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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016970
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】乗物用内装材
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/02 20060101AFI20240201BHJP
   B62D 31/02 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B60R13/02 Z
B62D31/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119290
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 初哉
(72)【発明者】
【氏名】本多 栄治
(72)【発明者】
【氏名】播磨 和典
【テーマコード(参考)】
3D023
【Fターム(参考)】
3D023BA01
3D023BC02
3D023BD28
3D023BE03
(57)【要約】
【課題】乗物室内空間の有効活用ができる乗物用内装材を提供する。
【解決手段】車両100の運転手が着座する運転席7の車両後方に位置し、車両100の床部4から立ち上がった壁部20を備え、壁部20は、運転席7側の面34A側に配された収容部35を備え、収容部35は、運転席7において運転手の背部を支持するシートバック7Bに対し車両後方となる位置に配された第1開口部36と、第1開口部36から下方に窪んだ凹部37と、を備える、車両用内装材1。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物の乗員が着座する座席の乗物後方に位置し、前記乗物の床部から立ち上がった壁部を備え、
前記壁部は、前記座席側の面側に配された収容部を備え、
前記収容部は、
前記座席において前記乗員の背部を支持するシートバックに対し乗物後方となる位置に配された第1開口部と、
前記第1開口部から下方に窪んだ凹部と、を備える、乗物用内装材。
【請求項2】
前記収容部は、その周囲が、前記壁部の骨格を構成する骨格部に囲まれている、請求項1に記載の乗物用内装材。
【請求項3】
前記壁部は、
前記収容部が配された本体壁部と、
前記本体壁部の乗物幅方向における端部から前方に延びた延出壁部と、を備える、請求項1または請求項2に記載の乗物用内装材。
【請求項4】
前記壁部は、乗物後方を向く面側おいて、
前記乗物の他の乗員が把持可能な手摺りが取り付けられた第1面と、
前記第1面の後上方に位置し、前記収容部の背面を構成する第2面と、
前記第1面と前記第2面とに接続し、上方に向かうほど乗物後方に傾いた第3面と、を備える、請求項1または請求項2に記載の乗物用内装材。
【請求項5】
前記収容部は、前記凹部における前記座席側の壁において乗物前後方向に開口した第2開口部を備える、請求項1または請求項2に記載の乗物用内装材。
【請求項6】
前記第1開口部は、前記座席側の上端部が上方に向かうほど乗物後方に傾いている、請求項1または請求項2に記載の乗物用内装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乗物用内装材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗物として、特許文献1に記載の技術が知られている。具体的に、特許文献1には、エンジンルーム、フロントタイヤハウス、及びこれらの上部に設置された運転席が集約された車両前部と、その後方に配され客室を構成する客室床面と、を備える乗物(バス)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-247059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の構成では、運転席と客室との間の部分(空間)を有効活用することが望まれる。乗物の種類によっては、運転席と客室との間に、例えば、客室側に手摺りや座席等が設けられた壁部が配されることが考えられるが、その場合でも、運転席と当該壁部との間の部分がデッドスペースとなる。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成された技術であって、乗物室内空間の有効活用ができる乗物用内装材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、乗物の乗員が着座する座席の乗物後方に位置し、前記乗物の床部から立ち上がった壁部を備え、前記壁部は、前記座席側の面側に配された収容部を備え、前記収容部は、前記座席において前記乗員の背部を支持するシートバックに対し乗物後方となる位置に配された第1開口部と、前記第1開口部から下方に窪んだ凹部と、を備える、乗物用内装材である。
