(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169726
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】ノック式筆記具
(51)【国際特許分類】
B43K 24/08 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
B43K24/08 110
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024168619
(22)【出願日】2024-09-27
(62)【分割の表示】P 2023045607の分割
【原出願日】2019-01-09
(31)【優先権主張番号】P 2018001140
(32)【優先日】2018-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】福本 剛生
(57)【要約】
【課題】径を小さくすることができ、長さを短くすることが可能なノック式筆記具を提供する。
【解決手段】出没機構6が、先端縁から後方に延びる切欠部が形成された軸筒2の内面に沿って伸びるカム部を有する内筒10と、基部、基部から先端側に軸筒2の内面に沿って軸方向に延びる複数のカム柱、及び、カム柱の先端側に接続され、筆記部材の後端部を内側に保持する円環状の保持部、を有し、基部が内筒内に配置された回転子12と、回転子12を後端側へ付勢するスプリング14と、内筒10内に配置され、回転子12に先端方向へ押圧力及び軸回りの回転力を付与することができるノック部材16と、を有し、ノック部材16により回転子12が回転され、カム柱が切欠部に収容された状態と、カム柱が切欠部から離脱した状態とを切り替えることにより、回転子12に保持されたリフィル部材4の筆先が出没する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端開口及び後端開口を有する軸筒と、軸筒内に収容された筆記部材と、前記筆記部材の先端部を前記軸筒の先端開口から出没させる出没機構と、を備えたノック式筆記具であって、
前記出没機構は、
前記軸筒内の後端部に取り付けられ、先端縁から後方に延びる複数の切欠部が形成された前記軸筒の内面に沿って伸びるカム部を有する内筒と、
基部、前記基部から先端側に前記軸筒の内面に沿って軸方向に延びる複数のカム柱、及び、前記カム柱の先端側に接続され、前記筆記部材の後端部を内側に保持する円環状の保持部、を有し、前記基部が前記内筒内に配置された回転子と、
前記回転子を後端側へ付勢するスプリングと、
前記内筒内に配置され、先端方向へ押圧されることにより、前記回転子を先端側へ押圧することができるノック部材と、を有し、
前記回転子は前記ノック部材により前方に押圧されると、先端方向へ移動し、回転して、前記カム柱が前記切欠部に収容された筆先収容状態と、前記カム柱が前記切欠部から離脱した筆先前進状態とを切り替えることにより、前記回転子に保持された前記筆記部材の筆先が出没する、ことを特徴とするノック式筆記具。
【請求項2】
前記ノック部材は少なくとも前方が開口する内部空間を有し、
前記回転子の基部の少なくとも一部は前記ノック部材の内部空間内に位置し、
前記ノック部材は前記回転子の基部を保持している、請求項1に記載のノック式筆記具。
【請求項3】
前記内筒が前記ノック部材と前記回転子に挟まれることにより、前記内筒と、前記ノック部材と、前記回転子は一体に組み立てられている、請求項2に記載のノック式筆記具。
【請求項4】
前記回転子に設けられ、傾斜部を有する回転側カム部と、
前記回転側カム部に向かって相対移動可能であり、傾斜部を有する本体側カム部と、を備え、
前記回転子が前記ノック部材により前方に押圧されると、前記回転側カム部の傾斜部が前記本体側カム部の傾斜部に接触した状態で、前記回転側カム部が前記本体側カム部に向かって移動することにより、前記回転子が回転され、さらに、前記回転子が前記スプリングにより後方に押し戻される際に前記回転子が回転されることにより、前記筆先収容状態と、前記筆先前進状態とが切り替えられる、
請求項1から3の何れか1項に記載のノック式筆記具。
【請求項5】
前記本体側カム部又は前記回転側カム部はさらに段差部を有する、請求項4に記載のノック式筆記具。
【請求項6】
さらに、クリップ部材を有し、
前記内筒は前記軸筒の側方に突出し、前記軸筒に沿って先端側に延びるクリップ保持部を有し、
前記クリップ保持部には、表面から突出して軸方向に延びる保持部が形成され、
前記クリップ部材には、軸方向に延びる切込部が形成され、
前記表面から突出する保持部が、前記軸方向に延びる切込部に嵌合することにより、前記クリップ部材は前記クリップ保持部に保持されている、請求項1から5の何れか1項に記載のノック式筆記具。
【請求項7】
前記筆記部材以外の外部から視認可能な位置に表示部を備え、
前記表示部には溝部が形成されており、前記表示部は当該溝部にインクが毛細管現象により引き込まれて保持されることにより形成されている、請求項1~6の何れか1項に記載のノック式筆記具。
【請求項8】
前記内筒の内周面には突部が形成され、
前記ノック部材には前縁から軸方向に延びる軸方向溝部が形成され、
前記軸方向溝部に前記突部が収容されている、請求項1~7の何れか1項に記載のノック式筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸筒の後端部に設けられた出没機構を操作することにより、筆記部材を軸筒の先端部から出没させることができるノック式筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、軸筒の後端部に取り付けられた出没機構をノック操作することにより、リフィルを進退させて、リフィルの筆先を軸筒の先端から出没させるノック式筆記具が知られている。例えば、特許文献1に記載されているように、出没機構は、軸筒内に配置された内筒と、内筒内に配置され、リフィルを保持する回転子と、回転子を後方へ付勢するスプリング部材と、回転子を押圧するためのノック部材とを有する。
【0003】
回転子の外面には係止爪が形成され、内筒の内面には爪受部が形成されている。スプリング部材の付勢力に抗してノック部材を押圧すると、回転子が先端側へ移動するとともに回転する。これにより、回転子の係止爪が内筒面の爪受部に係止された状態と、この係止が解除された状態とを切り替えることにより、筆先を軸筒の先端から出没させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記の出没機構を備えたノック式筆記具では、軸筒内に内筒が収容され、さらに、回転子が内筒内に収容されている。そして、回転子を回転させるために、内筒の内面及び回転子の外面に、それぞれ爪受部及び係止爪のカム機構が形成されている。さらに、回転子の内側にリフィルが保持されている。これらの結果、リフィルの太さに加えて、回転子の厚さ、カム機構の厚さ、内筒の厚さ、及び軸筒の厚さを確保する必要があり、筆記具の径が大きくなってしまう。また、筆記具の径を小さくするべく、リフィルを回転子の内側に保持せず、回転子の先端部によりリフィルの後端を押圧することも考えられる。しかしながら、このような場合には、リフィルの後端が回転子内に挿入されないため、筆記具の全長が長くなってしまう。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、径を小さくすることができ、長さを短くすることが可能なノック式筆記具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のノック式筆記具は、先端開口及び後端開口を有する軸筒と、軸筒内に収容された筆記部材と、筆記部材の先端部を軸筒の先端開口から出没させる出没機構と、を備えたノック式筆記具であって、出没機構は、軸筒内の後端部に取り付けられ、先端縁から後方に延びる複数の切欠部が形成された軸筒の内面に沿って伸びるカム部を有する内筒と、基部、基部から先端側に軸筒の内面に沿って軸方向に延びる複数のカム柱、及び、カム柱の先端側に接続され、筆記部材の後端部を内側に保持する円環状の保持部、を有し、基部が内筒内に配置された回転子と、回転子を後端側へ付勢するスプリングと、内筒内に配置され、先端方向へ押圧されることにより、回転子を先端側へ押圧することができるノック部材と、を有し、回転子はノック部材により前方に押圧されると、先端方向へ移動し、回転して、カム柱が切欠部に収容された筆先収容状態と、カム柱が切欠部から離脱した筆先前進状態とを切り替えることにより、回転子に保持された筆記部材の筆先が出没する、ことを特徴とする。
【0008】
上記構成の本発明によれば、内筒に軸筒の内面に沿うように切欠部を有するカム部が形成されており、さらに、回転子に軸方向に延びるカム柱が形成されているため、内筒の内面及び回転子の外面にはカムを設ける必要がなく、これにより、ノック式筆記具の径を小さくすることができる。また、回転子の円環状の保持部により、筆記部材の後端部を回転子の内側に保持するため、筆記具の長さを短くすることができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、ノック部材は少なくとも前方が開口する内部空間を有し、回転子の基部の少なくとも一部はノック部材の内部空間内に位置し、ノック部材は回転子の基部を保持している。
上記構成の本発明によれば、ノック部材が回転子の基部を保持しているため、ノック部材が脱落することを防止できる。
【0010】
本発明において、好ましくは、内筒がノック部材と回転子に挟まれることにより、内筒と、ノック部材と、回転子は一体に組み立てられている。
上記構成の本発明によれば、出没機構の内筒、ノック部材、及び回転子を一体に組み立てたうえで、組み立て作業を行うことができるので、容易に組み立てや、リフィルの交換作業を行うことができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、回転子に設けられ、傾斜部を有する回転側カム部と、回転側カム部に向かって相対移動可能であり、傾斜部を有する本体側カム部と、を備え、回転子がノック部材により前方に押圧されると、回転側カム部の傾斜部が本体側カム部の傾斜部に接触した状態で、回転側カム部が本体側カム部に向かって移動することにより、回転子が回転され、さらに、回転子がスプリングにより後方に押し戻される際に回転子が回転されることにより、筆先収容状態と、筆先前進状態とが切り替えられる。
上記構成の本発明によれば、回転子がノック部材により前方に押圧された際に、回転側カム部と本体側カム部とにより回転子を回転させることができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、本体側カム部又は回転側カム部はさらに段差部を有する。
上記構成の本発明によれば、使用者がノック部材を押圧した際にノック感を感じることができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、内筒は軸筒の側方に突出し、軸筒に沿って先端側に延びるクリップ保持部を有し、クリップ保持部には、表面から突出して軸方向に延びる保持部が形成され、クリップ部材には、軸方向に延びる切込部が形成され、表面から突出する保持部が、軸方向に延びる切込部に嵌合することにより、クリップ部材はクリップ保持部に保持されている。
【0014】
上記構成の本発明によれば、内筒のクリップ保持部に形成された保持部に、クリップ部材の切込部を嵌合させることにより、クリップ部材を着脱可能に筆記具本体に取り付けることができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、筆記部材以外の外部から視認可能な位置に表示部を備え、表示部には溝部が形成されており、表示部は溝部にインクが毛細管現象により引き込まれて保持されることにより形成されている。
【0016】
上記構成の本発明によれば、表示部がインク収容部以外の外部から視認可能な位置に設けられているため、外部からの視認性が高い。また、表示部は溝部にインクが毛細管現象により引き込まれて保持されることにより形成されているため、印刷を行うことなく表示部を形成することができ、組み立て時に表示部を形成することができる。このため、在庫管理や、組み立て時の部品切替等を容易に行うことができる。
【0017】
本発明において、好ましくは、内筒の内周面には突部が形成され、ノック部材には前縁から軸方向に延びる軸方向溝部が形成され、軸方向溝部に突部が収容されている。
上記構成の本発明によれば、ノック部材が内筒に対して軸方向に移動可能であるとともに、ノック部材の内筒に対する回転を拘束することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、径を小さくすることができ、長さを短くすることが可能なノック式筆記具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1実施形態によるノック式筆記具を示す軸方向に沿った断面図である。
【
図2】
図1に示すノック式筆記具の分解斜視図である。
【
図3】
図1に示すノック式筆記具の軸筒を示す軸方向に沿った断面図である。
【
図4a】
図1に示すノック式筆記具の内筒を示す斜視図である。
【
図4b】
図1に示すノック式筆記具の内筒を示す正面図である。
【
図4c】
図1に示すノック式筆記具の内筒を示す軸方向断面図である。
【
図4d】
図1に示すノック式筆記具の内筒を示す下面図である。
【
図4e】
図1に示すノック式筆記具の内筒のカム部の展開図である。
【
図5a】
図1に示すノック式筆記具の回転子を示す斜視図である。
【
図5b】
図1に示すノック式筆記具の回転子を示す正面図である。
【
図5c】
図1に示すノック式筆記具の回転子の円環部の展開図である。
【
図5d】
図1に示すノック式筆記具の回転子のカム柱及び保持部の展開図である。
【
図6a】
図1に示すノック式筆記具のノック部材を示す斜視図である。
【
図6b】
図1に示すノック式筆記具のノック部材を示す正面図である。
【
図6c】
図1に示すノック式筆記具のノック部材を示す軸方向に沿った断面図である。
【
図6d】
図1に示すノック式筆記具のノック部材の前部の展開図である。
【
図7a】
図1に示すノック式筆記具のクリップ部材を示す斜視図である。
【
図7b】
図1に示すノック式筆記具のクリップ部材を示す正面図である。
【
図8a】リフィル部材の筆先を軸筒内に収容した状態の
図1に示すノック式筆記具のクリップ部材が取り付けられた出没機構を示す正面図である。
【
図8b】リフィル部材の筆先を軸筒内に収容した状態の
図1に示すノック式筆記具のクリップ部材が取り付けられた出没機構を示す軸方向に沿った断面図である。
【
図9a】リフィル部材の筆先が軸筒の先端開口から突出した状態の
図1に示すノック式筆記具のクリップ部材が取り付けられた出没機構を示す正面図である。
【
図9b】リフィル部材の筆先が軸筒の先端開口から突出した状態の
図1に示すノック式筆記具のクリップ部材が取り付けられた出没機構を示す軸方向に沿った断面図である。
【
図10】
図1に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その1)である。
【
図11】
