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特開2024-169584医用写損画像管理装置、プログラム、制御方法及び医用写損画像管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169584
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】医用写損画像管理装置、プログラム、制御方法及び医用写損画像管理システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/46 20240101AFI20241128BHJP
【FI】
A61B6/46 536Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024161603
(22)【出願日】2024-09-19
(62)【分割の表示】P 2021064501の分割
【原出願日】2021-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 徳峰
(57)【要約】
【課題】写損画像の撮影者のプライバシーの保護を図る。
【解決手段】本発明に係る写損画像管理装置は、撮影者が撮影した少なくとも写損画像に関する撮影者識別情報が匿名化して表示されるように制御する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影者が撮影した写損画像を含む医用画像を管理する医用写損画像管理装置であって、
前記撮影者の撮影者識別情報が匿名化して表示されるように制御する制御部、
を備える医用写損画像管理装置。
【請求項2】
撮影者が撮影した写損画像を含む医用画像を管理するコンピューターを、
前記撮影者の撮影者識別情報が匿名化して表示されるように制御する制御部、
として機能させるためのプログラム。
【請求項3】
撮影者が撮影した写損画像を含む医用画像を管理するコンピューターが、
前記撮影者の撮影者識別情報が匿名化して表示されるように制御する、
制御方法。
【請求項4】
撮影者が撮影した写損画像を含む医用画像を管理する医用写損画像管理システムであって、
前記撮影者の撮影者識別情報が匿名化して表示されるように制御する制御部、
を備える医用写損画像管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用写損画像管理装置、プログラム、制御方法及び医用写損画像管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放射線撮影において撮影が失敗した写損画像、撮影者IDおよびその写損画像を撮影したときの撮影条件である写損撮影条件で構成される写損情報と、その写損画像の撮影後の再撮影において、診断用画像を撮影したときの撮影条件である再撮影条件を含む再撮影情報とを関連付けて管理する写損情報管理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-173804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、ログイン可能であれば誰でも写損画像の撮影者識別情報としての撮影者IDを閲覧することができる。
しかしながら、写損画像は、撮影者が失敗した画像であり、撮影者のスキルの優劣を明示してしまう情報であるため、誰でも写損画像の撮影者識別情報を閲覧することができるという環境は、撮影者のプライバシーの保護の観点から好ましくない。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、写損画像の撮影者のプライバシーの保護を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
撮影者が撮影した写損画像を含む医用画像を管理する医用写損画像管理装置であって、
前記撮影者の撮影者識別情報が匿名化して表示されるように制御する制御部、
を備える。
【0007】
請求項2に記載の発明のプログラムは、
撮影者が撮影した写損画像を含む医用画像を管理するコンピューターを、
前記撮影者の撮影者識別情報が匿名化して表示されるように制御する制御部、
として機能させる。
【0008】
請求項3に記載の発明の制御方法は、
撮影者が撮影した写損画像を含む医用画像を管理するコンピューターが、
前記撮影者の撮影者識別情報が匿名化して表示されるように制御する。
【0009】
請求項4に記載の発明は、
撮影者が撮影した写損画像を含む医用画像を管理する医用写損画像管理システムであって、
前記撮影者の撮影者識別情報が匿名化して表示されるように制御する制御部、
を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、写損画像の撮影者のプライバシーを保護することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る医用画像撮影システムのシステム構成例を示す図である。
図2図1の写損画像管理装置の機能的構成を示すブロック図である。
