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特開2024-169615ゲームプログラム、およびゲーム装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169615
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】ゲームプログラム、およびゲーム装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/54 20140101AFI20241128BHJP
   A63F 13/833 20140101ALI20241128BHJP
   A63F 13/55 20140101ALI20241128BHJP
   A63F 13/28 20140101ALI20241128BHJP
【FI】
A63F13/54
A63F13/833
A63F13/55
A63F13/28
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024164792
(22)【出願日】2024-09-24
(62)【分割の表示】P 2021169760の分割
【原出願日】2021-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渥美 格之進
(72)【発明者】
【氏名】中山 貴之
(72)【発明者】
【氏名】蓑宮 正哲
(72)【発明者】
【氏名】南 匡彦
(57)【要約】
【課題】コンピュータで実行するゲームにおいて、視覚に頼らずに、画面内のオブジェクトの位置を把握できるようにする。
【解決手段】ユーザの操作に応じて第1キャラクタの仮想空間内における動作を決定する動作部、動作部の決定に応じて、仮想空間内の第2キャラクタと第1キャラクタとを同時に画面に表示させる表示部としてコンピュータを機能させる。第1キャラクタと第2キャラクタの、仮想空間における位置関係を表す情報であって、視覚を用いずに認知できる情報を出力する出力部としてコンピュータを機能させ、出力部は、第1キャラクタおよび第2キャラクタが同時に画面に表示されている場合には、情報を常に出力する一方、第1キャラクタおよび第2キャラクタの何れかが画面に表示されていない場合には、情報を出力しない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
ユーザの操作に応じて第1キャラクタの仮想空間内における動作を決定する動作部と、
前記動作部の決定に応じて、前記仮想空間内の第2キャラクタと前記第1キャラクタとを同時に画面に表示させる表示部と、
前記第1キャラクタと前記第2キャラクタの、前記仮想空間における位置関係を表す情報であって、視覚を用いずに認知できる情報を出力する出力部と、
して機能させ、
前記出力部は、前記第1キャラクタおよび前記第2キャラクタが同時に前記画面に表示されている場合には、前記情報を常に出力する一方、前記第1キャラクタおよび前記第2キャラクタの何れかが前記画面に表示されていない場合には、前記情報を出力しないことを特徴とするゲームプログラム。
【請求項2】
請求項1のゲームプログラムにおいて、
前記情報は、音で表されていることを特徴とするゲームプログラム。
【請求項3】
請求項2のゲームプログラムにおいて、
前記音は、前記位置関係を自然言語で説明する音声であることを特徴とするゲームプログラム。
【請求項4】
請求項2または請求項3のゲームプログラムにおいて、
前記音は、ゲーム中に常に再生されるループ音であることを特徴とするゲームプログラム。
【請求項5】
請求項2または請求項4のゲームプログラムにおいて、
前記情報は、振動でも表されていることを特徴とするゲームプログラム。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか1つのゲームプログラムにおいて、
前記コンピュータを、
前記第1キャラクタと前記第2キャラクタの前記仮想空間における距離を、前記位置関係として求める算出部として機能させ、
前記出力部は、前記距離に応じて前記情報を出力することを特徴とするゲームプログラム。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れか1つのゲームプログラムにおいて、
前記出力部は、前記第1キャラクタと前記第2キャラクタの位置関係が、初期状態から入れ替わった場合には、前記初期状態とは異なる態様で前記情報を出力することを特徴とするゲームプログラム。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れか1つのゲームプログラムにおいて、
前記コンピュータを、
