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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016960
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】刃具検査装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/09 20060101AFI20240201BHJP
   G05B 19/4155 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B23Q17/09 D
G05B19/4155 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119276
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】石山 浩
(72)【発明者】
【氏名】山縣 謙一
(72)【発明者】
【氏名】茂中 義典
【テーマコード(参考)】
3C029
3C269
【Fターム(参考)】
3C029DD12
3C269AB26
3C269BB11
3C269MN29
3C269MN44
(57)【要約】
【課題】工作機械から特定の工程のタイミング信号が供給されない場合であっても、特定の工程の教師データと検査用データを抽出する。
【解決手段】刃具検査装置1は、工作機械5の刃具を駆動するモータ50に供給される電流の波形データを1バッチ分取り込むデータ収集部10と、刃具の検査用データとの比較のための教師データの生成時に、波形データの特徴に基づいて、工作機械5の特定の工程に対応する時間範囲を推定し、この時間範囲の波形データを教師データとして切り出す教師データ生成部11と、刃具の検査時にデータ収集部10が取り込んだ波形データから、教師データ生成部11によって推定された時間範囲と同じ時間位置の波形データを検査用データとして切り出す検査用データ生成部13とを備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械の刃具を駆動するモータに供給される電流の波形データを1バッチ分取り込むように構成されたデータ収集部と、
前記刃具の検査用データとの比較のための教師データの生成時に、前記波形データの特徴に基づいて、前記工作機械の特定の工程に対応する時間範囲を推定し、この時間範囲の波形データを前記教師データとして切り出すように構成された教師データ生成部と、
前記刃具の検査時に前記データ収集部が取り込んだ波形データから、前記教師データ生成部によって推定された時間範囲と同じ時間位置の波形データを前記検査用データとして切り出すように構成された検査用データ生成部とを備えることを特徴とする刃具検査装置。
【請求項2】
請求項1記載の刃具検査装置において、
前記検査用データ生成部は、前記教師データを時間方向に沿ってブロック単位に分割し、ブロック毎に前記教師データと前記検査用データの時間位置を合わせることを特徴とする刃具検査装置。
【請求項3】
請求項1記載の刃具検査装置において、
前記教師データ生成部は、
前記教師データの生成時に前記データ収集部が取り込んだ1バッチ分の波形データから前記工作機械の仕上げ工程の範囲の波形データを切り出すための第1のスレッショルドレベルを決定するように構成された第1のレベル決定部と、
前記教師データの生成時に前記データ収集部が取り込んだ1バッチ分の波形データの中で、バッチ終了直前の前記第1のスレッショルドレベル以下の値の範囲を前記仕上げ工程の範囲の波形データとして切り出すように構成された第1の切り出し処理部と、
前記仕上げ工程の範囲内の波形の立ち上がりを検出するための第2のスレッショルドレベルを決定するように構成された第2のレベル決定部と、
前記仕上げ工程の範囲内で電流値が最初に前記第2のスレッショルドレベルを超えた時点からバッチ終了までの時間の長さに、所定の時間を加えた長さを、教師データの切り出し長として決定するように構成された切り出し長決定部と、
前記教師データの生成時に前記データ収集部が取り込んだ1バッチ分の波形データから、バッチ終了直前の、電流値が前記第1のスレッショルドレベル以下で、長さが前記切り出し長の範囲のデータを、前記教師データとして切り出すように構成された第2の切り出し処理部とを備え、
前記検査用データ生成部は、
前記刃具の検査時に前記データ収集部が取り込んだ1バッチ分の波形データから、バッチ終了直前の、電流値が前記第1のスレッショルドレベル以下で、長さが前記切り出し長の範囲のデータを、前記検査用データとして切り出すように構成された第3の切り出し処理部を備えることを特徴とする刃具検査装置。
【請求項4】
請求項3記載の刃具検査装置において、
前記第1のレベル決定部と前記第1の切り出し処理部と前記第2のレベル決定部と前記切り出し長決定部とは、前記データ収集部が複数回取り込んだ1バッチ分の波形データのそれぞれについて処理を行い、
