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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016971
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】乗物用ドアトリム
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/04 20060101AFI20240201BHJP
   B60J 5/06 20060101ALI20240201BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B60J5/04 T
B60J5/06 C
B60J5/00 501E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119291
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇佐見 直之
(72)【発明者】
【氏名】佐野 達也
(72)【発明者】
【氏名】播磨 和典
(57)【要約】
【課題】漏水対策を施しつつコスト低減を図ることが可能な乗物用ドアトリムを提供する。
【解決手段】ウィンドウ26を有する乗物用ドア16の乗物室内側を構成するものであり、ウィンドウ26の窓枠を形成する窓枠部36を備え、窓枠部36の上縁36aには、乗物室内外方向に交差する方向に延設されるとともに、その延設方向における少なくとも一端に開口して窓枠部36の側縁に雨水を流下させる雨樋部70,72が形成された構成とする。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウィンドウを有する乗物用ドアの乗物室内側を構成する乗物用ドアトリムであって、
前記ウィンドウの窓枠を形成する窓枠部を備え、
前記窓枠部の上縁には、乗物室内外方向に交差する方向に延設されるとともに、その延設方向における少なくとも一端に開口して前記窓枠部の側縁に雨水を流下させる雨樋部が形成されている乗物用ドアトリム。
【請求項2】
前記乗物用ドアは、概して矩形状のスライドドアであり、
前記窓枠部の前記上縁は、概して水平方向に延びる形で形成されている請求項1に記載の乗物用ドアトリム。
【請求項3】
スライドドアとされた前記乗物用ドアと乗物本体とを結ぶ配線が、前記乗物用ドアの上側部分と前記乗物本体との間に設けられており、
前記窓枠部の上縁は、前記乗物用ドアが閉じられた状態において、前記配線を下方から覆っている請求項2に記載の乗物用ドアトリム。
【請求項4】
前記乗物用ドアを構成するドアパネルの上端部分に沿って延びてその部分を乗物室内側から覆う上端壁面部と、
前記上端壁面部の下端から乗物室内側に向かって突出して、前記窓枠部の上縁を形成するとともに上面側に前記雨樋部が形成された突出部と、
を備え、
前記乗物用ドアが閉じられた状態において、前記乗物本体,前記上端壁面部および前記突出部によって囲まれた空間に、前記配線が配策されている請求項3に記載の乗物用ドアトリム。
【請求項5】
前記上端壁面部から乗物室外側に向かって延び出したフランジ部を備え、
前記フランジ部に、もう1つの前記雨樋部が形成されている請求項4に記載の乗物用ドアトリム。
【請求項6】
当該乗物用ドアトリムは、ウィンドウガラスの車室内側に位置しており、乗物室内外方向に貫通する開口を有することで、前記開口の周縁部が前記窓枠部とされている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の乗物用ドアトリム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物用ドアトリムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、車両用サイドドアのドアルーフ領域のドア構造が開示されている。このドア構造は、ドアガラスの後面(車室側)にドアの窓枠を有するトリムが位置する構成とされており、ドアガラスの上端と車体との間に、ウェザーストリップを設けるとともに、ドアガラスと窓枠との間に、シールストリップを設けた構成とされている。詳しく言えば、ドアトリムは、窓枠部の前面にシールストリップが設けられており、そのシールストリップが、ドアガラスの車室内側面に当接する構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許出願公開第113815391号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乗物用のドアは、開状態において、雨にさらされる場合が多く、漏水対策が必須である。その乗物用のドアの漏水対策として、従来の乗物用ドアにおいては、上記特許文献1のように、隙間ごとにシール部品を設けることが一般的である。しかしながら、シール部品が多くなるほど、コストがかかるという問題がある。