図1に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その2)である。
【
図12】
図1に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その3)である。
【
図13】
図1に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その4)である。
【
図14】
図1に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その5)である。
【
図15】
図1に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その6)である。
【
図16】
図1に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その7)である。
【
図17】
図1に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その8)である。
【
図18】
図1に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その9)である。
【
図19】本発明の第2実施形態によるノック式筆記具を示す軸方向に沿った断面図である。
【
図21】
図19に示すノック式筆記具の軸筒を示す軸方向に沿った断面図である。
【
図22c】
図19に示すノック式筆記具の内筒を示す軸方向断面図である。
【
図24a】
図19に示すノック式筆記具のノック部材を示す斜視図である。
【
図24b】
図19に示すノック式筆記具のノック部材を示す正面図である。
【
図24c】
図19に示すノック式筆記具のノック部材を示す軸方向に沿った断面図である。
【
図25a】
図19に示すノック式筆記具のクリップ部材を示す斜視図である。
【
図25b】
図19に示すノック式筆記具のクリップ部材を示す正面図である。
【
図26a】リフィル部材の筆先を軸筒内に収容した状態の
図19に示すノック式筆記具のクリップ部材が取り付けられた出没機構を示す正面図である。
【
図26b】リフィル部材の筆先を軸筒内に収容した状態の
図19に示すノック式筆記具のクリップ部材が取り付けられた出没機構を示す軸方向に沿った断面図である。
【
図27a】リフィル部材の筆先が先端開口から突出した状態の
図19に示すノック式筆記具のクリップ部材が取り付けられた出没機構を示す正面図である。
【
図27b】リフィル部材の筆先が先端開口から突出した状態の
図19に示すノック式筆記具のクリップ部材が取り付けられた出没機構を示す軸方向に沿った断面図である。
【
図28】
図19に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その1)である。
【
図29】
図19に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その2)である。
【
図30】
図19に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その3)である。
【
図31】
図19に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その4)である。
【
図32】
図19に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その5)である。
【
図33】
図19に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その6)である。
【
図34】
図19に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その7)である。
【
図35】
図19に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その8)である。
【
図36】
図19に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その9)である。
【
図37】
図19に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その10)である。
【
図38】
図19に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その11)である。
【
図39】
図19に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その12)である。
【
図40】
図19に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その13)である。
【
図41】
図19に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その14)である。
【
図42】本発明の第3実施形態によるノック式筆記具を示す軸方向に沿った断面図である。
【
図43】本発明の第4実施形態によるノック式筆記具を示す軸方向に沿った断面図である。
【
図45a】
図43に示すノック式筆記具の軸筒を示す軸方向に沿った断面図である。
【
図46c】
図43に示すノック式筆記具の内筒を示す軸方向断面図である。
【
図48a】
図43に示すノック式筆記具のノック部材を示す斜視図である。
【
図48b】
図43に示すノック式筆記具のノック部材を示す正面図である。
【
図48c】
図43に示すノック式筆記具のノック部材を示す軸方向に沿った断面図である。
【
図49a】
図43に示すノック式筆記具のクリップ部材を示す斜視図である。
【
図49b】
図43に示すノック式筆記具のクリップ部材を示す正面図である。
【
図50】
図43に示すノック式筆記具のクリップ部材の後端部を拡大して示す軸方向に沿った断面図である。
【
図51】
図43に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その1)である。
【
図52】
図43に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その2)である。
【
図53】
図43に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その3)である。
【
図54】
図43に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その4)である。
【
図55】
図43に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その5)である。
【
図56】
図43に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その6)である。
【
図57】
図43に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その7)である。
【
図58】
図43に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その8)である。
【
図59】
図43に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その9)である。
【
図60】
図43に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図(その10)である。
【
図61】本発明の第5実施形態による筆記具を示す斜視図である。
【
図64c】
図61に示すノック式筆記具の内筒を示す軸方向に沿った断面図である。
【
図66a】
図61に示すノック式筆記具のノック部材を示す斜視図である。
【
図66b】
図61に示すノック式筆記具のノック部材を示す正面図である。
【
図66c】
図61に示すノック式筆記具のノック部材を示す軸方向に沿った断面図である。
【
図67a】
図61に示すノック式筆記具のクリップ部材を示す斜視図である。
【
図67b】
図61に示すノック式筆記具のクリップ部材を示す正面図である。
【
図67c】
図61に示すノック式筆記具のクリップ部材を示す側面図である。
【
図68】本発明の第6実施形態による筆記具を示す軸方向断面図である。
【
図70d】
図68に示すノック式筆記具の内筒を示す軸方向に沿った断面図である。
【
図71d】
図68に示すノック式筆記具の回転子を示すd-d断面図である。
【
図72a】
図68に示すノック式筆記具のノック部材を示す斜視図である。
【
図72b】
図68に示すノック式筆記具のノック部材を示す正面図である。
【
図72c】
図68に示すノック式筆記具のノック部材を示す軸方向に沿った断面図である。
【
図73a】
図68に示すノック式筆記具のクリップ部材を示す半径方向外方から見た斜視図である。
【
図73b】
図68に示すノック式筆記具のクリップ部材を示す半径方向内方から見た斜視図である。
【
図73c】
図68に示すノック式筆記具のクリップ部材を示す半径方向内方から見た側面図である。
【
図74】
図68に示すノック式筆記具の後端部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
以下、本発明のノック式筆記具の第1実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下の説明では、リフィルの筆先が出没する側を先端側又は前方といい、出没機構のノック部が延出する側を後端側又は後方という。
図1は、本発明の第1実施形態によるノック式筆記具を示す軸方向に沿った断面図である。また、
図2は、
図1に示すノック式筆記具の分解斜視図である。
図1及び
図2に示すように、本実施形態のノック式筆記具1は、円筒状の軸筒2と、軸筒2内に収容されたリフィル部材4と、軸筒2の後端部に設けられた出没機構6と、出没機構6に接続されたクリップ部材8と、を備える。軸筒2と、リフィル部材4と、出没機構6と、により筆記具本体が構成される。
【0021】
図3は、
図1に示すノック式筆記具の軸筒を示す軸方向に沿った断面図である。
図3に示すように、軸筒2は先端部が先細り状である円筒形状に形成されている。軸筒2の先端部には先端開口2aが形成されており、後端部には後端開口2bが形成されている。軸筒2の後端部の内面には螺合部2cが形成されている。また、軸筒2の中間部には段部2dが形成されており、段部2dより後端側の軸筒2の内径は、先端側の内径よりも大きくなっている。
【0022】
図1及び
図2に示すように、リフィル部材4は、インクが収容されたインク収容部4aと、インク収容部4aの先端側に接続された筆先部4bとを備える。インク収容部4aには、水性又は油性のインクが収容されている。インク収容部4aに収容されたインクは、筆先部4bに供給される。筆先部4bの先端の転写ボールを紙面に当接させることにより、インクが紙面に転写される。
【0023】
図1及び
図2に示すように、出没機構6は、内筒10と、回転子12と、スプリング部材14と、ノック部材16とを備える。
図4a~
図4eは、
図1に示すノック式筆記具の内筒を示し、
図4aは斜視図、
図4bは正面図、
図4cは軸方向断面図、
図4dは下面図、
図4eはカム部の展開図である。
図4a~
図4eに示すように、内筒10は、円筒状の本体部10aと、本体部10aから先端側に延びるカム部10bと、本体部10aの後端側に接続された後端部10cと、後端部10cから側方に延びるクリップ保持部10dとを備える。これら、本体部10aと、カム部10bと、後端部10cと、クリップ保持部10dとは一体に成形されている。
【0024】
本体部10aは円筒状であり、本体部10aの外径は軸筒2の内径と略等しくなっている。本体部10aの外周面には螺合部10eが形成されている。また、本体部10aの内周面には、対向する位置に180度の角度間隔で、軸方向に延びる軸方向突部10fが形成されている。
【0025】
カム部10bは略円筒状であり、その内径及び外径は本体部10aの内径及び外径と等しくなっている。
図4eに示すように、カム部10bには、周方向に第1の切欠部18と、第2の切欠部20とが交互に形成されている。第1の切欠部18は、先端縁から軸方向後方に延びる軸方向溝部18aと、軸方向溝部18aに時計回り(
図4eの右方向)に連続して形成された案内部18bとを有する。軸方向溝部18aは、一定の周方向幅で軸方向に延びる溝であり、第2の切欠部20よりも後方へ延びている。案内部18bは、周面で見て、時計回りに切込深さ(内筒の先端縁からの距離)が小さくなるような三角形状に形成されている。第2の切欠部20は、周面で見て、時計回りに切込深さが小さくなるような三角形状に形成されている。第2の切欠部20の最大切込深さは、第1の切欠部18の軸方向溝部18aの切込深さよりも小さく、案内部18bの最大切込深さよりも大きくなっている。第2の切欠部20の反時計回り(
図4eの左方向)端部の位置は、隣接する第1の切欠部18の案内部18bの時計回り端部の位置と一致している。また、第2の切欠部20の時計回り端部の位置は、隣接する第1の切欠部18の軸方向溝部18aの反時計回り端部の位置と一致している。
後端部10cは、外径が軸筒2の外径よりもわずかに小さい円筒状に形成されている。
【0026】
クリップ保持部10dは、後端部10cから半径方向外方、かつ、前方に延びる接続部10d1と、接続部10d1の前端から前方に延びる本体部10d2と、本体部10d2の半径方向内面に形成された保持部10d3とを有する。保持部10d3は、接続部10d1から前方に向かって伸びており、全長にわたり、軸方向に垂直な面の断面形状が丁字状を呈している。
【0027】
図5a~
図5dは、
図1に示すノック式筆記具の回転子を示し、
図5aは斜視図、
図5bは正面図、
図5cは円環部の展開図、
図5dはカム柱及び保持部の展開図である。
図5a~
図5dに示すように、回転子12は、円筒状の基部21と、基部21から前方に延びる4本のカム柱28と、カム柱28の前端に接続された保持部30と、を有する。
基部21は、円筒状の本体部22と、本体部22の後端側に接続された後端部24と、本体部22の先端側に接続された円環状の円環部26と、を有する。
【0028】
本体部22は、円筒状に形成されており、外径が、後述するノック部材16の前部の内径よりもわずかに小さくなっている。本体部22の後端部には後方に向かって縮径する縮径部22aを有する。
【0029】
後端部24は、本体部22の後端に連続する円柱部24aと、円柱部24aの後端に連続する円錐台状(截頭円錐体状)の円錐台部24bと、円錐台部24bの後端に連続する表示部24cとを有する。円柱部24aは、軸方向に同一な円形断面形状である。円柱部24aの外径は、ノック部材16の後部36(
図6)の内径よりもわずかに小さくなっている。円錐台部24bは、先端側の径が大きい円錐台形状である。円錐台部24bの後端の径は、円柱部24a及び表示部24cの径と略等しくなっている。表示部24cは、円錐台部24bの後端から後方に延びる円柱状の部位である。表示部24cには軸方向に延びる複数の溝が形成されている。
【0030】
