(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016975
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】射出成形装置
(51)【国際特許分類】
B29C 45/84 20060101AFI20240201BHJP
B29C 45/76 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B29C45/84
B29C45/76
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119298
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 英伸
(72)【発明者】
【氏名】姉川 賢太
(72)【発明者】
【氏名】原山 和幸
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AM05
4F206AM08
4F206AP19
4F206JA07
4F206JC01
4F206JD05
4F206JL07
4F206JM06
4F206JP05
4F206JQ83
4F206JT05
4F206JT12
4F206JT31
(57)【要約】
【課題】上型又は下型が意図せずに移動してしまうことを抑制可能な技術を提供する。
【解決手段】射出成形装置は、扉を有する筐体と射出成形機と検知部と制御部とを備え、制御部は、型締モーターに印加する電圧を制御して、射出ユニット及び上型を鉛直方向に沿って移動させることによって、又は、下型を鉛直方向に沿って移動させることによって、上型と下型との型締め及び型開きを行い、型締装置は、型締モーターへの電圧の印加が停止されている状態において、射出ユニット及び上型の鉛直方向への移動、又は下型の鉛直方向への移動を規制する第1ブレーキ部を有し、制御部は、検知部によって扉が開いたこと、又は異物の侵入を検知した場合に、型締モーターへの電圧の印加を停止する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉を有する筐体と、
前記筐体内に収容された射出成形機と、
前記扉の開閉、又は、前記筐体内への異物の侵入を検知する検知部と、
制御部と、を備え、
前記射出成形機は、
上型及び下型を有する成形型を支持する支持部と、
前記上型及び前記下型によって区画されたキャビティーに向かって成形材料を射出する射出ユニットと、
前記成形型を駆動する型締モーターを有する型締装置と、を備え、
前記成形型が前記支持部に支持された支持状態において、鉛直方向の上から順に、前記射出ユニット、前記上型、及び、前記下型が配置され、
前記支持状態において、前記制御部は、前記型締モーターに印加する電圧を制御して、前記射出ユニット及び前記上型を鉛直方向に沿って移動させることによって、又は、前記下型を鉛直方向に沿って移動させることによって、前記上型と前記下型との型締め及び型開きを行い、
前記型締モーターへの電圧の印加が停止されている状態において、前記射出ユニット及び前記上型の鉛直方向への移動、又は前記下型の鉛直方向への移動を規制する第1ブレーキ部を有し、
前記制御部は、前記検知部によって前記扉が開いたこと、又は前記異物の侵入を検知した場合に、前記型締モーターへの電圧の印加を停止する、
射出成形装置。
【請求項2】
請求項1に記載の射出成形装置であって、
前記検知部は、発光部と受光部とを有する、射出成形装置。
【請求項3】
請求項1に記載の射出成形装置であって、
前記下型から成形品を取り外すためのエジェクター部を備え、
前記エジェクター部は、エジェクターピン、及び、前記エジェクターピンを駆動するエジェクター用モーターを有し、
前記制御部は、前記検知部によって前記扉が開いたこと、又は前記異物の侵入を検知した場合に、前記エジェクター用モーターへの電圧の印加を停止し、
前記エジェクター部は、前記エジェクター用モーターへの電圧の印加が停止されている状態において、前記エジェクターピンの移動を規制する第2ブレーキ部を有する、射出成形装置。
【請求項4】
請求項1に記載の射出成形装置であって、
前記射出ユニットは、材料を可塑化して前記成形材料を生成するための加熱部を有し、
前記加熱部及び前記型締モーターは、それぞれ異なる電源に接続される、射出成形装置。
【請求項5】
請求項1に記載の射出成形装置であって、
前記射出ユニットは、材料を可塑化して前記成形材料を生成する可塑化部を有し、
前記可塑化部は、溝が形成された溝形成面を有し、回転軸を中心にして回転するフラットスクリューと、前記溝形成面に対向する対向面を有し、前記成形材料が流入する連通孔が形成されたバレルと、を有し、
前記フラットスクリューは、前記回転軸に沿った方向における長さが、前記回転軸に垂直な方向に沿った方向における長さよりも短く、
鉛直方向の上から順に、前記フラットスクリュー及び前記バレルが配置される、射出成形装置。
【請求項6】
請求項5に記載の射出成形装置であって、
前記射出ユニットは、前記フラットスクリューを回転させるスクリュー用モーターを有し、
前記制御部は、前記検知部によって前記扉が開いたこと、又は前記異物の侵入を検知した場合に、前記スクリュー用モーターへの電圧の印加を停止し、
前記射出ユニットは、前記スクリュー用モーターへの電圧の印加が停止されている状態において、前記フラットスクリューの回転を規制する第3ブレーキ部を有する、射出成形装置。
【請求項7】
請求項1に記載の射出成形装置であって、
前記下型は、第1下型及び第2下型を含み、
前記支持部は、前記第1下型を支持する第1支持部と、前記第2下型を支持する第2支持部とを含み、
前記第1支持部及び前記第2支持部を移動させる位置変更部を備え、
前記位置変更部は、前記支持状態として、前記第1下型が前記上型に対向する位置に位置し、かつ、前記第2下型が前記上型と対向しない位置に位置する第1支持状態と、前記第2下型が前記上型に対向する位置に位置し、かつ、前記第1下型が前記上型に対向しない位置に位置する第2支持状態と、に切り替える、射出成形装置。
【請求項8】
請求項7に記載の射出成形装置であって、
前記第1支持状態において、前記第2下型から成形品を取り外すための第1エジェクター部と、
前記第2支持状態において、前記第1下型から成形品を取り出すための第2エジェクター部と、を備え、
前記第1エジェクター部及び前記第2エジェクター部の各々は、エジェクターピン、及び、前記エジェクターピンを駆動するエジェクター用モーターを有し、
前記第1エジェクター部及び前記第2エジェクター部の前記エジェクター用モーターは、前記支持部よりも下方に位置し、
前記型締モーターは、前記第1エジェクター部の前記エジェクター用モーターと、前記第2エジェクター部の前記エジェクター用モーターとの間に位置する、射出成形装置。
【請求項9】
請求項1に記載の射出成形装置であって、
前記下型から成形品を取り外すためのエジェクターピンを有するエジェクター部と、
前記キャビティー内で移動可能な可動ピンと、を備え、
前記可動ピンは、前記エジェクター部の動作に連動して動作し、
前記制御部は、前記成形材料が前記キャビティーに射出された後、又は、射出されている間に、前記エジェクター部を制御して、前記キャビティー内で前記可動ピンを移動させる、射出成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、射出成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、竪型の型締装置を備えるインラインスクリュー式の射出成形機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
竪型の型締装置を備える射出成形機では、何らかの原因で、型締モーターへの電源供給が停止した場合に、上型あるいは下型が意図せずに重力方向に移動してしまう場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の形態によれば、射出成形装置が提供される。この射出成形装置は、扉を有する筐体と、前記筐体内に収容された射出成形機と、前記扉の開閉、又は、前記筐体内への異物の侵入を検知する検知部と、制御部と、を備え、前記射出成形機は、上型及び下型を有する成形型を支持する支持部と、前記上型及び前記下型によって区画されたキャビティーに向かって成形材料を射出する射出ユニットと、前記成形型を駆動する型締モーターを有する型締装置と、を備え、前記成形型が前記支持部に支持された支持状態において、鉛直方向の上から順に、前記射出ユニット、前記上型、及び、前記下型が配置され、前記支持状態において、前記制御部は、前記型締モーターに印加する電圧を制御して、前記射出ユニット及び前記上型を鉛直方向に沿って移動させることによって、又は、前記下型を鉛直方向に沿って移動させることによって、前記上型と前記下型との型締め及び型開きを行い、前記型締モーターへの電圧の印加が停止されている状態において、前記射出ユニット及び前記上型の鉛直方向への移動、又は前記下型の鉛直方向への移動を規制する第1ブレーキ部を有し、前記制御部は、前記検知部によって前記扉が開いたこと、又は前記異物の侵入を検知した場合に、前記型締モーターへの電圧の印加を停止する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態における射出成形装置の斜視図である。