前記ユーザの操作に応じて、前記出力部の出力を停止させるモード切替部として機能させることを特徴とするゲームプログラム。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れか1つのゲームプログラムにおいて、
前記出力部は、前記第1キャラクタおよび前記第2キャラクタの少なくとも一方の前記仮想空間における位置座標も考慮して前記情報を出力することを特徴とするゲームプログラム。
【請求項10】
請求項1から請求項9の何れかのゲームプログラムを記憶した記憶部と、
前記ゲームプログラムを実行する制御部と、
を備えたことを特徴とするゲーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ゲームプログラム、およびゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータで実行するゲームの中には、ユーザが仮想空間内でキャラクタ同士を対戦させるものがある(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-126435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記ゲームでは、キャラクタが画像として表示される。しかしながら、プレイヤによっては、キャラクタを視認できない、あるいは視認が難しい人がいる。
【0005】
本開示の目的は、コンピュータで実行するゲームにおいて、視覚に頼らずに、画面内のオブジェクトの位置を把握できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、コンピュータを、
ユーザの操作に応じて第1キャラクタの仮想空間内における動作を決定する動作部と、
前記動作部の決定に応じて、前記仮想空間内の第2キャラクタと前記第1キャラクタとを同時に画面に表示させる表示部と、
前記第1キャラクタと前記第2キャラクタの、前記仮想空間における位置関係を表す情報であって、視覚を用いずに認知できる情報を出力する出力部と、
して機能させ、
前記出力部は、前記第1キャラクタおよび前記第2キャラクタが同時に前記画面に表示されている場合には、前記情報を常に出力する一方、前記第1キャラクタおよび前記第2キャラクタの何れかが前記画面に表示されていない場合には、前記情報を出力しないことを特徴とするゲームプログラムである。
【0007】
また、第1の態様において、前記情報は、音で表されてもよい。
【0008】
また、前記態様においては、前記音は、前記位置関係を自然言語で説明する音声でもよい。
【0009】
また、前記態様においては、前記音は、ゲーム中に常に再生されるループ音でもよい。
【0010】
また、前記態様においては、前記情報は、振動でも表されてもよい。
【0011】
また、前記態様においては、前記コンピュータを、
前記第1キャラクタと前記第2キャラクタの前記仮想空間における距離を、前記位置関係として求める算出部として機能させ、
前記出力部は、前記距離に応じて前記情報を出力してもよい。
【0012】
また、前記態様においては、前記出力部は、前記第1キャラクタと前記第2キャラクタの位置関係が、初期状態から入れ替わった場合には、前記初期状態とは異なる態様で前記情報を出力してもよい。
【0013】
また、前記態様においては、
前記コンピュータを、
前記ユーザの操作に応じて、前記出力部の出力を停止させるモード切替部として機能させてもよい。
【0014】
また、前記態様においては、前記出力部は、前記第1キャラクタおよび前記第2キャラクタの少なくとも一方の前記仮想空間における位置座標も考慮して前記情報を出力してもよい。
【0015】
また、第2の態様は、
第1から第9の態様の何れかのゲームプログラムを記憶した記憶部と、
前記ゲームプログラムを実行する制御部と、
を備えたことを特徴とするゲーム装置である。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、コンピュータで実行するゲームにおいて、視覚に頼らずに、画面内のオブジェクトの位置を把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態のゲーム装置の構成を示すブロック図である。
図2】ゲーム画像の一例を示す
図3】第1キャラクタと第2キャラクタの位置関係の一例である。
図4】第1キャラクタと第2キャラクタの位置関係を示す他の例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示におけるゲームプログラム、およびゲーム装置について、図面を参照して説明する。
【0019】
