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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016962
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】弁装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/00 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
F16K27/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119279
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 裕正
【テーマコード(参考)】
3H051
【Fターム(参考)】
3H051AA01
3H051BB02
3H051CC11
3H051DD03
3H051EE02
3H051FF08
(57)【要約】
【課題】弁座部が巣などの材料欠陥を有していたとしても、弁座部を介した、作動流体の漏洩を防ぐことができる弁装置を提供することである。
【解決手段】弁装置100であって、押し出し棒又は引き抜き棒からなり、切削加工により形成される一対の軸線方向切削面21,22を有する弁座部20Aを備え、弁座部20Aを軸線L方向からみた際に、一側の軸線方向切削面21と他側の軸線方向切削面22とがそれぞれ重複する、一対の重複領域21j,22jにおいて、軸線L方向に流体経路内外の差圧が負荷され、作動流体が漏洩しないように、一側の重複領域21j、及び、他側の重複領域22jの少なくとも前者に、作動流体漏洩防止手段81A,2が設けられ、軸線L方向からみて、作動流体漏洩防止手段81A,2が設けられる領域Rs1,Rp1は、重ねられた一対の重複領域21j,22jの全てに亘って設けられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄板により形成されるともに内部空間を構成する弁本体と、
押し出し棒又は引き抜き棒からなり、切削加工により形成される一対の軸線方向切削面、及び、前記一対の軸線方向切削面との間を貫通する弁ポートを有し、前記弁本体の軸線方向の一端に設けられる嵌合孔に、軸線方向の一端側から接合される弁座部と、
前記弁ポートの開度を変更する弁体と、を備える弁装置であって、
前記弁座部を軸線方向からみた際に、一側の前記軸線方向切削面と他側の前記軸線方向切削面とがそれぞれ重複する領域を、一対の重複領域とし、
前記一対の重複領域において、軸線方向に流体経路内外の差圧が負荷され、作動流体が漏洩しないように、一側の前記重複領域、及び、他側の前記重複領域の少なくとも前者に、作動流体漏洩防止手段の少なくとも一部が設けられ、
軸線方向からみて、前記作動流体漏洩防止手段が設けられる領域は、重ねられた前記一対の重複領域の全てに亘って設けられることを特徴とする弁装置。
【請求項2】
前記作動流体漏洩防止手段は、軸線方向封孔部を含むとともに、
前記弁座部に、継手管の接合部を接合することにより、前記一対の重複領域を、前記接合部より径方向内側及び径方向外側に位置する、一対の内側重複領域及び一対の外側重複領域に画定し、
一側の前記内側重複領域を、前記継手管の内部領域に配置し、
前記軸線方向封孔部を、前記一対の外側重複領域のいずれか一方に設けることを特徴とする請求項1に記載の弁装置。
【請求項3】
前記軸線方向封孔部は、溶融固化したろう材を付着させることによって構成されることを特徴とする請求項2に記載の弁装置。
【請求項4】
前記軸線方向封孔部における前記ろう材は、前記一対の外側重複領域のいずれか一方の全てを覆うように形成された凹部に収容されることを特徴とする請求項3に記載の弁装置。
【請求項5】
前記軸線方向封孔部は、溶接を施すことによって構成されることを特徴とする請求項2に記載の弁装置。
【請求項6】
前記軸線方向封孔部は、塑性加工を施すことによって構成されることを特徴とする請求項2に記載の弁装置。
【請求項7】
前記作動流体漏洩防止手段は、さらに、
前記弁本体に前記弁座部を接合する際に、前記弁座部の側面に沿った円筒形状領域に、溶融固化したろう材を付着させることによって構成される円周方向封孔部を設けることを特徴とする請求項2に記載の弁装置。
【請求項8】
前記作動流体漏洩防止手段は、
継手管の接合部の外径を、前記弁本体の前記嵌合孔の内径よりも大きく設定し、前記弁座部に、継手管の接合部を接合することにより、
前記一側の重複領域の全てを、前記継手管の内部領域に配置することを特徴とする請求項1に記載の弁装置。
【請求項9】
前記継手管の前記接合部は、前記弁座部の挿入孔内に挿入及び接合されることを特徴とする請求項8に記載の弁装置。
【請求項10】
前記弁座部の挿入筒は、前記継手管の前記接合部内に挿入及び接合されることを特徴とする請求項8に記載の弁装置。
【請求項11】
前記継手管は、基部と、前記基部の内径より大きい内径を有する前記接合部と、を備えることを特徴とする請求項8に記載の弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押し出し棒又は引き抜き棒からなり、切削加工により形成される一対の軸線方向切削面を有する弁座部を備える弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
弁装置の弁座部の素材としては、加工時における切削性などを向上させるために、真鍮、ステンレスなどの金属材料に、微量の鉄鋼用合金元素(添加物)を添加した鋼材を用いることがある。この鉄鋼用合金元素は、鋼材を製造する際に、合金になり難く、金属材料中に巣など材料欠陥である微小な空洞として残ることがある。
【0003】
続く、押し出し加工又は引き抜き加工により、棒材を形成する工程では、金属材料中の微小な空洞が、棒材の軸線方向に延在するように形成される。その後の切削加工により、この棒材に一対の軸線方向切削面を形成する工程では、軸線方向に延在する微小な空洞(以下、「軸線方向空洞」という)が、各軸線方向切削面から外部に露出してしまうおそれがあった。
【0004】
ここは、例えば、特許文献1(特に、図1参照)には、弁装置であって、弁本体10の軸線方向の一端に設けられる嵌合孔に接合される弁座部材11と、弁座部材11に接合される継手管からなる第2入出口7と、を備えるものが記載されている。なお、特許文献1には、弁座部材11を形成する加工工程についての記載はないが、図1に示される弁座部材11は、角部が立っていることから、ここでは、押し出し棒又は引き抜き棒からなり、切削加工により形成される一対の軸線方向切削面を有し、軸線方向に延在する微小な空洞を内部に有するものと仮定する。
【0005】
この弁座部材11において、一対の軸線方向切削面は、内部空間(弁室12)及び外部空間にそれぞれ露出した内部露出面及び外部露出面を備え、この内部露出面及び外部露出面を軸線方向からみると、重複して配置される。また、この内部露出面及び外部露出面における重複した領域の間には、軸線方向空洞が介在している。よって、特に、作動流体が、液体ではなく、気体又は気液二相流である場合に、弁座部材11の軸線方向に流体経路内外の差圧が負荷されると、内部露出面及び外部露出面における重複した領域及び軸線方向空洞を介して、最悪の場合、作動流体の漏洩が発生するという問題(以下、「従来の問題点(軸線方向空洞を介した作動流体の漏洩)」という)があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-156447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、弁座部が巣などの材料欠陥を有していたとしても、弁座部を介した、作動流体の漏洩を防ぐことができる弁装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、薄板により形成されるともに内部空間を構成する弁本体と、押し出し棒又は引き抜き棒からなり、切削加工により形成される一対の軸線方向切削面、及び、前記一対の軸線方向切削面との間を貫通する弁ポートを有し、前記弁本体の軸線方向の一端に設けられる嵌合孔に、軸線方向の一端側から接合される弁座部と、前記弁ポートの開度を変更する弁体と、を備え、前記弁座部を軸線方向からみた際に、一側の前記軸線方向切削面と他側の前記軸線方向切削面とがそれぞれ重複する領域を、一対の重複領域とし、前記一対の重複領域において、軸線方向に流体経路内外の差圧が負荷され、作動流体が漏洩しないように、一側の前記重複領域、及び、他側の前記重複領域の少なくとも前者に、作動流体漏洩防止手段の少なくとも一部が設けられ、軸線方向からみて、前記作動流体漏洩防止手段が設けられる領域は、重ねられた前記一対の重複領域の全てに亘って設けられる弁装置である。