【0007】
このような乗物用内装材によると、壁部に設けられた収容部に対し、書類や小物等の物品を第1開口部から凹部に入れて収容することができる。これにより、座席の乗物後方の空間を有効活用することができる。また、収容部が、座席の面側に配されており、第1開口部が、シートバックに対し乗物後方となる位置に配されているので、乗員が座席側から物品を収容部に収容し易い。そして、例えば、秘匿性が比較的高い物品を、乗物に乗った他の乗員から視認され難い状態で収容部に収容することができる。
【0008】
上記構成において、前記収容部は、その周囲が、前記壁部の骨格を構成する骨格部に囲まれていてもよい。
【0009】
このような構成によると、骨格部によって壁部を補強しつつ、壁部において骨格部に囲まれた部分のスペースを上手く活用した乗物用内装材とすることができる。特に、乗物に乗った他の乗員が壁部を掴む場合に、上記のように壁部が骨格部によって補強されていると好適である。
【0010】
上記構成において、前記壁部は、前記収容部が配された本体壁部と、前記本体壁部の乗物幅方向における端部から前方に延びた延出壁部と、を備えていてもよい。
【0011】
このような乗物用内装材によると、本体壁部の乗物幅方向における端部から前方に延びた延出壁部によって、収容部に収容した物品を、他の乗員からより視認され難くすることができる。
【0012】
上記構成において、前記壁部は、乗物後方を向く面側おいて、前記乗物の他の乗員が把持可能な手摺りが取り付けられた第1面と、前記第1面の後上方に位置し、前記収容部の背面を構成する第2面と、前記第1面と前記第2面とに接続し、上方に向かうほど乗物後方に傾いた第3面と、を備えていてもよい。
【0013】
このような乗物用内装材によると、手摺りが取り付けられた第1面が、第2面よりも乗物前方に位置し、第1面と第2面とに接続した第3面が、上方に向かうほど乗物室後方に傾いているので、他の乗員が手摺りを掴む際に、手指が壁部にぶつかり難く、他の乗員が手摺りを掴み易い。また、収容部の背面を構成する第2面は、第1面よりも後上方に位置しているので、例えば第2面が第1面の直上に位置している場合に比して、収容部の容積を大きくすることができる。
尚、本開示において、「傾いた」構成には、「曲がった」構成も含むこととする。
【0014】
上記構成において、前記収容部は、前記凹部における前記運転席側の壁において乗物前後方向に開口した第2開口部を備えていてもよい。
【0015】
このような乗物用内装材によると、収容部に収容した物品のうち比較的小さい小物を第2開口部から取り出すことができる。これにより、使用性を向上した乗物用内装材の提供が可能となる。
【0016】
上記構成において、前記第1開口部は、前記座席側の上端部が上方に向かうほど乗物後方に傾いていてもよい。
【0017】
このような乗物用内装材によると、収容部に収容された物品が乗物の振動等によって第1開口部から飛び出すことを抑制することができる。また、第1開口部の上端部を滑らかな触感とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、乗物室内空間の有効活用ができる乗物用内装材の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る車両について、内部を表して示す側面図
図2】座席と車両用内装材を上方から視た図
図3】座席と車両用内装材の断面図(図2のIII-III線断面)
図4】車両用内装材を前上方から視た斜視図
図5】壁部及び骨格部の一部を前方から視た図
図6】壁部において収容部付近の断面図(図5のVI-VI線断面)
図7】第1開口部の上端部における右側の側端部付近を後下方から視た斜視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態>
本開示の実施形態を図1から図7によって説明する。本実施形態では、車両(乗物)100に設けられる車両用内装材(乗物用内装材)1を説明する。尚、矢印方向Fを前方(乗物前方)、矢印方向Bを後方(乗物後方)、矢印方向Uを上方、矢印方向Dを下方、矢印方向Lを左方、矢印方向Rを右方として各図を説明する。
【0021】
図1に示すように、車両100は、当該車両100の本発明の乗員に該当する運転手が着座する本発明の座席に該当する運転席7を含む前側部分2と、前側部分2の後方に配され、複数の乗員(他の乗員)が乗ることが可能な後側部分3と、前側部分2と後側部分3との間に配された車両用内装材1と、を備える。前側部分2には、エンジン等が収納されたエンジンルーム6と、エンジンルーム6の上面に取り付けられたスライド装置8と、車両100を操縦するためのハンドル9と、が配されている。後側部分3には、車両100の側壁部11Aに取り付けられ、床部4に乗車した乗員が着座可能な複数のシート11と、車両用内装材1及び側壁部11Aに跨る形で取り付けられ、乗員が把持可能な手摺り10と、複数のシート11の後方に位置する後側シート12と、が配されている。車両100は、運転席7に着座した運転手によってハンドル9が操縦されることで、後側部分3に乗った乗員を運送することができる。