なお、以下の説明において、「ゲーム」とは、所定のルールに従って、何らかの目的を達成する活動であって、コンピュータを利用して実施されるものをいう。前記ゲームには、複数の参加者が競い合うもの(勝敗を定めるもの)もあるし、参加者毎に、得点、時間などの、何らかの指標に基づく評価を受けるものもある。ここでの参加者は、個人またはチームの両方を含む。
【0020】
[実施形態]
《ゲームの概要》
本実施形態にかかるゲームは、例えば、eスポーツ大会において実施される。このゲームは、プレイヤ(参加者)の操作を受けて、プレイヤキャラクタを二次元の仮想ゲーム空間(以下、仮想空間VSという)で活動させたり、プレイヤキャラクタの仲間に対して様々なアクションを行わせたりする。
【0021】
以下で説明するゲームは、プレイヤキャラクタを、他のプレイヤキャラクタまたはノンプレイヤキャラクタと仮想空間VS内で対戦させる対戦型アクションゲームである。より具体的には、このゲームは、いわゆる格闘ゲームである。
【0022】
以下では、プレイヤ(プレイヤP1とする)が操作するプレイヤキャラクタを第1キャラクタC1と呼ぶ。第1キャラクタC1と対戦するキャラクタを第2キャラクタC2とよぶ。本実施形態では、対戦中は、常に第1キャラクタC1と第2キャラクタC2が画面(後述のディスプレイ61)に表示される。
【0023】
本実施形態では、第2キャラクタC2は、別のプレイヤ(プレイヤP2とする)によって操作される。ゲームによっては、あるいはゲームのモードによっては、第2キャラクタC2は、コンピュータによって操作される場合がある。
【0024】
この格闘ゲームでは、2人のプレイヤが、1対1で対戦を行う。対戦では、各ゲームプレイヤが、一のキャラクタをプレイヤキャラクタとして選択して操作する。対戦では、例えば、いずれかのキャラクタの体力値(ゲーム内における生存や活動の可能性を示すパラメータ)が0になることで勝敗が決定する。例えばeスポーツ大会では、トーナメント方式(勝ち抜き戦方式)などにより、大会が進行する。
【0025】
《ハードウェアの構成》
〈概要〉
ゲーム装置5は、ゲームプレイヤの操作に基づいてゲームを実行する。本実施形態では、ゲーム装置5において、対戦型アクションゲームが行われる。本実施形態では、一台のゲーム装置5によって、一組のプレイヤ(この例では二人)の操作を受け付ける。
【0026】
ゲーム装置5には、例えば、パーソナルコンピュータ、プレイステーション(登録商標)、XBox(登録商標)、PlayStation Vita(登録商標)、Nintendo Switch(登録商標)などの、市販の装置を利用できる。
【0027】
ゲーム装置5は、通信ネットワーク(図示を省略)を介してサーバ装置(図示を省略)からゲームプログラムおよびゲームデータを受信(ダウンロード)する場合がある。ゲーム装置5は、ゲームプログラム等を受信したら、受信したゲームプログラム等をインストールする。
【0028】
ゲーム装置5は、各プレイヤ(プレイヤP1,P2)の操作に基づいて、対戦型アクションゲームによる対戦を開始する。ゲーム装置5は、ゲームを進行させる。ゲーム装置5は、ゲームの進行中に、各プレイヤの操作に基づいてゲーム画像をディスプレイ61(後述)に出力し、音声をスピーカ62(後述)に出力する。
【0029】
〈ゲーム装置5の構成〉
図1は、ゲーム装置5の構成を示すブロック図である。ゲーム装置5には、図1に示すように、ディスプレイ61、スピーカ62およびコントローラ63が外部接続または内蔵される。ディスプレイ61は、2台設けられている。ゲーム装置5には、コントローラ63も2台設けられている。以下では、ディスプレイ61のように複数が存在する構成要素には、必要に応じて、参照符号に枝番を付して区別する(例えば61-1、61-2等。以下同様)。
【0030】
ディスプレイ61-1およびコントローラ63-1は、プレイヤP1が使用する。ディスプレイ61-2およびコントローラ63-2は、プレイヤP2が使用する。コントローラ63は、ゲーム装置5において標準で装備されたものに代えて、プレイヤ(プレイヤP1,P2)自身によって用意されたものが接続される場合もある。
【0031】
ゲーム装置5は、ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54、記憶部55、および制御部56を有する。ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54、および記憶部55は、バス59を介して制御部56と電気的に接続されている。
【0032】
ネットワークインターフェース51は、ゲーム装置5とサーバ装置(図示を省略)等との間で、各種データを送受信するために、通信ネットワーク(図示を省略)に通信可能に接続される。
【0033】
グラフィック処理部52は、制御部56から出力されるゲーム画像情報(後述)に従って、仮想空間VSに関する各種オブジェクトを含むゲーム画像を、動画形式で描画する。グラフィック処理部52は、例えば液晶型であるディスプレイ61(61-1,61-2)と接続されている。動画形式に描画されたゲーム画像は、ゲーム画面としてディスプレイ61上に表示される。
