(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169566
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】作業車両用の目標経路生成システム及び作業車両用の目標経路生成方法
(51)【国際特許分類】
A01B 69/00 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
A01B69/00 303M
A01B69/00 303F
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024161021
(22)【出願日】2024-09-18
(62)【分割の表示】P 2023111268の分割
【原出願日】2017-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】西井 康人
(57)【要約】
【課題】ユーザの価値観などに適した自動走行用の目標経路を簡易な操作で得られるようにする。
【解決手段】作業車両用の目標経路生成システムは、圃場において作業車両(トラクタ1)を自動走行させるための複数の直線経路(第2直進作業経路部P2b)を生成する経路生成部を備える。経路生成部は、圃場の形状に基づいて複数の直線経路(第2直進作業経路部P2b)の各々の方位を調整する。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場において作業車両を自動走行させるための複数の直線経路を生成する経路生成部を備え、
前記経路生成部は、前記圃場の形状に基づいて前記複数の直線経路の各々の方位を調整する、
作業車両用の目標経路生成システム。
【請求項2】
前記経路生成部は、基準作業方向に基づいて前記複数の直線経路を生成し、前記複数の直線経路が並ぶ方向に前記基準作業方向と非平行の前記圃場の外形辺である非平行外形辺が位置する場合に、前記基準作業方向と前記非平行外形辺とに基づいて前記複数の直線経路の各々の方位を調整する、
請求項1に記載の作業車両用の目標経路生成システム。
【請求項3】
前記経路生成部は、前記複数の直線経路のうち前記非平行外形辺までの距離が短い直線経路ほど前記非平行外形辺に近い方位となるように、前記複数の直線経路の各々の方位を調整する、
請求項2に記載の作業車両用の目標経路生成システム。
【請求項4】
圃場において作業車両を自動走行させるための複数の直線経路を生成することと、
前記圃場の形状に基づいて前記複数の直線経路の各々の方位を調整することと、を有する、
作業車両用の目標経路生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ、乗用田植機、コンバイン、乗用草刈機、ホイールローダ、除雪車、などの乗用作業車両、および、無人草刈機などの無人作業車両を自動走行させるための目標経路を生成する作業車両用の目標経路生成システム及び作業車両用の目標経路生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような作業車両用の目標経路生成システムとしては、例えば、トラクタ(作業車両)が圃場(作業地)の外周に沿って走行することで取得された圃場の大きさや形状などの作業地データに基づいて、ユーザが、目標経路生成用の任意設定データとして、圃場の角位置や変曲点などの複数の作業領域特定地点、作業開始位置、作業開始方向、作業終了位置などを、ユーザの価値観などに基づいて手動入力することにより、入力された任意設定データに基づくユーザの価値観などに応じた自動走行用の目標経路を生成するように構成された経路生成装置などがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の作業車両用の目標経路生成システムにおいては、目標経路の生成に必要な任意設定データの全てをユーザが入力することになっている。これは、任意設定データの入力に慣れたユーザにとっては、ユーザの価値観などに基づいた任意設定データの入力を行えることから、目標経路生成システムによるユーザの価値観などに応じた目標経路の生成が可能になる。
しかしながら、任意設定データの入力操作が苦手なユーザにおいては、任意設定データの入力に手間取ることが多いことから、その入力の簡略化が望まれている。また、ユーザの価値観などに基づく任意設定データの入力が適正に行われなかった場合には、それに起因して、例えば、目標経路生成システムにて生成された目標経路から得られる作業面積が狭くなる、あるいは、目標経路生成システムにて生成された目標経路において非作業走行距離が長くなる、といったユーザの価値観などにそぐわない、自動走行による作業時に不利益を生じさせる不適正な目標経路が生成される虞がある。
【0005】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、ユーザに任意設定データの入力を強いることなく、ユーザの価値観などに適した自動走行用の目標経路を生成して、自動走行による作業の有益化を図れるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係る作業車両用の目標経路生成システムは、圃場において作業車両を自動走行させるための複数の直線経路を生成する経路生成部を備える。前記経路生成部は、前記圃場の形状に基づいて前記複数の直線経路の各々の方位を調整する。
一態様に係る作業車両用の目標経路生成方法は、圃場において作業車両を自動走行させるための複数の直線経路を生成することと、前記圃場の形状に基づいて前記複数の直線経路の各々の方位を調整することと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】トラクタの自動走行に関する制御構成を示すブロック図
【
図4】目標経路生成部による作業領域の特定と基準作業方向などの選定とを示す図
【
図5】目標経路生成部により生成される目標経路のうちの第1例示経路を示す図
【
図6】目標経路生成部により生成される目標経路のうちの第2例示経路を示す図
【
図7】目標経路生成部により生成される目標経路のうちの第3例示経路を示す図
【
図8】目標経路生成部により生成される目標経路のうちの第4例示経路を示す図
【
図9】目標経路生成部により生成される目標経路のうちの第5例示経路を示す図
【
図10】目標経路生成部により生成される目標経路のうちの第6例示経路を示す図
【
図11】目標経路生成部により生成される目標経路のうちの第7例示経路を示す図
【
図12】目標経路生成部により生成される目標経路のうちの第8例示経路を示す図
【
図13】目標経路生成部により生成される目標経路のうちの第9例示経路を示す図
【
図14】目標経路生成部により生成される目標経路のうちの第10例示経路を示す図
【
図15】目標経路生成部により生成される目標経路のうちの第11例示経路を示す図
【
図16】目標経路生成部により生成される目標経路のうちの第12例示経路を示す図
【
図17】目標経路生成部により生成される目標経路のうちの第13例示経路を示す図
【
図18】目標経路生成部により生成される目標経路における方向転換経路部のうちの第1例示経路部を示す図
【
図19】目標経路生成部により生成される目標経路における方向転換経路部のうちの第2例示経路部を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る作業車両用の目標経路生成システムを、作業車両の一例であるトラクタに適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本発明に係る作業車両用の目標経路生成システムは、トラクタ以外の、乗用田植機、コンバイン、乗用草刈機、ホイールローダ、除雪車、などの乗用作業車両、および、無人草刈機などの無人作業車両に適用することができる。
【0009】
図1~2に示すように、本実施形態で例示するトラクタ1は、作業車両用の自動走行システムを使用することにより、作業地の一例である圃場での自動走行が可能に構成されている。作業車両用の自動走行システムは、トラクタ1に搭載された自動走行ユニット2と、自動走行ユニット2と通信可能に通信設定された携帯通信端末3とを備えている。携帯通信端末3には、タッチ操作可能な液晶パネル(表示部の一例)4などを有するタブレット型のパーソナルコンピュータが採用されている。
なお、携帯通信端末3には、ノート型のパーソナルコンピュータまたはスマートフォンなどを採用することができる。
【0010】
