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特開2024-169809磁気計測装置の製造方法及び磁気計測装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169809
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】磁気計測装置の製造方法及び磁気計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/02 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
G01R33/02 D
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086568
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】馬 家駒
(72)【発明者】
【氏名】太田 則一
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 貴志
(72)【発明者】
【氏名】平野 稔
(72)【発明者】
【氏名】小川 勝
【テーマコード(参考)】
2G017
【Fターム(参考)】
2G017AA02
2G017AC09
2G017AD55
2G017AD62
2G017AD63
2G017BA03
2G017BA05
(57)【要約】
【課題】センシング性能が高められる磁気計測装置の製造方法及び磁気計測装置を提供する。
【解決手段】本発明の一態様によれば、磁気計測装置の製造方法が提供される。この製造方法は、次の各ステップを備える。用意ステップでは、磁気異方性を有するセンシング用ワイヤと、センシング用ワイヤに巻かれたセンシング用ピックアップコイルと、センシング用ワイヤにパルス電流を供給するように構成されたパルス生成回路と、パルス電流の供給開始から、設定されたセンシング遅延時間が経過したタイミングで、パルス電流によってセンシング用ピックアップコイルに生じるセンシング用誘導起電力を計測するように構成されたセンシング回路と、を用意する。設定ステップでは、パルス電流の供給開始後、センシング用誘導起電力のS/N比が小さくなる特異期間が除かれるようにセンシング遅延時間を設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気計測装置の製造方法であって、
次の各ステップを備え、
用意ステップでは、
磁気異方性を有するセンシング用ワイヤと、
前記センシング用ワイヤに巻かれたセンシング用ピックアップコイルと、
前記センシング用ワイヤにパルス電流を供給するように構成されたパルス生成回路と、
前記パルス電流の供給開始から、設定されたセンシング遅延時間が経過したタイミングで、前記パルス電流によって前記センシング用ピックアップコイルに生じるセンシング用誘導起電力を計測するように構成されたセンシング回路と、を用意し、
設定ステップでは、前記パルス電流の供給開始後、前記センシング用誘導起電力のS/N比が小さくなる特異期間が除かれるように前記センシング遅延時間を設定する、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気計測装置の製造方法において、
前記設定ステップでは、センシング用ワイヤに一定の磁界が印加された環境で、前記パルス電流の供給開始から前記センシング用誘導起電力を計測するまでの時間を変化させながら前記S/N比を計測することで、前記センシング遅延時間を決定する、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の磁気計測装置の製造方法において、
前記設定ステップでは、前記センシング用誘導起電力のピーク値が観測されるタイミングが含まれ、かつ、絶対値が予め定めた閾値以上となる前記センシング用誘導起電力が観測され得る期間に対し、前記S/N比の計測を行う、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の磁気計測装置の製造方法において、
前記設定ステップでは、一定値以下の前記S/N比が計測されたタイミングよりも、前記センシング用誘導起電力を計測するタイミングが10nsec以上後になるように、前記センシング遅延時間を設定する、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の磁気計測装置の製造方法において、
前記センシング回路は、
第1遅延時間が経過したタイミングで前記センシング用誘導起電力を計測する第1検波回路と、
前記第1遅延時間よりも長い第2遅延時間が経過したタイミングで前記センシング用誘導起電力を計測する第2検波回路と、を有し、
前記用意ステップでは、前記第1検波回路が計測した前記センシング用誘導起電力と、前記第2検波回路が計測した前記センシング用誘導起電力との差分を算出するように構成された時間差分回路をさらに用意し、
