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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016967
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】回路装置及び表示システム
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20240201BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20240201BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/34 J
G09G3/20 K
G09G3/20 631H
G09G3/20 631U
G09G3/20 642Z
G09G3/20 631R
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119285
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100166523
【弁理士】
【氏名又は名称】西河 宏晃
(72)【発明者】
【氏名】中原 辰徳
【テーマコード(参考)】
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
5C006AB01
5C006AF13
5C006AF46
5C006BF01
5C006BF08
5C006BF15
5C006BF26
5C006EA01
5C006EC09
5C006EC11
5C006EC13
5C006EC14
5C006FA44
5C006GA02
5C080AA10
5C080DD04
5C080DD22
5C080EE21
5C080EE28
5C080EE29
5C080JJ02
5C080JJ06
5C080JJ07
5C080KK01
5C080KK20
5C080KK43
(57)【要約】
【課題】バックライトから各画素に届く光の輝度を正確に求めることができる回路装置等を提供すること。
【解決手段】回路装置100は、複数のルックアップテーブルを記憶する記憶部170と、バックライト210から表示パネル220の対象画素に届く光の輝度を示す輝度情報を演算する輝度情報演算回路150と、を含む。第1ルックアップテーブルは、第1位置に設けられた第1光源素子に対応付けられ、第1光源素子の第1減衰率分布を示す。第2ルックアップテーブルは、第2位置に設けられた第2光源素子に対応付けられ、第2光源素子の第2減衰率分布を示す。輝度情報演算回路150は、第1ルックアップテーブルに基づいて、第1光源素子から対象画素に届く光の第1減衰率を求め、第2ルックアップテーブルに基づいて、第2光源素子から対象画素に届く光の第2減衰率を求め、第1減衰率及び第2減衰率に基づいて輝度情報を演算する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各ルックアップテーブルが、表示パネルとバックライトを有する表示装置の前記バックライトの光源素子の減衰率分布を示す複数のルックアップテーブルを記憶する記憶部と、
前記バックライトから前記表示パネルの対象画素に届く光の輝度を示す輝度情報を演算する輝度情報演算回路と、
を含み、
前記記憶部は、
前記バックライトの第1位置に設けられた第1光源素子に対応付けられ、前記第1光源素子の第1減衰率分布を示す第1ルックアップテーブルと、
前記バックライトの前記第1位置とは異なる第2位置に設けられた第2光源素子に対応付けられ、前記第2光源素子の第2減衰率分布を示す第2ルックアップテーブルと、
を前記複数のルックアップテーブルとして記憶し、
前記輝度情報演算回路は、
前記第1ルックアップテーブルに基づいて、前記第1光源素子から前記対象画素に届く光の第1減衰率を求め、前記第2ルックアップテーブルに基づいて、前記第2光源素子から前記対象画素に届く光の第2減衰率を求め、前記第1減衰率及び前記第2減衰率に基づいて前記輝度情報を演算することを特徴とする回路装置。
【請求項2】
請求項1に記載された回路装置において、
前記各ルックアップテーブルは、
光源素子から前記表示パネルの画素までの距離に対して、前記距離における減衰率が対応付けられたテーブルであり、
前記輝度情報演算回路は、
前記第1光源素子から前記対象画素までの距離における前記第1減衰率を、前記第1ルックアップテーブルに基づいて求め、
前記第2光源素子から前記対象画素までの距離における前記第2減衰率を、前記第2ルックアップテーブルに基づいて求めることを特徴とする回路装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された回路装置において、
前記第2位置は、
前記第1位置に比べて、前記表示パネルの第1辺に近い位置であることを特徴とする回路装置。
【請求項4】
請求項3に記載された回路装置において、
前記バックライトは、
前記第1位置に比べて、前記表示パネルの前記第1辺に対向する第3辺に近い第3位置に設けられた第3光源素子を含み、
前記輝度情報演算回路は、
前記第3光源素子から前記対象画素に届く光の第3減衰率を、前記第2ルックアップテーブルを180度回転させたルックアップテーブルに基づいて演算し、
前記第1減衰率、前記第2減衰率及び前記第3減衰率に基づいて前記輝度情報を演算することを特徴とする回路装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載された回路装置において、
前記第2位置は、
前記第1位置に比べて、前記表示パネルの第1辺と第2辺が交わる第1コーナー部に近い位置であることを特徴とする回路装置。
【請求項6】
請求項5に記載された回路装置において、
前記バックライトは、
前記第1位置に比べて、前記表示パネルの前記第1辺に対向する第3辺と前記第2辺に対向する第4辺とが交わる第2コーナー部に近い第3位置に設けられる第3光源素子を含み、
前記輝度情報演算回路は、
前記第3光源素子から前記対象画素に届く光の第3減衰率を、前記第2ルックアップテーブルを180度回転させたルックアップテーブルに基づいて演算し、
前記第1減衰率、前記第2減衰率及び前記第3減衰率に基づいて前記輝度情報を演算することを特徴とする回路装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載された回路装置において、
前記第1減衰率分布は、
中心に対して回転対称な減衰率分布であり、
前記第2減衰率分布は、
中心に対して非回転対称な減衰率分布であることを特徴とする回路装置。
【請求項8】
請求項7に記載された回路装置において、
前記第2減衰率分布は、
中心から前記表示パネルの1つの辺へ向かう方向での減衰特性と、前記中心から前記表示パネルの前記1つの辺とは異なる辺へ向かう方向での減衰特性とが、異なることを特徴とする回路装置。
【請求項9】
請求項1又は2に記載された回路装置において、
前記記憶部は、
前記バックライトの前記第1位置及び前記第2位置とは異なる第3位置に設けられた第3光源素子に対応付けられ、前記第3光源素子の第3減衰率分布を示す第3ルックアップテーブルを、前記複数のルックアップテーブルとして記憶し、
前記第2位置は、
前記第1位置に比べて、前記表示パネルの第1辺に近い位置であり、
前記第3位置は、
前記第1位置に比べて、前記表示パネルの第2辺と第3辺が交わる第1コーナー部に近い位置であり、
前記輝度情報演算回路は、