前記第2の切り出し処理部は、前記複数回の処理で得られた前記第1のスレッショルドレベルの平均値と前記切り出し長の平均値とを用いて、前記教師データの生成時に前記データ収集部が取り込んだ1バッチ分の波形データから、バッチ終了直前の、電流値が前記第1のスレッショルドレベルの平均値以下で、長さが前記切り出し長の平均値の範囲のデータを、前記教師データとして切り出し、
前記第3の切り出し処理部は、前記刃具の検査時に前記データ収集部が取り込んだ1バッチ分の波形データから、バッチ終了直前の、電流値が前記第1のスレッショルドレベルの平均値以下で、長さが前記切り出し長の平均値の範囲のデータを、前記検査用データとして切り出すことを特徴とする刃具検査装置。
【請求項5】
請求項2記載の刃具検査装置において、
前記教師データ生成部は、
前記教師データの生成時に前記データ収集部が取り込んだ1バッチ分の波形データから前記工作機械の仕上げ工程の範囲の波形データを切り出すための第1のスレッショルドレベルを決定するように構成された第1のレベル決定部と、
前記教師データの生成時に前記データ収集部が取り込んだ1バッチ分の波形データの中で、バッチ終了直前の前記第1のスレッショルドレベル以下の値の範囲を前記仕上げ工程の範囲の波形データとして切り出すように構成された第1の切り出し処理部と、
前記仕上げ工程の範囲内の波形の立ち上がりを検出するための第2のスレッショルドレベルを決定するように構成された第2のレベル決定部と、
前記仕上げ工程の範囲内で電流値が最初に前記第2のスレッショルドレベルを超えた時点からバッチ終了までの時間の長さに、所定の時間を加えた長さを、教師データの切り出し長として決定するように構成された切り出し長決定部と、
前記教師データの生成時に前記データ収集部が取り込んだ1バッチ分の波形データから、バッチ終了直前の、電流値が前記第1のスレッショルドレベル以下で、長さが前記切り出し長の範囲のデータを、前記教師データとして切り出すように構成された第2の切り出し処理部とを備え、
前記検査用データ生成部は、
前記刃具の検査時に前記データ収集部が取り込んだ1バッチ分の波形データから、バッチ終了直前の、電流値が前記第1のスレッショルドレベル以下で、長さが前記切り出し長の範囲のデータを、前記検査用データとして切り出すように構成された第3の切り出し処理部と、
前記教師データに基づいて、前記検査用データに対する位置補正開始タイミングを検出するための第3のスレッショルドレベルを決定するように構成された第3のレベル決定部と、
前記教師データにおいて、電流値が前記第3のスレッショルドレベルを超える時点を、前記位置補正開始タイミングとし、前記教師データの位置補正開始タイミング間の範囲を位置補正ブロックとするように構成されたブロック抽出部と、
前記教師データの位置補正ブロックと、前記位置補正ブロックと同じ時間位置にあるブロック区間の検査用データとの相関係数を前記位置補正ブロック毎に算出するように構成された相関係数算出部と、
前記相関係数が最大になるように前記ブロック区間の検査用データの時間位置を動かすことを前記位置補正ブロック毎に行うように構成された補正部とを備えることを特徴とする刃具検査装置。
【請求項6】
請求項5記載の刃具検査装置において、
前記第1のレベル決定部と前記第1の切り出し処理部と前記第2のレベル決定部と前記切り出し長決定部とは、前記データ収集部が複数回取り込んだ1バッチ分の波形データのそれぞれについて処理を行い、
前記第2の切り出し処理部は、前記複数回の処理で得られた前記第1のスレッショルドレベルの平均値と前記切り出し長の平均値とを用いて、前記教師データの生成時に前記データ収集部が取り込んだ1バッチ分の波形データから、バッチ終了直前の、電流値が前記第1のスレッショルドレベルの平均値以下で、長さが前記切り出し長の平均値の範囲のデータを、前記教師データとして切り出し、
前記第3の切り出し処理部は、前記刃具の検査時に前記データ収集部が取り込んだ1バッチ分の波形データから、バッチ終了直前の、電流値が前記第1のスレッショルドレベルの平均値以下で、長さが前記切り出し長の平均値の範囲のデータを、前記検査用データとして切り出し、
前記第3のレベル決定部は、複数の前記教師データの平均データに基づいて前記第3のスレッショルドレベルを決定し、
前記ブロック抽出部は、複数の前記教師データの平均データについて前記位置補正ブロックを抽出することを特徴とする刃具検査装置。
【請求項7】
工作機械の刃具を駆動するモータに供給される電流の波形データを1バッチ分取り込む第1のステップと、
前記刃具の検査用データとの比較のための教師データの生成時に、前記波形データの特徴に基づいて、前記工作機械の特定の工程に対応する時間範囲を推定し、この時間範囲の波形データを前記教師データとして切り出す第2のステップと、
前記刃具の検査時に前記第1のステップで取り込んだ波形データから、前記第2のステップによって推定された時間範囲と同じ時間位置の波形データを前記検査用データとして切り出す第3のステップとを含むことを特徴とする刃具検査方法。
【請求項8】
請求項7記載の刃具検査方法において、