前記設定ステップでは、前記センシング遅延時間として、前記第1遅延時間と前記第2遅延時間とを設定する、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の磁気計測装置の製造方法において、
前記用意ステップでは、
磁気異方性を有するリファレンス用ワイヤと、
前記リファレンス用ワイヤに巻かれたリファレンス用ピックアップコイルと、
前記パルス電流の供給開始から、設定されたリファレンス遅延時間が経過したタイミングで、前記パルス電流によって前記リファレンス用ピックアップコイルに生じるリファレンス用誘導起電力を計測するように構成されたリファレンス回路と、
前記センシング用誘導起電力と、前記リファレンス用誘導起電力との差分を算出するように構成された出力差分回路と、をさらに用意し、
前記設定ステップでは、前記パルス電流の供給開始後、前記リファレンス用誘導起電力のS/N比が小さくなる特異期間が除かれるように前記リファレンス遅延時間を設定する、方法。
【請求項7】
磁気計測装置であって、
磁気異方性を有するセンシング用ワイヤと、
前記センシング用ワイヤに巻かれたセンシング用ピックアップコイルと、
前記センシング用ワイヤにパルス電流を供給するように構成されたパルス生成回路と、
前記パルス電流の供給開始から、設定されたセンシング遅延時間が経過したタイミングで、前記パルス電流によって前記センシング用ピックアップコイルに生じるセンシング用誘導起電力を計測するように構成されたセンシング回路と、
を備え、
前記センシング遅延時間は、前記パルス電流の供給開始後、前記センシング用誘導起電力のS/N比が小さくなる特異期間が除かれるように設定されている、もの。
【請求項8】
請求項7に記載の磁気計測装置において、
前記特異期間が記憶されている、もの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気計測装置の製造方法及び磁気計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、非特許文献1及び非特許文献2に開示されるように、磁気異方性を有するワイヤと、ワイヤに巻かれたピックアップコイルと、ワイヤにパルス電流を供給するパルス生成回路と、ピックアップコイルに生じる誘導起電力を計測するセンシング回路とを備えた磁気計測装置が公知である。
【0003】
特許文献1、非特許文献1及び非特許文献2では、ピーク・ツー・ピーク検出又はグラディオメーター方式によって、S/N比の向上、及び/又は低周波ノイズの低減が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-190774号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】J. Ma and T. Uchiyama, "High Performance Single Element MI Magnetometer With Peak-to-Peak Voltage Detector by Synchronized Switching", in IEEE Transactions on Magnetics, vol.53, no.11, pp.1-4, Nov.2017, Art no.4003404
【非特許文献2】J. Ma and T. Uchiyama, "Development of Peak-to-Peak Voltage Detector-Type MI Gradiometer for Magnetocardiography", in IEEE Transactions on Magnetics, vol.54, no.11, pp.1-5, Nov.2018, Art no.5000605
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のワイヤを用いた磁気計測装置では、ワイヤ表面における傷、不純物などのピニングサイトによって、ワイヤの磁化過程においてノイズが発生する。誘導起電力のピーク付近には、このノイズによってS/N比が小さくなる特異点が存在する。そのため、この特異点で誘導起電力の計測が行われると、センシング性能が低下する。
【0007】
本発明では上記事情に鑑み、センシング性能が高められる磁気計測装置の製造方法及び磁気計測装置を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、磁気計測装置の製造方法が提供される。この製造方法は、次の各ステップを備える。用意ステップでは、磁気異方性を有するセンシング用ワイヤと、センシング用ワイヤに巻かれたセンシング用ピックアップコイルと、センシング用ワイヤにパルス電流を供給するように構成されたパルス生成回路と、パルス電流の供給開始から、設定されたセンシング遅延時間が経過したタイミングで、パルス電流によってセンシング用ピックアップコイルに生じるセンシング用誘導起電力を計測するように構成されたセンシング回路と、を用意する。設定ステップでは、パルス電流の供給開始後、センシング用誘導起電力のS/N比が小さくなる特異期間が除かれるようにセンシング遅延時間を設定する。