図3図2のユーザー管理テーブルのデータ格納例を示す図である。
図4図2の制御部により実行される表示制御処理を示すフローチャートである。
図5】一般撮影者用表示モードで初期表示される画像リスト画面の一例を示す図である。
図6】一般撮影者用表示モードで表示される撮影技師名の指定欄が表示された画像リスト画面の一例を示す図である。
図7】一般撮影者用表示モードで表示されるカンファレンス画面の一例を示す図である。
図8】一般撮影者用表示モードで表示される統計画面の一例を示す図である。
図9】管理者用表示モードで表示される画像リスト画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0013】
〔医用画像撮影システム100の構成〕
まず、本発明の実施形態の構成を説明する。
図1に、本実施形態における医用画像撮影システム100のシステム構成例を示す。
図1に示すように、医用画像撮影システム100は、検査装置10、コンソール20、写損画像管理装置(医用写損画像管理装置)30、クライアント端末40等から構成され、各装置は、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等の医療施設内に構築された通信ネットワークNを介してデータ送受信可能に接続されている。なお、医用画像撮影システム100は、検査装置10、コンソール20、クライアント端末40を複数備えていてもよい。
【0014】
検査装置10は、CT装置、X線撮影装置(DR、CR)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波診断装置等のモダリティーであり、被写体を撮影して医用画像のデジタルデータを生成し、コンソール20に送信する。
【0015】
コンソール20は、ユーザー操作により入力された、又は図示しないHIS(Hospital Information System:病院情報システム)やRIS(Radiology Information System:放射線科情報システム)から送信された検査オーダー情報(患者IDや患者氏名などの患者情報、撮影部位、撮影方向等の撮影依頼情報が含まれる)に基づいて、検査装置10による撮影を制御する。
【0016】
また、コンソール20は、検査装置10から受信した医用画像に画像を識別するためのUID(Unique ID)や患者情報、検査情報(検査UID、検査日時、撮影部位、撮影方向、モダリティー種等)等を付帯させる。検査UIDは、検査を特定するための識別情報である。本実施形態では、或る検査オーダー情報に従って行われる検査は、一つの検査UIDで管理されることとする。
【0017】
また、コンソール20は、受信した医用画像がOK(診断に適している)であるかNG(写損)であるかの入力を受け付ける。ここで、撮影に失敗し、診断に利用できない医用画像を写損画像と呼ぶ。NG画像とも呼ばれる。予定していた1枚の撮影(同一患者の同一検査の撮影)に対し、複数回写損になった場合、複数枚の写損画像が生成される。また、診断に適した医用画像を診断画像と呼ぶ。OK画像とも呼ばれる。
【0018】
受信した医用画像がNGである旨が入力されると、コンソール20は、ユーザーによる写損理由の入力を受け付ける。写損理由としては、例えば、アーチファクト、ポジショニングエラー、線量不足(X線撮影の場合)、体動、異物混入、患者違い、部位違い等が挙げられる。写損理由が入力されると、コンソール20は、写損画像に、当該写損画像の撮影結果情報(例えば、検査UID、RISコード/条件キー番号、撮影日時、撮影者識別情報(撮影技師名等)、写損である旨を示す写損フラグ、写損理由、写損発生時の撮影条件(撮影部位、撮影方向、使用パネル、管電圧、mAs値(検査装置10がX線撮影装置である場合)等)、患者情報(年齢、性別等)、UID等の項目を有する情報)を対応付けて、写損画像管理装置30に送信するとともに、検査装置10に再撮影を実施させる。ここで、例えば、コンソール20には、ログイン時に使用されるユーザーIDと撮影者を識別するための撮影者識別情報が対応付けて記憶されており、撮影結果情報の撮影者識別情報は、例えば、ログインされているログインユーザーのユーザーIDに対応する撮影者識別情報が用いられる。また、RISコード/条件キー番号は、撮影方向、撮影部位、撮影手技などを示す情報である。RISコードは、16桁の番号であって、条件キー番号は18桁の番号である。
【0019】
受信した医用画像がOKである旨が入力されると、コンソール20は、OKと判定された医用画像(診断画像)に、当該診断画像の撮影結果情報(例えば、検査UID、RISコード/条件キー番号、撮影日時、撮影者識別情報(撮影技師名等)、OKである旨を示すフラグ、撮影条件(撮影部位、撮影方向、使用パネル、管電圧、mAs値等)、患者情報(年齢、性別等)、UID等の項目を有する情報)を対応付けて、写損画像管理装置30に送信する。
【0020】
或る患者の或る検査における写損画像と診断画像は、例えば、同一のRISコード/条件キー番号により対応付ける(関連付ける)ことができる。また、診断画像の撮影結果情報に、その診断画像と写損画像のUIDを書き込むことにより両者を対応付けることとしてもよい。
