(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169802
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】表示装置及び路面投影装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/50 20060101AFI20241129BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20241129BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20241129BHJP
F21V 14/00 20180101ALI20241129BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20241129BHJP
F21V 5/02 20060101ALI20241129BHJP
F21V 7/00 20060101ALI20241129BHJP
F21V 14/04 20060101ALI20241129BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20241129BHJP
G09F 19/22 20060101ALN20241129BHJP
F21W 103/60 20180101ALN20241129BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20241129BHJP
【FI】
B60Q1/50 Z
G03B21/00 F
G03B21/14 A
G03B21/14 Z
F21V14/00 200
F21V5/00 320
F21V5/02 400
F21V7/00 590
F21V14/04
H04N5/74 E
H04N5/74 D
G09F19/22 H
F21W103:60
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086559
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100192533
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 如紘
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 一
【テーマコード(参考)】
2K203
3K339
5C058
【Fターム(参考)】
2K203FA09
2K203FA25
2K203FA32
2K203FA44
2K203FA54
2K203FA76
2K203FA82
2K203FB07
2K203GA25
2K203GA52
2K203GA59
2K203GB33
2K203GB62
2K203HA93
2K203MA01
2K203MA08
3K339AA43
3K339BA03
3K339BA22
3K339BA30
3K339CA30
3K339DA05
3K339EA05
3K339JA21
3K339KA39
3K339MA05
3K339MC01
3K339MC03
3K339MC17
3K339MC36
3K339MC39
3K339MC96
5C058BA33
5C058EA02
5C058EA05
(57)【要約】
【課題】表示画像の内容等に応じて、スペックルノイズの低減度を変更することができる表示装置及び路面投影装置を提供する。
【解決手段】光源部110と、スペックル低減部120と、集光光学系130と、光路変更部140と、表示光生成部150と、投射レンズ部160と、制御部170と、スペックル低減部制御部180とを備え、スペックル低減部制御部180は、表示画像の内容等に応じて、スペックル低減部120によるスペックルノイズの低減度を変更する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射する光源部と、
前記レーザ光を使用して画像を表示するための表示光を生成する表示光生成部と、
前記レーザ光によるスペックルノイズを低減するスペックル低減部と、
前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を制御するスペックル低減部制御部とを備え、
前記スペックル低減部制御部は、表示画像の内容に応じて、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を変更する
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記スペックル低減部制御部は、
前記表示画像が第一の種類に該当する場合、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を低下させ、
前記表示画像が第二の種類に該当する場合、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を向上させる
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第一の種類の表示画像は、注意喚起を目的とするものであり、