前記第3のステップは、前記教師データを時間方向に沿ってブロック単位に分割し、ブロック毎に前記教師データと前記検査用データの時間位置を合わせるステップを含むことを特徴とする刃具検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械の刃具の異常を検出する刃具検査装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、工作機械の刃具の異常を検出する技術として、特許文献1、特許文献2に開示された技術がある。特許文献1、特許文献2に開示された技術では、刃具を駆動するモータの電力波形や電流波形を正常時の波形と比較することで、刃具に異常が発生しているかどうかを判定する。
【0003】
ところで、工作機械は、1つの工作機械の中に多くの刃具を有し、切削工程に応じて異なる刃具が適用される。したがって、工程毎に異なる刃具の異常を自動で判定するためには、工程毎に正常時の波形と比較する必要がある。
【0004】
しかしながら、工作機械から例えば仕上げ工程のタイミング信号が供給されない場合、診断装置側で仕上げ工程の区間を推定し、仕上げ工程の電力波形や電流波形を抽出する必要があるが、従来の技術では、このような波形の抽出機能は実現されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4581622号公報
【特許文献2】特許第6813517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、工作機械から特定の工程のタイミング信号が供給されない場合であっても、特定の工程の教師データと検査用データを抽出することができる刃具検査装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の刃具検査装置は、工作機械の刃具を駆動するモータに供給される電流の波形データを1バッチ分取り込むように構成されたデータ収集部と、前記刃具の検査用データとの比較のための教師データの生成時に、前記波形データの特徴に基づいて、前記工作機械の特定の工程に対応する時間範囲を推定し、この時間範囲の波形データを前記教師データとして切り出すように構成された教師データ生成部と、前記刃具の検査時に前記データ収集部が取り込んだ波形データから、前記教師データ生成部によって推定された時間範囲と同じ時間位置の波形データを前記検査用データとして切り出すように構成された検査用データ生成部とを備えることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の刃具検査装置の1構成例において、前記検査用データ生成部は、前記教師データを時間方向に沿ってブロック単位に分割し、ブロック毎に前記教師データと前記検査用データの時間位置を合わせることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の刃具検査装置の1構成例において、前記教師データ生成部は、前記教師データの生成時に前記データ収集部が取り込んだ1バッチ分の波形データから前記工作機械の仕上げ工程の範囲の波形データを切り出すための第1のスレッショルドレベルを決定するように構成された第1のレベル決定部と、前記教師データの生成時に前記データ収集部が取り込んだ1バッチ分の波形データの中で、バッチ終了直前の前記第1のスレッショルドレベル以下の値の範囲を前記仕上げ工程の範囲の波形データとして切り出すように構成された第1の切り出し処理部と、前記仕上げ工程の範囲内の波形の立ち上がりを検出するための第2のスレッショルドレベルを決定するように構成された第2のレベル決定部と、前記仕上げ工程の範囲内で電流値が最初に前記第2のスレッショルドレベルを超えた時点からバッチ終了までの時間の長さに、所定の時間を加えた長さを、教師データの切り出し長として決定するように構成された切り出し長決定部と、前記教師データの生成時に前記データ収集部が取り込んだ1バッチ分の波形データから、バッチ終了直前の、電流値が前記第1のスレッショルドレベル以下で、長さが前記切り出し長の範囲のデータを、前記教師データとして切り出すように構成された第2の切り出し処理部とを備え、前記検査用データ生成部は、前記刃具の検査時に前記データ収集部が取り込んだ1バッチ分の波形データから、バッチ終了直前の、電流値が前記第1のスレッショルドレベル以下で、長さが前記切り出し長の範囲のデータを、前記検査用データとして切り出すように構成された第3の切り出し処理部を備えることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の刃具検査装置の1構成例において、前記第1のレベル決定部と前記第1の切り出し処理部と前記第2のレベル決定部と前記切り出し長決定部とは、前記データ収集部が複数回取り込んだ1バッチ分の波形データのそれぞれについて処理を行い、前記第2の切り出し処理部は、前記複数回の処理で得られた前記第1のスレッショルドレベルの平均値と前記切り出し長の平均値とを用いて、前記教師データの生成時に前記データ収集部が取り込んだ1バッチ分の波形データから、バッチ終了直前の、電流値が前記第1のスレッショルドレベルの平均値以下で、長さが前記切り出し長の平均値の範囲のデータを、前記教師データとして切り出し、前記第3の切り出し処理部は、前記刃具の検査時に前記データ収集部が取り込んだ1バッチ分の波形データから、バッチ終了直前の、電流値が前記第1のスレッショルドレベルの平均値以下で、長さが前記切り出し長の平均値の範囲のデータを、前記検査用データとして切り出すことを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の刃具検査装置の1構成例において、前記教師データ生成部は、前記教師データの生成時に前記データ収集部が取り込んだ1バッチ分の波形データから前記工作機械の仕上げ工程の範囲の波形データを切り出すための第1のスレッショルドレベルを決定するように構成された第1のレベル決定部と、前記教師データの生成時に前記データ収集部が取り込んだ1バッチ分の波形データの中で、バッチ終了直前の前記第1のスレッショルドレベル以下の値の範囲を前記仕上げ工程の範囲の波形データとして切り出すように構成された第1の切り出し処理部と、前記仕上げ工程の範囲内の波形の立ち上がりを検出するための第2のスレッショルドレベルを決定するように構成された第2のレベル決定部と、前記仕上げ工程の範囲内で電流値が最初に前記第2のスレッショルドレベルを超えた時点からバッチ終了までの時間の長さに、所定の時間を加えた長さを、教師データの切り出し長として決定するように構成された切り出し長決定部と、前記教師データの生成時に前記データ収集部が取り込んだ1バッチ分の波形データから、バッチ終了直前の、電流値が前記第1のスレッショルドレベル以下で、長さが前記切り出し長の範囲のデータを、前記教師データとして切り出すように構成された第2の切り出し処理部とを備え、前記検査用データ生成部は、前記刃具の検査時に前記データ収集部が取り込んだ1バッチ分の波形データから、バッチ終了直前の、電流値が前記第1のスレッショルドレベル以下で、長さが前記切り出し長の範囲のデータを、前記検査用データとして切り出すように構成された第3の切り出し処理部と、前記教師データに基づいて、前記検査用データに対する位置補正開始タイミングを検出するための第3のスレッショルドレベルを決定するように構成された第3のレベル決定部と、前記教師データにおいて、電流値が前記第3のスレッショルドレベルを超える時点を、前記位置補正開始タイミングとし、前記教師データの位置補正開始タイミング間の範囲を位置補正ブロックとするように構成されたブロック抽出部と、前記教師データの位置補正ブロックと、前記位置補正ブロックと同じ時間位置にあるブロック区間の検査用データとの相関係数を前記位置補正ブロック毎に算出するように構成された相関係数算出部と、前記相関係数が最大になるように前記ブロック区間の検査用データの時間位置を動かすことを前記位置補正ブロック毎に行うように構成された補正部とを備えることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の刃具検査装置の1構成例において、前記第1のレベル決定部と前記第1の切り出し処理部と前記第2のレベル決定部と前記切り出し長決定部とは、前記データ収集部が複数回取り込んだ1バッチ分の波形データのそれぞれについて処理を行い、前記第2の切り出し処理部は、前記複数回の処理で得られた前記第1のスレッショルドレベルの平均値と前記切り出し長の平均値とを用いて、前記教師データの生成時に前記データ収集部が取り込んだ1バッチ分の波形データから、バッチ終了直前の、電流値が前記第1のスレッショルドレベルの平均値以下で、長さが前記切り出し長の平均値の範囲のデータを、前記教師データとして切り出し、前記第3の切り出し処理部は、前記刃具の検査時に前記データ収集部が取り込んだ1バッチ分の波形データから、バッチ終了直前の、電流値が前記第1のスレッショルドレベルの平均値以下で、長さが前記切り出し長の平均値の範囲のデータを、前記検査用データとして切り出し、前記第3のレベル決定部は、複数の前記教師データの平均データに基づいて前記第3のスレッショルドレベルを決定し、前記ブロック抽出部は、複数の前記教師データの平均データについて前記位置補正ブロックを抽出することを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の刃具検査方法は、工作機械の刃具を駆動するモータに供給される電流の波形データを1バッチ分取り込む第1のステップと、前記刃具の検査用データとの比較のための教師データの生成時に、前記波形データの特徴に基づいて、前記工作機械の特定の工程に対応する時間範囲を推定し、この時間範囲の波形データを前記教師データとして切り出す第2のステップと、前記刃具の検査時に前記第1のステップで取り込んだ波形データから、前記第2のステップによって推定された時間範囲と同じ時間位置の波形データを前記検査用データとして切り出す第3のステップとを含むことを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の刃具検査方法の1構成例において、前記第3のステップは、前記教師データを時間方向に沿ってブロック単位に分割し、ブロック毎に前記教師データと前記検査用データの時間位置を合わせるステップを含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、教師データ生成部と検査用データ生成部とを設けることにより、工作機械から仕上げ工程などの特定の工程のタイミング信号が供給されない場合であっても、刃具検査装置側で特定の工程の区間を推定し、特定の工程の教師データと検査用データを抽出することができる。
