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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169727
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20241128BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20241128BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H01L29/78 657A
H01L29/78 653A
H01L29/78 652J
H01L29/78 652T
H01L29/78 652N
H01L27/06 102A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024168623
(22)【出願日】2024-09-27
(62)【分割の表示】P 2021000963の分割
【原出願日】2021-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003889
【氏名又は名称】弁理士法人酒井総合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場 正和
(72)【発明者】
【氏名】原田 信介
(57)【要約】
【課題】順方向電圧の劣化やターンオン時の損失を減少できる半導体装置を提供することを目的とする。
【解決手段】縦型MOSFETは、第1導電型の半導体基板2と、第1導電型の第1半導体層1と、第2導電型の第2半導体層16と、第1導電型の第1半導体領域17と、第1トレンチ31および第2トレンチ32と、第1トレンチ31の内部にゲート絶縁膜19を介して設けられたゲート電極20と、第2トレンチ32の内部に設けられたショットキー電極29と、を備える。第1トレンチ31は、平面視でストライプ状に設けられ、第2トレンチ32は、第1トレンチ31を取り囲んでいる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板のおもて面に設けられた、前記半導体基板よりも不純物濃度の低い第1導電型の第1半導体層と、
前記第1半導体層の、前記半導体基板側に対して反対側に設けられた第2導電型の第2半導体層と、
前記第2半導体層の内部に選択的に設けられた、前記半導体基板よりも不純物濃度の高い第1導電型の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域および前記第2半導体層を貫通して前記第1半導体層に達する第1トレンチおよび第2トレンチと、
前記第1トレンチの内部にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、
前記第2トレンチの内部に設けられたショットキー電極と、
を備え、
前記第1トレンチは、平面視でストライプ状に設けられ、
前記第2トレンチは、前記第1トレンチを取り囲んでおり、
オン状態のときに電流が流れる活性領域の周囲を囲んで耐圧を保持するエッジ領域に、耐圧を向上させるための接合終端構造を備え、
前記活性領域と前記エッジ領域との間のツナギ領域では、前記第1トレンチは、前記第2半導体層および第2電導型の第2半導体領域で覆われ、前記第2トレンチは、側壁が前記第2半導体領域、前記第1半導体層および前記第2半導体層と接することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第2トレンチは、前記第1トレンチと平行なストライプ状の部分と、前記ストライプ状の部分を接続する外周の部分を有し、
前記第1トレンチの端と、前記第2トレンチの前記外周の部分との距離は、前記第1トレンチと前記第2トレンチとの間の間隔以上であり、かつ、前記第1トレンチの端は、前記接合終端構造より前記活性領域側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2トレンチは、ポリシリコンとのヘテロ接合で構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2トレンチの一部は、前記ゲート電極とゲートランナーとを接続するゲートコンタクト領域と深さ方向に対向する位置に設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パワー半導体素子においては、素子のオン抵抗の低減を図るため、トレンチ構造を有する縦型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:絶縁ゲート型電解効果トランジスタ)が作製(製造)されている。縦型MOSFETでは、チャネルが基板表面に対して平行に形成されるプレーナー構造よりも基板表面に対して垂直に形成されるトレンチ構造の方が単位面積当たりのセル密度を増やすことができるため、単位面積当たりの電流密度を増やすことができ、コスト面において有利である。
【0003】