前記第二の種類の表示画像は、広告を目的とするもの、又は、演出を含むもの
であることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第一の種類の表示画像は、主たる観察者以外の観察者を対象とするものであり、
前記第二の種類の表示画像は、主たる観察者を対象とするもの
であることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
レーザ光を出射する光源部と、
前記レーザ光を使用して画像を表示するための表示光を生成する表示光生成部と、
前記レーザ光によるスペックルノイズを低減するスペックル低減部と、
前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を制御するスペックル低減部制御部とを備え、
前記スペックル低減部制御部は、時間の経過に応じて、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を変更する
ことを特徴とする表示装置。
【請求項6】
前記スペックル低減部制御部は、
前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度の増減を繰り返す
ことを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記スペックル低減部制御部は、
画像表示開始から所定時間経過後、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を低下させる
ことを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項8】
レーザ光を出射する光源部と、
前記レーザ光を使用して画像を表示するための表示光を生成する表示光生成部と、
前記レーザ光によるスペックルノイズを低減するスペックル低減部と、
前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を制御するスペックル低減部制御部とを備え、
前記スペックル低減部制御部は、周囲の明るさに応じて、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を変更するものであり、
周囲が明るい場合は、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を低下させ、
周囲が暗い場合は、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を向上させる
ことを特徴とする表示装置。
【請求項9】
前記スペックル低減部は、
前記レーザ光を拡散する拡散部材と、
前記拡散部材を回転させる拡散部材回転部とを備え、
前記スペックル低減部制御部は、
前記拡散部材回転部を制御して、前記拡散部材の回転速度を変更することで、スペックルノイズの低減度を変更する
ことを特徴とする請求項1、5又は8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記スペックル低減部制御部は、
前記拡散部材の回転速度を変更する際、目標とする回転速度まで段階的に変化させる
ことを特徴とする請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
車両に搭載され、路面上に画像を投影する路面投影装置であって、
レーザ光を出射する光源部と、
前記レーザ光を使用して画像を表示するための表示光を生成する表示光生成部と、
前記表示光を路面上に投影する投影部と、
前記レーザ光によるスペックルノイズを低減するスペックル低減部と、
前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を制御するスペックル低減部制御部とを備え、
前記スペックル低減部制御部は、表示画像の内容に応じて、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を変更する
ことを特徴とする路面投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、及び、当該表示装置を使用した路面投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザを光源として使用するプロジェクタにおいては、レーザ光がコヒーレントであることに起因するスペックルノイズが課題とされている。粗面にレーザ光を照射すると、散乱光同士の干渉により不規則な斑点状の模様が現れるが、このような斑点状の模様をスペックル(スペックルパターン)という。スペックルは、レーザ光で形成される表示画像を乱すノイズとなり、表示品位を低下させることとなるため、レーザを使用した表示装置の実用化にあたっては、スペックルノイズの低減が解決すべき課題とされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、低輝度時であってもスペックルを適切に除去できる表示装置として、レーザ光を出射する光源部と、光源部が出射するレーザ光の光路上に配置され、レーザ光を拡散する拡散部材と、拡散部材を回転させる回転モータと、光源部及び回転モータを制御する制御部とを備え、制御部は、PWM駆動に基づいてレーザ光の輝度を制御する輝度制御手段と、PWM駆動のデューティ比の低下に応じて拡散部材の回転数を増加させる回転数制御手段とを備えた表示装置が開示されている。
