなり易いことから、解消判定時間t3を小さく設定する。他方、主電源OFF後においては、ターンOFFタイミングT2cにおける電池パック95のSOCが大きい場合、つまり使用電力が小さい場合の方が、使用分極が小さくなり易いことから、解消判定時間t3を小さく設定する。
【0062】
バラツキ判定部32は、各セル電池Bについて、バラツキ電圧ΔVが、分極解消後の判定電圧V3よりも大きいか否かを判定する。その分極解消後の判定電圧V3は、分極解消後に均等化放電α3を実施するか否かの閾値となる電圧である。この分極解消後の判定電圧V3は、充電時の判定電圧V1及び分極発生中の判定電圧V2のいずれよりも小さい。よって、この分極解消後の均等化放電α3は、充電時の均等化放電α1及び分極発生中の均等化放電α2のいずれよりも高精度に、実施される。
【0063】
この分極解消後の均等化放電α3を実施する際には、分極発生中の均等化放電α2を実施する際とは違い、各セル電池Bの電圧計測値に分極が乗ることがない。そのため、バラツキ判定部32は、少なくとも計測部41によるセル電池Bの電圧の計測誤差を吸収できるように、少なくとも当該計測誤差よりも大きい電圧値を、分極解消後の判定電圧V3として設定すれば足りる。
【0064】
均等化部33は、解消判定部31により、経過時間tが解消判定時間t3よりも大きいと判定された場合において、バラツキ判定部32により、いずれかのセル電池Bのバラツキ電圧ΔVが分極解消後の判定電圧V3よりも大きいと判定されたことを条件に、当該セル電池Bに対して分極解消後の均等化放電α3を実施する。
【0065】
次に、第3制御部30の次回設定部34について説明する。以下では、解消判定部31とバラツキ判定部32と均等化部33とにより、分極解消後の均等化放電α3を実施するか否か判定するタイミングを、「判定タイミング」という。次回設定部34は、セル電池Bの状態に基づいて、次回の判定タイミングまでの時間を設定する。
【0066】
具体的には、次回設定部34は、まず、今回の判定タイミングにおけるセル電池Bのバラツキ電圧ΔVに基づいて、次回の判定タイミングまでの時間を設定する。つまり、次回設定部34は、均等化放電α3を実施するセル電池Bの中でバラツキ電圧ΔVが最小のセル電池Bの当該バラツキ電圧ΔVが、大きい場合の方が、均等化放電α3に要する時間が長くなるため、次回の判定タイミングまでの時間を長く設定する。これにより具体的には、均等化放電α3を実施するセル電池Bの中でバラツキ電圧ΔVが最小のセル電池Bの均等化に要する時間を、次回の判定タイミングまでの時間として設定する。
【0067】
さらに、次回設定部34は、今回の判定タイミングにおけるセル電池Bの均等化電流の大きさに基づいて、次回の判定タイミングまでの時間を設定する。つまり、次回設定部34は、均等化電流の大きさを計測する。そして、均等化電流が小さい場合の方が、均等化放電α3に要する時間が長くなるため、次回の前記判定タイミングまでの時間を長く設定する。
【0068】
なお、ここでの均等化電流の計測は、電流計により計測してもよいし、算出により計測してもよい。具体的には、例えば、セル電池Bの電圧を、当該セル電池Bの均等化放電α3における放電経路全体の抵抗の大きさで割ることにより、均等化電流を算出できる。また例えば、上記の算出方法に代えて、均等化電流が流れる所定の抵抗(例えば正極側抵抗Rp)の端子間電圧を、当該抵抗の大きさで割ることにより、均等化電流を算出してもよい。
【0069】
次に、制御部50の起動状態について説明する。制御部50は、スリープしていないON状態において、充電時の均等化放電α1と分極発生中の均等化放電α2とを制御する。そして、分極解消後においては、制御部50は一旦、スリープ状態又はOFF状態になる。そして、判定タイミングになると、制御部50がスリープ状態又はOFF状態から目覚めて、制御部50内における第3制御部30の解消判定部31とバラツキ判定部32と均等化部33とにより均等化放電α3を制御する。そして、第3制御部30内の次回設定部34により、次回の判定タイミングまでの時間を設定する。その後は再び、次回の判定タイミングになるまで、制御部50は、スリープ状態又はOFF状態になる。以上の繰り返しにより、極力節電しつつ、分極解消後の均等化放電α3を制御する。