【0016】
また、本発明では、検査用データ生成部が、教師データを時間方向に沿ってブロック単位に分割し、ブロック毎に教師データと検査用データの時間位置を合わせることにより、工作機械の加工タイミングに工作機械内部の制御タイミング周期単位で時間ずれが発生している場合であっても、時間ずれを補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施例に係る刃具検査システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の実施例に係る刃具検査装置の構成を示すブロック図である。
図3図3は、本発明の実施例に係る教師データ生成処理を説明するフローチャートである。
図4図4は、本発明の実施例に係る教師データ生成処理を説明するフローチャートである。
図5図5は、モータに供給される1バッチ分の電流波形の1例を示す図である。
図6図6は、仕上げ工程の範囲の電流波形の1例を示す図である。
図7図7は、仕上げ工程の範囲内の切り出し長分の電流波形の1例を示す図である。
図8図8は、本発明の実施例に係る検査用データ生成処理を説明するフローチャートである。
図9図9は、学習回数分の教師データの平均波形の1例を示す図である。
図10図10は、教師データの位置補正ブロックと位置補正ブロックから切り出した波形と検査用データから切り出した波形とを示す図である。
図11図11は、本発明の実施例に係る刃具検査装置を実現するコンピュータの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施例に係る刃具検査システムの構成を示すブロック図である。刃具検査システムは、刃具検査装置1と、工作機械5の刃具を駆動するモータに供給される電流を刃具検査装置1で扱うことが可能な大きさの電流に変換する変流器であるCT(Current Transformer)2と、刃具検査装置1による刃具の検査結果等を表示するための表示器3と、刃具検査装置1で得られたデータを記憶する外部記憶装置4とから構成される。
【0019】
工作機械5は、被加工物であるワークを加工する刃具(不図示)と、刃具を駆動するモータ50と、モータ50を制御する制御部51と、工作機械全体を制御するPLC(Programmable Logic Controller)52とを含む。
【0020】
図2は刃具検査装置1の構成を示すブロック図である。刃具検査装置1は、モータ50に供給される電流の波形データをCT2を介して1バッチ分取り込むデータ収集部10と、刃具の検査用データとの比較のための教師データの生成時に、波形データの特徴に基づいて、工作機械5の仕上げ工程に対応する時間範囲を推定し、この時間範囲の波形データを教師データとして切り出す教師データ生成部11と、教師データを蓄積する教師データ蓄積部12と、刃具の検査時にデータ収集部10が取り込んだ波形データから、教師データ生成部11によって推定された時間範囲と同じ時間位置の波形データを検査用データとして切り出す検査用データ生成部13と、検査用データを蓄積する検査用データ蓄積部14と、教師データと検査用データとを比較して刃具に異常が発生しているかどうかを判定する判定部15と、オペレータからの入力受け付け、データ収集条件の設定などを行うための管理部16とから構成される。
【0021】
教師データ生成部11は、教師データの生成時にデータ収集部10が取り込んだ1バッチ分の波形データから工作機械5の仕上げ工程の範囲の波形データを切り出すための第1のスレッショルドレベルを決定するレベル決定部110と、教師データの生成時にデータ収集部10が取り込んだ1バッチ分の波形データの中で、バッチ終了直前の第1のスレッショルドレベル以下の値の範囲を仕上げ工程の範囲の波形データとして切り出す切り出し処理部111と、仕上げ工程の範囲内の波形の立ち上がりを検出するための第2のスレッショルドレベルを決定するレベル決定部112と、仕上げ工程の範囲内で電流値が最初に第2のスレッショルドレベルを超えた時点からバッチ終了までの時間の長さに、所定の時間を加えた長さを、教師データの切り出し長として決定する切り出し長決定部113と、教師データの生成時にデータ収集部10が取り込んだ1バッチ分の波形データから、バッチ終了直前の、電流値が第1のスレッショルドレベル以下で、長さが切り出し長の範囲のデータを、教師データとして切り出す切り出し処理部114と、記憶部115とから構成される。
【0022】
検査用データ生成部13は、刃具の検査時にデータ収集部10が取り込んだ1バッチ分の波形データから、バッチ終了直前の、電流値が第1のスレッショルドレベル以下で、長さが切り出し長の範囲のデータを、検査用データとして切り出す切り出し処理部131と、教師データに基づいて、検査用データに対する位置補正開始タイミングを検出するための第3のスレッショルドレベルを決定するレベル決定部132と、教師データにおいて、電流値が第3のスレッショルドレベルを超える時点を、位置補正開始タイミングとし、教師データの位置補正開始タイミング間の範囲を位置補正ブロックとするブロック抽出部133と、教師データの位置補正ブロックと、位置補正ブロックと同じ時間位置にあるブロック区間の検査用データとの相関係数を位置補正ブロック毎に算出する相関係数算出部134と、相関係数が最大になるようにブロック区間の検査用データの時間位置を動かすことを位置補正ブロック毎に行う補正部135と、記憶部136とから構成される。