【0004】
一方、従来より、車両に搭載され、路面上に各種情報を投影する路面投影装置が知られている。例えば、特許文献2には、自車両の走行状態等、車両に関する情報に基づいて、各種情報を、路面等に投射して表示することを可能にするため、車両に関する情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した情報に基づいて映像を投射する映像投射部とを備えた映像投射装置、及び、当該映像投射装置を搭載し、当該映像投射装置からの映像光を、自車両の前方及び後方に投射する乗用車が開示されている。特許文献2記載の映像投射装置を搭載した乗用車においては、例えば、方向指示器センサからの信号に基づき、自車両の進行方向を示す映像である矢印を車両前方の路面に投射すると共に、車速センサから入力される自車両の走行速度、そしてハンドル操舵角センサから入力されるハンドルの操舵角に基づいて、当該車両前方の路面に投射した矢印を点滅させることにより、周囲のドライバーや歩行者に対してより確実に提示(警告)し、高い安全性を確保することを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2022/024965号
【特許文献2】特開2021-167197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、注意喚起を目的とした画像表示においては、スペックルノイズがあった方が、注意喚起としてはより有効となると考えられる。すなわち、表示画像の内容(種類)等によっては、スペックルノイズの低減をしない方が、より効果的になるものが存在し、表示対象画像の中に、このような表示画像が含まれる場合は、スペックルノイズを一律に低減させることは必ずしも望ましくないことになる。
【0007】
上記の点に鑑み、本発明は、表示画像の内容等に応じて、スペックルノイズの低減度を変更することができる表示装置及び路面投影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様は、レーザ光を出射する光源部と、前記レーザ光を使用して画像を表示するための表示光を生成する表示光生成部と、前記レーザ光によるスペックルノイズを低減するスペックル低減部と、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を制御するスペックル低減部制御部とを備え、前記スペックル低減部制御部は、表示画像の内容に応じて、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を変更する。
【0009】
第一の態様に従属する第二の態様においては、前記スペックル低減部制御部は、前記表示画像が第一の種類に該当する場合、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を低下させ、前記表示画像が第二の種類に該当する場合、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を向上させる。
【0010】
第二の態様に従属する第三の態様においては、前記第一の種類の表示画像は、注意喚起を目的とするものであり、前記第二の種類の表示画像は、広告を目的とするもの、又は、演出を含むものである。
【0011】
第二の態様に従属する第四の態様においては、前記第一の種類の表示画像は、主たる観察者以外の観察者を対象とするものであり、前記第二の種類の表示画像は、主たる観察者を対象とするものである。
【0012】
本発明の第五の態様は、レーザ光を出射する光源部と、前記レーザ光を使用して画像を表示するための表示光を生成する表示光生成部と、前記レーザ光によるスペックルノイズを低減するスペックル低減部と、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を制御するスペックル低減部制御部とを備え、前記スペックル低減部制御部は、時間の経過に応じて、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を変更する。
【0013】
第五の態様に従属する第六の態様においては、前記スペックル低減部制御部は、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度の増減を繰り返す。
【0014】
第五の態様に従属する第七の態様においては、前記スペックル低減部制御部は、画像表示開始から所定時間経過後、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を低下させる。
【0015】
本発明の第八の態様は、レーザ光を出射する光源部と、前記レーザ光を使用して画像を表示するための表示光を生成する表示光生成部と、前記レーザ光によるスペックルノイズを低減するスペックル低減部と、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を制御するスペックル低減部制御部とを備え、前記スペックル低減部制御部は、周囲の明るさに応じて、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を変更するものであり、周囲が明るい場合は、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を低下させ、周囲が暗い場合は、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を向上させる。