【0070】
図5は、以上に示した制御部50による各均等化放電α1~α3の制御を示すフローチャートである。まず、S101において、充電状態又は主電源OFF状態であるか否かを判定する。S101の要件を満たさない場合、つまり非充電状態であり且つ主電源ON状態である場合(S101:NO)、S109に進み各放電スイッチSwをOFFにしてから、フローを終了する。他方、S101において、充電状態又は電源OFF状態であると判定した場合(S101:YES)、続くS102において、充電状態であるか否かを判定する。充電状態と判定した場合(S102:YES)、充電時の均等化放電α1を実施するか否か判定すべくS111に進む。
【0071】
そのS111では、空き電圧(Vf-Vmax)検出する。そして、続くS112では、空き電圧(Vf-Vmax)が、所定の閾空き電圧Vthよりも大きいか否か判定する。閾空き電圧Vthよりも小さいと判定した場合(S112:NO)、CV充電中であるとして、S109に進み各放電スイッチSwをOFFにしてから、フローを終了する。他方、S112で、空き電圧(Vf-Vmax)が閾空き電圧Vthよりも大きい判定した場合(S112:YES)、CC充電中であるとして、引き続き充電時の均等化放電α1を実施するか否か判定すべくS115に進む。
【0072】
そのS115では、各セル電池Bについてのバラツキ電圧ΔVを検出すると共に、充電時の判定電圧V1を算出する。続くS116では、各セル電池Bについて、バラツキ電圧ΔVが充電時の判定電圧V1よりも大きいか否か判定する。充電時の判定電圧V1よりも大きいと判定した場合(S116:YES)、そのセル電池Bに対応する放電スイッチSwをONにして、フローを終了する。他方、S116で、バラツキ電圧ΔVが充電時の判定電圧V1よりも小さいと判定した場合(S116:NO)、そのセル電池Bに対応する放電スイッチSwをOFFして、フローを終了する。
【0073】
他方、遡るS102において、充電状態ではないと判定した場合(S102:NO)、非充電状態であり、且つ先のS101より主電源OFF状態であることを意味するので、分極発生中の均等化放電α2又は分極解消後の均等化放電α3を実施するか否か判定すべく、S121に進む。
【0074】
そのS121では、経過時間tと緩和判定時間t2と解消判定時間t3とを算出する。続くS122では、経過時間tが、緩和判定時間t2よりも大きく且つ解消判定時間t3よりも小さいか否か判定する。要件を満たすと判定した場合(S122:YES)、分極発生中の均等化放電α2を実施するか否か判定すべく、S125に進む。
【0075】
そのS125では、各セル電池Bについてのバラツキ電圧ΔVを算出すると共に、分極発生中の判定電圧V2を算出する。続くS126では、各セル電池Bについて、バラツキ電圧ΔVが分極発生中の判定電圧V2よりも大きいか否か判定する。分極発生中の判定電圧V2よりも大きいと判定した場合(S126:YES)、そのセル電池Bに対応する放電スイッチSwをONにして、フローを終了する。他方、S126において、バラツキ電圧ΔVが分極発生中の判定電圧V2よりも小さいと判定した場合(S126:NO)、そのセル電池Bに対応する放電スイッチSwをOFFにして、フローを終了する。
【0076】
他方、遡るS122において、当該要件(t2<t<t3)を満たさないと判定した場合(S122:NO)、経過時間tが緩和判定時間t2よりも小さいか、解消判定時間t3よりも大きいことを意味する。そこで、分極解消後の均等化放電α3を実施するか否か判定すべく、S132に進む。
【0077】
そのS132では、経過時間tが解消判定時間t3よりも大きいか否か判定する。経過時間tが解消判定時間t3よりも小さいと判定した場合(S132:NO)、先のS122より経過時間tが緩和判定時間t2よりも小さいことを意味するので、S138に進み各放電スイッチSwをOFFにしてから、フローを終了する。他方、S132で経過時間tが解消判定時間t3よりも大きいと判定した場合(S132:YES)、引き続き分極解消後の均等化放電α3を実施するか否か判定すべく、S135に進む。