【
図5】第1実施形態における射出成形機の概略構成を示す第1の図である。
【
図6】第1実施形態における射出成形機の概略構成を示す第2の図である。
【
図7】下型支持部及び位置変更部を示す斜視図である。
【
図8】第1実施形態における射出成形機の概略構成を示す第3の図である。
【
図9】第1実施形態における射出ユニットの構成を示す断面図である。
【
図10】フラットスクリューの概略構成を示す斜視図である。
【
図12】第1ギア及び第2ギアを-Z方向に見た平面図である。
【
図13】第2実施形態における射出成形機の概略構成を示す第1の図である。
【
図14】第2実施形態における下型支持部の概略構成を示す平面図である。
【
図15】第2実施形態における射出成形機の概略構成を示す第2の図である。
【
図16】第3実施形態における射出成形機の概略構成を模式的に示す図である。
【
図17】キャビティー内における可動ピンの動作を説明する図である。
【
図18】キャビティー内における可動ピンの動作の第2の例を説明する図である。
【
図19】可動ピンを用いたスライドコアの動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態における射出成形装置5の斜視図である。
図2は、射出成形装置5の右側面図である。
図3は、射出成形装置5の正面図である。
図4は、射出成形装置5の平面図である。これらの各図には、互いに直交するX,Y,Z方向に沿った矢印が表されている。X,Y,Z方向は、互いに直交する3つの空間軸であるX軸、Y軸、Z軸に沿った方向であり、それぞれ、X軸、Y軸、Z軸に沿う一方側の方向と、その反対方向とを、両方含む。X軸及びY軸は、水平面に沿った軸であり、Z軸は、鉛直線に沿った軸である。-Z方向は、鉛直方向であり、+Z方向は、鉛直方向とは逆向きの方向である。-Z方向のことを「下」ともいい、+Z方向のことを「上」ともいう。他の図においても、X,Y,Z方向に沿った矢印が、適宜、表されている。
図1~4におけるX,Y,Z方向と、他の図におけるX,Y,Z方向とは、同じ方向を表している。
【0008】
射出成形装置5は、扉6を有する筐体90と、筐体90内に収容された射出成形機100と、操作部25と、検知部30とを備える。操作部25は、射出成形機100に対する各種設定操作を受け付ける。検知部30は、扉6の開閉、又は、筐体90内への異物の侵入を検知する。筐体90の正面には、開口部21が設けられている。
【0009】
検知部30は、開口部21を挟むように設置された発光部23及び受光部24を有している。発光部23からは、受光部24に向けて光が発せられる。検知部30は、発光部23から受光部24へ向かう光が遮られ、受光部24によって光が受光できなくなった場合に、開口部21に異物が進入していると判断する。また、検知部30は、接触式のセンサーを有し、扉6の開閉を検知してもよい。検知部30が異物の侵入を検知した場合、又は、扉6が開いたことを検知した場合、射出成形装置5は、射出成形機100の各部の動作を停止させる。このようにすることで、異物の侵入が、射出成形機100による部品などの成形に影響を与えることを抑制できる。
【0010】
図5は、第1実施形態における射出成形機100の概略構成を示す第1の図である。射出成形機100は、射出ユニット110と、支持部140と、位置変更部180と、型締装置200と、エジェクター部250と、第1補助ブレーキ290と、基台400と、制御部500とを備えている。射出成形機100は、筐体90に固定された基台400に固定されている。射出成形機100は、成形型10を設置可能に構成されている。射出成形機100は、設置された成形型10内に向かって射出ユニット110から後述する成形材料を射出することによって成形品を成形する。成形型10は、例えば、金属製であってもよいし、樹脂製あるいはセラミック製であってもよい。金属製の成形型10のことを金型と呼ぶこともある。
【0011】
筐体90は、その底面の隅部に車輪99を備えている。そのため、射出成形機100は、自由に移動可能に構成されている。本実施形態では、筐体90の底面には、車輪99に隣接するように、ストッパー98が備えられている。ユーザーは、このストッパー98を用いることで、射出成形機100を設置場所に固定することができる。
【0012】
制御部500は、1以上のプロセッサーと、主記憶装置と、外部との信号の入出力を行う入出力インターフェイスとを備えるコンピューターによって構成されている。プロセッサーが主記憶装置上にプログラムを読み込んで実行することにより、制御部500は、射出ユニット110と型締装置200とを制御し、成形品の製造を行う。
【0013】
制御部500には、
図1に示した検知部30が接続されている。制御部500は、検知部30によって扉6が開いたこと、又は異物が侵入したことを検知した場合に、後述する型締モーター212、エジェクター用モーター274、及び、スクリュー用モーター32に対する電圧の印加を停止させる機能を有する。
【0014】
成形型10は、上型11及び下型15を有する。上型11及び下型15は、成形品の形状に応じた空間であるキャビティーを区画する。より具体的には、上型11の下面と下型15の上面とにキャビティーを区画するための凹凸が設けられており、上型11と下型15とが型締めされることによって、上型11と下型15との間に、これらの凹凸に応じた形状のキャビティーが区画される。
【0015】
成形型10は、射出成形機100の支持部140に支持されることによって、射出成形機100に設置される。本実施形態において、支持部140とは、上型11を支持する上型支持部13と、下型15を支持する下型支持部150とを指す。上型支持部13は、射出ユニット110の下部に固定され、上型11をY方向に挟んで固定するための上型クランプ12を備えるホルダーとして構成されている。下型支持部150は、上型支持部13よりも下方に設けられ、下型15をY方向に挟んで固定するための下型クランプ160を備えるホルダーとして構成されている。
図5及び後述するその他の図では、特に断らない限り、成形型10が射出成形機100に設置された状態が示されている。
【0016】
図5に示すように、成形型10が支持部140に支持された状態、すなわち、上型11が上型支持部13に支持され、かつ、下型15が下型支持部150に支持された状態において、上型11は、射出ユニット110の下方に配置され、下型15は、上型11よりも下方に配置される。つまり、成形型10が支持部140に支持された状態において、鉛直方向の上から順に、射出ユニット110、上型11、及び、下型15が配置される。本実施形態では、成形型10が支持部140に支持された状態において、上型11及び下型15は、ともに、基台400の上方に配置される。以下では、成形型10が支持部140に支持された状態のことを、「支持状態」ともいう。
【0017】
型締装置200は、支持状態において、射出ユニット110及び上型11をZ方向に沿って移動させることによって、成形型10の型締め及び型開きを行うことが可能に構成されている。型締装置200は、型駆動部210と、第1支柱部230と、第2支柱部240とを備える。型駆動部210は、型締モーター212と、ボールネジ部216と、可動盤218と、固定盤220とを有している。
【0018】
第1支柱部230は、Z方向に延びる4本の支柱によって構成されている。第1支柱部230の上端部は基台400に固定され、下端部は型駆動部210の固定盤220に固定される。つまり、基台400と固定盤220とは、第1支柱部230によって互いに固定される。なお、
図5では、第1支柱部230を構成する4本の支柱のうち、-Y方向に配置された2本の支柱のみが示されている。
【0019】
固定盤220は、平板状を有している。固定盤220は、その板面が水平方向と平行になるように、上述した第1支柱部230の下端部に固定されている。
【0020】
本実施形態における型締モーター212は、電磁ブレーキ付モーターによって構成されている。型締モーター212は、電磁ブレーキによって、励磁コイルに電圧が印加されていない状態で制動力を発生させてモーターシャフトの回転を規制し、励磁コイルに電圧が印加されている状態でモーターシャフトの回転を許容する。つまり、型締モーター212に備えられた電磁ブレーキは、型締モーター212に電圧が印加されていない場合に、型締モーター212の回転を規制する。型締モーター212に備えられた電磁ブレーキのことを、第1電磁ブレーキという。型締モーター212は、下型15よりも下方に配置されている。より具体的には、型締モーター212は、その出力軸を上に向けた状態で、第1支柱部230の下端部に固定された固定盤220の下部に固定されている。型締モーター212の駆動は、制御部500によって制御される。型締モーター212の出力軸は、固定盤220を貫き、ボールネジ部216に接続されている。なお、型締モーター212とボールネジ部216とは減速機を介して接続されてもよい。