円環部26は、本体部22の前端部に接続されており、円環状に形成されている。円環部26の外径は本体部22の外径よりも大きく、保持部30の外径よりも小さくなっている。円環部26の後方の表面には回転側カム部26bが形成されている。回転側カム部26bは、周方向に90度間隔で形成された4つのカム突部26aを含む。カム突部26aは、後方に向かって突出する二等辺三角形状になっている。
【0031】
カム柱28は、軸方向に垂直な面で円弧状の断面形状を有し、基部21の円環部26の径方向外周面に接続され、前方に向かって延びている。カム柱28は、周方向に90度間隔で取り付けられている。カム柱28は、円環部26に形成されたカム突部26aの半分の周方向幅を有する。各カム柱28は、円環部26のカム突部26aの
図5(b)~(d)の右半部の外面に接続されている。カム柱28の後端面は、円環部26のカム突部26aの時計回り方向の後半部の後端面と面一になっている。すなわち、カム柱28の後端面28aは、時計回りに後方への突出高さが低くなるような傾斜部に形成されている。
【0032】
保持部30は円環状に形成されている。保持部30の内径及び外径はカム柱28の内径及び外径と等しくなっている。
スプリング部材14は、らせん状の金属部材からなるばね部材である。
【0033】
図6a~
図6cは、
図1に示すノック式筆記具のノック部材を示し、
図6aは斜視図、
図6bは正面図、
図6cは軸方向に沿った断面図、
図6dは前部の展開図である。ノック部材16は、前部32と、前部の後方に連続する中間部34と、中間部34の後方に連続する後部36とを有する。
前部32は、少なくとも前方に開口する円柱状の内部空間が形成され、一対の円弧状断面の壁面により形成されている。前部32の外径は、内筒10の本体部10aの内径よりもわずかに小さい。また、前部32の内径は、回転子12の本体部22の外径よりもわずかに大きい。前部32には、軸方向に延び前方に開口し、後方に所定の長さ延びる一対の軸方向溝部32aが、周方向に180度の間隔で形成されている。また、前部32の前端部の端面には本体側カム部32bが形成されている。本体側カム部32bは、一対の軸方向溝部32aの間に形成された、それぞれ周方向に並ぶ3つの三角形状の突部32b1、32b2、32b3を含む。後述するように、ノック部材16の本体側カム部32bと、回転子12の回転側カム部26bとにより、ノック部材16を押し込んだ際に回転子12が所定の角度だけ回転される。
【0034】
中間部34は円環状に形成されており、内面に円環状に突出する係止部34bが形成されている。係止部34bの前部は、好ましくは、
図6(c)に示すように、後方に向かって縮径するような傾斜部が形成されていることが好ましい。
後部36は円筒状に形成されている。また、外周面の対向する部分が扁平に形成されている。
【0035】
図7は、
図1に示すノック式筆記具のクリップ部材を示し、(a)は斜視図、(b)は正面図である。
図7に示すように、クリップ部材8は、接続部8aと、接続部8aから前方に軸方向に延びる本体部8bとを備える。接続部8aには、軸方向に延びる切欠部8cが形成されている。また、切欠部8cの径方向外方の両縁には、切欠部8cの中心に向かって突出する突出部8dが形成されている。
図1に示すように、内筒10の保持部10d3がクリップ部材8の切欠部8cに収容されることにより、クリップ部材8は軸筒2の側方に位置するように内筒10に固定されている。
【0036】
図8及び
図9は、
図1に示すノック式筆記具のクリップ部材が取り付けられた出没機構を示す図であり、各図において(a)は正面図、(b)は軸方向に沿った断面図である。なお、
図8は、リフィル部材4の筆先を軸筒2内に収容した状態を示し、
図9は、リフィル部材4の筆先が軸筒2の先端開口2aから突出した状態を示す。また、
図8及び
図9では、出没機構のスプリング部材は図示を省略している。
【0037】
図8及び
図9に示すように、ノック部材16は、ノック部材16の軸方向溝部32a内に内筒10の軸方向突部10f(
図4c)が位置するように、後方から内筒10内に挿入されている。また、回転子12は、基部21に形成された円錐台部24bがノック部材16の係止部34bを超える位置まで、ノック部材16内に前方から挿入されている。内筒10のカム部10bと回転子12のカム柱28とは軸筒2の内面に沿っており、同円上に位置している。
【0038】
このような構成により、ノック部材16は、内筒10に対して回転が拘束されるとともに、内筒10に対して軸方向に相対移動可能である。また、回転子12はノック部材16に対して回転可能であるとともに、ノック部材16の係止部34bが回転子12の円錐台部24bに当接する位置と、ノック部材16の突部32b1、32b2、32b3が回転子12のカム突部26aと当接する位置との間で、軸方向に相対移動可能になっている。すなわち、回転子12の基部21がノック部材16により保持されるとともに、回転側カム部26bが、本体側カム部32bに対して相対的に移動することができる。
【0039】
そして、内筒10の本体部10a及びカム部10bが軸筒2の後端開口2b内に収容され、軸筒2の螺合部2cと内筒10の螺合部10eとが螺合することにより、内筒10が軸筒2の後端部に取り付けられている。
【0040】
また、リフィル部材4の後端部は、回転子12の円環状の保持部30内に挿入され、円環部26の前面に当接している。これにより、リフィル部材4は回転子12により繰出及び引き戻し可能に保持されている。
【0041】
また、スプリング部材14は、リフィル部材4と軸筒2との間に配置されている。スプリング部材14は収縮した状態で、軸筒2の段部2dと、回転子12の保持部30との間に挟み込まれている。これにより、回転子12はスプリング部材14により後方に向かって付勢されている。
【0042】
次に、本実施形態のノック式筆記具による筆先の出没操作について説明する。
図10~
図18は、
図1に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図である。
図10~
図18は、内筒10のカム部10bと、回転子12の円環部26及びカム柱28と、ノック部材16の前部32とを展開して示している。なお、
図10~
図18において、内筒10のカム部10b及び回転子12のカム柱28は実線で、回転子12の円環部26及びノック部材16の前部32は破線で示している。
【0043】
図10は、ノック式筆記具のリフィル部材4の筆先部4bが軸筒2内に収容された状態(筆先収容状態)を示す。
図10に示すように、回転子12がスプリング部材14により後方に付勢されることにより、回転子12のカム柱28が内筒10の第1の切欠部18内に入り込み、カム柱28の後端が第1の切欠部18の底部に当接している。
【0044】
まず、
図10に示す状態から、リフィル部材4の筆先部4bを進出させるためには、ノック部材16を前方に押し込む。ノック部材16を前方に押し込むと、まず、
図11に示すように、ノック部材16の3つの連続する突部のうちの中央の突部32b2の図中左半部の縁が、回転子12の円環部26のカム突部26aの右半部の縁に当接する。このように当接した状態で、さらに、ノック部材16を前方に押し込むと、回転子12のカム柱28が内筒10の第1の切欠部18内に入り込でいるため、回転子12は回転することなく、前方(図中下方)に押し出される。
【0045】
さらに、ノック部材16を前方に押し込むと、
図12に示すように、回転子12のカム柱28が内筒10の第1の切欠部18から離脱する。このように、回転子12のカム柱28が内筒10の第1の切欠部18から離脱すると、ノック部材16の中央の突部32b2の左半部の傾斜部と、回転子12の円環部26のカム突部26aの右半部の傾斜部とが当接しており、回転子12がスプリング部材14により後方に付勢されているため、回転子12の円環部26のカム突部26aの右半部の傾斜部が、ノック部材16の中央の突部32b2の左半部の傾斜部に沿って移動する。これにより、回転子12が、図中左方向に回転するとともに、回転子12が後方に向かって移動する。この際、回転子12が後方に移動するため、使用者はノック感(ノック部材16への付勢力に変化)を感じることができる。そして、
図13に示すように、回転子12の円環部26のカム突部26aが、ノック部材16の左側突部32b1及び中央の突部32b2の間の溝に嵌まり込む。すなわち、回転子12の円環部26のカム突部26aの左半部の縁が、ノック部材16の左側突部32b1の右半部の縁に当接し、回転子12の円環部26のカム突部26aの右半部の縁が、ノック部材16の中央突部32b2の左半部の縁に当接する。
【0046】
そして、使用者はノック感を感じると、ノック部材16の押し込み力を解除する。このようにノック部材16の押し込み力を解除すると、回転子12がスプリング部材14により後方に付勢されているため、回転子12が後方に移動し、回転子12のカム柱28の後端面28aと、内筒10の第2の切欠部20の傾斜部20aとが当接する。そして、回転子12がスプリング部材14により後方に付勢されているため、回転子12が図中左方向に回転されるとともに後方に移動する。また、ノック部材16も回転子12とともに後方に移動する。これにより、
図14に示すように、回転子12のカム柱28の端部が内筒10の第2の切欠部20の最深部に嵌まり込む。すなわち、回転子12のカム柱28の後端面28aが内筒10の第2の切欠部20の傾斜部20aに当接するとともに、回転子12のカム柱28の左側の縁28bが、内筒10の第2の切欠部20の軸方向に延びる縁部20bに当接する。これにより、リフィル部材4の筆先部4bが軸筒2の先端開口2aから突出した状態(筆先進出状態)で保持される。
【0047】
次に、リフィル部材4の筆先部4bを後退させるためには、ノック部材16を前方に押し込む。この際、回転子12のカム柱28の左側の縁28bが、内筒10の第2の切欠部20の軸方向に延びる縁部20bに当接するとともに、回転子12の円環部26のカム突部26aの右半部の縁部がノック部材16の左側突部32b1又は右側突部32b3の左半部の縁に当接しているため、回転子12は回転することなく、前方に移動する。そして、
図15に示すように、回転子12のカム柱28が内筒10の第2の切欠部20から離脱する。
【0048】
回転子12のカム柱28が内筒10の第2の切欠部20から離脱すると、回転子12がスプリング部材14により後方に付勢され、回転子12の円環部26のカム突部26aの右半部の縁部がノック部材16の左側突部32b1又は右側突部32b3の左半部の縁に当接しているため、回転子12が図中左側に回転するとともに後方に移動する。これにより、
図16に示すように、回転子12の円環部26のカム突部26aが、ノック部材16の中央突部32b2と右側突部32b3との間に入り込む。この際、回転子12が後方に移動するため、使用者はノック感(ノック部材16への付勢力に変化)を感じることができる。
【0049】
そして、使用者はノック感を感じると、ノック部材16の押し込み力を解除する。ノック部材16の押し込み力が解除されると、スプリング部材14の付勢力により、回転子12は後方へ移動し、
図17に示すように、回転子12のカム柱28の後端面28aが、内筒10の案内部18bの縁に当接する。さらに、スプリング部材14の付勢力が回転子12に作用することにより、回転子12のカム柱28の後端面28aが内筒10の案内部18bの縁に当接した状態で、回転子12が後方に移動し、これにより、回転子12が図中左方向に回転する。そして、
図18に示すように、回転子12のカム柱28が内筒10の第1の切欠部18内に入り込み、回転子12のカム柱28の後端部が内筒10の第1の切欠部18の最深部に当接する。これにより、ノック式筆記具のリフィル部材4の筆先部4bが軸筒2内に収容された状態(筆先収容状態)となる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態によれば以下の作用効果が奏される。
本実施形態によれば、内筒10に軸筒2の内面に沿うように第1の切欠部18を有するカム部10bが形成されており、回転子12には軸方向に延びるカム柱28が形成されているため、内筒10の内面及び回転子12の外面にはカムを設ける必要がなく、これにより、ノック式筆記具の径を小さくすることができる。また、回転子12の円環状の保持部30により、リフィル部材4の後端部を回転子12の内側に保持するため、筆記具の長さを短くすることができる。
【0051】
また、本実施形態では、ノック部材16は前方が開口する内部空間を有し、回転子12の後端部24はノック部材16の内部空間内に位置し、ノック部材16は回転子12の後端部24を保持している。このように、ノック部材16が回転子12の基部を保持しているため、ノック部材16が脱落することを防止できる。
【0052】
また、本実施形態では、内筒10がノック部材16と回転子12に挟まれることにより、内筒10と、ノック部材16と、回転子12は一体に組み立てられている。これにより、出没機構6の内筒10、ノック部材16、及び回転子12を一体に組み立てたうえで、組み立て作業を行うことができるので、容易に組み立てや、リフィルの交換作業を行うことができる。
【0053】
また、本実施形態では、回転子12に設けられ、ノック部材16の傾斜部を有する回転側カム部26bと、回転側カム部26bに向かって相対移動可能であり、傾斜部を有する本体側カム部32bと、を備え、回転子12がノック部材16により前方に押圧されると、回転側カム部26bの傾斜部が本体側カム部32bの傾斜部に接触した状態で、回転側カム部26bが本体側カム部32bに向かって移動することにより、回転子12が回転され、さらに、回転子12がスプリング部材14により後方に押し戻される際に回転子12が回転されることにより、筆先収容状態と、筆先前進状態とが切り替えられる。このような本実施形態によれば、回転子12がノック部材16により前方に押圧された際に、回転側カム部26bと本体側カム部32bとにより回転子12を回転させることができる。
【0054】
また、本実施形態では、内筒10の内周面には軸方向突部10fが形成され、ノック部材16には前縁から軸方向に延びる軸方向溝部32aが形成され、軸方向溝部32aに軸方向突部10fが収容されている。
これにより、ノック部材16は内筒10に対して軸方向に移動可能であるとともに、回転が拘束されている。
【0055】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
図19は、本発明の第2実施形態によるノック式筆記具を示す軸方向に沿った断面図である。また、
図20は、
図19に示すノック式筆記具の分解斜視図である。
図19及び
図20に示すように、本実施形態のノック式筆記具101は、円筒状の軸筒102と、軸筒102内に収容されたリフィル部材4と、軸筒102の後端部に設けられた出没機構106と、出没機構106に接続されたクリップ部材108と、を備える。軸筒102と、リフィル部材4と、出没機構106と、により筆記具本体が構成される。
【0056】
図21は、
図19に示すノック式筆記具の軸筒を示す軸方向に沿った断面図である。
図21に示すように、軸筒102は先端部が先細り状である円筒形状に形成されている。軸筒102の先端部には先端開口102aが形成されており、後端部には後端開口102bが形成されている。軸筒102の後端部の内面には螺合部102cが形成されている。
【0057】
図19及び
図20に示すように、出没機構106は、内筒110と、回転子112と、スプリング部材114と、ノック部材116とを備える。