縦型MOSFETは、ソース・ドレイン間にボディダイオードとしてp型ベース層とn型ドリフト層とで形成される寄生pnダイオードを内蔵する。このため、インバータに用いる還流ダイオード(FWD:Free Wheeling Diode)を省略することができ、低コスト化および小型化に貢献する。しかしながら、半導体基板として炭化珪素基板を用いる場合、シリコン(Si)基板を用いた場合に比べて寄生pnダイオードが高いビルトインポテンシャルを持つため、寄生pnダイオードのオン抵抗が高くなり損失増大を招く。また、寄生pnダイオードがオンして通電した場合、寄生pnダイオードのバイポーラ動作により経時的に特性が変化(経年劣化)し、順方向劣化やターンオン損失の増加が生じる。
【0004】
この問題について、回路上にショットキーバリアダイオード (SBD:Schottky Barrier Diode)をMOSFETと並列に接続し、還流時にはSBDに電流が流れ、寄生pnダイオードに電流が流れないようにすることができる。しかしながら、SBDのチップがMOSFETと同数程度必要になるためコスト増になる。
【0005】
このため、基板表面にp型のチャネル部を貫通するコンタクトトレンチを形成し、トレンチ内壁にSBDを内包させ、還流時の電流をPiNダイオードではなく内蔵SBDに流す技術が提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0006】
図24は、従来のSBD内蔵の炭化珪素半導体装置の構造を示す上面図である。図25は、従来のSBD内蔵の炭化珪素半導体装置の構造を示す図24のC-C’部分の断面図である。図24に示すように、SBD内蔵の炭化珪素半導体装置150は、素子構造が形成されオン状態のときに電流が流れる活性領域140と、活性領域140の周囲を囲んで耐圧を保持するエッジ領域142と、活性領域140とエッジ領域142との間のツナギ領域141と、を備える。活性領域140は図24において破線で囲まれた領域である。
【0007】
また、図25に示すように、炭化珪素からなる半導体基体(以下、炭化珪素基体とする)のおもて面(後述するp型ベース層116側の面)側に一般的なトレンチゲート構造のMOSゲートを備える。炭化珪素基体(半導体チップ)は、炭化珪素からなるn+型炭化珪素基板(以下、n+型炭化珪素基板とする)102上にn-型ドリフト層101、電流拡散領域であるn型領域115およびp型ベース層116となる各炭化珪素層を順にエピタキシャル成長させてなる。
【0008】
+型炭化珪素基板102上にn-型ドリフト層101となるn-型層をエピタキシャル成長させて、n+型炭化珪素基板102のおもて面(n-型ドリフト層101側の面)側に、p型ベース層116、n+型ソース領域117、トレンチゲート131、ゲート絶縁膜119およびゲート電極120からなるMOSゲート構造が設けられている。また、符号118、121および122は、それぞれp++型コンタクト領域、層間絶縁膜およびソース電極である。
【0009】
n型領域115には、トレンチゲート131の底面全体を覆うように第1p+型領域103が選択的に設けられている。また、n型領域115には、トレンチSBD132の底面全体を覆うように第1p+型領域103が選択的に設けられている。第1p+型領域103は、n-型ドリフト層101に達しない深さで設けられている。また、エッジ領域142では、第1p+型領域103の全面上に第2p+型領域104が設けられている。
【0010】
また、トレンチSBD132は、内壁がソース電極122と接続するショットキーメタル129で覆われ、内壁に露出する半導体領域と当該ショットキーメタル129とのショットキーを形成したトレンチである。このように、図24では、ソース・ドレイン間に寄生pnダイオードと並列に寄生ショットキーダイオード(内蔵SBD)を設けている。
【0011】
図24に示すように、従来のSBD内蔵の炭化珪素半導体装置では、エッジ領域142に設けられたゲートランナー(不図示)にトレンチゲート131を接続しやすくするため、トレンチゲート131は、トレンチSBD132より長くなっている。
【0012】
ソース電極122に正電圧が印加され、n+型炭化珪素基板102の裏面に設けられたドレイン電極(不図示)に負電圧が印加されたとき(MOSFETのオフ時)、p型ベース層116とn-型ドリフト層101との間のpn接合が順バイアスされる。図24において、MOSFETのオフ時に寄生pnダイオードがオンする前に寄生ショットキーダイオードがオンするように設計することで、寄生pnダイオードのバイポーラ動作を抑止し、バイポーラ動作による経年劣化を防止することができる。
【0013】
また、セル部を囲むライン状の枠形状のトレンチ内にエピタキシャル膜を配置して構成したp型層からなるリングを複数本備え、そのうちの内周側の一部を覆うようにショットキー電極を配置した構成が公知である(例えば、下記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平8-204179号公報
【特許文献2】特開2018-006630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ここで、図26は、従来のSBD内蔵の炭化珪素半導体装置の構造を示す図24のA-A’部分の断面図である。また、図27は、従来のSBD内蔵の炭化珪素半導体装置の構造を示す図24のB-B’部分の断面図である。図26および図27に示すように、ツナギ領域141では、第1p+型領域103上に第2p+型領域104が設けられている。また、p型ベース層116の表面層に、トレンチSBD132と接するp++型コンタクト領域118が設けられている。このため、ツナギ領域141において、トレンチSBD132は、周囲がp型領域(p型ベース層116、p++型コンタクト領域118、第1p+型領域103および第2p+型領域104)で囲まれている構造となっている。
