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▶ 小林 恒己の特許一覧

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  • 特開-石舗装の施工法 図1
  • 特開-石舗装の施工法 図2
  • 特開-石舗装の施工法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169736
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】石舗装の施工法
(51)【国際特許分類】
   E01C 5/02 20060101AFI20241129BHJP
   E01C 11/00 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
E01C5/02
E01C11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023056594
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】500528912
【氏名又は名称】小林 恒己
(72)【発明者】
【氏名】小林 恒己
【テーマコード(参考)】
2D051
【Fターム(参考)】
2D051AC04
2D051AE01
2D051AF02
2D051AG01
2D051DA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】舗装石とCAモルタルの界面における接着強度を根本的に向上させ、転動する車輪から発生するずれ応力(剪断力)に対して強化するとともに舗装体の破損を防止して安全を確保する。
【解決手段】砕石層の上に敷き並べる舗装石が、CAモルタルと接着するであろうと考えられる舗装石の接着予定場所にあらかじめアスファルト乳剤を塗布または噴霧することにより、舗装石とCAモルタルの接着界面でCAモルタルが舗装石と確実に接着する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CAモルタルを用いて石面の石舗装路を造成する工法に関するものであり、舗装石を基層上の砕石上に設置してからCAモルタルを砕石層の中へ注入する工法の事前処理に関するものである。本発明は、舗装石を砕石上に設置する前処理として、CAモルタルが舗装石の界面とCAモルタルと接触する予想場所にアスファルト乳剤を事前に塗布または吹き付けをすることを特徴とする発明である。
【請求項2】
舗装石の界面は結晶および結晶間の非晶質組織もで固定されており、単位面積当たりの表面積は凹凸の分だけ大きくなる。組織間に微小な隙間が存在し、この間隙が毛管現象の発生場所となり外部から液体を呼び込んでいる。さらにこの組織は一定でなく、石種によっても、表面仕上げによっても異なる。さらに舗装石表面およびCAモルタルの表面張力は温度によっても異なる。CAモルタルの表面張力が舗装石の界面より小さいか、同じであれば両者が接すると液体であれば舗装石の表面と接着することになる。CAモルタルの表面張力は粘度が大きくなると粘度に比例して大きくなる。
本発明は、基層上の砕石上に舗装石を設置し、砕石層へCAモルタルを注入した時にCAモルタルは時間経過とともに粘度が上昇するので、CAモルタルが水頭圧で砕石中を到達する距離まで事前に補装石界面にアスファルト乳剤を塗布または噴霧する発明である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
既存の舗装工法
物体を互いに接着する場合に接着する界面を両物体と親和性のある物質で、あらかじめ濡らすことは公知である。アスファルト舗装工法においても既存の面を両物質と親和性のある物質で濡らす工法に、タックコート工法およびプライマー工法があり、公知である。
【0002】
CAモルタル
アスファルト乳剤と水およびポルトランドセメントを混合した混合物をCAモルタルと称する。
【0003】
CAモルタルの特徴