図22a~
図22eは、
図19に示すノック式筆記具の内筒を示し、
図22aは斜視図、
図22bは正面図、
図22cは軸方向断面図、
図22dは下面図、
図22eは
図22cのe部の拡大図である。
図22a~
図22eに示すように、内筒110は、円筒状の本体部110aと、本体部110aから先端側に延びるカム部110bと、本体部110aの後端側に接続された後端部110cと、を備える。これら、本体部110aと、カム部110bと、後端部110cと、は一体に成形されている。
【0058】
本体部110aは円筒状であり、本体部110aの外径は軸筒102の内径と略等しくなっている。本体部110aの外周面には螺合部110eが形成されている。また、本体部110aの前方の端部には、内径が小さくなるような縮径部110gが設けられており、縮径部110gの内周面には本体側カム部110fが形成されている。縮径部110gには周方向に180°の間隔をあけて一対の切欠部110g1が形成されている。この切欠部110g1は、組み立ての際に回転子112の回転側カム部122bと、縮径部110gとの干渉を避けるために設けられている。
【0059】
図22eに示すように、本体側カム部110fは、複数のカム凸部110f5が周方向に並んで形成されている。本実施形態では、切欠部110g1から周方向に所定の方向(
図22eで左向き)に、二つのカム凸部110f5が連続して配置され、このカム凸部110f5に連続して平坦部110f4が配置され、平坦部110f4に連続して二つのカム凸部110f5が配置されている。
【0060】
各カム凸部110f5は、側面110f0と、後方傾斜部110f1と、前方傾斜部110f3と、後方傾斜部110f1及び前方傾斜部110f3を接続する段差部110f2と、を備えている。側面110f0は軸方向に延びており、後方傾斜部110f1の後方側の端部に連続している。後方傾斜部110f1は後方に向いており、所定の方向に向かって前方に傾斜している。段差部110f2は後方傾斜部110f1の端部から軸方向に前方に延び、前方傾斜部110f3の端部に接続されている。前方傾斜部110f3は所定の方向に向かって前方に傾斜している。
【0061】
カム部110bは略円筒状であり、その内径及び外径は本体部110aの内径及び外径と等しくなっている。
図22b、22cに示すように、カム部110bには、周方向に第1の切欠部118と、第2の切欠部120とが交互に形成されている。なお、第2実施形態のカム部110bの構成は、第1実施形態のカム部10bの構成と同一であり、第1の切欠部118と、第2の切欠部120とを備え、第1の切欠部118は、軸方向溝部118a及び案内部118bを有し、第2の切欠部120は縁部120bと傾斜部120aとを有する。
【0062】
後端部110cは、外径が軸筒102の内径よりもわずかに大きな前方大径部110c1と、前方大径部110c1から後方に連続する中間小径部110c2と、中間小径部110c2から後方に連続し、中間小径部110c2よりも大径の後方大径部110c3とを含む。前方大径部110c1は中間小径部110c2よりもわずかに直径が大きく、後方大径部110c3は中間小径部110c2よりも直径が大きい。
また、後端部110cには、前方大径部110c1及び中間小径部110c2にわたって軸方向に延びる切欠部110c4が周方向に180°の間隔をあけて形成されている。
【0063】
図23a及び
図23bは、
図19に示すノック式筆記具の回転子を示し、
図23aは斜視図、
図23bは正面図である。
図23a及び
図23bに示すように、回転子112は、円筒状の基部121と、基部121から前方に延びる4本のカム柱128と、カム柱128の前端に接続された保持部130と、を有する。
基部121は、円筒状の本体部122と、本体部122の後端側に接続された後端部124と、本体部122の先端側に接続された円環状の円環部126と、を有する。
【0064】
本体部122は、円筒状に形成されており、本体部122の後端部には所定の角度(本実施形態では180°)をあけて、回転側カム部122bが形成されている。回転側カム部122bは、本体部122の外面から半径方向外側に向かって突出しており、前端に傾斜部122b1を有する。傾斜部122b1は、所定の方向に向かって後方に傾斜している。
【0065】
後端部124は、本体部122の後端に連続する環状凹部124aと、環状凹部124aの後端に連続する円錐台状(截頭円錐体状)の円錐台部124bと、円錐台部124bの後端に連続する円柱部124cとを有する。環状凹部124aは、軸方向に同一な円形断面形状であり、環状凹部124aの直径は本体部122の直径よりも小さくなっている。円錐台部124bは、先端側の径が大きい円錐台形状である。円錐台部124bの先端の径は環状凹部124aの径より大きく、後端の径は、円柱部124cの径と等しくなっている。
【0066】
円環部126は、本体部122の前端部に接続されており、円環状に形成されている。円環部126の外径は本体部122の外径よりも大きく、保持部130の外径よりも小さくなっている。
【0067】
第2実施形態におけるカム柱128及び保持部130の構成は第1実施形態におけるカム柱28及び保持部30の構成と実質的に同一である。
スプリング部材114は、らせん状の金属部材からなるばね部材である。
【0068】
図24a~
図24cは、
図19に示すノック式筆記具のノック部材を示し、
図24aは斜視図、
図24bは正面図、
図24cは軸方向に沿った断面図である。ノック部材116は、前部132と、前部の後方に連続し、前部132よりも外径が大きな後部136とを有する。前部132並びに後部136の外径は、内筒110の本体部110aの内径よりもわずかに小さい。ノック部材116には、軸方向に貫通する貫通孔116aが形成されている。また、貫通孔116aの先端には半径方向内側に向かって突出する環状の係止部116bが形成されている。
【0069】
図25a及び
図25bは、
図19に示すノック式筆記具のクリップ部材を示し、
図25aは斜視図、
図25bは正面図である。
図25a及び
図25bに示すように、クリップ部材108は、接続部108aと、接続部108aから前方に軸方向に延びる本体部108bとを備える。接続部108aは円環状に形成されている。接続部108aの内周面の軸方向中間には、半径方向内側に向かって全周にわたって突出する中間凸部108a1が形成されている。また、接続部108aの内周面には、前方端部から中間凸部108a1の後端まで延びる軸方向凸部108a2が、周方向に180°の間隔をあけて形成されている。
【0070】
図19及び
図20に示すように、クリップ部材108は、接続部108aの後端側から内側に内筒110を挿入し、軸方向凸部108a2を内筒110の切欠部110c4に嵌め込むとともに、中間凸部108a1を内筒110の前方大径部110c1及び後方大径部110c3の間の嵌め込むことにより、軸筒102の側方に位置するように内筒110に固定されている。
【0071】
図26a、
図26b、
図27a、及び、
図27bは、
図19に示すノック式筆記具のクリップ部材が取り付けられた出没機構を示す図であり、
図26a及び
図27aは正面図、
図26b及び
図27bは軸方向に沿った断面図である。なお、
図26a及び
図26bは、リフィル部材4の筆先を軸筒102内に収容した状態を示し、
図27a及び
図27bは、リフィル部材4の筆先が軸筒102の先端開口102aから突出した状態を示す。
【0072】
図26a、
図26b、
図27a、及び、
図27bに示すように、内筒110の後端部110cにはクリップ部材108が取り付けられている。内筒110の貫通孔には、前端側から回転子112の本体部122及び後端部124が挿入されている。また、内筒110の貫通孔には、後端側からスプリング部材114が挿入され、さらに、スプリング部材114の後方からノック部材116が挿入されている。ノック部材116の貫通孔には、回転子112の後端部124が前方から入り込んでいる。
【0073】
回転子112は、基部121に形成された円錐台部124bがノック部材116の係止部116bを超える位置まで、ノック部材116内に前方から挿入されている。内筒110のカム部110bと回転子112のカム柱128とは軸筒102の内面に沿っており、同円上に位置している。また、内筒110の本体側カム部110fと、回転子112の回転側カム部122bとは同円上に位置している。
スプリング部材114は、前端が内筒110の縮径部110gに当接するとともに、後端がノック部材116の後部136の前端に当接している。
【0074】
このような構成により、ノック部材116の係止部116bが、回転子112の環状凹部124aに入り込み、前後が回転子112の本体部122及び円錐台部124bに挟まれるため、ノック部材116と回転子112の軸方向の相対移動が拘束される。また、これらノック部材116及び回転子112は、内筒110に対して軸方向に移動可能であるとともに、ノック部材116がスプリング部材114により後方に向けて付勢される。すなわち、回転子112の基部121がノック部材116により保持されるとともに、回転側カム部122bは、本体側カム部110fに対して相対的に移動することができる。
【0075】
そして、内筒110の本体部110a及びカム部110bが軸筒102の後端開口102b内に収容され、軸筒102の螺合部102cと内筒110の螺合部110eとが螺合することにより、内筒110が軸筒102の後端部に取り付けられている。
【0076】
また、リフィル部材4の後端部は、回転子112の円環状の保持部130内に挿入され、円環部126の前面に当接している。これにより、リフィル部材4は回転子112により繰出及び引き戻し可能に保持されている。
【0077】
次に、本実施形態のノック式筆記具による筆先の出没操作について説明する。
図28~
図41は、
図19に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図である。
図28~
図41は、回転子112の回転側カム部122b及びカム柱128と、内筒110のカム部110b及び本体側カム部110fと、を展開して示している。なお、
図28~
図41において、回転子112の回転側カム部122b及びカム柱128は実線で、内筒110のカム部110b及び本体側カム部110fは破線で示している。
【0078】
図28は、ノック式筆記具のリフィル部材4の筆先部4bが軸筒102内に収容された状態(筆先収容状態)を示す。
図28に示すように、ノック部材116がスプリング部材114により後方に付勢されることにより、ノック部材116とともに回転子112が後方に付勢され、回転子112のカム柱128が内筒110の第1の切欠部118内に入り込み、カム柱128の後端が第1の切欠部118の底部に当接している。
【0079】
まず、
図28に示す状態から、リフィル部材4の筆先部4bを進出させるためには、ノック部材116を前方に押し込む。
図29に示すように、ノック部材116を前方に押し込むと、これと連動して回転子112が前方に進出する。そして、
図29に示すように、カム柱128が、内筒110の第1の切欠部118から離脱する。また、カム柱128が第1の切欠部118から離脱した直後に、回転子112の回転側カム部122bの傾斜部122b1が内筒110の本体側カム部110fの後方傾斜部110f1と当接する。
【0080】
次に、
図29に示す状態から、さらに、ノック部材116を前方に押し込むと、これと連動して回転子112が前方に進出する。この際、回転子112の回転側カム部122bの傾斜部122b1と、内筒110の本体側カム部110fの後方傾斜部110f1とが当接しているため、回転子112が回転する。
【0081】
そして、
図30に示すように、回転側カム部122bの傾斜部122b1の後方側端部(
図30の右側の端部)が、本体側カム部110fの後方傾斜部110f1の前方側端部(
図30の左側の端部)まで到達すると、回転子112が段差部110f2に沿って後方(
図30の上方)に向かって押し戻される。これにより、
図31に示すように、回転側カム部122bの傾斜部122b1が、本体側カム部110fの前方傾斜部110f3に当接する。この際、使用者はノック部材116を介してクリック感(ノック感)を感じることができる。
【0082】
さらに、
図31に示す状態から、さらに、ノック部材116を前方に押し込むと、これと連動して回転子112が前方に進出する。この際、回転子112の回転側カム122bの傾斜部122b1と、内筒110の本体側カム部110fの前方傾斜部110f3とが当接しているため、回転子112が回転する。そして、
図32に示すように、回転側カム部122bの側面が、本体側カム部110fの側面110f0に当接すると、それ以上、ノック部材116を押し込んでも回転子112は回転しなくなる。
【0083】
図32に示す状態から、使用者がノック部材116を解放すると、ノック部材116及び回転子112がスプリング部材114により後方に付勢される。これにより、
図33に示すように、回転子112が後方に移動し、カム柱128の後端面が内筒110のカム部110bの傾斜部120aに当接する。さらに、回転子112が後方に移動することにより、カム柱128の後端面と、内筒110のカム部110bの傾斜部120aとが当接しているため、回転子112が回転する。そして、
図34に示すように、カム柱128の側面が内筒110のカム部110bの縁部120bと当接する。以上の操作により、リフィル部材4の筆先部4bが軸筒2の先端開口2aから突出した状態で保持された状態(筆先進出状態)になる。
【0084】
次に、リフィル部材4の筆先部4bを後退させるためには、
図34に示す状態からノック部材116を前方に押し込む。
図35に示すように、ノック部材116を前方に押し込むと、これと連動して回転子112が前方に進出する。そして、
図35に示すように、カム柱128が、内筒110の第2の切欠部120から離脱する。また、カム柱128が第2の切欠部120から離脱した直後に、回転子112の回転側カム部122bの傾斜部122b1が内筒110の本体側カム部110fの後方傾斜部110f1と当接する。
【0085】
次に、
図35に示す状態から、さらに、ノック部材116を前方に押し込むと、これと連動して回転子112が前方に進出する。この際、回転子112の回転側カム部122bの傾斜部122b1と、内筒110の本体側カム部110fの後方傾斜部110f1とが当接しているため、回転子112が回転する。
【0086】
そして、
図36に示すように、回転側カム部122bの傾斜部122b1の後方側端部(
図36の右側の端部)が、本体側カム部110fの後方傾斜部110f1の前方側端部(
図36の左側の端部)まで到達すると、回転子112が段差部110f2に沿って後方に向かって押し戻される。これにより、
図37に示すように、回転側カム部122bの傾斜部122b1が、本体側カム部110fの前方傾斜部110f3に当接する。この際、使用者はノック部材116を介してクリック感(ノック感)を感じることができる。
【0087】
さらに、
図37に示す状態から、さらに、ノック部材116を前方に押し込むと、これと連動して回転子112が前方に進出する。この際、回転子112の回転側カム部122bの傾斜部122b1と、内筒110の本体側カム部110fの前方傾斜部110f3とが当接しているため、回転子112が回転する。そして、