【0034】
オーディオ処理部53は、スピーカ62と接続されている。オーディオ処理部53は、制御部56の指示に従ってゲーム音声を再生および合成し、これをスピーカ62から出力させる。
【0035】
操作部54は、コントローラ63(63-1,63-2)と接続されている。操作部54は、操作入力に関するデータをコントローラ63との間で送受信する。プレイヤP1,P2は、コントローラ63のボタン等の各種操作子を操作することで、ゲーム装置5に操作信号を入力する。
【0036】
なお、本ゲームでは、第1キャラクタC1と第2キャラクタC2が、ディスプレイ61上において左右に並んで対峙する(図2参照)。本ゲームでは、操作対象のキャラクタがその相手の右側に位置するか、左側に位置するかによって、動作の種類(例えばキック等の技の種類)が同じであっても、コントローラ63の操作子の動かし方が変わる。
【0037】
記憶部55は、HDD、SSD、RAMおよびROMなどで構成されている。記憶部55には、サーバ装置(図示を省略)からダウンロードされたゲームデータ、ゲームプログラムの一部を含む各種プログラムなどが格納されている。
【0038】
制御部56は、ゲーム装置5の動作を制御する。制御部56は、CPU(マイクロコンピュータ)および半導体メモリを備えている(図示は省略)。半導体メモリには、CPUを動作させるためのプログラムなどが格納されている。
【0039】
《ゲーム装置5における制御部56の機能的構成》
制御部56は、そのCPUが各種プログラムを実行することにより、動作部561、表示部562、出力部563、算出部564、モード切替部565として機能する。
【0040】
動作部561は、ユーザのコントローラ63の操作に応じて仮想空間VS内における第1キャラクタの動作を決定する。具体的に動作部561は、ユーザのコントローラ63の操作に応じて、キャラクタの姿勢、技(ジャンプ、キック)等を決定する。
【0041】
表示部562は、動作部561の決定に応じて、第1キャラクタC1と第2キャラクタC2を同時に、ディスプレイ61(61-1,61-2)に表示させる。具体的に表示部562は、動作部561が決定した動作を表す動画像を表示するための情報(ゲーム画像情報)を生成する。このゲームでは、ゲーム画像情報は、二次元の動画像を生成する情報である。ゲームによっては、ゲーム画像情報は、三次元の動画像を生成するための情報である。
【0042】
表示部562は、ゲーム画像情報をグラフィック処理部52に送信する。ゲーム画像情報は、グラフィック処理部52によって処理される。グラフィック処理部52の処理により、ディスプレイ61にはゲーム画像(動画像)が表示される。例えば、図2に示すようなゲーム画像Scがディスプレイ61に表示される。
【0043】
ゲーム画像Scは、eスポーツ大会の会場に設置された観客用ディスプレイに表示される場合がある。ゲーム画像Scは、通信ネットワークを介して観戦者に配信される場合もある。
【0044】
算出部564は、前記位置関係として、第1キャラクタC1と第2キャラクタC2の仮想空間VS(ゲーム画像Sc)における距離を求める(図3参照)。図3の例は、初期状態(ゲーム開始直後)における第1キャラクタC1と第2キャラクタC2の距離D(位置関係)を示している。
【0045】
距離Dは、キャラクタの何れの部位を計測の基準点としてもよい。例えば、算出部564は、キャラクタの頭の中心を計測の基準点としたり、胴の中心を計測の基準点としたりできる。
【0046】
このゲームでは、プレイ中に第1キャラクタC1と第2キャラクタC2の位置関係が、初期状態(図3参照)から入れ替わる場合がある。図4の例では、初期状態(図3参照)と比べると、第1キャラクタC1と第2キャラクタC2の位置関係が、互いに左右逆になっている。
【0047】
算出部564は、第1キャラクタC1と第2キャラクタC2の位置関係が、初期状態から入れ替わった場合には、算出値の符号を算出した距離Dの符号を反転させて出力する。
【0048】
例えば、図3の状態が初期状態であるとする。本実施形態の算出部564は、図3の状態では、距離Dの値として正の値を出力し、図4の状態では、距離Dの値として負の値を出力する。勿論、図3の状態において距離Dの値として負の値が出力され、図4の状態において距離Dの値として正の値が出力されるように、算出部564を構成してもよい。
【0049】
出力部563は、第1キャラクタC1と第2キャラクタC2の、仮想空間VSにおける位置関係を表す情報を出力する。「位置関係を表す情報」は、プレイヤが視覚を用いずに認知できる情報である。本実施形態では、出力部563は、位置関係を表す情報を、音(以下、位置識別音という)で表して出力する。具体的に出力部563は、オーディオ処理部53に所定の信号を送信することによって、出力したい音をスピーカ62から出力させる。