【0016】
第一から第八の態様に従属する第九の態様においては、前記スペックル低減部は、前記レーザ光を拡散する拡散部材と、前記拡散部材を回転させる拡散部材回転部とを備え、前記スペックル低減部制御部は、前記拡散部材回転部を制御して、前記拡散部材の回転速度を変更することで、スペックルノイズの低減度を変更する。
【0017】
第九の態様に従属する第十の態様においては、前記スペックル低減部制御部は、前記拡散部材の回転速度を変更する際、目標とする回転速度まで段階的に変化させる。
【0018】
本発明の第十一の態様は、車両に搭載され、路面上に画像を投影する路面投影装置であって、レーザ光を出射する光源部と、前記レーザ光を使用して画像を表示するための表示光を生成する表示光生成部と、前記表示光を路面上に投影する投影部と、前記レーザ光によるスペックルノイズを低減するスペックル低減部と、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を制御するスペックル低減部制御部とを備え、前記スペックル低減部制御部は、表示画像の内容に応じて、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を変更する。
【0019】
第十一の態様に従属する第十二の態様においては、前記スペックル低減部制御部は、前記表示画像が第一の種類に該当する場合、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を低下させ、前記表示画像が第二の種類に該当する場合、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を向上させる。
【0020】
第十二の態様に従属する第十三の態様においては、前記第一の種類の表示画像は、注意喚起を目的とするものであり、前記第二の種類の表示画像は、広告を目的とするもの、又は、演出を含むものである。
【0021】
第十二の態様に従属する第十四の態様においては、前記第一の種類の表示画像は、主たる観察者以外の観察者を対象とするものであり、前記第二の種類の表示画像は、主たる観察者を対象とするものである。
【0022】
本発明の第十五の態様は、車両に搭載され、路面上に画像を投影する路面投影装置であって、レーザ光を出射する光源部と、前記レーザ光を使用して画像を表示するための表示光を生成する表示光生成部と、前記表示光を路面上に投影する投影部と、前記レーザ光によるスペックルノイズを低減するスペックル低減部と、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を制御するスペックル低減部制御部とを備え、前記スペックル低減部制御部は、時間の経過に応じて、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を変更する。
【0023】
第十五の態様に従属する第十六の態様においては、前記スペックル低減部制御部は、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度の増減を繰り返す。
【0024】
第十五の態様に従属する第十七の態様においては、前記スペックル低減部制御部は、画像表示開始から所定時間経過後、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を低下させる。
【0025】
本発明の第十八の態様は、車両に搭載され、路面上に画像を投影する路面投影装置であって、レーザ光を出射する光源部と、前記レーザ光を使用して画像を表示するための表示光を生成する表示光生成部と、前記表示光を路面上に投影する投影部と、前記レーザ光によるスペックルノイズを低減するスペックル低減部と、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を制御するスペックル低減部制御部とを備え、前記スペックル低減部制御部は、車外の明るさに応じて、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を変更するものであり、車外が明るい場合は、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を低下させ、車外が暗い場合は、前記スペックル低減部によるスペックルノイズの低減度を向上させる。
【0026】
第十一から第十八の態様に従属する第十九の態様においては、前記スペックル低減部は、前記レーザ光を拡散する拡散部材と、前記拡散部材を回転させる拡散部材回転部とを備え、前記スペックル低減部制御部は、前記拡散部材回転部を制御して、前記拡散部材の回転速度を変更することで、スペックルノイズの低減度を変更する。
【0027】
