(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169564
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】シート搬送装置、画像読取装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/12 20060101AFI20241128BHJP
B65H 1/04 20060101ALI20241128BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B65H1/12 310A
B65H1/04 310
H04N1/00 L
H04N1/00 567C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024160999
(22)【出願日】2024-09-18
(62)【分割の表示】P 2020092282の分割
【原出願日】2020-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 隼一
(57)【要約】
【課題】サイズの異なるシートのセット作業を容易にする。
【解決手段】シート搬送装置は、シートが積載される積載部と、積載部の上方に配置され、積載部に積載されたシートを給送する給送手段と、積載部を、給送手段によるシートの給送を行うための第1位置と、第1位置より下方であって給送手段によるシートの給送を行わない第2位置との間で昇降させる昇降手段と、昇降手段による積載部の昇降を制御する制御手段と、を備える。制御手段は、積載部に積載されたサイズの異なる複数のシートを給送手段によって給送することが可能なモードを選択可能であり、積載部が第1位置にある状態でモードが選択された場合に、昇降手段により積載部を第2位置へ移動させて(S104)給送開始の指示を待機する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが積載される積載部と、
前記積載部に積載されたシートを検知する検知手段と、
前記積載部の上方に配置され、前記積載部に積載されたシートを給送する給送手段と、
前記積載部を、前記積載部に積載されたシートが前記給送手段に接触する第1位置と、前記第1位置より下方の位置である第2位置との間で昇降させる昇降手段と、
前記昇降手段による前記積載部の昇降を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
不定型サイズを含む複数のサイズが異なるシートを混載して前記給送手段によって給送する第1の混載モードと、複数のサイズが異なる定型サイズのシートを混載して前記給送手段によって給送する第2の混載モードと、を実行可能であり、
前記積載部が前記第2位置にあり、且つ前記第1の混載モードが選択された状態で、前記検知手段がシートを検知した場合は、給送開始指示を受け取るまでは前記昇降手段により前記積載部を前記第1位置へ移動させる動作を実行せずに待機し、前記給送開始指示を受け取ったことに基づいて前記昇降手段により前記積載部を前記第2位置から前記第1位置へ移動させ、
前記積載部が前記第2位置にあり、且つ前記第2の混載モードが選択された状態で、前記検知手段がシートを検知した場合は、前記検知手段がシートを検知したことに基づいて前記昇降手段により前記積載部を前記第2位置から前記第1位置へ移動させる、
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記積載部が前記第1位置にある状態で前記第1の混載モードが選択された場合、前記昇降手段により前記積載部を前記第1位置から前記第2位置に移動させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
シートが積載される積載部と、
前記積載部に積載されたシートを検知する検知手段と、
前記積載部の上方に配置され、前記積載部に積載されたシートを給送する給送手段と、
前記積載部を、前記積載部に積載されたシートが前記給送手段に接触する第1位置と、前記第1位置より下方の位置である第2位置との間で昇降させる昇降手段と、
前記昇降手段による前記積載部の昇降を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
不定型サイズを含む複数のサイズが異なるシートを混載して前記給送手段によって給送する第1の混載モードと、複数のサイズが異なる定型サイズのシートを混載して前記給送手段によって給送する第2の混載モードと、を実行可能であり、
前記積載部が前記第2位置にあり、且つ前記第1の混載モードが選択された状態で、前記検知手段がシートを検知した場合は、前記昇降手段により前記積載部を前記第1位置と前記第2位置との間の第3位置へ移動させて待機し、給送開始指示を受け取ったことに基づいて前記昇降手段により前記積載部を前記第3位置から前記第1位置へ移動させ、
前記積載部が前記第2位置にあり、且つ前記第2の混載モードが選択された状態で、前記検知手段がシートを検知した場合は、前記検知手段がシートを検知したことに基づいて前記昇降手段により前記積載部を前記第2位置から前記第1位置へ移動させる、
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記積載部が前記第1位置にある状態で前記第1の混載モードが選択された場合、前記昇降手段により前記積載部を前記第1位置から前記第3位置へ移動させる、
ことを特徴とする請求項3に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記第1の混載モードと前記第2の混載モードとを選択可能な選択画面を表示する操作部を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記操作部は、前記選択画面において前記第1の混載モードが選択された場合に、給送開始の指示を入力する操作を行うことが可能な実行画面へと遷移するように構成され、
前記制御手段は、前記積載部が前記第1位置にある状態で前記第1の混載モードが選択される場合、前記選択画面から前記第1の混載モードの前記実行画面へと遷移に合わせて前記積載部を前記第1位置から下降させる、