【0016】
これにより、ツナギ領域141では、トレンチSBD132は寄生ショットキーダイオードとして機能せず、寄生pnダイオードのバイポーラ動作を抑止することができない。寄生pnダイオードがオンして通電した場合、寄生pnダイオードのバイポーラ動作により、ホール電流が図26および図27の経路Dのように流れ、ホール電流と電子電流による再結合により発生するエネルギーにより、積層欠陥が発生・拡張する。
【0017】
このため、ツナギ領域141は、活性領域140の内部よりも、寄生pnダイオードのバイポーラ動作により経時的に特性が変化(経年劣化)し、順方向劣化やターンオン損失の増加が生じるという課題がある。
【0018】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、順方向電圧の劣化やターンオン時の損失を減少できる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置は、次の特徴を有する。第1導電型の半導体基板のおもて面に、前記半導体基板よりも不純物濃度の低い第1導電型の第1半導体層が設けられる。前記第1半導体層の、前記半導体基板側に対して反対側に第2導電型の第2半導体層が設けられる。前記第2半導体層の内部に選択的に、前記半導体基板よりも不純物濃度の高い第1導電型の第1半導体領域が設けられる。前記第1半導体層の内部に、第2導電型の第2半導体領域が設けられる。前記第1半導体層の表面層に、前記第2半導体領域と底面が接する第2導電型の第3半導体領域が設けられる。前記第1半導体領域および前記第2半導体層を貫通して前記第1半導体層に達する第1トレンチおよび第2トレンチが設けられる。前記第1トレンチの内部にゲート絶縁膜を介してゲート電極が設けられる。前記第2トレンチの内部にショットキー電極が設けられる。前記第1トレンチは、平面視でストライプ状に設けられ、前記第2トレンチは、前記第1トレンチを取り囲んでいる。オン状態のときに電流が流れる活性領域の周囲を囲んで耐圧を保持するエッジ領域に、耐圧を向上させるための接合終端構造を備え、前記活性領域と前記エッジ領域との間のツナギ領域では、前記第1トレンチは、前記第2半導体層および第2電導型の第2半導体領域で覆われ、前記第2トレンチは、側壁が前記第2半導体領域、前記第1半導体層および前記第2半導体層と接する。
【0020】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第2トレンチは、前記第1トレンチと平行なストライプ状の部分と、前記ストライプ状の部分を接続する外周の部分を有し、前記第1トレンチの端と、前記第2トレンチの前記外周の部分との距離は、前記第1トレンチと前記第2トレンチとの間の間隔以上であり、かつ、前記第1トレンチの端は、前記接合終端構造より前記活性領域側に設けられていることを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第2トレンチは、ポリシリコンとのヘテロ接合で構成されていることを特徴とする。
【0022】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第2トレンチの一部は、前記ゲート電極とゲートランナーとを接続するゲートコンタクト領域と深さ方向に対向する位置に設けられていることを特徴とする。
【0023】
上述した発明によれば、トレンチゲート(第1トレンチ)をトレンチSBD(第2トレンチ)が取り囲んでいる。これにより、トレンチゲートのソース電極と接触する部分がトレンチSBDで取り囲まれた領域の内側となる。このため、トレンチSBDで取り囲まれた領域の外側では、SBD内蔵の炭化珪素半導体装置のドレイン側に負バイアスがかかった際、寄生pnダイオードがバイポーラ動作することが無くなり、順方向劣化やターンオン損失の増加を抑制できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明にかかる半導体装置によれば、順方向電圧の劣化やターンオン時の損失を減少できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す上面図である。
図2】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す図1のA-A’部分の断面図である。
図3】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す図1のB-B’部分の断面図である。
図4】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す図1のC-C’部分の断面図である。
図5】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す図1のD-D’部分の断面図である。
図6】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の外観を示す上面図である。
図7】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その1)。