【0023】
最初に、刃具検査用の教師データの生成方法について説明する。図3図4は教師データ生成処理を説明するフローチャートである。
刃具検査装置1のオペレータは、工作機械5の刃具が正常な状態で、端末6を操作し、刃具検査装置1に対して教師データの生成を指示する。
【0024】
刃具検査装置1は、管理部16を介してオペレータからの指示を受けると、工作機械5のモータ50に供給される電流波形のデータからワークの仕上げ工程における電流波形データを教師データとして切り出すための切り出しパラメータ決定処理を、予め定められたパラメータ決定回数行う(図3ステップS100,S101)。
【0025】
切り出しパラメータ決定処理において、刃具検査装置1のデータ収集部10は、ワークの粗削り工程の開始時点から仕上げ工程の終了時点までの1バッチ分の電流波形データをCT2を介して取り込む(図4ステップS200)。データ収集部10が取り込んだデータは、教師データ生成部11内の記憶部115に格納される。1バッチ分を大まかに示すタイミング信号は、PLC52から取得することができる。1バッチ分の電流波形の1例を図5(A)に示す。図5(B)は図5(A)の電流波形のうち、教師データまたは検査用データとして切り出される部分の波形を示している。
【0026】
次に、刃具検査装置1の教師データ生成部11は、データ収集部10が取り込んだ1バッチ分の電流波形データから仕上げ工程の範囲の電流波形データを切り出すためのスレッショルドレベル(以下、THLEVEL)を決定する(図4ステップS201)。具体的には、教師データ生成部11内のレベル決定部110は、1バッチ分の電流波形データ中の電流ピーク値の半分の電流値をTHLEVELとする。なお、1バッチ分の電流のヒストグラムを作成し、中央値をTHLEVELとしてもよい。
【0027】
そして、教師データ生成部11内の切り出し処理部111は、データ収集部10が取り込んだ1バッチ分の電流波形データの中で、THLEVEL以下の電流値(Low)からTHLEVELを上回る電流値(High)になった最後の時点をトリガ点TP(バッチ終了時点)とし、トリガ点TPの直前のTHLEVEL以下の電流値の範囲を、仕上げ工程の範囲SHの電流波形データとして切り出す(図4ステップS202)。仕上げ工程の範囲SHを図6に示す。
【0028】
図6に示すように、仕上げ工程の範囲SHを切り出せる理由は、1バッチ分のデータが、前半では粗削り等の作業で電流波形が大きくばらつき、後半の仕上げ工程ではピークの小さな波形が続き、1バッチの最後に、モータ停止の逆起電力によって波形が大きく1回立ち上がって終了する、という特徴を有しているからである。
【0029】
続いて、教師データ生成部11内のレベル決定部112は、仕上げ工程の範囲SH内の電流波形の立ち上がりを検出するためのスレッショルドレベル(以下、UPLEVEL)を決定する(図4ステップS203)。具体的には、レベル決定部112は、仕上げ工程の範囲SHの電流波形データを例えばKmeans法によって2つのクラスタに分類する。そして、レベル決定部112は、2つのクラスタのそれぞれの重心の中間点の電流値をUPLEVELとする。
【0030】
次に、教師データ生成部11内の切り出し長決定部113は、仕上げ工程の範囲SH内で電流値が最初にUPLEVELを超えた時点から上記のトリガ点TPまでの時間の長さT1に、所定のヘッダ範囲の時間T2を加えた長さを、教師データの切り出し長(以下、THLENGTH)として決定する(図4ステップS204)。以上で、1バッチ分の電流波形データに関してTHLEVELとTHLENGTHの2つの切り出しパラメータを決定することができ、切り出しパラメータ決定処理が終了する。仕上げ工程の範囲SH内のTHLENGTH分の電流波形の1例を図7に示す。
【0031】
データ収集部10と教師データ生成部11とは、ステップS101(S200~S204)の切り出しパラメータ決定処理を、1バッチ分の電流波形データを取り込む度に行う。
【0032】
切り出しパラメータ決定処理を所定のパラメータ決定回数だけ行った後に、教師データ生成部11内の切り出し処理部114は、パラメータ決定回数分の電流波形データから得られた複数のTHLEVELの平均値をTHLEVELaとし、パラメータ決定回数分の電流波形データから得られた複数のTHLENGTHの平均値をTHLENGTHaとする(図3ステップS102)。
【0033】
続いて、切り出し処理部114は、記憶部115に記憶された1バッチ分の電流波形データから教師データを切り出す処理を、予め定められた学習回数行う(図3ステップS103,S104)。具体的には、切り出し処理部114は、記憶部115に記憶された1バッチ分の電流波形データから、トリガ点TPの直前の、電流値がTHLEVELa以下で、長さがTHLENGTHaの範囲のデータを、教師データとして切り出す。