【0021】
可動盤218は、平板状を有している。可動盤218は、その板面が水平方向と平行になるようにボールネジ部216に結合されている。可動盤218には、第1支柱部230がZ方向に貫通している。可動盤218は、型締モーター212の駆動によるボールネジ部216の回転によって、その下面を固定盤220の上面と向かい合わせた状態で、第1支柱部230をガイドとして、固定盤220に対してZ方向に移動する。
【0022】
本実施形態における第2支柱部240は、Z方向に延びる4本の支柱によって構成されている。第2支柱部240は、基台400をZ方向に貫通するように設けられている。第2支柱部240の下端部は、可動盤218に固定されている。第2支柱部240の上端部には、上型11が配置された射出ユニット110が固定されている。なお、
図5では、第2支柱部240を構成する4本の支柱のうち、-X方向に配置された2本の支柱のみが示されている。
【0023】
本実施形態における第1補助ブレーキ290は、射出ユニット110及び上型11の鉛直方向への移動を規制する。第1補助ブレーキ290は、図示していない固定具によって筐体90に固定されている。第1補助ブレーキ290は、型開き状態において、可動盤218の下面に接触可能なアクチュエーター291を備えている。アクチュエーター291としては、例えば、電動シリンダーやエアシリンダーを用いることができる。第1補助ブレーキ290の動作は、制御部500によって制御される。
【0024】
本実施形態では、第1補助ブレーキ290は、型締モーター212への電圧の印加が停止された場合に、
図5に示すように、可動盤218の下面にアクチュエーター291を接触させることで、可動盤218に支持された型開き状態の射出ユニット110及び上型11が下方へ移動することを規制する。制御部500は、例えば、検知部30によって扉6が開いたこと、又は異物の侵入を検知した場合に、型締モーター212への電圧の印加を停止する。そのため、検知部30によって扉6が開いたこと、又は異物の侵入が検知された場合に、第1補助ブレーキ290は、型締モーター212に備えられた第1電磁ブレーキを補助し、射出ユニット110及び上型11の下方への移動をより確実に規制する。第1電磁ブレーキ及び第1補助ブレーキ290のことを、「第1ブレーキ部」という。
【0025】
図6は、第1実施形態における射出成形機100の概略構成を示す第2の図である。
図6には、射出成形機100に設置された成形型10が型締めされた様子が示されている。
図5及び
図6に示すように、型締装置200は、型締モーター212の駆動によって、射出ユニット110及び上型11を鉛直方向に沿って移動させることによって、成形型10の型締め及び型開きを行う。より詳細には、型締モーター212の駆動力がボールネジ部216に伝達されることによって、ボールネジ部216に結合された可動盤218が第1支柱部230に沿ってZ方向に移動する。すると、第2支柱部240を介して可動盤218に固定された射出ユニット110及び上型11がZ方向に移動する。型締装置200は、可動盤218を-Z方向に移動させることによって、射出ユニット110及び上型11を下型15に対して-Z方向に移動させ、型締めを行うことができる。型締装置200は、可動盤218を+Z方向に移動させることによって、射出ユニット110及び上型11を下型15に対して+Z方向に移動させ、型開きを行うことができる。射出成形機100のように、鉛直方向に沿って型開き及び型締めを行う射出成形機のことを、竪型射出成形機と呼ぶこともある。
【0026】
位置変更部180は、下型支持部150を、鉛直方向と交差する方向である交差方向に沿って直線的に移動可能に構成されている。本実施形態では、位置変更部180は、下型支持部150をX方向に沿って直線的に移動可能に構成されている。位置変更部180は、下型支持部150を支持する可動部186と、可動部186を移動させる電動アクチュエーター181とを有している。電動アクチュエーター181は、ボールネジと、ボールネジを回転させるモーターとによって構成されている。本実施形態の位置変更部180は、電動アクチュエーター181の駆動によって、可動部186を、基台400に対してX方向にスライドさせるように移動させる。電動アクチュエーター181の駆動は、制御部500によって制御される。
【0027】
図7は、下型支持部150及び位置変更部180を示す斜視図である。
図7では、第2支柱部240は省略されている。位置変更部180の電動アクチュエーター181は、基台400に形成された窪部405内に、X方向に沿って配置されている。窪部405は、基台400の上面401が下方向に窪んだ部分であり、X方向に沿って形成されている。
【0028】
窪部405内には、更に、リニアガイド406が設けられている。リニアガイド406は、電動アクチュエーター181によって移動する可動部186のガイドとして機能する。リニアガイド406は、X方向に長尺な、1対の互いに平行なレール状の部材によって構成されており、窪部405の底面にボルトを介して固定されている。
【0029】
可動部186は、下型支持部150を支持する矩形板状の部材であるプレート部187と、プレート部187を支持する脚部188とを有する。プレート部187と脚部188とは、ボルトを介して互いに固定されている。脚部188は、電動アクチュエーター181に結合されている。脚部188は、リニアガイド406とY方向において係合する形状を有している。脚部188とリニアガイド406との係合によって、可動部186のX方向に沿った移動が許容され、可動部186のY方向に沿った移動が規制されるため、電動アクチュエーター181の駆動によって可動部186をX方向に沿って安定的に移動させることができる。
【0030】
下型支持部150は、Y方向に互いに向かい合って配置される一対のブロック152を有している。各ブロック152は、プレート部187の上面に、ボルトを介して固定されている。各ブロック152は、下型15を載置するための縁部153を有している。ブロック152の上面には、上述した下型クランプ160が設けられている。より詳細には、下型クランプ160は、各ブロック152の上面に1つずつ設けられている。下型クランプ160は、ブロック152の縁部153に載置された下型15を、Y方向に挟んで固定する。
【0031】
図8は、第1実施形態における射出成形機100の概略構成を示す第3の図である。
図8には、位置変更部180による下型支持部150の移動によって、下型支持部150が
図5に示した場合よりも-X方向に位置している状態が示されている。位置変更部180は、下型支持部150を移動させることによって、
図5に示すように下型15が射出位置Pに位置する状態と、
図8に示すように下型15が射出位置Pとは異なる位置に位置する状態とを切り替え可能に構成されている。射出位置Pとは、下型15と上型11とが対向する位置を指す。本実施形態の位置変更部180は、下型支持部150をX方向に移動させることによって、下型15を射出位置Pと待機位置Wとに位置させる。待機位置Wは、射出位置Pの-X方向に位置している。
【0032】
エジェクター部250は、下型15から成形品を取り外すための機構である。本実施形態のエジェクター部250は、上述した待機位置Wにおいて、下型15から成形品を取り外す。エジェクター部250は、下型15から成形品を突き上げるための本体部260と、本体部260を動作させるためのエジェクター駆動部270とを有している。本実施形態では、本体部260は、下型15内に配置されており、位置変更部180によって下型15とともにX方向に沿って移動する。エジェクター駆動部270は、基台400に固定されている。
【0033】
本体部260は、平板状のエジェクタープレート261と、エジェクタープレート261に固定された軸状のエジェクターピン262とを有している。エジェクタープレート261は、下型15が下型支持部150に支持された状態において、Z方向において下型15とプレート部187との間に配置される。エジェクターピン262は、下型15のキャビティーを区画する部分をZ方向に貫通するように形成された貫通孔に挿入されている。
図5に示すように、プレート部187の、Z方向に沿って見た時にエジェクタープレート261の少なくとも一部と重なる位置には、プレート部187をZ方向に貫通する孔部189が設けられている。本実施形態では、孔部189は、プレート部187のX方向及びY方向における中央部に設けられている。
【0034】