図1に示すように、トラクタ1は、その後部に3点リンク機構5を介して、作業装置の一例であるロータリ耕耘装置6が昇降可能かつローリング可能に連結されている。これにより、このトラクタ1はロータリ耕耘仕様に構成されている。
なお、トラクタ1の後部には、ロータリ耕耘装置6に代えて、プラウ、播種装置、散布装置、などの作業装置を連結することができる。
【0011】
図1~2に示すように、トラクタ1には、駆動可能で操舵可能な左右の前輪7、駆動可能な左右の後輪8、搭乗式の運転部を形成するキャビン9、コモンレールシステムを有する電子制御式のディーゼルエンジン(以下、エンジンと称する)10、エンジン10からの動力を変速する電子制御式の変速装置11、左右の前輪7を操舵する全油圧式のパワーステアリング機構12、左右の後輪8を制動する左右のサイドブレーキ(図示せず)、左右のサイドブレーキの油圧操作を可能にする電子制御式のブレーキ操作機構13、ロータリ耕耘装置6への伝動を断続する作業クラッチ(図示せず)、作業クラッチの油圧操作を可能にする電子制御式のクラッチ操作機構14、ロータリ耕耘装置6を昇降駆動する電子油圧制御式の昇降駆動機構15、自車(トラクタ)1の自動走行などに関する各種の制御プログラムなどを有する車載電子制御ユニット16、自車1の車速を検出する車速センサ17、前輪7の操舵角を検出する舵角センサ18、および、自車1の現在位置や現在方位などを測定する測位ユニット19、などが備えられている。
なお、エンジン10には、電子ガバナを備えた電子制御式のガソリンエンジンを採用してもよい。変速装置11には、油圧機械式無段変速装置(HMT)、静油圧式無段変速装置(HST)、または、ベルト式無段変速装置、などを採用することができる。パワーステアリング機構12には、電動モータを備えた電動式のパワーステアリング機構などを採用してもよい。
【0012】
図1に示すように、キャビン9の内部には、パワーステアリング機構12を介した左右の前輪7の手動操舵を可能にするステアリングホイール20とユーザ用の座席21とが備えられている。また、図示は省略するが、変速装置11の手動操作を可能にする変速レバー、左右のサイドブレーキの人為操作を可能にする左右のブレーキペダル、および、ロータリ耕耘装置6の手動昇降操作を可能にする昇降レバー、などが備えられている。
【0013】
図2に示すように、車載電子制御ユニット16は、変速装置11の作動を制御する変速制御部16A、左右のサイドブレーキの作動を制御する制動制御部16B、ロータリ耕耘装置6の作動を制御する作業装置制御部16C、自車1の最小旋回半径と作業幅とを含む車体データや予め生成された自動走行用の目標経路Pなどを記憶する不揮発性の車載記憶部16D、および、自動走行時に左右の前輪7の目標操舵角を設定してパワーステアリング機構12に出力する操舵角設定部16E、などを有している。
【0014】
図1~2に示すように、測位ユニット19には、全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)の一例であるGPS(Global Positioning System)を利用して自車1の現在位置と現在方位とを測定する衛星航法装置22、および、3軸のジャイロスコープおよび3方向の加速度センサなどを有して自車1の姿勢や方位などを測定する慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)23、などが備えられている。GPSを利用した測位方法には、DGPS(Differential GPS:相対測位方式)やRTK-GPS(Real Time Kinematic GPS:干渉測位方式)などがあり、本実施形態においては、移動体の測位に適したRTK-GPSが採用されている。そのため、圃場周辺の既知位置には、RTK-GPSによる測位を可能にする基準局24が設置されている。
【0015】
トラクタ1と基準局24とのそれぞれには、GPS衛星25から送信された電波を受信するGPSアンテナ26,27、および、トラクタ1と基準局24との間における測位データを含む各種データの無線通信を可能にする通信モジュール28,29、などが備えられている。これにより、衛星航法装置22は、トラクタ側のGPSアンテナ26がGPS衛星25からの電波を受信して得た測位データと、基地局側のGPSアンテナ27がGPS衛星25からの電波を受信して得た測位データとに基づいて、自車1の現在位置および現在方位を高い精度で測定することができる。また、測位ユニット19は、衛星航法装置22と慣性計測装置23とを備えることにより、自車1の現在位置、現在方位、姿勢角(ヨー角、ロール角、ピッチ角)を高精度に測定することができる。
【0016】
図2に示すように、携帯通信端末3には、液晶パネル4などの作動を制御する各種の制御プログラムなどを有する端末電子制御ユニット30、および、トラクタ側の通信モジュール28との間における各種のデータの無線通信を可能にする通信モジュール31、などが備えられている。
【0017】
端末電子制御ユニット30は、トラクタ側との無線通信などで得た車体データなどを記憶する端末記憶部(記憶部の一例)30A、トラクタ側との無線通信で測位データを取得する測位データ取得部30B、取得した測位データから圃場の大きさと形状とを含む圃場データを取得する圃場データ取得部30C、および、自動走行用の目標経路Pを生成する目標経路生成部30D、などを有している。また、端末電子制御ユニット30は、液晶パネル4のタッチ操作で目標経路生成モードが選択された場合に、目標経路Pを選択させる経路選択部32、目標経路生成用の任意設定データが入力される任意データ入力部33、目標経路Pの生成に関する優先項目を選択させる優先項目選択部34、および、目標経路生成部30Dに目標経路Pの生成を指令する生成指令部35、などを液晶パネル4に表示させる。つまり、本実施形態においては、携帯通信端末3により、トラクタ1を自動走行させるための目標経路Pを生成する目標経路生成システムが構成されている。
【0018】
端末記憶部30Aは、車体データおよび圃場データを目標経路Pの生成に必要な基本データとして記憶する。任意データ入力部33に入力される任意設定データには、圃場での作業領域Aを特定するための作業領域特定地点、自動走行開始地点ps、自動走行終了地点pe、基準作業方向θp、および、旋回方法、などが含まれている。優先項目選択部34で選択される優先項目には、作業面積の最大化、非作業走行距離の最短化、圃場の外周に沿う周回走行経路部P1の適正化、および、重複経路部P0の生成回避が含まれている。
【0019】
目標経路生成部30Dは、液晶パネル4のタッチ操作で目標経路生成モードが選択された場合に目標経路生成制御を実行する。
以下、
図3に示すフローチャートに基づいて、目標経路生成制御での目標経路生成部30Dの制御作動について説明する。
【0020】
目標経路生成制御において、目標経路生成部30Dは、先ず、目標経路生成モードが選択されるのに伴って、測位データ取得部30Bが取得したトラクタ1の現在位置に基づいて、これに該当する圃場データが端末記憶部30Aに記憶されているか否かを確認する圃場データ確認処理(ステップ#1)を行う。
圃場データ確認処理(ステップ#1)にて該当する圃場データが記憶されている場合は、その圃場データと、端末記憶部30Aに記憶された車体データとに基づいて、これらに該当する目標経路Pが端末記憶部30Aに記憶されているか否かを確認する目標経路確認処理(ステップ#2)を行う。
目標経路確認処理(ステップ#2)にて該当する目標経路Pが記憶されている場合は、記憶された目標経路Pを端末記憶部30Aから読み出すとともに、読み出した目標経路Pと前述した経路選択部32とを液晶パネル4に表示させて、読み出した目標経路Pを採用するか否かの選択をユーザに行わせる記憶経路選択処理(ステップ#3)を行う。そして、読み出した目標経路Pの採用がユーザにより選択された場合は目標経路生成制御を終了する。
圃場データ確認処理(ステップ#1)にて該当する圃場データが記憶されていない場合は、圃場データを得るための圃場データ取得走行の実行案内を液晶パネル4に表示させる圃場データ取得案内表示処理(ステップ#4)を行って、ユーザに、トラクタ1を圃場の外周に沿って走行させる圃場データ取得走行を行わせる。また、圃場データ取得走行中にトラクタ1の測位ユニット19が測位した測位データをトラクタ側との無線通信で取得する測位データ取得処理(ステップ#5)を測位データ取得部30Bに行わせる。そして、測位データ取得部30Bが取得した測位データから圃場の大きさや形状を含む圃場データを取得する圃場データ取得処理(ステップ#6)を圃場データ取得部30Cに行わせる。これにより、トラクタ1の現在位置に対応する圃場の圃場データを取得する。