前記第3ルックアップテーブルに基づいて、前記第3光源素子から前記対象画素に届く光の第3減衰率を求め、前記第1減衰率、前記第2減衰率及び前記第3減衰率に基づいて前記輝度情報を演算することを特徴とする回路装置。
【請求項10】
請求項1又は2に記載された回路装置において、
輝度解析回路と、
色補正回路と、
を含み、
前記輝度解析回路は、
画像データの輝度解析を行い、前記輝度解析の結果に基づいて、前記バックライトのローカルディミング制御における調光情報を求め、
前記輝度情報演算回路は、
前記調光情報と前記第1減衰率に基づいて、前記第1光源素子から前記対象画素に届く光の第1輝度を求め、前記調光情報と前記第2減衰率に基づいて、前記第2光源素子から前記対象画素に届く光の第2輝度を求め、前記第1輝度及び前記第2輝度に基づいて前記輝度情報を演算し、
前記色補正回路は、
前記輝度情報に基づいて前記対象画素の画像データの色補正を行い、色補正後の画像データを前記表示装置に出力することを特徴とする回路装置。
【請求項11】
請求項1又は2に記載された回路装置と、
前記表示装置と、
を含むことを特徴とする表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路装置及び表示システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ローカルディミングを行う画像表示装置が開示されている。画像表示装置は、LED出力値算出部と表示輝度データ算出部とLDCデータ算出部とを含む。LED出力値算出部は、画像の各エリアに対応する光源の発光時の輝度を示す発光輝度データを求める。表示輝度データ算出部は、発光輝度データに対して、予め用意された輝度拡散関数を用いた畳み込み処理を施すことで、拡散輝度データを求める。線形補間部は、拡散輝度データに対して線形補間処理を行うことにより、原色別に画素毎の値を持つデータである表示輝度データを求める。LDCデータ算出部は、入力画像データと表示輝度データとに基づいて、原色別に画素毎の光透過率を求め、その光透過率を表すデータをLCDデータとして出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-095559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バックライトには複数の光源が配置されており、光源の位置に応じて光源の周辺構造が異なるため、その周辺構造の違いによって、光源から表示パネルに届く光の拡散パターンが異なる。このような拡散パターンの違いを考慮せずに、バックライトから表示パネルの各画素に届く光の輝度を求めると、その輝度を精度良く求めることができないという課題がある。各画素に届く光の輝度に基づいて画像データの色補正が行われるので、その輝度が精度良く求められていないと、適切な色補正が行われない。特許文献1では、バックライトから各画素に届く光の輝度を求める際に光源の位置に応じた光の拡散パターンの違いを考慮することは、開示も示唆もされていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、各ルックアップテーブルが、表示パネルとバックライトを有する表示装置の前記バックライトの光源素子の減衰率分布を示す複数のルックアップテーブルを記憶する記憶部と、前記バックライトから前記表示パネルの対象画素に届く光の輝度を示す輝度情報を演算する輝度情報演算回路と、を含み、前記記憶部は、前記バックライトの第1位置に設けられた第1光源素子に対応付けられ、前記第1光源素子の第1減衰率分布を示す第1ルックアップテーブルと、前記バックライトの前記第1位置とは異なる第2位置に設けられた第2光源素子に対応付けられ、前記第2光源素子の第2減衰率分布を示す第2ルックアップテーブルと、を前記複数のルックアップテーブルとして記憶し、前記輝度情報演算回路は、前記第1ルックアップテーブルに基づいて、前記第1光源素子から前記対象画素に届く光の第1減衰率を求め、前記第2ルックアップテーブルに基づいて、前記第2光源素子から前記対象画素に届く光の第2減衰率を求め、前記第1減衰率及び前記第2減衰率に基づいて前記輝度情報を演算する回路装置に関係する。
【0006】
また本開示の他の態様は、上記の回路装置と、前記表示装置と、を含む表示システムに関係する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態の表示システムを含む電子機器の構成例。
図2】回路装置の詳細構成例。
図3】輝度情報演算回路が行う処理のフローチャート。
図4】光源素子の位置に応じた減衰率分布の違いを説明する図。
図5】非等方的な減衰率分布を説明する図。
図6】辺及びコーナー部から離れた光源素子に対応したルックアップテーブルの例。
図7】辺に沿って配置された光源素子に対応したルックアップテーブルの例。
図8】コーナー部に配置された光源素子に対応したルックアップテーブルの例。
図9】辺に沿って配置された光源素子に対応したルックアップテーブルの回転を説明する図。
図10】コーナー部に配置された光源素子に対応したルックアップテーブルの回転を説明する図。
図11】輝度計算に使用される光源素子を決定する手法の説明図。
図12】対象画素と光源素子群の各光源素子との間の距離を説明する図。
図13】線形補間の計算手法を説明する図。
図14】線形補間の具体的な計算例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが必須構成要件であるとは限らない。
【0009】
1.電子機器、表示システム及び回路装置
図1は、本実施形態の表示システムを含む電子機器の構成例である。電子機器500は、処理装置300と表示システム400とを含む。電子機器500は、一例としては、ディスプレイを含む車載クラスターパネル、ヘッドアップディスプレイ等を含む車載表示機器、テレビジョン装置、或いはディスプレイを含む情報処理装置である。
【0010】
表示システム400は、回路装置100と表示装置200とを含む。回路装置100は、例えば、半導体基板に複数の回路素子が集積された集積回路装置である。なお、図1には回路装置100と表示装置200を別の構成要素として記載したが、回路装置100が表示装置200内に含まれてもよい。
【0011】
表示装置200は、バックライト210と表示パネル220と表示ドライバー230と光源ドライバー240と表示コントローラー250とを含む。表示装置200の一例は、テレビジョン装置又は情報処理装置等に用いられるディスプレイである。或いは、表示装置200は、目への投写装置を含むヘッドマウントディスプレイ、或いは、スクリーンへの投写装置を含むヘッドアップディスプレイ等であってもよい。表示装置200がヘッドアップディスプレイであるとき、表示装置200は、更に、バックライト210から出射されて表示パネル220を透過した光をスクリーンに投影するための光学系を含む。
【0012】
バックライト210に対する平面視において、バックライト210には光源素子が2次元配置されている。光源素子は、電力供給により光を発する発光素子であり、例えば無機発光ダイオード、或いは有機発光ダイオードである。ローカルディミング制御において、2次元配置された各光源素子の光量が互いに独立に制御される。或いは、バックライトが、平面視において各エリアが複数の光源素子を含む複数のエリアに分割され、各エリアに含まれた光源素子は同一の光量に制御されると共に、各エリアの光量が互いに独立に制御されてもよい。
【0013】
光源素子の2次元配置の一例は、複数行と複数列の交点の全てに光源素子が配置された正方配置である。但し2次元配置は正方配置に限定されない。例えば、2次元配置は例えば菱形配置又は千鳥配置と呼ばれる配置であってもよい。この配置において、奇数行及び偶数行の一方と奇数列との交点、及び奇数行及び偶数行の他方と偶数列との交点に光源素子が配置され、それ以外の交点に光源素子が配置されない。