図38に示すように、回転側カム部122bが、内筒110の切欠部110g1まで到達すると、それ以上、ノック部材116を押し込んでも回転子112は回転しなくなる。
【0088】
図38に示す状態から、使用者がノック部材116を解放すると、ノック部材116及び回転子112がスプリング部材114により後方に付勢される。これにより、
図39に示すように、回転子112が後方に移動し、カム柱128の後端面が内筒110のカム部110bの案内部118bに当接する。さらに、回転子112が後方に移動することにより、カム柱128の後端面と、カム柱128の後端面と内筒110のカム部110bの案内部118bとが当接しているため、回転子112が回転する。そして、
図40に示すように、カム柱128の前方側(
図40の右側)端部が内筒110の案内部118bの後方側端部まで到達すると、ノック部材116及び回転子112がスプリング部材114により後方に付勢され、
図41に示すように、カム柱128が内筒110の第1の切欠部118の軸方向溝部118aに入り込む。これにより、ノック式筆記具のリフィル部材4の筆先部4bが軸筒102内に収容された状態(筆先収容状態)となる。
【0089】
本実施形態によれば、第1実施形態で奏された効果に加えて、以下の効果が奏される。
本実施形態では、本体側カム部110fが、段差部110f2を有する。これにより、使用者がノック部材116を押圧した際に、ノック感を感じることができる。
また、本実施形態では、スプリング部材114が内筒110内に配置され、内筒110の縮径部110gとノック部材116の後部136の前端との間に挟まれている。このため、例えば、軸筒102を透明な部材で製造したとしても、外観上、スプリング部材114を見えなくすることができる。
【0090】
また、本実施形態によれば、内筒110のカム部110b及び本体側カム部110fと、回転子112のカム柱128及び回転側カム部122bのみにより、筆先収容状態と、筆先前進状態とを切り替えることができ、軸筒等の部材が切り替えに関係しないため、各部材の位置関係に制限を受けにくく、設計の自由度が上がる。
【0091】
なお、本実施形態において、本体側カム部110fが、後方傾斜部110f1と、前方傾斜部110f3と、後方傾斜部110f1及び前方傾斜部110f3を接続する段差部110f2と、を備えた場合について説明したが、回転側カム部122bに段差部を設けてもよい。さらに、他の実施形態においても本体側カム部又は回転側カム部に段差部を設けてもよい。
【0092】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、第1及び第2実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
図42は、本発明の第3実施形態によるノック式筆記具を示す軸方向に沿った断面図である。本発明の第3実施形態のノック式筆記具151は、第2実施形態とスプリング部材154の配置が異なり、その他の構成については第2実施形態と同様である。
図42に示すように、第3実施形態のノック式筆記具151では、スプリング部材154は、軸筒102の内部においてリフィル部材4の筆先部4bの周囲に配置されている。そして、スプリング部材154は収縮した状態で、リフィル部材4の筆先部4bと、軸筒102の先端部との間に介装されている。このような構成により、回転子112及びノック部材116がリフィル部材4を介して後方に付勢されるため、第2実施形態と同様にリフィル部材4の筆先部4bを軸筒2の先端から出没させることができる。
第3実施形態では、第2実施形態における、スプリング部材が外観上見えなくなるとの作用効果以外の全ての作用効果が奏される。
【0093】
<第4実施形態>
以下、本発明の第4実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、第1~第3実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
図43は、本発明の第4実施形態によるノック式筆記具を示す軸方向に沿った断面図である。また、
図44は、
図43に示すノック式筆記具の分解斜視図である。
図43及び
図44に示すように、本実施形態のノック式筆記具201は、円筒状の軸筒202と、軸筒202内に収容されたリフィル部材4と、軸筒202の後端部に設けられた出没機構206と、出没機構206に接続されたクリップ部材208と、を備える。軸筒202と、リフィル部材4と、出没機構206と、により筆記具本体が構成される。
【0094】
図45a及び
図45bは、
図43に示すノック式筆記具の軸筒を示し、
図45aは軸方向に沿った断面図であり、
図45bは
図45aのb部の拡大図である。
図45a及び
図45bに示すように、軸筒202は先端部が先細り状である円筒形状に形成されている。軸筒202の先端部には先端開口202aが形成されており、後端部には後端開口202bが形成されている。軸筒202の後端部の内面には螺合部202cが形成されている。また、軸筒202の中間部には本体側カム部202dが形成されており、本体側カム部202dより後端側の軸筒202の内径は、先端側の内径よりも大きくなっている。
【0095】
本体側カム部202dは、周方向に配置され、後方に向かって突出する複数の凸部202fが形成されてなる。隣接する凸部202fの間には、後端側に向くような周方向面部202f3が設けられている。各凸部202fは、周方向面部202f3の一端から軸方向後方に延びる縁部202f2と、縁部202f2の後端部から次の周方向面部202f3の端部まで延びる傾斜部202f1とを有する。
【0096】
図43及び
図44に示すように、出没機構206は、内筒210と、回転子212と、スプリング部材214と、ノック部材216とを備える。
図46a~
図46dは、
図43に示すノック式筆記具の内筒を示し、
図46aは斜視図、
図46bは正面図、
図46cは軸方向断面図、
図46dは下面図である。
図46a~
図46dに示すように、内筒210は、円筒状の本体部210aと、本体部210aから先端側に延びるカム部210bと、本体部210aの後端側に接続された後端部210cと、後端部210cから側方に延びるクリップ保持部210dとを備える。これら、本体部210aと、カム部210bと、後端部210cと、クリップ保持部210dとは一体に成形されている。
【0097】
本体部210aは円筒状であり、本体部210aの外径は軸筒202の内径と略等しくなっている。本体部210aの外周面には螺合部210eが形成されている。また、本体部210aの前方の端部には、内径が小さくなるような縮径部210gが設けられている。
【0098】
カム部210bは略円筒状であり、その内径及び外径は本体部210aの内径及び外径と等しくなっている。カム部210bには、周方向に第1の切欠部218と、第2の切欠部220とが交互に形成されている。なお、第3実施形態のカム部210bの構成は、第1実施形態のカム部10bの構成と同一であり、第1の切欠部218と、第2の切欠部220とを備え、第1の切欠部218は、軸方向溝部218a及び案内部218bを有し、第2の切欠部220は縁部220bと傾斜部220aとを有する。
後端部210cは、外径が軸筒2の外径よりもわずかに小さい円筒状に形成されている。
【0099】
クリップ保持部210dは、後端部210cから半径方向外方、かつ、前方に延びる接続部210d1と、接続部210d1の前端から前方に延びる本体部210d2と、本体部210d2の半径方向内面に形成された保持部210d3とを有する。保持部210d3は、接続部210d1から前方に向かって伸びており、全長にわたり、軸方向に垂直な面の断面形状が丁字状を呈している。
【0100】
図47a~
図47cは、
図43に示すノック式筆記具の回転子を示し、
図47aは斜視図、
図47bは正面図、
図47cは前部の展開図である。
図47a~
図47cに示すように、回転子212は、円筒状の基部221と、基部221から前方に延びる4本のカム柱228と、カム柱228の前端に接続された保持部230と、を有する。
基部221は、円筒状の本体部222と、本体部222の後端側に接続された後端部224と、本体部222の先端側に接続された円環状の円環部226と、を有する。
【0101】
本体部222は、円筒状に形成されている。
【0102】
後端部224は、本体部222の後端に連続する後述するノック部材216より小径の中間円柱部224aと、中間円柱部224aの後端に連続する環状凹部224bと、環状凹部224bの後端に連続する円錐台状(截頭円錐体状)の円錐台部224cと、円錐台部224cの後端に連続する円柱部224dとを有する。中間円柱部224a及び円柱部224dは直径が略等しい円柱状の部位である。環状凹部224bは、軸方向に同一な円形断面形状であり、直径が中間円柱部224aよりも小さい。円錐台部224cは、先端側の径が大きい円錐台形状であり、前端の直径は環状凹部224bの直径よりも大きく、後端の直径は、円柱部224dの直径と等しくなっている。
【0103】
円環部226は、本体部222の前端部に接続されており、円環状に形成されている。円環部226の外径は本体部222の外径よりも大きく、保持部230の外径よりも小さくなっている。
第4実施形態におけるカム柱228の構成は第1実施形態におけるカム柱28の構成と実質的に同一である。
【0104】
保持部230は円環状に形成されており、カム柱228の前端部に接続されている。保持部230の前面には周方向に沿って、回転側カム部230aが形成されている。回転側カム部230aは、90°間隔で形成され、先端に向かって突出する凸部230a0を有する。各凸部230a0は、軸方向に延びる縁部230a1と、周方向に傾斜する傾斜部230a2とを有する。各凸部230a0の間には周方向に延びる平坦部230a3が形成されている。
スプリング部材214は、らせん状の金属部材からなるばね部材である。
【0105】
図48a~
図48cは、
図43に示すノック式筆記具のノック部材を示し、
図48aは斜視図、
図48bは正面図、
図48cは軸方向に沿った断面図である。ノック部材216は、前部232と、前部232の後方に連続し、前部232よりも外径が大きな後部236とを有する。前部232及び後部236の外径は、内筒210の本体部210aの内径よりもわずかに小さい。ノック部材216には、軸方向に貫通する貫通孔216aが形成されている。また、貫通孔216aの中間部には半径方向内側に向かって突出する環状の係止部216bが形成されている。
【0106】
図49a及び
図49bは、
図43に示すノック式筆記具のクリップ部材を示し、
図49aは斜視図、
図49bは正面図である。
図49a及び
図49bに示すように、クリップ部材208は、接続部208aと、接続部208aから前方に軸方向に延びる軸部208bと、軸部208bから側方に延びる平面状の平坦部208eと、を備える。接続部208aには、軸方向に延びる切欠部208cが形成されている。また、切欠部208cの径方向外方の両縁には、切欠部208cの中心に向かって突出する突出部208dが形成されている。
図43に示すように、内筒210の保持部210d3がクリップ部材208の切欠部208cに収容されることにより、クリップ部材208は軸筒202の側方に位置するように内筒210に固定されている。クリップ部材208は、平坦部208eに貫通孔を形成し、レンズユニットを取り付け可能に形成し、レンズユニットを通じて文字を拡大して読むことを可能にしたり、熱可塑性エラストマーで形成して、熱変色性筆記具とした場合に摩擦具として使用したりすることができる。
【0107】
図50は、
図43に示すノック式筆記具のクリップ部材の後端部を拡大して示す軸方向に沿った断面図である。
図50に示すように、組み立て状態において、軸筒202の螺合部202cに内筒210の螺合部210eが螺合されており、軸筒202の後端に内筒210が取り付けられている。また、内筒部210のクリップ保持部210dにクリップ部材208が取り付けられている。
【0108】
内筒210の貫通孔には、前端側から回転子212の本体部222及び後端部224が挿入されている。また、内筒210の貫通孔には、後端側からスプリング部材214が挿入され、さらに、スプリング部材214の後方からノック部材216が挿入されている。ノック部材216の貫通孔には、回転子212の後端部224が前方から入り込んでいる。
【0109】
回転子212は、基部221に形成された円錐台部224cがノック部材216の係止部216bを超える位置まで、ノック部材216内に前方から挿入されており、ノック部材216の係止部216bは、回転子212の環状凹部224b内に位置している。
【0110】
また、内筒210のカム部210bと回転子212のカム柱228とは軸筒202の内面に沿っており、同円上に位置している。また、回転子212の回転側カム部230aと、軸筒202の本体側カム部202dとは同心円上に位置している。
スプリング部材214は、回転子112の基部221の外周に配置され、内筒210の縮径部210gとノック部材216の後部236との間に収縮された状態で保持されている。
【0111】
このような構成により、ノック部材216の係止部216bが、回転子212の環状凹部224bに入り込み、前後が回転子212の中間円柱部224a及び円錐台部224cに挟まれるため、ノック部材116と回転子112の軸方向の相対移動が拘束される。また、これらノック部材216及び回転子212は、内筒210及び軸筒202に対して軸方向に移動可能であるとともに、ノック部材216がスプリング部材214により後方に向けて付勢される。すなわち、回転子212の基部221がノック部材216により保持されるとともに、回転側カム部230aは、本体側カム部202dに対して相対的に移動することができる。
【0112】
また、リフィル部材4の後端部は、回転子212の円環状の保持部230内に挿入され、円環部226の前面に当接している。これにより、リフィル部材4は回転子212により繰出及び引き戻し可能に保持されている。
【0113】
次に、本実施形態のノック式筆記具による筆先の出没操作について説明する。
図51~
図60は、
図43に示すノック式筆記具による筆先の出没操作を説明するための図である。
図51~
図60は、内筒210のカム部210bと、回転子212のカム柱228及び回転側カム部230aと、軸筒202の本体側カム部202dと、を展開して示している。なお、
図51~
図60において、回転子212のカム柱228及び回転側カム部230aは実線で示し、内筒210のカム部210bは破線で示し、軸筒202の本体側カム部202dは一点鎖線で示している。
【0114】
図51は、ノック式筆記具のリフィル部材4の筆先部4bが軸筒202内に収容された状態(筆先収容状態)を示す。
図51に示すように、ノック部材216がスプリング部材214により後方に付勢されることにより、ノック部材216とともに回転子212が後方に付勢され、回転子212のカム柱228が内筒210の第1の切欠部218内に入り込み、カム柱228の後端が第1の切欠部218の底部に当接している。
【0115】
まず、
図51に示す状態から、リフィル部材4の筆先部4bを進出させるためには、ノック部材216を前方に押し込む。ノック部材216を前方に押し込むと、これと連動して回転子212が前方に進出する。そして、