【0009】
また、上記弁装置であって、前記作動流体漏洩防止手段は、軸線方向封孔部を含むとともに、前記弁座部に、継手管の接合部を接合することにより、前記一対の重複領域を、前記接合部より径方向内側及び径方向外側に位置する、一対の内側重複領域及び一対の外側重複領域に画定し、一側の前記内側重複領域を、前記継手管の内部領域に配置し、前記軸線方向封孔部を、前記一対の外側重複領域のいずれか一方に設けるものとしてもよい。
【0010】
また、上記弁装置であって、前記軸線方向封孔部は、溶融固化したろう材を付着させることによって構成されるものとしてもよい。
【0011】
また、上記弁装置であって、前記軸線方向封孔部における前記ろう材は、前記一対の外側重複領域のいずれか一方の全てを覆うように形成された凹部に収容されるものとしてもよい。
【0012】
また、上記弁装置であって、前記軸線方向封孔部は、溶接を施すことによって構成されるものとしてもよい。
【0013】
また、上記弁装置であって、前記軸線方向封孔部は、塑性加工を施すことによって構成されるものとしてもよい。
【0014】
また、上記弁装置であって、前記作動流体漏洩防止手段は、さらに、前記弁本体に前記弁座部を接合する際に、前記弁座部の側面に沿った円筒形状領域に、溶融固化したろう材を付着させることによって構成される円周方向封孔部を設けるものとしてもよい。
【0015】
また、上記弁装置であって、前記作動流体漏洩防止手段は、継手管の接合部の外径を、前記弁本体の前記嵌合孔の内径よりも大きく設定し、前記弁座部に、継手管の接合部を接合することにより、前記一側の重複領域の全てを、前記継手管の内部領域に配置するものとしてもよい。
【0016】
また、上記弁装置であって、前記継手管の前記接合部は、前記弁座部の挿入孔内に挿入及び接合されるものとしてもよい。
【0017】
また、上記弁装置であって、前記弁座部の挿入筒は、前記継手管の前記接合部内に挿入及び接合されるものとしてもよい。
【0018】
また、上記弁装置であって、前記継手管は、基部と、前記基部の内径より大きい内径を有する前記接合部と、を備えるものとしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、弁座部が巣などの材料欠陥を有していたとしても、弁座部を介した、作動流体の漏洩を防ぐことができる弁装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施形態に係る弁装置の閉弁状態を示す断面図である。
図2図1における弁座部を示す拡大図であり、(a)は、弁座部の断面拡大図、(b)は、(a)の破線IIbで囲まれる部分拡大図、(c)は、(a)の破線IIcで囲まれる部分拡大図を、それぞれ表す。
図3図2における弁座部を示す拡大斜視図であり、(a)は、弁座部、弁本体及び各継手管を示す上方斜視断面図、(b)は、弁座部及び継手管を示す上方斜視図、(c)は、弁座部、弁本体及び各継手管を示す下方斜視断面図、(d)は、弁座部及び継手管を示す下方斜視図を、それぞれ表す。
図4】第2の実施形態に係る弁装置における弁座部を示す拡大図である。
図5】第3の実施形態に係る弁装置における弁座部を示す拡大図である。
図6】第4の実施形態に係る弁装置における弁座部を示す拡大図である。
図7】第5の実施形態に係る弁装置における弁座部を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態について、図1から図7を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では弁装置について説明するが、本発明の弁装置の弁座部は、電動弁、メカ式膨張弁、手動式開閉弁、及び、電磁弁における弁座部として適用することができる。
【0022】
<用語について>
本明細書および特許請求の範囲の記載において、「左」、「右」、「上」、「下」とは、図1から図7に示される方向を示す。本明細書および特許請求の範囲の記載において、「一端」及び「他端」とは、「軸線方向の下端」及び「軸線方向の上端」をそれぞれ示す。本明細書および特許請求の範囲の記載において、「一側」及び「他側」とは、「軸線方向の下側」及び「軸線方向の上側」を示す。本明細書および特許請求の範囲の記載において、「押し出し棒」とは、押し出し加工により形成された棒材を示す。本明細書および特許請求の範囲の記載において、「引き抜き棒」とは、引き抜き加工により形成された棒材を示す。本明細書および特許請求の範囲の記載において、「抜け勾配」とは、型鍛造における材料流れ及び型打ち直後の鍛造品の金型からの取出しを容易にするため、鍛造品の側面を鍛造方向に対して傾けるために設ける勾配を示す。本明細書および特許請求の範囲の記載において、「一対の軸線方向切削面」とは、切削加工により形成される、一側及び他側の軸線方向を向いた切削面を示す。本明細書および特許請求の範囲の記載において、「一対の重複領域」とは、弁座部を軸線方向からみた際に、一側の軸線方向切削面と他側の軸線方向切削面とがそれぞれ重複する領域を示す。本明細書および特許請求の範囲の記載において、「一対の内側重複領域」及び「一対の外側重複領域」とは、一対の重複領域において、継手管の接合部より径方向内側及び径方向外側の領域を示す。
【0023】
(第1の実施形態)
<弁装置の構成について>
図1を用いて、本発明の第1の実施形態に係る弁装置100について説明する。弁装置100は、弁本体10、弁座部20(20A)、支持部材30、駆動軸40、弁体部50、ステッピングモータ60、回転ストッパ機構70から主に構成される。以下、弁装置100のそれぞれの構成を順に説明する。
【0024】
ここで、詳細は後述するが、第1から第3の実施形態の弁装置100は、弁座部20A,20B,20Cに作動流体漏洩防止手段を採用するものである。この作動流体漏洩防止手段は、弁座部20A,20B,20Cにおける一側の内側重複領域21ja(図2(a)参照)を、第2継手管2の内部領域Rp1(図2(b)参照)に配置するとともに、一対の外側重複領域21jb,22jb(図2図4及び図5)のいずれか一方に、軸線方向封孔部81A,81B,81Cを設けるものである。また、第4から第5の実施形態の弁装置100における、弁座部20に採用される作動流体漏洩防止手段は、弁座部120,220における一側の重複領域121j,221jを、第2継手管2の内部領域Rp2に配置するものである。これにより、弁座部20が巣などの材料欠陥を有していたとしても、従来の問題点(軸線方向空洞を介した作動流体の漏洩)を解消することができる。なお、本実施形態において、一対の外側重複領域21jb,22jbのいずれか一方に、軸線方向封孔部81A,81B,81Cを設けるものであるが、軸線方向封孔部81A,81B,81Cを、作動流体の漏洩経路の出口側である、一側の外側重複領域21jbに設けるよりも、作動流体の漏洩経路の入口側である、他側の外側重複領域22jbに設けた方が、より効果的に、作動流体の漏洩を防ぐことができるので好ましい。