【0009】
このような態様によれば、特異点が計測される特異期間が経過した後に、センシング用誘導起電力が計測されるため、S/N比の高い状態で信号を出力できる磁気計測装置が得られる。そのため、磁気計測装置のセンシング性能が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の磁気計測装置1Aの模式的な回路図である。
図2】センシング用ピックアップコイル3における誘導起電力の波形(上段)とセンシング用ワイヤ2に供給された励磁用パルス電流の波形(下段)とを示すグラフである。
図3】外部磁場と、励磁ステージの第1ピーク値及び回復ステージの第2ピーク値との関係の一例を示すグラフである。
図4】磁気計測装置の製造装置200の模式的な回路図である。
図5】センシング用ピックアップコイル3に生じる誘導起電力の測定結果におけるS/N比の一例を示すグラフである。
図6】第2実施形態の磁気計測装置1Bの模式的な回路図である。
図7】従来型の磁気計測装置と、磁気計測装置1Bとのノイズスペクトルを比較するグラフである。
図8】磁気計測装置1BにおけるS/N比の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0012】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の磁気計測装置1Aの模式的な回路図である。磁気計測装置1Aは、センシング用ワイヤ2と、センシング用ピックアップコイル3と、パルス生成回路4と、センシング回路5と、時間差分回路6と、を備える。
【0013】
<センシング用ワイヤ2>
センシング用ワイヤ2は、磁気異方性を有する素子である。センシング用ワイヤ2は、パルス電流による表皮効果と、外部磁界とにより、インピーダンスが変化するように構成されている。センシング用ワイヤ2としては、例えば3層ドメイン構造を有するアモルファスワイヤが使用できる。
【0014】
<センシング用ピックアップコイル3>
センシング用ピックアップコイル3は、センシング用ワイヤ2に巻かれている。具体的には、センシング用ピックアップコイル3は、センシング用ワイヤ2の周囲の磁界を検出するソレノイド状のコイルである。センシング用ピックアップコイル3には、センシング用ワイヤ2の表皮効果によって誘導起電力が発生する。
【0015】
<パルス生成回路4>
パルス生成回路4は、センシング用ワイヤ2に、センシング用ワイヤ2を励磁させるためのパルス電流を供給するように構成されている。パルス生成回路4は、微分・遅延回路101と、タイマクロック102と、微分回路103とを含む。
【0016】
<センシング回路5>
センシング回路5は、センシング用ワイヤ2によるパルス電流の供給開始から、設定されたセンシング遅延時間が経過したタイミングで、パルス電流によってセンシング用ピックアップコイル3に生じるセンシング用誘導起電力を計測するように構成されている。センシング遅延時間は、パルス電流の供給開始後、センシング用誘導起電力のS/N比が小さくなる特異期間が除かれるように設定されている。
【0017】
センシング回路5は、第1サンプルホールド回路104Aを含む第1検波回路と、第2サンプルホールド回路104Bを含む第2検波回路とを有する。
【0018】
第1検波回路は、パルス電流の供給開始から、予め設定された第1遅延時間が経過したタイミングで、パルス電流によってセンシング用ピックアップコイル3に生じるセンシング用誘導起電力を計測するように構成されている。
【0019】
第2検波回路は、パルス電流の供給開始から、予め設定された、第1遅延時間よりも長い第2遅延時間が経過したタイミングで、パルス電流によってセンシング用ピックアップコイル3に生じるセンシング用誘導起電力を計測するように構成されている。すなわち、第2検波回路は、第1検波回路よりも遅れたタイミングでセンシング用誘導起電力を計測する。
【0020】
ここで、センシング用ピックアップコイル3に生じる誘導起電力について説明する。図2は、センシング用ピックアップコイル3における誘導起電力の波形(上段)とセンシング用ワイヤ2に供給された励磁用パルス電流の波形(下段)とを示すグラフである。パルス電流の立ち上がりによってセンシング用ピックアップコイル3が誘電される励磁ステージと、パルス電流の立ち下がりによってセンシング用ピックアップコイル3が誘電される回復ステージそれぞれにおいて、誘導起電力にはピーク値が存在する。励磁ステージにおける第1ピーク値(グラフ中の丸数字1)と、回復ステージにおける第2ピーク値(グラフ中の丸数字2)とは、電圧の極性が反対である。
【0021】