【0021】
なお、受信した医用画像が写損画像であるか否かの判断は、制御部31が医用画像を解析することにより自動的に行うこととしてもよい。
【0022】
写損画像管理装置30は、写損画像を含む医用画像(写損画像及び診断画像)を記憶、管理する装置であり、撮影技師又は管理者がログイン可能な装置である。
図2は、写損画像管理装置30の機能的構成を示すブロック図である。
図2に示すように、写損画像管理装置30は、制御部31、表示部32、操作部33、通信部34、記憶部35等を備えて構成されており、各部はバスにより接続されている。
【0023】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、写損画像管理装置30の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、記憶部35に記憶されているプログラムを読み出してRAMに展開し、当該プログラムに従って、後述する表示制御処理を始めとする各種処理を実行する。
【0024】
表示部32は、LCD(Liquid Crystal Display)等のモニターにより構成され、制御部31から入力される表示信号の指示に従って、各種表示を行う。
【0025】
操作部33は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、ユーザーによるキーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された指示信号を制御部31に出力する。また、操作部33は、表示部32の表示画面にタッチパネルを備えても良く、この場合、タッチパネルを介して入力された指示信号を制御部31に出力する。
【0026】
通信部34は、ネットワークインターフェース等により構成され、通信ネットワークNを介して接続された外部装置との間でデータの送受信を行う。例えば、通信部34は、コンソール20から、医用画像(写損画像、診断画像)及びその撮影結果情報を受信する。
【0027】
記憶部35は、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性の半導体メモリー等により構成され、各種データを記憶している。例えば、記憶部35は、画像管理テーブル351、画像保管領域352、ユーザー管理テーブル353を有する。また、記憶部35には、制御部31により実行可能な各種プログラムが記憶されている。なお、プログラムは、制御部31のROMに記憶されていてもよい。
【0028】
画像管理テーブル351は、画像保管領域352に記憶されている医用画像(写損画像、診断画像)を管理するためのテーブルであり、例えば、画像保管領域352に記憶されている各医用画像の撮影結果情報が格納されている。制御部31は、画像管理テーブル351に記憶されている撮影結果情報の各項目の情報に基づいて、画像保管領域352に記憶されている医用画像を検索可能である。
画像保管領域352は、医用画像(写損画像、診断画像)の画像データを記憶(保存)する領域である。
画像管理テーブル351の撮影結果情報と画像保管領域352の医用画像は、例えば、UIDにより対応付けられている。
【0029】
ユーザー管理テーブル353は、図3に示すように、写損画像管理装置30にログイン可能なユーザーの「ユーザーID」と、「パスワード」と、「ユーザー権限」と、「撮影者識別情報」と、を対応付けてユーザー管理情報として記憶するテーブルである。
ユーザーIDは、写損画像管理装置30にログイン可能なユーザーを一意に識別するためのユーザー識別情報である。
パスワードは、ログインする際に使用されるパスワードである。
ユーザー権限は、ユーザーが有する権限(一般撮影者権限又は管理者権限)を示す情報(ユーザー権限情報と呼ぶ)である。
撮影者識別情報は、コンソール20で用いられている、撮影技師名等の撮影者を識別するための情報である。
【0030】
クライアント端末40は、写損画像管理装置30のクライアントであり、ユーザーが写損画像管理装置30に対する操作入力を行ったり、写損画像管理装置30から表示指示された画面を表示したりする。
写損画像管理装置30とクライアント端末40は、写損画像管理システム(医用写損画像管理システム)を構成している。
【0031】
〔医用画像撮影システム100の動作〕
次に、本実施形態における医用画像撮影システム100の動作について説明する。
図4は、写損画像管理装置30の制御部31により実行される表示制御処理を示すフローチャートである。表示制御処理は、制御部31と記憶部35に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0032】
まず、制御部31は、ログインが実施されるのを待機し、ログインが実施されると(ステップS1;YES)、ユーザー管理テーブル353から、ログインしたユーザー(ログインユーザー)のユーザーIDに対応付けられているユーザー権限情報を取得する(ステップS2)。
【0033】
次いで、制御部31は、取得したユーザー権限情報に基づいて、ログインユーザーが一般撮影者としての権限を有するか否かを判断する(ステップS3)。