【0025】
弁本体10は、例えば、ステンレスなどの金属を材料とし、薄板からなるプレス成形により、円筒形状に形成される。弁本体10には、下方に嵌合孔10aが設けられ、この嵌合孔10aを塞ぐように弁本体10と別体に形成された弁座部20が取り付けられる。また、弁本体10には、外周側壁に冷媒などの流体の流路としての第1継手管1が接続される。この第1継手管1は、弁本体10の内部空間に形成される弁室11に連通される。この第1継手管1は、例えば、銅やステンレスなどを材料とし、薄板からなるプレス成形等により、円筒形状に形成されており、弁本体10にろう付けによる、ろう材r等により固着される。
【0026】
弁座部20は、押出しや引抜きの製造過程にて製造された棒材である押し出し棒又は引き抜き棒からなり、弁座部20の中央には、軸線L方向に沿って、弁ポート20aが開口される。また、弁ポート20aの下端面には、第2継手管2が接続される挿入孔23が設けられ、第2継手管2は弁ポート20aを介して弁室11に連通される。第2継手管2は、例えば、銅やステンレスなどを材料とし、薄板からなるプレス成形等により、円筒形状に形成されており、弁座部20にろう付け等により固着される。
【0027】
支持部材30は、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)などの樹脂系材料からなる略円柱状のホルダ部31と、このホルダ部31の弁本体10寄りの端部にインサート成形により一体に設けられたステンレス製の固定部32と、を備える。支持部材30は、固定部32によって、弁本体10に溶接固定される。
【0028】
ホルダ部31は、その軸線が弁ポート20aの軸を通る軸線Lに重なるように配置される。ホルダ部31の中心には、ホルダ部31を貫通するように軸線L方向に並ぶ、ねじ孔33と、スライド孔35と、が同心円上に形成される。ねじ孔33の内周面には、雌ねじ部33aが形成されており、後述する駆動軸40の雄ねじ部41aが螺合される。スライド孔35は、弁ポート20a寄りに配置され、ねじ孔33より大径に形成される。スライド孔35には、後述する弁体部50が摺動移動可能に係合される。
【0029】
駆動軸40は、例えば、ステンレスなどの金属を材料として円柱棒状に形成される。駆動軸40には、軸線L方向に並ぶ、ねじ部41と、ねじ部41の弁ポート20a寄りの端部に配されるフランジ部43と、が形成される。ねじ部41には、雄ねじ部41aが形成されており、この雄ねじ部41aが、ホルダ部31の雌ねじ部33aに螺合されることにより、駆動軸40の回転運動が、ねじ送り作用によって軸線L方向への直線運動に変換される。フランジ部43は、後述する弁体部50を、回転可能に掛止する。
【0030】
弁体部50は、弁ホルダ51と、弁体52と、ワッシャ53と、バネ受け54と、圧縮コイルバネ55と、を備える。
【0031】
弁ホルダ51は、ホルダ部31のスライド孔35の内径と略同一の外径となる円筒形状に形成される。弁ホルダ51は、スライド孔35に沿って、軸線L方向に摺動移動可能に係合される。
【0032】
弁体52は、ニードル形状にされており、このニードル形状の先端が弁ポート20aと対向するように弁ホルダ51における弁ポート20a側の下端部51aに固着される。弁体52は、弁ポート20aの弁座との開度を弁の最大開度から弁の最小開度(あるいは全閉状態)の間で加減されることによって流量の調節を行う。
【0033】
弁ホルダ51における弁ポート20a側と反対側の上端部51bには、駆動軸40のフランジ部43が回転可能に掛止される。具体的には、駆動軸40のフランジ部43が、弁ホルダ51の上端部51bとの間にワッシャ53を挟み込み、このフランジ部43により駆動軸40が弁ホルダ51の上端部51bで回転可能に引っ掛かっている。この掛かり合いにより、駆動軸40によって弁ホルダ51が軸線L方向に移動可能でかつ軸線Lを中心として回転可能に支持される。なお、弁ホルダ51の上端部51bには、駆動軸40の半径方向の移動可能範囲よりも大きな開口部が形成される。また、弁ホルダ51内には、バネ受け54が軸線L方向に移動可能に設けられる。このバネ受け54と弁体52との間には圧縮コイルバネ55が所定の荷重を与えられた圧縮状態で取り付けられる。これにより、バネ受け54は、駆動軸40側に押しつけられ、駆動軸40のフランジ部43に当接している。
【0034】
ステッピングモータ60は、ケース61と、マグネットロータ62と、ステータコイル63と、を備える。
【0035】
ケース61は、例えば、ステンレスなどの金属を材料とし、薄板からなるプレス成形により、上方の端部が塞がれた略円筒形状に形成される。ケース61の下方の開口側の端部は、弁本体10の上端部に溶接等によって気密に固定される。
【0036】
マグネットロータ62は、外周部を多極に着磁された円筒状のマグネット部64と、その一端を塞ぐ円盤部65と、を一体に備える。マグネットロータ62は、円盤部65の中央に一体成形された金具66を介して駆動軸40に固着される。これにより、マグネットロータ62は、ケース61内に駆動軸40の軸線Lを中心に回転可能に設けられる。駆動軸40は、マグネットロータ62の回転軸である。また、マグネットロータ62には突条67が形成されている。
【0037】
ステータコイル63は、ケース61の外周面に配設されており、ステータコイル63にパルス信号が与えられることにより、そのパルス数に応じてマグネットロータ62が回転される。
【0038】
回転ストッパ機構70は、ケース61の内側天井部から垂下して設けられ、円筒形状からなる円筒部71と、この円筒部71内に配置され、円筒形状からなり、駆動軸40の上端をガイドするガイド部材72と、円筒部71の外周に固定された螺旋状のガイド線体73と、ガイド線体73にガイドされて回転かつ上下動可能な可動スライダ74と、を備える。なお、マグネットロータ62の回転に伴って、マグネットロータ62の突条67が、回転ストッパ機構70を作動させ、駆動軸40(及びマグネットロータ62)の最下端位置及び最上端位置が規制される。よって、弁体部50が最大開度となる位置又は最小開度(あるいは弁閉状態)となる位置を超えて移動されることが規制される。
【0039】
<弁装置の動作について>
弁装置100において、ステッピングモータ60が駆動されると、マグネットロータ62及び駆動軸40が回転し、雄ねじ部41a及び雌ねじ部33aからなるねじ送り機構により、駆動軸40が軸線L方向に進退する。この回転に伴う駆動軸40の進退によって弁ホルダ51と共に弁体52が軸線L方向に進退する。弁体52は、その先端部の軸線L方向の進退によって弁ポート20aの開口面積、つまり開度を変更する。そして、第1継手管1から第2継手管2へ(又は第2継手管2から第1継手管1へ)流れる流体の流量が制御される。
【0040】
<弁座部の詳細について>
図2及び図3を用いて、弁座部20Aの詳細について説明する。なお、図2及び図3において、弁座部20Aの説明を中心に行うため、支持部材30及び弁体部50の図示は省略する。弁座部20Aの素材は、押し出し加工又は引き抜き加工により形成された棒材である押し出し棒又は引き抜き棒からなる。また、弁座部20Aは、切削加工により形成される一対の軸線方向切削面21,22と、一対の軸線方向切削面21,22との間を軸線L方向に貫通する弁ポート20aと、を備える。
【0041】
ここで、一般的には、弁座部は、外周部に角部や、同一径からなるストレート部を有する一方、鍛造品からなる弁座部は、外周部に大きなR部や、抜け勾配を有する点で、外観上の違いを有することが知られている。なお、この外周部に大きなR部や、抜け勾配を有する鍛造品からなる弁座部には、その素材の製法の違いにより、軸線L方向に延在する微小な空洞を内部に有さないので、作動流体が外部に漏出する可能性は極めて低い。また、薄板からなるプレス成形等により形成された弁本体10、第1継手管1、第2継手管2、及び、ケース61も、同様に、その素材の製法の違いにより、軸線L方向に延在する微小な空洞を内部に有さないので、作動流体が外部に漏出する可能性は極めて低い。