【0014】
光源ドライバー240は、回路装置100から調光データDDIMを受信し、その調光データDDIMに基づいてバックライト210の各光源素子を駆動する。光源ドライバー240は例えば集積回路装置である。なお、光源ドライバーが複数設けられ、その各光源ドライバーが別個の集積回路装置であってもよい。
【0015】
表示パネル220は、バックライト210からの光を透過し、その透過率が制御されることで画像を表示する電気光学パネルである。例えば、表示パネル220は液晶表示パネルである。
【0016】
表示コントローラー250は、回路装置100から画像データIMBを受信し、その画像データIMBと、表示タイミングを制御するタイミング制御信号とを、表示ドライバー230に送信する。なお、表示コントローラー250は、受信した画像データIMBに対する階調補正、ホワイトバランス補正又は拡大縮小等の画像処理を行ってもよい。
【0017】
表示ドライバー230は、受信した画像データとタイミング制御信号に基づいて表示パネルを駆動することで、表示パネル220に画像を表示させる。なお、表示コントローラー250と表示ドライバー230の各々が別の集積回路装置で構成されてもよいし、一体の集積回路装置で構成されてもよい。
【0018】
処理装置300は、回路装置100に画像データIMAを送信する。処理装置300は、例えばCPU、マイクロコンピューター、DSP、ASIC又はFPGA等のプロセッサーである。
【0019】
回路装置100は、画像データIMAを受信し、その画像データIMAに基づいて表示装置200のローカルディミング制御を行う。回路装置100は、画像データIMAを輝度解析することでバックライト210の各光源素子又は各エリアの発光輝度を調光情報として決定し、その調光情報を示す調光データDDIMを光源ドライバー240に出力する。また回路装置100は、調光情報に基づいて画像データIMAに対する色補正を行い、色補正後の画像データIMBを表示コントローラー250に出力する。
【0020】
図2は、回路装置の詳細構成例である。回路装置100は、インターフェース回路110と光源制御回路130と輝度解析回路140と輝度情報演算回路150と色補正回路160と記憶部170とを含む。以下、ローカルディミングにおいてバックライト210の発光素子毎に独立に調光される場合を例に説明するが、複数の発光素子を含むエリア毎に独立に調光されてもよい。
【0021】
インターフェース回路110は、処理装置300から画像データIMAを受信する。インターフェース回路110は、LVDS、パラレルRGB方式又はディスプレイポート等の様々な画像インターフェース方式のインターフェース回路であってよい。
【0022】
輝度解析回路140は、画像解析部141と光源輝度決定部142とを含む。画像解析部141は、画像データIMBの輝度を解析する。光源輝度決定部142は、画像解析部141による解析の結果に基づいて各発光素子の発光輝度を決定し、その各発光素子の発光輝度を示す調光データLLDを調光情報として出力する。例えば、画像解析部141は、バックライト210の発光素子に対応する画像エリアにおいて、その画像エリアに属する画素データの最大輝度を決定する。光源輝度決定部142は、その最大輝度を表示装置200において表示できる範囲で最小の発光輝度を決定し、それを、その発光素子の発光輝度とする。
【0023】
光源制御回路130は、各光源素子の発光輝度を示す調光データLLDに基づいて、各光源素子の発光輝度を示す調光データDDIMを光源ドライバー240に出力する。光源ドライバー240は、調光データDDIMが示す各光源素子の発光輝度に対応したパルス幅のPWM信号で各発光素子を駆動する。これにより、各発光素子が、ローカルディミングで制御される発光輝度で発光する。
【0024】
記憶部170は、光源素子から表示パネルに届く光の減衰率分布を示すルックアップテーブルを記憶する。図2には、記憶部170が、互いに減衰率分布が異なる3種類のルックアップテーブルLUTA、LUTB、LUTCを記憶する例を示す。但し、ルックアップテーブルの数は2以上であればよい。減衰率分布は、光源素子から画素までの距離と、光源素子から画素まで届く光の減衰率との関係を示す。減衰率分布は、減衰特性又は輝度分布とも呼ばれる。記憶部170は、レジスターであってもよいし、或いはRAM又は不揮発性メモリー等のメモリーであってもよい。
【0025】
輝度情報演算回路150は、座標解析部151と輝度計算部152とを含む。詳細は図3以降で説明するものとし、ここでは概略を説明する。座標解析部151は、光源素子の座標に基づいて、ルックアップテーブルLUTA、LUTB、LUTCのいずれを用いるかを決定する。輝度計算部152は、座標解析部151で決定されたルックアップテーブルと調光データLLDとに基づいて、光源素子から表示パネル220の各画素に届く光の輝度を示す輝度情報を求め、その輝度情報を照明輝度データLPXとして出力する。
【0026】
色補正回路160は、照明輝度データLPXに基づいて画像データIMAの色補正を行い、補正後の画像データIMBを表示ドライバー230に出力する。具体的には、色補正回路160は、各画素の画素データに、その画素に届く光の輝度の逆数を乗算し、その結果をその画素の新たな画素データとする。
【0027】
光源制御回路130、輝度解析回路140、輝度情報演算回路150及び色補正回路160は、デジタル信号を処理するロジック回路である。光源制御回路130、輝度解析回路140、輝度情報演算回路150及び色補正回路160の各々が、別個にロジック回路で構成されてもよいし、それらの一部又は全部が一体のロジック回路で構成されてもよい。或いは、DSP等のプロセッサーが、光源制御回路130、輝度解析回路140、輝度情報演算回路150及び色補正回路160の機能が記述された命令セット又はプログラムを実行することで、それらの回路の機能を実現してもよい。
【0028】
なお、回路装置100は歪み補正回路を含んでもよい。歪み補正回路は、表示パネル220に表示された画像をスクリーン等に投影する光学系に起因する画像歪み、又はスクリーンの歪みに起因する画像歪みを、補正する。具体的には、歪み補正回路は、インターフェース回路110が受信した画像データIMAに対して、上記画像歪みをキャンセル又は低減する画像補正を行い、補正後の画像データを輝度解析回路140、輝度情報演算回路150及び色補正回路160に出力する。但し、歪み補正回路は回路装置100ではなく処理装置300に設けられてもよい。
【0029】
2.輝度情報演算回路の処理フロー
図3は、輝度情報演算回路が行う処理のフローチャートである。以下において対象画素とは、輝度情報を求める対象となっている画素のことである。
【0030】
ステップS1において、座標解析部151は、対象画素の座標に基づいて輝度計算に使用する光源素子を決定する。例えば、図11で後述するように、座標解析部151は、対象画素の周囲に配置された所定数の光源素子を、輝度計算に使用する光源素子に決定する。
【0031】
ステップS2において、座標解析部151は、ステップS1で決定された各光源素子について、その光源素子の位置に基づいて、参照するルックアップテーブルとその回転角度とを決定する。例えば、図4図10で後述するように、座標解析部151は、ルックアップテーブルLUTA、LUTB、LUTCのいずれを参照するか、及び、回転角度を0°、90°、180°、270°のいずれの角度にするか、を決定する。
【0032】