第1遅延時間は、励磁ステージに合わせて設定される。つまり、第1遅延時間は、第1検波回路が励磁ステージにおける誘導起電力を計測するように設定される。第2遅延時間は、回復ステージに合わせて設定される。つまり、第2遅延時間は、第2検波回路が回復ステージにおける誘導起電力を計測するように設定される。第1遅延時間及び第2遅延時間は、それぞれ、ns(ナノ秒)オーダーである。
【0022】
図1に示すように、第1検波回路(第1サンプルホールド回路104A)には、第1遅延時間でピークタイミングが調整されたサンプリングパルス電流SP1が入力される。つまり、第1検波回路では、サンプリングパルス電流SP1のピークタイミングにて信号がサンプリングホールドされる。第2検波回路(第2サンプルホールド回路104B)には、第2遅延時間でピークタイミングが調整されたサンプリングパルス電流SP2が入力される。つまり、第2検波回路では、サンプリングパルス電流SP2のピークタイミングにて信号がサンプリングホールドされる。
【0023】
第1検波回路及び第2検波回路は、微分・遅延回路101からのサンプリングパルス電流SP1,SP2の入力を受けて、サンプル値(つまりセンシング用誘導起電力)を取得する。微分・遅延回路101(具体的には回路のメモリ領域)には、後述する手順で設定されたセンシング遅延時間(つまり第1遅延時間及び第2遅延時間)と、特異期間(つまり特異点が発生するタイミング)とが記憶されている。微分・遅延回路101は、センシング遅延時間経過直後にピークを有するサンプリングパルス電流SP1,SP2を出力する。
【0024】
センシング用ピックアップコイル3に発生した誘導起電力による信号は、高速ボルテージバッファ109を介して、第1検波回路及び第2検波回路に送られる。高速ボルテージバッファ109は、センシング用ピックアップコイル3及びパルス生成回路4と、センシング回路5との干渉を遮断するために設けられている。また、センシング用ピックアップコイル3には、基準電位回路110が接続されている。
【0025】
<時間差分回路6>
時間差分回路6は、第1検波回路が計測したセンシング用誘導起電力と、第2検波回路が計測したセンシング用誘導起電力との差分を算出するように構成されている。時間差分回路6は、相関二重サンプリング(CDS)による時間差分を検出する。時間差分回路6は、第1バランスバッファ111Aと、第2バランスバッファ111Bと、計装アンプ112とを有する。
【0026】
第1検波回路(第1サンプルホールド回路104A)が出力した励磁ステージにおけるセンシング用誘導起電力、及び第2検波回路(第2サンプルホールド回路104B)が出力した回復ステージにおけるセンシング用誘導起電力は、それぞれ、第1バランスバッファ111A又は第2バランスバッファ111Bを介して、計装アンプ112に入力される。
【0027】
計装アンプ112は、励磁ステージにおけるセンシング用誘導起電力と、回復ステージにおけるセンシング用誘導起電力との差分を出力する。計装アンプ112の出力は、機能回路113に入力される。機能回路113は、AGC(自動利得制御)、フィルタ、オフセット補正、ADC(アナログ・デジタル変換)等の処理を行い、センシング用ワイヤ2がセンシングした磁気に対応する電圧値(計測信号)を出力する。
【0028】
図3は、外部磁場と、励磁ステージの第1ピーク値及び回復ステージの第2ピーク値との関係の一例を示すグラフである。第1検波回路が検出する第1ピーク値(グラフ中の三角点)と、第2検波回路が検出する第2ピーク値(グラフ中の星点)とは、それぞれ外部磁場の大きさに依存するディファレンシャルモードの信号値である。第1ピーク値と第2ピーク値との差分(グラフ中の丸点)は、外部磁場との線形性が強い。そのため、時間差分回路6によってセンシング用誘導起電力の時間差分をとることで、磁気の計測精度が高められる。
【0029】
<磁気計測装置1Aの製造方法>
磁気計測装置1Aの製造方法は、用意ステップと、設定ステップと、組み立てステップとを備える。
【0030】
用意ステップでは、センシング用ワイヤ2と、センシング用ピックアップコイル3と、パルス生成回路4と、センシング回路5と、時間差分回路6と、を用意する。
【0031】
設定ステップでは、パルス生成回路4によるパルス電流の供給開始後、センシング回路5が計測するセンシング用誘導起電力のS/N比が小さくなる特異期間が除かれるように、センシング遅延時間を設定する。これにより、特異点が計測される特異期間が経過した後に、センシング用誘導起電力が計測されるため、S/N比の高い状態で信号を出力できる磁気計測装置1Aが得られる。そのため、磁気計測装置1Aのセンシング性能が高められる。
【0032】
図4は、磁気計測装置の製造装置200の模式的な回路図である。製造装置200は、磁気計測装置1Aのセンシング遅延時間(つまり検波タイミング)の自動チューニングを行う装置である。製造装置200には、センシング用ワイヤ2と、センシング用ピックアップコイル3と、パルス生成回路4と、調整用センシング回路5Aと、が組み込まれている。センシング用ワイヤ2、センシング用ピックアップコイル3、及びパルス生成回路4は、磁気計測装置1Aで用いられるもの(つまり、用意ステップで用意したもの)である。