【0005】
本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、漏水対策を施しつつコスト低減を図ることが可能な乗物用ドアトリムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の乗物用ドアトリムは、
ウィンドウを有する乗物用ドアの乗物室内側を構成する乗物用ドアトリムであって、
前記ウィンドウの窓枠を形成する窓枠部を備え、
前記窓枠部の上縁には、乗物室内外方向に交差する方向に延設されるとともに、その延設方向における少なくとも一端に開口して前記窓枠部の側縁に雨水を流下させる雨樋部が形成されていることを特徴としている。
【0007】
本願に開示の乗物用ドアトリムは、窓枠部の上縁に、その上縁が延びる方向に沿って、雨樋部が形成されており、この雨樋部によって、窓枠部の側縁に沿って、下方に雨水を流すことができる。そのため、本願に開示の乗物用ドアトリムによれば、窓枠部とウィンドウガラスの間や、ドアトリムの乗物室内側に、雨水が流入することを抑制することができる。一方で、雨樋部で雨水を集水できる箇所は、シール部材が必要ないため、本願に開示の乗物用ドアトリムは、シール部材を減らして、部材数およびコストの低減を図ることができる。
【0008】
例えば、スライドドアのように、窓枠部の上縁が水平方向に延びる形状の乗物用ドアである場合、その窓枠部の上縁には、雨水が溜まり易い。本願に開示の乗物用ドアトリムを適用可能な乗物用ドアの形状は特に限定されないが、窓枠部の上縁が水平方向に延びる形状の乗物用ドアに、本願に開示の乗物用ドアトリムは、好適である。なお、雨樋部が雨水を流下させる箇所は、窓枠部の外側(当該乗物用ドアトリムの側面)に限定されず、窓枠部の内側つまり当該乗物用ドアトリムの車室外側面(ドアパネルと当該乗物用ドアトリムとの間)とすることもできる。
【0009】
上記構成において、前記乗物用ドアは、概して矩形状のスライドドアであり、前記窓枠部の前記上縁は、概して水平方向に延びる形で形成されている構成とすることができる。
【0010】
前述したように、この構成の乗物用ドアのドアトリムには、上縁に雨水が溜まり易い。したがって、この構成の乗物用ドアに、雨樋部を有する本願に開示の乗物用ドアトリムが好適である。
【0011】
上記構成において、スライドドアとされた前記乗物用ドアと乗物本体とを結ぶ配線が、前記乗物用ドアの上側部分と前記乗物本体との間に設けられており、前記窓枠部の上縁は、前記乗物用ドアが閉じられた状態において、前記配線を下方から覆っている構成とすることができる。
【0012】
窓枠部の上縁は、乗物用ドアが閉状態において、乗物室から配線が視認し難くする目隠しとして機能する。しかしながら、窓枠部の上縁は、乗物室内側に向かって張り出した形状となるため、開状態において、雨が溜まり易くなる。この構成の乗物用ドアに、雨樋部を有する本願に開示の乗物用ドアトリムがより好適である。
【0013】
上記構成において、前記乗物用ドアを構成するドアパネルの上端部分に沿って延びてその部分を乗物室内側から覆う上端壁面部と、前記上端壁面部の下端から乗物室内側に向かって突出して、前記窓枠部の上縁を形成するとともに上面側に前記雨樋部が形成された突出部と、を備え、前記乗物用ドアが閉じられた状態において、前記乗物本体,前記上端壁面部および前記突出部によって囲まれた空間に、前記配線が配策されている構成とすることができる。
【0014】
この構成の乗物用ドアトリムは、スライドドアの配線を隠すための構造が具体化されている。この構成の乗物用ドアトリムは、突出部の上面に雨水が溜まり易い構造であるが、雨樋部によって、その突出部上面の雨水を集水し、窓枠部の側縁に沿って流下させるため、窓枠部の上縁から当該ドアトリムの車室内側に雨水が流下するような事態を回避することができる。
【0015】
上記構成において、前記上端壁面部から乗物室外側に向かって延び出したフランジ部を備え、前記フランジ部に、もう1つの前記雨樋部が形成されている構成とすることができる。
【0016】
この構成の乗物用ドアトリムは、自身の上端とドアパネルとの間に流入した雨水を集水して、ウィンドウガラスの内側に沿って雨水が流下するような事態を回避することができる。
【0017】
上記構成において、当該乗物用ドアトリムは、ウィンドウガラスの車室内側に位置しており、乗物室内外方向に貫通する開口を有することで、前記開口の周縁部が前記窓枠部とされている構成とすることができる。