第十九の態様に従属する第二十の態様においては、前記スペックル低減部制御部は、前記拡散部材の回転速度を変更する際、目標とする回転速度まで段階的に変化させる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、表示画像の内容等に応じて、スペックルノイズの低減度を変更することができるので、より効果的な画像表示が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明による路面投影装置の構成例を説明するための図である。
【
図2】スペックル低減部制御部による拡散板の回転速度の制御方法を説明するためのタイミングチャートである。同図(a)は、スペックルノイズの低減度の変更を指示する制御信号の時間変化を示し、同図(b)は、中間段階なしの場合の拡散板の回転速度の時間変化を示し、同図(c)は、中間段階ありの場合の拡散板の回転速度の時間変化を示す。
【
図3】スペックルノイズの低減度が異なる画像の例を示す図である。同図(a)及び(b)は、スペックルノイズの低減度を低くした場合の画像例を示し、同図(c)及び(d)は、スペックルノイズの低減度を高くした場合の画像例を示す。
【
図4】誘目性が重要な注意喚起用の画像表示の例を示す図である。
【
図5】誘目性が重要な注意喚起用の画像表示の例を示す図である。
【
図6】誘目性が重要な注意喚起用の画像表示の例を示す図である。
【
図7】表示品位が重要な通常の画像表示の例を示す図である。
【
図8】表示品位が重要な通常の画像表示の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0031】
以下では、本発明による表示装置を使用した路面投影装置について説明する。
【0032】
図1は、本発明による路面投影装置の構成例を説明するための図である。
【0033】
同図に示すように、本発明による路面投影装置100は、光源部110と、スペックル低減部120と、集光光学系130と、光路変更部140と、表示光生成部150と、投射レンズ部160と、制御部170と、スペックル低減部制御部180とを備える。
【0034】
光源部110は、レーザ光を出射するものあって、例えば、半導体レーザによって構成される。本実施形態おいては、光源部110は、赤色レーザ光R、緑色レーザ光G及び青色レーザ光Bそれぞれを出射可能に構成されており、各レーザ光については、例えば、時分割で出射される。
【0035】
スペックル低減部120は、レーザ光によるスペックルノイズを低減させるものであって、本実施形態においては、拡散部材としての拡散板121と、拡散部材を回転させる拡散部材回転部としての回転モータ(不図示)とを備えている。拡散板121は、円板状の形状を有しており、円板の中心に連結された回転モータによって回転可能に構成されている。また、拡散板121は、少なくとも一方の面に多数の凹凸が形成されており、レーザ光と直交するように配置されて、入射したレーザ光を拡散できるように構成されている。このような構成を有する拡散板121を回転させると、レーザ光が多重化されて、スペックルノイズの低減効果が得られることになる。更に、拡散板121の回転速度(回転モータの回転数)を増加させると、単位時間あたりに、レーザ光が凹凸をよぎる回数が増えるので、スペックルノイズの低減効果(低減度)を高めることが可能となる。逆に、拡散板121の回転速度(回転モータの回転数)を減少させると、単位時間あたりに、レーザ光が凹凸をよぎる回数が減るので、スペックルノイズの低減効果(低減度)を低下させることが可能となる。本実施形態においては、拡散板121の回転速度(回転モータの回転数)を制御することで、スペックルノイズの低減度の制御を行う。
【0036】
集光光学系130は、スペックル低減部120によって拡散されたレーザ光の集光を行うものであり、本実施形態においては、コリメータレンズ131、フライアイレンズ132及びコンデンサレンズ133を備える。
【0037】
光路変更部140は、レーザ光の光路を変更するものであって、本実施形態においては、集光光学系130からのレーザ光を透過させると共に、表示光生成部150からの表示光を反射して、投射レンズ部160へ導くハーフミラー(透過・反射板)によって構成されている。
【0038】
表示光生成部150は、集光光学系130からのレーザ光を使用して画像を表示するための表示光を生成するものであって、本実施形態においては、デジタル・マイクロミラー・デバイスによって構成されている。デジタル・マイクロミラー・デバイスは、多数(例えば、表示対象画像の全ピクセル数分)の微小ミラーを備えており、各微小ミラーの傾きをオン・オフ制御することで、画像を表示するための表示光が生成されることになる。
【0039】
投射レンズ部160は、表示光生成部150によって生成された表示光を路面上に投影して、路面上に画像を表示するもの(投影部)である。
【0040】
制御部170は、表示装置100の動作を制御するものであって、例えば、光源部110、表示光生成部150及びスペックル低減部制御部180の動作を制御する。制御部170の機能は、例えば、車両に搭載されたプロセッサ(CPU)がROMに予め記録されたプログラムを実行することで実現される。
【0041】
