(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016966
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】パネル組立方法およびパネル組立装置
(51)【国際特許分類】
B23P 21/00 20060101AFI20240201BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240201BHJP
G09F 9/40 20060101ALI20240201BHJP
E04G 21/16 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B23P21/00 302B
G09F9/00 351
G09F9/40 301
E04G21/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119283
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】599041606
【氏名又は名称】三菱電機プラントエンジニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000159272
【氏名又は名称】吉永機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 洋
(72)【発明者】
【氏名】村山 真美
(72)【発明者】
【氏名】小山 智明
(72)【発明者】
【氏名】榎本 風太
(72)【発明者】
【氏名】染谷 行雄
【テーマコード(参考)】
2E174
3C030
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
2E174BA01
2E174CA18
2E174DA14
2E174DA34
3C030CB03
3C030CB14
5C094AA43
5C094DA01
5C094GB10
5C094HA01
5G435AA17
5G435KK10
5G435LL19
(57)【要約】
【課題】従来よりも安価な構成で、かつ、高さ方向に多段接続される段数に対してフレキシブルに対応できるパネル組立方法を得る。
【解決手段】柱は、固定柱と、上段柱と、固定柱と上段柱との間に挿入される1以上の挿入柱とに分割されて構成されており、上昇下降フレームを上昇させることで形成される分割柱間の空間に対して挿入柱の継ぎ足しを行い、挿入柱を順次継ぎ足しながら、所望の段数の単位パネルの取り付けを順次行うことで、柱の高さ方向にパネルが複数段にわたって組み上げられて構成されるパネルモジュールの組み立てを行う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱の高さ方向に単位パネルを複数段にわたって組み上げることで構成されるパネルモジュールを組み立てるためのパネル組立方法であって、
前記柱は、
固定柱と、
前記固定柱の高さ方向に接続され、吊り具が固定されている上段柱と、
前記高さ方向において、前記固定柱と前記上段柱との間に挿入される1以上の挿入柱と
に分割されて構成されており、
前記固定柱の上段に前記上段柱が接続された状態で、前記吊り具に対して1段目の単位パネルを取り付ける第1ステップと、
前記1段目の単位パネルが取り付けられた状態で、前記高さ方向に沿って摺動可能な上昇下降フレームを上昇させることで、前記上段柱を上昇させる第2ステップと、
前記第2ステップにより上昇させた前記上段柱と前記固定柱との間に前記1以上の挿入柱の1つを継ぎ足す第3ステップと、
前記第3ステップの後に、前記1段目の単位パネルの下段に2段目の単位パネルを取り付ける第4ステップと、
前記2段目の単位パネルが取り付けられた状態で、前記上昇下降フレームを上昇させることで、前記固定柱の上に位置する挿入柱および前記上段柱を一体の柱として上昇させる第5ステップと、
前記第5ステップにより上昇させた前記一体の柱と前記固定柱との間に前記1以上の挿入柱のうちの新たな挿入柱をさらに継ぎ足す第6ステップと
を有し、
所望の段数の単位パネルの取り付けが完了するまで、前記第4ステップによる単位パネルの取り付け工程、前記第5ステップによる上昇工程、および前記第6ステップによる継ぎ足し工程を繰り返す
パネル組立方法。
【請求項2】
固定柱と、
前記固定柱の高さ方向に接続され、吊り具が固定されている上段柱と、
前記高さ方向において、前記固定柱と前記上段柱との間に挿入される1以上の挿入柱と、
前記高さ方向に沿って摺動可能な上昇下降フレームと、
前記上昇下降フレームを摺動させるシリンダと、