図8】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その2)。
図9】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その3)。
図10】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その4)。
図11】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その5)。
図12】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す上面図である(その1)。
図13】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す図12のA-A’部分の断面図である(その1)。
図14】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す上面図である(その2)。
図15】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す図12のA-A’部分の断面図である(その2)。
図16】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す上面図である(その3)。
図17】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す図12のA-A’部分の断面図である(その3)。
図18】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す上面図である(その4)。
図19】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す図12のA-A’部分の断面図である(その4)。
図20】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す上面図である(その5)。
図21】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す図12のA-A’部分の断面図である(その5)。
図22】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す上面図である(その6)。
図23】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す図12のA-A’部分の断面図である(その6)。
図24】従来のSBD内蔵の炭化珪素半導体装置の構造を示す上面図である。
図25】従来のSBD内蔵の炭化珪素半導体装置の構造を示す図24のC-C’部分の断面図である。
図26】従来のSBD内蔵の炭化珪素半導体装置の構造を示す図24のA-A’部分の断面図である。
図27】従来のSBD内蔵の炭化珪素半導体装置の構造を示す図24のB-B’部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および-は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本明細書では、ミラー指数の表記において、“-”はその直後の指数につくバーを意味しており、指数の前に“-”を付けることで負の指数をあらわしている。
【0027】
(実施の形態)
本発明にかかる半導体装置は、シリコンよりもバンドギャップが広い半導体(以下、ワイドバンドギャップ半導体とする)を用いて構成される。ここでは、ワイドバンドギャップ半導体として例えば炭化珪素(SiC)を用いた半導体装置(炭化珪素半導体装置)の構造を例に説明する。図1は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す上面図である。図2は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す図1のA-A’部分の断面図である。図3は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す図1のB-B’部分の断面図である。図4は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す図1のC-C’部分の断面図である。ここで、図5は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す図1のD-D’部分の断面図である。図4は、ツナギ領域41のC-C’断面図であり、図5は、素子構造が形成されオン状態のときに基板の厚さ方向に主電流が流れる活性領域のD-D’断面図である。
【0028】
図1に示すように、SBD内蔵の炭化珪素半導体装置50は、素子構造が形成されオン状態のときに基板の厚さ方向に主電流が流れる活性領域40と、活性領域40の周囲を囲んで耐圧を保持するエッジ領域42と、活性領域40とエッジ領域42との間のツナギ領域41と、から構成される。活性領域40は図1で破線で囲まれた領域である。ツナギ領域41とは、図4に示すように、後述するトレンチゲート31の側面がp型領域で覆われMOSとして機能していない領域である。図1~4に示す実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置は、炭化珪素からなる半導体基体(炭化珪素基体:半導体チップ)のおもて面(後述するp型ベース層16側の面)側にMOSゲートを備えたSBD内蔵の炭化珪素半導体装置50である。