【0033】
調整用センシング回路5Aは、サンプルホールド回路104と、オペアンプ105とを含む。調整用センシング回路5Aは、微分・遅延回路101からのサンプリングパルス電流SP1の入力を受けて、サンプル値(つまりセンシング用誘導起電力)を取得する。微分・遅延回路101は、メモリ108に記憶された調整用測定時間を読み取って、調整用測定時間の経過直後にピークを有するサンプリングパルス電流SP1を出力する。
【0034】
サンプルホールド回路104では、サンプリングパルス電流SP1のピークタイミングにて信号がサンプリングホールドされる。オペアンプ105では、サンプリングホールドされた信号が非反転入力、センシング用ピックアップコイル3に接続された基準電位回路110の信号が反転入力として入力される。オペアンプ105にて増幅された出力信号は、アナログ・デジタル変換回路106に入力される。
【0035】
アナログ・デジタル変換回路106においてデジタル化された信号は、データ処理部107に入力される。データ処理部107は、サンプル値のS/N比(信号と雑音との比)を算出する。データ処理部107は、後述する探索手順にてセンシング遅延時間を決定する。また、データ処理部107は、設定されたセンシング遅延時間をメモリ108に書き込む。メモリ108には、センシング遅延時間と共に、センシング遅延時間を決定する際に用いられた特異期間も記憶される。
【0036】
ここで、誘導起電力の計測においてS/N比が小さくなる特異期間について説明する。図5は、センシング用ピックアップコイル3に生じる誘導起電力の測定結果におけるS/N比の一例を示すグラフである。図5Aのグラフは、励磁ステージでの測定結果であり、図5Bのグラフは、回復ステージでの測定結果である。
【0037】
各グラフには、2つのセンシング用ワイヤ2のサンプルS1,S2の測定結果が示されている。各グラフの横軸は時間軸(単位:ns)であり、0nsを第1ピーク値又は第2ピーク値が観測される時刻としている。また、縦軸はS/N比(単位:dB)であり、0nsでのS/N比を0dBとしている。S/N比が正の場合は、検出感度がピーク値での感度よりも高く、S/N比が負の場合は、検出感度がピーク値での感度よりも低い。
【0038】
各グラフのS/N比には、S/N比が低い特異点が含まれている。このような特異点で信号の測定が行われると、磁気の測定精度が低下する。そのため、設定ステップでは、特異点が発生し得る「特異期間」における測定を回避するために「センシング遅延時間」を設定する。なお、「特異点」とは、設定ステップにおけるセンシング遅延時間の探索期間中(誘電起電力の計測開始時間が決定されるまで)に測定されたS/N比の平均値に対し、S/N比が90%以下である点を意味する。
【0039】
設定ステップでは、センシング用ワイヤ2に一定の磁界が印加された環境で、パルス電流の供給開始からセンシング用誘導起電力を計測するまでの時間を変化させながらS/N比を計測することで、センシング遅延時間を決定する。詳細には、製造装置200は、微分・遅延回路101が調整したサンプリングパルス電流の形状(つまり遅延時間)に基づく電圧の取得と、取得した電圧のS/N比の算出とを、特異点が含まれない遅延時間が見つかるまで、繰り返し実行する。換言すれば、製造装置200は、近傍に特異点が存在しない誘導起電力の計測開始時間を探索する。これにより、計測精度の低下を回避できるセンシング遅延時間が適格に設定できる。
【0040】
また、設定ステップでは、センシング用誘導起電力のピーク値が観測されるタイミングが含まれ、かつ、絶対値が予め定めた閾値以上となるセンシング用誘導起電力が観測され得る探索期間に対し、S/N比の計測を行う。閾値は、例えば、ピーク値の50%,45%,40%,35%,30%とすることができる。「探索期間」は、ピーク値の観測タイミングと、センシング用ワイヤ2の特性とから予測される期間である。このようにS/N比の計測を行う探索期間を予め設定することで、製造装置200によるセンシング遅延時間の探索期間が削減される。その結果、磁気計測装置1Aの製造コストが低減される。
【0041】
さらに、設定ステップでは、一定値以下のS/N比が計測されたタイミングよりも、センシング用誘導起電力を計測するタイミングが10nsec以上後になるように、センシング遅延時間を設定する。例えば、センシング遅延時間の探索中に、低いS/N比(特異点)が計測された場合、次のS/N比の計測タイミングを10nsec以上後に設定する。これにより、センシング遅延時間の探索期間が削減され、磁気計測装置1Aの製造コストが低減される。
【0042】
製造装置200は、上述の手順で決定されたセンシング遅延時間をメモリ108に書き込む。メモリ108に記憶されたセンシング遅延時間を微分・遅延回路101に組み込むことで、磁気計測装置1Aが完成する。
【0043】
