(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169815
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】仮設トイレシステム
(51)【国際特許分類】
E03D 11/00 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
E03D11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086578
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】523198958
【氏名又は名称】島田建設工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000501
【氏名又は名称】翠弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敦史
【テーマコード(参考)】
2D039
【Fターム(参考)】
2D039AA02
2D039CB01
2D039CC01
2D039CC09
2D039DA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】初期雨水を貯水タンクに流入することを防ぎ、泥やゴミなどの不純物の少ない雨水を貯水タンクに貯留可能とし、当該雨水によって便器の洗浄を可能とするシステムを得る。
【解決手段】床タンク2と、便器と、扉部を備えた側壁4と、当該側壁4の内部を被覆する屋根部材8とを備え、屋根部材8には、雨水を貯留可能とする凹部12を備え、当該凹部12に連通管16を通じて連通可能な貯水タンク21を連結し、当該貯水タンク21から上記便器に上記雨水を供給可能とする。上記連通管16には、上記床タンク2側に突出したU字型の湾曲部28を備えるとともに、当該湾曲部28の先端から分岐管32の一端を接続し、当該分岐管32と排出管33との間に貯留管35を連通可能に備え、当該貯留管35内には、当該貯留管35と上記分岐管32との接続部、または当該貯留管35と上記排出管33との接続部のいずれか一方を閉止可能とする浮き球を収納している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床タンクと、当該床タンク上に配置した便器と、当該便器を取り囲むとともに扉部を備えた側壁と、当該側壁の上端に配置するとともに当該側壁の内部を被覆する屋根部材とを備え、上記屋根部材には、雨水を貯留可能とする凹部を備えるとともに、当該凹部に連通管を通じて連通可能とするとともに上記雨水を貯留可能とする貯水タンクを連結し、当該貯水タンクから上記便器に上記雨水を供給可能とした仮設トイレシステムにおいて、上記連通管には、上記床タンク側に突出したU字型の湾曲部を備えるとともに、当該湾曲部の先端から上記床タンク側に延びる分岐管の一端を、当該湾曲部に連通可能に接続し、当該分岐管の他端に排出管を設け、当該分岐管と上記排出管との間に、当該分岐管よりも径大な貯留管を連通可能に備えるとともに、当該貯留管内には、当該貯留管と上記分岐管との接続部、または当該貯留管と上記排出管との接続部のいずれか一方を閉止可能とする浮き球を収納したことを特徴とする仮設トイレシステム。
【請求項2】
上記排出管は、その先端側の内径を、上記連通管よりも径小としたことを特徴とする請求項1の仮設トイレシステム。
【請求項3】
上記凹部は、その底部が上記連通管との連通部に向かって上記床タンク側に傾斜して成ることを特徴とする請求項1の仮設トイレシステム。
【請求項4】
上記屋根部材は、上記側壁の内部を被覆する天板と、当該天板の上面に載置されるとともに、上記凹部を備えた雨水収集屋根とから成ることを特徴とする請求項3の仮設トイレシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、工事現場等の屋外に設置して使用する仮設トイレシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工事現場等の屋外に設置する仮設トイレであって、床タンクと、当該床タンクに配置した便器と、当該便器を取り囲む扉部を備えた側壁と、当該側壁の上端に配置するとともに当該側壁の内部を被覆する屋根部材と、上記便器に水を供給可能とする給水タンクとを備えたものが既に公知となっている。
【0005】
しかしながら、このような仮設トイレは工事現場や建設現場、あるいは公園、遊興施設等の屋外に一時的に設置されるものであるから、上記給水タンクを水道に接続していないものが一般的である。そのため、必要に応じて給水タンクに水を供給する必要があることから、作業者が当該仮設トイレまでその都度水を運び、給水タンクへの給水作業を行わなければならず作業が煩雑であるとともに人手を要するためコストがかかるものとなっていた。
【0006】
上記の如き給水の煩雑さや手間を解消するため、特許文献1に示す如く屋根部材にて雨水を受水し、当該雨水を貯水タンク内に貯留することにより、当該貯水タンクの水にて当該便器の洗浄を可能とするものが既に公知となっている。
【0007】
しかしながら上記の如く雨水を貯水タンクに貯留して便器の洗浄に使用する場合、降雨当初の初期雨水には多くの不純物が含まれるとともに、降雨前に屋根部材に堆積した泥やゴミ等も雨水と一緒に貯水タンクに流れ込むという問題が生じていた。そのため、当該貯水タンク内に多量の泥やゴミ等が混入するものとなり、当該初期雨水によって便器の洗浄を行った場合に、当該便器が上記不純物により汚れたり、便器に接続された排水管が詰まって不具合が生じる等の問題が懸念されていた。