ことを特徴とする請求項5に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記積載部には、前記給送手段の給送方向に垂直な幅方向に移動可能であって前記積載部に積載されたシートの前記幅方向の位置を規制する一対の規制部材が設けられ、
前記操作部は、前記選択画面において前記第1の混載モードが選択された場合に、前記積載部に載置されるシートを前記幅方向の中央位置に合わせることを指示する通知を表示する、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載のシート搬送装置。
【請求項8】
シートが積載される積載部と、
前記積載部に積載されたシートを検知する検知手段と、
前記積載部の上方に配置され、前記積載部に積載されたシートを給送する給送手段と、
前記積載部を、前記積載部に積載されたシートが前記給送手段に接触する第1位置と、前記第1位置より下方の位置である第2位置との間で昇降させる昇降手段と、
前記昇降手段による前記積載部の昇降を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記検知手段がシートを検知したことに基づいて、前記昇降手段により前記積載部を前記第2位置から前記第1位置と前記第2位置との間の第3位置へ移動させ、給送開始指示を受け取ったことに基づいて、前記昇降手段により前記積載部を前記第3位置から前記第1位置へ移動させる、
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項9】
前記積載部が前記第1位置に位置することを検知する上昇位置検知センサを備え、
前記第3位置は、前記上昇位置検知センサが、前記積載部が前記第1位置に位置することを検知している状態から前記積載部が前記第1位置に位置することを検知しない状態となってから、所定距離だけ前記積載部が下降した位置である、
ことを特徴とする請求項8に記載のシート搬送装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記給送手段によるシートの給送が開始された後、前記検知手段がシートを検知しない状態になったことに基づいて、前記積載部を前記第1位置から前記第2位置へ移動させる、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載のシート搬送装置と、
前記シート搬送装置によって搬送されるシートから画像情報を読み取る読取手段と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項12】
請求項11に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置が読み取った画像情報に基づいて記録材に画像を形成する画像形成手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送するシート搬送装置、シートから画像情報を読み取る画像読取装置、及び、記録材に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿となるシートから画像情報を読み取る画像読取装置として、トレイにセットされたシートを1枚ずつ自動的に給送する自動原稿給送装置(Auto Document Feeder、以下ADFとする)を備えたものが広く用いられている。
【0003】
特許文献1には、リフト板に原稿が載置されたことをセンサによって検知すると、リフト板を上昇させて原稿を給紙ローラに当接させ、原稿送りの開始指示に備えるADFが記載されている。特許文献2には、原稿トレイから搬送される原稿の幅及び長さをセンサによって検知することで、サイズの異なる複数種類の原稿を同時に原稿トレイに載置した場合でも原稿サイズを1枚ずつ自動的に判断する機能を備えたADFが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-263452号公報
【特許文献2】特開2001-350225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2のように原稿の混載を許容するADFにおいて、従来想定されていたのは「A4とB5」等、定型サイズ(ISO216やJIS P 0138等の規格で定められているシートサイズ)同士で比較的近いサイズの混載であった。しかし、近年、定型サイズの原稿に加えて、不定型サイズの原稿も定型サイズと混載して自動的に画像情報の読取りを行いたいという要望がある。不定型サイズとは、定型サイズに当てはまらないシートサイズを指し、不定型サイズの原稿の例は領収書や小切手である。
【0006】
しかしながら、サイズの大きく異なる原稿を混載することを想定した場合、小さな原稿が給送ローラに対して適切な位置に載置されていないと給送不良が生じる可能性がある。例えば、
図1(a)のように比較的幅の差が小さい原稿同士を混載する場合は、片側のサイド規制板31aに原稿を片寄せしてセットしても給送ローラ1によって原稿を正常に搬送できることが多い。しかし、
図1(b)のように幅の差が大きい原稿同士を片寄せして混載すると、幅の小さな原稿(グレー部分)が給送ローラ1と適切に接触せずに給送不良となる可能性があるため、
図1(c)に示すように適切な位置へ原稿を置くことが求められる。この場合、小さな原稿はサイド規制板31aに接触しない状態でセットされることになり、
図1(d)に示すように傾きが生じて原稿の置き直しが必要となる場合がある。また、あるサイズの原稿を先に載置した後、別のサイズの原稿を上に重ねる手順で原稿を混載することも考えられる。
【0007】
このような事情から、サイズの大きく異なる原稿を混載するモードでは、特許文献1のように原稿が載置された時点で原稿トレイ(リフト板)を上昇させると、原稿が給送ローラ1に押え付けられてしまい(
図2)、原稿のセット作業が行いづらい場合があった。
【0008】