【0018】
この構成の乗物用ドアトリムは、ウィンドウガラスの上縁を覆った構成とされていないため、ウィンドウガラスの車室内側において、漏水対策が必要とされる。したがって、この構成の乗物用ドアトリムには、雨樋部を備えた本願に開示のドアトリムが好適である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、漏水対策を施しつつコスト低減を図ることが可能な乗物用ドアトリムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態である車両用ドアトリムを備える車両の全体図
図2】本実施形態の車両用ドアトリムを含んで構成される乗降用ドアの車室内側を示す図
図3】乗降用ドアの上端を示す断面図(図2におけるA-A断面)
図4】乗降用ドアの上端を示す斜視図
図5】乗降用ドアの上端を示す平面図
図6】本実施形態の車両用ドアトリムの分解斜視図
図7】本実施形態の車両用ドアトリムの上端の斜視図
図8】本実施形態の車両用ドアトリムの上端の平面図
図9図6に示す組付部材の平面図
図10】乗降用ドアの上端の正面断面図(図8におけるB-B断面)
図11】乗降用ドアの上端の正面断面図(図8におけるC-C断面)
図12】乗降用ドアの上端における雨水の流れを示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の乗物用ドアトリムの実施形態である車両用ドアトリム10について、図1から図12を参照しつつ説明する。本実施形態の車両用ドアトリム10(以下、単に「ドアトリム10」と呼ぶ場合がある。)は、図1に示すように、前後方向および上下方向に比較的大きな寸法の箱型で、多数の人を乗せて輸送可能な車両12に用いられている。車両12は、内部に車室(乗物室)を形成する車体14と、その車体14の一側面にそれら多数の人が乗降するための一対の乗降用ドア16を備えており、本実施形態のドアトリム10は、それら乗降用ドア16の車室内側を構成するものとなっている。
【0022】
一対の乗降用ドア16は、スライドドアであり、互いに逆方向にスライドするように構成されている。詳しく言えば、前方側の乗降用ドア16が前方にスライドするとともに、後方側の乗降用ドア16が後方にスライドする。それにより、車両12は、車体14の一側面を広く開放することができ、人が乗降し易い構成となっている。詳細な説明は省略するが、乗降用ドア16は、車体14から車幅方向外側に離間しつつ、前方あるいは後方にスライドする。そして、車両12は、乗降用ドア16が開状態にある場合に、その乗降用ドア16の上方を覆うような構成とされておらず、降雨時において、乗降用ドア16は雨にさらされる状態となる。
【0023】
ちなみに、図1において、乗降用ドア16は、平板状に記載しているが、実際には、上側ほど車室内側に向かって湾曲した形状とされており、乗降用ドア16における車室内側面は、雨に濡れにくくされている。ただし、乗降用ドア16は、図2に示すように、概して矩形状とされており、上端が前後方向に水平に延びているため、その上端に雨水が溜まり易い。そこで、本実施形態のドアトリム10は、それに対処するための漏水対策を施した構造に特徴を有するものとなっている。以下に、本実施形態のドアトリム10について、その漏水対策構造を中心に説明する。なお、一対の乗降用ドア16は、前後方向中央において、車幅方向に一部が重畳する構成とされているものの、それを除いてほぼ同様の構成であるため、以下の説明においては、前方側の乗降用ドア16を用いて説明することとする。なお、図面の一部には、符号Fr,Rr,In,Out,U,Dを用いて方向を示しており、それぞれ、乗降用ドア16の前方側,後方側,車幅方向における車室内側,車室外側,上側,下側を表している。
【0024】
乗降用ドア16は、図3に示すように、当該乗降用ドアの骨格をなすドアパネル20と、そのドアパネル20の車室外側に固定された板状のガラスパネル22と、ドアパネル20の車室内側を覆う本実施形態のドアトリム10と、を主体として構成される。乗降用ドア16は、ガラスパネル22によって車室外側全体が覆われた構成のものとなっている。そして、ドアパネル20および本ドアトリム10は、図2に示すように、車幅方向に貫通する概して矩形状の2つの開口24,25を形成する。それにより、乗降用ドア16においては、ドアパネル20の車室外側を覆っているガラスパネル22の一部がウィンドウガラスとして機能し、2つのウィンドウ26,27が形成されている。
【0025】