前記高さ方向に単位パネルを複数段にわたって組み上げることで構成され、最上段のパネルが前記吊り具に接続されるパネルモジュールと
を備え、
前記上昇下降フレームは、前記上段柱また前記挿入柱と、連結状態または非連結状態のいずれかに切り替え可能であり、
前記固定柱の直上の柱と前記上昇下降フレームとが前記連結状態において前記シリンダにより前記上昇下降フレームを摺動させることで、前記固定柱の直上に1本の挿入柱を継ぎ足し、前記吊り具に接続された単位パネルの下段に単位パネルを追加接続させることを可能とし、
前記固定柱の2段上の柱と前記上昇下降フレームとが前記連結状態において前記シリンダにより前記上昇下降フレームを摺動させることで、前記固定柱の直上の挿入柱を取り外し、前記パネルモジュールの下段の単位パネルを取り外すことを可能とする
構成を備えたパネル組立装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、柱により支持され、柱の高さ方向に単位パネルを複数段にわたって組み上げることで構成されたパネルモジュールを組み立てるためのパネル組立方法およびパネル組立装置に関する。
【背景技術】
【0002】
柱により支持され、柱の高さ方向に単位パネルを複数段にわたって組み上げることで、例えば大規模な映像イベントに用いられるパネルモジュールが構成される。このようなパネルモジュールを設置するための従来の設置方法では、枠組み足場を設置したステージ上に、単位パネルを下段から上段に積上げていくことでパネルモジュールを組み立てていた。従って、高所作業での組立作業が発生していた。
【0003】
このように、従来の設置方法では、高所作業が不可欠である。このため、組立および解体の際に作業時間がかかり、作業時間の短縮が求められていた。
【0004】
これに対して、作業時間を短縮して効率的に複数のモニタの設置・解体作業を行うことができる従来のモニタ吊下装置がある(例えば、特許文献1参照)。ここで、特許文献1における「モニタ」は、「パネル」に相当する。
【0005】
特許文献1に係るモニタ吊下装置は、複数のモニタを吊り下げるための吊下部材を支持するフレームと、フレームに支持された吊下部材を昇降させる制御機構としてのハンドルとを具備している。
【0006】
より具体的には、特許文献1に係る従来のモニタ吊下装置は、複数のモニタを吊り下げるために水平配置される吊下部材、および吊下部材と交差して接続され、吊下部材を伸縮自在に支持する複数の支柱、を備えたフレームを有している。さらに、従来のモニタ吊下装置は、吊下部材を昇降させ、吊下部材の高さを多段階に調整する制御機構も備えている。
【0007】
このような構成を備えることにより、複数のモニタの設置・解体作業を効率化でき、例えば、天候の変化にも迅速に対応することができ、機材の損傷などを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来技術は、以下のような課題がある。
従来のモニタ吊下装置は、例えば、野外で開催される大規模なコンサート、スタジアム、舞台などで、大型モニタとして用いられる。このような大型モニタにおいて、高さ方向に多段接続されるモニタの段数は、コンサート、スタジアム、舞台などの規模、用途に応じて異なる。
【0010】
従来のモニタ吊下装置では、高さ方向に多段接続されるモニタの段数に対応できるようにするためには、伸縮自在に支持する複数の支柱、および吊下部材の高さを多段階に調整可能な制御機構を準備する必要がある。あるいは、想定される最大の段数に対応できるようにするための支柱および制御機構を使用する必要がある。
【0011】
従って、従来のモニタ吊下装置において、高さ方向に多段接続される段数が多くなるほど、支柱および制御機構の構造がより複雑で、より大型となり、高価な装置になってしまう課題があった。そこで、種々の接続段数にレキシブルに対応でき、従来よりも安価な装置が望まれていた。
【0012】
本開示は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、従来よりも安価な構成で、かつ、高さ方向に多段接続される段数に対してフレキシブルに対応できるパネル組立方法およびパネル組立装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示に係るパネル組立方法は、柱の高さ方向に単位パネルを複数段にわたって組み上げることで構成されるパネルモジュールを組み立てるためのパネル組立方法であって、柱は、固定柱と、固定柱の高さ方向に接続され、吊り具が固定されている上段柱と、高さ方向において、固定柱と上段柱との間に挿入される1以上の挿入柱とに分割されて構成されており、固定柱の上段に上段柱が接続された状態で、吊り具に対して1段目の