【0029】
炭化珪素基体は、炭化珪素からなるn+型炭化珪素基板(第1導電型の半導体基板)2上にn-型ドリフト層(第1導電型の第1半導体層)1およびp型ベース層(第2導電型の第2半導体層)16となる各炭化珪素層を順にエピタキシャル成長させてなる。活性領域40において、MOSゲートは、p型ベース層16と、n+型ソース領域(第1導電型の第1半導体領域)17、ゲート絶縁膜19およびゲート電極20で構成される。具体的には、n-型ドリフト層1のソース側(後述するソース電極22側)の表面層には、p型ベース層16に接するようにn型領域15が設けられていてもよい。n型領域15は、キャリアの広がり抵抗を低減させる、いわゆる電流拡散層(Current Spreading Layer:CSL)である。このn型領域15は、例えば、基体おもて面(炭化珪素基体のおもて面)に平行な方向に一様に設けられている。
【0030】
n型領域15(n型領域15が設けられていない場合は、n-型ドリフト層1、以下(1)と称する)の内部には、第1p+型領域(第2導電型の第2半導体領域)3が選択的に設けられている。第1p+型領域3は、後述するトレンチゲート(第1トレンチ)31の底面および後述するトレンチSBD(第2トレンチ)32の底面に接するように設けられている。また、n型領域15(1)の表面層には、第2p+型領域(第2導電型の第3半導体領域)4が選択的に設けられている。第2p+型領域4は、底面が第1p+型領域3と接するように設けられている。
【0031】
n型領域15が設けられている場合、第1p+型領域3は、p型ベース層16とn型領域15との界面よりもドレイン側に深い位置から、n型領域15とn-型ドリフト層1との界面に達しない深さで設けられている。第1p+型領域3を設けることで、トレンチゲート31、トレンチSBD32の底面付近に、第1p+型領域3とn型領域15(1)との間のpn接合を形成することができる。第1p+型領域3および第2p+型領域4は、p型ベース層16よりも不純物濃度が高い。
【0032】
また、p型ベース層16の内部には、n+型ソース領域17が選択的に設けられている。互いに接するようにn+型ソース領域17およびp++型コンタクト領域(第2導電型の第5半導体領域)(不図示)がそれぞれ選択的に設けられていてもよい。この場合、p++型コンタクト領域の深さは例えばn+型ソース領域17と同じ深さでもよいし、n+型ソース領域17よりも深くてもよい。
【0033】
トレンチゲート31は、基体おもて面からn+型ソース領域17およびp型ベース層16を貫通してn型領域15(1)に達する。トレンチゲート31の内部には、トレンチゲート31の側壁に沿ってゲート絶縁膜19が設けられ、ゲート絶縁膜19の内側にゲート電極20が設けられている。ゲート電極20のソース側端部は、基体おもて面から外側に突出していてもいなくてもよい。ゲート電極20は、ゲート電極パッド(不図示)に電気的に接続されている。層間絶縁膜21は、トレンチゲート31に埋め込まれたゲート電極20を覆うように基体おもて面に設けられている。層間絶縁膜21は、ツナギ領域41で開口され、ゲート電極20は、開口部においてポリシリコン層のゲートコンタクト領域26を介して、ゲートランナー27と接続される。
【0034】
トレンチSBD32は、基体おもて面からn+型ソース領域17およびp型ベース層16を貫通してn型領域15(1)に達する。トレンチSBD32の内部には、トレンチSBD32の側壁に沿って、ソース電極22と接続するショットキーメタル29で覆われ、内壁に露出する半導体領域と当該ショットキーメタル29とのショットキー接合を形成する。また、ショットキーメタル29の内側には酸化膜、例えば、二酸化珪素(SiO2)が設けられてもよい。
【0035】
図1に示すように、実施の形態では、トレンチゲート31をトレンチSBD32が取り囲んでいる。後述の図6のように、取り囲むとは、平面視でトレンチゲート31の任意の箇所からエッジ領域42に達するには、トレンチSBD32を横切る必要があることである。例えば、トレンチゲート31は平面視でストライプ状に設けられ、トレンチSBD32は、トレンチゲート31と平行に設けられ、トレンチゲート31より長いストライプ状の部分P1と、ストライプ状の部分を接続する外周の部分P2とを有する。これにより、トレンチゲート31のソース電極22と接触する部分がトレンチSBD32で取り囲まれた領域の内側となる。このため、トレンチSBD32で取り囲まれた領域の外側では、SBD内蔵の炭化珪素半導体装置のドレイン側に負バイアスがかかった際、寄生pnダイオードがバイポーラ動作することが無くなり、順方向劣化やターンオン損失の増加を抑制できる。
【0036】
また、図4に示すように、ツナギ領域41において、トレンチSBD32の側壁は、第2p+型領域4と接していない。つまり、従来のSBD内蔵の炭化珪素半導体装置において、トレンチSBD132の周囲を埋めているp型領域(第1、第2p+型領域103、104)の一部を開口させることで、実施の形態のトレンチSBD32では、側壁がn型領域15(1)と接するようにしている。これにより、ツナギ領域41でも、トレンチSBD32を寄生ショットキーダイオードとして機能させるようにすることができる。このため、SBD内蔵の炭化珪素半導体装置のドレイン側に負バイアスがかかった際、ツナギ領域41でも寄生ショットキーダイオードを動作させることによって寄生pnダイオードのバイポーラ動作を抑止することができ、順方向劣化やターンオン損失の増加を抑制できる。