【0022】
図1から図3に示すように、運転席7は、主に運転手の臀部を下方から支持するシートクッション7Aと、シートクッション7Aの後端部から上方に立ち上がり、主に運転手の背部を後方から支持するシートバック7Bと、シートバック7Bの上方に配され、主に運転手の頭部を後方から支持するヘッドレスト7Cと、を備える。シートクッション7Aは、スライド装置8を介してエンジンルーム6の上面に接続されている。シートバック7Bは、人体の背部のS字湾曲に沿って側方視(図3参照)S字に湾曲している。運転席7は、スライド装置8に対しシートクッション7Aが前後方向に変位することで、前後方向にスライド可能とされる。また、運転席7は、シートクッション7Aの後端部を軸としてシートバック7Bが回動することにより、リクライニング可能とされる。尚、本実施形態では、運転席7は、最も後方にスライドした状態(後述する本体壁部21に最も近接した状態)であって、シートバック7Bがシートクッション7Aに対し立ち上がるようにリクライニングした状態であるとする。
【0023】
図1及び図4に示すように、車両用内装材1は、車両100の床部4から立ち上がった壁部20を備える。壁部20は、運転席7の後方に位置し、後述する収容部35が配された本体壁部21と、本体壁部21の車幅方向(左右方向)における両側端部21A,21Bから前方に延びた2つの延出壁部22,23と、を備える。壁部20は、車両100の前側部分2と後側部分3とを部分的に仕切る壁をなしている。車両用内装材1は、ポリプロピレンやABS樹脂等の樹脂材料により形成されている。車両用内装材1は、壁部20の骨格を構成する骨格部70に取り付けられている。骨格部70は、アルミニウムや合金等の金属材料により形成されている。
【0024】
図4及び図5に示すように、骨格部70は、上下方向に延びた柱状をなし、下端部が床部4に取り付けられた縦骨格70Aと、左右方向に延びた柱状をなし、縦骨格70Aに対し垂直に交わる形で取り付けられた横骨格70Bと、上下方向に延びた柱状をなし、上端部が車両100の天井部5(図1参照)に取り付けられた主骨格70Cと、を備える。骨格部70は、縦骨格70Aと横骨格70Bとにより格子状をなした部分(例えば、図5において格子部70Dとして示す)を複数形成している。
【0025】
縦骨格70Aは、縦第1骨格71と、縦第1骨格71の右方に配され、縦第1骨格71に対し平行となるように延びた縦第2骨格72と、を含む。縦第1骨格71と縦第2骨格72は、その上側部分が、本体壁部21の内部(後述する前壁部30と後壁部40との間の部分)に配されている。横骨格70Bは、横第1骨格73と、横第1骨格73の上方に配され、横第1骨格73に対し平行となるように延びた横第2骨格74と、横第2骨格74の上方に配され、横第2骨格74に対し平行となるように延びた横第3骨格75と、横第3骨格75の上方に配され、横第3骨格75に対し平行となるように延びた横第4骨格76と、を含む。横第1骨格73と横第2骨格74は、後壁部40の前方に配されて露出している。横第3骨格75と横第4骨格76は、本体壁部21の内部に配されている。横第4骨格76の上面76Bには、逆U字状をなした補強骨格77が取り付けられている。補強骨格77は、骨格部70の構成要素の一つである。主骨格70Cは、その下部70C1が、本体壁部21の内部に配されている。横第3骨格75と横第4骨格76のうち、縦第2骨格72よりも右方に延伸した延伸部75A,76Aは、主骨格70Cの下部70C1に接続している。尚、図5では、骨格部70のうち本体壁部21の内部に配されたものを破線で示している。
【0026】
本体壁部21は、全体として上下左右方向に延びた板状をなし、下端部が床部4に至るまで延びた後壁部40と、後壁部40の前方に配され、全体として上下左右方向に延びた板状をなした前壁部30と、を備える。後壁部40は、前壁部30よりも下方に延びている。本体壁部21は、前壁部30と後壁部40との間に骨格部70の一部(縦骨格70Aの上側部分、横第3骨格75、横第4骨格76、主骨格70Cの下部70C1、及び補強骨格77)を挟持することで補強されている。
【0027】
図4に示すように、延出壁部22,23は、それぞれ、上下方向を長辺とする長板状をなした長板部22A,23Aと、長板部22A,23Aの上側に配され、上方に向かうほど前後方向の長さが短くなる(縮径する)板状をなした縮径板部22B,23Bと、を備える。延出壁部22,23のうち、右側に配された延出壁部23は、左側に配された延出壁部22よりも前方に延びている。
【0028】
図3に示すように、後壁部40は、車両後方を向く面40A側おいて、手摺り10が取り付けられた第1面41と、第1面41の後上方に位置し、後述する収容部35の背面(後面)を構成する第2面42と、第1面41と第2面42とに接続し、上方に向かうほど後方に曲がった(傾いた)第3面43と、を備える。第3面43は、側方視(左方又は右方から視た場合に)、手摺り10から離間した円弧状をなしている(えぐられた形をなしている)。