図52に示すように、カム柱228が、内筒210の第1の切欠部218から離脱する。また、カム柱228が第1の切欠部218から離脱した後に、回転子212の回転側カム部230aの傾斜部230a2が、軸筒202の本体側カム部202dの傾斜部202f1と、当接する。
【0116】
次に、
図52に示す状態から、さらに、ノック部材216を前方に押し込むと、これと連動して回転子212が前方に進出する。この際、回転子212の回転側カム部230aの傾斜部230a2が、軸筒202の本体側カム部202dの傾斜部202f1と当接しているため、回転子212が回転する。そして、
図53に示すように、回転側カム部230aの傾斜部230a2の先端部が、本体側カム部202dの傾斜部202f1の先端部まで到達すると、ノック部材216をそれ以上押し込むことができなくなる。
【0117】
図53に示す状態から、使用者がノック部材216を解放すると、ノック部材216及び回転子212がスプリング部材214により後方に付勢される。これにより、
図54に示すように、回転子212が後方に移動し、カム柱228の後端面が内筒210のカム部210bの傾斜部220aに当接する。さらに、回転子212が後方に移動することにより、カム柱228の後端面と、内筒210のカム部210bの傾斜部220aとが当接しているため、回転子212が
図54の左方向に回転する。そして、
図55に示すように、カム柱228の側面が内筒210のカム部210bの縁部220bと当接する。以上の操作により、リフィル部材4の筆先部4bが軸筒202の先端開口202aから突出した状態で保持された状態(筆先進出状態)になる。
【0118】
次に、リフィル部材4の筆先部4bを後退させるためには、
図55に示す状態からノック部材216を前方に押し込む。ノック部材216を前方に押し込むと、これと連動して回転子212が前方に進出する。そして、
図56に示すように、カム柱228が、内筒210の第2の切欠部220から離脱する。また、カム柱228が第2の切欠部220から離脱した後に、回転子212の回転側カム部230aの傾斜部230a2が、軸筒202の本体側カム部202dの傾斜部202f1と、当接する。
次に、
図56に示す状態から、さらに、ノック部材216を前方に押し込むと、これと連動して回転子212が前方に進出する。この際、回転子212の回転側カム部230aの傾斜部230a2が、軸筒202の本体側カム部202dの傾斜部202f1と当接しているため、回転子212が回転する。そして、
図57に示すように、回転側カム部230aの傾斜部230a2の先端部が、本体側カム部202dの傾斜部202f1の先端部まで到達すると、ノック部材216をそれ以上押し込むことができなくなる。
【0119】
図57に示す状態から、使用者がノック部材216を解放すると、ノック部材216及び回転子212がスプリング部材214により後方に付勢される。これにより、
図58に示すように、回転子212が後方に移動し、カム柱228の後端面が内筒210のカム部210bの案内部218bに当接する。さらに、回転子212が後方に移動することにより、カム柱228の後端面と、内筒210のカム部210bの案内部218bとが当接しているため、回転子212が
図58の左方向に回転する。そして、
図59に示すように、カム柱228の前方側端部が内筒210の案内部218bの後方側端部まで到達すると、ノック部材216及び回転子212がスプリング部材214により後方に付勢され、
図60に示すように、カム柱228が内筒210の第1の切欠部218の軸方向溝部218aに入り込む。以上の操作により、ノック式筆記具のリフィル部材4の筆先部4bが軸筒102内に収容された状態(筆先収容状態)となる。
第4実施形態によっても、第1及び第2実施形態と同様の効果が奏される。
【0120】
<第5実施形態>
以下、本発明の第5実施形態による筆記具について図面を参照しながら詳細に説明する。
図61は、本発明の第5実施形態による筆記具を示す斜視図である。また、
図62aは、
図61に示す筆記具の側面図であり、
図62bは軸方向に沿った断面図である。
図61、
図62a、
図62bに示すように、本実施形態のノック式筆記具301は、円筒状の軸筒302と、軸筒302内に収容されたリフィル部材304と、軸筒302の後端部に設けられた出没機構306と、出没機構306に接続されたクリップ部材308と、を備える。軸筒302と、リフィル部材304と、出没機構306と、により筆記具本体が構成される。
【0121】
図63a及び
図63bは、
図61に示す筆記具の軸筒を示し、
図63aは軸方向断面図であり、
図63bは後端部の斜視図である。
図63a及び
図63bに示すように、軸筒302は先端部が先細り状である円筒形状に形成されている。軸筒302の先端部には先端開口302aが形成されており、後端部には後端開口302bが形成されている。軸筒302の後端部の内面には螺合部(螺条)302cが形成されている。
また、軸筒302の中間部には段部302dが形成されており、段部302dより後端側の軸筒302の内径は、先端側の内径よりも大きくなっている。軸筒302の後縁には、所定の角度位置に三角形状の切欠部302eが形成されている。また、切欠部302eの前方には、出没機構306に構成される内筒310を螺合による取り付け時に突部310d5が嵌る際に弾性変形するための貫通孔302fが形成されている。なお、本実施形態では、軸筒302のクリップを接続するための接続機構に当たる部分には突出部が形成されていない。
【0122】
図64a~
図64dは、
図61に示すノック式筆記具の内筒を示し、
図64aは斜視図、
図64bは正面図、
図64cは軸方向に沿った断面図、
図64dは下面図である。
図64a~
図64dに示すように、内筒310は、円筒状の本体部310aと、本体部310aから先端側に延びるカム部310bと、本体部310aの後端側に接続された後端部310cと、後端部310cから側方に延びるクリップ保持部310dとを備える。これら、本体部310aと、カム部310bと、後端部310cと、クリップ保持部310dとは一体に成形されている。
【0123】
本体部310aは円筒状であり、本体部310aの外径は軸筒2の内径と略等しくなっている。本体部310aの外周面には螺合部(螺条)310eが形成されている。また、本体部310aの内周面には、対向する位置に180度の角度間隔で、軸方向に延びる軸方向突部310fが形成されている。
【0124】
カム部310bは略円筒状であり、その内径及び外径は本体部310aの内径及び外径と等しくなっている。
図64aに示すように、カム部310bには、周方向に第1の切欠部318と、第2の切欠部320とが交互に形成されている。第1の切欠部318は、先端縁から軸方向後方に延びる軸方向溝部318aと、軸方向溝部318aに時計回り(
図64bの右方向)に連続して形成された案内部318bとを有する。軸方向溝部318aは、一定の周方向幅で軸方向に延びる溝であり、第2の切欠部320よりも後方へ延びている。案内部318bは、周面で見て、時計回りに切込深さ(内筒の先端縁からの距離)が小さくなるような三角形状に形成されている。第2の切欠部320は、周面で見て、時計回りに切込深さが小さくなるような三角形状に形成されている。第2の切欠部320の最大切込深さは、第1の切欠部318の軸方向溝部318aの切込深さよりも小さく、案内部318bの最大切込深さよりも大きくなっている。第2の切欠部320の反時計回り(
図64bの左方向)端部の位置は、隣接する第1の切欠部318の案内部318bの時計回り端部の位置と一致している。また、第2の切欠部320の時計回り端部の位置は、隣接する第1の切欠部318の軸方向溝部318aの反時計回り端部の位置と一致している。
後端部310cは、外径が軸筒302の外径よりもわずかに小さい円筒状に形成されている。
【0125】
クリップ保持部310dは、後端部310cから半径方向外方、かつ、前方に延びる接続部310d1と、接続部310d1の前端から前方に延びる本体部310d2と、本体部310d2の半径方向内面に形成された第1の保持部310d3と、第1の保持部310d3に連続して形成された第2の保持部310d4と、を有する。第1の保持部310d3は、本体部310d2の内面に立設された軸方向に延びる基部310d3aと、基部310d3aの半径方向内側に形成された拡幅部310d3bとを備え、軸方向に垂直な面の断面形状が丁字状を呈している。第2の保持部310d4は、第1の保持部310d3の拡幅部310d3bの幅と等しくなっている。第2の保持部310d4の先端側(
図64bの下側)の面には突部310d5が形成されている。
【0126】
図65a及び
図65bは、
図61に示すノック式筆記具の回転子を示し、
図65aは斜視図、
図65bは正面図である。
図65a及び
図65bに示すように、回転子312は、円筒状の基部321と、基部321から前方に延びる4本のカム柱328と、カム柱328の前端に接続された保持部330と、を有する。
基部321は、円筒状の本体部322と、本体部322の後端側に接続された円環状の後端部324と、本体部322の先端側に接続された円環状の円環部326と、を有する。
【0127】
本体部322は、円筒状に形成されており、外径が、後述するノック部材316の前部の内径よりもわずかに小さくなっている。本体部322の後端部には後方に向かって縮径する縮径部322aを有する。
【0128】
後端部324は、本体部322の後端に連続する円柱部324aと、円柱部324aの後端に連続する円錐台状(截頭円錐体状)の円錐台部324bと、円錐台部324bの後端に連続する表示部324cとを有する。円柱部324aは、軸方向に同一な円形断面形状である。円柱部324aの外径は、ノック部材316の後部336の内径よりもわずかに小さくなっている。円錐台部324bは、先端側の径が大きい円錐台形状である。円錐台部324bの後端の径は、円柱部324a及び表示部324cの径と略等しくなっている。表示部324cは、円錐台部324bの後端から後方に延びる円柱状の部位である。表示部324cには軸方向に延びる複数の溝が形成されている。
【0129】
円環部326は、本体部322の前端部に接続されており、円環状に形成されている。円環部326の外径は本体部322の外径よりも大きく、保持部330の外径よりも小さくなっている。円環部326の後方の表面には回転側カム部326bが形成されている。回転側カム部326bは、周方向に90度間隔で形成された4つのカム突部326aを含む。カム突部326aは、後方に向かって突出する二等辺三角形状になっている。
【0130】
カム柱328は、軸方向に垂直な面で円弧状の断面形状を有し、基部321の円環部326の径方向外周面に接続され、前方に向かって延びている。カム柱328は、周方向に90度間隔で取り付けられている。カム柱328は、円環部326に形成されたカム突部326aの半分の周方向幅を有する。各カム柱328は、円環部326のカム突部326aの
図65bの右半部の外面に接続されている。カム柱328の後端面は、円環部326のカム突部326aの時計回り方向の半部の後端面と面一になっている。すなわち、カム柱328の後端面は、時計回りに後方への突出高さが低くなるような傾斜部に形成されている。
【0131】
保持部330は円環状に形成されている。保持部330の内径及び外径はカム柱328の内径及び外径と等しくなっている。
スプリング部材314は、らせん状の金属部材からなるばね部材である。
【0132】
図66a~
図66cは、
図61に示すノック式筆記具のノック部材を示し、
図66aは斜視図、
図66bは正面図、
図66cは軸方向に沿った断面図である。ノック部材316は、前部332と、前部の後方に連続する中間部334と、中間部334の後方に連続する後部336とを有する。
前部332は、少なくとも前方に開口する円柱状の内部空間が形成され、一対の円弧状断面の壁面により形成されている。前部332の外径は、内筒310の本体部310aの内径よりもわずかに小さい。また、前部332の内径は、ノック部材316の本体部322の外径よりもわずかに大きい。前部332には、軸方向に延び前方に開口し、後方に所定の長さ延びる一対の軸方向溝部332aが、周方向に180度の間隔で形成されている。また、前部332の前端部の端面には本体側カム部332bが形成されている。本体側カム部332bは、一対の軸方向溝部332aの間に形成された、それぞれ周方向に並ぶ3つの三角形状の突部332b1、332b2、332b3を含む。後述するように、ノック部材316の本体側カム部332bと、回転子312の回転側カム部326bとにより、ノック部材316を押し込んだ際に回転子312が所定の角度だけ回転される。
【0133】
中間部334は円環状に形成されており、内面に円環状に突出する係止部334bが形成されている。係止部334bの前部は、好ましくは、
図66cに示すように、後方に向かって縮径するような傾斜部が形成されていることが好ましい。
後部336は円筒状に形成されている。また、外周面の対向する部分が扁平に形成されている。
【0134】
図61に示すように、ノック部材316は、ノック部材316の軸方向溝部332a内に内筒310の軸方向突部310fが位置するように、後方から内筒310内に挿入されている。また、回転子312は、基部321に形成された円錐台部324bがノック部材316の係止部334bを超える位置まで、ノック部材316内に前方から挿入されている。内筒310のカム部310bと回転子312のカム柱328とは軸筒302の内面に沿っており、同円上に位置している。
【0135】
このような構成により、ノック部材316は、内筒310に対して回転が拘束されるとともに、内筒310に対して軸方向に相対移動可能である。また、回転子312はノック部材316に対して回転可能であるとともに、ノック部材316の係止部334bが回転子312の円錐台部324bに当接する位置と、ノック部材316の突部332b1、332b2、332b3が回転子312のカム突部326aと当接する位置との間で、軸方向に相対移動可能になっている。すなわち、回転子312の基部321がノック部材316により保持されるとともに、回転側カム部326bが、本体側カム部332bに対して相対的に移動することができる。
【0136】
そして、内筒310の本体部310a及びカム部310bが軸筒302の後端開口302b内に収容され、軸筒302の螺合部と内筒310の螺合部310eとが螺合することにより、内筒310が軸筒302の後端部に取り付けられている。
【0137】
また、リフィル部材304の後端部は、回転子312の円環状の保持部330内に挿入され、円環部326の前面に当接している。これにより、リフィル部材304は回転子312により繰出及び引き戻し可能に保持されている。
【0138】
また、スプリング部材314は、リフィル部材304と軸筒302との間に配置されている。スプリング部材314は収縮した状態で、軸筒302の段部302dと、回転子312の保持部330との間に挟み込まれている。これにより、回転子312はスプリング部材314により後方に向かって付勢されている。
【0139】