ステップS3において、輝度計算部152は、対象画素の座標と光源素子の間の距離に基づいて、ステップS2で決定されたルックアップテーブルを参照して減衰率を取得し、その減衰率を線形補間することで、対象画素における減衰率を求める。具体的には、図13図14で後述するように、輝度計算部152は、上記距離の付近の4つの減衰率をルックアップテーブルから取得し、その4つの減衰率から線形補間を行う。
【0033】
ステップS4において、輝度計算部152は、光源輝度決定部142が調光した各光源素子の発光輝度と、ステップS3で決定された減衰率とに基づいて、光源素子から対象画素に届く光の輝度を求める。ステップS2~S4は、ステップS1で決定された光源素子の全てに対して実行される。
【0034】
ステップS5において、輝度計算部152は、ステップS4で求められた輝度を、決定された光源素子の全てについて加算することで、バックライト210から対象画素に届く光の輝度を求める。例えば、輝度の計算例を下式(1)で後述するが、その左辺において4つの項が加算されている。各項を計算することがステップS4に対応し、4つの項を加算することがステップS5に対応する。
【0035】
3.ステップS2の詳細
以下、各ステップの詳細を説明する。まず、図4図10を用いてステップS2の詳細を説明する。
【0036】
図4は、光源素子の位置に応じた減衰率分布の違いを説明する図である。図4には主に対称性が分かるように減衰率分布を模式的に示しており、正確な減衰率分布を示すものではない。
【0037】
図4において、互いに直交する3方向をx方向、y方向及びz方向とする。xy平面に平行にバックライト210と表示パネル220が設けられ、表示パネル220のz方向側にバックライト210が設けられるとする。x方向は表示パネル220の水平方向であり、y方向は表示パネル220の垂直方向である。なお、ここではバックライト210に複数の光源素子10が正方配置される例を示す。
【0038】
EDA~EDDは、表示パネル220の4つの辺である。辺EDAと辺EDCは互いに対向し、辺EDBと辺EDDは互いに対向する。なお、表示パネル220の辺はバックライト210の辺と言い換え可能である。CNAは、辺EDAと辺EDBが交わるコーナー部であり、CNBは、辺EDBと辺EDCが交わるコーナー部であり、CNCは、辺EDCと辺EDBが交わるコーナー部であり、CNDは、辺EDDと辺EDAが交わるコーナー部である。コーナー部CNA~CNDは、角又は頂点とも呼ばれる。なお、表示パネル220のコーナー部はバックライト210のコーナー部と言い換え可能である。
【0039】
辺及びコーナー部から離れた光源素子の減衰率分布DFPAは、等方的な分布である。即ち、減衰率分布DFPAは、光源素子を中心として回転対称な分布、つまり光源素子を中心として減衰特性が方向に依存しない分布になっている。「辺及びコーナー部から離れた」とは、正方配置において少なくとも1行又は1列だけ、辺及びコーナー部から離れていることを意味する。
【0040】
辺EDAに沿って配置され且つコーナー部CNA、CNDから離れた光源素子の減衰率分布DFPBは、非等方的な分布である。辺EDAはy方向に平行である。この場合、減衰率分布DFPBは、減衰率分布DFPBの中心を通り且つx方向に平行な直線に対して線対称であり、減衰率分布DFPBの中心を通り且つy方向に平行な直線に対して非線対称である。
【0041】
コーナー部CNCに配置された光源素子の減衰率分布DFPCは、非等方的な分布である。減衰率分布DFPCは、減衰率分布DFPBの中心を通り且つx方向に平行な直線に対して非線対称であり、且つ、減衰率分布DFPBの中心を通り且つy方向に平行な直線に対して非線対称である。
【0042】
図5は、非等方的な減衰率分布を説明する図である。表示装置200は、バックライト210及び表示パネル220の周囲に配置された構造物270を含む。構造物270は、例えば遮光部材であり、遮光部材は、バックライト210及び表示パネル220を格納すると共に、バックライト210から表示パネル220への光が外部に漏れないように遮光する。バックライト210の辺又はコーナー部に近い光源素子10が出射した光の一部は、構造物270に反射され、その反射光が表示パネル220に届く。その領域AR1、AR2では、光源素子10からの直接光と、構造物270からの反射光とが重なるため、反射光が無い場合に比べて光量が増す。これにより、図4の減衰率分布DFPB及びDFPCのような非等方性が生じる。
【0043】
図6は、辺及びコーナー部から離れた光源素子に対応したルックアップテーブルLUTAの例である。uは、x方向における光源素子と対象画素の間の距離である。vは、y方向における光源素子と対象画素の間の距離である。以下では、ルックアップテーブルの入力がu2とv2である例を示すが、ルックアップテーブルの入力はこれに限定されず、例えばuとvであってもよい。
【0044】
u=v=0が減衰率分布の中心である。中心からuが増加する方向DAは、中心から辺EDAへ向かう方向に対応する。中心からuが減少する方向DCは、中心から辺EDCへ向かう方向に対応する。中心からvが増加する方向DDは、中心から辺EDDへ向かう方向に対応する。中心からvが減少する方向DBは、中心から辺EDBへ向かう方向に対応する。ルックアップテーブルLUTAにおいて、中心からいずれの辺へ向かう方向においても、減衰特性が同じである。即ち、ルックアップテーブルLUTAの減衰率分布は、その中心に対して回転対称である。
【0045】
図7は、辺に沿って配置された光源素子に対応したルックアップテーブルLUTBの例である。図7において、ルックアップテーブルLUTBがLUTAと異なる部分をハッチングで示す。
【0046】
ルックアップテーブルLUTBにおいて、中心から辺EDAへ向かう方向DAでの減衰特性は、中心から辺EDB、EDC、EDDへ向かう方向DB、DC、DDでの減衰特性とは異なる。中心から辺EDB、EDC、EDDへ向かう方向DB、DC、DDでの減衰特性は、互いに同じである。即ち、ルックアップテーブルLUTBの減衰率分布は、その中心に対して非回転対称である。また、ルックアップテーブルLUTBの減衰率分布は、その中心を通り且つ方向DAに平行な直線に対して線対称であり、その中心を通り且つ方向DDに平行な直線に対して非線対称である。
【0047】
図8は、コーナー部に配置された光源素子に対応したルックアップテーブルLUTCの例である。図8において、ルックアップテーブルLUTCがLUTAと異なる部分をハッチングで示す。
【0048】
ルックアップテーブルLUTCにおいて、中心から辺EDDへ向かう方向DDでの減衰特性は、中心から辺EDBへ向かう方向DBでの減衰特性とは異なり、中心から辺ECへ向かう方向DCでの減衰特性は、中心から辺EDAへ向かう方向DAでの減衰特性とは異なる。中心から辺EDC、EDDへ向かう方向DC、DDでの減衰特性は、互いに同じであり、中心から辺EDA、EDBへ向かう方向DA、DBでの減衰特性は、互いに同じである。即ち、ルックアップテーブルLUTCの減衰率分布は、その中心に対して非回転対称である。また、ルックアップテーブルLUTCの減衰率分布は、その中心を通り且つ方向DCに平行な直線に対して非線対称であり、その中心を通り且つ方向DDに平行な直線に対して非線対称である。
【0049】
図9は、辺に沿って配置された光源素子に対応したルックアップテーブルLUTBの回転を説明する図である。
【0050】
図9に示すように、辺EDB、EDC、EDDに沿って配置された光源素子の減衰率分布は、辺EDAに沿って配置された光源素子の減衰率分布DFPBを、反時計回りに90°、180°、270°回転させたものである。座標解析部151は以下のように参照ルックアップテーブルとその回転角度を決定する。
【0051】