【0042】
なお、前述の背景技術で説明したように、押し出し棒又は引き抜き棒からなる弁座部20Aの内部には、巣など材料欠陥である軸線方向空洞Pが形成されるおそれがある。よって、これ以降では、弁座部20Aの内部には、軸線方向空洞Pが形成されるものと仮定して説明する。
【0043】
一対の軸線方向切削面21,22では、軸線方向空洞Pが、各軸線方向切削面21,22から外部にそれぞれ露出している。
【0044】
<一対の重複領域について>
弁座部20Aに、軸線L方向に流体経路内外の差圧が負荷されることにより、軸線方向空洞Pを介して、作動流体の外部空間への漏洩が発生することがある。具体的には、他側の軸線方向切削面22が、弁室11内の圧力に晒されるとともに、一側の軸線方向切削面21が、流体経路外である大気圧などに晒されると、軸線方向空洞Pが露出している他側の軸線方向切削面22から、弁座部20A内に作動流体が侵入する。この際、軸線方向空洞Pは、軸線L方向に延在しているため、作動流体は、主に、軸線L方向に移動し外部に漏洩する。このように、弁座部20Aを介した、作動流体の漏洩を考察する場合には、弁座部20Aを軸線L方向からみた際に、一側の軸線方向切削面21と他側の軸線方向切削面22とがそれぞれ重複する、一対の重複領域21j,22jを考察に取り入れると、説明を明確かつ簡潔に行うことができる。
【0045】
<作動流体漏洩防止手段について>
弁座部20Aを介した、作動流体の漏洩を防ぐためには、一側の重複領域21j、及び、他側の重複領域22jの少なくとも一方に、作動流体漏洩防止手段を設け、軸線L方向からみて、作動流体漏洩防止手段が設けられる領域は、重ねられた一対の重複領域21j,22jの全てに亘って設けられる必要がある。
【0046】
図2(a),図3(a)及び図3(c)に示すように、弁座部20Aの挿入孔23には、第2継手管2の接合部2aが接合される。ここで、継手管2の接合部2aを用いて、一対の重複領域21j,22jを、接合部2aの径方向内側に位置する一対の内側重複領域21ja,22ja(図3中の白抜き領域)と、接合部2aの径方向外側に位置する一対の外側重複領域21jb,22jb(図3中のハッチング領域)と、に画定する。
【0047】
<作動流体漏洩防止手段(内側重複領域)について>
前述したように、弁座部20Aの挿入孔23には、第2継手管2の接合部2aが接合される。よって、一対の内側重複領域21ja,22jaにおける作動流体漏洩防止手段は、一側の内側重複領域21jaを、第2継手管2の内部領域Rp1(図2(b)参照)に配置することである。これにより、仮に、作動流体が、図2(a)の矢印A方向に、他側の内側重複領域22jaから、軸線方向空洞Pを介して、一側の内側重複領域21jaまで移動したとしても、この作動流体は、第2継手管2の内部領域Rp1に位置することから、流体経路外である外部空間に漏洩することはない。
【0048】
<作動流体漏洩防止手段(外側重複領域)について>
図2(b)及び図3(c)に示すように、一対の外側重複領域21jb,22jbにおける作動流体漏洩防止手段は、一側の外側重複領域21jbの全てを覆うように、軸線方向封孔部81Aを設けることである。この軸線方向封孔部81Aは、一側の外側重複領域21jbの全てを覆うように、環状に形成される凹部81cと、この凹部81cに収容される溶融固化したろう材81rと、からなる。
【0049】
このように、軸線方向封孔部81Aは、ろう付けにより、ろう材81r自体を溶かし、一側の外側重複領域21jbの全てを、所望の厚みを有するろう材81rで覆うように、行き渡らせることができる。これにより、一側の外側重複領域21jbにおいて、露出しようとする軸線方向空洞Pに対して、確実に、所望の厚みを有する封孔処理を施すことができる。よって、仮に、作動流体が、図2(a)の矢印A方向に、他側の外側重複領域22jbから、軸線方向空洞Pを介して、一側の外側重複領域21jbまで移動したとしても、この作動流体は、軸線方向封孔部81Aが施された封孔領域Rs1(図2(b)参照)により、進路を塞がれるため、流体経路外である外部空間に漏洩することはない。
【0050】
本実施形態において、溶けたろう材81rを、凹部81cに収容させることにより、他側の外側重複領域22jbに対して、軸線方向封孔部81Aが施される封孔領域Rs1の外径が、凹部81cの外径により設定できる。このため、封孔領域Rs1の位置管理が容易となる。なお、本実施形態において、軸線方向封孔部81Aは、凹部81cと、凹部81cに収容される溶融固化したろう材81rと、からなるものであるが、これに限らず、例えば、凹部81cを省略し、一側の外側重複領域21jbの全てを覆うように、ろう材81rを付着させてもよい。また、本実施形態において、軸線方向封孔部81Aが、一側の外側重複領域21jbの全てを覆うように設けられるものである。しかしながら、これに限らず、例えば、軸線方向封孔部81Aが、他側の外側重複領域22jbの全てを覆うように設けられるものや、一側の外側重複領域21jb及び他側の外側重複領域22jbのいずれにも設けられ、軸線L方向からみて、軸線方向封孔部81Aが設けられる領域は、重ねられた一対の外側重複領域21jb,22jbの全てに亘って設けられるものであってもよい。
【0051】
<作動流体漏洩防止手段(円筒形状領域)について>
図2(c)に示すように、弁座部20Aは、嵌合孔10aに挿入される内部側壁24aと、外部空間に露出される外部側壁24bと、内部側壁24a及び外部側壁24bとの間に位置し、嵌合孔10aと係合する取付段差部24cと、を備える。ここで、内部側壁24aが、例えば、切削加工により形成される場合、この内部側壁24aの表面近傍に位置する軸線方向空洞Pの一部が切削加工により開口され、内部側壁24a表面に露出する微細な開口部を形成し、一側の外側重複領域21jbと連通するおそれがあった。
【0052】
具体的には、作動流体が、内部側壁24aの表面に露出し開口した軸線方向空洞Pの開口部に流入した後、図2(a)の矢印A方向に、一側の外側重複領域21jbまで移動する。ここで、図2(a)に示すように、軸線方向封孔部81Aを、一側の外側重複領域21jbの全てを覆うように設けるものである場合には、この作動流体の漏洩を防ぐことができる。しかしながら、例えば、軸線方向封孔部81Aを、他側の外側重複領域22jbの全てを覆うように設け、かつ、一側の外側重複領域21jbには設けない場合には、僅かながらではあるが、弁座部20A(内部側壁24a→軸線方向空洞P→一側の外側重複領域21jb)を介して、流体経路外である外部空間に漏洩するおそれがあった。
【0053】
これに対し、作動流体漏洩防止手段は、図2(c)に示すように、さらに、弁本体10の嵌合孔10aに、弁座部20Aを接合する際に、弁座部20Aの側面に沿った円筒形状領域(図中のハッチング領域)に、溶融固化したろう材82rを付着させることによって構成される円周方向封孔部82(図3(a)から図3(c)参照)を設けることである。
【0054】
具体的には、図2(c)に示すように、弁本体10の嵌合孔10aに、嵌合孔10aの内径より若干小さい外径を有する内部側壁24aを挿入し、弁本体10の嵌合孔10aに、弁座部20Aの側壁である取付段差部24cをろう材82rにより接合する。このろう材82rは、弁座部20Aの取付段差部24c及び内部側壁24aの表面に形成される微細な開口部内に染み込んだ後、この開口部に連通する軸線方向空洞Pにも流れ込み、この軸線方向空洞Pを塞ぐ。これにより、図3(a)から図3(c)に示すように、円周方向封孔部82として、弁座部20Aの内部側壁24aに、径方向に僅かな深さを有し、円筒形状領域となる封孔処理を施すことができる。
【0055】