【0034】
切り出し処理部114は、切り出した教師データを教師データ蓄積部12に保存する(図3ステップS105)。上記と同様に、トリガ点TP(バッチ終了時点)は、記憶部115に記憶された1バッチ分の電流波形データの中で、THLEVELa以下の電流値(Low)からTHLEVELaを上回る電流値(High)になった最後の時点である。
【0035】
教師データの切り出しと保存を予め定められた学習回数だけ行った時点で(図3ステップS103においてNO)、教師データ生成処理が終了する。
なお、切り出しパラメータ決定処理の段階でデータ収集部10が1バッチ分の電流波形データをパラメータ決定回数取り込んでいるので、学習回数はパラメータ決定回数以下であればよい。
【0036】
次に、刃具検査装置1のオペレータは、端末6を操作し、刃具検査装置1に対して工作機械5の刃具の検査実行を指示する。
刃具検査装置1は、管理部16を介してオペレータからの指示を受けると、検査用データ生成処理を行う。図8は検査用データ生成処理を説明するフローチャートである。
【0037】
刃具検査装置1のデータ収集部10は、1バッチ分の電流波形データをCT2を介して取り込む(図8ステップS300)。データ収集部10が取り込んだデータは、検査用データ生成部13内の記憶部136に格納される。
【0038】
検査用データ生成部13内の切り出し処理部131は、記憶部136に記憶された1バッチ分の電流波形データから、トリガ点TPの直前の、電流値がTHLEVELa以下で、長さがTHLENGTHaの範囲のデータを、検査用データとして切り出す(図8ステップS301)。検査用データは、検査用データ生成部13内の記憶部136に格納される。上記と同様に、トリガ点TP(バッチ終了時点)は、記憶部136に記憶された1バッチ分の電流波形データの中で、THLEVELa以下の電流値(Low)からTHLEVELaを上回る電流値(High)になった最後の時点である。
【0039】
続いて、検査用データ生成部13内のレベル決定部132は、教師データ蓄積部12に記憶された学習回数分の教師データの平均データに基づいて、検査用データに対する位置補正開始タイミングを検出するためのスレッショルドレベル(以下、UPLEVEL2)を決定する(図8ステップS302)。具体的には、レベル決定部132は、学習回数分の教師データの平均データを例えばKmeans法によって2つのクラスタに分類する。そして、レベル決定部132は、2つのクラスタのそれぞれの重心の中間点の電流値をUPLEVEL2とする。
【0040】
次に、検査用データ生成部13内のブロック抽出部133は、学習回数分の教師データの平均データにおいて、電流値がUPLEVEL2を超える時点を、検査用データに対する位置補正開始タイミングTCとし、教師データの平均データの位置補正開始タイミングTCから次の位置補正開始タイミングTCまでの範囲を位置補正ブロックCBとする(図8ステップS303)。学習回数分の教師データの平均波形の1例を図9に示す。
【0041】
検査用データ生成部13内の相関係数算出部134は、相関係数の算出対象の位置補正ブロックCBから、位置補正ブロックCBの開始側の位置補正開始タイミングTCを中心として前後window幅分のデータを切り出すと共に、位置補正ブロックCBと同じ時間位置にあるブロック区間の検査用データから、位置補正開始タイミングTCを中心として前後window幅分のデータを切り出し、位置補正ブロックCBから切り出したデータと検査用データから切り出したデータの相関係数を算出する(図8ステップS305)。検査用データのブロック区間とは、教師データの平均データの先頭を時刻0、検査用データの先頭を時刻0としたときに、位置補正ブロックCBと同じ時間位置にある範囲のことを言う。
【0042】
図10(A)に教師データの位置補正ブロックCBを示し、図10(B)に位置補正ブロックCBから切り出した波形を示し、図10(C)にブロック区間の検査用データから切り出した波形を示す。
【0043】
次に、相関係数算出部134は、検査用データの時間位置を所定時間t(t<window)の分だけ動かし(図8ステップS306)、相関係数の算出対象の位置補正ブロックCBから、位置補正ブロックCBの開始側の位置補正開始タイミングTCを中心として前後window幅分のデータを切り出すと共に、時間位置を動かした後に位置補正ブロックCBと同じ時間位置にあるブロック区間の検査用データから、位置補正開始タイミングTCを中心として前後window幅分のデータを切り出し、位置補正ブロックCBから切り出したデータと検査用データから切り出したデータの相関係数を再度算出する(ステップS305)。
【0044】
相関係数算出部134は、相関係数の算出対象の位置補正ブロックCBの開始側の位置補正開始タイミングTCを中心として、所定の時間範囲内(例えばTC-window~TC+window)で、検査用データの時間位置を動かしながら相関係数を繰り返し算出する。
【0045】