スペックル低減部制御部180は、スペックル低減部120によるスペックルノイズの低減度を制御するものである。本実施形態においては、スペックル低減部制御部180は、拡散板121の回転速度(回転モータの回転数)を制御することで、スペックル低減部120によるスペックルノイズの低減度を制御する。スペックル低減部制御部180の機能は、例えば、車両に搭載されたプロセッサ(CPU)がROMに予め記録されたプログラムを実行することで実現される。
【0042】
図2は、スペックル低減部制御部180による拡散板121の回転速度の制御方法を説明するためのタイミングチャートである。同図(a)は、スペックルノイズの低減度の変更を指示する制御信号の時間変化を示し、同図(b)は、中間段階なしの場合の拡散板121の回転速度の時間変化を示し、同図(b)は、中間段階ありの場合の拡散板121の回転速度の時間変化を示している。
【0043】
ここでは、拡散板121の回転速度を変更する場合の制御方法として、目標とする回転速度まで直接的に(中間段階なしで)変化させる方法と、目標とする速度まで段階的に(中間段階ありで)変化させる方法について説明する。また、ここでは、スペックルノイズの低減度として、2つのレベル(「高」及び「低」)が設けられていて、各レベルに対応する2つの回転速度(「高速」及び「低速」)の間で、拡散板121の回転速度を変更する場合について説明する。また、低減度のレベルは、「高」が標準で、必要時(スペックルノイズの低減度を低下させる画像として予め決められた画像を表示する場合)に「低」に変更されるものとする。
【0044】
中間段階なしの場合は、例えば、同図(a)に示すように、制御部170からスペックルノイズの低減度の変更(低下)を指示する制御信号210が出力される(制御信号210がHレベルにされる)と、スペックル低減部制御部180は、スペックル低減部120(回転モータ)を制御して、同図(b)に示すように、拡散板121の回転速度221を高速(HS)から低速(LS)へ変化させる。その後、スペックルノイズの低減度の変更を指示する制御信号210の出力が停止される(制御信号210がLレベルにされる)と、スペックル低減部制御部180は、スペックル低減部120(回転モータ)を制御して、拡散板121の回転速度221を低速(LS)から高速(HS)へ変化させる。
【0045】
また、中間段階ありの場合は、例えば、制御部170からスペックルノイズの低減度の変更を指示する制御信号210が出力される(制御信号210がHレベルにされる)と、スペックル低減部制御部180は、スペックル低減部120(回転モータ)を制御して、同図(c)に示すように、まず、拡散板121の回転速度222を高速(HS)から中速(MS)へ変化させ、一定時間経過後、更に、中速(MS)から低速(LS)へ変化させる。その後、スペックルノイズの低減度の変更を指示する制御信号210の出力が停止される(制御信号210がLレベルにされる)と、スペックル低減部制御部180は、スペックル低減部120(回転モータ)を制御して、拡散板121の回転速度222を低速(LS)から高速(HS)へ変化させる。
【0046】
図3は、スペックルノイズの低減度が異なる画像の例を示す図である。同図(a)及び(b)は、スペックルノイズの低減度を低くした場合の画像例を示し、同図(c)及び(d)は、スペックルノイズの低減度を高くした場合の画像例を示している。
【0047】
スペックルノイズの低減度を低くした場合(低減度のレベルを「低」にした場合)、同図(a)及び(b)に示すように、表示画像上に、不規則な斑点状の模様が現れて、表示品位が低下することになる。一方、スペックルノイズの低減度を高くした場合(低減度のレベルを「高」にした場合)は、同図(c)及び(d)に示すように、表示画像上には、不規則な斑点状の模様はほとんど現れず、表示品位が向上することになる。
【0048】
なお、上述したように、本実施形態においては、スペックル低減部120の拡散板121の回転速度を制御することによって、スペックルノイズの低減度を制御するようにしているので、例えば、同図(a)及び(b)は、拡散板121の回転速度を「低速(LS)」にした場合の画像に相当し、同図(c)及び(d)は、拡散板121の回転速度を「高速(HS)」にした場合の画像に相当することになる。
【0049】
図3(a)及び(b)に示したようなスペックルノイズが多い画像については、ギラギラして見えるため、周囲の人の目を引く効果が高いと考えられる。本実施形態においては、表示品位に比較して、人の目を引く効果(誘目性)がより重要な画像(例えば、注意喚起を目的とした画像)については、スペックルノイズの低減度を低下させて、スペックルノイズを多く残存させるようにする一方で、誘目性より表示品位の方が重要な画像については、スペックルノイズの低減度を高めて、スペックルノイズを最大限低減させるようにする。なお、各表示対象画像が、誘目性重視の画像と表示品位重視の画像のいずれに該当するかは、各表示対象画像の内容に応じて、予め決めておくものとする。
【0050】
図4~
図6は、誘目性が重要な注意喚起用の画像表示の例を示す図である。
【0051】
図4は、車両10が後退する際に、車両10の後方に車両の移動方向を示す画像11を表示して、周囲の人に注意喚起をしている場合を示している。
図5は、車両10の右前方に車両の接近を示す画像12を表示して、周囲の人に注意喚起をしている場合を示している。
図6は、注意喚起のための路面上に表示(投影)される画像の例を示している。
【0052】
本実施形態においては、
図4~