座標解析部151は、辺EDAに沿って配置された光源素子に対して、参照ルックアップテーブルをルックアップテーブルLUTBに決定すると共に、回転角度を0°に決定する。同様に、座標解析部151は、辺EDB、EDC、EDDに沿って配置された光源素子に対して、参照ルックアップテーブルをルックアップテーブルLUTBに決定すると共に、回転角度を90°、180°、270°に決定する。輝度計算部152は、上記で決定した回転角度で反時計回りに回転させた参照ルックアップテーブルを参照して、対象画素の減衰率を求める。
【0052】
図10は、コーナー部に配置された光源素子に対応したルックアップテーブルLUTCの回転を説明する図である。
【0053】
図10に示すように、コーナー部CND、CNA、CNBに配置された光源素子の減衰率分布は、コーナー部CNCに配置された光源素子の減衰率分布DFPCを、反時計回りに90°、180°、270°回転させたものである。これに基づいて、座標解析部151は以下のように参照ルックアップテーブルとその回転角度を決定する。
【0054】
座標解析部151は、コーナー部CNCに配置された光源素子に対して、参照ルックアップテーブルをルックアップテーブルLUTCに決定すると共に、回転角度を0°に決定する。同様に、座標解析部151は、コーナー部CND、CNA、CNBに配置された光源素子に対して、参照ルックアップテーブルをルックアップテーブルLUTCに決定すると共に、回転角度を90°、180°、270°に決定する。輝度計算部152は、上記で決定した回転角度で反時計回りに回転させた参照ルックアップテーブルを参照して、対象画素の減衰率を求める。
【0055】
なお、図9図10ではルックアップテーブルを反時計回りに回転させる例を示したが、ルックアップテーブルを時計回りに回転させてもよい。時計回りの回転角度0°、90°、180°、270°は、それぞれ反時計回りの回転角度0°、270°、180°、90°に相当する。
【0056】
以上の本実施形態において、回路装置100は、複数のルックアップテーブルを記憶する記憶部170と、バックライト210から表示パネル220の対象画素に届く光の輝度を示す輝度情報を演算する輝度情報演算回路150と、を含む。複数のルックアップテーブルの各ルックアップテーブルは、表示パネル220とバックライト210を有する表示装置200のバックライト210の光源素子の減衰率分布を示す。記憶部170は、第1ルックアップテーブルと第2ルックアップテーブルとを記憶する。第1ルックアップテーブルは、バックライト210の第1位置に設けられた第1光源素子に対応付けられ、第1光源素子の第1減衰率分布を示す。第2ルックアップテーブルは、バックライト210の第1位置とは異なる第2位置に設けられた第2光源素子に対応付けられ、第2光源素子の第2減衰率分布を示す。輝度情報演算回路150は、第1ルックアップテーブルに基づいて、第1光源素子から対象画素に届く光の第1減衰率を求め、第2ルックアップテーブルに基づいて、第2光源素子から対象画素に届く光の第2減衰率を求める。輝度情報演算回路150は、第1減衰率及び第2減衰率に基づいて輝度情報を演算する。
【0057】
なお、ここでの第1ルックアップテーブルは、ルックアップテーブルLUTA、LUTB、LUTCのうち任意のルックアップテーブルであってよい。ここでの第2ルックアップテーブルは、ルックアップテーブルLUTA、LUTB、LUTCのうち、第1ルックアップテーブルとは異なる任意のルックアップテーブルであってよい。
【0058】
本実施形態によれば、第1位置に設けられた第1光源素子に対して第1ルックアップテーブルが対応付けられ、第1位置とは異なる第2位置に設けられた第2光源素子に対して第2ルックアップテーブルが対応付けられる。これにより、光源素子の位置に応じて異なる減衰率分布のルックアップテーブルを適用できるので、光源素子の位置に応じた光の拡散パターンの違いを考慮して、バックライトから各画素に届く光の輝度を正確に求めることができる。バックライトから各画素に届く光の輝度が正確に求められるので、画像データを適切に色補正できる。
【0059】
また本実施形態では、各ルックアップテーブルは、光源素子から表示パネル220の画素までの距離に対して、その距離における減衰率が対応付けられたテーブルである。輝度情報演算回路150は、第1光源素子から対象画素までの距離における第1減衰率を、第1ルックアップテーブルに基づいて求める。輝度情報演算回路150は、第2光源素子から対象画素までの距離における第2減衰率を、第2ルックアップテーブルに基づいて求める。
【0060】
図6図8の例において、光源素子から対象画素までの距離は、水平方向の距離uの二乗及び垂直方向の距離vの二乗であるが、これに限定されない。例えば、光源素子から対象画素までの距離は、水平方向の距離u及び垂直方向の距離vであってもよいし、或いは光源素子から対象画素までの直線距離、及びその直線と基準方向の成す角度であってもよい。基準方向は、例えばx方向又はy方向である。
【0061】
本実施形態によれば、第1光源素子から対象画素までの距離における第1減衰率が第1ルックアップテーブルに基づいて求められ、第2光源素子から対象画素までの距離における第2減衰率が第2ルックアップテーブルに基づいて求められる。これにより、光源素子の位置に応じて異なる減衰率分布のルックアップテーブルに基づいて、光源素子から対象画素までの距離における減衰率を求めることができる。
【0062】
また本実施形態では、第2位置は、第1位置に比べて、表示パネル220の第1辺に近い位置である。
【0063】
ここでの第1位置は、図4の減衰率分布DFPAに対応した、辺及びコーナー部から離れた光源素子の位置である。ここでの第2位置は、図4の減衰率分布DFPBに対応した、辺に沿って配置され且つコーナー部から離れた光源素子の位置である。即ち、ここでの第1ルックアップテーブルはLUTAであり、第2ルックアップテーブルはLUTBである。なお、第1辺は、図4において辺EDAであるが、これに限定されず表示パネル220の4辺のうちいずれであってもよい。
【0064】
図5で説明したように、表示パネル220の辺に近い位置に配置された光源素子の減衰率分布は、その周囲に配置された構造物270からの反射光の影響を受けるので、表示パネル220の辺から遠い位置に配置された光源素子の減衰率分布とは異なる。本実施形態によれば、このような減衰率分布の違いを考慮して、バックライトから各画素に届く光の輝度を正確に求めることができる。
【0065】
また本実施形態では、バックライト210は、第3光源素子を含む。第3光源素子は、第1位置に比べて、表示パネル220の第1辺に対向する第3辺に近い第3位置に設けられる。輝度情報演算回路150は、第3光源素子から対象画素に届く光の第3減衰率を、第2ルックアップテーブルを180度回転させたルックアップテーブルに基づいて演算する。輝度情報演算回路150は、第1減衰率、第2減衰率及び第3減衰率に基づいて輝度情報を演算する。
【0066】
ここでの第3辺は、図4図9において辺EDAに対向する辺EDCである。ここでの第3位置は、辺EDCに沿って配置され且つ辺EDCの両端のコーナー部から離れた光源素子の位置である。図9で説明したように、辺EDAに沿って配置された光源素子のルックアップテーブルLUTBを180度回転させることで、辺EDCに沿って配置された光源素子のルックアップテーブルが得られる。
【0067】
本実施形態によれば、ある1つの辺の近くに配置された光源素子のルックアップテーブルを記憶部170に記憶させておき、そのルックアップテーブルを回転させることで、他の3辺の近くに配置されたルックアップテーブルを生成できる。これにより、記憶部170の記憶容量を節約できる。但し、4辺の各々に対して、辺の近くに配置された光源素子のルックアップテーブルを記憶部170に記憶させておいてもよい。