目標経路確認処理(ステップ#2)にて該当する目標経路Pが記憶されていない場合、記憶経路選択処理(ステップ#3)にて読み出した目標経路Pの不採用がユーザにより選択された場合、または、圃場データ取得処理(ステップ#6)にて圃場データを取得した場合においては、前述した任意データ入力部33、優先項目選択部34、および、生成指令部35などを、圃場データに含まれた圃場の形状などとともに液晶パネル4に表示させる操作画面表示処理(ステップ#7)を行う。これにより、目標経路Pの生成に関する任意設定データの入力または優先項目の選択をユーザに行わせる。
操作画面表示処理(ステップ#7)にて、ユーザが、任意データ入力部33での任意設定データの入力を行わずに、優先項目選択部34での優先項目の選択を行った後、生成指令部35での指令操作を行った場合は、前述した車体データと圃場データと選択された優先項目とに基づいて、優先項目に応じた第1目標経路を目標経路Pとして生成する第1目標経路生成処理(ステップ#8)を行う。
操作画面表示処理(ステップ#7)にて、ユーザが、優先項目選択部34での優先項目の選択を行わずに、任意データ入力部33での各任意設定データの入力を行った後、生成指令部35での指令操作を行った場合は、前述した車体データと圃場データと入力された各任意設定データとに基づく第2目標経路を目標経路Pとして生成する第2目標経路生成処理(ステップ#9)を行う。
上記の各目標経路生成処理(ステップ#8~9)による目標経路Pの生成後は、生成した目標経路Pを圃場の形状や前述した経路選択部32などとともに液晶パネル4に表示させて、生成した目標経路Pを採用するか否かの選択をユーザに行わせる生成経路選択処理(ステップ#10)を行う。
生成経路選択処理(ステップ#10)にて、生成した目標経路Pの採用がユーザにより選択された場合は、目標経路生成制御を終了する。
生成経路選択処理(ステップ#10)にて、生成した目標経路Pの不採用がユーザにより選択された場合は、操作画面表示処理(ステップ#7)に戻り、再び、任意データ入力部33での任意設定データの入力または優先項目選択部34での優先項目の選択などをユーザに行わせる。そして、このときの操作画面表示処理(ステップ#7)にて、ユーザが、任意データ入力部33での任意設定データの修正入力または追加入力、あるいは、優先項目選択部34での優先項目の追加選択などの修正操作を行った後、生成指令部35での指令操作を行った場合は、目標経路修正処理(ステップ#11)に移行して、前回生成した目標経路Pを、今回入力された任意設定データまたは今回選択された優先項目に基づいて修正し、その後、生成経路選択処理(ステップ#10)に移行する。
【0021】
次に、
図2、
図4~19に基づいて、目標経路生成部30Dの第1目標経路生成処理または第2目標経路生成処理による目標経路Pの生成について詳述する。
【0022】
目標経路生成部30Dは、第1目標経路生成処理においては、先ず、前述した車体データと圃場データと選択された優先項目とに基づいて、圃場の形状(例えば
図4にて破線で示す圃場の外周形状)に適した作業領域Aを特定するための複数の作業領域特定地点(
図4では4箇所の作業領域特定地点Ap1~Ap4)を自動的に選定して作業領域Aを特定し、選定した各作業領域特定地点Ap1~Ap4と特定した作業領域Aとを圃場の形状などとともに液晶パネル4に表示させてユーザに知らせる(
図4参照)。
なお、作業領域Aを特定する上において、作業領域特定地点の数量を多くすると、圃場の形状に忠実な作業領域Aを特定することはできるが、作業領域Aの特定に要する制御負荷が重くなる。しかも、必ずしも圃場の形状に忠実に特定された作業領域Aが、トラクタ1を自動走行させるための目標経路Pの生成に適しているわけではなく、トラクタ1の作業幅などを考慮して、圃場の形状に対する作業領域Aの適正な簡略化を図れるように作業領域特定地点を選定する必要がある。そのため、選定可能な作業領域特定地点の数量は、制御負荷が過大になることを抑制しながら圃場の形状に適した作業領域Aの特定が可能になるように、所定数量(例えば30箇所)に制限されている。
次に、優先項目などを考慮して基準作業方向θpと自動走行開始地点psと自動走行終了地点peとを自動的に選定し、選定した基準作業方向θpと自動走行開始地点psと自動走行終了地点peとを作業領域Aなどとともに液晶パネル4に表示させてユーザに知らせる(
図4参照)。
そして、特定した作業領域Aと選定した基準作業方向θpと自動走行開始地点psと自動走行終了地点peとに基づいて、優先項目に応じた目標経路Pとして第1目標経路を生成し、生成した第1目標経路を作業領域Aなどとともに液晶パネル4に表示させてユーザに知らせる。
【0023】
目標経路生成部30Dは、ユーザによる任意データ入力部33(
図2参照)でのタッチ操作により、作業領域Aを特定するための作業領域特定地点の入力が選択されて、複数の作業領域特定地点(
図4では4箇所の作業領域特定地点Ap1~Ap4)が任意入力された場合は、任意入力された各作業領域特定地点Ap1~Ap4に基づいて作業領域Aを特定し、任意入力された各作業領域特定地点Ap1~Ap4と特定した作業領域Aとを圃場の形状などとともに液晶パネル4に表示させてユーザに知らせる(
図4参照)。
また、ユーザによる任意データ入力部33でのタッチ操作により、基準作業方向θpの入力が選択されて基準作業方向θpが任意入力された場合は、任意入力された基準作業方向θpを作業領域Aなどとともに液晶パネル4に表示させてユーザに知らせる(
図4参照)。
さらに、ユーザによる任意データ入力部33でのタッチ操作により、自動走行開始地点psおよび自動走行終了地点peの入力が選択されて自動走行開始地点psと自動走行終了地点peとが任意入力された場合は、任意入力された自動走行開始地点psおよび自動走行終了地点peを作業領域Aなどとともに液晶パネル4に表示させてユーザに知らせる(
図4参照)。
そして、ユーザによる生成指令部35(
図2参照)の操作で生成指令部35からの指令を受けた場合に、第2目標経路生成処理により、特定した作業領域Aと、任意入力された基準作業方向θpと自動走行開始地点psと自動走行終了地点peとに基づく目標経路Pとして第2目標経路を生成し、生成した第2目標経路を作業領域Aなどとともに液晶パネル4に表示させてユーザに知らせる。
【0024】
目標経路生成部30Dは、例えば、
図5~6に示すような矩形状の圃場に対する操作画面表示処理でのユーザの操作により、
図5に示すように、圃場の外周縁との間に周回走行経路部(周回走行領域)P1を確保することができる矩形状の作業領域Aを特定するための複数の作業領域特定地点(
図5~6では4箇所の作業領域特定地点Ap1~Ap4)が任意入力され、圃場の出入口に対応するように自動走行開始地点psと自動走行終了地点peとが任意入力され、基準作業方向θpが作業領域Aの短辺に沿う方向に任意入力された状態で、生成指令部35からの指令を受けた場合は、第2目標経路生成処理により、目標経路Pとして
図5に示す第2目標経路を生成する。そして、生成経路選択処理により、生成した第2目標経路を前述した経路選択部32などとともに液晶パネル4に表示させて、生成した第2目標経路を採用するか否かの選択をユーザに行わせる。
図5に示す第2目標経路は、作業領域Aの短辺と同じ長さを有して作業幅に対応する一定距離をあけて平行に配置設定された複数の第1直進作業経路部P2aと、隣接する第1直進作業経路部P2aの終端地点から始端地点にわたる複数の方向転換経路部P3とを有することで、ユーザにより任意入力された自動走行開始地点psから自動走行終了地点peにわたるトラクタ1の自動走行を可能にしている。
【0025】
目標経路生成部30Dは、例えば、
図5~6に示すような矩形状の圃場に対する操作画面表示処理でのユーザの操作により、
図6に示すように、圃場の外周縁との間に周回走行経路部(周回走行領域)P1を確保することができる矩形状の作業領域Aを特定するための複数の作業領域特定地点(
図5~6では4箇所の作業領域特定地点Ap1~Ap4)が任意入力され、圃場の出入口に対応するように自動走行開始地点psと自動走行終了地点peとが任意入力され、基準作業方向θpが作業領域Aの長辺に沿う方向に任意入力された状態で、生成指令部35からの指令を受けた場合は、第2目標経路生成処理により、目標経路Pとして
図6に示す第2目標経路を生成する。そして、生成経路選択処理により、生成した第2目標経路を前述した経路選択部32などとともに液晶パネル4に表示させて、生成した第2目標経路を採用するか否かの選択をユーザに行わせる。
図6に示す第2目標経路は、作業領域Aの長辺と同じ長さを有して作業幅に対応する一定距離をあけて平行に配置設定された複数の第2直進作業経路部P2bと、隣接する第2直進作業経路部P2bの終端地点から始端地点にわたる複数の方向転換経路部P3とを有することで、ユーザにより任意入力された自動走行開始地点psから自動走行終了地点peにわたるトラクタ1の自動走行を可能にしている。