ログインユーザーが一般撮影者としての権限を有すると判断した場合(ステップS3;YES)、制御部31は、撮影者用表示モードで動作して、表示部32又はクライアント端末40(ユーザーがクライアント端末40からログインした場合はクライアント端末40)の表示制御を行う(ステップS4)。
【0034】
撮影者用表示モードでは、制御部31は、まず、初期表示において、ログインユーザーが撮影した医用画像のみが表示されるよう、ログインユーザーが撮影した医用画像のみを画像管理テーブル351を用いて抽出して、抽出した医用画像の一覧が画像リスト321aに表示された画像リスト画面321を表示部32又はクライアント端末40に表示させる。
例えば、制御部31は、ログインユーザーの撮影者識別情報(ユーザー管理テーブル353においてログインユーザーのユーザーIDに対応付けて記憶されている撮影者識別情報)が関連付けられている医用画像(すなわち、画像管理テーブル351に記憶されている当該医用画像の撮影結果情報の撮影者識別情報がログインユーザーの撮影者識別情報と一致する医用画像)をログインユーザーが撮影した医用画像と識別し、それ以外の撮影者識別情報が関連付けられている医用画像をログインユーザー以外の撮影者が撮影した医用画像と識別する。そして、初期表示においては、ログインユーザーが撮影した医用画像の撮影結果情報のみを抽出して、画像リスト321aに表示させる。
【0035】
図5は、一般撮影者用表示モードで表示される画像リスト画面321の一例を示す図である。画像リスト画面321は、記憶部35の画像保管領域352に保存されている一部又は全部の医用画像の一覧が画像リスト321aに表示された画面である。操作部33又はクライアント端末40により画像リスト画面321上の画像リスト321aから一の医用画像の撮影結果情報が選択されると、制御部31は、図5に示すように、選択された撮影結果情報に対応する(UIDが一致する)医用画像を画像管理テーブル351から取得して、画像表示欄351cに表示するとともに、表示した医用画像についての詳細情報を表示する。図5においては、ログインユーザーの撮影者識別情報が「山田太郎」である場合の、画像リスト画面321の初期表示例を示している。画像リスト321aには、「山田太郎」が撮影した(撮影者識別情報(撮影技師名)が「山田太郎」の)医用画像の一覧が表示されている。
【0036】
撮影技師は、自分が撮影した写損画像及びその撮影条件や、撮り直した診断画像及びその撮影条件を見直すことで、どのような失敗をしたか、どのように撮影条件を改善したらよいか等を学習し、撮影技術の向上に役立てることができる。撮影者用表示モードでは、初期表示として、ログインユーザーが撮影した医用画像のみが自動的に表示されるので、ログインユーザーが手動で自分の撮影した医用画像を絞り込んで表示させる作業が不要となり、ユーザビリティーを向上させることができる。
【0037】
画像リスト画面321には、条件指定欄321bが設けられており、操作部33又はクライアント端末40により条件指定欄321bから表示条件(検査日、撮影技師名、写損理由(NG理由)等)を指定することで、画像リスト321aに表示する医用画像に絞り込みをかけたり変更したりすることができる。
例えば、画像リスト画面321の条件指定欄321bからログインユーザー以外の他のユーザーを指定することにより、他のユーザーが撮影した医用画像を表示させることもできる。例えば、操作部33又はクライアント端末40により条件指定欄321bの「撮影技師名」のフィールドがクリックされると、制御部31は、図6に示すように、撮影技師名の指定欄321dを表示し、所望の撮影技師名がチェックされると、チェックされた撮影技師名が撮影者識別情報として関連付けられている医用画像を画像管理テーブル351により検索してその一覧を画像リスト321aに表示させる。
【0038】
ここで、写損画像は、撮影者が失敗した画像であり、撮影者のスキルの優劣を明示してしまう情報であるため、誰でも写損画像に関する撮影者識別情報(各撮影者の写損画像についての統計情報における撮影者識別情報を含む)を閲覧することができるという環境は撮影者のプライバシー保護の観点から好ましくない。
そこで、制御部31は、撮影者用表示モードにおいては、ログインユーザー以外の撮影者の、少なくとも写損画像に関する撮影者識別情報が匿名化して表示されるように制御する(本実施形態では、写損画像及び診断画像に関する撮影者識別情報が匿名化して表示されるように制御する)。例えば、画像リスト画面321においては、図6に示すように、画像リスト321a、条件指定欄321b、画像表示欄321cの詳細情報(図6の矢印参照)、指定欄321d等におけるログインユーザー以外の撮影技師名(撮影者識別情報)を、技師A、技師B、技師C、・・・などの、本人を特定できない名称に変換して表示させる。また、画像リスト画面321以外の画面上においても同様に、ログインユーザー以外の撮影者の撮影技師名については、技師A、技師B、技師C、・・・などの、本人を特定できない名称に変換して表示させる。