【0068】
また本実施形態では、第2位置は、第1位置に比べて、表示パネル220の第1辺と第2辺が交わる第1コーナー部に近い位置であってもよい。
【0069】
ここでの第1位置は、図4の減衰率分布DFPAに対応した、辺及びコーナー部から離れた光源素子の位置である。ここでの第1辺は辺EDCであり、第2辺は辺EDDであり、第2位置は、図4の減衰率分布DFPCに対応した、コーナー部CNCに配置された光源素子の位置である。即ち、ここでの第1ルックアップテーブルはLUTAであり、第2ルックアップテーブルはLUTCである。なお、第1コーナー部は、図4においてコーナー部CNCであるが、これに限定されず表示パネル220の4つのコーナー部のうちいずれであってもよい。
【0070】
図5で説明したように、表示パネル220のコーナー部に近い位置に配置された光源素子の減衰率分布は、その周囲に配置された構造物270からの反射光の影響を受けるので、表示パネル220のコーナー部から遠い位置に配置された光源素子の減衰率分布とは異なる。本実施形態によれば、このような減衰率分布の違いを考慮して、バックライトから各画素に届く光の輝度を正確に求めることができる。
【0071】
また本実施形態では、バックライト210は、第3光源素子を含む。第3光源素子は、第1位置に比べて、表示パネル220の第1辺に対向する第3辺と第2辺に対向する第4辺とが交わる第2コーナー部に近い位置に設けられる。輝度情報演算回路150は、第3光源素子から対象画素に届く光の第3減衰率を、第2ルックアップテーブルを180度回転させたルックアップテーブルに基づいて演算する。輝度情報演算回路150は、第1減衰率、第2減衰率及び第3減衰率に基づいて輝度情報を演算する。
【0072】
ここでの第3辺は、図4図10において辺EDCに対向する辺EDAであり、第4辺は辺EDDに対向する辺EDBであり、第3位置は、コーナー部CNAに配置された光源素子の位置である。図10で説明したように、コーナー部CNCに配置された光源素子のルックアップテーブルLUTCを180度回転させることで、コーナー部CNAに配置された光源素子のルックアップテーブルが得られる。
【0073】
本実施形態によれば、ある1つのコーナー部の近くに配置された光源素子のルックアップテーブルを記憶部170に記憶させておき、そのルックアップテーブルを回転させることで、他の3つのコーナー部の近くに配置されたルックアップテーブルを生成できる。これにより、記憶部170の記憶容量を節約できる。但し、4つのコーナー部の各々に対して、コーナー部の近くに配置された光源素子のルックアップテーブルを記憶部170に記憶させておいてもよい。
【0074】
また本実施形態では、第1減衰率分布は、中心に対して回転対称な減衰率分布である。第2減衰率分布は、中心に対して非回転対称な減衰率分布である。
【0075】
なお、ここでの第1減衰率分布は、図4の減衰率分布DFPAに対応する。ここでの第2減衰率分布は、図4の減衰率分布DFPB、DFPCのうち任意の減衰率分布であってよい。
【0076】
表示パネル220の辺又はコーナー部から遠い位置に配置された光源素子の減衰率分布は、バックライト210又は表示パネル220の周囲に配置された構造物270からの反射光の影響を受け難い。このため、その光源の減衰率分布は、回転対称な減衰率分布となる、又は回転対称な減衰率分布で近似できる。一方、表示パネル220の辺又はコーナー部に近い位置に配置された光源素子の減衰率分布は、その周囲に配置された構造物270からの反射光の影響を受ける。このため、その光源の減衰率分布は、非回転対称な減衰率分布となる、又は非回転対称な減衰率分布で近似できる。
【0077】
また本実施形態では、第2減衰率分布は、中心から表示パネル220の1つの辺へ向かう方向での減衰特性と、中心から表示パネル220の1つの辺とは異なる辺へ向かう方向での減衰特性とが、異なる。
【0078】
例えば、第2減衰率分布が図4の減衰率分布DFPBであるとき、「1つの辺」は辺EDAであり、「1つの辺とは異なる辺」は辺EDB、EDC、EDDのうち任意の辺である。或いは、第2減衰率分布が図4の減衰率分布DFPCであるとき、「1つの辺」は辺EDC、EDDのうち任意の辺であり、「1つの辺とは異なる辺」は辺EDA、EDBのうち任意の辺である。
【0079】
バックライト210又は表示パネル220の周囲に配置された構造物270からの反射光は、減衰率分布のうち辺に近い領域に影響を与える。このため、構造物270からの反射光の影響を受けない辺へ向かう方向での減衰特性と、構造物270からの反射光の影響を受ける辺へ向かう方向での減衰特性と、が異なる。
【0080】
また本実施形態では、記憶部170は、第3ルックアップテーブルを記憶する。第3ルックアップテーブルは、バックライト210の第1位置及び第2位置とは異なる第3位置に設けられた第3光源素子に対応付けられ、第3光源素子の第3減衰率分布を示す。第2位置は、第1位置に比べて、表示パネル220の第1辺に近い位置である。第3位置は、第1位置に比べて、表示パネルの第2辺と第3辺が交わる第1コーナー部に近い位置である。輝度情報演算回路150は、第3ルックアップテーブルに基づいて、第3光源素子から対象画素に届く光の第3減衰率を求め、第1減衰率、第2減衰率及び第3減衰率に基づいて輝度情報を演算する。
【0081】
ここでの第1位置は、図4の減衰率分布DFPAに対応した、辺及びコーナー部から離れた光源素子の位置である。ここでの第2位置は、図4の減衰率分布DFPBに対応した、辺に沿って配置され且つコーナー部から離れた光源素子の位置である。ここでの第3位置は、図4の減衰率分布DFPCに対応した、コーナー部CNCに配置された光源素子の位置である。第1辺、第2辺、第3辺は、それぞれ辺EDA、EDC、EDDに対応し、第1コーナー部はコーナー部CNCに対応する。但し、第1辺は、辺EDA~EDDのうち任意の辺であってよく、第1コーナー部は、コーナー部CNA~CNDのいずれであってもよい。
【0082】
本実施形態によれば、互いに異なる第1~第3位置に設けられた第1~第3光源素子に対して第1~第3ルックアップテーブルが対応付けられる。これにより、光源素子の位置に応じて異なる減衰率分布のルックアップテーブルを適用できるので、光源素子の位置に応じた光の拡散パターンの違いを考慮して、バックライトから各画素に届く光の輝度を正確に求めることができる。
【0083】
また本実施形態では、回路装置100は輝度解析回路140と色補正回路160とを含む。輝度解析回路140は、画像データIMAの輝度解析を行い、その輝度解析の結果に基づいて、ローカルディミング制御における調光情報を求める。輝度情報演算回路150は、調光情報と第1減衰率に基づいて、第1光源素子から対象画素に届く光の第1輝度を求め、調光情報と第2減衰率に基づいて、第2光源素子から対象画素に届く光の第2輝度を求める。輝度情報演算回路150は、第1輝度及び第2輝度に基づいて、バックライト210から対象画素に届く光の輝度を示す輝度情報を演算する。色補正回路160は、輝度情報に基づいて対象画素の画像データの色補正を行い、色補正後の画像データIMBを表示装置200に出力する。
【0084】
本実施形態によれば、光源素子の位置に応じた光の拡散パターンの違いを考慮して、第1光源素子から対象画素に届く光の第1輝度、及び第2光源素子から対象画素に届く光の第2輝度が、正確に求められる。これにより、バックライト210から対象画素に届く光の輝度を示す輝度情報が、正確に求められるので、色補正回路160が輝度情報に基づいて対象画素の画像データを適切に色補正できる。
【0085】