【0078】
そのS135では、各セル電池Bについてのバラツキ電圧ΔVを算出すると共に、分極解消後の判定電圧V3を算出する。続くS136では、各セル電池Bについて、バラツキ電圧ΔVが分極解消後の判定電圧V3よりも大きいか否か判定する。分極解消後の判定電圧V3よりも大きいと判定した場合(S136:YES)、S137に進みそのセル電池Bに対応する放電スイッチSwをONにしてから、S139に進む。他方、S136において、バラツキ電圧ΔVが分極解消後の判定電圧V3よりも小さいと判定した場合(S136:NO)、S138に進み、そのセル電池Bに対応する放電スイッチSwをOFFにしてから、フローを終了する。
【0079】
S139では、次回設定部34が、電池パック95の状態、つまり電池パック95の温度、SOHpw,SOCに基づいて、次回の判定タイミングまでの時間を設定してからフローを終了する。そして、次回の判定タイミングに、フローをSTARTから再開する。ただし、S139を通過せず、次回の判定タイミングを設定しなかった場合には、所定期間後に、フローをSTARTから再開する。
【0080】
本実施形態によれば、以下の効果が得られる。均等化装置91は、電池パック95の充電終了後(T1c~)後のみならず、充電中(T1a~T1c)においても、均等化放電α1を実施する。そのため、その分だけ均等化可能な期間を長くして、均等化能力(電流×時間)を向上させることができる。
【0081】
しかも、その均等化は、CC充電中であると判定されたことを条件に実施される。そのCC充電中は、電流をベースに充電が制御されるため、電圧をベースに充電が制御されるCV充電中に比べて、電圧の計測精度や計測頻度が高く要求されない。そのため、CC充電中は、均等化により電圧の計測精度や計測頻度が落ちてしまっても、CV充電中に比べて問題にならない。
【0082】
そのため、本実施形態によれば、均等化による電圧の計測精度や計測頻度の低下による弊害を抑えつつも、均等化可能な期間を長くして、均等化能力(電流×時間)を向上させることができる。
【0083】
また、状態判定部11は、電池パック95の充電中において、空き電圧(Vf-Vmax)が閾空き電圧Vthよりも大きいと判定したことを条件に、電池パック95がCC充電中であると判定する。そのため、空き電圧(Vf-Vmax)に基づいて、電池パック95がCC充電中であるか否かを効率的に判定できる。
【0084】
また、バラツキ判定部12は、少なくとも均等化放電α1により生じるセル電池Bの電圧誤差よりも大きい電圧値を、充電時の判定電圧V1として設定する。そのため、当該電圧誤差により、均等化放電α1をする必要のないセル電池Bの電圧を無駄に放電してしまう、といった心配がない。
【0085】
また、第2制御部20の均等化部23は、経過時間tが緩和判定時間t2よりも長いと判定された場合において、バラツキ電圧ΔVが、分極解消時の判定電圧V3よりも大きい分極発生中の判定電圧V2よりも大きいと判定されたことを条件に、分極発生中の均等化放電α2を実施する。そのため、分極発生中であっても、バラツキ電圧ΔVが、分極解消時の判定電圧V3よりも大きい分極発生中の判定電圧V2よりも大きい場合には、均等化を実施できる。そのため、この点でも、均等化可能な期間を長くして、均等化能力(電流×時間)を向上させることができる。
【0086】
また、第3制御部30の解消判定部31は、電池パック95の状態に基づいて解消判定時間t3を設定する。そのため、過不足なく解消判定時間t3を設定し易くなり、無駄に長い解消判定時間t3を設定するのを回避できる。そのため、極力早期に、相対的に高精度に実施される分極解消後の均等化放電α3に移行し易くなる。そのため、この点でも、均等化能力(電流×時間)を向上させることができる。
【0087】