そして、
図6に示す第2目標経路は、
図5に示す第2目標経路よりも方向転換経路部P3の数量が少なくなってトラクタ1の走行距離が短くなることで、燃料消費量の削減や作業時間の短縮などを図ることができる。また、目標経路Pを構成する経路部数量が少なくなることで、目標経路Pの生成に要する負荷の軽減を図ることができる。
【0026】
目標経路生成部30Dは、例えば、
図5~6に示すような矩形状の圃場に対する操作画面表示処理でのユーザの操作により、優先項目として周回走行経路部P1の適正化が選択された状態で、生成指令部35からの指令を受けた場合は、
図5~6に示すように、第1目標経路生成処理により、圃場の外周縁との間に周回走行経路部(周回走行領域)P1を確保することができる矩形状の作業領域Aが得られるように、複数の作業領域特定地点(
図5~6では4箇所の作業領域特定地点Ap1~Ap4)、自動走行開始地点ps、自動走行終了地点pe、などを自動的に特定して、周回走行経路部P1の適正化に応じた目標経路Pとして
図5~6に示す2系統の第1目標経路を生成する。そして、生成経路選択処理により、生成した2系統の第1目標経路を前述した経路選択部32などとともに液晶パネル4に表示させて、生成した2系統の第1目標経路に対して採用するか否かの選択をユーザに行わせる。
図5に示す第1目標経路は、前述した複数の第1直進作業経路部P2aと複数の方向転換経路部P3とを有することで、目標経路生成部30Dが特定した自動走行開始地点psから自動走行終了地点peにわたるトラクタ1の自動走行を可能にしている。
図6に示す第1目標経路は、前述した複数の第2直進作業経路部P2bと複数の方向転換経路部P3とを有することで、目標経路生成部30Dが特定した自動走行開始地点psから自動走行終了地点peにわたるトラクタ1の自動走行を可能にしている。
この場合、ユーザは、2系統の第1目標経路に対して目標経路Pとして採用するか否かの選択を経路選択部32にて行える。そして、これらの第1目標経路のいずれかを目標経路Pとして選択した場合は、圃場中央側の作業領域Aにおいてトラクタ1の自動走行による耕耘作業が行われた後に、その周囲に残る未作業領域からなる周回走行経路部P1の横幅を、作業幅の整数倍と同じまたは略同じにすることができる。その結果、トラクタ1の手動運転または自動走行によるトラクタ1の周回作業走行が行い易くなる。
ここで、
図5~6に示す第1目標経路に対して、例えば、圃場におけるトラクタ1の出入口との関係から、ユーザが、自動走行開始地点psと自動走行終了地点peとの位置の入れ換えを望む場合は、経路選択部32にて
図5~6に示す第1目標経路の不採用を選択した上で、自動走行開始地点psと自動走行終了地点peとの位置を入れ換えるための任意設定データの入力修正を行った後に、生成指令部35での指令操作を行えば、それに基づく目標経路生成部30Dの目標経路修正処理により、
図5~6に示す第1目標経路において自動走行開始地点psと自動走行終了地点peとの位置が入れ換えられた第1目標経路を生成することができる。
【0027】
目標経路生成部30Dは、例えば、
図5~6に示すような矩形状の圃場に対する操作画面表示処理でのユーザの操作により、優先項目として作業面積の最大化と周回走行経路部の適正化とが選択された状態で、生成指令部35からの指令を受けた場合にも、第1目標経路生成処理により、目標経路Pとして
図5~6に示す2系統の第1目標経路を生成する。そして、生成経路選択処理により、生成した2系統の第1目標経路を前述した経路選択部32などとともに液晶パネル4に表示させて、生成した2系統の第1目標経路に対して採用するか否かの選択をユーザに行わせる。
【0028】
目標経路生成部30Dは、例えば、
図5~6に示すような矩形状の圃場に対する操作画面表示処理でのユーザの操作により、優先項目として非作業走行距離の最短化と周回走行経路部の適正化とが選択された状態で、生成指令部35からの指令を受けた場合は、
図6に示すように、第1目標経路生成処理により、圃場の外周縁との間に周回走行経路部(周回走行領域)P1を確保することができる矩形状の作業領域Aが得られるとともに、自動走行距離に含まれる非作業走行距離が最短になるように、複数の作業領域特定地点(
図5~6では4箇所の作業領域特定地点Ap1~Ap4)、自動走行開始地点ps、自動走行終了地点pe、基準作業方向θp、などを自動的に特定して、目標経路Pとして
図6に示す第1目標経路を生成する。そして、生成経路選択処理により、生成した第1目標経路を前述した経路選択部32などとともに液晶パネル4に表示させて、生成した第1目標経路を採用するか否かの選択をユーザに行わせる。
図6に示す第1目標経路は、前述した複数の第2直進作業経路部P2bと複数の方向転換経路部P3とを有することで、目標経路生成部30Dが特定した自動走行開始地点psから自動走行終了地点peにわたるトラクタ1の自動走行を可能にしている。
この場合、
図6に示す第1目標経路は、
図5に示す第1目標経路よりも方向転換経路部P3の数量を少なくすることで、非作業走行距離の最短化が図られている。また、圃場中央側の作業領域Aにおいてトラクタ1の自動走行による耕耘作業を行われた後は、その周囲に残る未作業領域からなる周回走行経路部P1の横幅を、作業幅の整数倍と同じまたは略同じにすることができる。その結果、非作業走行距離の短縮による燃料消費量の削減や作業時間の短縮などが可能になるとともに、トラクタ1の手動運転または自動走行によるトラクタ1の周回作業走行が行い易くなる。
【0029】
目標経路生成部30Dは、例えば、
図5~6に示すような矩形状の圃場に対する操作画面表示処理でのユーザの操作により、優先項目として作業面積の最大化と非作業走行距離の最短化と周回走行経路部の適正化とが選択された状態で、生成指令部35からの指令を受けた場合にも、第1目標経路生成処理により、目標経路Pとして
図6に示す第1目標経路を生成する。そして、生成経路選択処理により、生成した第1目標経路を前述した経路選択部32などとともに液晶パネル4に表示させて、生成した第1目標経路を採用するか否かの選択をユーザに行わせる。
【0030】
目標経路生成部30Dは、例えば、
図7~8に示す張出部36を有する凹形状の圃場に対する操作画面表示処理でのユーザの操作により、
図7に示すように、作業領域Aが最大になるように作業領域Aを圃場の外周縁に略沿った凹形状に特定するための複数の作業領域特定地点(
図7では8箇所の作業領域特定地点Ap1~Ap4)が任意入力され、圃場の出入口に対応するように自動走行開始地点psと自動走行終了地点peとが任意入力され、基準作業方向θpが作業領域Aの長辺に沿う方向に任意入力された状態で、生成指令部35からの指令を受けた場合は、第2目標経路生成処理により、目標経路Pとして
図7に示す第2目標経路を生成する。そして、生成経路選択処理により、生成した第2目標経路を前述した経路選択部32などとともに液晶パネル4に表示させて、生成した第2目標経路を採用するか否かの選択をユーザに行わせる。
図7に示す第2目標経路は、前述した複数の第2直進作業経路部P2bと、耕耘作業を中断して張出部36を迂回する迂回経路部分Paを備えて最終の第2直進作業経路部P2bに隣接する迂回作業経路部P4と、隣接する第2直進作業経路部P2bおよび迂回作業経路部P4の終端地点から始端地点にわたる複数の方向転換経路部P3とを有することで、ユーザにより任意入力された自動走行開始地点psから自動走行終了地点peにわたるトラクタ1の自動走行を可能にしている。
この場合、最終の第2直進作業経路部P2bにおいては、迂回経路部分Paに隣接する経路部分が、トラクタ1が迂回経路部分Paを自動走行するときに踏み荒らされることで未作業部分Pbとなり、これにより、最終的な作業面積が狭くなる。
【0031】
目標経路生成部30Dは、例えば、
図7~8に示す張出部36を有する凹形状の圃場に対する操作画面表示処理でのユーザの操作により、優先項目として作業面積の最大化が選択された状態で、生成指令部35からの指令を受けた場合は、第1目標経路生成処理により、先ず、
図7に示す迂回作業経路部P4の有無によって生じる作業面積の差を求める。 そして、迂回作業経路部P4を有することで作業面積が広くなる場合には、
図7に示すように、迂回作業経路部P4の生成が可能な圃場の外周縁に略沿った凹形状の広い作業領域Aが得られるように、複数の作業領域特定地点(
図7では8箇所の作業領域特定地点Ap1~Ap8)、自動走行開始地点ps、自動走行終了地点pe、基準作業方向θp、などを自動的に特定して、目標経路Pとして