図7に、ログインユーザー以外の撮影者の撮影者識別情報が匿名化して表示されたカンファレンス画面322の一例を示す。カンファレンス画面322は、横軸を撮影日時の時間軸、縦軸を撮影部位として、写損画像のサムネイル画像と、写損画像を撮り直した診断画像のサムネイル画像とをセットで上下に並べた画面である。図7においては、矢印で示すように、画像表示欄322aの下部の詳細情報に表示された撮影者識別情報が匿名化して表示されている。
図8に、ログインユーザー以外の撮影者の撮影者識別情報が匿名化して表示された統計画面323の一例を示す。図8に示す統計画面323は、撮影技師別写損率を示す画面である。グラフ上のログインユーザー(ここでは、山田太郎)以外の各撮影者の撮影技師名が匿名化して表示されている。
このように、一般撮影者用表示モードでは、写損画像に係る撮影者識別情報を撮影者本人以外が閲覧することができなくなるため、写損画像の撮影者のプライバシーを保護することが可能となる。
【0039】
一方、ステップS3において、取得したユーザー権限が一般撮影者ではない、すなわち、ログインユーザーが管理者としての権限を有すると判断した場合(ステップS3;NO)。制御部31は、管理者用表示モードで動作して、表示部32又はクライアント端末40(ユーザーがクライアント端末40からログインした場合はクライアント端末40)の表示制御を行う(ステップS5)。
【0040】
管理者用表示モードでは、制御部31は、ログインユーザー以外の撮影者が撮影した医用画像についても初期表示として表示可能であり、また、ログインユーザー以外の撮影者が撮影した写損画像を含む医用画像の撮影者識別情報についてもそのまま匿名化することなく表示されるよう制御する。
【0041】
図9は、管理者権限のユーザーがログインした場合に表示される画像リスト画面321の一例を示す図である。図9に示すように、ログインユーザー(例えば、鈴木二郎)以外のユーザーが撮影した写損画像を含む医用画像に係る撮影者識別情報についてもそのまま匿名化することなく表示されている。画像リスト画面321以外の画面についても同様に、撮影者識別情報がそのまま匿名化することなく表示される。
管理者用表示モードで撮影者識別情報の匿名化が実施されないのは、管理者は、各撮影者がどのくらい失敗しているのか、どのような失敗が多いのか等を把握し、指導する必要があるため、写損画像の撮影者が誰なのかを知っておく必要があるためである。
【0042】
また、管理者用表示モードおいて、制御部31は、操作部33又はクライアント端末40による所定の操作に応じて、表示部32又はクライアント端末40に図示しないユーザー管理画面を表示させる。ユーザー管理画面は、ユーザー管理テーブル353に記憶されているユーザー管理情報を登録するための画面である。例えば、制御部31は、ユーザー管理画面からユーザーID、パスワード、ユーザー権限及び撮影者識別情報が入力されると、入力されたユーザーID、パスワード、ユーザー権限及び撮影者識別情報を対応付けてユーザー管理テーブル353に記憶させる。
【0043】
ここで、制御部31は、一つのユーザーIDに対して、一人の撮影者(ユーザー)の撮影者識別情報を割り当てて(対応付けて)ユーザー管理テーブル353に記憶しておくことで、ログインユーザーの撮影者識別情報を特定することができる。そして、その撮影者識別情報が関連付けられている医用画像をログインユーザーが撮影した医用画像として特定することができる。ただし、撮影者識別情報は変更となることがある。例えば、撮影者識別情報が氏名で登録されている場合、例えば、婚姻により姓が変更となる場合がある。また、コンソール20が複数台ある場合において、例えば、コンソール20が複数のメーカーのものである場合等、コンソール20ごとに同一撮影者を表す撮影者識別情報が異なる場合がある(例えば、コンソールAでは撮影者識別情報がカナで登録、コンソールBでは漢字で登録した場合等)。このような場合において、一つのユーザーIDに対して、一つ撮影者識別情報のみしか割り当てることができないとすると、ログインユーザーが撮影した医用画像を特定できない場合がでてくる。
そこで、管理者用表示モードおいて、制御部31は、操作部33又はクライアント端末40の操作に応じて表示部32又はクライアント端末40に図示しない追加登録画面を表示し、追加登録画面から入力されたユーザーIDに対して、追加で登録する撮影者識別情報が入力されると、ユーザー管理情報における入力されたユーザーIDに対応する撮影者識別情報として、入力された撮影者識別情報を追加してユーザー管理テーブル353のユーザー管理情報を更新する。これにより、管理者は、ユーザーIDに対応する撮影者識別情報を追加登録することが可能となり、ログインユーザーが撮影した医用画像を特定できない事態を抑制することができる。
なお、ユーザー管理画面及び追加登録画面は、制御部31の制御により、管理者用表示モードのみで表示され、一般撮影者用表示モードでは表示が禁止されている。だれでも追加登録ができるようにすると、誤登録等が増えるためである。
【0044】
以上説明したように、写損画像管理装置30の制御部31は、ユーザーがログインした場合に、ログインユーザー以外の撮影者が撮影した少なくとも写損画像に関する撮影者識別情報が匿名化して表示されるように制御する。