また、次回設定部34は、今回の判定タイミングにおけるバラツキ電圧ΔVが大きい場合の方が、次回の判定タイミングまでの時間を長く設定する。そのため、バラツキ電圧ΔVが大きくて、均等化放電α3に多くの時間を要する状況下において、次回の判定タイミングまでの時間を長く設定することができる。そのため、極力判定回数を減らして暗電流を抑えることができる。
【0088】
また、次回設定部34は、均等化電流が小さい場合の方が、次回の判定タイミングまでの時間を長く設定する。そのため、均等化電流が小さくて、均等化放電α3に多くの時間を要する状況下において、次回の判定タイミングまでの時間を長く設定することができる。そのため、この点でも、極力判定回数を減らして暗電流を抑えることができる。
【0089】
このように次回設定部34は、均等化放電α3に要する時間に基づいて、次回の判定タイミングまでの時間を設定する。そのため、単に判定タイミングまでの時間を長く設定する場合とは違い、放電スイッチSwのONが次回の判定タイミングまで維持されることにより均等化放電α3がオーバーシュートしてしまう、といった心配がない。
【0090】
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。なお、以下の実施形態においては、それ以前の実施形態のものと同一の又は対応する部材等について同一の符号を付する。ただし、均等化装置自体については、実施形態毎に異なる符号を付する。本実施形態については、第1実施形態をベースにこれと異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同一又は類似の部分については、適宜説明を省略する。
【0091】
図6は、本実施形態の均等化装置92及びその周辺を示すブロック図である。均等化装置92は、第1実施形態におけるマルチプレクサ等を有する計測部41の代わりに、セル電池B毎に計測部41を有する。各計測部41は、自身に対応するセル電池Bの電圧を計測する計測回路42と、計測回路42を制御するマイコン43とを有する。制御部50は、各計測部41で計測された電圧を収集する。
【0092】
第1制御部10と第2制御部20とは、第1実施形態の場合と同じく、制御部50内に設けられている。他方、第3制御部30については、各計測部41のマイコン43内に設けられている。
【0093】
充電時の均等化放電α1と分極発生中の均等化放電α2とについては、マイコン43と制御部50との双方がスリープしていないONの状態において、制御部50内の第1制御部10と第2制御部20とにより制御する。そして、分極解消後においては、制御部50及びマイコン43の双方が一旦、スリープ状態又はOFF状態になる。
【0094】
そして、判定タイミングになると、制御部50がスリープしている状態又はOFFの状態において、マイコン43が目覚めて、マイコン43内における第3制御部30により、均等化放電α3を制御する。そして、第3制御部30の次回設定部34により、次回の判定タイミングまでの時間を設定する。その次回の判定タイミングまでの時間は、マイコン43毎に異なる時間となる。その後は再び、次回の判定タイミングになるまで、マイコン43は、スリープ状態又はOFF状態になる。以上の繰り返しにより、極力節電しつつ、分極解消後の均等化放電α3を制御する。
【0095】
以上、本実施形態によれば、分極解消後においては、制御部50がスリープしている状態又はOFFの状態において、マイコン43により均等化放電α3を制御すると共に、次回の判定タイミングまでの時間を設定することができる。そのため、第1実施形態の状態から、さらに暗電流を抑制できる。
【0096】
さらに、セル電池B毎にあるマイコン43が、マイコン43毎に異なる判定タイミングを設定して、マイコン43毎に異なるタイミングで目覚める。そのため、各マイコン43が目覚める回数を、マイコン43毎に極力に抑えることができる。そのため、この点でも暗電流を抑制できる。
【0097】
[第3実施形態]
次に第3実施形態について説明する。本実施形態については、第2実施形態をベースにこれと異なる点を中心に説明し、第2実施形態と同一又は類似の部分については、適宜説明を省略する。