よって、仮に、作動流体が、内部側壁24aの表面に露出し開口した軸線方向空洞Pの開口部に流入した後、弁座部20Aの内部側壁24aの近傍を、図2(a)の矢印A方向に移動したとしても、この作動流体は、円周方向封孔部82が施された封孔領域Rs1’(図2(c)参照)により、進路を塞がれるため、流体経路外である外部空間に漏洩することはない。
【0056】
本実施形態における作動流体漏洩防止手段は、一側の内側重複領域21jaを、第2継手管2の内部領域Rp1(図2(b)参照)に配置し、一側の外側重複領域21jbの全てを覆うように、軸線方向封孔部81Aが施された封孔領域Rs1を設けることにより、軸線L方向からみて、作動流体漏洩防止手段が設けられる領域Rp1,Rs1は、重ねられた一対の重複領域21j,22jの全てに亘って設けられる。このように、一側の外側重複領域21jbの全てを覆うように、作動流体漏洩防止手段を設けることにより、仮に、弁座部20Aが、巣などの材料欠陥を有していたとしても、従来の問題点(軸線方向空洞を介した作動流体の漏洩)を解消することができる。また、本実施形態における作動流体漏洩防止手段は、第2継手管2の内部領域Rp1を採用することで、部品点数等を増やさずに、一対の内側重複領域21ja,22jaにおける作動流体の漏洩を確実に防ぐことができる。さらに、本実施形態における作動流体漏洩防止手段は、弁座部20Aの内部側壁24aに円周方向封孔部82が施された封孔領域Rs1’を設けることにより、一側の外側重複領域21jbには、封孔領域Rs1に加え、一対の外側重複領域21jb,22jbとの間には、封孔領域Rs1’が設けられることとなり、より確実に、作動流体の漏洩を防ぐことができる。
【0057】
<弁座部の組み付け工程について>
弁座部20Aの組み付け工程において、図2(b)に示すように、軸線方向封孔部81Aを一側の外側重複領域21jbに設ける場合は、まず、図2(c)に示すように、弁本体10の嵌合孔10aに対して、弁座部20Aの取付段差部24cをろう付け固定する。これにより、円筒形状領域となる円周方向封孔部82が設けられる。次に、弁本体10に、第1継手管1をろう付け固定するとともに、同時に、弁座部20Aの挿入孔23に、挿入孔23の内径より若干小さい外径を有する第2継手管2の接合部2aをろう付け固定し、第2継手管2の内部領域Rp1(図2(b)参照)を画定する。ここで、弁座部20Aの挿入孔23に第2継手管2をろう付け固定する際に、弁座部20Aの凹部81cにろう材を流し込ませる。これにより、一側の外側重複領域21jbに軸線方向封孔部81Aが設けられる。
【0058】
本実施形態においては、軸線方向封孔部81Aを設ける工程を、他の工程と同時に行うことができるため、組み付け工程が煩雑となることを抑制することができる。
【0059】
一方、軸線方向封孔部81Aを他側の外側重複領域22jbに設ける場合は、まず、他側の外側重複領域22jbに形成される環状の凹部(不図示)に、リングろうからなる、ろう材をセットして、弁本体10の嵌合孔10aに対して、弁座部20Aの取付段差部24cをろう付け固定するとともに、同時に、弁座部20Aの凹部にろう材を流し込ませる。これにより、円筒形状領域となる円周方向封孔部82が設けられるとともに、他側の外側重複領域22jbに軸線方向封孔部81Aが設けられる。次に、弁本体10に、第1継手管1をろう付け固定するとともに、同時に、弁座部20Aの挿入孔23に、第2継手管2をろう付け固定し、第2継手管2の内部領域Rp1を画定する。
【0060】
本実施形態においては、軸線方向封孔部81Aを設ける工程を、他の工程と同時に行うことができるため、組み付け工程が煩雑となることを抑制することができる。
【0061】
(第2の実施形態)
ここで、図4を用いて、第2の実施形態に係る弁座部20Bについて説明する。この第2の実施形態における弁座部20Bは、他側の外側重複領域22jbに設けられる軸線方向封孔部81Bが、第1の実施形態における弁座部20Aと相違するが、その他の基本構成は第1の実施形態と同一である。ここで、同一部材には同一符号を付して、重複する説明(<作動流体漏洩防止手段(内側重複領域)について>及び<作動流体漏洩防止手段(円筒形状領域)について>)は省略し、<作動流体漏洩防止手段(外側重複領域)について>及び<弁座部の組み付け工程について>を説明する。
【0062】
<作動流体漏洩防止手段(外側重複領域)について>
図4に示すように、一対の外側重複領域21jb,22jbにおける作動流体漏洩防止手段は、他側の外側重複領域22jbの全てを覆うように、軸線方向封孔部81Bを設けることである。この軸線方向封孔部81Bは、他側の外側重複領域22jbの全てを覆うように、溶接により設けられる溶接部81wからなる。
【0063】
このように、軸線方向封孔部81Bは、溶接により、母材である他側の外側重複領域22jb自体を溶かすものである。これにより、他側の外側重複領域22jbにおいて、露出しようとする軸線方向空洞Pに対して、確実に、溶融深さを含め封孔処理を施すことができる。よって、仮に、作動流体が、図4の矢印A方向に、他側の外側重複領域22jbを介して、軸線方向空洞Pに侵入しようとしても、この作動流体は、軸線方向封孔部81Bが施された封孔領域Rs2により、進路を塞がれるため、結果、流体経路外である外部空間に漏洩することはない。
【0064】
本実施形態において、軸線方向封孔部81Bが、他側の外側重複領域22jbの全てを覆うように設けられるものである。しかしながら、これに限らず、例えば、軸線方向封孔部81Bが、一側の外側重複領域21jbの全てを覆うように設けられるものや、一側の外側重複領域21jb及び他側の外側重複領域22jbのいずれにも設けられ、軸線L方向からみて、軸線方向封孔部81Bが設けられる領域は、重ねられた一対の外側重複領域21jb,22jbの全てに亘って設けられるものであってもよい。また、本実施形態において、審美性の観点から、軸線方向封孔部81Bである溶接部81wは、人目に触れる一側の外側重複領域21jbよりも、人目に触れない他側の外側重複領域22jbに設けられることが好ましい。さらに、本実施形態において、溶接による封孔処理は、一度に、広範囲に施すことは難しいので、一対の外側重複領域21jb,22jbの幅が比較的狭い場合に適用することが好ましい。
【0065】
このように、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果、つまり、他側の外側重複領域22jbの全てを覆うように、作動流体漏洩防止手段を設けることにより、仮に、弁座部20Bが、巣などの材料欠陥を有していたとしても、従来の問題点(軸線方向空洞を介した作動流体の漏洩)を解消することができる。また、第2の実施形態においても、作動流体漏洩防止手段は、第2継手管2の内部領域Rp1を採用することで、部品点数等を増やさずに、一対の内側重複領域21ja,22jaにおける作動流体の漏洩を確実に防ぐことができる。加えて、第2の実施形態においては、弁座部20Bの内部側壁24aに円周方向封孔部82が施された封孔領域Rs1’(図2(c)参照)を設けているため、仮に、作動流体が、内部側壁24aの表面に露出し開口した軸線方向空洞Pの開口部に流入した後、弁座部20Bの内部側壁24aの近傍を、矢印A方向に移動したとしても、この作動流体は、円周方向封孔部82が施された封孔領域Rs1’により、進路を塞がれるため、流体経路外である外部空間に漏洩することはない。
【0066】
<弁座部の組み付け工程について>
弁座部20Bの組み付け工程において、図4に示すように、軸線方向封孔部81Bを他側の外側重複領域22jbに設ける場合は、まず、弁座部20Bの他側の外側重複領域22jbに溶接が施され、軸線方向封孔部81Bが設けられる。次に、弁本体10の嵌合孔10aに対して、弁座部20Aの取付段差部24cをろう付け固定する。これにより、円筒形状領域となる円周方向封孔部82が設けられる。さらに、弁本体10に、第1継手管1をろう付け固定するとともに、同時に、弁座部20Aの挿入孔23に、第2継手管2をろう付け固定し、第2継手管2の内部領域Rp1を画定する。