ドアパネル20は、アウタパネル30とインナパネル32とからなる。ドアパネル20の上端部分20aは、図3から図5に示すように、インナパネル32が車室内側に向かって膨出した形状とされており、前後方向に延びる筒状をなしている。具体的には、インナパネル32は、斜め上方を向く上面部32aと、概して鉛直方向に延びる壁面部32bと、斜め下方を向く下面部32cと、を有する。そして、本ドアトリム10は、ドアパネル20の上端部分20aについて、壁面部32bから下側を覆うものとなっている。
【0026】
本ドアトリム10は、図2に示したように、前述した開口24を形成する部分、つまり、ウィンドウ26の窓枠部36を備えている。その窓枠部36の上縁部である窓枠上縁部36aは、図3に示すように、ほぼ鉛直方向下向きの(実際には、車室外側ほど僅かに下方に向けて傾斜している)面を形成する部分である。また、本ドアトリム10は、窓枠上縁部36aから上方に突出して、インナパネル32の下面部32c全体と壁面部32bの上端を除く部分を車室内側から覆う上端壁面部38を、備えている。その上端壁面部38の上端は、車室外側に張り出したフランジ部38aが壁面部32bに当接する構成となっている。
【0027】
窓枠上縁部36aは、上端壁面部38の下端から、さらに車室内側に突出した形状となっている。これは、乗降用ドア16が閉状態にある場合に、図3に示すように、車体14と乗降用ドア16との間に配策される配線を、車室内にいる乗員から視認し難くするためである。詳しく言えば、乗降用ドア16が閉状態にある場合には、車体14と、上端壁面部38と、窓枠上縁部36aのうち上端壁面部38の下端から車室内側に突出した先端部(突出部)36a1とによって囲まれた空間に、前後方向に延びる状態で配策されている。なお、詳細な説明は省略するが、それらの配線は、断面方形で蛇腹状の配線カバー40内を挿通させられており、乗降用ドア16の開閉に追従できるようになっている。
【0028】
以上のように、乗降用ドア16は、降雨時において開状態とされると、図3から図5に示すように、上端が車室内外方向に幅を有していることで、上端に雨水が溜りやすい。具体的に言えば、インナパネル32の上面部32a,本ドアトリム10における上端壁面部38のフランジ部38a,窓枠上縁部36aのうち先端部36a1の上面,配線カバー40上に、雨水が溜まり易い。そのため、乗降用ドア16の上面に雨水が溜まると、乗降用ドア16を閉状態とした後に、インナパネル32と上端壁面部38との間から雨水が内部に入り込んで、本ドアトリム10とガラスパネル22との間からガラスパネル22の車室内側面を流れ落ちたり、窓枠上縁部36aや配線カバー40から車室内に流れ落ちたりする虞がある。
【0029】
上記のことを考慮して、本実施形態のドアトリム10は、車室内に雨水が浸入することを抑制することが可能な構造となっている。その構造について、図3に加え、図6から図12をも参照しつつ説明する。本ドアトリム10は、図6から図8に示すように、大きく分けて2つの部材からなる。具体的には、本ドアトリム10は、本ドアトリム10の大半の部分をなすトリム本体部材50と、前述した窓枠上縁部36aと上端壁面部38との連結部分を形成してトリム本体部材50に組み付けられる組付部材60と、からなる。
【0030】
トリム本体部材50は、本ドアトリム10の上端に対応する部分が、図6に示すように、下方を向いて窓枠上縁部36aを形成する主体となる下面部52と、下面部52の車室内側の端部から車室外側に概して水平に延びる上面部54と、上面部54の車室外側の端部から上方に向かって立設する本体部材立壁部56と、を有している。ただし、その上面部54の大半と本体部材立壁部56の下端側が切り欠かれるようにして開口58が形成されており、その開口58に、組付部材60が組み付けられる。
【0031】
組付部材60は、図3図6および図9に示すように、断面が概して逆T字形で、長手状の部材とされている。具体的には、組付部材60は、上方に向かって立設する組付部材立壁部62と、組付部材立壁部62の下端から車室内側に延び出した内側延出部64と、組付部材立壁部62の下端から車室外側に延び出した外側延出部66と、を有する。この組付部材60は、外側延出部66を、トリム本体部材50の開口58に対して車室内側から挿し込んで、組付部材立壁部62を本体部材立壁部56に当接させるとともに、内側延出部64および外側延出部66を、下面部52の裏面上に載せ置くようにして、組み付けることができるようになっている。また、組付部材60は、内側延出部64の長手方向(前後方向)における両端の各々が、トリム本体部材50の開口58の縁部に係り止まるようになっている。
【0032】
つまり、本実施形態のドアトリム10においては、トリム本体部材50の下面部52および上面部54と、組付部材60の内側延出部64および外側延出部66によって、窓枠上縁部36aが形成されていると考えることができる。また、本ドアトリム10においては、トリム本体部材50の本体部材立壁部56と、組付部材60の組付部材立壁部62によって、上端壁面部38が形成されていると考えることができる。