4.ステップS1、S4、S5の詳細
図11図12を用いてステップS1、S4、S5の詳細を説明する。図11は、輝度計算に使用される光源素子を決定する手法の説明図である。
【0086】
輝度情報演算回路150が輝度情報を求めようとする画素を対象画素20とし、そのxy座標を(xP、yP)とする。輝度情報演算回路150は、対象画素20を順次にずらしながら輝度情報を求めることで、表示パネル220の各画素の輝度情報を求める。
【0087】
光源素子10のxy座標を(xL、yL)とする。表示パネル220とバックライト210をz方向に平面視し、各光源素子の基準点に対応した表示パネル220上の座標が、(xL、yL)である。基準点は、平面視において光源素子の中心又は最高輝度の点等である。
【0088】
座標解析部151は、対象画素20の周囲に配置された複数の光源素子10を選択する。選択された複数の光源素子10を光源素子群15と呼ぶ。図11には、対象画素20の周囲4つの光源素子が選択される例を示す。但し、対象画素20の周囲に配置された任意の個数の光源素子が選択されてもよいし、或いはバックライト210の全ての光源素子が選択されてもよい。
【0089】
図12は、対象画素と光源素子群の各光源素子との間の距離を説明する図である。光源素子群15に属する2×2の光源素子のうち第i行第j列の光源素子をLDijと表す。光源素子LDijのxy座標を(xLj,yLi)と表す。i,jは1以上2以下の整数である。
【0090】
距離はxy平面或いは表示パネル220上における距離である。距離は、メートル等の実距離であってもよいし、或いは所定単位で規定された距離であってもよい。例えば、所定単位が、表示パネル220の画素ピッチであるとき、距離は、表示パネル220上の画素数で示される。
【0091】
座標解析部151は、x方向における光源素子と対象画素20の間の距離u1、u2と、y方向における光源素子と対象画素20の間の距離v1、v2とを求める。ujは、水平方向における第j列の光源素子と対象画素20との間の距離である。具体的には、uj=xLj-xPである。viは、垂直方向における第i行の光源素子と対象画素20との間の距離である。具体的には、vi=yLi-yPである。
【0092】
輝度計算部152は、下式(1)により、光源素子群15に属する複数の光源素子から対象画素20に届く光の輝度PIX_BLを演算する。LED_BLijは、光源輝度決定部142が決定した光源素子LDijの発光輝度である。LUT_LDij(uj,vi)は、光源素子LDijから対象画素20に届く光の減衰率であり、ステップS3において線形補間により計算された減衰率である。
【0093】
【数1】
【0094】
5.ステップS3の詳細
図13図14を用いて、ステップS3の詳細を説明する。図13は、線形補間の計算手法を説明する図である。ここでは、光源素子LD22から対象画素20に届く光の輝度を例に説明するが、光源素子LD11、LD12、LD21から対象画素20に届く光の輝度についても同様である。以下、x方向の距離がuであり、y方向の距離がvであることを、(u,v)のように記載する。
【0095】
光源素子LD22と対象画素20の間の距離は(u2,v2)である。輝度計算部152は、ルックアップテーブルに用いられた離散的な距離のうち、(u2,v2)を内包する直近の4点(ua,va)、(ub,va)、(ua,vb)、(ub,vb)を選択し、それらの減衰率Luava、Lubva、Luavb、Lubvbを取得する。輝度計算部152は、下式(2)により水平方向の線形補間を行い、その結果を用いて下式(3)により垂直方向の線形補間を行う。この線形補間の結果が、光源素子LD22から対象画素20に届く光の減衰率LUT_LD22(u2,v2)である。
【0096】
【数2】
【0097】
【数3】
【0098】
上式(2)において、右辺第1項の分数部分において、分母がub-uaとなっている。nが1以上の整数であるとき、ub-ua=2となるような距離をルックアップテーブルに用いておくことで、分数部分の演算がLSB方向へのビットシフトになり、演算負荷が低減される。例えば、図6図8のルックアップテーブルにおいて、u=0、32、64、96、128が用いられており、ub-ua=32=2である。上式(3)の中辺第1項の分数部分についても、同様のことが言える。
【0099】
図14は、線形補間の具体的な計算例を説明する図である。ここでは、光源素子LD22にルックアップテーブルLUTAを適用し、(u2,v2)=(5,7)とした例を説明する。
【0100】
(u2,v2)=(5,7)は、u2>0、v2>0且つ(u2,v2)=(25,49)である。ルックアップテーブルLUTAにおいて、この点を内包する4点は、u>0、v>0における(ua,va)=(0,32)、(ub,va)=(32,32)、(ua,vb)=(0,64)、(ub,vb)=(32,64)である。それらの点における減衰率は、Luava=0.8、Lubva=0.717、Luavb=0.6、Lubvb=0.51である。これらを上式(2)と(3)に代入することで、線形補間の演算は下式(4)となる。
【0101】
【数4】
【0102】
以上に説明した本実施形態の回路装置は、複数のルックアップテーブルを記憶する記憶部と、輝度情報を演算する輝度情報演算回路と、を含む。複数のルックアップテーブルの各ルックアップテーブルは、表示パネルとバックライトを有する表示装置のバックライトの光源素子の減衰率分布を示す。輝度情報は、バックライトから表示パネルの対象画素に届く光の輝度を示す。記憶部は、第1ルックアップテーブルと第2ルックアップテーブルとを複数のルックアップテーブルとして記憶する。第1ルックアップテーブルは、バックライトの第1位置に設けられた第1光源素子に対応付けられ、第1光源素子の第1減衰率分布を示す。第2ルックアップテーブルは、バックライトの第1位置とは異なる第2位置に設けられた第2光源素子に対応付けられ、第2光源素子の第2減衰率分布を示す。輝度情報演算回路は、第1ルックアップテーブルに基づいて、第1光源素子から対象画素に届く光の第1減衰率を求め、第2ルックアップテーブルに基づいて、第2光源素子から対象画素に届く光の第2減衰率を求める。輝度情報演算回路は、第1減衰率及び第2減衰率に基づいて輝度情報を演算する。
【0103】
本実施形態によれば、第1位置に設けられた第1光源素子に対して第1ルックアップテーブルが対応付けられ、第1位置とは異なる第2位置に設けられた第2光源素子に対して第2ルックアップテーブルが対応付けられる。これにより、光源素子の位置に応じて異なる減衰率分布のルックアップテーブルを適用できるので、光源素子の位置に応じた光の拡散パターンの違いを考慮して、バックライトから各画素に届く光の輝度を正確に求めることができる。バックライトから各画素に届く光の輝度が正確に求められるので、画像データを適切に色補正できる。
【0104】
また本実施形態では、各ルックアップテーブルは、光源素子から表示パネルの画素までの距離に対して、距離における減衰率が対応付けられたテーブルであってもよい。輝度情報演算回路は、第1光源素子から対象画素までの距離における第1減衰率を、第1ルックアップテーブルに基づいて求めてもよい。輝度情報演算回路は、第2光源素子から対象画素までの距離における第2減衰率を、第2ルックアップテーブルに基づいて求めてもよい。
【0105】
本実施形態によれば、第1光源素子から対象画素までの距離における第1減衰率が第1ルックアップテーブルに基づいて求められ、第2光源素子から対象画素までの距離における第2減衰率が第2ルックアップテーブルに基づいて求められる。これにより、光源素子の位置に応じて異なる減衰率分布のルックアップテーブルに基づいて、光源素子から対象画素までの距離における減衰率を求めることができる。