図7に示す第1目標経路を生成する。そして、生成経路選択処理により、生成した第1目標経路を前述した経路選択部32などとともに液晶パネル4に表示させて、生成した第1目標経路を採用するか否かの選択をユーザに行わせる。
逆に、迂回作業経路部P4を有することで作業面積が狭くなる場合には、
図8に示すように、迂回作業経路部P4が生成されない矩形状の狭い作業領域Aが得られるように、複数の作業領域特定地点(
図8では4箇所の作業領域特定地点Ap1~Ap4)、自動走行開始地点ps、自動走行終了地点pe、基準作業方向θp、などを自動的に特定して、目標経路Pとして
図8に示す第1目標経路を生成する。そして、生成経路選択処理により、生成した第1目標経路を前述した経路選択部32などとともに液晶パネル4に表示させて、生成した第1目標経路を採用するか否かの選択をユーザに行わせる。
図7に示す第1目標経路は、前述した複数の第2直進作業経路部P2bと迂回作業経路部P4と複数の方向転換経路部P3とを有することで、目標経路生成部30Dが特定した自動走行開始地点psから自動走行終了地点peにわたるトラクタ1の自動走行を可能にしている。
図8に示す第1目標経路は、前述した複数の第2直進作業経路部P2bと複数の方向転換経路部P3とを有することで、目標経路生成部30Dが特定した自動走行開始地点psから自動走行終了地点peにわたるトラクタ1の自動走行を可能にしている。
【0032】
目標経路生成部30Dは、例えば、
図7~8に示す張出部36を有する凹形状の圃場に対する操作画面表示処理でのユーザの操作により、優先項目として非作業走行距離の最短化が選択された状態で、生成指令部35からの指令を受けた場合は、第1目標経路生成処理により、目標経路Pとして
図8に示す迂回作業経路部P4を含まない第1目標経路を生成する。そして、生成経路選択処理により、生成した第1目標経路を前述した経路選択部32などとともに液晶パネル4に表示させて、生成した第1目標経路を採用するか否かの選択をユーザに行わせる。
【0033】
つまり、目標経路生成部30Dは、
図7~8に示すような張出部36を有する凹形状の圃場に対して、第1目標経路生成処理による第1目標経路(目標経路P)の生成を行う場合には、作業領域Aを特定する段階において、迂回作業経路部P4が必要な凹形状の広い作業領域A(
図7参照)を特定することが得策か、迂回作業経路部P4が不要な矩形状の狭い作業領域A(
図8参照)を特定することが得策かを判断し、凹形状の広い作業領域Aを特定することが得策である場合は、その特定に必要な多数の作業領域特定地点(
図7では8箇所の作業領域特定地点Ap1~Ap8)を選定した上で、前述したように第1目標経路を生成する。逆に、矩形状の狭い作業領域Aを特定することが得策である場合は、その特定に必要な少数の作業領域特定地点(
図8では4箇所の作業領域特定地点Ap1~Ap4)を選定した上で、前述したように第1目標経路を生成する。
【0034】
目標経路生成部30Dは、例えば、
図9~12に示す張出部37を有する略矩形状の圃場に対する操作画面表示処理でのユーザの操作により、優先項目として周回走行経路部の適正化が選択された状態で、生成指令部35からの指令を受けた場合は、第1目標経路生成処理により、圃場の外周縁との間に周回走行経路部(周回走行領域)P1を確保することができる矩形状の作業領域Aが得られるように、複数の作業領域特定地点(
図9~12では4箇所の作業領域特定地点Ap1~Ap4)、自動走行開始地点ps、自動走行終了地点pe、などを自動的に特定して、周回走行経路部P1の適正化に応じた目標経路Pとして
図9に示す第1目標経路などを生成する。そして、生成経路選択処理により、生成した第1目標経路を前述した経路選択部32などとともに液晶パネル4に表示させて、生成した第1目標経路を採用するか否かの選択をユーザに行わせる。
ここで、
図9に示す第1目標経路に対して、例えば、圃場におけるトラクタ1の出入口との関係から、ユーザが、自動走行終了地点peの
図9に示す位置から
図10~12に示す位置への変更を望む場合は、経路選択部32にて
図9に示す第1目標経路などの不採用を選択した上で、基準作業方向θpを作業領域Aの短辺に沿う方向に特定し、自動走行終了地点peの位置を
図10~12に示す位置に変更するための任意設定データの入力修正を行った後に、生成指令部35での指令操作を行えば、それに基づく目標経路生成部30Dの目標経路修正処理により、変更後の自動走行終了地点peに応じた第1目標経路として、例えば
図10~12に示す3系統の第1目標経路を生成することができる。
図10に示す第1目標経路は、前述した複数の第1直進作業経路部P2aと、張出部37を迂回する迂回経路部分Paを備えて最終の第1直進作業経路部P2aに隣接する迂回移動経路部P5と、隣接する第1直進作業経路部P2aおよび迂回移動経路部P5の終端地点から始端地点にわたる複数の方向転換経路部P3とを有することで、目標経路生成部30Dが特定した自動走行開始地点psからユーザにより修正入力された自動走行終了地点peにわたるトラクタ1の自動走行を可能にしている。
図11に示す第1目標経路は、前述した複数の第1直進作業経路部P2aと、隣接する第1直進作業経路部P2aの終端地点から始端地点にわたる複数の方向転換経路部P3と、最終の第1直進作業経路部P2aの終端地点から自動走行終了地点peにわたる周回走行経路部P1とを有することで、目標経路生成部30Dが特定した自動走行開始地点psからユーザにより修正入力された自動走行終了地点peにわたるトラクタ1の自動走行を可能にしている。
図12に示す第1目標経路は、前述した複数の第1直進作業経路部P2aと、隣接する第1直進作業経路部P2aの終端地点から始端地点にわたる複数の方向転換経路部P3と、最終の第1直進作業経路部P2aの終端地点から最終の第1直進作業経路部P2aに隣接する最終直前の第1直進作業経路部P2aの始端地点にわたる単一の戻り方向転換経路部P6と、最終直前の第1直進作業経路部P2aの終端地点から自動走行終了地点peにわたる移動経路部P7とを有することで、最終直前の第1直進作業経路部P2aにおいては1回目の移動走行と2回目の作業走行とが行われる経路設定で、目標経路生成部30Dが特定した自動走行開始地点psからユーザにより修正入力された自動走行終了地点peにわたるトラクタ1の自動走行を可能にしている。
この場合、ユーザは、目標経路生成部30Dの生成経路選択処理により、3系統の第1目標経路に対して目標経路Pとして採用するか否かの選択を経路選択部32にて行える。
図10に示す第1目標経路を目標経路Pとして選択した場合は、目標経路Pでの非作業走行距離が比較的短くなることで、非作業走行距離の短縮による燃料消費量の削減や作業時間の短縮などを図ることができる。その反面、最終の第1直進作業経路部P2aにおいては、迂回経路部分Paに隣接する経路部位が、トラクタ1が迂回経路部分Paを自動走行するときに踏み荒らされることで未作業部分Pbとなり、これにより、最終的な作業面積が狭くなる。
図11に示す第1目標経路を目標経路Pとして選択した場合は、作業領域Aの全域にわたって作業を行える上に、トラクタ1が目標経路Pの重複する同一経路部分を複数回走行する重複走行により、その経路部分が踏み固められて作業が行い難くなる、といった不具合の発生を回避することができる。その反面、周回走行経路部P1を有することで、目標経路Pでの非作業走行距離が長くなり、これにより、燃料消費量が多くなるとともに作業時間が長くなる。
図12に示す第1目標経路を目標経路Pとして選択した場合は、作業領域Aの全域にわたって作業を行える上に、目標経路Pでの非作業走行距離が短くなることで、非作業走行距離の短縮による燃料消費量の削減や作業時間の短縮などを図ることができる。その反面、トラクタ1が最終直前の第1直進作業経路部P2aを2回走行する重複走行により、その最終直前の第1直進作業経路部P2aが踏み固められて作業が行い難くなる、といった不具合を招く虞がある。
【0035】
目標経路生成部30Dは、例えば、
図9~12に示す張出部37を有する略矩形状の圃場に対する操作画面表示処理でのユーザの手動操作により、
図10に示すように、作業領域Aを圃場の形状とは異なる矩形状に特定するための複数の作業領域特定地点(
図10では4箇所の作業領域特定地点Ap1~Ap4)が任意入力され、圃場の出入口に対応するように自動走行開始地点psと自動走行終了地点peとが任意入力され、基準作業方向θpが作業領域Aの短辺に沿う方向に任意入力された状態で、生成指令部35からの指令を受けた場合は、第2目標経路生成処理により、目標経路Pとして