そこで、本発明は、サイズの異なるシートのセット作業を容易にするシート搬送装置、画像読取装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様はシートが積載される積載部と、前記積載部に積載されたシートを検知する検知手段と、前記積載部の上方に配置され、前記積載部に積載されたシートを給送する給送手段と、前記積載部を、前記積載部に積載されたシートが前記給送手段に接触する第1位置と、前記第1位置より下方の位置である第2位置との間で昇降させる昇降手段と、前記昇降手段による前記積載部の昇降を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、不定型サイズを含む複数のサイズが異なるシートを混載して前記給送手段によって給送する第1の混載モードと、複数のサイズが異なる定型サイズのシートを混載して前記給送手段によって給送する第2の混載モードと、を実行可能であり、前記積載部が前記第2位置にあり、且つ前記第1の混載モードが選択された状態で、前記検知手段がシートを検知した場合は、給送開始指示を受け取るまでは前記昇降手段により前記積載部を前記第1位置へ移動させる動作を実行せずに待機し、前記給送開始指示を受け取ったことに基づいて前記昇降手段により前記積載部を前記第2位置から前記第1位置へ移動させ、前記積載部が前記第2位置にあり、且つ前記第2の混載モードが選択された状態で、前記検知手段がシートを検知した場合は、前記検知手段がシートを検知したことに基づいて前記昇降手段により前記積載部を前記第2位置から前記第1位置へ移動させる、ことを特徴とするシート搬送装置である。
【0010】
本発明の他の一態様は、シートが積載される積載部と、前記積載部に積載されたシートを検知する検知手段と、前記積載部の上方に配置され、前記積載部に積載されたシートを給送する給送手段と、前記積載部を、前記積載部に積載されたシートが前記給送手段に接触する第1位置と、前記第1位置より下方の位置である第2位置との間で昇降させる昇降手段と、前記昇降手段による前記積載部の昇降を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、不定型サイズを含む複数のサイズが異なるシートを混載して前記給送手段によって給送する第1の混載モードと、複数のサイズが異なる定型サイズのシートを混載して前記給送手段によって給送する第2の混載モードと、を実行可能であり、前記積載部が前記第2位置にあり、且つ前記第1の混載モードが選択された状態で、前記検知手段がシートを検知した場合は、前記昇降手段により前記積載部を前記第1位置と前記第2位置との間の第3位置へ移動させて待機し、給送開始指示を受け取ったことに基づいて前記昇降手段により前記積載部を前記第3位置から前記第1位置へ移動させ、前記積載部が前記第2位置にあり、且つ前記第2の混載モードが選択された状態で、前記検知手段がシートを検知した場合は、前記検知手段がシートを検知したことに基づいて前記昇降手段により前記積載部を前記第2位置から前記第1位置へ移動させる、ことを特徴とするシート搬送装置である。
【0011】
本発明のさらに他の一態様は、シートが積載される積載部と、前記積載部に積載されたシートを検知する検知手段と、前記積載部の上方に配置され、前記積載部に積載されたシートを給送する給送手段と、前記積載部を、前記積載部に積載されたシートが前記給送手段に接触する第1位置と、前記第1位置より下方の位置である第2位置との間で昇降させる昇降手段と、前記昇降手段による前記積載部の昇降を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記検知手段がシートを検知したことに基づいて、前記昇降手段により前記積載部を前記第2位置から前記第1位置と前記第2位置との間の第3位置へ移動させ、給送開始指示を受け取ったことに基づいて、前記昇降手段により前記積載部を前記第3位置から前記第1位置へ移動させる、ことを特徴とするシート搬送装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、サイズの異なるシートのセット作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】定型原稿及び不定型原稿のセット位置について説明するための図(a~d)。
【
図4】実施例1に係るADFの断面図(a)及び画像形成装置の概略図(b)。
【
図6】実施例1に係る画像読取装置の一部を示す断面図(原稿トレイが下降位置にある状態)。
【
図7】実施例1に係る画像読取装置の一部を示す断面図(原稿トレイが上昇位置にある状態)。
【
図8】実施例1に係る画像読取装置の動作モードの選択画面を示す図。
【
図9】
図8の選択画面において不定型サイズの混載読取を選択した場合に表示される画面を示す図。
【
図10】実施例1に係る画像読取装置の制御方法を示すフローチャート。
【
図11】実施例1に係る画像読取装置の一部を示す断面図(原稿トレイが待機位置にある状態)。
【
図12】実施例2に係る画像読取装置の制御方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための例示的な形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例0015】
図3は、実施例1における画像読取装置150を示す斜視図である。本実施例における画像読取装置150は、原稿から画像情報を読み取るリーダ部100と、リーダ部100による読み取りが行われる読取位置へ向けて原稿を搬送するADF200と、によって構成される。ADF200は本実施例のシート搬送装置である。ADF200は、リーダ部100に対して、リーダ部100上面の奥側に設けられた開閉ヒンジにより、開閉可能に支持されている。
【0016】
画像読取装置150は、原稿から画像情報を読み取る読取動作として、固定読み動作と流し読み動作の2種類を実行可能である。固定読み動作とは、リーダ部100の原稿台ガラス101の上に載置された静止原稿から画像情報を読み取る動作であり、流し読み動作とは、ADF200によって1枚ずつ原稿を給送しながら画像情報を読み取る動作である。
【0017】
<リーダ部>
リーダ部100について、
図4(a)を参照しながら説明する。