【0067】
本実施形態においては、軸線方向封孔部81Bを設ける工程を、従前の組み付け工程の前に追加するだけで対応できるため、組み付け工程が煩雑となることを抑制することができる。
【0068】
一方、軸線方向封孔部81Bを一側の外側重複領域21jbに設ける場合は、まず、弁本体10の嵌合孔10aに対して、弁座部20Bの取付段差部24cをろう付け固定する。これにより、円筒形状領域となる円周方向封孔部82が設けられる。次に、弁座部20Aの挿入孔23に、第2継手管2を挿入後、一側の外側重複領域21jbに溶接が施され、軸線方向封孔部81Bが設けられる。この際、第2継手管2が挿入された挿入孔23が溶接により、若干歪むことにより、第2継手管2の仮止めを行うことができる。さらに、弁本体10に、第1継手管1をろう付け固定するとともに、同時に、弁座部20Aの挿入孔23に、第2継手管2をろう付け固定する。
【0069】
本実施形態においては、軸線方向封孔部81Bを設ける工程を、従前の組み付け工程の順番を僅かながら入れ替え、その入れ替えた組み付け工程中に追加するだけで対応できるため、組み付け工程が煩雑となることを抑制することができる。なお、弁座部20Bと第2継手管2が、ステンレス材料からなる場合には、弁座部20Bに、第2継手管2を接合するとともに、同時に、一側の外側重複領域21jbに溶接を施すことができるため、軸線方向封孔部81Bを設ける工程を、他の工程と同時に行うことができるため、組み付け工程が煩雑となることをより抑制することができる。
【0070】
(第3の実施形態)
ここで、図5を用いて、第3の実施形態に係る弁座部20Cについて説明する。この第3の実施形態における弁座部20Cは、他側の外側重複領域22jbに設けられる軸線方向封孔部81Cが、第2の実施形態における弁座部20Bと相違するが、その他の基本構成は第2の実施形態と同一である。ここで、同一部材には同一符号を付して、重複する説明(<作動流体漏洩防止手段(内側重複領域)について>及び<作動流体漏洩防止手段(円筒形状領域)について>)は省略し、<作動流体漏洩防止手段(外側重複領域)について>及び<弁座部の組み付け工程について>を説明する。
【0071】
<作動流体漏洩防止手段(外側重複領域)について>
図5に示すように、一対の外側重複領域21jb,22jbにおける作動流体漏洩防止手段は、他側の外側重複領域22jbの全てを覆うように、環状の凸部からなる軸線方向封孔部81Cを設けることである。この軸線方向封孔部81Cは、他側の外側重複領域22jbの全てを覆うように、塑性加工により設けられる塑性加工部81sからなる。
【0072】
このように、軸線方向封孔部81Cとして、環形状を有する治具(不図示)を用いて、他側の外側重複領域22jbを上方より押し潰し、塑性変形させる。これにより、他側の外側重複領域22jbにおいて、露出しようとする軸線方向空洞Pは、環状の凸部が物理的に押し潰されるため、確実に、封孔処理を施すことができる。よって、仮に、作動流体が、図5の矢印A方向に、他側の外側重複領域22jbを介して、軸線方向空洞Pに侵入しようとしても、この作動流体は、軸線方向封孔部81Cが施された封孔領域Rs3により、進路を塞がれるため、結果、流体経路外である外部空間に漏洩することはない。
【0073】
本実施形態において、環状の凸部からなる塑性加工部81sとすることにより、一側の外側重複領域21jbに対して、軸線方向封孔部81Cが施される封孔領域Rs3の内径が、環状の凸部の内径により設定できる。このため、封孔領域Rs3の位置管理が容易となる。なお、本実施形態において、軸線方向封孔部81Cが、他側の外側重複領域22jbの全てを覆うように設けられるものである。しかしながら、これに限らず、例えば、軸線方向封孔部81Cが、一側の外側重複領域21jbの全てを覆うように設けられるものや、一側の外側重複領域21jb及び他側の外側重複領域22jbのいずれにも設けられ、軸線L方向からみて、軸線方向封孔部81Cが設けられる領域は、重ねられた一対の外側重複領域21jb,22jbの全てに亘って設けられるものであってもよい。また、本実施形態における軸線方向封孔部81Cは、塑性加工を採用することにより、ろう材などの追加の部材や、溶接などの大規模な装置を用いずに、比較的容易に設けることができる。さらに、本実施形態における塑性加工は、環形状を有する治具を用いるものであるが、これに限らず、例えば、ショットピーニング、ショットブラストなどでもよい。また本実施形態では、他側の外側重複領域22jbにおいて、環状凸部からなる軸線方向封孔部81Cとしたが、これに限らず、例えば、平面の軸線方向封孔部81Cとしてもよい。これにより、一側の外側重複領域21jbに対して、軸線方向封孔部81Cが施される封孔領域Rs3の内径が、環状治具の内径により設定できるため、封孔領域Rs3の位置管理が容易となる。また、本実施形態では、他側の外側重複領域22jbを上方より押し潰し、塑性加工により設けられる塑性加工部81sとしたが、これに限らず、内部側壁24aの表面を軸線方向と直交する径方向内側に押し潰し、塑性加工により設けられる塑性加工部としてもよい。
【0074】
このように、第3の実施形態においても、第2の実施形態と同様の効果、つまり、他側の外側重複領域22jbの全てを覆うように、作動流体漏洩防止手段を設けることにより、仮に、弁座部20Cが、巣などの材料欠陥を有していたとしても、従来の問題点(軸線方向空洞を介した作動流体の漏洩)を解消することができる。また、第3の実施形態においても、作動流体漏洩防止手段は、第2継手管2の内部領域Rp1を採用することで、部品点数等を増やさずに、一対の内側重複領域21ja,22jaにおける作動流体の漏洩を確実に防ぐことができる。さらに、第3の実施形態においても、弁座部20Cの内部側壁24aに円周方向封孔部82が施された封孔領域Rs1’(図2(c)参照)を設けているため、仮に、作動流体が、内部側壁24aの表面に露出し開口した軸線方向空洞Pの開口部に流入した後、弁座部20Cの内部側壁24aの近傍を、矢印A方向に移動したとしても、この作動流体は、円周方向封孔部82が施された封孔領域Rs1’により、進路を塞がれるため、流体経路外である外部空間に漏洩することはない。
【0075】
<弁座部の組み付け工程について>
弁座部20Cの組み付け工程において、図5に示すように、軸線方向封孔部81Cを他側の外側重複領域22jbに設ける場合は、まず、弁座部20Cの他側の外側重複領域22jbに塑性加工が施され、軸線方向封孔部81Cが設けられる。次に、弁本体10の嵌合孔10aに、内部側壁124aを挿入し、弁座部20Cの取付段差部24cをろう付け固定する。これにより、円筒形状領域となる円周方向封孔部82が設けられる。さらに、弁本体10に、第1継手管1をろう付け固定するとともに、同時に、弁座部20Cの挿入孔23に、第2継手管2をろう付け固定し、第2継手管2の内部領域Rp1を画定する。
【0076】
本実施形態においては、軸線方向封孔部81Cを設ける工程を、従前の組み付け工程の前に追加するだけで対応できるため、組み付け工程が煩雑となることを抑制することができる。
【0077】
一方、軸線方向封孔部81Cを一側の外側重複領域21jbに設ける場合は、まず、弁本体10の嵌合孔10aに、内部側壁124aを挿入し、弁座部20Cの取付段差部24cをろう付け固定する。これにより、円筒形状領域となる円周方向封孔部82が設けられる。次に、弁座部20Cの挿入孔23に、第2継手管2を挿入後、一側の外側重複領域21jbに塑性加工が施され、軸線方向封孔部81Cが設けられる。この際、第2継手管2が挿入された挿入孔23が塑性加工により、若干歪むことにより、第2継手管2の仮止めを行うことができる。さらに、弁本体10に、第1継手管1をろう付け固定するとともに、同時に、弁座部20Aの挿入孔23に、第2継手管2をろう付け固定する。
【0078】