【0037】
図6は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の外観を示す上面図である。図6に示すように、トレンチゲート31は、n+型炭化珪素基板1の結晶方向が<11-20>である方向にストライプ状に設けられている。活性領域40の周囲を囲んで耐圧を保持するエッジ領域42には、電界を緩和または分散させることで高耐圧半導体装置全体の耐圧を向上させるため、接合終端(JTE:Junction Termination Extension)構造として、JTE領域43が設けられている。JTE領域43の外側に、チャネルストッパとして機能するn+型半導体領域(不図示)が設けられている。
【0038】
実施の形態では、トレンチゲート31の端Tと、トレンチSBD32の外周の部分P2との距離W1は、トレンチゲート31とトレンチSBD32との間の間隔W2以上であることが好ましい。距離W1が短いと、トレンチSBD32の電流経路で抵抗が減少して耐量が落ちる可能性があるためである。さらに、トレンチゲート31の端Tは、JTE領域43より内側(活性領域40側)に設けられていることが好ましい。このため、トレンチSBD32の外周の部分P2は、ゲートコンタクト領域26と深さ方向に対向する位置に設けられている。
【0039】
ソース電極22は、層間絶縁膜21に開口されたコンタクトホールを介してn+型ソース領域17に接するとともに、層間絶縁膜21によってゲート電極20と電気的に絶縁されている。p++型コンタクト領域が設けられている場合、ソース電極22は、p++型コンタクト領域とも接する。ソース電極22と層間絶縁膜21との間に、例えばソース電極22からゲート電極20側への金属原子の拡散を防止するバリアメタルを設けてもよい。ソース電極22上には、ソース電極パッド(不図示)が設けられている。炭化珪素基体の裏面(n+型ドレイン領域となるn+型炭化珪素基板1の裏面)には、ドレイン電極(不図示)が設けられている。
【0040】
(実施の形態にかかる半導体装置の製造方法)
次に、実施の形態にかかる半導体装置の製造方法について説明する。図7図11は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。図12図14図16図18図20および図22は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す上面図である。また、図13図15図17図19図21および図23は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す図12のA-A’部分の断面図である。
【0041】
まず、n+型ドレイン領域となるn+型炭化珪素基板2を用意する。次に、n+型炭化珪素基板2のおもて面に、上述したn-型ドリフト層1をエピタキシャル成長させる。例えば、n-型ドリフト層1を形成するためのエピタキシャル成長の条件を、n-型ドリフト層1の不純物濃度が3×1015/cm3程度となるように設定してもよい。ここまでの状態が図7に記載される。
【0042】
次に、n-型ドリフト層1の上に、下側n型領域15a(n型領域15を形成しない場合、n-型ドリフト層1と同程度の不純物のn型層、以下n型層と略する)をエピタキシャル成長させる。例えば、下側n型領域15aを形成するためのエピタキシャル成長の条件を、下側n型領域15aの不純物濃度が1×1017/cm3程度となるように設定してもよい。この下側n型領域15aは、n型領域15の一部である。次に、フォトリソグラフィおよびp型不純物のイオン注入により、下側n型領域15a(n型層)の表面層に、第1p+型領域3を選択的に形成する。例えば、第1p+型領域3を形成するためのイオン注入時のドーズ量を、不純物濃度が5×1018/cm3程度となるように設定してもよい。ここまでの状態が図8に記載される。
【0043】
次に、下側n型領域15a(n型層)、第1p+型領域3の上に、上側n型領域15b(n型層)をエピタキシャル成長させる。例えば、上側n型領域15bを形成するためのエピタキシャル成長の条件を、下側n型領域15aの不純物濃度と同程度となるように設定してもよい。この上側n型領域15bは、n型領域15の一部であり、下側n型領域15aと上側n型領域15bを合わせて、n型領域15となる。次に、フォトリソグラフィおよびp型不純物のイオン注入により、上側n型領域15b(n型層)の表面層に、第2p+型領域4を選択的に形成する。例えば、第2p+型領域4を形成するためのイオン注入時のドーズ量を、不純物濃度が第1p+型領域3と同程度となるように設定してもよい。第1p+型領域3と第2p+型領域4とをあわせた領域を第1、第2p+型領域3、4と称する。ここで、第2p+型領域4を形成する際に、ツナギ領域41でトレンチSBD32の側壁が第2p+型領域4と接しないように形成する。ここまでの状態が図9に記載される。
【0044】
次に、上側n型領域15bおよび第2p+型領域4の上に、p型ベース層16をエピタキシャル成長させる。例えば、p型ベース層16を形成するためのエピタキシャル成長の条件を、p型ベース層16の不純物濃度が4×1017/cm3程度となるように設定してもよい。