図4(a)は、本実施例における画像読取装置150の概略構成を示す断面図である。
【0018】
リーダ部100は、原稿台ガラス101、表面流し読みガラス102、表面読取部105、図示しない光学モータ306(
図5)、読取移動ガイド109を有する。表面読取部105は、光源である表面LED103a,103bと、電荷結合素子等の撮像素子である表面読取センサ108と、複数のミラー104a,104b,104cと、を有するラインセンサユニットである。表面読取部105は、光学モータ306によって駆動されるキャリッジに支持され、図中左右方向に往復移動可能である。
【0019】
固定読み動作の場合、表面読取部105が光学モータ306の駆動によって原稿台ガラス101の下方を移動しながら原稿台ガラス101上の原稿を走査することで、原稿の画像情報を1ラインずつ読み取る。流し読み動作の場合、後述するように、表面読取部105は表面流し読みガラス102を介してADF200によって搬送されている原稿を走査し、原稿の片面の画像情報を1ラインずつ読み取る。
【0020】
<ADF>
ADF200について、
図4(a)を参照しながら説明する。ADF200は、原稿トレイ30と、給送ローラ1と、分離ローラ2と、分離パッド21と、原稿有無センサ10と、トレイ上長さセンサ9と、を有する。
【0021】
原稿トレイ30は、原稿として用いられるシートが載置される本実施例の積載部である。なお、原稿としては、普通紙及び厚紙等の紙、プラスチックフィルム、布、コート紙のような表面処理が施されたシート材、封筒やインデックス紙等の特殊形状のシート材等、サイズ及び材質の異なる多様なシートを使用可能である。
【0022】
原稿トレイ30は、少なくとも一部が、後述のトレイ昇降モータ312(
図5)によって昇降可能に構成されている。例えば、原稿の給送方向(図中左方)における原稿トレイ30の下流部を、ADF200の枠体に対して上下に移動可能とすると共に、トレイ昇降モータ312とギヤを介して連結されたリフト板によって下面を支持させた構成とする。流し読み動作の実行時には、原稿トレイ30上の原稿束Sが適切な当接圧で給送ローラ1と当接するように原稿トレイ30が上昇する。
【0023】
なお、原稿トレイ30には、原稿の給送方向に垂直な幅方向の原稿位置を規制する規制部材として、一対のサイド規制板31a,31b(
図1(a)参照)が設けられている。サイド規制板31a,31bは、給送ローラ1の幅方向の中央位置を中心として幅方向に連動して移動可能に設けられており、原稿トレイ30に載置された原稿の側端部に当接して原稿位置を規制することが可能である。
【0024】
給送ローラ1は、積載部からシートを給送する本実施例の給送手段である。給送ローラ1は、原稿トレイ30の上方に配置され、幅方向における原稿トレイ30の中央位置上に設けられている(
図1(a)参照)。給送ローラ1は、流し読み動作の実行時に原稿トレイ30上の原稿束Sに当接して最上位の原稿を分離ローラ2へ向けて送り出す。分離ローラ2及び分離パッド21は原稿を分離機構の例であり、分離ローラ2と分離パッド21との間の分離ニップに進入する原稿に対して分離パッド21が加える摩擦力により、原稿を1枚ずつ分離させた状態で搬送する。なお、給送ローラ1は給送手段の一例であり、例えばベルト部材によって原稿を原稿トレイ30から送り出すものを用いてもよい。
【0025】
原稿有無センサ10は、シート給送方向における原稿トレイ30の下流端付近(特に、給送ローラ1の原稿当接位置より下流)に設けられ、原稿トレイ30上の原稿の有無に応じて検知信号を変化させるように構成されている。つまり、原稿有無センサ10は積載部における原稿の有無を検知するための本実施例の検知手段として機能する。トレイ上長さセンサ9は、シート給送方向における原稿トレイ30上の所定の検知位置に設けられ、検知位置における原稿の有無に応じて検知信号を変化させるように構成されている。トレイ上長さセンサ9は、原稿トレイ30上の原稿の搬送方向長さを判別するために用いられる。原稿有無センサ10及びトレイ長さセンサ9は、例えば原稿に押圧されて揺動するフラグによって遮光される遮光式光電センサを用いてもよく、原稿トレイ30の上方に向けて検知光を照射して原稿からの反射光を検知する反射式光電センサを用いてもよい。
【0026】
ADF200は、さらに引抜ローラ3、搬送ローラ4、読取上流ローラ5、表面ガラス対向部材6、中間搬送ローラ7、裏面読取部202、裏面流し読みガラス201、裏面ガラス対向部材8、排出ローラ16、排出トレイ17等を有している。
【0027】
分離ローラ2から送り出される原稿は、引抜ローラ3、搬送ローラ4及び読取上流ローラ5を介して表面読取部105の読取位置へ向けて搬送される。表面読取部105の読取位置において、原稿は表面流し読みガラス102と表面ガラス対向部材6の間を通過して搬送される。このとき、原稿の第1面(表面)の画像情報が表面読取部105によって1ラインずつ読み取られる。また、読取位置の上流側と下流側に設けられたコロ部材51,52によって原稿が表面流し読みガラス102に押し付けられることで読取精度が確保される。
【0028】
表面読取部105の読取位置を通過した原稿は、中間搬送ローラ7を介して裏面読取部202の読取位置へ向けて搬送される。裏面読取部202の読取位置において、原稿は裏面流し読みガラス201と裏面ガラス対向部材8の間を通過して搬送される。このとき、原稿の第2面(裏面)の画像情報が裏面読取部202によって1ラインずつ読み取られる。なお、裏面流し読みガラス201は移動可能であり、裏面から画像情報を読み取る場合は原稿が裏面読取部202の読取位置に到達する前に予め
図4(a)の位置へ移動させておく。また、読取位置の上流側と下流側に設けられたコロ部材53,54が原稿を裏面流し読みガラス201に押し付けることで読取精度が確保される。
【0029】
裏面読取部202は、光源であるLED203a,203bと、電荷結合素子等の撮像素子である裏面読取センサ208と、複数のミラー204a,204b,204cと、を有するラインセンサユニットである。なお、表面読取部105及び裏面読取部202はいずれも画像情報を読み取る読取手段の一例であり、例えば等倍光学系を備えた密着イメージセンサ(CIS)を用いてもよい。