図6に示すような画像については、誘目性が高くなるように、スペックルノイズの低減度を低下させた状態(スペックルノイズが多く残存した状態)で表示を行う。
【0053】
図7及び
図8は、表示品位が重要な通常の画像表示の例を示す図である。
【0054】
図7は、例えば、電子キーを所持するユーザの接近を検知した際に、車両10の側方に、ドアに到る経路を示す画像13を表示して、ユーザを出迎える場合を示している。
図8は、ユーザの接近を検知した際に、ユーザを出迎える目的で路面上に表示(投影)される画像の例を示している。
【0055】
本実施形態においては、
図7及び
図8に示すような画像については、表示品位が高くなるように、スペックルノイズの低減度を向上させた状態(スペックルノイズがない状態)で表示を行う。
【0056】
なお、表示品位が重要な画像表示の他の例としては、例えば、広告を目的とするものや、演出(例えば、木の葉が舞うような動き)を含むものがある。
【0057】
以上説明したように、上述した路面投影装置においては、表示画像の内容・種類に応じて、スペックルノイズの低減度を変更するようにしているので、各表示画像に適した低減度で、スペックルノイズを低減することが可能となる。例えば、表示品位より誘目性が重要な画像表示については、スペックルノイズの低減度を低下させ、スペックルノイズが目立つ状態で画像表示を行い、誘目性より表示品位が重要な画像表示については、スペックルノイズの低減度を向上させて、スペックルノイズが最大限低減された状態で画像表示を行うようにすることにより、より効果的な画像表示を行うことが可能となる。
【0058】
なお、スペックルノイズの低減度を変える画像表示の分類方法としては、上記以外にも、例えば、画像表示の対象者によって分類することも考えられる。すなわち、主たる観察者(例えば、車両の搭乗者)を対象とする画像表示については、スペックルノイズの低減度を向上させ、主たる観察者以外の観察者(例えば、車両の後方から接近する自転車等)を対象とする画像表示については、スペックルノイズの低減度を低下させることが考えられる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、当然のことながら、本発明の実施形態は上記のものに限られない。例えば、上述した実施形態においては、拡散板の回転速度を制御することで、スペックルノイズの低減度を制御するようにしていたが、他の方法で、スペックルノイズの低減度を制御することも考えられる。例えば、円板状の拡散板を、回転可能かつ、その径方向に移動可能に構成し、拡散板に対するレーザ光の(半径方向の)入射位置を変更することで、スペックルノイズの低減度を制御することも考えられる。この場合、拡散板に対するレーザ光の入射位置を外周側に移動させると、単位時間あたりに、レーザ光が凹凸をよぎる回数が増えるので、スペックルノイズの低減効果(低減度)を高めることが可能となる。一方、拡散板に対するレーザ光の入射位置を中心側に移動させると、単位時間あたりに、レーザ光が凹凸をよぎる回数が減るので、スペックルノイズの低減効果(低減度)を弱めることが可能となる。この場合、更に、拡散板に形成する凹凸のピッチを、外周側と中心側とで異なるように(より具体的には、外周側が小さく、中心側が大きくなるように)形成することにより、拡散板を移動させた際のスペックルノイズの低減効果(低減度)の変化量をより大きくすることが可能となる。
【0060】
また、上述した実施形態においては、表示画像の内容・種類に応じて、スペックルノイズの低減度を変更するようにしていたが、他の条件に応じて、スペックルノイズの低減度を変更するようにすることも考えられる。例えば、同一画像を表示する際に、時間経過に応じて、スペックルノイズの低減度を変化させる(例えば、表示開始から所定時間(例えば、5~10秒)経過後、(表示開始時より)低減度を低下させる)ようにすることが考えられる。このような制御を行うことにより、表示開始から所定時間内は、表示に気づいている観察者への見やすさを優先した画像表示を行い、表示開始から所定時間経過後は、表示に気づいていない観察者への誘目性(注意喚起効果)を向上させた画像表示を行うことが可能となる。更に、スペックルノイズの低減度の増減を、定期的に繰り返すようにして、見やすさ優先の画像表示と、誘目性優先の画像表示を交互に行うことも考えられる。
【0061】
また、例えば、照度センサによって車外の明るさを検知(又は、時刻データに基づいて車外の明るさを推定)して、車外の明るさに応じて、スペックルノイズの低減度を変更するようにすることも考えられる。このような制御を行うことにより、車外が明るい場合(例えば、夕方の時間帯や、駐車場等の周囲が充分に暗くない場所にいる場合)に、スペックルノイズの低減度を低下させて、スペックルノイズを多く残存させることで、表示画像の視認性を向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0062】
10 車両
11、12、13 表示画像
100 路面投影装置
110 光源部
120 スペックル低減部
121 拡散板
130 集光光学系
131 コリメータレンズ
132 フライアイレンズ
133 コンデンサレンズ
140 光路変更部
150 表示光生成部
160 投射レンズ部
170 制御部
180 スペックル低減部制御部