【0050】
本実施形態では、第1キャラクタC1、第2キャラクタC2が表示されている場合は、位置識別音が常に出力されている。また、第1キャラクタC1、および第2キャラクタC2の何れかが表示されていない場合には、位置識別音は、出力されない。
【0051】
本実施形態では、位置識別音は、対戦中に常に再生されるループ音である。本実施形態の位置識別音(ループ音)は、アラーム音である。本実施形態では、出力部563は、距離Dの絶対値が小さくなるほど、位置識別音を構成する音の長さ(拍)を短くする。換言すると、出力部563は、距離Dの絶対値が小さくなるほど、より短い周期で変化する音を出力する。
【0052】
例えば、現在、「ピーピーピーピー…」という、比較的、長周期で変化する位置識別音(アラーム音)を出力部563が出力しているとする。つまり、位置識別音を構成する音(「ピー」という音)の拍が比較的、長いとする。
【0053】
距離Dの絶対値が、現状から小さくなると、出力部563は、「ピッピッピッピッ…」というように、より短周期で変化する音(連続する短い音)に、位置識別音を変化させる。更に距離Dの絶対値が小さくなると、出力部563は、「ピピピピピ…」というように、更に短周期で変化する音(更に短い音の連続)に、位置識別音を変化させる。
【0054】
出力部563は、第1キャラクタC1と第2キャラクタC2の位置関係が、初期状態から入れ替わった場合には、初期状態とは異なる態様で情報を出力する。本実施形態では、出力部563は、第1キャラクタC1と第2キャラクタC2の位置関係が、初期状態から入れ替わった場合には、音の種類(例えばアラーム音の種類)を変更する。なお、本実施形態では、出力部563は、距離値の正負に基づいて、第1キャラクタC1と第2キャラクタC2の位置関係が入れ替わったか否かを判断する。
【0055】
また、出力部563は、第1キャラクタC1および第2キャラクタC2の少なくとも一方の仮想空間VSにおける位置座標も考慮して情報(この例では音)を出力する。本実施形態では、第1キャラクタC1、第2キャラクタC2のそれぞれの位置座標と、仮想空間VS内のオブジェクト(壁のオブジェクト、樹木のオブジェクトなど)との距離に応じて音を変化させている。例えば出力部563は、第1キャラクタC1が壁に近づくにつれて、短周期で変化する音を出力する。
【0056】
モード切替部565は、ユーザ(例えばプレイヤP1,P2)の操作に応じて、出力部563の出力のオンオフを切り替える。本ゲームプログラムは、ユーザインターフェースとして、設定画面(図示を省略)をゲーム画面に重ねて表示する機能が実装されている。
【0057】
この設定画面は、ユーザによってモード切替部565への指示を行えるように実装されている。本実施形態では、位置識別音のオンオフを切り替えるボタンが表示される。ユーザは、コントローラ63を介してこのボタンを操作できる。すなわち、ユーザは、位置識別音の出力が不要な場合には、モード切替部565を介して、出力部563の出力を停止させることができる。
【0058】
位置識別音のオンオフに応じて、位置識別音以外の音の音量を調整してもよい。例えば、位置識別音がオンの場合に、位置識別音以外の音(例えばBGM等)の音量を位置識別音がオフの場合よりも小さくすることが考えられる。
【0059】
《動作例》
ゲーム開始時には、必要に応じて、ユーザ(プレイヤP1,P2とは限らない)が操作部54を介して、モード切替部565に指示を送る。ここでは、ユーザが、モード切替部565に対して、出力部563による出力を許容したと仮定する。
【0060】
対戦は、プレイヤ等が所定の操作子を操作すると始まる。対戦が始まると、第1キャラクタC1、および第2キャラクタC2が、ディスプレイ61-1、およびディスプレイ61-2に表示される(図2参照)。
【0061】
算出部564は、第1キャラクタC1と第2キャラクタC2との距離を算出する。本実施形態では、初期状態において算出部564が出力する距離Dの値は、正の数である。第1キャラクタC1と第2キャラクタC2の位置関係が、初期状態から入れ替わった場合には、距離Dの値は負の数である。
【0062】
出力部563は、算出部564が出力した距離Dの値に応じた音を、スピーカ62から出力させる。本ゲームプログラムでは、距離Dの算出と、距離Dに応じた音の出力は、ゲーム中において継続的(例えば周期的)に行われる。それにより、本ゲームでは、第1キャラクタC1と第2キャラクタC2の距離が変化したら、位置識別音が変化する。
【0063】
本実施形態では、第1キャラクタC1に第2キャラクタC2が近づくにつれて、位置識別音を構成する音の長さ(拍)は短くなる。プレイヤは、音の変化によって(換言すると聴覚によって)、自身が操作するキャラクタと相手キャラクタとの距離を認識できる。