設定ステップでは、センシング遅延時間として、第1遅延時間と第2遅延時間とを設定する。つまり、製造装置200は、励磁ステージにおける第1遅延時間を決定する処理と、回復ステージにおける第2遅延時間を決定する処理とを独立して行う。例えば、センシング用ピックアップコイル3に対し、第1遅延時間の探索を行った後に、第2遅延時間の探索を行う。
【0044】
組み立てステップでは、センシング遅延時間の設定後、磁気計測装置1Aを構成する回路を組み立てる。磁気計測装置1Aには、第1遅延時間及び第2遅延時間の2つの互いに独立したパラメータがセンシング遅延時間として組み込まれる。これにより、特異点の回避と、相関二重サンプリングとによって精度が高められた磁気計測装置1Aが得られる。
【0045】
具体的には、励磁ステージの出力と回復ステージの出力とがコモンモード信号であることから、相関二重サンプリングによって、検出ノード、サンプリングホールドなどの静電容量による熱雑音(kTC雑音)、磁性体素子からの磁気熱雑音などのコモンモードノイズを大幅に低減することができる。また、ナノ秒レベルの時間差分測定により、1/fノイズ、コイル終端での電圧変動ノイズ、電磁波の干渉ノイズなどの低周波ノイズも大幅に抑制することができる。
【0046】
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態の磁気計測装置1Bの模式的な回路図である。磁気計測装置1Bは、センシング用ワイヤ2と、センシング用ピックアップコイル3と、パルス生成回路4と、センシング回路5と、第1時間差分回路6A及び第2時間差分回路6Bと、リファレンス用ワイヤ7と、リファレンス用ピックアップコイル8と、リファレンス回路9と、出力差分回路10とを備える。
【0047】
磁気計測装置1Bは、1対のセンサ素子と、これらの素子の出力信号の空間的差分を出力する回路とを備えるグラディオメーター方式の計測装置である。磁気計測装置1Bのセンシング用ワイヤ2、センシング用ピックアップコイル3、パルス生成回路4及びセンシング回路5は、第1実施形態の磁気計測装置1Aと同じものであるため、説明を省略する。
【0048】
<時間差分回路6A,6B>
第1時間差分回路6Aは、第1実施形態の磁気計測装置1Aの時間差分回路6と同じものである。第2時間差分回路6Bは、リファレンス回路9の第3検波回路(第3サンプルホールド回路104C)が計測したリファレンス用誘導起電力と、第4検波回路(第4サンプルホールド回路104D)が計測したリファレンス用誘導起電力との差分を算出するように構成されている。第2時間差分回路6Bの原理及び構成は、第1時間差分回路6Aと同じである。
【0049】
<リファレンス用ワイヤ7>
リファレンス用ワイヤ7は、磁気異方性を有する素子である。リファレンス用ワイヤ7は、センシング用ワイヤ2と同等のものである。リファレンス用ワイヤ7は、センシング用ワイヤ2と直列に接続されている。そのため、パルス生成回路4が発した励磁パルス電流は、センシング用ワイヤ2を経由してリファレンス用ワイヤ7にも供給される。
【0050】
<リファレンス用ピックアップコイル8>
リファレンス用ピックアップコイル8は、リファレンス用ワイヤ7に巻かれている。リファレンス用ピックアップコイル8は、センシング用ピックアップコイル3と同等のものである。
【0051】
<リファレンス回路9>
リファレンス回路9は、センシング用ワイヤ2及びリファレンス用ワイヤ7を励磁させるためのパルス電流の供給開始から、設定されたリファレンス遅延時間が経過したタイミングで、パルス電流によってリファレンス用ピックアップコイル8に生じるリファレンス用誘導起電力を計測するように構成されている。
【0052】
リファレンス回路9は、第3サンプルホールド回路104Cを含む第3検波回路と、第4サンプルホールド回路104Dを含む第4検波回路とを有する。
【0053】
第3検波回路は、パルス電流の供給開始から、予め設定された第3遅延時間が経過したタイミングで、パルス電流によってリファレンス用ピックアップコイル8に生じるリファレンス用誘導起電力を計測するように構成されている。なお、リファレンス回路9における第3遅延時間は、センシング回路5における第1遅延時間とは異なる。つまり、第1遅延時間と第3遅延時間とは互いに独立している。
【0054】
第4検波回路は、パルス電流の供給開始から、予め設定された、第3遅延時間よりも長い第4遅延時間が経過したタイミングで、パルス電流によってリファレンス用ピックアップコイル8に生じるセンシング用誘導起電力を計測するように構成されている。すなわち、第4検波回路は、第3検波回路よりも遅れたタイミングでリファレンス用誘導起電力を計測する。なお、リファレンス回路9における第4遅延時間は、センシング回路5における第2遅延時間とは異なる。つまり、第2遅延時間と第4遅延時間とは互いに独立している。
【0055】
リファレンス回路9における第3遅延時間は、第3検波回路が励磁ステージにおける誘導起電力を計測するように設定される。リファレンス回路9における第4遅延時間は、第4検波回路が回復ステージにおける誘導起電力を計測するように設定される。