所定の時間範囲内で相関係数を全て算出し終えた後に(図8ステップS307においてYES)、検査用データ生成部13内の補正部135は、位置補正ブロックCBの開始側の位置補正開始タイミングTCを基準位置とし、相関係数が最大となった時間位置の基準位置に対するずれ量を求め、記憶部136に記憶された検査用データのうち、相関係数の算出対象のブロック区間の検査用データのみ時間位置を上記ずれ量分だけ動かして、記憶部136に記憶された検査用データを更新する(図8ステップS308)。
【0046】
こうして、位置補正ブロックCBとこれに対応するブロック区間の検査用データの時間位置を合わせることができる。なお、ステップS306では、検査用データ全体の時間位置を動かすが、記憶部136に記憶された検査用データは更新されない。一方、ステップS308では、ブロック区間の検査用データのみ時間位置が変更され、記憶部136に記憶された検査用データが更新される。
【0047】
また、補正部135は、相関係数の算出対象となったブロック区間の検査用データのみ時間位置を動かすので、例えば時間が遅れる方向に動かした場合、このブロック区間の後端のデータを上記ずれ量分だけ削除することになる。さらに、ブロック区間の先端にデータのない空白部分ができるので、補正部135は、ブロック区間の先端に、直前のブロック区間の後端の上記ずれ量分のデータを付加することでデータを補間する。
【0048】
また、補正部135は、相関係数の算出対象となったブロック区間の検査用データを時間が早まる方向に動かした場合、ブロック区間の先端のデータを上記ずれ量分だけ削除することになる。さらに、ブロック区間の後端にデータのない空白部分ができるので、補正部135は、ブロック区間の後端に、直後のブロック区間の先端の上記ずれ量分のデータを付加することでデータを補間する。
【0049】
検査用データ生成部13は、ステップS305~S308の処理を教師データの平均データの位置補正ブロックCB毎に行う。全ての位置補正ブロックCBについて処理を終えた場合、補正部135は、記憶部136に記憶された検査用データを検査用データ蓄積部14に保存する(図8ステップS309)。
【0050】
刃具検査装置1の判定部15は、教師データ蓄積部12に記憶された教師データの平均データと検査用データ蓄積部14に記憶された検査用データとを比較して、工作機械5の刃具に異常が発生しているかどうかを判定する。このときの判定方法は、例えば特許文献1、特許文献2に開示されているように周知の技術である。また、本発明は、特定の判定方法に限定されるものではない。
【0051】
判定部15は、例えば判定結果と、教師データの平均データの波形と、検査用データの波形とを表示器3に表示させる。また、判定部15は、判定結果と、教師データの平均データと、検査用データとを外部記憶装置4に格納する。
【0052】
以上のように、本実施例では、工作機械5から仕上げ工程のタイミング信号が供給されない場合であっても、刃具検査装置1側で仕上げ工程の区間を推定し、仕上げ工程の教師データと検査用データを抽出することができる。また、工作機械5の加工タイミングに工作機械内部の制御タイミング周期単位で時間ずれが発生する場合があるが、本実施例ではブロック単位で教師データと検査用データの時間位置を合わせることができ、時間ずれを補正することができる。
【0053】
本実施例で説明した刃具検査装置1は、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置及びインターフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。このコンピュータの構成例を図11に示す。
【0054】
コンピュータは、CPU200と、記憶装置201と、インターフェース装置(I/F)202とを備えている。I/F102には、表示器3と外部記憶装置4と工作機械5と端末6等が接続されている。このようなコンピュータにおいて、本発明の刃具検査方法を実現させるためのプログラムは記憶装置201に格納される。CPU200は、記憶装置201に格納されたプログラムに従って本実施例で説明した処理を実行する。また、刃具検査装置1の少なくとも一部をハードウェアで実現してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、工作機械の刃具の異常を検出する技術に適用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1…刃具検査装置、2…CT、3…表示器、4…外部記憶装置、5…工作機械、6…端末、10…データ収集部、11…教師データ生成部、12…教師データ蓄積部、13…検査用データ生成部、14…検査用データ蓄積部、15…判定部、16…管理部、50…モータ、51…制御部、52…PLC、110,112,132…レベル決定部、111,114,131…切り出し処理部、113…切り出し長決定部、115,136…記憶部、133…ブロック抽出部、134…相関係数算出部、135…補正部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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