【0064】
プレイヤは、認識した距離に基づいて、次の動作(例えば、キック、ジャンプなど)を決めることができる。換言すると、プレイヤは、視覚を用いずに、次の動作を決めることができる。次の動作が決まったら、プレイヤは、コントローラ63を操作することができる。このようにして、本実施形態ではゲーム(対戦)が進行する。
【0065】
以上をまとめると、本件態様は、コンピュータを、ユーザの操作に応じて第1キャラクタC1の仮想空間VS内における動作を決定する動作部561と、前記動作部561の決定に応じて、前記仮想空間VS内の第2キャラクタC2と前記第1キャラクタC1とを同時に画面に表示させる表示部562と、前記第1キャラクタC1と前記第2キャラクタC2の、前記仮想空間VSにおける位置関係を表す情報であって、視覚を用いずに認知できる情報を出力する出力部563として機能させることを特徴とするゲームプログラムである。
【0066】
《本実施形態の効果》
本実施形態では、第1キャラクタC1と第2キャラクタC2の距離が音で表される。また、プレイヤは、自身が操作するキャラクタが相手の右側に位置するか、左側に位置するかを、音によって把握できる。
【0067】
以上の通り、本実施形態によれば、コンピュータで実行するゲームにおいて、視覚に頼らずに、画面内のオブジェクトの位置を把握できる。
【0068】
[その他の実施形態]
第1キャラクタC1と第2キャラクタC2の位置関係は、出力する音のピッチによって表してもよい。具体的には、第1キャラクタC1と第2キャラクタC2の位置関係が変化したら、ピッチを変化させればよい。
【0069】
位置関係を表す情報は、アラーム音に限定されない。位置関係を自然言語で説明する音声が出力されるように、出力部563を構成してもよい。例えば、「第2キャラクタC2が近づいてきた!」、「距離50!」といった実況音声で位置関係を伝えるように、出力部563を構成することが考えられる。
【0070】
位置関係を表す情報は、振動でもよい。この場合は、距離Dの絶対値に応じて、振動の振幅を変えたり、振動の周波数を変えたりするとよい。勿論、音と振動を併用して位置関係を表してもよい。
【0071】
ゲームは、三次元の仮想空間を用いるものでもよい。この場合は、三次元空間における位置を把握できるように、距離の表現に用いる音の種類や、出力するスピーカの選択(出力チャンネルの選択)を行うとよい。
【0072】
ゲームプログラムは、位置関係以外の情報を音で表すように実装してもよい。例えば、ゲームプログラムは、相手キャラクタの状態(例えば相手キャラクタの姿勢)、ゲームの結果(対戦の勝敗等)等を音で表すように実装してもよい。また、相手キャラクタの種類によって、位置識別音の種類を変更してもよい。
【0073】
ゲームプログラムは、いわゆるオンラインゲーム用のゲームプログラムとして実装してもよい。ゲームプログラムがオンラインゲーム用である場合には、制御部56で行っていた処理をサーバ側で行ってもよいし、サーバ側とクライアント(ゲーム装置5)側とで分担してもよい。
【0074】
ゲーム動画を配信する場合にも、位置識別音を出力してもよい。その場合において、配信される動画については、配信者側における位置識別音のオンオフ設定とは独立して、位置識別音のオンオフの切り替えができるようにしてもよい。例えば、ゲーム動画の配信者(プレイヤ)が位置識別音をオンにした場合に、配信を受ける人が位置識別音をオフにすることが考えられる。あるいは、ゲーム動画の配信者が位置識別音をオフにした場合に、配信を受ける人が位置識別音をオンにすることが考えられる。
【0075】
位置識別音は、格闘ゲーム以外にも適用できる。例えば、アクションゲーム、シューティングゲーム、バトルロイヤルゲーム、RPG等に適用してもよい。
【0076】
相手キャラクタは、同時に複数が存在してもよい。その場合、どの相手キャラクタとの距離を位置識別音で表すかは任意である。例えば、プレイヤキャラクタに最も近い相手キャラクタとの距離に応じて位置識別音を出力するようにしてもよい。
【0077】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本態様の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、および他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0078】
5 ゲーム装置
55 記憶部
56 制御部(コンピュータ)
561 動作部
562 表示部
563 算出部
564 出力部
565 モード切替部
C1 第1キャラクタ
C2 第2キャラクタ
D 距離
VS 仮想空間
図1
図2
図3
図4