【0033】
そして、組付部材60は、内側延出部64と外側延出部66との各々に、雨水を受けるための雨樋部70,72が設けられている。内側延出部64の雨樋部70は、内側延出部64の車室内側の縁部に沿って形成されており、長手方向に延びる溝70aと、その溝70aの両端の底面に形成された開口孔70bと、からなる。溝70aは、図10に示すように、端部に向かうにつれて深くされており、底面が中央近傍から端部に向けて下降傾斜する形状となっている。
【0034】
また、外側延出部66の雨樋部72は、外側延出部66の車室外側の縁部に沿って形成されている。外側延出部66の車室外側部分は、全長にわたって、図3に示すように、上方に開口する断面コの字形状とされていることで、雨樋部72が形成されている。図11に示すように、雨樋部72は、端部に向かうにつれて深くされており、底面が中央近傍から端部に向けて下降傾斜する形状となっている。
【0035】
以上のように、本実施形態のドアトリム10は、ウィンドウ26の窓枠を形成する窓枠部36を備え、窓枠部36の上縁36aには、乗物室内外方向に交差する方向に延設されるとともに、その延設方向における少なくとも一端に開口して窓枠部36の側縁36bに雨水を流下させる雨樋部70,72が形成されていることを特徴とする。これにより、本ドアトリム10が取り付けられた乗降用ドア16は、前述したように、雨水が溜まり易い構造となっているが、図12に示すように、本ドアトリム10の表面(車室内側面)に沿って集まる雨水を、車室内側の雨樋部70によって受けるととともに、本ドアトリム10裏面側(本ドアトリム10とインナパネル32との間)に浸入した雨水を、車室外側の雨樋部72によって受けることができる。
【0036】
そして、雨樋部70は、溝70aが受けた雨水を両側の開口孔70bから流下させる。また、雨樋部72は、前方および後方の両者に開口しており、受けた雨水を両側の開口から流下させる。雨樋部70の開口孔70bから流下した雨水、および、雨樋部72の両端から流下した雨水は、トリム本体部材50の下面部52の裏面側に落ち、窓枠部36の側縁を形成する窓枠側縁部36bに沿って、トリム本体部材50の内部を流下して、本ドアトリム10の外部(車両12の外部)に排出されるようになっている。
【0037】
したがって、本実施形態のドアトリム10によれば、ウィンドウガラス22の車室内側面に雨水が流れる事態や、乗降用ドア16と車体14との間から車室に滴下する事態を抑えることができる。また、本実施形態のドアトリム10によれば、雨水の浸入を防止するシール部材を減らすことができ、部材数およびコストの低減を図ることができる。さらに、本ドアトリム10は、この雨樋部70,72を設けた箇所を、別部材(組付部材60)として組み付ける構成としたことで、図3に示したように、雨樋部70,72を形成しつつ、窓枠上縁部36aの上下方向における寸法を小さく(薄く)することができ、ウィンドウ26を広く確保することができている。
【0038】
<他の実施形態>
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。例えば、次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0039】
(1)上記実施形態のドアトリム10は、スライドドアとされた乗降用ドア16のドアトリムとされていたが、それに限定されない。本発明のドアトリムは、上記実施形態のスライドドアように、窓枠部36の上縁36aが概して水平方向に延びる形で形成されているものに対して好適であるが、水平方向にスイングするグライドドアやハッチ型のドアに適用することもできる。
【0040】
(2)上記実施形態のドアトリム10は、雨樋部が、意匠面側と裏面側との両者に設けられていたが、いずれか一方のみであってもよい。
【0041】
(3)上記実施形態において、本発明の乗物用ドアトリムは、車両(自動車)に提供されるものとされてたが、それに限定されず、本発明の乗物用ドアトリムは、種々の乗物において提供されるものに適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
10…車両用ドアトリム〔乗物用ドアトリム〕、14…車体、16…乗降用ドア〔乗物用ドア〕、20…ドアパネル、22…ガラスパネル〔ウィンドウガラス〕、24…開口、26…ウィンドウ、36…窓枠部、36a…窓枠上縁部、36a1…先端部〔突出部〕、 36b…窓枠側縁部、38…上端壁面部、40…配線カバー、70,72…雨樋部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12