【0030】
裏面読取部202の読取位置を通過した原稿は、排出ローラ16によってADF200の外部に排出され、排出トレイ17に積載される。原稿トレイ30に複数枚の原稿が積載されている場合、以上の原稿の給送、読取、排出の動作を繰り返し実行することで、画像読取装置150は各原稿から画像情報を読み取る。
【0031】
なお、給送ローラ1から排出ローラ16までのADF内部の搬送経路の各所に、原稿の搬送を監視する搬送系センサとして、分離センサ11,引抜センサ12,搬送センサ13,リードセンサ14,排出センサ15が設けられている。画像読取装置150のコントローラは、これらのセンサが原稿の先端又は後端の通過を検知した時刻に基づいて、原稿の搬送が正常に進行しているか否かを判断する。
【0032】
また、ここでは原稿の両面から画像情報を読み取る場合について説明したが、原稿の片側の面からのみ画像情報を読み取る場合は、裏面読取部202による読取りを行わずに単に原稿は裏面読取部202の読取位置を通過して搬送される。
【0033】
<画像形成装置>
画像読取装置150の使用形態の1つとして、
図4(b)には画像形成装置本体160の上部に画像読取装置150を搭載した画像形成装置180を示している。画像形成装置本体160には、画像形成手段として電子写真式の画像形成部PUが収容されており、画像読取装置150のリーダ部100は画像形成装置本体160の枠体に固定されている。
【0034】
画像形成装置180は、画像読取装置150によって読み取った画像情報に基づいて記録材Pに画像を形成する画像形成動作(複写動作)を実行可能である。画像形成部PUでは、帯電器162が感光体161の表面を一様に帯電させ、露光装置163が画像情報に基づいて変調したレーザ光を感光体161に照射して静電潜像を書き込む。現像器164は帯電したトナー粒子を含む現像剤を感光体161に供給し、静電潜像を現像してトナー像として可視化する。転写器165は、感光体161に担持されているトナー像を記録材Pに転写する。クリーニング装置166は、記録材Pに転写されずに感光体161に残った転写残トナー等の付着物を除去する。定着器167は、記録材P上のトナー像に熱及び圧力を加えてトナーを溶融させることで記録材Pにトナー像を定着させる。
【0035】
なお、画像読取装置150は、画像形成装置本体とは独立した装置としても使用可能である。その場合、画像読取装置150によって読み取られた画像情報は、例えばネットワークを介して外部のコンピュータに転送される。また、
図4(b)に示すものは画像形成装置の一例であり、例えばインクジェット方式の印刷ユニットを画像形成手段として用いるものであってもよい。
【0036】
<画像読取装置の制御構成>
図5は、本実施例に係る画像読取装置150の制御構成を示すブロック図である。画像読取装置150は、リーダコントローラ300を備えている。リーダコントローラ300は、中央処理装置であるリーダCPU301、リードオンリーメモリであるROM-A302、ランダムアクセスメモリであるRAM-A303を備えている。ROM-A302には制御プログラムが格納されており、RAM-A303には入力データや作業用データが格納される。リーダCPU301は、ROM-A302に格納された制御プログラムを読み出して実行することで、
図10を用いて後述するようなフローに従って画像読取装置150の動作を制御する制御手段として機能する。
【0037】
リーダCPU301は、画像読取装置150のアクチュエータであるトレイ昇降モータ312、給送ローラ昇降モータ311、給送モータ310、搬送モータ307、光学モータ306に接続され、各モータの駆動状態を制御する。トレイ昇降モータ312は、原稿トレイ30を昇降させるモータであり、本実施例の昇降手段である。給送ローラ昇降モータ311は給送ローラ1(
図4)を昇降させるモータである。給送モータ310は給送ローラ1及び分離ローラ2を駆動するモータである。搬送モータ307は、引抜ローラ3、搬送ローラ4、読取上流ローラ5、中間搬送ローラ7、排出ローラ16を駆動するモータである。
【0038】
本実施例において、給送モータ310、搬送モータ307はいずれもパルスモータであり、リーダCPU301はこれらのモータの駆動パルス数を制御する事で各モータの回転量を管理している。そのため、駆動パルス数は搬送中の原稿の搬送距離として捉えることができる。つまり、リーダCPU301は、給送モータ310、搬送モータ307の駆動パルス数を数えることで、原稿の搬送距離を測定することができる。
【0039】
リーダCPU301は、それぞれ原稿トレイ30に設けられた原稿有無センサ10、トレイ上長さセンサ9、原稿幅センサ309と接続されている。原稿幅センサ309は、例えばサイド規制板31a,31bを連動させるラックアンドピニオンのピニオンギヤに設けたボリュームセンサを用いることができる。リーダCPU301は、トレイ上長さセンサ9及び原稿幅センサ309の検知結果に基づいて、原稿トレイ30に載置された原稿のサイズを予測することができる。また、原稿の長さについては、原稿の搬送中に搬送系センサを用いてより正確な値を取得することができる。
【0040】
また、リーダCPU301は、昇降制御に用いるために原稿トレイ30の現在位置を検知する検知手段として、上昇位置検知センサ314及び下降位置検知センサ315を有している。上昇位置検知センサ314は、原稿トレイ30に載置された原稿束の上面が、給送ローラ1によって給送可能な所定の高さにあることを検知するセンサである。以下、原稿束の上面が所定の高さにある場合の原稿トレイ30の位置を、上昇位置とする。下降位置検知センサ315は、ADF200が原稿の搬送を行わない場合に原稿トレイ30が待機する位置(以下、下降位置とする)に原稿トレイ30があることを検知するセンサである。上昇位置は本実施例の第1位置であり、下降位置は本実施例の第2位置である。
【0041】
原稿トレイ30が上昇位置にある状態で給送モータ310に給送ローラ1及び分離ローラ2を駆動させると、原稿トレイ30から1枚ずつ原稿が給送される。一方、原稿トレイ30が下降位置にある場合、原稿トレイ30上の原稿は給送ローラ1と接触せず、原稿の給送は開始されない。