【0045】
次に、フォトリソグラフィおよびn型不純物のイオン注入により、p型ベース層16の表面層にn+型ソース領域17を選択的に形成する。例えば、n+型ソース領域17を形成するためのイオン注入時のドーズ量を、不純物濃度が3×1020/cm3程度となるように設定してもよい。
【0046】
次に、フォトリソグラフィおよびp型不純物のイオン注入により、p型ベース層16の表面層に、n+型ソース領域17に接するようにp++型コンタクト領域を選択的に形成してもよい。例えば、p++型コンタクト領域を形成するためのイオン注入時のドーズ量を、不純物濃度が3×1020/cm3程度となるように設定してもよい。n+型ソース領域17とp++型コンタクト領域との形成順序を入れ替えてもよい。次に、フォトリソグラフィおよびp型不純物のイオン注入により、エッジ領域42にJTE領域43を形成する。イオン注入が全て終わった後に、活性化アニールを施す。ここまでの状態が図10に記載される。
【0047】
次に、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、n+型ソース領域17およびp型ベース層16を貫通して、n型領域15(1)に達するトレンチゲート31を形成する。トレンチゲート31の底部は、第1p+型領域3に達してもよいし、p型ベース層16と第1p+型領域3に挟まれたn型領域15(1)内に位置していてもよい。続いて、トレンチゲート31を形成するために用いたマスクを除去する。また、トレンチ形成時のマスクには酸化膜を用いる。また、トレンチエッチング後に、トレンチゲート31のダメージを除去するための等方性エッチングや、トレンチゲート31の底部およびトレンチゲート31の開口部の角を丸めるための水素アニールを施してもよい。等方性エッチングと水素アニールはどちらか一方のみを行ってもよい。また、等方性エッチングを行った後に水素アニールを行ってもよい。
【0048】
次に、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、n+型ソース領域17およびp型ベース層16を貫通して、n型領域15(1)に達するトレンチSBD32を形成する。トレンチSBD32の底部は、第1p+型領域3に達してもよいし、p型ベース層16と第1p+型領域3に挟まれたn型領域15(1)内に位置していてもよい。続いて、トレンチSBD32を形成するために用いたマスクを除去する。この際、トレンチゲート31の端Tと、トレンチSBD32の外周の部分P2との距離W1は、トレンチゲート31とトレンチSBD32との間の間隔W2以上となり、トレンチゲート31の端は、JTE領域42より活性領域40側になるように形成する。ここまでの状態が図11に記載される。
【0049】
次に、炭化珪素基体のおもて面およびトレンチゲート31の内壁に沿ってゲート絶縁膜19を形成する。次に、トレンチSBD32の内壁に沿って金属膜を、例えばチタン(Ti)で形成する。次に、例えば500℃以下程度の温度の窒素(N2)雰囲気で熱処理(アニール)することで、トレンチSBD32の内壁に金属膜と半導体領域とのショットキー接合を形成する。
【0050】
次に、トレンチゲート31およびトレンチSBD32に埋め込むようにポリシリコンを堆積しエッチングすることで、トレンチゲート31の内部にゲート電極20となるポリシリコンおよびトレンチSBD32の内部にポリシリコンを残す。その際、エッチバックしてポリシリコンを基体表部より内側に残すようにエッチングしてもよい。このように、トレンチSBD32にポリシリコンを埋め込むことで、トレンチSBD32は、金属膜とポリシリコンとのヘテロ接合で形成される。ここまで状態の上面図は図12に記載され、図12のA-A’断面は図13に記載される。
【0051】
次に、ゲート電極20を覆うように、炭化珪素基体のおもて面全面に層間絶縁膜21を形成する。層間絶縁膜21は、例えば、NSG(None-doped Silicate Glass:ノンドープシリケートガラス)、PSG(Phospho Silicate Glass)、BPSG(Boro Phospho Silicate Glass)、HTO(High Temperature Oxide)、あるいはそれらの組み合わせで形成される。次に、層間絶縁膜21およびゲート絶縁膜19をパターニングしてコンタクトホールを形成し、n+型ソース領域17を露出させる。p++型コンタクト領域を形成した場合、n+型ソース領域17およびp++型コンタクト領域を露出させる。トレンチゲート31はツナギ領域41でのみ層間絶縁膜21を開口する。ここまでの状態の上面図は図14に記載され、この状態での図12のA-A’断面は図15に記載される。
【0052】
次に、層間絶縁膜21を覆うようにバリアメタルを形成してパターニングし、n+型ソース領域17およびp++型コンタクト領域を再度露出させる。次に、n+型ソース領域17およびトレンチSBD32内に埋め込まれたポリシリコンに接するように、ソース電極22を形成する。ソース電極22は、バリアメタルを覆うように形成されてもよいし、コンタクトホール内にのみ残してもよい。
【0053】