本実施形態においては、軸線方向封孔部81Cを設ける工程を、従前の組み付け工程の順番を僅かながら入れ替え、その入れ替えた組み付け工程中に追加するだけで対応できるため、組み付け工程が煩雑となることを抑制することができる。
【0079】
なお、第1から第3の実施形態において、一対の外側重複領域21jb,22jbのいずれか一方に対して、各軸線方向封孔部81A,81B,81Cが、それぞれ個別に採用されるものを説明したが、これに限らず、例えば、一対の外側重複領域21jb,22jbの少なくとも一方に対して、各軸線方向封孔部81A,81B,81Cを組み合わせたものが採用されてもよい。また、第1から第3の実施形態において、各軸線方向封孔部81A,81B,81Cを設ける工程は、製造装置や組立工程との関係から、弁本体、弁座部と第1継手管、第2継手管を同時にろう付けする等、適宜に順番を変更してもよい。
【0080】
(第4の実施形態)
ここで、図6を用いて、第4の実施形態に係る弁座部120について説明する。この第4の実施形態における弁座部120は、一側の重複領域121jに設けられる第2継手管102の内部領域Rp2が、第1の実施形態における弁座部20Aと相違するが、その他の基本構成は第1の実施形態と同一である。ここで、同一部材には同一符号を付して、重複する説明(<作動流体漏洩防止手段(円筒形状領域)について>)は省略し、<作動流体漏洩防止手段(重複領域)について>及び<弁座部の組み付け工程について>を説明する。
【0081】
第1から第3の実施形態(図2(a),図4及び図5参照)において、まず、第2継手管2の接合部2aを用いて、一対の重複領域21j,22jを、一対の内側重複領域21ja,22ja、及び、一対の外側重複領域21jb,22jbへと画定する。そして、一側の内側重複領域21jaは、第2継手管2の内部領域Rp1に配置されるとともに、一対の外側重複領域21jb,22jbのいずれか一方に、軸線方向封孔部81A,81B,81Cを設けることにより、弁座部20A,20B,20Cを介した、作動流体の漏洩を防ぐものである。しかしながら、前述したように、弁座部20A,20B,20Cの組み付け工程において、軸線方向封孔部81A,81B,81Cを設けるために、比較的高い位置精度が要求されるとともに、従前の組み付け工程を若干変更する必要があるため、製造ラインにボトルネックを生じさせるおそれがあった。そこで、作動流体漏洩防止手段として、軸線方向封孔部81A,81B,81Cを採用しないとともに、従前の弁座部の組み付け工程を変更せずにそのまま採用できる弁座部が求められていた。
【0082】
そこで、第4の実施形態係る弁座部120では、第2継手管102の内部領域Rp2を比較的大きくし、この内部領域Rp2に、一側の重複領域121jの全てを配置するものである。これにより、弁座部120は、軸線方向封孔部81A,81B,81Cを省略し、作動流体漏洩防止手段を、よりシンプルな構成とするとともに、従前の弁座部の組み付け工程を変更せずにそのまま採用できる。
【0083】
<作動流体漏洩防止手段(重複領域)について>
具体的には、図6に示すように、第2継手管102は、基部102bと、基部102bの内径Da2より大きい内径Da1を有する接合部102aと、を備える。この第2継手管102の接合部102aは、接合部102aの外径より若干大きい内径を有する弁座部120の挿入孔123内に挿入及び接合される。なお、「接合部102aの内径Da1>基部102bの内径Da2」と設定しているため、詳細は後述するが、第2継手管102の内部領域Rp2の領域を大きくすることができるとともに、第2継手管102の大部分を占める基部102bにおいて、配管径の大きさを比較的小さく設定しているため、弁装置100の省スペース化を行うことができる。
【0084】
ここで、第2継手管102の接合部102aの外径DAは、弁本体10の嵌合孔10aの内径DBよりも大きく設定される(DA>DB)。なお、接合部102aの外径DAは、第2継手管102の内部領域Rp2と同一であり、また、嵌合孔10aの内径DBは、一対の重複領域121j,122jの内径と同一である。よって、「接合部102aの外径DA>嵌合孔10aの内径DB」は、「第2継手管102の内部領域Rp2>一側の重複領域121jの内径」を示すものであり、この大小関係を満たすものであれば、必ず、第2継手管102の内部領域Rp2に、一側の重複領域121jの全てが配置されることとなる。これにより、仮に、作動流体が、図6の矢印A方向に、他側の重複領域122jから、軸線方向空洞Pを介して、一側の重複領域121jまで移動したとしても、この作動流体は、第2継手管102の内部領域Rp2に位置することから、流体経路外である外部空間に漏洩することはない。
【0085】
このように、第4の実施形態における弁座部120は、第1の実施形態における弁座部20Aの挿入孔23の内径(≒第2継手管の接合部の外径D)を、挿入孔123の内径(≒第2継手管の接合部の外径DA)へと拡大させるだけで、作動流体漏洩防止手段として、第2継手管102の内部領域Rp2に、一側の重複領域121jの全てを配置することができる。これにより、第4の実施形態における弁座部120は、部品点数等を増やさずに、軸線方向封孔部81A,81B,81Cを省略することができ、仮に、弁座部120が、巣などの材料欠陥を有していたとしても、従来の問題点(軸線方向空洞を介した作動流体の漏洩)を解消することができる。また、第4の実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果、つまり、作動流体漏洩防止手段は、弁座部120の内部側壁124aに円周方向封孔部82が施された封孔領域Rs1’(図2(c)参照)を設けることにより、仮に、作動流体が、内部側壁124aの表面に露出し開口した軸線方向空洞Pの開口部に流入した後、弁座部120の内部側壁124aの近傍を、矢印A方向に移動したとしても、この作動流体は、円周方向封孔部82が施された封孔領域Rs1’により、進路を塞ぐため、漏洩を防ぐことができる。
【0086】
<弁座部の組み付け工程について>
弁座部120の組み付け工程において、まず、弁本体10の嵌合孔10aに、嵌合孔10aの内径より若干小さい外径を有する内部側壁124aを挿入し、弁座部120の取付段差部124cをろう付け固定する。これにより、円筒形状領域となる円周方向封孔部82が設けられる。次に、弁本体10に、第1継手管1をろう付け固定するとともに、同時に、弁座部120の挿入孔123に、第2継手管102の接合部102aを挿入及びろう付け固定する。
【0087】
本実施形態においては、従前の弁座部の組み付け工程を変更せずにそのまま採用できることから、スムーズに導入することができる。
【0088】
(第5の実施形態)
ここで、図7を用いて、第5の実施形態に係る弁座部220について説明する。この第5の実施形態における弁座部220は、第2継手管102の接合部102a内に挿入及び接合される点で、第4の実施形態における弁座部120と相違するが、その他の基本構成は第4の実施形態と同一である。ここで、同一部材(特に、第2継手管102など)には同一符号を付して、重複する説明(<作動流体漏洩防止手段(円筒形状領域)について>)は省略し、<作動流体漏洩防止手段(重複領域)について>及び<弁座部の組み付け工程について>を説明する。
【0089】
第4の実施形態(図6参照)における弁座部120では、挿入孔123に第2継手管の接合部102aを挿入及び接合するため、外部側壁124bは、第2継手管102の内部領域Rp2外に配置されるものとなっていた。これに対して、第5の実施形態における弁座部220では、第2継手管の接合部102a内に挿入筒225を挿入及び接合するため挿入筒225は、第2継手管102の内部領域Rp2に配置されるものである。これにより、第5の実施形態における弁座部220では、第4の実施形態と同様に、第2継手管102の内部領域Rp2を比較的大きくし、この内部領域Rp2に、一側の重複領域221j(挿入筒225を含む)の全てを配置することにより、弁座部220を介した、作動流体の漏洩を防ぐとともに、弁座部120内における軸線方向空洞Pにおける作動流体の流路抵抗差を用いて、より確実に、作動流体の外部空間への漏洩を防ぐものである。