単位パネルを取り付ける第1ステップと、1段目の単位パネルが取り付けられた状態で、高さ方向に沿って摺動可能な上昇下降フレームを上昇させることで、上段柱を上昇させる第2ステップと、第2ステップにより上昇させた上段柱と固定柱との間に1以上の挿入柱の1つを継ぎ足す第3ステップと、第3ステップの後に、1段目の単位パネルの下段に2段目の単位パネルを取り付ける第4ステップと、2段目の単位パネルが取り付けられた状態で、上昇下降フレームを上昇させることで、固定柱の上に位置する挿入柱および上段柱を一体の柱として上昇させる第5ステップと、第5ステップにより上昇させた一体の柱と固定柱との間に1以上の挿入柱のうちの新たな挿入柱をさらに継ぎ足す第6ステップとを有し、所望の段数の単位パネルの取り付けが完了するまで、第4ステップによる単位パネルの取り付け工程、第5ステップによる上昇工程、および第6ステップによる継ぎ足し工程を繰り返すものである。
【0014】
また、本開示に係るパネル組立装置は、固定柱と、固定柱の高さ方向に接続され、吊り具が固定されている上段柱と、高さ方向において、固定柱と上段柱との間に挿入される1以上の挿入柱と、高さ方向に沿って摺動可能な上昇下降フレームと、上昇下降フレームを摺動させるシリンダと、高さ方向に単位パネルを複数段にわたって組み上げることで構成され、最上段のパネルが吊り具に接続されるパネルモジュールとを備え、上昇下降フレームは、上段柱また挿入柱と、連結状態または非連結状態のいずれかに切り替え可能であり、固定柱の直上の柱と上昇下降フレームとが連結状態においてシリンダにより上昇下降フレームを摺動させることで、固定柱の直上に1本の挿入柱を継ぎ足し、吊り具に接続された単位パネルの下段に単位パネルを追加接続させることを可能とし、固定柱の2段上の柱と上昇下降フレームとが連結状態においてシリンダにより上昇下降フレームを摺動させることで、固定柱の直上の挿入柱を取り外し、パネルモジュールの下段の単位パネルを取り外すことを可能とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、従来よりも安価な構成で、かつ、高さ方向に多段接続される段数に対してフレキシブルに対応できるパネル組立方法およびパネル組立装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示の実施の形態1に係るパネル組立方法を適用して組み上げられたパネルモジュールの一例を示した説明図である。
【
図2】本開示の実施の形態1におけるパネル組立方法の一連処理を示したフローチャートである。
【
図3A】本開示の実施の形態1における
図2に示したステップS201に対応したパネル組立装置の状態を示した説明図である。
【
図3B】本開示の実施の形態1における
図2に示したステップS202に対応したパネル組立装置の状態を示した説明図である。
【
図3C】本開示の実施の形態1における
図2に示したステップS203に対応したパネル組立装置の状態を示した説明図である。
【
図3D】本開示の実施の形態1における
図2に示したステップS204に対応したパネル組立装置の状態を示した説明図である。
【
図3E】本開示の実施の形態1における
図2に示したステップS205に対応したパネル組立装置の状態を示した説明図である。
【
図3F】本開示の実施の形態1における
図2に示したステップS206に対応したパネル組立装置の状態を示した説明図である。
【
図3G】本開示の実施の形態1における
図2に示したステップS207に対応したパネル組立装置の状態を示した説明図である。
【
図3H】本開示の実施の形態1における
図2に示したステップS208に対応したパネル組立装置の状態を示した説明図である。
【
図3I】本開示の実施の形態1における
図2に示したステップS209に対応したパネル組立装置の状態を示した説明図である。
【
図3J】本開示の実施の形態1における
図2に示したステップS210に対応したパネル組立装置の状態を示した説明図である。
【
図3K】本開示の実施の形態1における
図2に示したステップS211に対応したパネル組立装置の状態を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示のパネル組立方法およびパネル組立装置の好適な実施の形態につき、図面を用いて具体的に説明する。
本開示に係るパネル組立方法およびパネル組立装置は、柱の高さ方向に単位パネルを複数段にわたって組み上げることで構成されるパネルモジュールを組み立てる際に、柱を、固定柱と1以上の挿入柱と上段柱とによる分割構成とし、段数に応じて挿入柱の本数をフレキシブルに変更できる構成を有することを技術的特徴とするものである。
【0018】
実施の形態1.