図10に示す第2目標経路を生成する。そして、生成経路選択処理により、生成した第2目標経路を前述した経路選択部32などとともに液晶パネル4に表示させて、生成した第2目標経路を採用するか否かの選択をユーザに行わせる。
ここで、
図10に示す第2目標経路に対して、例えば、ユーザが最終の第1直進作業経路部P2aにおける未作業部分Pbの発生に不満を感じた場合は、経路選択部32にて
図10に示す第2目標経路の不採用を選択した上で、修正用の優先項目として作業面積の最大化を選択した後に、生成指令部35での指令操作を行えば、それに基づく目標経路生成部30Dの目標経路修正処理により、作業面積の最大化に基づく修正後の第2目標経路として、例えば
図11~12に示す2系統の第2目標経路を生成することができる。
また、上記のように
図10に示す第2目標経路に対して不満を感じた場合に、例えば、経路選択部32にて
図10に示す第2目標経路の不採用を選択した上で、修正用の優先項目として作業面積の最大化と重複経路部P0の生成回避とを選択した後に、生成指令部35での指令操作を行えば、それに基づく目標経路生成部30Dの目標経路修正処理により、作業面積の最大化と重複経路部P0の生成回避とに基づく修正後の第2目標経路として、例えば
図11に示す第2目標経路を生成することができる。
さらに、上記のように
図10に示す第2目標経路に対して不満を感じた場合に、例えば、経路選択部32にて
図10に示す第2目標経路の不採用を選択した上で、修正用の優先項目として作業面積の最大化と非作業走行距離の最短化とを選択した後に、生成指令部35での指令操作を行えば、それに基づく目標経路生成部30Dの目標経路修正処理により、作業面積の最大化と非作業走行距離の最短化とに基づく修正後の第2目標経路として、例えば
図12に示す第2目標経路を生成することができる。
【0036】
目標経路生成部30Dは、例えば、
図13~15に示す張出部38を有する凹形状の圃場に対する操作画面表示処理でのユーザの操作により、
図13に示すように、作業領域Aを圃場の形状に類似する凹形状に特定するための複数の作業領域特定地点(
図13では8箇所の作業領域特定地点Ap1~Ap8)が任意入力され、圃場の出入口に対応するように自動走行開始地点psと自動走行終了地点peとが任意入力され、基準作業方向θpが作業領域Aの長辺に沿う方向に任意入力された状態で、生成指令部35からの指令を受けた場合は、第2目標経路生成処理により、目標経路Pとして
図13に示す第2目標経路を生成する。そして、生成経路選択処理により、生成した第2目標経路を前述した経路選択部32などとともに液晶パネル4に表示させて、生成した第2目標経路を採用するか否かの選択をユーザに行わせる。
図13に示す第2目標経路は、前述した複数の第2直進作業経路部P2bと、張出部38を迂回する共通の迂回経路部分Paを有する2本の迂回作業経路部P4と、隣接する第1直進作業経路部P2aおよび迂回作業経路部P4の終端地点から始端地点にわたる複数の方向転換経路部P3とを有することで、ユーザにより任意入力された自動走行開始地点psから自動走行終了地点peにわたるトラクタ1の自動走行を可能にしている。
この場合、共通の迂回経路部分Paは、トラクタ1の自動走行においてトラクタ1が重複走行する重複経路部P0となり、これにより、迂回経路部分Paが、トラクタ1の重複走行で踏み固められて作業が行い難くなる、といった不具合を招く虞がある。
【0037】
目標経路生成部30Dは、例えば、
図13~15に示す張出部38を有する凹形状の圃場に対する操作画面表示処理でのユーザの操作により、優先項目として周回走行経路部の適正化が選択された状態で、生成指令部35からの指令を受けた場合は、第1目標経路生成処理により、圃場の外周縁との間に周回走行経路部(周回走行領域)P1を確保することができる凹形状の作業領域Aが得られるように、複数の作業領域特定地点(
図13~14では8箇所の作業領域特定地点Ap1~Ap8、
図15では9箇所の作業領域特定地点Ap1~Ap9)、自動走行開始地点ps、自動走行終了地点pe、などを自動的に特定して、周回走行経路部P1の適正化に応じた目標経路Pとして
図13に示す第1目標経路などを生成する。そして、生成経路選択処理により、生成した第1目標経路を前述した経路選択部32などとともに液晶パネル4に表示させて、生成した第1目標経路を採用するか否かの選択をユーザに行わせる。
ここで、
図13に示す第1目標経路に対して、例えば、ユーザが重複経路部P0の存在に不満を感じた場合は、経路選択部32にて
図13に示す第1目標経路などの不採用を選択した上で、修正用の優先項目として重複経路部P0の生成回避を選択した後に、生成指令部35での指令操作を行えば、それに基づく目標経路生成部30Dの目標経路修正処理により、重複経路部P0の生成回避に基づく修正後の第1目標経路として、例えば
図14~15に示す2系統の第1目標経路を生成することができる。
目標経路生成部30Dは、
図15に示す第1目標経路を生成する上において、9箇所の作業領域特定地点Ap1~Ap9を選定して、凹形状の作業領域Aを、領域の広いL字形状の第1領域A1と領域の狭い矩形状の第2領域A2との2つに自動的に区画し、第1領域A1および第2領域A2における走行開始地点と走行終了地点とを自動的に特定する。
図14に示す第1目標経路は、前述した複数の第2直進作業経路部P2bと、張出部38を迂回する迂回経路部分Paを備えた2本の迂回作業経路部P4と、隣接する第1直進作業経路部P2aおよび迂回作業経路部P4の終端地点から始端地点にわたる複数の方向転換経路部P3とを有することで、目標経路生成部30Dが特定した自動走行開始地点psから自動走行終了地点peにわたるトラクタ1の自動走行を可能にしている。つまり、
図14に示す第1目標経路は、2本の迂回作業経路部P4を有することで、
図13に示す第1目標経路では生成されていたトラクタ1が重複走行する重複経路部P0がなくなり、これにより、その重複経路部P0が踏み固められて作業が行い難くなる、といった不具合の発生を回避することができる。
図15に示す第1目標経路は、第1領域A1の広域部に生成される前述した複数の第2直進作業経路部P2bと、第2直進作業経路部P2bと同様の配置設定で第1領域A1の狭域部に生成される複数の第3直進作業経路部P2cと、第2直進作業経路部P2bと同様の配置設定で第2領域A2に生成される第4直進作業経路部P2dと、隣接する第1直進作業経路部P2a~第4直進作業経路部P2dの終端地点から始端地点にわたる複数の方向転換経路部P3と、張出部38を迂回する迂回経路部分Paを備えて第1領域A1での走行終端地点から第2領域A2での走行開始地点にわたる単一の迂回移動経路部P8とを有することで、目標経路生成部30Dが特定した自動走行開始地点psから自動走行終了地点peにわたるトラクタ1の自動走行を可能にしている。つまり、
図15に示す第1目標経路は、単一の迂回移動経路部P8を有することで、
図13に示す第1目標経路では生成されていたトラクタ1が重複走行する重複経路部P0がなくなり、これにより、その重複経路部P0が踏み固められて作業が行い難くなる、といった不具合の発生を回避することができる。
【0038】
目標経路生成部30Dは、例えば、
図16~17に示すような台形状の圃場に対する操作画面表示処理でのユーザの操作により、
図16に示すように、作業領域Aを圃場の形状とは異なる矩形状に特定するための複数の作業領域特定地点(
図16では4箇所の作業領域特定地点Ap1~Ap4)が任意入力され、圃場の出入口に対応するように自動走行開始地点psと自動走行終了地点peとが任意入力され、基準作業方向θpが作業領域Aの長辺に沿う方向に任意設定された状態で、生成指令部35からの指令を受けた場合は、第2目標経路生成処理により、目標経路Pとして
図16に示す第2目標経路を生成する。
図16に示す第2目標経路は、前述した複数の第2直進作業経路部P2bと、隣接する第2直進作業経路部P2bの終端地点から始端地点にわたる複数の方向転換経路部P3とを有することで、ユーザにより任意入力された自動走行開始地点psから自動走行終了地点peにわたるトラクタ1の自動走行を可能にしている。
【0039】
目標経路生成部30Dは、例えば、
図16~17に示すような台形状の圃場に対する操作画面表示処理でのユーザの操作により、
図17に示すように、優先項目として周回走行経路部P1の適正化が選択された状態で、生成指令部35からの指令を受けた場合は、第1目標経路生成処理により、圃場の外周縁との間に周回走行経路部(周回走行領域)P1を確保することができる台形状の作業領域Aが得られるように、複数の作業領域特定地点(
図17では4箇所の作業領域特定地点Ap1~Ap4)、自動走行終了地点pe、作業幅、などを自動的に特定して、目標経路Pとして