【0029】
図3及び図4に示すように、前壁部30は、第1壁部31と、第1壁部31の上端部から後方に延びた第2壁部32と、第2壁部32の後端部から上方に延び、第1壁部31よりも後方に位置した第3壁部33と、を備え、全体として側方視(又は図6に示す断面が)クランク状に曲がった板状体とされる。第2壁部32の下方には、横第4骨格76が配されている。図6に示すように、横第4骨格76は、第1壁部31の内面(後面)に設けられた取付座31Aと、後壁部40の第2面42と第3面43の内面(前面)に設けられた取付座44と、に対しクリップ80,81等の取付部材を介して取り付けられている。図3に示すように、第3壁部33は、シートバック7BのS字湾曲に沿うように第1壁部31よりも後方に配された部分とされる。
【0030】
図4及び図5に示すように、第3壁部33は、左右方向を長辺とする長板状の本体板部34と、本体板部34の運転席7側の面(前面)34Aに配され、本体板部34から前方に張り出した収容部35と、を備える。図5に示すように、収容部35は、その周囲が、骨格部70のうち、横第4骨格76及び補強骨格77によってなる前方視四角形状部分78に囲まれている。図2に示すように、収容部35は、本体板部34において、2つの延出壁部22,23のうち、左側(車室内側)の延出壁部22に偏った位置に配されている。図2及び図3に示すように、収容部35は、左右方向の長さ(幅)、及び上下方向の長さ(高さ)が、シートバック7Bよりも小さい。
【0031】
図4から図6に示すように、収容部35は、シートバック7Bに対し後方となる位置に配され、シートバック7B側に向かって開口した第1開口部36と、第1開口部36から下方に窪んだ凹部37と、凹部37における運転席7側の壁(後述する立上壁部)37Bにおいて車両前後方向(厚み方向)に開口した第2開口部38と、を備える。第1開口部36は、前後方向を長辺とする四角形状をなしており、第2開口部38よりも広い開口とされる。第1開口部36は、運転席7側の上端部36Aが上方に向かうほど車両後方に曲がっている(傾いている)。第2開口部38は、上下方向を長辺とする四角形状をなしており、第1開口部36の下方に配されている。
【0032】
図6に示すように、凹部37は、底を構成する底壁部37Aと、底壁部37Aの前端部から上方に立ち上がった立上前壁部37Bと、底壁部37Aの左右両側端部から上方に立ち上がった2つの立上側壁部37C(図6では、右側の立上側壁部37Cが示されている)と、を備える。底壁部37Aの後端部37A1は、後壁部40に当接している。底壁部37Aは、後方に向かうほど下方に傾いている。立上前壁部37Bは、上方に向かうほど後方に傾いている。凹部37は、上端部36Aから底壁部37Aに向かうほど前後方向における長さ(立上前壁部37Bと後壁部40との間の距離)が大きくなる形(収容空間が広がる形)をなしている。立上前壁部37Bは、第2開口部38と、第2開口部38を部分的に囲むようにU字状をなした溝部37B1と、を備える。溝部37B1の後面には、底壁部37Aや立上側壁部37Cが接続している。
【0033】
収容部35の天井壁部35Bは、後方に向かうほど下方に傾いており、その後端部が、後壁部40に当接している。天井壁部35Bの上方には、補強骨格77の上部が左右方向(図6の紙面奥手前方向)に延びる形で配されている。図6及び図7に示すように、第1開口部36の上端部36Aは、左右方向における外側(車幅方向外側)に向かうほど上方に延び、立上側壁部37Cに面一となるように傾いた側端部36A1を備える。側端部36A1の延長線上には、収容部35の内側に向かって突条をなす突条部39が設けられている。突条部39は、側端部36A1から後壁部40に至るまで、上方に向かうほど後方に傾いた形で伸びている。
【0034】
続いて、本実施形態の効果について説明する。本実施形態では、車両100の運転手が着座する運転席7の車両後方に位置し、車両100の床部4から立ち上がった壁部20を備え、壁部20は、運転席7側の面34A側に配された収容部35を備え、収容部35は、運転席7において運転手の背部を支持するシートバック7Bに対し車両後方となる位置に配された第1開口部36と、第1開口部36から下方に窪んだ凹部37と、を備える、車両用内装材1を示した。
【0035】
このような車両用内装材1によると、壁部20に設けられた収容部35に対し、書類や小物等の物品(例えば、図6に示す物品X参照)を第1開口部36から凹部37に入れて収容することができる。これにより、運転席7の車両後方の空間を有効活用することができる。また、収容部35が、運転席7側の面側に配されており、第1開口部36が、シートバック7Bに対し車両後方となる位置に配されているので、運転手が運転席7側から物品を収容部35に収容し易い。そして、例えば、秘匿性が比較的高い物品を、車両100に乗った乗員から視認され難い状態で収容部35に収容することができる。
【0036】