エジェクター駆動部270は、ボールネジ273と、ボールネジ273を回転させてエジェクターピン262を駆動するエジェクター用モーター274とによって構成されている。
図5に示すように、エジェクター駆動部270は、基台400の下方において、基台400に固定されている。エジェクター駆動部270の駆動は、制御部500によって制御される。
【0035】
エジェクター駆動部270のボールネジ273には、接触部280が結合されている。接触部280は、基台400をZ方向に貫通する空洞部407内に配置されている。
【0036】
エジェクター駆動部270は、
図8に示した下型15が待機位置Wに位置している状態において、ボールネジ273に結合された接触部280を+Z方向に移動させることで、接触部280によって本体部260を押し上げることができる。より詳細には、接触部280は、エジェクター駆動部270の駆動によって、空洞部407から+Z方向に突出し、更に、プレート部187に形成された孔部189を+Z方向に通過することで、エジェクタープレート261に接触できる。そして、接触部280は、エジェクタープレート261と接触した状態で、更に+Z方向に移動することによって、本体部260を+Z方向に押し上げることができる。押し上げられた本体部260のエジェクターピン262によって成形品が+Z方向に押し上げられ、下型15から成形品が取り外される。なお、Z方向においてエジェクタープレート261と下型15との間には、エジェクタープレート261によって押し上げられたエジェクターピン262を下降させるために図示しないバネが配置されている。
【0037】
本実施形態におけるエジェクター用モーター274は、型締モーター212と同様に、電磁ブレーキ付モーターによって構成されている。エジェクター用モーター274は、電磁ブレーキによって、励磁コイルに電圧が印加されていない状態で制動力を発生させてモーターシャフトの回転を規制し、励磁コイルに電圧が印加されている状態でモーターシャフトの回転を許容する。つまり、エジェクター用モーター274に備えられた電磁ブレーキは、エジェクター用モーター274に電圧が印加されていない場合に、エジェクター用モーター274の回転を規制する。エジェクター用モーター274に備えられた電磁ブレーキのことを、第2電磁ブレーキという。
【0038】
本実施形態のエジェクター部250は、第2補助ブレーキ253を有している。第2補助ブレーキは、筐体90に固定されている。第2補助ブレーキ253は、エジェクターピン262の移動を規制する。第2補助ブレーキ253は、接触部280に係合可能なアクチュエーター254を備えている。アクチュエーター254としては、例えば、電動シリンダーやエアシリンダーを用いることができる。第2補助ブレーキ253の動作は、制御部500によって制御される。
【0039】
第2補助ブレーキ253は、エジェクター用モーター274への電圧の印加が停止された場合に、アクチュエーター254を接触部280に係合させることで、接触部280に支持されたエジェクターピン262が下方へ移動することを規制する。制御部500は、検知部30によって扉6が開いたこと、又は異物の侵入を検知した場合に、エジェクター用モーター274への電圧の印加を停止する。そのため、検知部30によって扉6が開いたこと、又は異物の侵入を検知された場合に、第2補助ブレーキ253は、エジェクター用モーター274に備えられた第2電磁ブレーキを補助し、エジェクターピン262の下方への移動をより確実に規制する。第2電磁ブレーキ及び第2補助ブレーキ253のことを、「第2ブレーキ部」という。
【0040】
図9は、第1実施形態における射出ユニット110の構成を示す断面図である。射出ユニット110は、材料供給部20と、フラットスクリュー40と、バレル50と、加熱部58と、ノズル60と、射出制御機構70とを有している。フラットスクリュー40及びバレル50は、材料を可塑化して成形材料を生成する可塑化部を構成する。
【0041】
射出ユニット110は、材料供給部20からフラットスクリュー40とバレル50との間に供給される材料の少なくとも一部を、フラットスクリュー40とバレル50と加熱部58とによって可塑化して成形材料を生成する。生成された成形材料は、ノズル60から成形型10のキャビティーに向かって射出される。本実施形態において「可塑化」とは 、溶融を含む概念であり、固体から流動性を有する状態に変化させることである。具体的には、ガラス転移が起こる材料の場合、可塑化とは、材料の温度をガラス転移点以上にすることである。ガラス転移が起こらない材料の場合、可塑化とは、材料の温度を融点以上にすることである。
【0042】
本実施形態における材料供給部20は、ホッパーによって構成されている。材料供給部20には、ペレットや粉末等の状態の材料が収容されている。本実施形態では、ペレット状に形成されたABS樹脂が材料として用いられる。材料供給部20の下方には、供給路22が設けられている。供給路22は、ケース107に形成された導入路102に接続されている。材料供給部20は、供給路22と導入路102とを介して、フラットスクリュー40とバレル50との間に材料を供給する。
【0043】
フラットスクリュー40は、ローター、スクロール、あるいは、単にスクリューとも呼ばれる。フラットスクリュー40は、スクリュー用モーター32及び減速機300によって構成されるスクリュー駆動部31によって、Z方向に沿った回転軸RXを中心に回転駆動される。スクリュー駆動部31によるフラットスクリュー40の回転は、制御部500によって制御される。
【0044】
フラットスクリュー40と減速機300とは、収容部101に収容されている。収容部101は、ケース107と上部カバー108とを有している。ケース107は、フラットスクリュー40の周囲及び減速機300の周囲を水平方向に囲むように収容する部分である。上部カバー108は、フラットスクリュー40及び減速機300を上から覆うように、ケース107の上部に配置される部分である。スクリュー用モーター32は、その出力軸33が上部カバー108に設けられた開口部を介して収容部101内へと挿入されるように、上部カバー108の上部に配置されている。
【0045】
バレル50の中心には、生成された成形材料が流入する連通孔56が形成されている。連通孔56には、後述する射出制御機構70の射出シリンダー71が接続されている。連通孔56には、射出シリンダー71よりも上流部に、逆止弁59が備えられている。
【0046】
図10は、フラットスクリュー40の概略構成を示す斜視図である。フラットスクリュー40は、その回転軸RXに沿った方向における長さが、回転軸RXに垂直な方向に沿った長さよりも短い略円柱状を有する。フラットスクリュー40の、バレル50に対向する溝形成面42には、中央部47を中心に、渦状の溝45が形成されている。溝45は、フラットスクリュー40のスクリュー側面43に形成された材料投入口44に連通している。材料供給部20から供給される材料は、材料投入口44を通じて溝45に供給される。溝45は、凸条部46によって隔てられることにより形成されている。
図10には、溝45が3本形成されている例を示しているが、溝45の数は、1本あるいは2本でもよいし、4本以上であってもよい。なお、溝45は、渦状に限らず、螺旋状あるいはインボリュート曲線状であってもよいし、中央部から外周に向かって弧を描くように延びる形状であってもよい。
【0047】
本実施形態のフラットスクリュー40は、中央部47に、連通孔56に向けて突出する滞留抑制部48を備えている。本実施形態では、滞留抑制部48は、略円錐状の形状を有しており、滞留抑制部48の中心軸は、フラットスクリュー40の回転軸RXと略一致する。滞留抑制部48の先端は、バレル50に形成された連通孔56の内部に配置されている。滞留抑制部48によって、成形材料が中央部47から連通孔56へと効率良く導かれ、中央部47における成形材料の滞留が抑制される。他の実施形態では、フラットスクリュー40は、滞留抑制部48を備えていなくてもよい。
【0048】
図11は、バレル50の概略平面図である。バレル50は、フラットスクリュー40の溝形成面42に対向する対向面52を有している。
図11に示すように、上述した連通孔56は、対向面52の中央部分において開口するように形成されている。対向面52には、連通孔56に接続され、連通孔56から外周に向かって渦状に延びている複数の案内溝54が形成されている。なお、他の実施形態では、案内溝54は連通孔56に接続されていなくてもよい。また、バレル50には案内溝54が設けられていなくてもよい。
【0049】
図9に示す加熱部58は、フラットスクリュー40の溝形成面42とバレル50の対向面52との間に供給された材料を加熱する。本実施形態では、4本の加熱部58が、バレル50内に設けられている。加熱部58の出力は、制御部500によって制御される。
【0050】