図17に示す第1目標経路を生成する。
図17に示す第1目標経路は、前述した複数の第2直進作業経路部P2bと、隣接する第2直進作業経路部P2bの終端地点から始端地点にわたる複数の方向転換経路部P3とを有することで、目標経路生成部30Dが特定した自動走行開始地点psから自動走行終了地点peにわたるトラクタ1の自動走行を可能にしている。
図17に示す第1目標経路における複数の第2直進作業経路部P2bは、トラクタ1が第2直進作業経路部P2bを自動走行するときに、作業幅の重複量が台形状の作業領域Aに応じて徐々に変化するように、各第2直進作業経路部P2bの方位が、作業領域Aが台形状であることに基づいて、基準作業方向θpに対して異なる調整角θaを有するように設定されている。
これにより、圃場中央側の作業領域Aにおいてトラクタ1の自動走行による耕耘作業が行われた後は、その周囲に残る未作業領域からなる周回走行経路部P1の横幅を、作業幅の整数倍と同じまたは略同じにすることができる。その結果、トラクタ1の手動運転または自動走行によるトラクタ1の周回作業走行が行い易くなる。
【0040】
目標経路生成部30Dは、例えば、操作画面表示処理でのユーザの操作により、旋回方法として、最小旋回半径が作業幅の半分以下の場合に適用される通常の
図18に示すU字旋回ではなく、最小旋回半径が作業幅の半分よりも大きい場合に適用されるスイッチバックを利用した
図19に示すスイッチバック旋回が任意入力された状態において、第2目標経路生成処理により、目標経路Pとして、
図19に示すスイッチバック旋回用の第2方向転換経路部P3bを有する第2目標経路を生成した後に、修正用の優先項目として作業面積の最大化が選択された状態で生成指令部35からの指令を受けた場合は、目標経路修正処理により、先ず、車体データに含まれているトラクタ1の最小旋回半径と作業幅とからスイッチバック旋回の採用が適切か否かを判別する。そして、スイッチバック旋回の採用が適切な場合は、任意入力されたスイッチバック旋回を適用して、前述した方向転換経路部P3を
図19に示すスイッチバック旋回用の第2方向転換経路部P3bに生成する。また、スイッチバック旋回の採用が不適切な場合は、旋回方法を、任意入力されたスイッチバック旋回からU字旋回に変更して、前述した方向転換経路部P3を
図18に示すU字旋回用の第1方向転換経路部P3aに生成する。そして、この旋回方法の変更により、作業幅よりも長いスイッチバック経路部Pcを有するスイッチバック旋回を採用するために圃場において確保する必要があった畦際の非作業領域A3を無くすことができ、これにより、作業面積の最大化を図ることができる。
【0041】
図示は省略するが、目標経路生成部30Dは、複数の目標経路Pを生成した場合に、それらの目標経路Pに基づく作業面積や非作業走行距離などの差を求める演算処理を行い、この演算処理で得た作業面積や非作業走行距離などの差を、生成した複数の目標経路Pとともに液晶パネル4に表示させてユーザに知らせる差分表示処理を行う。
これにより、ユーザは、目標経路生成部30Dが複数の目標経路Pを生成した場合に、それらの差を容易に視認することができ、より自身の価値観などに適した目標経路Pを容易に選択することができる。
【0042】
目標経路生成部30Dは、生成した目標経路Pを、車体データおよび圃場データなどと関連付けた経路データとして端末記憶部30Aに記憶させる。
これにより、目標経路生成部30Dは、測位データ取得部30Bが取得したトラクタ1の現在位置に基づく前述した圃場データ確認処理と、その圃場データと車体データとに基づく前述した目標経路確認処理とを行うことができる。
【0043】
図示は省略するが、目標経路生成部30Dは、操作画面表示処理でのユーザの操作によって入力された任意設定データが不適切なために任意設定データに基づく目標経路Pの生成が不可能な場合は、目標経路Pの生成が不可能であることと、その要因とを液晶パネル4に表示させてユーザに知らせるエラー表示処理と、その解決策を液晶パネル4に表示させてユーザに提案する解決策表示処理とを行う。
例えば、操作画面表示処理でのユーザの操作によって入力された複数の作業領域特定地点から特定した作業領域Aが狭すぎて目標経路Pの生成が不可能な場合は、先ず、エラー表示処理において、「目標経路生成エラー」と「作業領域が狭すぎるため、目標経路が生成されませんでした。」などのエラーメッセージを液晶パネル4に表示させてユーザに知らせる。その後、解決策表示処理において、作業対象の圃場の形状と、この圃場の形状に対して適正な作業領域Aと、この適正な作業領域Aへの設定変更を確認するためのメッセージなどを液晶パネル4に表示させてユーザに知らせる。
例えば、操作画面表示処理でのユーザの操作によって入力された複数の作業領域特定地点から特定した作業領域Aの形状が複雑すぎて目標経路Pの生成が不可能な場合は、先ず、エラー表示処理において、「目標経路生成エラー」と「作業領域が複雑すぎるため、目標経路が生成されませんでした。」などのエラーメッセージを液晶パネル4に表示させてユーザに知らせる。その後、解決策表示処理において、作業対象の圃場の形状と、この圃場の形状に対して適正に簡略化された作業領域Aと、この簡略化された作業領域Aへの設定変更を確認するためのメッセージなどを液晶パネル4に表示させてユーザに知らせる。
例えば、操作画面表示処理でのユーザの操作によって入力された基準作業方向θpが不適切で目標経路Pの生成が不可能な場合は、先ず、エラー表示処理において、「目標経路生成エラー」と「基準作業方向が不適切なため、目標経路が生成されませんでした。」などのエラーメッセージを液晶パネル4に表示させてユーザに知らせる。その後、解決策表示処理において、作業対象の圃場の形状と、この圃場の形状に対して適正な基準作業方向θpと、この適正な基準作業方向θpへの設定変更を確認するためのメッセージなどを液晶パネル4に表示させてユーザに知らせる。
【0044】
以上の点から、この目標経路生成システムによると、ユーザは、自動走行用の目標経路Pを生成する場合に、任意データ入力部33において、目標経路Pの生成に必要な任意設定データの全てを任意に入力する通常操作と、優先項目選択部34において、自身の価値観などに応じた優先項目の選択操作を行う簡易操作とを選択することができる。
これにより、ユーザが任意設定データの入力操作に慣れている場合は、通常操作を行うことにより、自身の価値観などに基づく目標経路P(第2目標経路)を得ることができる。また、ユーザが任意設定データの入力操作が苦手な場合は、簡易操作を行うことにより、自身の価値観などに適した目標経路P(第1目標経路)を手間なく得ることができる。そして、ユーザが、生成された目標経路Pに対して不満を感じた場合は、その不満を解消するための修正操作として、任意データ入力部33での任意設定データの修正入力または追加入力、あるいは、優先項目選択部34での優先項目の追加選択などを行うことにより、不満が解消された目標経路Pを得ることができる。
【0045】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。
なお、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0046】
(1)作業車両用の目標経路生成システムは、作業車両1に含まれていてもよい。
【0047】
(2)作業車両1の構成は種々の変更が可能である。
例えば、作業車両1は、エンジン10と走行用の電動モータとを備えるハイブリット仕様に構成されていてもよく、また、エンジン10に代えて走行用の電動モータを備える電動仕様に構成されていてもよい。
例えば、作業車両1は、左右の後輪8が操舵輪として機能する後輪ステアリング仕様に構成されていてもよい。
例えば、作業車両1は、左右の後輪8に代えて左右のクローラを備えるセミクローラ仕様に構成されていてもよい。
例えば、作業車両1は、左右の前輪7と左右の後輪8とに代えて左右のクローラを備えるフルクローラ仕様に構成されていてもよい。
【0048】
(3)目標経路生成部30Dは、目標経路Pとして任意設定データに基づく第2目標経路を生成するときに、優先項目に基づく第1目標経路を自動的に生成し、表示部4において、第2目標経路と第1目標経路とを表示させるとともに、第2目標経路と第1目標経路との優先項目に基づく差を表示させるように構成されていてもよい。
【0049】
(4)目標経路生成部30Dは、目標経路Pとして選択された優先項目に基づく第1目標経路を生成するときに、他の優先項目に基づく第1目標経路を自動的に生成し、表示部4において、それらの第1目標経路を表示させるとともに、それらの第1目標経路における優先項目に基づく差を表示させるように構成されていてもよい。
【0050】