したがって、写損画像に係る撮影者識別情報を撮影者本人以外が閲覧することができなくなるため、写損画像の撮影者のプライバシーを保護することが可能となる。
【0045】
例えば、制御部31は、ユーザーがログインした場合に、ログイン時に用いられたユーザー識別情報に応じて一般撮影者用表示モード又は管理者用表示モードで動作し、一般撮影者用表示モードで動作している場合に、ログインユーザー以外の撮影者が撮影した少なくとも写損画像に関する撮影者識別情報が匿名化して表示されるよう制御する。
したがって、一般撮影者用表示モードにおいて、写損画像の撮影者のプライバシーを保護することが可能となる。
【0046】
また、写損画像管理装置30は、ログイン可能なユーザーのユーザー識別情報と、当該ユーザーが管理者としての権限を有するか又は一般撮影者としての権限を有するかを示すユーザー権限情報とを対応付けて記憶するユーザー管理テーブル353を備え、制御部31は、ユーザー管理テーブル353においてログインユーザーのユーザー識別情報に対応付けて記憶されているユーザー権限情報に基づいて、ログインユーザーが管理者としての権限を有するか又は一般撮影者としての権限を有するかを判断する。そして、ログインユーザーが一般撮影者としての権限を有すると判断した場合に、一般撮影者用表示モードで動作し、管理者としての権限を有すると判断した場合に、前記管理者用表示モードで動作する。
したがって、一般撮影者としての権限を有する撮影者が利用する一般撮影者用表示モードにおいて、写損画像の撮影者のプライバシーを保護することが可能となる。
【0047】
また、制御部31は、管理者用表示モードで動作している場合は、ログインユーザー以外の撮影者が撮影した写損画像に関する撮影者識別情報についても匿名化することなく表示されるよう制御する。
したがって、管理者は、写損画像の撮影者が誰であるのかを知ることができるため、各撮影者がどのくらい失敗しているのか、どのような失敗が多いのか等を把握し、指導することができる。
【0048】
また、制御部31は、一般撮影者用表示モードにおける初期表示において、ログインユーザーが撮影した医用画像のみが表示されるよう制御する。したがって、撮影者が自分の撮影した写損画像を見直して検討する機会の多い写損画像管理装置30において、ログインユーザーは手動で自分が撮影した医用画像を絞り込んで表示させる作業が不要となるので、ユーザビリティーを向上させることができる。
【0049】
また、制御部31は、ユーザー管理テーブル353においてログインユーザーのユーザー識別情報に対応付けて記憶されている撮影者識別情報が関連付けられているか否かに基づいて、ログインユーザーが撮影した医用画像とログインユーザー以外が撮影した医用画像を識別する。したがって、ログインユーザーが撮影した医用画像とログインユーザー以外が撮影した医用画像を容易に識別することが可能となる。
【0050】
また、制御部31は、管理者用表示モードで動作している場合に、ユーザーIDに対応付ける撮影者識別情報を追加登録するための追加登録画面を表示可能となるように制御するので、一人のユーザーに対して複数の撮影者識別情報を登録することが可能となり、例えば、ユーザーの撮影者識別情報として用いる名前が変わったり、同一の撮影者であってもコンソールごとに撮影者識別情報が変わったりする場合等に対応することが可能となる。また、一般撮影者が追加登録をすることが禁止されるので、誤登録を抑制することが可能となる。
【0051】
なお、上記実施形態における記述内容は、本発明の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
【0052】
例えば、上記実施形態では、本発明に係る制御部の機能を写損画像管理装置30に持たせた場合について説明したが、本発明に係る制御部の機能を実行するためのプログラムをクライアント端末40に持たせ、クライアント端末40の制御部(CPU)がクライアント端末40で本発明の機能を実行することとしてもよい。また、写損画像管理システムが、写損画像管理装置30及びクライアント端末40とは別体の、本発明に係る制御部の機能を実行するためのプログラムをさらに備えるコンピューターを含む構成とし、そのコンピューターで本発明の機能を実行することとしてもよい。
【0053】
また、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピューター読み取り可能な媒体としてハードディスクや半導体の不揮発性メモリー等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【0054】
その他、医用画像撮影システムを構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0055】
100 医用画像撮影システム
10 検査装置
20 コンソール
30 写損画像管理装置
31 制御部
32 表示部
33 操作部
34 通信部
35 記憶部
351 画像管理テーブル
352 画像保管領域
353 ユーザー管理テーブル
40 クライアント端末
図1
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図9