本実施形態において、加熱部58と型締モーター212とは、それぞれ異なる電源に接続される。そのため、制御部500は、加熱部58に対する電圧の印加と型締モーター212に対する電圧の印加とをそれぞれ独立に制御できる。本実施形態では、制御部500は、検知部30によって扉6が開いたこと、又は異物の侵入を検知した場合に、型締モーター212に対する電圧の印加を停止するが、加熱部58への電圧の印加を停止しない。
【0051】
フラットスクリュー40の溝45に供給された材料は、フラットスクリュー40の回転と加熱部58による加熱とによって、フラットスクリュー40の溝形成面42とバレル50の対向面52との間において可塑化されながら、フラットスクリュー40の回転によってフラットスクリュー40の中央部47へと導かれる。中央部47に流入した材料は、バレル50の中心に設けられた連通孔56へと送出され、更に、連通孔56から射出制御機構70へと導かれる。
【0052】
図9に示すように、射出制御機構70は、射出シリンダー71と、プランジャー72とを備えている。射出制御機構70は、射出シリンダー71内の成形材料を、成形型10のキャビティーに射出注入する機能を有している。射出制御機構70は、制御部500の制御下で、ノズル60からの成形材料の射出量を制御する。射出シリンダー71は、バレル50の連通孔56に接続された略円筒状の部材である。本実施形態では、射出シリンダー71は、X方向に沿って配置されている。プランジャー72は、射出シリンダー71内に挿入されている。プランジャー72は、射出シリンダー71の内部を摺動し、射出シリンダー71内の成形材料をノズル60に圧送する。プランジャー72は、図示しないモーターによって駆動される。
【0053】
減速機300は、スクリュー用モーター32の出力軸33に固定された略円筒状の偏心体301と、遊星歯車として構成された第1ギア310と、太陽内歯車として構成された第2ギア320と、を含む。本実施形態における減速機300は、入力軸と出力軸とが同一軸上にある同芯軸タイプの減速機である。
【0054】
偏心体301のスクリュー用モーター32側の端部は、上部カバー108に固定された第1ボールベアリング341によって軸支されている。偏心体301のフラットスクリュー40側の端部は、第2ギア320の内周に圧入された第2ボールベアリング342によって軸支されている。偏心体301の第1ボールベアリング341に固定されている部分の外周及び第2ボールベアリング342に固定されている部分の外周は、スクリュー用モーター32の出力軸を中心とした真円形状である。これに対して、偏心体301の第1ボールベアリング341と第2ボールベアリング342との間に挟まれた部分は、スクリュー用モーター32の出力軸に対して偏心した中心軸を有する真円形状となっている。以下において、単に、偏心体301という場合は、偏心体301の第1ボールベアリング341と第2ボールベアリング342との間に挟まれた部分のことを指す。
【0055】
図12は、減速機300に備えられた第1ギア310及び第2ギア320を-Z方向に見た平面図である。第1ギア310は、円環形状を有しており、内周部にニードルベアリング344が圧入されて固定されている。第1ギア310の外周には、波状の外歯311が形成されている。第1ギア310上には、-Z方向に見て、周方向に等間隔に複数のピン312が配置されている。これらのピン312は、それぞれ、ピン受け凹部303内に配置される。ピン受け凹部303は、
図9に示す上部カバー108において偏心体301の周囲に固定された円環状のピン受け部302に複数、形成されている。それぞれのピン受け凹部303は、-Z方向側を向いて開口しており、ピン312の直径よりも大きな直径を有している。そのため、ピン312は、ピン受け凹部303内で、回転軸RXに垂直な方向であるX方向及びY方向に移動することができる。
【0056】
図9に示すように、第2ギア320は、+Z方向側の端面が開口する有底筒状の形状を有している。第2ギア320の+Z方向側の端面には、第1凹部321が形成され、第1凹部321の底部には、更に第2凹部323が形成されている。第1凹部321には、第1ギア310が収容されている。第1凹部321には、
図12に示す第1ギア310の外歯311が接触する波状の内歯322が内周に形成されている。第2凹部323には、上述した第2ボールベアリング342が圧入されて固定されている。
【0057】
フラットスクリュー40の+Z方向側の端面には窪み49が形成されており、この窪み49に、第2ギア320の底部328が嵌まる。窪み49及び底部328には、Dカット加工等の空回り防止加工が施されている。底部328には、回転軸RXの方向において、固定部としてのボルト324によってフラットスクリュー40が固定されている。つまり、フラットスクリュー40は、第2ギア320と一体化されている。なお、第2ギア320とフラットスクリュー40とは、ボルト324に限らず、リベット等の他の固定部によって固定されてもよい。また、ボルト324は、一本に限らず、複数本用いられて、第2ギア320とフラットスクリュー40とが固定されてもよい。
【0058】
第2ギア320の外周には、鍔部325が形成されている。第2ギア320は、鍔部325よりも+Z方向側の部分が、ピン受け部302の外周側において上部カバー108に固定された第3ボールベアリング343によって軸支されている。本実施形態において、第3ボールベアリング343は、フラットスクリュー40から+Z方向への荷重を受ける単列アンギュラベアリングとして構成されている。
【0059】
減速機300の動作を説明する。スクリュー用モーター32が回転すると、スクリュー用モーター32の出力軸33に固定された偏心体301が回転する。偏心体301は、回転しながら、第1ギア310の内周に設けられたニードルベアリング344に部分的に接触する。ニードルベアリング344に偏心体301が接触すると、第1ギア310が、偏心体301から駆動力を受けて、ピン312がピン受け凹部303に収容された状態で、回転軸RXに交差するX方向及びY方向に揺れ動く。この第1ギア310の動きによって、第1ギア310の外歯311が、第2ギア320の内歯322に部分的に順番に接触していき、第1ギア310の外歯311の枚数と第2ギア320の内歯322の枚数とで定まる所定の減速比によって、第2ギア320が回転し、それに伴い、第2ギア320に固定されたフラットスクリュー40がケース107内で回転する。
【0060】
本実施形態の射出ユニット110は、第3ブレーキ部350を備えている。第3ブレーキ部350は、フラットスクリュー40の回転を規制する。本実施形態における第3ブレーキ部350は、スクリュー用モーター32の出力軸33に接触可能なブレーキシューを備える摩擦ブレーキとして構成されている。第3ブレーキ部350の動作は、制御部500によって制御される。
【0061】
第3ブレーキ部350は、スクリュー用モーター32への電圧の印加が停止された場合に、ブレーキシューを出力軸33に接触させることで、フラットスクリュー40の回転を規制する。制御部500は、例えば、検知部30によって扉6が開いたこと、又は異物の侵入を検知した場合に、スクリュー用モーター32への電圧の印加を停止する。そのため、検知部30によって扉6が開いたこと、又は異物の侵入を検知された場合に、第3ブレーキ部350は、フラットスクリュー40が慣性によって回転し続けることを抑制する。なお、本実施形態では、第3ブレーキ部350は、出力軸33に接触可能に構成されているが、第3ブレーキ部350は、フラットスクリュー40の側面に接触可能に構成されてもよい。
【0062】
以上で説明した第1実施形態の射出成形装置5によれば、扉6の開閉や筐体90への異物の侵入等の要因によって型締モーター212への電圧の印加が停止された場合でも、第1ブレーキ部、すなわち、型締モーター212に備えられた第1電磁ブレーキ及び第1補助ブレーキ290によって上型11の鉛直方向への移動を規制できる。そのため、上型11が意図せずに移動することを抑制できる。特に本実施形態の第1ブレーキ部は、型開き状態の上型11が下方に移動することを抑制できるので、上型11の意図しない下降によって下型15に衝撃が加わることを抑制できる。
【0063】
また、本実施形態では、検知部30が、発光部23と受光部24とを備えているので、異物の侵入を光学的に検知できる。
【0064】
また、本実施形態では、扉6の開閉や筐体90への異物の侵入等の要因によってエジェクター用モーター274への電圧の印加が停止された場合でも、第2ブレーキ部、すなわち、エジェクター用モーター274に備えられた第2電磁ブレーキ及び第2補助ブレーキ253によってエジェクターピン262の移動を規制できる。特に、下型15には、押し上げられたエジェクターピン262を元の位置に戻すためのバネが備えられているので、エジェクターピン262が押し上げられた状態で、エジェクター用モーター274への電圧の印加が停止された場合には、エジェクターピン262が下降しやすい。しかし、本実施形態では、第2ブレーキ部によってエジェクターピン262の移動を規制できるので、押し上げられた状態のエジェクターピン262が意図せずに下降することをより確実に抑制できる。