図1は、本開示の実施の形態1に係るパネル組立方法を適用して組み上げられたパネルモジュールの一例を示した説明図である。
図1(a)は、組み上がったパネルモジュール40を正面から見た状態を示しており、
図1(b)は、組み上がったパネルモジュール40を側面から見た状態を示している。
【0019】
図1では、1枚のパネル41を、横11×縦6の合計66枚並べることで、パネルモジュール40が構成されている場合を例示している。なお、
図1では、最上段を1段目、最下段を6段目としたときに、n段目を構成する11枚のパネルを単位パネル41(n)として示している。
【0020】
なお、パネル41の配列は、
図1に限定されず、横方向に1枚以上、縦方向に2枚以上として複数段として構成することができる。各段を構成する単位パネル41(n)も、1枚以上のパネル41により構成することができる。
【0021】
図1に示した本実施の形態1に係るパネル組立装置は、分割柱10、上昇下降フレーム20、シリンダ30、およびパネルモジュール40を備えて構成されている。
【0022】
分割柱10は、最下段に配置された固定柱11と、最上段に配置された上段柱12と、1以上の挿入柱13とにより、高さ方向に分割されている。
図1では、固定柱11と上段柱12との間に5本の挿入柱13が挿入されて高さ方向で接続されることで、1本の柱としての分割柱10が構成されている。
【0023】
上段柱12には、1段目の単位パネル41(1)を固定するための吊り具1が取り付けられている。なお、
図1では、1対の分割柱10に対して1本の吊り具1が取り付けられた状態を例示している。ただし、分割柱10の数は、2本には限定されず、パネルモジュール40のサイズに応じて、1本あるいは3本以上とすることが可能である。
【0024】
また、
図1では、固定柱11と上段柱12との間に5本の挿入柱13が挿入されている状態を例示している。ただし、挿入柱13の数は、5本には限定されず、パネルモジュール40の段数、1枚のパネルの大きさ、パネルモジュール40の設置高さ等に応じて、適切な本数を採用することが可能である。
【0025】
上昇下降フレーム20は、分割柱10の高さ方向に沿って摺動可能な構成を備えており、シリンダ30の伸縮により摺動する。さらに、上昇下降フレーム20は、固定柱11の直上の柱と連結状態または非連結状態のいずれかに切り替え可能な構造を有している。例えば、固定ピンを挿入することで上昇下降フレーム20と所望の柱とを連結状態とすることができ、固定ピンを引き抜くことで上昇下降フレーム20と所望の柱とを非連結状態とすることができる。
【0026】
シリンダ30が縮み端の位置で、固定柱11の直上の柱と上昇下降フレーム20とを連結状態とした後に、シリンダ30を伸び端の位置に向けて高さ方向に押し上げることで、固定柱11と直上の柱との間に挿入柱13を挿入するための空間を形成することができる。この結果、挿入柱13を継ぎ足して分割柱10を高くすることができる。
【0027】
換言すると、本開示におけるシリンダ30は、1本分の挿入柱を継ぎ足すための空間を形成するために必要なストロークを有していればよく、継ぎ足し処理を繰り返して挿入柱の本数を増やすことで、より高い分割柱10を形成することができる。従って、シリンダ30としては、パネルの段数に応じて多段階に高さ調整できる複雑な機構を使用する必要がない。
【0028】
吊り具1に対して1段目の単位パネル41(1)が取り付けられた状態、かつ連結状態で、シリンダ30により直上の柱を高さ方向に押し上げ、挿入柱13を継ぎ足すことで、作業員は、地上に立った状態で、1段目の単位パネル41(1)の下に2段目の単位パネル41(2)を取り付けることができる。
【0029】
すなわち、連結状態において、上昇下降フレーム20を高さ方向の初期位置から上昇位置まで押し上げ、挿入柱13を継ぎ足すことで、高所作業を行うことなしに、2段目の単位パネル41(2)の取り付け作業を実現することができる。なお、パネル41のサイズによっては、複数段にわたっての取り付け作業をあわせて行うことも可能である。
【0030】
挿入された挿入柱13の上に直上の柱が配置された状態で、直上の柱と上昇下降フレーム20とを非連結状態とした後に、シリンダ30を縮み端の位置に向けて、高さ方向の上昇位置から下げることで、上昇下降フレーム20を高さ方向の初期位置に復帰させることができる。
【0031】