【0090】
<作動流体漏洩防止手段(重複領域)について>
具体的には、図7に示すように、第2継手管102は、ステンレス材料からなるとともに、第4の実施形態の形状と同一であり、基部102bと、基部102bの内径Da2より大きい内径Da1を有する接合部102aと、を備える。弁座部220は、ステンレス材料からなるとともに、嵌合孔10aに挿入される内部側壁224aと、外部空間に露出される外部側壁224bと、内部側壁224a及び外部側壁224bとの間に位置し、嵌合孔10aと係合する取付段差部224cと、を備える。また、弁座部220は、一側の重複領域221jに、一側へと延在する円筒形状からなる挿入筒225を備える。この弁座部220の挿入筒225は、挿入筒225の外径より若干大きい内径を有する接合部102a内に挿入及び接合される。なお、第4の実施形態と同様に、「接合部102aの内径Da1>基部102bの内径Da2」と設定しているため、第2継手管102の内部領域Rp2の領域を大きくすることができるとともに、第2継手管102の大部分を占める基部102bにおいて、配管径の大きさを比較的小さく設定しているため、弁装置100の省スペース化を行うことができる。
【0091】
ここで、第4の実施形態と同様に、第2継手管102の接合部102aの外径DAは、弁本体10の嵌合孔10aの内径DBよりも大きく設定される(DA>DB)。なお、接合部102aの外径DAは、第2継手管102の内部領域Rp2と同一であり、また、嵌合孔10aの内径DBは、一対の重複領域221j,222jの内径と同一である。よって、「接合部102aの外径DA>嵌合孔10aの内径DB」は、「第2継手管102の内部領域Rp2>一側の重複領域221jの内径」を示すものであり、この大小関係を満たすものであれば、必ず、第2継手管102の内部領域Rp2に、一側の重複領域221jの全てが配置されることとなる。これにより、仮に、作動流体が、図7の矢印A方向に、他側の重複領域222jから、軸線方向空洞Pを介して、一側の重複領域221jまで移動したとしても、この作動流体は、第2継手管102の内部領域Rp2に位置することから、流体経路外である外部空間に漏洩することはない。
【0092】
さらに、第5の実施形態における弁座部220では、一側の重複領域221jに設けられる挿入筒225の一端端(下端)から他側の重複領域222jまでの軸線方向距離(挿入筒含む)L1が、挿入筒225が設けられていない一側の重複領域221jから他側の重複領域222jまでの軸線方向距離(挿入筒含まない)L2より長く設定されている。ここで、仮に、一側の重複領域221jから他側の重複領域222jまで、複数の連続する軸線方向空洞Pで連通しているケースを想定する。各軸線方向空洞Pにおける作動流体の流路抵抗は、各軸線方向空洞Pの軸線方向距離に比例して大きくなることから、作動流体は、挿入筒含む軸線方向空洞Pではなく、挿入筒含まない軸線方向空洞Pへと選択的に流れようとする。つまり、作動流体は、挿入筒225と接合部102aとの接合箇所を避けるように、挿入筒225より径方向内側、つまり、より漏洩に対して安全側である、挿入筒225が設けられていない一側の重複領域221jを介して、第2継手管102の内部領域Rp2の中央部寄りから放出されるため、より確実に、作動流体の外部空間への漏洩を防ぐことができる。
【0093】
このように、第5の実施形態においては、第4の実施形態と同様の効果、つまり、作動流体漏洩防止手段として、第2継手管102の内部領域Rp2に、一側の重複領域221jの全てを配置することにより、部品点数等を増やさずに、軸線方向封孔部81A,81B,81Cを省略することができ、仮に、弁座部220が、巣などの材料欠陥を有していたとしても、従来の問題点(軸線方向空洞を介した作動流体の漏洩)を解消することができる。また、第5の実施形態においても、作動流体漏洩防止手段は、弁座部220の内部側壁224aに円周方向封孔部82が施された封孔領域Rs1’(図2(c)参照)を設けることにより、仮に、作動流体が、内部側壁224aの表面に露出し開口した軸線方向空洞Pの開口部に流入した後、弁座部220の内部側壁224aの近傍を、矢印A方向に移動したとしても、この作動流体は、円周方向封孔部82が施された封孔領域Rs1’により、進路を塞ぐため、漏洩を防ぐことができる。さらに、第5の実施形態において、一側の重複領域221jにおける挿入筒225を、第2継手管102の内部領域Rp2に配置し、軸線方向距離(挿入筒含む)L1を、軸線方向距離(挿入筒含まない)L2より長く設定することにより、作動流体は、選択的に、挿入筒225が設けられていない一側の重複領域221jを介して、第2継手管102の内部領域Rp2の中央部寄りから放出されるため、より確実に、作動流体の外部空間への漏洩を防ぐことができる。
【0094】
<弁座部の組み付け工程について>
弁座部220の組み付け工程において、まず、弁本体10の嵌合孔10aに、嵌合孔10aの内径より若干小さい外径を有する内部側壁224aを挿入し、弁座部220の取付段差部224cをろう付け固定する。これにより、円筒形状領域となる円周方向封孔部82が設けられる。次に、弁本体10に、第1継手管1をろう付け固定する。また、第2継手管102の接合部102a内に、弁座部220の挿入筒225を挿入及び溶接固定する。
【0095】
本実施形態では、従前の弁座部の組み付け工程における、弁座部220に第2継手管102をろう付け固定することに代えて、溶接固定することを採用するだけで対応できるため、組み付け工程が煩雑となることを抑制することができる。
【0096】
<その他>
本実施形態の弁装置100の弁座部20,20A,20B,20C,120,220は、冷凍サイクルを含めた、あらゆる流体装置及び流体回路に適用可能であることは言うまでもない。また、本発明は、上述した各形態や、各実施形態、随所に述べた変形例に限られることなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で、適宜の変更や変形が可能である。
【符号の説明】
【0097】
100 弁装置
1 第1継手管
10 弁本体
10a 嵌合孔
102b 基部
2,102 第2継手管
2a,102a 接合部
20,20A,20B,20C,120,220 弁座部
20a,120a,220a 弁ポート
21,121,221 一側の軸線方向切削面
21j,121j,221j 一側の重複領域
21ja 一側の内側重複領域
21jb 一側の外側重複領域
22,122,222 他側の軸線方向切削面
22j,122j,222j 他側の重複領域
22ja 他側の内側重複領域
22jb 他側の外側重複領域
23,123 挿入孔
24a,124a,224a 内部側壁
24b,124b,224b 外部側壁
24c,124c,224c 取付段差部
225 挿入筒
30 支持部材
31 ホルダ部
32 固定部
33 ねじ孔
33a 雌ねじ部
35 スライド孔
40 駆動軸
50 弁体部
60 ステッピングモータ
70 回転ストッパ機構
81A,81B,81C 軸線方向封孔部
81c 凹部
81r ろう材
81s 塑性加工部
81w 溶接部
82 円周方向封孔部
82r ろう材

D,DA 第2継手管の接合部の外径
Da1 接合部の内径
Da2 基部の内径
DB 嵌合孔の内径
L 軸線
L1 軸線方向距離(挿入筒含む)
L2 軸線方向距離(挿入筒含まない)
P 軸線方向空洞
r ろう材
Rp1,Rp2 第2継手管の内部領域
Rs1,Rs1’,Rs2,Rs3 封孔領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7