【0042】
また、リーダCPU301は、搬送経路の各所に設けられた搬送系センサ(
図4の分離センサ11,引抜センサ12,搬送センサ13,リードセンサ14,排出センサ15からなる)と接続されている。リーダCPU301は、搬送系センサの検知信号に基づいて、搬送中の原稿の搬送動作が正常に進行しているか否かを判断する。
【0043】
さらに、リーダCPU301には、画像読取機能を実現するために、表面及び裏面のLED(103a,103b,203a,203b)、表面及び裏面の読取センサ(108,208)、画像処理部304、画像メモリ305が接続される。リーダCPU301は表面及び裏面の読取ラインセンサ(108,208)によって読み取られた画像データを画像処理部304に各種画像処理を実施させてから画像メモリ305に格納する。画像処理とは、例えば、予め表面読取部105及び裏面読取部202によって読み取った白基準板110,210(
図4)の読取データに基づいて、今回の画像データの明るさ等を補正するシェーディング補正を指す。
【0044】
リーダCPU301は、画像メモリ305に格納された画像データを、システムコントローラ400からコマンドデータバス317経由で受信した画像出力要求に合わせて、画像データバス318を介してシステムコントローラ400へ送信する。さらに、リーダCPU301は原稿画像データの先端の基準となる垂直同期信号および1ラインの画素先端の基準となる水平同期信号を、原稿読み取りタイミングに合わせて、画像データバス318を通してシステムコントローラ400へ通知する。
【0045】
システムコントローラ400は、システムCPU411、システムROM412、システムRAM413を備えており、コマンドデータバス317を介してリーダCPU301と画像読取制御に関するデータの授受を行う。画像読取装置の画像処理部304で処理された画像データは画像データバス318を介してシステムコントローラ400内の画像処理部414へ転送されて、色の判断などの所定の画像処理を施された後に、画像メモリ415に格納される。また、システムコントローラ400は、操作部416を備えており、ユーザとのインターフェース制御は操作部416介してシステムCPU411によって行われる。操作部416は、画像により情報を表示する液晶パネル等の表示装置と、物理ボタン又は液晶パネルのタッチパネル機能部等の、ユーザからの入力操作を受け付ける入力装置と、を含む。
【0046】
なお、システムコントローラ400は、ADF200及びリーダ部100を含む装置の全体を統括制御する制御部として機能する。システムコントローラ400は、例えば
図4(b)に示す画像形成装置180の場合には、画像形成装置本体160に搭載された制御基板であってもよい。この場合、システムコントローラ400はリーダコントローラ300から受け取った画像情報に基づいて画像形成部に画像形成動作を実行させることができる。また、リーダコントローラ300は、上述の各モータやセンサと適切に接続されていれば、ADF200又はリーダ部100の筐体外(例えば、画像形成装置本体内)に設置されていてもよい。
【0047】
<原稿混載読取について>
次に、異なるサイズの原稿から画像情報を読取る場合(以下、混載読取とする)のサイズ特定方法について説明する。混載読取の場合、幅(幅方向の原稿長さ)又は長さ(給送方向の原稿長さ)が異なる複数種類の原稿を原稿トレイ30にまとめて載置することが許容される。
【0048】
混載読取ではない場合(例えば、一種類の定型サイズのみを扱う場合)、原稿トレイ30上に存在する原稿幅センサ309(
図5)で原稿の幅を検知し、原稿搬送の開始後に分離センサ11を用いて原稿の長さを検知することで原稿のサイズを判別できる。即ち、今回の原稿の先端が分離センサ11によって検知されてから分離センサ11が今回の原稿の後端を検知するまでの経過時間と、分離ローラ2及び引抜ローラ3による原稿の搬送速度とに基づいて、原稿長さが測定される。リーダCPU301は、判別した原稿サイズに基づいて、必要な幅(主走査方向範囲)及び長さ(副走査方向範囲)の分、表面読取部105及び裏面読取部202によって読み取った画像データを画像メモリ305に保存する。
【0049】
しかし、混載読取の場合、原稿トレイ30上のサイド規制板31a,31bは最も幅が大きい原稿に合わせて位置決めされるため、原稿幅センサ309の検知結果はその他の原稿の幅を反映しないものとなる。そのため、混載読取の場合には別の手段で1枚ごとに原稿のサイズを検知して、画像データを取得する範囲を特定することになる。
【0050】
混載読取の場合、原稿の長さについては上述した混載読取以外の場合と同様に、分離センサ11の検知結果に基づいて測定を行う。原稿の幅については、表面読取部105によって読み取られた一次画像データに対しエッジ検出を行うことで測定を行う。つまり、リーダコントローラ300の画像処理部304は、表面読取センサ108から受け取った一次画像データを解析し両側の側端(幅方向の原稿の端部)を特定し、側端同士の間隔を原稿の幅として算出する。リーダCPU301は、以上のように特定した原稿サイズに基づいて、必要な幅(主走査方向範囲)及び長さ(副走査方向範囲)の分、表面読取部105及び裏面読取部202によって読み取った画像データを画像メモリ305に保存する。
【0051】
<原稿トレイへの原稿セット位置>
次に、原稿トレイ30に対する原稿のセット位置について、混載読取の場合とそうでない場合とに分けて説明する。
【0052】
ADF200が原稿の搬送を行っていない場合、原稿トレイ30は下降位置で待機している(
図6)。原稿トレイ30に原稿束Sが載置されると、原稿有無センサ10の検知信号が変化し、リーダCPU301は原稿有りと判断してトレイ昇降モータ312により原稿トレイ30の上昇を開始させる。そして、上昇位置検知センサ314(
図5)が、原稿束Sの上面が所定の高さに到達したことを表す検知信号を発すると、原稿トレイ30の上昇は終了する(
図7)。
【0053】
原稿トレイ30が上昇位置にある状態では、原稿束Sと給送ローラ1が当接しているため、給送モータ310に給送ローラ1を駆動させることで直ちに原稿の給送を開始することができる。つまり、原稿有無センサ10による原稿の検知時点で原稿トレイ30を上昇位置まで移動させることで、ユーザによる読取の実行指示から画像データの取得までの待ち時間を短くすることができる。