このように、連結状態で直上の柱を押し上げて挿入柱13を挿入する継ぎ足し処理と、非連結状態で上昇下降フレーム20を高さ方向の初期位置に戻す復帰処理とを繰り返すことで、複数段で構成されるパネルモジュール40を、高所作業なしに組み立てることが可能となる。
【0032】
また、組立時と逆の手順により、挿入柱13を順次取り外していくことで、複数段で構成されたパネルモジュール40を、高所作業なしに解体することが可能となる。
【0033】
具体的には、組立時においては、固定柱11の直上の柱と上昇下降フレーム20とが連結状態において、シリンダ30により上昇下降フレーム20を摺動させることで、固定柱11の直上に1本の挿入柱13を継ぎ足すことができる。挿入柱13が挿入されたことで、吊り具1に接続された単位パネルも上昇し、高所作業なしに、さらなる単位パネルを追加接続させることが可能となる。
【0034】
一方、解体時においては、固定柱11の2段上の柱と上昇下降フレーム20とが連結状態において、シリンダ30により上昇下降フレーム20を摺動させることで、固定柱11の直上の挿入柱13を取り外すことができる。挿入柱13が取り外されることで、吊り具1に接続された単位パネルも下降させることができ、パネルモジュール40の下段の単位パネルを取り外すことが可能となる。
【0035】
次に、1段目の単位パネル41(1)から3段目の単位パネル41(3)までを順次組み立てていく具体的な一連作業について、
図2および
図3を用いて詳細に説明する。
図2は、本開示の実施の形態1におけるパネル組立方法の一連処理を示したフローチャートである。
【0036】
また、
図3A~
図3Kは、本開示の実施の形態1における
図2に示した各ステップS201~S211に対応したパネル組立装置の状態を示した説明図である。すなわち、ステップS201~ステップS211のそれぞれに対応するパネル組立装置の状態が、
図3A~
図3Kに対応している。作業員は、いずれのステップにおいても、ベース面100に立った状態で、高所作業なしに、各作業を実施することができる。
【0037】
ステップS201において、作業員は、上段柱12に固定された吊り具に対して、1段目の単位パネル41(1)を取り付ける。
図3Aは、ステップS201に対応する状態であり、固定柱11の直上に上段柱12が位置しており、シリンダ30は縮み端である初期位置にあり、上昇下降フレーム20は、初期位置となっている。
【0038】
次に、ステップS202において、上段柱12と上昇下降フレーム20とを固定ピン21を用いて固定後、シリンダ30を初期位置から上昇位置に向けて上昇させる。
図3Bは、ステップS202に対応する状態であり、シリンダ30により上昇下降フレーム20を上昇させることで、1段目の単位パネル41(1)が取り付けられた状態で、上段柱12および吊り具1が上昇するとともに、固定柱11と上段柱12との間に空間が形成される。
【0039】
次に、ステップS203において、作業員は、固定柱11と上段柱12との間に形成された空間に対して、挿入柱13を挿入する。
図3Cは、ステップS203に対応する状態であり、作業員は、ベース面100に立った状態で、容易に挿入柱13を空間に挿入できる。
【0040】
次に、ステップS204において、作業員は、挿入柱13を挿入した後、上段柱12と上昇下降フレーム20とを固定していた固定ピンを抜くことで、上段柱12と上昇下降フレーム20との固定状態を解除する。
図3Dは、ステップS204に対応する状態であり、作業員は、ベース面100に立った状態で、挿入柱13の継ぎ足し、および上段柱12と上昇下降フレーム20との固定状態の解除を容易に行うことができる。
【0041】
次に、ステップS205において、作業員は、上段柱12と上昇下降フレーム20との固定状態が解除された後に、シリンダ30を下降させる。
図3Eは、ステップS205に対応する状態であり、作業員は、シリンダ30を下降させて初期位置に戻すことで、上昇下降フレーム20を初期位置に復帰させることができる。
【0042】
次に、ステップS206において、作業員は、吊り具1に取り付けられた1段目の単位パネル41(1)の下に、2段目の単位パネル41(2)を取り付ける。
図3Fは、ステップS206に対応する状態であり、固定柱11の直上には挿入柱13が位置しており、シリンダ30は縮み端である初期位置にあり、上昇下降フレーム20は、初期位置に復帰している。
【0043】
次に、ステップS207において、固定柱11の直上に位置する挿入柱13と上昇下降フレーム20とを固定ピン21を用いて固定後、シリンダ30を初期位置から上昇位置に向けて上昇させる。