本実施形態のノック式筆記具の出没機構は、第1実施形態と同様の構成である。すなわち、スプリング部材314の付勢力に抗しながらノック部材316を押圧することにより、回転子312が前方に移動するとともに、内筒310に対して回転する。これにより、回転子312のカム柱328が内筒310の第1の切欠部318に収容された状態と、第2の切欠部320に収容された状態と、を切り替えることができる。これにより、回転子312に保持されたリフィル部材304の筆先部304bが軸筒302内に収容された状態(筆先収容状態)と、リフィル部材304の筆先部304bが軸筒302の先端開口302aから突出した状態(筆先進出状態)とを切り替えることができる。
【0140】
図67a~
図67cは、
図61に示すノック式筆記具のクリップ部材を示し、
図67aは斜視図、
図67bは正面図、
図67cは側面図である。
図67a~
図67cに示すように、クリップ部材308は、接続部308aと、接続部308aから前方に軸方向に延びる本体部308bとを備える。接続部308aは、軸方向に延びる基部308a1と、基部308a1の先端から半径方向内側に延びる先端部308a2とを備える。接続部308aには先端部308a2から基部308a1まで延びる切欠部308cが形成されている。
また、基部308a1における切欠部308cの径方向外方の両縁には、切欠部308cの中心に向かって突出する側縁部308dが形成されている。
【0141】
次に、クリップ部材308と軸筒302の接続機構について説明する。
内筒310の螺合部310eを、軸筒302の螺合部302cに螺合させると、クリップ保持部310dの突部310d5が軸筒2の切欠部302eに入り込み係止される。この状態で、クリップ部材308の切欠部308cに内筒310の第1の保持部310d3の基部310d3aが挿入されており、切欠部308cに保持部310dが嵌合している。これにより、クリップ部材308の側縁部308dがクリップ保持部310dの本体部310d2と拡幅部310d3bとの間に挟み込まれる。さらに、
図62aに示すように、クリップ部材308の先端部308a2が、内筒310の接続部310d1と軸筒302に前後から挟み込まれる。これにより、クリップ部材308は軸筒302の側方に位置するように軸筒302に対して固定接続されている。
【0142】
なお、クリップ部材308は、出没機構306を軸筒302に取り付ける前に、予め出没機構306の内筒310に取り付けておき、出没機構306の内筒310の螺合部310eを、軸筒302の螺合部302cに螺合させることにより、クリップ部材308を出没機構6とともに軸筒302に取り付けることができる。また、これとは逆に、内筒310を軸筒302から取り外し、クリップ部材308を内筒310から取り外すことにより、クリップ部材308を軸筒302から取り外すことができる。
【0143】
なお、本実施形態では、クリップ部材308に切欠部308cを設け、内筒310に第1の保持部310d3を設け、切欠部308cに第1の保持部310d3が嵌合することにより、クリップ部材308を内筒310に固定しているが、これに限らず、クリップ部材に表面から突出して軸方向に延びる保持部を設け、内筒のクリップ保持部に軸方向に延びる切込部を設け、保持部を切込部に嵌合させて固定してもよい。
【0144】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1実施形態で奏された効果に加えて以下の効果が奏される。
本実施形態では、内筒310のクリップ保持部310dに形成された第1の保持部310d3に、クリップ部材308の切欠部308cを嵌合させることにより、クリップ部材308を着脱可能に筆記具本体に取り付けることができる。
そして、かかる構成の本実施形態によれば、軸筒302の後端の外周部に突部が形成されていないため、軸筒302の外面に容易に印刷等の加工を行うことができる。
なお、本実施形態のクリップの保持機構は、他の実施形態においても採用することができる。
【0145】
<第6実施形態>
以下、本発明の第6実施形態による筆記具を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図68は、本発明の第6実施形態による筆記具を示す軸方向断面図である。
図68に示すように、本実施形態のノック式筆記具401は、円筒状の軸筒402と、軸筒402内に収容されたリフィル部材404と、軸筒402の後端部に設けられた出没機構406と、出没機構406に接続されたクリップ部材408と、を備える。軸筒402と、リフィル部材404と、出没機構406と、により筆記具本体が構成される。
【0146】
軸筒402は先端部が先細り状である円筒形状に形成されている。軸筒402は先端部が先細り状である円筒形状に形成されている。軸筒402の先端部には先端開口402aが形成されており、後端部には後端開口402bが形成されている。軸筒402の後端部の内面には螺合部が形成されている。また、軸筒402の中間部には段部402dが形成されており、段部402dより後端側の軸筒402の内径は、先端側の内径よりも大きくなっている。
【0147】
リフィル部材404は、インクが収容されたインク収容部404aと、インク収容部404aの先端側に接続された筆先部404bとを備える。インク収容部404aには、水性又は油性のインクが収容されている。インク収容部404aに収容されたインクは、筆先部404bに供給される。筆先部404bの先端の転写ボールを紙面に当接させることにより、インクが紙面に転写される。
【0148】
図69a~
図69dは、
図68に示すノック式筆記具の出没機構を示し、
図69aは斜視図、
図69bは側面図、
図69cは背面図、
図69dは軸方向に沿った断面図である。なお、
図69a~
図69dでは、スプリング部材については図示を省略している。
図68及び
図68a~
図69dに示すように、出没機構406は、内筒410と、回転子412と、スプリング部材414と、ノック部材416とを備える。
【0149】
図70a~dは、
図68に示すノック式筆記具の内筒を示し、
図70aは斜視図、
図70bは上面図、
図70cは側面図、
図70dは軸方向に沿った断面図である。
図70a~
図70dに示すように、内筒410は、円筒状の本体部410aと、本体部410aから先端側に延びるカム部410bと、本体部410aの後端側に接続された後端部410cと、後端部410cから側方に延びるクリップ保持部410dとを備える。これら、本体部410aと、カム部410bと、後端部410cと、クリップ保持部410dとは一体に成形されている。
【0150】
本体部410aは円筒状であり、本体部410aの外径は軸筒402の内径と略等しくなっている。本体部410aの外周面には螺合部410eが形成されている。また、本体部410aの内周面には、対向する位置に180度の角度間隔で、軸方向に延びる軸方向突部410fが形成されている。
【0151】
カム部410bは略円筒状であり、その内径及び外径は本体部410aの内径及び外径と等しくなっている。カム部410bには、周方向に等角度(90度)間隔で第1の切欠部418と、第2の切欠部420とが交互に形成されている。第1の切欠部418は、先端縁から軸方向後方に延びる軸方向溝部418aと、軸方向溝部418aに時計回り(
図70cの右方向)に連続して形成された案内部418bとを有する。軸方向溝部418aは、一定の周方向幅で軸方向に延びる溝であり、第2の切欠部420よりも後方へ延びている。案内部418bは、周面で見て、時計回りに切込深さ(内筒の先端縁からの距離)が小さくなるような三角形状に形成されている。第2の切欠部420は、周面で見て、時計回りに切込深さが小さくなるような三角形状に形成されている。第2の切欠部420の最大切込深さは、第1の切欠部418の軸方向溝部418aの切込深さよりも小さく、案内部418bの最大切込深さよりも大きくなっている。第2の切欠部420の反時計回り(
図70cの左方向)端部の位置は、隣接する第1の切欠部418の案内部418bの時計回り端部の位置と一致している。また、第2の切欠部420の時計回り端部の位置は、隣接する第1の切欠部418の軸方向溝部418aの反時計回り端部の位置と一致している。
【0152】
後端部410cは、外径が軸筒402の外径よりもわずかに小さい円筒状に形成されている。
クリップ保持部410dは、後端部410cから半径方向外方に延びており、軸方向に延びる開口410d1が形成されている。
【0153】
図71a~
図71dは、
図68に示すノック式筆記具の回転子を示し、
図71aは斜視図、
図71bは正面図、
図71cは上面図、
図71dは
図71bにおけるd-d断面図である。
図71a~
図71dに示すように、回転子412は、円筒状の基部421と、基部421から前方に延びる4本のカム柱428と、カム柱428の前端に接続された保持部430と、を有する。
基部421は、円筒状の本体部422と、本体部422の後端側に接続された後端部424と、本体部422の先端側に接続された円環状の円環部426と、を有する。
【0154】
本体部422は、円筒状に形成されており、外径が、後述するノック部材416の前部の内径よりもわずかに小さくなっている。本体部422の後端部には後方に向かって縮径する縮径部422aを有する。
【0155】
後端部424は、本体部422の後端に連続する円柱部424aと、円柱部424aの後端に連続する円錐台状(截頭円錐体状)の円錐台部424bと、円錐台部424bの後端に連続する第1の表示部424cとを有する。円柱部424aは、軸方向に同一な円形断面形状である。
円柱部424aの外径は、ノック部材416の後部436の内径よりもわずかに小さくなっている。円錐台部424bは、先端側の径が大きい円錐台形状である。円錐台部424bの後端の径は、円柱部424a及び第1の表示部424cの径と略等しくなっている。第1の表示部424cは、円錐台部424bの後端から後方に延びる円柱状の部位である。第1の表示部424cには軸方向に延びる複数の溝424dが形成されている。これら溝424dの幅及び深さは、溝424dにインクが毛細管現象により吸引されるように、インクの密度や粘性を考慮して決められており、幅が0.05mm~2mmであり、深さが0.05mm~2mmである。各溝424dには、リフィル部材404のインク収容部404aに収容されたインクと同じインクが乾燥した状態で保持されている。
【0156】
円環部426は、本体部422の前端部に接続されており、円環状に形成されている。円環部426の外径は本体部422の外径よりも大きく、保持部430の外径よりも小さくなっており、カム柱428の内径と略等しくなって。円環部426の後方の表面には回転側カム部426bが形成されている。回転側カム部426bは、周方向に90度間隔で形成された4つのカム突部426aを含む。カム突部426aは、周方向に中心から側方に向かって突出高さ(後方への長さ)が減るような二等辺三角形状になっている。
【0157】
カム柱428は、軸方向に垂直な面で円弧状の断面形状を有し、基部421の円環部426の径方向外周面に接続され、前方に向かって延びている。カム柱428は、周方向に90度間隔で取り付けられている。カム柱428は、円環部426に形成されたカム突部426aの半分の周方向幅を有する。各カム柱428は、円環部426のカム突部426aの
図71bの右半部の外面に接続されている。カム柱428の後端面は、円環部426のカム突部426aの時計回り方向の半部の後端面と面一になっている。すなわち、カム柱428の後端面428aは、時計回りに後方への突出高さが低くなるような傾斜部に形成されている。
【0158】
保持部430は円環状に形成されている。保持部430の内径及び外径はカム柱428の内径及び外径と略等しくなっている。
スプリング部材414は、らせん状の金属部材からなるばね部材である。
【0159】
図72a~
図72cは、
図68に示すノック式筆記具のノック部材を示し、
図72aは斜視図、
図72bは正面図、
図72cは軸方向に沿った断面図である。
ノック部材416は、透明又は半透明とした視認可能な樹脂により形成されている。ノック部材416は、前部432と、前部432の後方に連続する中間部434と、中間部434の後方に連続する後部436とを有する。
【0160】
前部432は、少なくとも前方に開口する円柱状の内部空間が形成され、一対の円弧状断面の壁面により形成されている。前部432の外径は、内筒410の本体部410aの内径よりもわずかに小さい。また、前部432の内径は、ノック部材416の本体部422の外径よりもわずかに大きい。前部432には、軸方向に延び前方に開口し、後方に所定の長さ延びる一対の軸方向溝部432aが、周方向に180度の間隔で形成されている。また、前部432の前端部の端面には、本体側カム部432bが形成されている。本体側カム部432bは、一対の軸方向溝部432aの間に形成された、それぞれ周方向に並ぶ3つの三角形状の突部432b1、432b2、432b3を含む。後述するように、ノック部材416の本体側カム部432bと、回転子412の回転側カム部426bとにより、ノック部材416を押し込んだ際に回転子412が所定の角度だけ回転される。
【0161】
中間部434は円環状に形成されており、内面に円環状に突出する係止部434bが形成されている。係止部434bの前部は、好ましくは、
図72cに示すように、後方に向かって縮径するような傾斜部が形成されていることが好ましい。後部436は円筒状に形成されている。
【0162】
図73a~
図73cは、
図68に示すノック式筆記具のクリップ部材を示し、
図73aは半径方向外方から見た斜視図、
図73bは半径方向内方から見た斜視図、
図73cは半径方向内方から見た側面図である。クリップ部材408は、透明又は半透明とした視認可能の樹脂により形成されている。
図73a~
図73cに示すように、クリップ部材408は、接続部408aと、接続部408aから前方に延びる本体部8bとを備える。接続部408aの断面形状は、内筒410の開口410d1と同形状である。
図68に示すように、クリップ部材408の接続部408aが内筒410の開口410d1に挿入されることにより、クリップ部材408は軸筒402の側方に位置するように内筒410に固定されている。
【0163】
クリップ部材408の本体部408bの内面(軸筒2側の面)には、第2の表示部408cが設けられている。第2の表示部408cは、「HELLO」の文字を左右反転させた形状の溝からなる文字溝部408d1と、文字溝部408d1の各文字の下部を結ぶ溝からなる接続溝部408d2と、接続溝部408d2の端部に設けられた略円形の溜部408d3とからなる。これら文字溝部408d1と、接続溝部408d2との幅及び深さは、これら溝部408d1及び接続溝部408d2にインクが毛細管現象により吸引されるように、インクの密度や粘性を考慮して決められており、幅が0.05mm~2mmであり、深さが0.05mm~2mmである。である。各溝部408d1、408d2には、リフィル部材404のインク収容部404aに収容されたインクと同じインクが乾燥した状態で保持されている。
【0164】
図69に示すように、ノック部材416は、ノック部材416の軸方向溝部432a内に内筒410の軸方向突部410fが位置するように、後方から内筒410内に挿入されている。また、回転子412は、基部421に形成された円錐台部424bがノック部材416の係止部434bを超える位置まで、ノック部材416内に前方から挿入されている。内筒410のカム部410bと回転子412のカム柱428とは軸筒402の内面に沿っており、同円上に位置している。
【0165】