【0098】
図7は、本実施形態の均等化装置93及びその周辺を示すブロック図である。各計測回路42は、マイコン43とは別に演算回路42cを有する。その演算回路42c内に、第3制御部30が設けられている。
【0099】
充電時の均等化放電α1と分極発生中の均等化放電α2とについては、演算回路42cとマイコン43と制御部50とがスリープしていないONの状態において、制御部50内の第1制御部10と第2制御部20とにより制御する。そして、分極解消後においては、制御部50とマイコン43と演算回路42cとが一旦、スリープ状態又はOFF状態になる。
【0100】
そして、分極解消後の判定タイミングになると、制御部50及びマイコン43がスリープしている状態又はOFFの状態において、演算回路42cが目覚めて、演算回路42c内における第3制御部30により、均等化放電α3を制御する。そして、第3制御部30の次回設定部34により、次回の判定タイミングまでの時間を設定する。その後は再び、次回の判定タイミングになるまで、演算回路42cは、スリープ状態又はOFF状態になる。以上の繰り返しにより、極力節電しつつ、分極解消後の均等化放電α3を制御する。
【0101】
以上、本実施形態によれば、制御部50のみならず、マイコン43までもスリープした状態において、演算回路42cにより均等化放電α3を制御すると共に、次回の判定タイミングまでの時間を設定することができる。そのため、第2実施形態にも増して暗電流を抑制できる。
【0102】
[第4実施形態]
次に第4実施形態について説明する。本実施形態については、第3実施形態をベースにこれと異なる点を中心に説明し、第2実施形態と同一又は類似の部分については、適宜説明を省略する。
【0103】
図8は、本実施形態の均等化装置94及びその周辺を示すブロック図である。制御部50は、第3制御部30を有する。つまり、制御部50内と演算回路42c内との双方に、第3制御部30が設けられている。分極解消後においては、1回目の分割解消後の均等化放電α3の制御を実施するまで、制御部50とマイコン43と演算回路42cとが、スリープしていないONの状態を維持する。そして、1回目の分割解消後の均等化放電α3の制御については、制御部50内の第3制御部30により実施する。そして、制御部50内の次回設定部34により、セル電池B毎に別々の次回の判定タイミングまでの時間を算出して、それぞれ対応する演算回路42c内の第3制御部30に送信する。
【0104】
その後は、第3実施形態の場合と同様に、制御部50とマイコン43と演算回路42cとが一旦、スリープ状態又はOFF状態になる。そして、2回目以降の分極解消後の判定タイミングになると、制御部50及びマイコン43がスリープしている状態又はOFFの状態において、演算回路42cが目覚めて、演算回路42c内における第3制御部30により、均等化放電α3を制御する。
【0105】
本実施形態によれば、1回目の分極解消後の均等化放電α3の制御及び次回判定タイミングの算出については、制御部50のCPU、ROM、RAM等を用いて、素早く実施できる。他方、2回目以降の分極解消後の均等化放電α3の制御及び次回判定タイミングの算出については、第3実施形態の場合と同様に暗電流を抑制できる。
【0106】
なお、本実施形態は、第3実施形態をベースに実施しているが、これに代えて、第2実施形態をベースに実施してもよい。つまりその場合、1回目の分極解消後の均等化放電α3の制御及び次回判定タイミングの算出については、制御部50内の第3制御部30により実施し、2回目の分極解消後の均等化放電α3の制御及び次回判定タイミングの算出については、マイコン43内の第3制御部30により実施することになる。
【0107】
[他の実施形態]
以上に示した実施形態は、例えば次のように変更して実施できる。
【0108】
第1~第4実施形態では、充電時の均等化放電α1と、分極発生中の均等化放電α2と、セル電池Bの状態に基づく解消判定時間t3の設定との3つ全てを実施している。これに代えて、これらの3つうちのいずれか1つ又は2つのみを実施するようにしてもよい。