収容部35は、その周囲が、壁部20の骨格を構成する骨格部70に囲まれている。
【0037】
このような構成によると、骨格部70によって壁部20を補強しつつ、壁部20において骨格部70に囲まれた部分のスペースを上手く活用した車両用内装材1とすることができる。特に、車両100に乗った乗員が壁部20を掴む場合に、上記のように壁部20が骨格部70によって補強されていると好適である。
【0038】
壁部20は、収容部35が配された本体壁部21と、本体壁部21の車幅方向における端部21A,21Bから前方に延びた延出壁部22,23と、を備えている。
【0039】
このような車両用内装材1によると、本体壁部21の車幅方向における端部21A,21Bから前方に延びた延出壁部22,23によって、収容部35に収容した物品を、他の乗員からより視認され難くすることができる。
【0040】
壁部20は、車両後方を向く面40A側おいて、車両100の他の乗員が把持可能な手摺り10が取り付けられた第1面41と、第1面41の後上方に位置し、収容部35の背面を構成する第2面42と、第1面41と第2面42とに接続し、上方に向かうほど車両後方に傾いた第3面43と、を備えている。
【0041】
このような車両用内装材1によると、手摺り10が取り付けられた第1面41が、第2面42よりも車両前方に位置し、第1面41と第2面42とに接続した第3面43が、上方に向かうほど車両100室後方に傾いているので、他の乗員が手摺り10を掴む際に、手指が壁部20にぶつかり難く、他の乗員が手摺り10を掴み易い。また、収容部35の背面を構成する第2面42は、第1面41よりも後上方に位置しているので、例えば第2面42が第1面41の直上に位置している場合に比して、収容部35の容積を大きくすることができる。
【0042】
収容部35は、凹部37における運転席7側の壁において車両前後方向に開口した第2開口部38を備えている。
【0043】
このような車両用内装材1によると、収容部35に収容した物品のうち比較的小さい小物を第2開口部38から取り出すことができる。これにより、使用性を向上した車両用内装材1の提供が可能となる。
【0044】
第1開口部36は、運転席7側の上端部36Aが上方に向かうほど車両後方に傾いている。
【0045】
このような車両用内装材1によると、収容部35に収容された物品が車両100の振動等によって第1開口部36から飛び出すことを抑制することができる。また、第1開口部36の上端部36Aを滑らかな触感とすることができる。
【0046】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されず、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0047】
(1)上記実施形態以外にも、第1開口部の構成は適宜変更可能である。上記実施形態では、第1開口部は、シートバック側に向かって開口していることとしたが、これに限定されない。例えば、第1開口部は、上下方向に開口した形をなしていてもよい。
【0048】
(2)上記実施形態以外にも、骨格部の構成は適宜変更可能である。例えば、骨格部は、床部から逆U字状となるように上方に延びた構成であってもよく、上記実施形態における補強骨格に該当する部分に至るまで、格子状の骨格部が形成された構成でもよい。
【0049】
(3)上記実施形態以外にも、乗物の運転方法は適宜変更可能である。上記実施形態では、運転席に着座する運転手がハンドルを操縦することにより、車両を運転可能としたが、これに限定されない。例えば、ハンドルの代わりに複数のボタンやレバー等が車両に設けられており、運転席に着座する運転手がこれら複数のボタンやレバー等を操作することにより、車両が運転可能とされることとしてもよい。
【0050】
(4)上記実施形態以外にも、乗物の座席でシートバック後方に壁部を備えた構造のものでも、本技術を適用することができる。
【0051】
(5)上記実施形態以外にも、座席の個数や配置等は適宜変更可能である。例えば、乗物は、2シーター、4シーター、またはそれ以上の座席を有するものであってもよい。また、2シーターの乗物の場合、乗物用内装材の後方に乗員が乗るスペースが無くてもよい。
【0052】
(6)上記実施形態で例示した乗物用内装材は、車両用に限定されず、種々の乗物において提供されてもよい。例えば、地上の乗物としての列車や遊戯用車両、飛行用乗物としての飛行機やヘリコプター、海上や海中用乗物としての船舶や潜水艇などの乗物についても上記乗物用内装材を適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…車両用内装材(乗物用内装材)、4…床部、7…運転席、7B…シートバック、10…手摺り、20…壁部、21…本体壁部、22,23…延出壁部、35…収容部、36…第1開口部、37…凹部、38…第2開口部、41…第1面、42…第2面、43…第3面、70…骨格部、100…車両(乗物)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7