このような構成により、ノック部材416は、内筒410に対して回転が拘束されるとともに、内筒410に対して軸方向に相対移動可能である。また、回転子412はノック部材416に対して回転可能であるとともに、ノック部材416の係止部434bが回転子412の円錐台部424bに当接する位置と、ノック部材416の本体側カム部432bが回転子412のカム突部426aと当接する位置との間で、軸方向に相対移動可能になっている。
【0166】
そして、内筒410の本体部410a及びカム部410bが軸筒402の後端開口402b内に収容され、軸筒402の螺合部と内筒410の螺合部410eとが螺合することにより、内筒410が軸筒402の後端部に取り付けられている。
【0167】
また、リフィル部材404の後端部は、回転子412の円環状の保持部430内に挿入され、円環部426の前面に当接している。これにより、リフィル部材404は回転子412により繰出及び引き戻し可能に保持されている。
【0168】
また、スプリング部材414は、リフィル部材404と軸筒402との間に配置されている。スプリング部材414は収縮した状態で、軸筒402の段部402dと、回転子412の保持部430との間に挟み込まれている。これにより、回転子412はスプリング部材414により後方に向かって付勢されている。
【0169】
本実施形態のノック式筆記具の出没機構は、使用者がスプリング部材414の付勢力に抗しながらノック部材416を押圧することにより、回転子412が前方に移動した後、内筒410に対して回転する。このように回転子412が回転することにより、回転子412のカム柱428が内筒410の第1の切欠部418に収容された状態と、第2の切欠部420に収容された状態と、を切り替えることができる。これにより、回転子412に保持されたリフィル部材404の筆先部404bが軸筒402内に収容された状態(筆先収容状態)と、リフィル部材404の筆先部404bが軸筒2の先端開口402aから突出した状態(筆先進出状態)とを切り替えることができる。
【0170】
図74は、
図68に示すノック式筆記具の後端部を示す斜視図である。
図74に示すように、クリップ部材408は無色透明の樹脂で形成されているため、クリップ部材408に形成された第2の表示部408cは半径方向外方から視認可能である。また、ノック部材416が透明又は半透明とした視認可能な樹脂で形成されているため、回転子412の第1の表示部424cはノック部材416を通して視認可能である。
【0171】
第1の表示部は以下のようにして形成することができる。
まず、回転子412を成形する際に、第1の表示部424cに相当する部分に溝424dを形成しておく。次に、第1の表示部424cの溝424dにリフィル部材404のインク収容部404aに収容されたインクを滴下する。滴下されたインクは、毛細管現象により溝424dに引き込まれて溝424dの全体に広がり、溝424d内に保持される。そして、溝424d内のインクが乾燥することにより形成することができる。
【0172】
また、第2の表示部408cは以下のようにして形成することができる。
まず、クリップ部材408を成形する際に、クリップ部材408の内面に文字溝部408d1と、接続溝部408d2と、溜部408d3とを形成しておく。なお、これら文字溝部408d1と、接続溝部408d2と、溜部408d3とは、クリップ部材408を成形した後に切削してもよい。
【0173】
次に、溜部408d3にインクを滴下する。滴下されたインクは、毛細管現象により接続溝部408d2に引き込まれ、接続溝部408d2を介して文字溝部408d1全体に広がり、文字溝部408d1内に保持される。そして、文字溝部408d1内のインクが乾燥することにより形成することができる。
【0174】
第6実施形態によれば第1実施形態に加えて以下の効果が奏される。
第6実施形態によれば、第1及び第2の表示部408c、424cがリフィル部材404以外の外部から視認可能な位置に設けられているため、外部からの視認性が高い。また、第1及び第2の表示部408c、424cは溝部408d1、424dにインクが毛細管現象により引き込まれて保持されることにより形成されているため、印刷を行うことなく第1及び第2の表示部408c、424cを形成することができ、組み立て時に第1及び第2の表示部408c、424cを形成することができる。
【0175】
また、第6実施形態によれば、第1及び第2の表示部408c、424cの溝部408d1、424dに、インク収容部404aに収容されたインクと同色のインクが保持されている。
ボールペンにはインクの色を表示する表示部が設けられる。これに対して、印刷により表示部を形成する場合には、予め多色の表示部を印刷した部材を準備する必要があり、在庫管理に手間がかかる。これに対して、第1実施形態によれば、組み立て時にインクを溝部408d1、424dに滴下して第1及び第2の表示部408c、424cを製造することができ、これにより、インクの色が多様であっても、在庫を減らすことができる。
【0176】
また、第6実施形態によれば、第1の表示部424cを構成するクリップ部材408は透明である。
上記構成の本発明によれば、第1の表示部424cを幅広い角度から視認することができ、表示部の視認性が向上する。
【0177】
また、第6実施形態によれば、筆記具401は、リフィル部材404を収容する軸筒402と、軸筒402に沿って伸びるクリップ部材408と、を備え、第2の表示部408cはクリップ部材408に形成されており、溝部408d1はクリップ部材408の内側の面に形成されている。このような構成の本実施形態によれば、クリップ部材408の内面に形成した溝部408d1を外部から視認することができる。
【0178】
また、第6実施形態では、筆記具401は、筆先の出没を操作する透明なノック部材416と、ノック部材416に後端が包囲され、リフィル部材404を進退させる回転子412とを備え、第1の表示部424cは、回転子412の後端に形成されている。
これにより、ノック部材416を通して回転子412の後端の第1の表示部424cを視認することができ、広い角度から第1の表示部424cを視認することができる。
【0179】
なお、本実施形態では、第1の表示部424cを回転子412に、第2の表示部408cをクリップ部材408に形成したが、本発明はこれに限られない。表示部は、リフィル部材404のインク収容部以外の外部から視認可能な位置に設ければよい。
なお、本実施形態の表示部の構成は、他の実施形態においても採用することができる。
【符号の説明】
【0180】
1 ノック式筆記具
2 軸筒
2a 先端開口
2b 後端開口
2c 螺合部
2d 段部
4 リフィル部材
4a インク収容部
4b 筆先部
6 出没機構
8 クリップ部材
8a 接続部
8b 本体部
8c 切欠部
8d 突出部
10 内筒
10a 本体部
10b カム部
10c 後端部
10d クリップ保持部
10d1 接続部
10d2 本体部
10d3 保持部
10e 螺合部
10f 軸方向突部
12 回転子
14 スプリング部材
16 ノック部材
18 第1の切欠部
18a 軸方向溝部
18b 案内部
20 第2の切欠部
20a 傾斜部
20b 縁部
21 基部
22 本体部
22a 縮径部
24 後端部
24a 円柱部
24b 円錐台部
24c 表示部
26 円環部
26a カム突部
26b 回転側カム部
28 カム柱
28a 後端面
28b 縁
30 保持部
32 前部
32a 軸方向溝部
32b 本体側カム部
32b1 左側突部
32b2 中央突部
32b3 右側突部
34 中間部
34b 係止部
36 後部
101 ノック式筆記具
102 軸筒
102a 先端開口
102b 後端開口
102c 螺合部
106 出没機構
108 クリップ部材
108a 接続部
108a1 中間凸部
108a2 軸方向凸部
108b 本体部
110 内筒
110a 本体部
110b カム部
110c 後端部
110c1 前方大径部
110c2 中間小径部
110c3 後方大径部
110c4 切欠部
110e 螺合部
110f 本体側カム部
110f0 側面
110f1 後方傾斜部
110f2 段部
110f3 前方傾斜部
110f4 平坦部
110f5 カム凸部
110g 縮径部
110g1 切欠部
112 回転子
114 スプリング部材
116 ノック部材
116a 貫通孔
116b 係止部
118 第1の切欠部
118a 軸方向溝部
118b 案内部
120 第2の切欠部
120a 傾斜部
120b 縁部
121 基部
122 本体部
122b 回転側カム部
122b1 傾斜部
124 後端部
124a 環状凹部
124b 円錐台部
124c 円柱部
126 円環部
128 カム柱
130 保持部
132 前部
136 後部
151 ノック式筆記具
154 スプリング部材
201 ノック式筆記具
202 軸筒
202a 先端開口
202b 後端開口
202c 螺合部
202d 本体側カム部
202f 凸部
202f1 傾斜部
202f2 縁部
202f3 周方向面部
206 出没機構
208 クリップ部材
208a 接続部
208b 軸部
208c 切欠部
208d 突出部
208e 平坦部
210 内筒部
210 内筒
210a 本体部
210b カム部
210c 後端部
210d クリップ保持部
210d1 接続部
210d2 本体部
210d3 保持部
210e 螺合部
210g 縮径部
212 回転子
214 スプリング部材
216 ノック部材
216a 貫通孔
216b 係止部
218 第1の切欠部
218a 軸方向溝部
218b 案内部
220 第2の切欠部
220a 傾斜部
220b 縁部
221 基部
222 本体部
224 後端部
224a 中間円柱部
224b 環状凹部
224c 円錐台部
224d 円柱部
226 円環部
228 カム柱
230 保持部
230a 回転側カム部
230a0 凸部
230a1 縁部
230a2 傾斜部
230a3 平坦部
232 前部
236 後部
301 ノック式筆記具
302 軸筒
302a 先端開口
302b 後端開口
302c 螺合部
302d 段部
302e 切欠部
302f 貫通孔
304 リフィル部材
304b 筆先部
306 出没機構
308 クリップ部材
308a 接続部
308a1 基部
308a2 先端部
308b 本体部
308c 切欠部
308d 側縁部
310 内筒
310a 本体部
310b カム部
310c 後端部
310d クリップ保持部
310d1 接続部
310d2 本体部
310d3 第1の保持部
310d3a 基部
310d3b 拡幅部
310d4 第2の保持部
310d5 突部
310e 螺合部
310f 軸方向突部
312 回転子
314 スプリング部材
316 ノック部材
318 第1の切欠部
318a 軸方向溝部
318b 案内部
320 第2の切欠部
321 基部
322 本体部
322a 縮径部
324 後端部
324a 円柱部
324b 円錐台部
324c 表示部
326 円環部
326a カム突部
326b 回転側カム部
328 カム柱
330 保持部
332 前部
332a 軸方向溝部
332b 本体側カム部
332b1 突部
332b2 突部
332b3 突部
334 中間部
334b 係止部
336 後部
401 ノック式筆記具
402 軸筒
402a 先端開口
402b 後端開口
402d 段部
404 リフィル部材
404a インク収容部
404b 筆先部
406 出没機構
408 クリップ部材
408a 接続部
408b 本体部
408c 第2の表示部
408d1 文字溝部
408d2 接続溝部
408d3 溜部
410 内筒
410a 本体部
410b カム部
410c 後端部
410d クリップ保持部
410d1 開口
410e 螺合部
410f 軸方向突部
412 回転子
414 スプリング部材
416 ノック部材
418 第1の切欠部
418a 軸方向溝部
418b 案内部
420 第2の切欠部
421 基部
422 本体部
422a 縮径部
424 後端部
424a 円柱部
424b 円錐台部
424c 第1の表示部
424d 溝
424d 溝部
426 円環部
426a カム突部
426b 回転側カム部
428 カム柱
428a 後端面
430 保持部
432 前部
432a 軸方向溝部
432b 本体側カム部
432b1 突部
432b2 突部
432b3 突部
434 中間部
434b 係止部
436 後部
【手続補正書】
【提出日】2024-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端開口及び後端開口を有する軸筒と、軸筒内に収容された筆記部材と、前記筆記部材の先端部を前記軸筒の先端開口から出没させる出没機構と、を備えたノック式筆記具であって、
前記出没機構は、
前記軸筒内の後端部に取り付けられ、前記軸筒の内面に沿って伸びるカム部を有する内筒と、
基部、前記基部から先端側に前記軸筒の内面に沿って軸方向に延びる複数のカム柱、及び、前記カム柱の先端側に接続され、前記筆記部材の後端部を内側に保持する保持部、を有し、前記基部が前記内筒内に配置された回転子と、
前記回転子を後端側へ付勢するスプリングと、
前記内筒内に配置され、先端方向へ押圧されることにより、前記回転子を先端側へ押圧することができるノック部材と、を有し、
前記ノック部材は少なくとも前方が開口する内部空間を有し、
前記回転子の基部の少なくとも一部は前記ノック部材の内部空間内に位置し、
前記ノック部材は前記回転子の基部を保持している、
ことを特徴とするノック式筆記具。
【請求項2】
ノック部材は、ノック部材の軸方向溝部内に内筒の軸方向突部が位置するように、後方から内筒内に挿入され、回転子は、基部に形成された円錐台部がノック部材の係止部を超える位置まで、ノック部材内に前方から挿入され、内筒のカム部と回転子のカム柱とは軸筒の内面に沿っており、同円上に位置することにより、
前記内筒と、前記ノック部材と、前記回転子は一体に組み立てられている、請求項1に記載のノック式筆記具。
【請求項3】
前記内筒は前記軸筒の側方に突出し、前記軸筒に沿って先端側に延びるクリップ保持部を有し、
前記クリップ保持部には、表面から突出して軸方向に延びる保持部が形成され、
クリップ部材には、軸方向に延びる切込部が形成され、
前記表面から突出する保持部が、前記軸方向に延びる切込部に嵌合することにより、前記クリップ部材は前記クリップ保持部に保持されている、請求項1又は2に記載のノック式筆記具。
【請求項4】
前記内筒には、先端縁から後方に延びる複数の切欠部が形成され、
前記回転子に設けられ、傾斜部を有する回転側カム部と、
前記回転側カム部に向かって相対移動可能であり、傾斜部を有する本体側カム部と、を備え、
前記回転子が前記ノック部材により前方に押圧されると、前記回転側カム部の傾斜部が前記本体側カム部の傾斜部に接触した状態で、前記回転側カム部が前記本体側カム部に向かって移動することにより、前記回転子が回転され、さらに、前記回転子が前記スプリングにより後方に押し戻される際に前記回転子が回転されることにより、前記カム柱が前記切欠部に収容された筆先収容状態と、前記カム柱が前記切欠部から離脱した筆先前進状態とが切り替えられる、
請求項1から3の何れか1項に記載のノック式筆記具。
【請求項5】
前記本体側カム部又は前記回転側カム部はさらに段差部を有する、請求項4に記載のノック式筆記具。