【0054】
ところで、混載読取以外の場合、原稿トレイ30に原稿束Sを載置するときは、サイド規制板31a,31b(
図1(a))を原稿の幅に合わせてユーザが手動で位置調整を行う。リーダCPU301は、原稿幅センサ309の検知結果に基づいて取得した値を、原稿トレイ30に載置されている原稿の幅として流し読み動作の実行に使用する。
【0055】
一方、混載読取の場合、原稿トレイ30にはサイズの異なる複数の原稿が載置される場合があり、特に不定型サイズのように幅が非常に小さい原稿が定型サイズの原稿と混載される場合がある。そのため、
図1(b)を用いて説明したように、混載読取の場合には片方のサイド規制板31aに片寄せして原稿をセットするのではなく、
図1(c)のように原稿トレイ30の中央位置に合わせて各サイズの原稿をセットすることが求められる。画像読取装置150は、例えば操作部416(
図5)を介して、ユーザに対して適切な原稿のセット位置を通知する。
【0056】
このように、サイド規制板31a,31bから離れた位置に原稿をセットする際は、
図1(d)のように小さな原稿が傾いて原稿の置き直しが必要となりやすい。しかし、上述したように原稿有無センサ10による原稿の検知時点で原稿トレイ30を上昇位置まで移動させると、原稿束Sが給送ローラ1で押え付けられてしまい(
図2)、原稿の置き直しが難しくなってしまう。そこで、本実施例では、後述するように不定型サイズを含む原稿混載読取のモードにおいて原稿トレイ30の位置を適切に制御することで混載原稿のセット作業を容易にすることを提案する。
【0057】
<不定型サイズの原稿混載読取について>
本実施例における不定型サイズを含む原稿混載読取の機能について、
図8~
図11を用いて説明する。
【0058】
図8は、画像読取装置150の電源起動後、読取動作をしていない時に操作部416に表示される選択画面である。図中のボタンb1~b6は、画面に触れることで画像読取装置150が実行する機能を選択可能な部分である。
【0059】
不定型サイズの原稿を含む原稿を混載して画像情報の読取りを行いたい場合、ユーザは「不定型サイズの混載読取」のボタンb4を選択する。すると、操作部416の画面表示は
図9に示す実行画面へと遷移する。この実行画面では、読取動作の開始を指示するボタンc1、読取動作の詳細な設定を行うボタンc2~c6、及び、ユーザに対し原稿のセット位置を通知するメッセージc7等が表示される。本実施例では、不定型サイズの混載読取のモードを選択した場合は、原稿を原稿トレイ30の中央位置にセットする旨のメッセージc7が表示される。
【0060】
図8において「不定型サイズの混載読取」のボタンb4を選択した動作が、本実施例における第1のモードに相当する。また、
図8において「不定型サイズの混載読取」以外のボタンb1,b2,b3,b5を選択して読取動作を実行する場合の動作が本実施例の第2のモードに相当する。不定型サイズの混載読取以外のモードにおいては、サイズが等しい定型サイズの原稿束の読取及び定型サイズの混載読取を行うことが可能である。また、不定型サイズの混載読取のモードを選択した場合は、
図1(c)に示すように、原稿を原稿トレイ30の中央位置にセットする。一方で、不定型サイズの混載読取以外のモードを選択し、定型サイズの原稿の混載読取を行う場合は、
図1(a)に示すように、片側のサイド規制板31aに原稿を片寄せしてセットする。
【0061】
なお、本実施例における「定型サイズ」とは、一般的な文書として用いられることが多いシートサイズとしてROM-A302等の記憶部に予め登録されているサイズを指し、「不定型サイズ」とは登録サイズ以外のサイズを指す。従って、不定型サイズには、幅方向の長さが定型サイズの中での最小値よりも小さいものが含まれる。
【0062】
図10は、本実施例に係る画像読取装置150の制御方法を表すフローチャートである。本フローの各工程は、リーダCPU301がROM-A302に格納されている制御プログラムを読み出して実行することで実現される。
【0063】
画像読取装置150の電源起動後、本フローチャートの処理が開始され、操作部416に
図8の選択画面が表示される。リーダCPU301は、「不定型サイズの混載読取」のボタンb4が選択されたかを監視する(S101)。操作部416を介して、ユーザが「不定型サイズの混載読取」を選択した場合、システムコントローラ400からコマンドデータバス317経由でリーダコントローラ300へ、不定型サイズの混載読取を行う旨の通知が送られる。通知を受けたリーダCPU301は、不定型サイズ原稿読取フラグをTRUEに変更する(S102)。
【0064】
次に、リーダCPU301は、現時点までに原稿有無センサ10がONして原稿トレイ30が上昇位置(
図7)に移動しているかを確認する(S103)。原稿トレイ30が上昇位置に移動していた場合(S103YES)、リーダCPU301は原稿トレイ30を下降位置(
図6)へ移動させる(S104)。
【0065】
つまり、原稿トレイ30が上昇位置にある状態で混載原稿を読み取るモードが選択された場合、本実施例では原稿トレイ30を上昇位置から下降位置へ移動させる制御が行われる。これによって、給送ローラ1が原稿と接触しなくなり、原稿トレイ30上で不定型サイズの原稿の置き直しや追加がしやすくなり、不定型サイズを含む混載原稿を適切な位置にセットする作業がより容易になる。原稿トレイ30を下降位置へ移動させた後、リーダCPU301は操作部416を介してユーザが読取開始(原稿の給送開始、
図9のボタンc1)を指示するまで待機する(S109)。
【0066】
一方、ユーザが「不定型サイズの混載読取」を選択した際に、原稿トレイ30が下降位置(
図6)に位置していた場合(S103NO)、リーダCPU301は原稿トレイ30を下降位置に維持したまま原稿が載置されるまで待機する(S105)。この場合において、原稿トレイ30に新たに原稿が載置されたことで原稿有無センサ10がONになった場合(S105YES)、不定型サイズの混載読取のモードが選択されているか否かを確認する(S106)。不定型サイズの混載読取のモードが選択されている場合(S106YES)は、原稿トレイ30を上昇させず下降位置で待機させる(S107)。