【0056】
リファレンス回路9の第3検波回路(第3サンプルホールド回路104C)には、第3遅延時間でピークタイミングが調整されたサンプリングパルス電流SP3が入力される。リファレンス回路9の第4検波回路(第4サンプルホールド回路104D)には、第4遅延時間でピークタイミングが調整されたサンプリングパルス電流SP4が入力される。
【0057】
<出力差分回路10>
出力差分回路10は、センシング用誘導起電力と、リファレンス用誘導起電力との差分を算出するように構成されている。
【0058】
具体的には、出力差分回路10は、第1時間差分回路6Aの出力(センシング回路5における時間差分)を非反転入力、第2時間差分回路6Bの出力(リファレンス回路9における時間差分)を反転入力とする差動増幅器である。出力差分回路10は、アナログフィルタとオフセット補償回路とを備えている。出力差分回路10の出力は、機能回路113に入力される。
【0059】
<磁気計測装置1Bの製造方法>
磁気計測装置1Bの製造方法は、用意ステップと、設定ステップと、組み立てステップとを備える。
【0060】
用意ステップでは、センシング用ワイヤ2と、センシング用ピックアップコイル3と、パルス生成回路4と、センシング回路5と、第1時間差分回路6A及び第2時間差分回路6Bと、リファレンス用ワイヤ7と、リファレンス用ピックアップコイル8と、リファレンス回路9と、出力差分回路10とを用意する。
【0061】
設定ステップは、下記の点を除いて、磁気計測装置1Aの製造方法における設定ステップと同じである。すなわち、磁気計測装置1Bの製造方法における設定ステップでは、センシング遅延時間に加えて、パルス電流の供給開始後、リファレンス用誘導起電力のS/N比が小さくなる特異期間が除かれるようにリファレンス遅延時間を設定する。
【0062】
リファレンス遅延時間は、上述のように、リファレンス回路9の第3検波回路における第3遅延時間と、第4検波回路における第4遅延時間とが含まれる。リファレンス遅延時間の決定は、製造装置200のセンシング用ワイヤ2及びセンシング用ピックアップコイル3を、リファレンス用ワイヤ7及びリファレンス用ピックアップコイル8に置き換えて実行される。
【0063】
センシング遅延時間と同様に、リファレンス遅延時間の第3遅延時間及び第4遅延時間は、互いに特立して決定される。したがって、設定ステップでは、センシング遅延時間としての第1遅延時間及び第2遅延時間と、リファレンス遅延時間としての第3遅延時間及び第4遅延時間との4つの時間パラメータが設定される。
【0064】
組み立てステップでは、センシング遅延時間及びリファレンス遅延時間の設定後、磁気計測装置1Aを構成する回路を組み立てる。これにより、特異点の回避と、相関二重サンプリングとに加えて、環境磁気ノイズのキャンセルによって精度が高められた磁気計測装置1Bが得られる。
【0065】
図7は、従来型の磁気計測装置と、磁気計測装置1Bとのノイズスペクトルを比較するグラフである。図7の横軸はノイズの周波数、縦軸は装置が検出した磁気スペクトルの密度である。従来型では、1Hzで約10pT/Hz1/2、10Hzで約8pT/Hz1/2であるのに対し、磁気計測装置1Bでは、1Hzで約3pT/Hz1/2、10Hzで約3pT/Hz1/2であり、低周波ノイズの低減効果が顕著である。
【0066】
図8は、磁気計測装置1BにおけるS/N比の一例を示すグラフである。ヘルムホルツコイルを利用し、目標信号(65nT、10Hz)を印加して、S/N比を計測した。目標信号に対し、磁気計測装置1Bのノイズフロアは約-90dB(65nTの場合、-90dBは約2pT)である。したがって、磁気計測装置1Bは、pTレベルの生体磁気の計測にも応用することができる。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0068】
本発明の磁気計測装置は、必ずしも時間差分回路を備えなくてもよい。例えば、磁気計測装置は、励磁ステージにおける誘導起電力のみを取得してもよい。すなわち、本発明の磁気計測装置は、センシング回路5及び/又はリファレンス回路9に直接、機能回路113を接続した構成を有してもよい。
【0069】
本発明の磁気計測装置は、ユーザが各遅延時間を書き換える(再設定する)ことが可能に構成されていてもよい。
【0070】
次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0071】
(1)磁気計測装置の製造方法であって、次の各ステップを備え、用意ステップでは、磁気異方性を有するセンシング用ワイヤと、前記センシング用ワイヤに巻かれたセンシング用ピックアップコイルと、前記センシング用ワイヤにパルス電流を供給するように構成されたパルス生成回路と、前記パルス電流の供給開始から、設定されたセンシング遅延時間が経過したタイミングで、前記パルス電流によって前記センシング用ピックアップコイルに生じるセンシング用誘導起電力を計測するように構成されたセンシング回路と、を用意し、設定ステップでは、前記パルス電流の供給開始後、前記センシング用誘導起電力のS/N比が小さくなる特異期間が除かれるように前記センシング遅延時間を設定する、方法。