図3Gは、ステップS207に対応する状態であり、シリンダ30により上昇下降フレーム20を上昇させることで、1段目の単位パネル41(1)および2段目の単位パネル41(2)が取り付けられた状態で、上段柱12、挿入柱13、および吊り具1が上昇するとともに、固定柱11と挿入柱13との間に空間が形成される。
【0044】
すなわち、固定柱11の直上にある挿入柱13と、固定柱11の2段上に位置する上段柱12とが一体の柱として上昇する。さらに、上昇工程が完了することで、固定柱11と挿入柱13との間に空間が形成されることとなる。
【0045】
次に、ステップS208において、作業員は、固定柱11と挿入柱13との間に形成された空間に対して、新たな挿入柱13を挿入する。
図3Hは、ステップS208に対応する状態であり、作業員は、ベース面100に立った状態で、容易に新たな2本目の挿入柱13を空間に挿入できる。
【0046】
次に、ステップS209において、作業員は、新たな挿入柱13を挿入した後、1本目に挿入済みの挿入柱13と上昇下降フレーム20とを固定していた固定ピンを抜くことで、挿入柱13と上昇下降フレーム20との固定状態を解除する。
図3Iは、ステップS209に対応する状態であり、作業員は、ベース面100に立った状態で、新たな挿入柱13の継ぎ足し、および1本目の挿入柱13と上昇下降フレーム20との固定状態の解除を容易に行うことができる。
【0047】
次に、ステップS210において、作業員は、1本目の挿入柱13と上昇下降フレーム20との固定状態が解除された後に、シリンダ30を下降させる。
図3Jは、ステップS210に対応する状態であり、作業員は、シリンダ30を下降させて初期位置に戻すことで、上昇下降フレーム20を初期位置に復帰させることができる。
【0048】
最後に、ステップS211において、作業員は、2段目の単位パネル41(2)の下に、3段目の単位パネル41(3)を取り付ける。
図3Kは、ステップS211に対応する状態であり、固定柱11の直上には2本の挿入柱13が位置しており、シリンダ30は縮み端である初期位置にあり、上昇下降フレーム20は、初期位置に復帰している。
【0049】
このようにして、連結状態で直上の柱を押し上げて挿入柱13を挿入する継ぎ足し処理と、非連結状態で上昇下降フレーム20を高さ方向の初期位置に戻す復帰処理とを繰り返すことで、ベース面100に立った状態で、高所作業なしに、単位パネルを追加接続していき、所望の段数のパネルモジュールの組立作業を完了させることができる。
【0050】
なお、
図2および
図3の説明では省略したが、先の
図1で示したように、斜材2を用いることで、パネル組立装置に転倒防止機能を付加することができる。斜材2も、分割柱10と同様に分割構造を採用することで、作業員は、挿入柱13が継ぎ足されて高くなるごとに、斜材2の長さも長くしていく組立作業をベース面100に立った状態で実行することができる。
【0051】
例えば、設置場所の地面が傾斜しているような場合、設置環境が強風等の影響を受ける場合などには、斜材2を用いて転倒防止機能を付加することが有効となる。
【0052】
また、本実施の形態1で詳述した分割柱10、上昇下降フレーム20、およびシリンダ30からなる柱構造は、単に組立作業、解体作業として用いるだけに限られず、恒久的な保持柱としても討ち入ることが可能である。
【0053】
以上のように、実施の形態1によれば、柱を分割構造として、上昇下降フレームを上昇させることで形成される分割柱間の空間に対して挿入柱の継ぎ足しを行い、挿入柱を順次継ぎ足しながら、所望の段数の単位パネルの取り付けを順次行う一連の作業を、高所作業なしで実施できる構成を備えている。この結果、従来よりも安価な構成で、かつ、高さ方向に多段接続される段数に対してフレキシブルに対応できるパネル組立方法およびパネル組立装置を実現できる。
【0054】
また、高所作業をなくすことで、作業時間の短縮を図ることができる。従って、装置の製造コスト、および組立、解体に必要となる作業コストの削減を図ることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 吊り具、2 斜材、10 分割柱、11 固定柱、12 上段柱、13 挿入柱、20 上昇下降フレーム、21 固定ピン、30 シリンダ、40 パネルモジュール、41 パネル、41(n) 単位パネル。