【0109】
第1~第4実施形態では、各セル電池Bについて、当該セル電池Bの電圧から最低セル電圧Vminを減じたものを、当該セル電池Bの「バラツキ電圧ΔV」としている。これに代えて、バラツキ電圧ΔVを、SOCやSOH(State of Health)に基づいて補正してもよい。具体的には、例えば、各セル電池Bについて、当該セル電池BのSOCから、SOCが最低のセル電池BのSOCを減じたものに相当する電圧を、当該セル電池Bの「バラツキ電圧ΔV」としてもよい。
【0110】
第1~第4実施形態では、外部電源100は電池パック95に対して、CC充電とCV充電とを実施しているが、CC充電に代えて又はこれらに加えて、CP充電(定電力充電)を実施するようにしてもよい。そして、状態判定部11は、CC充電中であるか否かに代えて、CP充電中であるか否かや、CC充電中又はCP充電中であるか否かを判定するようにしてもよい。そして、均等化部13は、CC充電中であると判定されたことを条件に均等化を実施するのに代えて、CP充電中であると判定されたことや、CC充電中又はCP充電中であると判定されたことを条件に、均等化を実施するようにしてもよい。
【0111】
第1~第4実施形態では、緩和判定部21は、電池パック95の温度とSOHpwとSOCとの3つ全てに基づいて、緩和判定時間t2を設定している。これに代えて、これら3つのうちのいずれか1つ又は2つのみに基づいて、緩和判定時間t2を設定してもよいし、緩和判定時間t2を固定値にしてもよい。
【0112】
第1~第4実施形態では、バラツキ判定部22は、電池パック95の温度とSOHpwとSOCとの3つ全てに基づいて、分極発生中の判定電圧V2を設定している。これに代えて、これら3つのうちのいずれか1つ又は2つのみに基づいて、分極発生中の判定電圧V2を設定してもよいし、分極発生中の判定電圧V2を固定値にしてもよい。
【0113】
第1~第4実施形態では、解消判定部31は、電池パック95の温度とSOHpwとSOCとの3つ全てに基づいて、解消判定時間t3を設定している。これに代えて、これら3つのうちのいずれか1つ又は2つのみに基づいて、解消判定時間t3を設定してもよいし、解消判定時間t3を固定値にしてもよい。
【0114】
第1~第4実施形態では、次回設定部34は、今回の判定タイミングにおけるバラツキ電圧ΔVと均等化電流とに基づいて、次回の判定タイミングまでの時間を設定している。これに代えて、次回の判定タイミングまでの時間を固定にしてもよい。
【0115】
第1~第4実施形態では、次回設定部34は、バラツキ電圧ΔVと均等化電流とに基づいて、次回の判定タイミングまでの時間を設定している。これらのうちの均等化電流に代えて、次回設定部34は、単にセル電池Bの均等化放電α3における放電経路の抵抗の大きさに基づいて、次回の判定タイミングまでの時間を設定するようにしてもよい。つまり、この場合、当該放電経路の抵抗が大きい場合の方が、均等化放電α3に要する時間が長くなるため、次回の判定タイミングまでの時間を長く設定する。
【0116】
第1~第4実施形態では、均等化放電α1~α3により、各セル電池Bの充電量を均等化している。これに代えて、相対的に充電量の大きいセル電池Bにより、想定的に充電量の小さいセル電池Bを充電することにより、各セル電池Bの充電量を均等化してもよい。
【0117】
第1~第4実施形態では、均等化電流は一般的な直流となるが、これに代えて、一般的な直流に交流波形が混じった波形等の、一般的な直流とは異なる波形の電流となるようにしてもよい。
【0118】
第1~第4実施形態では、電池パック95及び均等化装置91~93は電動車両90に搭載されている。これに代えて、例えばドローン等の他の機器に、電池パック95及び均等化装置91~93を搭載してもよい。
【符号の説明】
【0119】
11…状態判定部、12…バラツキ判定部、13…均等化部、91~94…均等化装置、95…電池パック、ΔV…バラツキ電圧、V1…充電時の判定電圧、α1…充電時の均等化放電、α2…分極発生中の均等化放電、α3…分極解消後の均等化放電。