【0072】
(2)上記(1)に記載の磁気計測装置の製造方法において、前記設定ステップでは、センシング用ワイヤに一定の磁界が印加された環境で、前記パルス電流の供給開始から前記センシング用誘導起電力を計測するまでの時間を変化させながら前記S/N比を計測することで、前記センシング遅延時間を決定する、方法。
【0073】
(3)上記(2)に記載の磁気計測装置の製造方法において、前記設定ステップでは、前記センシング用誘導起電力のピーク値が観測されるタイミングが含まれ、かつ、絶対値が予め定めた閾値以上となる前記センシング用誘導起電力が観測され得る期間に対し、前記S/N比の計測を行う、方法。
【0074】
(4)上記(2)又は(3)に記載の磁気計測装置の製造方法において、前記設定ステップでは、一定値以下の前記S/N比が計測されたタイミングよりも、前記センシング用誘導起電力を計測するタイミングが10nsec以上後になるように、前記センシング遅延時間を設定する、方法。
【0075】
(5)上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の磁気計測装置の製造方法において、前記センシング回路は、第1遅延時間が経過したタイミングで前記センシング用誘導起電力を計測する第1検波回路と、前記第1遅延時間よりも長い第2遅延時間が経過したタイミングで前記センシング用誘導起電力を計測する第2検波回路と、を有し、前記用意ステップでは、前記第1検波回路が計測した前記センシング用誘導起電力と、前記第2検波回路が計測した前記センシング用誘導起電力との差分を算出するように構成された時間差分回路をさらに用意し、前記設定ステップでは、前記センシング遅延時間として、前記第1遅延時間と前記第2遅延時間とを設定する、方法。
【0076】
(6)上記(1)から(5)のいずれか1つに記載の磁気計測装置の製造方法において、前記用意ステップでは、磁気異方性を有するリファレンス用ワイヤと、前記リファレンス用ワイヤに巻かれたリファレンス用ピックアップコイルと、前記パルス電流の供給開始から、設定されたリファレンス遅延時間が経過したタイミングで、前記パルス電流によって前記リファレンス用ピックアップコイルに生じるリファレンス用誘導起電力を計測するように構成されたリファレンス回路と、前記センシング用誘導起電力と、前記リファレンス用誘導起電力との差分を算出するように構成された出力差分回路と、をさらに用意し、前記設定ステップでは、前記パルス電流の供給開始後、前記リファレンス用誘導起電力のS/N比が小さくなる特異期間が除かれるように前記リファレンス遅延時間を設定する、方法。
【0077】
(7)磁気計測装置であって、磁気異方性を有するセンシング用ワイヤと、前記センシング用ワイヤに巻かれたセンシング用ピックアップコイルと、前記センシング用ワイヤにパルス電流を供給するように構成されたパルス生成回路と、前記パルス電流の供給開始から、設定されたセンシング遅延時間が経過したタイミングで、前記パルス電流によって前記センシング用ピックアップコイルに生じるセンシング用誘導起電力を計測するように構成されたセンシング回路と、を備え、前記センシング遅延時間は、前記パルス電流の供給開始後、前記センシング用誘導起電力のS/N比が小さくなる特異期間が除かれるように設定されている、もの。
【0078】
(8)上記(7)に記載の磁気計測装置において、前記特異期間が記憶されている、もの。
もちろん、この限りではない。
【0079】
最後に、本開示に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0080】
1A :磁気計測装置
1B :磁気計測装置
2 :センシング用ワイヤ
3 :センシング用ピックアップコイル
4 :パルス生成回路
5 :センシング回路
5A :調整用センシング回路
6 :時間差分回路
6A :第1時間差分回路
6B :第2時間差分回路
7 :リファレンス用ワイヤ
8 :リファレンス用ピックアップコイル
9 :リファレンス回路
10 :出力差分回路
101 :遅延回路
102 :タイマクロック
103 :微分回路
104 :サンプルホールド回路
104A :第1サンプルホールド回路
104B :第2サンプルホールド回路
104C :第3サンプルホールド回路
104D :第4サンプルホールド回路
105 :オペアンプ
106 :アナログ・デジタル変換回路
107 :データ処理部
108 :メモリ
109 :高速ボルテージバッファ
110 :基準電位回路
111A :第1バランスバッファ
111B :第2バランスバッファ
112 :計装アンプ
113 :機能回路
200 :製造装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8