(5)優先項目選択部34は、前述した優先項目として、燃料消費量の削減、作業時間の短縮、または、目標経路Pにおける各経路部数量の削減、などを有するように構成されていてもよい。
【0051】
(6)経路選択部32、任意データ入力部33、優先項目選択部34は、例えばキースイッチを備えたキーボードなどで構成されていてもよい。
【0052】
<発明の付記>
第1構成は、作業車両用の目標経路生成システムにおいて、
自動走行用の目標経路を生成するのに必要な基本データを記憶する記憶部と、
前記目標経路の生成に関する優先項目を選択させる優先項目選択部と、
前記基本データと選択された優先項目とに基づいて前記目標経路を生成する目標経路生成部と、
を有している点にある。
【0053】
本構成によれば、ユーザが優先項目選択部において自身の価値観などに応じた優先項目の選択操作を行うと、目標経路生成部が、記憶部に記憶された基本データと、ユーザにより選択された優先項目とに基づいて、ユーザの価値観などに適した目標経路を生成する。
これにより、ユーザは、例えば、複数の作業領域特定地点、作業開始位置、作業開始方向、作業終了位置などの目標経路の生成に必要な任意設定データを入力しなくても、自身の価値観などに応じた優先項目の選択操作を行うだけで、自身の価値観などに適した目標経路を得ることができる。
つまり、ユーザに任意設定データの入力を強いることなく、ユーザの価値観などに適した自動走行用の目標経路を生成することができ、自動走行による作業の有益化を図ることができる。
【0054】
第2構成は、
前記目標経路生成部が複数の前記目標経路を生成した場合に、それら複数の前記目標経路から択一的に選択させる経路選択部を有している点にある。
【0055】
本構成によれば、例えば、目標経路生成部が複数の目標経路を生成した場合には、ユーザは、複数の目標経路から、より自身の価値観などに適した自動走行用の目標経路を選択することができ、自動走行による作業の有益化をより効果的に図ることができる。
【0056】
第3構成は、
前記目標経路生成部は、1つの前記優先項目に対して複数の前記目標経路を生成する点にある。
【0057】
本構成によれば、例えば、ユーザが優先項目選択部において自身の価値観などに応じた単一の優先項目を選択した場合であっても、その優先項目に応じた複数の目標経路が目標経路生成部によって生成されることから、ユーザは、選択した単一の優先項目に応じた複数の目標経路から、より自身の価値観などに適した自動走行用の目標経路を選択することができ、自動走行による作業の有益化をより効果的に図ることができる。
【0058】
第4構成は、
目標経路生成用の任意設定データが入力される任意データ入力部を有し、
前記目標経路生成部は、前記基本データと前記優先項目とに基づく第1目標経路と、前記基本データと前記任意設定データとに基づく第2目標経路と、を含む複数の前記目標経路を生成する点にある。
【0059】
本構成によれば、ユーザは、自動走行用の目標経路を生成する場合に、優先項目選択部において優先項目を選択するだけの簡易操作と、任意データ入力部において目標経路の生成に必要な任意設定データの全てを任意に入力する通常操作とを選択することができる。
これにより、ユーザが任意設定データの入力が苦手な場合は、簡易操作を行うことにより、自身の価値観などに適した第1目標経路を手間なく得ることができる。また、ユーザが任意設定データの入力に慣れている場合は、通常操作を行うことにより、自身の価値観などに基づく第2目標経路を得ることができる。
その結果、任意設定データの入力が苦手なユーザにおいては、簡易な選択操作を行うことで自動走行による作業の有益化を図ることができる。また、任意設定データの入力に慣れたユーザにおいては、任意設定データの入力を適正に行うことで、自動走行による作業の有益化をより効果的に図ることができる。
【0060】
第5構成は、
前記目標経路を表示する表示部を有し、
前記表示部は、前記目標経路生成部が複数の前記目標経路を生成した場合に、それら複数の前記目標経路とともに複数の前記目標経路の差を表示する点にある。
【0061】
本構成によれば、ユーザは、目標経路生成部が複数の目標経路を生成した場合に、それらの差を容易に視認することができ、これにより、より自身の価値観などに適した目標経路を容易に選択することができる。
【0062】
第6構成は、
目標経路生成用の任意設定データの少なくとも一部が入力される任意データ入力部を有し、
前記目標経路生成部は、前記任意設定データに基づいて前記第1目標経路を修正する点にある。
【0063】
本構成によれば、ユーザは、自身が選択した優先項目に基づいて目標経路生成部が生成した目標経路に対して不満を感じた場合は、その不満を解消するのに適した任意設定データを任意データ入力部において入力する。すると、目標経路生成部は、ユーザにより入力された任意設定データに基づいて、優先項目に応じた目標経路を修正する。これにより、ユーザは不満が解消された目標経路を得ることができる。
具体的には、ユーザが、目標経路の自動走行開始地点や自動走行終了地点が、作業地における作業車両の出入口から離れている、といった不満を感じた場合は、その不満を解消するのに適した自動走行開始地点や自動走行終了地点を任意データ入力部において入力すると、目標経路生成部が、ユーザにより入力された自動走行開始地点や自動走行終了地点に基づいて、優先項目に応じた目標経路を修正することから、ユーザは、自動走行開始地点や自動走行終了地点が、作業地における作業車両の出入口から近い位置に設定された目標経路を得ることができる。
その結果、ユーザは、比較的簡易な操作を行うことで、より自身の価値観などに適した目標経路を得ることができ、自動走行による作業の有益化をより効果的に図ることができる。
【0064】
第7構成は、
前記優先項目には、作業面積の最大化と、非作業走行距離の最短化と、前記作業地の外周に沿う周回走行経路部の適正化と、重複経路部分の生成回避のうちの少なくとも1つが含まれている点にある。
【0065】
本構成によれば、例えば、優先項目が作業面積の最大化であれば、この優先項目に基づいて、目標経路生成部は、作業車両の自動走行によって行える作業面積が最大になる目標経路を生成する。
例えば、優先項目が非作業走行距離の最短化であれば、この優先項目に基づいて、目標経路生成部は、作業車両の自動走行において、非作業走行に要する燃料消費量の削減や作業時間の短縮などを図れる目標経路を生成する。
例えば、優先項目が周回走行経路部の適正化であれば、この優先項目に基づいて、目標経路生成部は、作業車両の自動走行において、作業地の中央側を走行して作業した後の未作業領域となる周回走行経路部の横幅が、作業地の形状にかかわらず、作業車両の作業幅の整数倍と同じまたは略同じになる目標経路を生成する。これにより、作業車両の自動走行または手動運転による周回作業走行が行い易くなる。この目標経路は、作業車両の一例である耕耘仕様のトラクタによる耕耘作業や乗用田植機による植え付け作業などを自動走行で行う場合に好適である。
例えば、優先項目が重複経路部の生成回避であれば、この優先項目に基づいて、目標経路生成部は、重複する経路部分が存在しない目標経路を生成する。これにより、作業車両の自動走行において、作業車両が目標経路の重複する同一経路部分を複数回走行する重複走行により、その経路部分が踏み固められて作業が行い難くなる、といった不具合の発生を回避することができる。この目標経路は、作業車両の一例である耕耘仕様のトラクタによる耕耘作業や乗用田植機による植え付け作業などを自動走行で行う場合に好適である。
つまり、それぞれの優先項目に応じた目標経路を生成することができ、これにより、ユーザによって異なる価値観などに適した自動走行による作業の有益化を図り易くなる。
【0066】
一態様に係る作業車両用の目標経路生成システムは、作業車両を自動走行開始地点から自動走行終了地点まで自動走行させるための目標経路を生成する目標経路生成部を備える。前記目標経路は、平行に配置設定された複数の直進作業経路部を含む。前記複数の直進作業経路部のうち、最終の直進作業経路部以外であって当該最終の直進作業経路部の進行方向とは反対方向となる一の直進作業経路部においては、前記作業車両が複数回走行する重複走行が行われ、当該重複走行における1回目の走行は非作業走行であって2回目の走行は作業走行である。
【0067】
一態様に係る作業車両用の目標経路生成システムは、作業車両を自動走行させるための目標経路を生成する目標経路生成部を備える。前記目標経路は、特定項目に基づいて生成される。
【符号の説明】
【0068】
4 表示部
30A 記憶部
30D 目標経路生成部
32 経路選択部
33 任意データ入力部
34 優先項目選択部
P 目標経路