【0065】
また、本実施形態では、加熱部58と型締モーター212とは、それぞれ異なる電源に接続されている。そのため、制御部500が、検知部30によって扉6が開いたこと、又は異物の侵入を検知した場合に、型締モーター212に対する電圧の印加を停止させた場合においても、加熱部58への電圧の印加を継続できる。この結果、開口部21や扉6から成形品を外部に取り出す際に、バレル50が冷却されることを抑制できるので、成形材料の可塑化状態を維持することができ、成形品を効率的に製造できる。なお、他の実施形態では、制御部500は、検知部30によって扉6が開いたこと、又は異物の侵入を検知した場合に、加熱部58への電圧の印加を停止させることも可能である。
【0066】
また、本実施形態では、扉6の開閉や筐体90への異物の侵入等の要因によってスクリュー用モーター32への電圧の印加が停止された場合に、第3ブレーキ部350によってフラットスクリュー40の回転を停止する。そのため、スクリュー用モーター32への電圧の印加停止後に慣性によってフラットスクリュー40が回転し続けることを抑制できるので、出力軸33や減速機300に負荷が加わることを抑制できる。
【0067】
また、本実施形態では、射出ユニット110は、フラットスクリュー40とバレル50とを有しており、鉛直方向の上から順に、フラットスクリュー40、バレル50が配置されている。そのため、射出ユニット110をインラインスクリューによって構成する場合に比べて、射出成形装置5を小型化できる。なお、他の実施形態では、フラットスクリュー40に代えて、インラインスクリューを採用してもよい。
【0068】
B.第2実施形態:
図13は、第2実施形態における射出成形機100bの概略構成を示す第1の図である。本実施形態では、下型15が、第1下型16及び第2下型17を含んでいる。そして、下型支持部150bが、第1下型16を支持する第1支持部156と、第2下型17を支持する第2支持部157を含んでいる。射出成形機100bの構成のうち、特に説明しない部分については、第1実施形態と同様である。
図13では、第1補助ブレーキ290及び第2補助ブレーキ253の図示を省略している。
【0069】
図14は、第2実施形態における下型支持部150bの概略構成を示す平面図である。
図14には、下型支持部150b、及び、下型支持部150bを支持するプレート部187を上から見た様子が示されている。
図13及び
図14に示すように、下型支持部150bは、上述した第1支持部156と、第2支持部157とを有している。第1支持部156は、下型支持部150bを構成する一対のブロック152bの縁部153bのうち、第1下型16を支持するための部分である。第2支持部157は、ブロック152bの縁部153bのうち、第2下型17を支持するための部分である。第1支持部156は、第2支持部157の+X方向に位置している。ブロック152bの上面には、一対の第1下型クランプ161と一対の第2下型クランプ162とが設けられている。第1下型クランプ161は、第1実施形態で説明した下型クランプ160と同様に、第1支持部156に支持された第1下型16をY方向に挟んで固定する。第2下型クランプ162は、第2支持部157に支持された第2下型17をY方向に挟んで固定する。
【0070】
位置変更部180bは、第1支持部156と第2支持部157とを移動可能に構成されている。本実施形態では、位置変更部180bは、第1支持部156と第2支持部157とを、鉛直方向と交差する交差方向に沿って直線的に移動させる。より具体的には、位置変更部180bは、第1実施形態と同様に、電動アクチュエーター181の駆動によって、下型支持部150bを支持する可動部186を基台400に対してX方向にスライドさせるように移動させる。これによって、第1支持部156と第2支持部157とが連動して、X方向に沿って直線的に移動する。
【0071】
図15は、第2実施形態における射出成形機100bの概略構成を示す第2の図である。
図15には、位置変更部180bによる下型支持部150bの移動によって、下型支持部150bが
図13に示した場合よりも+X方向に位置している状態が示されている。位置変更部180bは、第1支持部156と第2支持部157とを移動させることによって、成形型10が支持部140に支持された支持状態を、第1支持状態と第2支持状態とに切り替え可能に構成されている。第1支持状態とは、
図13に示すように、第1下型16が上型11に対向する射出位置Pに位置し、かつ、第2下型17が射出位置Pとは異なる位置に位置している状態を指す。第2支持状態とは、
図15に示すように、第2下型17が上型11に対向する射出位置Pに位置し、第1下型16が射出位置Pと異なる位置に位置している状態を指す。
【0072】
図13に示すように、本実施形態では、位置変更部180bは、第1支持状態において、第2下型17を第1待機位置W1に位置させる。また、
図15に示すように、位置変更部180bは、第2支持状態において、第1下型16を第2待機位置W2に位置させる。第1待機位置W1及び第2待機位置W2は、ともに射出位置Pとは異なる位置である。第2待機位置W2は、X方向において、射出位置Pを挟んで第1待機位置W1の反対側に位置している。つまり、第1待機位置W1と第2待機位置W2とは、X方向において射出位置Pによって隔てられている。本実施形態では、第1待機位置W1は、射出位置Pの-X方向に位置し、第2待機位置W2は、射出位置Pの+X方向に位置している。
【0073】
図13及び
図15に示すように、本実施形態における射出成形機100bは、第1エジェクター部251と、第2エジェクター部252とを有している。第1エジェクター部251は、第1支持状態において、第1待機位置W1で第2下型17から成形品を取り外すための機構である。第2エジェクター部252は、第2支持状態において、第2待機位置W2で第1下型16から成形品を取り外すための機構である。
【0074】
第1エジェクター部251の構成と、第2エジェクター部252の構成とは、第1実施形態で説明したエジェクター部250の構成と同様である。第1エジェクター部251は、第2下型17内に配置され、第2下型17から成形品を突き上げるためのエジェクターピンを有する第1本体部263と、第1本体部263を動作させるためのエジェクター用モーターを有する第1エジェクター駆動部271とを備えている。第2エジェクター部252は、第1下型16内に配置され、第1下型16から成形品を突き上げるためのエジェクターピンを有する第2本体部264と、第2本体部264を動作させるためのエジェクター用モーターを有する第2エジェクター駆動部272とを備えている。つまり、第1エジェクター部251及び第2エジェクター部252の各々は、エジェクターピン、及び、エジェクターピンを駆動するエジェクター用モーターを有する。第1エジェクター部251のエジェクター用モーター及び第2エジェクター部252のエジェクター用モーターは、支持部としての下型支持部150bよりも下方に位置している。型締モーター212は、X方向において、第1エジェクター部251のエジェクター用モーターと、第2エジェクター部252のエジェクター用モーターとの間に位置している。なお、第1エジェクター部251及び第2エジェクター部252は、それぞれ、第2補助ブレーキ253を備えているが、
図13,15では第2補助ブレーキ253の図示を省略している。
【0075】
以上で説明した第2実施形態の射出成形機100bでは、第1支持部156と第2支持部157とを移動させることによって、第1下型16が射出位置Pに位置し、かつ、第2下型17が射出位置Pとは異なる位置に位置する第1支持状態と、第2下型17が射出位置Pに位置し、かつ、第1下型16が射出位置Pとは異なる位置に位置する第2支持状態とに切り替えることができる。これによって、射出位置Pに位置させた一方の下型を用いて成形品を成形する間に、射出位置Pとは異なる位置に位置させた他方の下型から成形品を取り外すことができる。そのため、第1下型16と第2下型17とを用いて成形品の製造効率を高めることができる。
【0076】
また、本実施形態では、第1エジェクター部251のエジェクター用モーター及び第2エジェクター部252のエジェクター用モーターは、下型支持部150bよりも下方に位置し、型締モーター212は、第1エジェクター部251のエジェクター用モーター及び第2エジェクター部252のエジェクター用モーターの間に位置している。そのため、第1エジェクター部251と第2エジェクター部252と型締モーター212とを効率的に配置できる。
【0077】
また、本実施形態では、位置変更部180bは、第1支持状態において、第2下型17を第1待機位置W1に位置させ、第2支持状態において、第1下型16を、X方向において射出位置Pを挟んで第1待機位置W1と反対側にある第2待機位置W2に位置させる。そのため、位置変更部180bによって第1支持部156と第2支持部157とをX方向に沿って直線的に移動させることで、第1支持状態と第2支持状態とを簡易に切り替えることができる。