【0067】
これによって、不定型サイズの混載読取を選択した後に原稿を載置しても原稿トレイ30が下降位置に留まるため、不定型サイズを含む混載原稿の置き直しや追加が容易に行える。
【0068】
また、原稿トレイ30に原稿を載置した際に不定型サイズの原稿読取が選択されていない場合(S101NO、S105YES、S106NO)、リーダCPU301は原稿トレイ30を上昇位置に移動させる(S108)。そして、操作部416を介してユーザが読取開始を選択するまで待機する(S109)。
【0069】
ユーザによって読取開始が指示されると(S109YES)、リーダCPU301は原稿トレイ30が上昇位置にあるか否かを確認する(S110)。読取開始の指示を受けた時点で原稿トレイ30が上昇位置にある場合(S110YES)、原稿トレイ30が上昇位置に維持されたまま給送ローラ1等の駆動が開始される。これにより、原稿トレイ30に載置されている原稿が1枚ずつ給送され、画像情報の読取りが行われる(S112)。
【0070】
一方、読取開始の指示を受けた時点で原稿トレイ30が上昇位置にない場合(S110NO、つまり下降位置にある場合)、原稿トレイ30の上昇位置への移動(S111)が行われた後に給送ローラ1等の駆動が開始される。そして、ADF200内の搬送路に沿って搬送される原稿から画像情報の読取りが行われる(S112)。
【0071】
原稿トレイ30に載置された全ての原稿が搬送されて画像情報の読取りが終わった場合(S113YES)、リーダCPUは原稿トレイ30を下降位置に移動させて(S114)、S101へ戻って処理を継続する。
【0072】
以上のフローチャートに沿った制御により、不定型サイズの混載読取のモードが選択された際に、読取開始の指示があるまで原稿トレイ30が下降位置で待機するため、不定型サイズを含む混載原稿のセット作業がより容易になる。
【0073】
(変形例1)
上記実施例では、読取動作のモードを選択する選択画面(
図8)から不定型サイズの混載読取の実行画面(
図9)への遷移に同期して原稿トレイ30の下降が行われていたが、画面遷移と原稿トレイ30の下降は必ずしも同期する必要はない。例えば、選択画面において不定型サイズの混載読取のボタンb4を押した場合に、ボタンb4の色を変更することで選択結果を表して選択画面の表示を続ける場合、ボタンb4の押下があったことに基づいて原稿トレイ30を下降させるようにしてもよい。
【0074】
(変形例2)
上記実施例では、第1モードとしての不定型サイズの混載読取モードが選択された場合に、原稿トレイ30の待機状態の位置が下降位置に設定されるものとして説明した。しかしながら、定型サイズ同士の混載であっても、原稿の幅が大きく異なるときは
図1(a~d)を用いて説明した課題は発生しうる。従って、例えば定型サイズのみの混載を許容するモードについても、上記実施例と同様の制御を適用してもよい。
実施例2として、不定型サイズの混載読取モードが選択された場合に原稿トレイ30が待機する位置を下降位置以外の位置に設定した構成例を説明する。以下、実施例1と共通の符号を付した要素は実施例1と実質的に同一の構成及び作用を有するものとし、実施例1と異なる部分を中心に説明する。
このような待機位置に原稿トレイ30を待機させておくことで、読取開始の指示があった場合に待機位置から上昇位置まで原稿トレイ30を移動させる所要時間は、下降位置から上昇位置まで移動させる時間より短くなる。つまり、不定型サイズの原稿読取のモードが選択された場合に原稿トレイ30を下降位置で待機させる実施例1に比べて、読取開始の指示から最初の原稿が給送されるまでの待ち時間を短くすることができる。一方、原稿トレイ30が待機位置にある状態でも原稿束Sの上面は給送ローラ1と接していないため、実施例1と同様に、不定型サイズを含む混載原稿のセット作業が容易に行える。
これによって、不定型サイズの混載読取を選択した後に原稿を載置した場合に、原稿トレイ30が上昇位置まで移動せずに待機位置で停止するため、不定型サイズを含む混載原稿の置き直しや追加が容易に行える。
また、原稿トレイ30に原稿を載置した際に不定型サイズの原稿読取が選択されていない場合(S201NO、S205YES、S206NO)、リーダCPU301は原稿トレイ30を上昇位置に移動させる(S208)。そして、操作部416を介してユーザが読取開始を選択するまで待機する(S209)。
ユーザによって読取開始が指示されると(S209YES)、リーダCPU301は原稿トレイ30が上昇位置にあるか否かを確認する(S210)。読取開始の指示を受けた時点で原稿トレイ30が上昇位置にある場合(S210YES)、原稿トレイ30が上昇位置に維持されたまま給送ローラ1等の駆動が開始される。これにより、原稿トレイ30に載置されている原稿が1枚ずつ給送され、画像情報の読取りが行われる(S212)。
一方、読取開始の指示を受けた時点で原稿トレイ30が上昇位置にない場合(S210NO、つまり待機位置又は下降位置にある場合)、原稿トレイ30の上昇位置への移動(S211)が行われた後に給送ローラ1等の駆動が開始される。そして、ADF200内の搬送路に沿って搬送される原稿から画像情報の読取りが行われる(S212)。
原稿トレイ30に載置された全ての原稿が搬送されて画像情報の読取りが終わった場合(S213YES)、リーダCPUは原稿トレイ30を上昇位置から下降させて(S214)、S201へ戻って処理を継続する。
以上のフローチャートに沿った制御により、不定型サイズの混載読取のモードが選択された際に、読取開始の指示があるまで原稿トレイ30が待機位置で待機するため、不定型サイズを含む混載原稿のセット作業がより容易になる。
また、原稿トレイ30の昇降制御において、原稿トレイ30の位置をセンサ(314,315)によって検知する構成に代えて、例えば昇降機構を駆動するパルスモータの駆動パルス数をカウントすることで原稿トレイ30の位置を取得するようにしてもよい。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。