アスファルト乳剤と水およびポルトランドセメントを混合するとポルトランドセメントからカルシュウムイオン・CA++がモルタル中に溶出し、アスファルト乳剤と反応し、ゾル状態のCAモルタルはゲル状態に変化する。ゲル状態に変化するとモルタルの粘度(粘性)は急速に大きくなり、流動性が著しく低下し、基層上の砕石空隙部への侵入が停止する。またCAモルタルを施工現場で製造すると、製造直後からモルタル構成物質に混合してあるポルトランドセメントは水和反応が進行し、CAモルタルは経過時間とともに硬化が進行する。
【0004】
従来のCAモルタル石舗装工法
CAモルタルを施工現場で製造するとCAモルタル中のアスファルト乳剤がゾル状態からゲル状態に変化する。変化に伴い混合物の粘度(粘性)が大きくなり、基層上の砕石層への侵入が停止する。混合物中のポルトランドセメントは水和反応が進行する。水和反応の進行に伴いモルタルの粘度は上昇し、やがて液状から固体に変化する。モルタル全体が硬化した後に交通へ解放する。
【0005】
CAモルタルの特徴と長所・特徴
本発明前までは、CAモルタル石舗装工法の長所・特徴と考えられていたことは、砕石層上に敷かれた舗装石は、砕石層へ注入されたCAモルタルが砕石と砕石の空隙に浸透し、CAモルタルが硬化後、舗装石の底面との側面界面をCAモルタルが固定し、接着することで舗装石を支えて交通荷重に耐えられる工法と考えられていた。
【0006】
従来のCAモルタル舗装工法の短所・欠点
石舗装現場で製造したCAモルタルは、製造後の状態が短時間でゾル状態からゲル状態に変化し、CAモルタルの粘度(粘性)が急激に増大する。その結果、CAモルタルは、目地空間部には侵入するが、砕石空隙部への侵入は停止する。そのためCAモルタルが砕石層の空隙部に行きわたるように施工現場で何回でもCAモルタル製造し、注入作業が繰り返されて、砕石層に行き渡らせるまで注入を繰り返すことである。なお一度に大量製造することはモルタルの粘度上昇により注入することが出来ず、連続的に製造しながら連続的に注入することになる。
【0007】
施工現場で注入したCAモルタルが舗装石下面へ侵入したか、の確
注入したCAモルタルが基層上の砕石層上に敷かれた舗装石の下面への砕石層の空隙部へ浸透し、舗装石下面の界面とCAモルタルが接着しているか否かは舗装石を剥がしてみないと確認はできない。実際施工現場の確認作業は、舗装石を施工しながら施工石の両端部の目地空間部を覗きながら、CAモルタルが水頭圧で盛り上がった状態をみて、CAモルタルは舗装石の下面に当然侵入していると判断する。目地の隙間を覗いたを確認作業により判断している。
【0009】
CAモルタル注入作業の確認と錯覚
CAモルタルの粘度(粘性)が大きくなるとCAモルタルは流入抵抗の少ない目地空間に浸透し、CAモルタルは盛り上がる。しかし、注入時から時間が経過するとCAモルタルの粘度が大きくなり、舗装石の下面部である石の下の界面部分は隙間が小さいので浸透しないことが判明した。従来は、CAモルタルが舗装石周囲の目地空間に浸透して下から盛り上がる現象を確認して、舗装石下面にも浸透し、注入作業は成功したと考えられていた。
【0010】
CAモルタルが舗装石の下面界面において基層と接着しているか否かの舗装体へ与える強度
舗装石が支える舗装体の強度は、石側面の支持強度と底面の支持強度で支えれれている。軽車両の通行では石側面の支持強度と底面の圧縮応力による支持強度があれば舗装体は保持できる。重交通では、舗装石の界面とCAモルタル層が接
【0007】
CAモルタル石舗装工法の特徴
特徴1: 舗装石の側面と底面をCAモルタルで固定して支えることにより交通荷重に耐えることが特徴である。
特徴2: 下地を選ばずにその上に砕石を敷き、砕石の上に舗装石を敷き、砕石層の空隙にCAモルタルを注入し、CAモルタルが硬化後、開放する工法。
【0008】
CAモルタルと舗装石の接着
CAモルタルが舗装石の下面に到着していても、舗装石とCAモルタルが接着しているか否かは全く別問題である。従来、舗装石の下面までCAモルタルが到着していれば、舗装石下面の界面とCAモルタルは接着していると考えられていた。しかし、実際は舗装石の下側の界面と接着している舗装石と接着していない舗装石が存在していることが判明した。
【0009】
舗装石の界面とCAモルタルの接着