【0078】
また、本実施形態では、射出成形機100bは、第1待機位置W1において第2下型17から成形品を取り外すための第1エジェクター部251と、第2待機位置W2において第1下型16から成形品を取り外すための第2エジェクター部252とを備える。そのため、第1支持状態と第2支持状態とのいずれの状態であっても、第1エジェクター部251又は第2エジェクター部252を用いることによって、第1下型16や第2下型17から成形品を取り外すことができる。
【0079】
なお、第2実施形態では、第1支持部156と第2支持部157とは、下型支持部150bを構成する一対のブロック152bの一部分として構成されている。これに対して、第1支持部156と第2支持部157とは、ブロック152bの一部分として構成されなくてもよい。例えば、第1支持部156と第2支持部157とは、それぞれ第1下型16と第2下型17とを保持するためのホルダーとして、別体に構成されていてもよい。この場合、位置変更部180は、例えば、第1支持部156と第2支持部157とを個別に移動可能に構成されていてもよく、第1支持部156と第2支持部157とを個別に移動させることによって、第1支持状態と第2支持状態とを切り替えてもよい。
【0080】
C.第3実施形態:
図16は、第3実施形態における射出成形機100cの概略構成を模式的に示す図である。第3実施形態の射出成形機100cは、第1実施形態の射出成形機100と同様に、エジェクター部250を備えている。本実施形態の射出成形機100cは、成形型10のキャビティー内で鉛直方向に沿って移動可能な可動ピン600を備えている。可動ピン600は、下型15、下型支持部150、及び、可動部186を貫き、その下端が支持アーム601によって支持されている。支持アーム601は、エジェクター部250の接触部280に連結されている。そのため、可動ピン600は、エジェクター部250の動作に連動して動作可能となっている。可動ピン600は、待機位置Wにおいて下型15から成形品を取り出す際には、支持アーム601によって支持されない位置に移動する。そのため、成形品の取り出し時には、可動ピン600は、エジェクターピン262の動作には連動しない。なお、成形品の取り出し時に、可動ピン600をエジェクターピン262の動作に連動して動作させることも可能である。
【0081】
第3実施形態において、第1補助ブレーキ290のアクチュエーター291は、可動盤218の上面に接触可能に設けられている。制御部500は、成形材料がキャビティーに射出された後、又は、射出されている間に、エジェクター部250を制御して、キャビティー内で可動ピン600を移動させる。このとき、制御部500は、成形型10が開かないように、第1補助ブレーキ290を駆動して、可動盤218にアクチュエーター291を接触させ、可動盤218に支持された上型11及び射出ユニット110の移動を規制する。
【0082】
図17は、キャビティー内における可動ピン600の動作を説明するための図である。本実施形態において、制御部500は、キャビティー内に成形材料が射出された直後に、エジェクター部250を制御して可動ピン600を上方に移動させ、キャビティー内に押し入れる。こうすることで、制御部500は、キャビティー内の圧力を高めることができる。これにより、成形材料の充填率を高めることができる。本実施形態では、制御部500は、第1補助ブレーキ290を制御して上型11が上方に移動することを規制するため、可動ピン600のキャビティーへの押し込みによって、成形型10が開いてしまうことを抑制できる。そのため、成形材料の充填率を効果的に向上させることができる。なお、第1補助ブレーキ290に加えて、又は第1補助ブレーキ290に代えて、型締モーター212に備えられた第1電磁ブレーキを作動させて、上型11が上方に移動することを規制してもよい。
【0083】
図18は、キャビティー内における可動ピンの動作の第2の例を説明するための図である。
図18に示した例では、制御部500は、キャビティー内に成形材料が射出されている間に、エジェクター部250を制御して、キャビティー内における成形材料の充填状態に合わせてキャビティー内に挿入されている可動ピン600を下方に引き下げる。こうすることで、制御部500は、キャビティー内における成形材料の流れを制御できる。これにより、例えば、ウェルドラインの位置を調整したり、ガスベントを行ったりすることが可能になる。
【0084】
なお、可動ピン600は、キャビティー内で移動させる形態に限らず、例えば、スライドコアの移動に用いることも可能である。
【0085】
図19は、可動ピン600を用いたスライドコア18の動作を説明するための図である。
図19に示す可動ピン600は、キャビティー内で移動させるものではなく、スライドコア18を水平方向にスライドさせるためのアンギュラーピンとして用いられる。そのため、可動ピン600の先端は斜め上方に延びている。
図19に示した例では、成形材料がキャビティーに射出されている間、制御部500は、エジェクター部250に備えられた第2補助ブレーキ253を動作させて、可動ピン600が下方に下がることを規制する。こうすることで、スライドコア18がキャビティー内の圧力によって成形中に移動してしまうことを抑制できる。なお、第2補助ブレーキ253に加えて、又は第2補助ブレーキ253に代えて、エジェクター用モーター274に備えられた第2電磁ブレーキを作動させて、可動ピン600が下方に下がることを規制してもよい。
【0086】
D.他の実施形態:
(D1)上記実施形態では、型締装置200は、射出ユニット110及び上型11を鉛直方向に沿って移動させることによって型締め及び型開きを行っている。これに対して、型締装置200は、下型15を鉛直方向に沿って移動させることによって型締め及び型開きを行ってもよい。この場合、第1ブレーキ部は、型締モーター212への電圧の印加が停止されている状態において、下型15の鉛直方向への移動を規制する。
【0087】
(D2)上記実施形態では、型締モーター212及びエジェクター用モーター274は、電磁ブレーキを備えている。これに対して、これらのモーターは、電磁ブレーキを備えていなくてもよい。また、型締モーター212及びエジェクター用モーター274がそれぞれ電磁ブレーキを備える場合、射出成形装置5は、第1補助ブレーキ290および第2補助ブレーキ253を備えなくてもよい。つまり、第1ブレーキ部は、第1電磁ブレーキ及び第1補助ブレーキ290の少なくともいずれか一方によって構成されていればよい。また、第2ブレーキ部は、第2電磁ブレーキ及び第2補助ブレーキ253の少なくともいずれか一方によって構成されていればよい。
【0088】
(D3)上記実施形態では、第3ブレーキ部350が摩擦ブレーキによって構成されている。これに対して、第3ブレーキ部350は、スクリュー用モーター32に備えられた電磁ブレーキ機能によって実現されてもよい。また、第3ブレーキ部350は、摩擦ブレーキ及び電磁ブレーキの両方によって実現されてもよい。つまり、第3ブレーキ部350は、摩擦ブレーキ及び電磁ブレーキの少なくともいずれか一方によって構成されていればよい。
【0089】
(D4)上記実施形態では、射出成形装置5は、第1ブレーキ部と、第2ブレーキ部と、第3ブレーキ部350とを備えている。これに対して、射出成形装置5は、第1ブレーキ部を備え、第2ブレーキ部及び第3ブレーキ部350を備えていなくてもよい。また、射出成形装置5は、第1ブレーキ部及び第2ブレーキ部を備え、第3ブレーキ部350を備えていなくてもよい。また、射出成形装置5は、第1ブレーキ部及び第3ブレーキ部350を備え、第2ブレーキ部を備えていなくてもよい。また、これらの構成以外にも、例えば、射出成形装置5は、第2ブレーキ部及び第3ブレーキ部350の少なくともいずれか一方を備え、第1ブレーキ部を備えない構成も可能である。
【0090】
(D5)上記実施形態では、位置変更部180は、下型支持部150をX方向に沿って直線的に移動させている。これに対して、位置変更部180は、下型支持部150を直線的に移動させなくてもよい。例えば、位置変更部180は、鉛直方向に沿って見た時に下型支持部150の移動の軌跡が円を描くように下型支持部150を移動させる、いわゆるロータリーテーブルによって構成されていてもよい。
【0091】
(D6)上記実施形態の射出成形機100では、位置変更部180によって、下型15の位置を変更可能である。これに対して、射出成形機100は、位置変更部180を備えていなくてもよい。この場合、エジェクター部250は、型締装置200と下型支持部150との間に設置され、射出位置Pにおいて、成形品の突き出しを行う。
【0092】
E.他の形態:
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、以下に記載する各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0093】
(1)本開示の第1の形態によれば、射出成形装置が提供される。この射出成形装置は、扉を有する筐体と、前記筐体内に収容された射出成形機と、前記扉の開閉、又は、前記筐体内への異物の侵入を検知する検知部と、制御部と、を備え、前記射出成形機は、上型及び下型を有する成形型を支持する支持部と、前記上型及び前記下型によって区画されたキャビティーに向かって成形材料を射出する射出ユニットと、前記成形型を駆動する型締モーターを有する型締装置と、を備え、前記成形型が前記支持部に支持された支持状態において、鉛直方向の上から順に、前記射出ユニット、前記上型、及び、前記下型が配置され、前記支持状態において、前記制御部は、前記型締モーターに印加する電圧を制御して、前記射出ユニット及び前記上型を鉛直方向に沿って移動させることによって、又は、前記下型を鉛直方向に沿って移動させることによって、前記上型と前記下型との型締め及び型開きを行い、前記型締モーターへの電圧の印加が停止されている状態において、前記射出ユニット及び前記上型の鉛直方向への移動、又は前記下型の鉛直方向への移動を規制する第1ブレーキ部を有し、前記制御部は、前記検知部によって前記扉が開いたこと、又は前記異物の侵入を検知した場合に、前記型締モーターへの電圧の印加を停止する。
このような形態によれば、扉の開閉や筐体への異物の侵入等の要因によって型締モーターへの電圧の印加が停止された場合に、第1ブレーキ部によって上型又は下型の鉛直方向への移動を規制できる。
【0094】
(2)上記形態において、前記検知部は、発光部と受光部とを有してもよい。このような形態であれば、光学的に異物の侵入を検知できる。
【0095】
(3)上記形態において、前記下型から成形品を取り外すためのエジェクター部を備え、前記エジェクター部は、エジェクターピン、及び、前記エジェクターピンを駆動するエジェクター用モーターを有し、前記制御部は、前記検知部によって前記扉が開いたこと、又は前記異物の侵入を検知した場合に、前記エジェクター用モーターへの電圧の印加を停止し、前記エジェクター部は、前記エジェクター用モーターへの電圧の印加が停止されている状態において、前記エジェクターピンの移動を規制する第2ブレーキ部を有してもよい。このような形態によれば、扉の開閉や筐体への異物の侵入等の要因によってエジェクター用モーターへの電圧の印加が停止された場合に、第2ブレーキ部によってエジェクターピンの移動を規制できる。
【0096】
(4)上記形態において、前記射出ユニットは、材料を可塑化して前記成形材料を生成するための加熱部を有し、前記加熱部及び前記型締モーターは、それぞれ異なる電源に接続されてもよい。このような形態であれば、加熱部と型締モーターとにそれぞれ個別に電圧を印加できる。そのため、例えば、型締モーターへの電圧の印加を停止している間にも、加熱部に電圧を印加できる。
【0097】
(5)上記形態において、前記射出ユニットは、材料を可塑化して前記成形材料を生成する可塑化部を有し、前記可塑化部は、溝が形成された溝形成面を有し、回転軸を中心にして回転するフラットスクリューと、前記溝形成面に対向する対向面を有し、前記成形材料が流入する連通孔が形成されたバレルと、を有し、前記フラットスクリューは、前記回転軸に沿った方向における長さが、前記回転軸に垂直な方向に沿った方向における長さよりも短く、鉛直方向の上から順に、前記フラットスクリュー及び前記バレルが配置されてもよい。このような形態であれば、射出成形装置を小型化できる。
【0098】
(6)上記形態において、前記射出ユニットは、前記フラットスクリューを回転させるスクリュー用モーターを有し、前記制御部は、前記検知部によって前記扉が開いたこと、又は前記異物の侵入を検知した場合に、前記スクリュー用モーターへの電圧の印加を停止し、前記射出ユニットは、前記スクリュー用モーターへの電圧の印加が停止されている状態において、前記フラットスクリューの回転を規制する第3ブレーキ部を有してもよい。このような形態によれば、スクリュー用モーターへの電圧の印加が停止された後にフラットスクリューが慣性によって回転することを抑制できる。
【0099】
(7)上記形態において、前記下型は、第1下型及び第2下型を含み、前記支持部は、前記第1下型を支持する第1支持部と、前記第2下型を支持する第2支持部とを含み、前記第1支持部及び前記第2支持部を移動させる位置変更部を備え、前記位置変更部は、前記支持状態として、前記第1下型が前記上型に対向する位置に位置し、かつ、前記第2下型が前記上型と対向しない位置に位置する第1支持状態と、前記第2下型が前記上型に対向する位置に位置し、かつ、前記第1下型が前記上型に対向しない位置に位置する第2支持状態と、に切り替えてもよい。このような形態によれば、第1下型と第2下型とを用いて成形品を成形できるので、成形品の製造効率を高めることができる。
【0100】
(8)上記形態において、前記第1支持状態において、前記第2下型から成形品を取り外すための第1エジェクター部と、前記第2支持状態において、前記第1下型から成形品を取り出すための第2エジェクター部と、を備え、前記第1エジェクター部及び前記第2エジェクター部の各々は、エジェクターピン、及び、前記エジェクターピンを駆動するエジェクター用モーターを有し、前記第1エジェクター部及び前記第2エジェクター部の前記エジェクター用モーターは、前記支持部よりも下方に位置し、前記型締モーターは、前記第1エジェクター部の前記エジェクター用モーターと、前記第2エジェクター部の前記エジェクター用モーターとの間に位置してもよい。このような形態であれば、第1エジェクター部と第2エジェクター部と型締モーターとを効率的に配置できる。
【0101】
(9)上記形態において、前記下型から成形品を取り外すためのエジェクターピンを有するエジェクター部と、前記キャビティー内で移動可能な可動ピンと、を備え、前記可動ピンは、前記エジェクター部の動作に連動して動作し、前記制御部は、前記成形材料が前記キャビティーに射出された後、又は、射出されている間に、前記エジェクター部を制御して、前記キャビティー内で前記可動ピンを移動させてもよい。このような形態によれば、キャビティー内で可動ピンを移動させることで、キャビティー内の圧力を高めたり、キャビティー内における成形材料の流動を制御したりすることができる。
【符号の説明】
【0102】
5…射出成形装置、6…扉、10…成形型、11…上型、12…上型クランプ、13…上型支持部、15…下型、16…第1下型、17…第2下型、18…スライドコア、20…材料供給部、21…開口部、22…供給路、23…発光部、24…受光部、25…操作部、30…検知部、31…スクリュー駆動部、32…スクリュー用モーター、33…出力軸、40…フラットスクリュー、42…溝形成面、43…スクリュー側面、44…材料投入口、45…溝、46…凸条部、47…中央部、48…滞留抑制部、49…窪み、50…バレル、52…対向面、54…案内溝、56…連通孔、58…加熱部、59…逆止弁、60…ノズル、70…射出制御機構、71…射出シリンダー、72…プランジャー、90…筐体、98…ストッパー、99…車輪、100…射出成形機、101…収容部、102…導入路、107…ケース、108…上部カバー、110…射出ユニット、140…支持部、150…下型支持部、152…ブロック、153…縁部、156…第1支持部、157…第2支持部、160…下型クランプ、161…第1下型クランプ、162…第2下型クランプ、180…位置変更部、181…電動アクチュエーター、186…可動部、187…プレート部、188…脚部、189…孔部、200…型締装置、210…型駆動部、212…型締モーター、216…ボールネジ部、218…可動盤、220…固定盤、230…第1支柱部、240…第2支柱部、250…エジェクター部、251…第1エジェクター部、252…第2エジェクター部、253…第2補助ブレーキ、254…アクチュエーター、260…本体部、261…エジェクタープレート、262…エジェクターピン、263…第1本体部、264…第2本体部、270…エジェクター駆動部、271…第1エジェクター駆動部、272…第2エジェクター駆動部、273…ボールネジ、274…エジェクター用モーター、280…接触部、290…第1補助ブレーキ、291…アクチュエーター、300…減速機、301…偏心体、302…ピン受け部、303…ピン受け凹部、310…第1ギア、311…外歯、312…ピン、320…第2ギア、321…第1凹部、322…内歯、323…第2凹部、324…ボルト、325…鍔部、328…底部、341…第1ボールベアリング、342…第2ボールベアリング、343…第3ボールベアリング、344…ニードルベアリング、350…第3ブレーキ部、400…基台、401…上面、405…窪部、406…リニアガイド、407…空洞部、500…制御部、600…可動ピン、601…支持アーム