次に、炭化珪素基体のおもて面全面にポリシリコン(Poly-Si)を堆積させる。ここまでの状態の上面図は図16に記載され、この状態での図12のA-A’断面は図17に記載される。次に、ポリシリコンをエッチングでパターニングし、ゲートランナー方向のみに残すことにより、ゲートコンタクト領域26を形成する。ここまでの状態の上面図は図18に記載され、この状態での図12のA-A’断面は図19に記載される。このように、ポリシリコンの堆積をトレンチSBD32に埋める場合と、ゲートコンタクト領域26を形成する場合の2回に分けることで、トレンチSBD32の上部にゲートコンタクト領域26を広く形成することができる。
【0054】
次に、炭化珪素基体のおもて面全面に層間絶縁膜21を形成する。層間絶縁膜21は、例えば、NSG、PSG、HTOあるいはそれらの組み合わせで形成される。ここまでの状態の上面図は図20に記載され、この状態での図12のA-A’断面は図21に記載される。次に、層間絶縁膜21をパターニングしてコンタクトホールを形成し、ゲートコンタクト領域26を露出させる。
【0055】
次に、コンタクトホールを埋め込むようにソース電極パッド28およびゲートランナー27を形成する。ソース電極パッド28を形成するために堆積した金属層の一部をゲート電極パッドとしてもよい。ここまでの状態の上面図は図22に記載され、この状態での図12のA-A’断面は図23に記載される。n+型炭化珪素基板2の裏面には、ドレイン電極のコンタクト部にスパッタ蒸着などを用いてニッケル(Ni)膜、チタン(Ti)膜などの金属膜を形成する。この金属膜は、Ni膜、Ti膜を複数組み合わせて積層してもよい。その後、金属膜がシリサイド化してオーミックコンタクトを形成するように、高速熱処理(RTA:Rapid Thermal Annealing)などのアニールを施す。その後、例えばTi膜、Ni膜、金(Au)を順に積層した積層膜などの厚い膜を電子ビーム(EB:Electron Beam)蒸着などで形成し、ドレイン電極を形成する。
【0056】
上述したエピタキシャル成長およびイオン注入においては、n型不純物(n型ドーパント)として、例えば、炭化珪素に対してn型となる窒素(N)やリン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)などを用いればよい。p型不純物(p型ドーパント)として、例えば、炭化珪素に対してp型となるホウ素(B)やアルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)などを用いればよい。このようにして、図1図4に示すMOSFETが完成する。
【0057】
以上、説明したように、実施の形態によれば、トレンチゲートをトレンチSBDが取り囲んでいる。これにより、トレンチゲートのソース電極と接触する部分がトレンチSBDで取り囲まれた領域の内側となる。このため、トレンチSBDで取り囲まれた領域の外側では、SBD内蔵の炭化珪素半導体装置のドレイン側に負バイアスがかかった際、寄生pnダイオードがバイポーラ動作することが無くなり、順方向劣化やターンオン損失の増加を抑制できる。
【0058】
以上において本発明は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であり、上述した各実施の形態において、例えば各部の寸法や不純物濃度等は要求される仕様等に応じて種々設定される。また、上述した各実施の形態では、MOSFETを例に説明しているが、これに限らず、所定のゲート閾値電圧に基づいてゲート駆動制御されることで電流を導通および遮断する種々な炭化珪素半導体装置にも広く適用可能である。ゲート駆動制御される炭化珪素半導体装置として、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)などが挙げられる。また、上述した各実施の形態では、ワイドバンドギャップ半導体として炭化珪素を用いた場合を例に説明しているが、炭化珪素以外の例えば窒化ガリウム(GaN)などのワイドバンドギャップ半導体にも適用可能である。また、各実施の形態では第1導電型をn型とし、第2導電型をp型としたが、本発明は第1導電型をp型とし、第2導電型をn型としても同様に成り立つ。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上のように、本発明にかかる半導体装置は、電力変換装置や種々の産業用機械などの電源装置などに使用されるパワー半導体装置に有用であり、特にトレンチゲート構造の炭化珪素半導体装置に適している。
【符号の説明】
【0060】
1、101 n-型ドリフト層
2、102 n+型炭化珪素基板
3、103 第1p+型領域
4、104 第2p+型領域
5、105 p+型領域
15、115 n型領域
15a 下側n型領域
15b 上側n型領域
16、116 p型ベース層
17、117 n+型ソース領域
18、118 p++型コンタクト領域
19、119 ゲート絶縁膜
20、120 ゲート電極
21、121 層間絶縁膜
22、122 ソース電極
25 層間絶縁膜
26 ゲートコンタクト領域
27 ゲートランナー
28 ソース電極パッド
29、129 ショットキーメタル
31、131 トレンチゲート
32、132 トレンチSBD
40、140 活性領域
41、141 ツナギ領域
42、142 エッジ領域
43 JTE領域
50、150 SBD内蔵の炭化珪素半導体装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
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図26
図27