舗装石の界面とCAモルタルとの接着は、水頭圧で120Ps以上ないと接着しないことが判明した。その理由は、CAモルタルの表面張力が舗装石の表面張力より大きいので、舗装石の下側の界面で反発されてしまうからである。舗装石と施工現場での製造したCAモルタルとの表面張力の差が凡そ300Paである。なおCAモルタルの表面張力は、CAモルタルの粘度および温度により異なるのは当然である。またCAモルタルの混合成分により異なることも当然である。
【0010】
舗装石の下界面とCAモルタルの接着
CAモルタル石舗装は、砕石層に流し込んだCAモルタルと舗装石の界面間に浸透圧で30mmHg以上の差がないと接着状態が発生しないことが判明した。
【0011】
舗装石の下面界面とCAモルタルの接着を推進する処理
石舗装をCAモルタル工法で施工する時に、舗装石とCAモルタルが界面で接着を予定する場所に事前にアスファルト乳剤を塗布する。その結果、CAモルタルと舗装石接合部の表面張力が略同等となる。その場所にCAモルタルが注入されると石の界面とCAモルタルが接着することになる。CAモルタルのその場所にお(頁)ける水頭圧がゼロ以上であれば舗装石界面との接着は進行する。
【0012】
従来の石舗装のCAモルタル工法の考え方
従来、石舗装のCAモルタル工法では、基層上に敷かれた砕石層に注入したCAモルタルが舗装石の界面に到着すれば舗装石とCAモルタルは当然な現象として接着するものと考えていた。
実際にはCAモルタルが舗装石の界面に到着しても舗装石の界面の表面張力よりCAモルタルの表面張力の方が大きいので舗装石とCAモルタルは接着しない。しかし、CAモルタルの水頭圧が大きいとその分、舗装石界面の水頭圧が付加されて、接着は進行する。現実はCAモルタルに水頭圧がマイナスに作用し、舗装石の界面の表面張力より小さくなれば接着は進行することが判明した。
【0013】
接着するために同じアスファルト系の物質を2度塗る無駄作業
従来、接着材にも使用する同じアスファルト系の物質を2度塗ることの無駄作業は全く想像すらできなかった。
【0014】
舗装石に作用する交通車両からの力
車両の転動する車輪から路面に作用する応力は動的応力と静的応力が存在する。静的応力は舗装石が基層を下面に押す力である。これは舗装専門の下記の□内の論文に解説されている。動的応力は、ずれ応力(剪断力)という。これには対応するには舗装石と基層面がCAモルタルと接着していなければならない。静的応力と動的応力については、前記の□内の舗装専門誌の論文で解説されている。
【産業上の利用効果】
【0015】
本発明の産業上の損害はCAモルタル工法の舗装石と基層上の砕石層へCAモルタル注入前に、その接触面に事前にアスファルト乳剤を塗布または噴霧する損害だけである。
塗布することにより、舗装石界面にアスファルト乳剤を塗るまたは噴霧する手間である人件費および材料費である。これらの経費はCAモルタル石舗装が交通荷重により壊れる経済的損害から検討すると微々たるものである。本発明による経済効果は道路舗装に対して莫大な利益を生み出すことである。交通車両の動的応力により破壊されることよる復旧費用は莫大である。アスファルト乳剤を事前に塗布する労力および材料費の比較では問題にならない。本発明の効果は莫大である。
【産業上の利用効果】
【0016】
従来の考え方
従来、石舗装に於けるCAモルタル工法は、砕石の上に舗装石を敷き並べ砕石層にCAモルタルを流し込み、流し込んだCAモルタルが目地部まで流し込んだモルタルが浸み上がっていれば、石とCAモルタルは接着していると判断し、CAモルタルが硬化すれば施工は完了とし、交通へ解放している。
【0017】
CAモルタル石舗装が壊れた時の経済的損害例
損害1: 復旧するまでの交通止めによる交通損害および復旧材料費の損害
損害2: 工事の工事中の通行止めによる損害発生
【図面の簡単な説明】
図面の説明。
図1】は、舗装石の断面図である。数1は、舗装石の断面である。
図2】は、舗装石にアスファルト乳剤を塗布した舗装石の断面である。数2は、舗装石とCAモルタルの接着面部に塗布したアスファルト乳剤である。
図3】は、〔2〕の舗装石を基層上の砕石層上に敷設し、敷設した舗装石の目地部または空隙部からCAモルタルを砕石層へ注入した舗装石の断面である。数3は、アスファルト乳剤を塗布した舗装石を砕石層の上に設置した後、砕石層にCAモルタルを流し込んだ後の舗装石と舗装石の目地部に盛り上がったCAモルタルの高さを示した断面である。数4は、基層上に敷設した砕石である。
図1
図2
図3