【0106】
また本実施形態では、第2位置は、第1位置に比べて、表示パネルの第1辺に近い位置であってもよい。
【0107】
表示パネルの辺に近い位置に配置された光源素子の減衰率分布は、その周囲に配置された構造物からの反射光の影響を受けるので、表示パネルの辺から遠い位置に配置された光源素子の減衰率分布とは異なる。本実施形態によれば、このような減衰率分布の違いを考慮して、バックライトから各画素に届く光の輝度を正確に求めることができる。
【0108】
また本実施形態では、バックライトは、第1位置に比べて、表示パネルの第1辺に対向する第3辺に近い第3位置に設けられた第3光源素子を含んでもよい。輝度情報演算回路は、第3光源素子から対象画素に届く光の第3減衰率を、第2ルックアップテーブルを180度回転させたルックアップテーブルに基づいて演算してもよい。輝度情報演算回路は、第1減衰率、第2減衰率及び第3減衰率に基づいて輝度情報を演算してもよい。
【0109】
本実施形態によれば、ある1つの辺の近くに配置された光源素子のルックアップテーブルを記憶部に記憶させておき、そのルックアップテーブルを回転させることで、他の3辺の近くに配置されたルックアップテーブルを生成できる。これにより、記憶部の記憶容量を節約できる。
【0110】
また本実施形態では、第2位置は、第1位置に比べて、表示パネルの第1辺と第2辺が交わる第1コーナー部に近い位置であってもよい。
【0111】
表示パネルのコーナー部に近い位置に配置された光源素子の減衰率分布は、その周囲に配置された構造物からの反射光の影響を受けるので、表示パネルのコーナー部から遠い位置に配置された光源素子の減衰率分布とは異なる。本実施形態によれば、このような減衰率分布の違いを考慮して、バックライトから各画素に届く光の輝度を正確に求めることができる。
【0112】
また本実施形態では、バックライトは第3光源素子を含んでもよい。第3光源素子は、第1位置に比べて、表示パネルの第1辺に対向する第3辺と第2辺に対向する第4辺とが交わる第2コーナー部に近い第3位置に設けられてもよい。輝度情報演算回路は、第3光源素子から対象画素に届く光の第3減衰率を、第2ルックアップテーブルを180度回転させたルックアップテーブルに基づいて演算してもよい。輝度情報演算回路は、第1減衰率、第2減衰率及び第3減衰率に基づいて輝度情報を演算してもよい。
【0113】
本実施形態によれば、ある1つのコーナー部の近くに配置された光源素子のルックアップテーブルを記憶部に記憶させておき、そのルックアップテーブルを回転させることで、他の3つのコーナー部の近くに配置されたルックアップテーブルを生成できる。これにより、記憶部の記憶容量を節約できる。
【0114】
また本実施形態では、第1減衰率分布は、中心に対して回転対称な減衰率分布であってもよい。第2減衰率分布は、中心に対して非回転対称な減衰率分布であってもよい。
【0115】
表示パネルの辺又はコーナー部から遠い位置に配置された光源素子の減衰率分布は、バックライト又は表示パネルの周囲に配置された構造物からの反射光の影響を受け難い。このため、その光源の減衰率分布は、回転対称な減衰率分布となる、又は回転対称な減衰率分布で近似できる。一方、表示パネルの辺又はコーナー部に近い位置に配置された光源素子の減衰率分布は、その周囲に配置された構造物からの反射光の影響を受ける。このため、その光源の減衰率分布は、非回転対称な減衰率分布となる、又は非回転対称な減衰率分布で近似できる。
【0116】
また本実施形態では、第2減衰率分布は、中心から表示パネルの1つの辺へ向かう方向での減衰特性と、中心から表示パネルの1つの辺とは異なる辺へ向かう方向での減衰特性とが、異なってもよい。
【0117】
バックライト又は表示パネルの周囲に配置された構造物からの反射光は、減衰率分布のうち辺に近い領域に影響を与える。このため、構造物からの反射光の影響を受けない辺へ向かう方向での減衰特性と、構造物からの反射光の影響を受ける辺へ向かう方向での減衰特性と、が異なる。
【0118】
また本実施形態では、記憶部は、第3ルックアップテーブルを、複数のルックアップテーブルとして記憶してもよい。第3ルックアップテーブルは、バックライトの第1位置及び第2位置とは異なる第3位置に設けられた第3光源素子に対応付けられ、第3光源素子の第3減衰率分布を示してもよい。第2位置は、第1位置に比べて、表示パネルの第1辺に近い位置であってもよい。第3位置は、第1位置に比べて、表示パネルの第2辺と第3辺が交わる第1コーナー部に近い位置であってもよい。輝度情報演算回路は、第3ルックアップテーブルに基づいて、第3光源素子から対象画素に届く光の第3減衰率を求め、第1減衰率、第2減衰率及び第3減衰率に基づいて輝度情報を演算してもよい。
【0119】
本実施形態によれば、互いに異なる第1~第3位置に設けられた第1~第3光源素子に対して第1~第3ルックアップテーブルが対応付けられる。これにより、光源素子の位置に応じて異なる減衰率分布のルックアップテーブルを適用できるので、光源素子の位置に応じた光の拡散パターンの違いを考慮して、バックライトから各画素に届く光の輝度を正確に求めることができる。
【0120】
また本実施形態の回路装置は、輝度解析回路と色補正回路とを含んでもよい。輝度解析回路は、画像データの輝度解析を行い、輝度解析の結果に基づいて、ローカルディミング制御における調光情報を求めてもよい。輝度情報演算回路は、調光情報と第1減衰率に基づいて、第1光源素子から対象画素に届く光の第1輝度を求め、調光情報と第2減衰率に基づいて、第2光源素子から対象画素に届く光の第2輝度を求め、第1輝度及び第2輝度に基づいて輝度情報を演算してもよい。色補正回路は、輝度情報に基づいて対象画素の画像データの色補正を行い、色補正後の画像データを表示装置に出力してもよい。
【0121】
本実施形態によれば、光源素子の位置に応じた光の拡散パターンの違いを考慮して、第1光源素子から対象画素に届く光の第1輝度、及び第2光源素子から対象画素に届く光の第2輝度が、正確に求められる。これにより、バックライトから対象画素に届く光の輝度を示す輝度情報が、正確に求められるので、色補正回路が輝度情報に基づいて対象画素の画像データを適切に色補正できる。
【0122】
また本実施形態の表示システムは、上記のいずれかの回路装置と、表示装置と、を含む。
【0123】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。また回路装置、バックライト、表示装置、表示システム、処理装置及び電子機器等の構成及び動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0124】
10…光源素子、15…光源素子群、20…対象画素、100…回路装置、110…インターフェース回路、130…光源制御回路、140…輝度解析回路、141…画像解析部、142…光源輝度決定部、150…輝度情報演算回路、151…座標解析部、152…輝度計算部、160…色補正回路、170…記憶部、200…表示装置、210…バックライト、220…表示パネル、230…表示ドライバー、240…光源ドライバー、250…表示コントローラー、270…構造物、300…処理装置、400…表示システム、500…電子機器、CNA,CNB,CNC,CND…コーナー部、DDIM…調光データ、DFPA,DFPB,DFPC…減衰率分布、EDA,EDB,EDC,EDD…辺、IMA,IMB…画像データ、LLD…調光データ、LUTA,LUTB,LUTC…ルックアップテーブル
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