【0008】
そこで本発明は上記課題を解決するため、初期雨水が貯水タンクに流入する事態を防ぐことにより泥やゴミ等の不純物の少ない雨水を貯水タンクに貯留可能とし、貯水タンクから不純物の少ない雨水を供給して便器の洗浄を可能とする仮設トイレシステムを得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本願発明は、床タンクと、当該床タンク上に配置した便器と、当該便器を取り囲むとともに扉部を備えた側壁と、当該側壁の上端に配置するとともに当該側壁の内部を被覆する屋根部材とを備え、上記屋根部材には、雨水を貯留可能とする凹部を備えるとともに、当該凹部に連通管を通じて連通可能とするとともに上記雨水を貯留可能とする貯水タンクを連結し、当該貯水タンクから上記便器に上記雨水を供給可能とした仮設トイレシステムにおいて、上記連通管には、上記床タンク側に突出したU字型の湾曲部を備えるとともに、当該湾曲部の先端から上記床タンク側に延びる分岐管の一端を、当該湾曲部に連通可能に接続し、当該分岐管の他端に排出管を設け、当該分岐管と上記排出管との間に、当該分岐管よりも径大な貯留管を連通可能に備えるとともに、当該貯留管内には、当該貯留管と上記分岐管との接続部、または当該貯留管と上記排出管との接続部のいずれか一方を閉止可能とする浮き球を収納したものである。
【0010】
また、上記排出管は、その先端側の内径を上記連通管よりも径小としたものであってもよい。このように排出管を径小とすることにより、貯留管に貯留した初期雨水の排出を、上記連通管における雨水の流通よりも遅くすることができる。そのため、当該貯留管に貯留した初期雨水が長時間当該貯留管に留まることから、上記初期雨水が貯留管に流入した後の大半の雨水は、当該貯留管よりも上記貯水タンク側に流通を促される。よって、初期雨水の採取以降に連通管内に流入した雨水は、貯水タンクに効率的に移送されるものとなる。
【0011】
また上記凹部は、その底部が上記連通管との連通部に向かって上記床タンク側に傾斜して成るものであってもよい。このように連通部に向かって傾斜させることにより、上記凹部にて受水した雨水を自動的に上記連通側に移送することが可能となる。そのため、当該凹部から上記連通管を通じて上記貯水タンクに雨水を効率よく移送することが可能となる。
【0012】
また上記屋根部材は、上記側壁の内部を被覆する天板と、当該天板の上面に載置されるとともに、上記凹部を設けた雨水収集屋根とから成るものであってもよい。上記の如く屋根部材を天板と雨水収集屋根とで形成することにより、既設の仮設トイレの天板に雨水収集屋根を取り付けることにより、本発明の仮設トイレシステムを容易に形成することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上記の如く、連通管の湾曲部の先端から上記床タンク側に延びる分岐管を備えるとともに、当該分岐管に、浮き球を収納した貯留管を接続したものであるから、降雨当初において、上記屋根部材の凹部にて受水された初期雨水は、上記連通管を通じて当該貯留管内に流入するものとなる。そして当該初期雨水が貯留管内に流入することにより当該初期雨水の水面が上昇するとともに上記浮き球が当該水面に浮上し上昇する。
【0014】
そして最終的には上記浮き球が当該貯留管と上記分岐管との接続部にて留まるものとなり、当該浮き球にて上記接続部が閉止される。このように、当該浮き球によって上記接続部が閉止された場合は、以後上記連通管の湾曲部を通過した雨水が貯留管に移送されることなく上記湾曲部を通過し、最終的に上記貯水タンクに供給されるものとなる。
【0015】
そのため、泥やゴミが多く混入している初期雨水は、上記貯水タンクに移送されることなく貯留管に貯留される一方、当該初期雨水の採取以降に連通管に移送された雨水のみを貯水タンクに貯水することが可能となる。よって、当該貯水タンクに泥やゴミ等の不純物が多く混入するという事態を防ぐことができる。そのため、当該貯水タンクに貯水した雨水によって便器を洗浄した際に、便器を泥などで汚すことなく当該便器を貯水タンクの不純物の少ない雨水にて洗浄することが可能となるとともに、当該不純物によって便器の排水管等が詰まるなどの事態が生じにくく、仮設トイレを良好な状態で使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図4】
図1の一点鎖線で囲まれた部分の部分拡大斜視図。
【
図5】実施例1において排出管と貯留管との間の接続部が浮き球にて閉止された状態を示す部分拡大断面図。
【
図6】実施例1において貯留管内にて浮き球が初期雨水の水面に浮いた状態を示す部分拡大断面図。
【
図7】実施例1において分岐管と貯留管との間の接続部が浮き球にて閉止された状態を示す部分拡大断面図。
【
図8】実施例1において浮き球が初期雨水の水面とともに下降する状態を示す部分拡大断面図。
【
図9】本発明の実施例2を示す雨水収集屋根の斜視図。
【
図10】実施例2において一対の雨水収集屋根の連結状態を示す概念図。
【
図11】実施例3において貯留管内にて浮き球が初期雨水の水面に浮いた状態を示す部分拡大断面図。
【
図12】他の異なる実施例において固定紐体にて雨水収集屋根を接続固定した状態を示す概念図。
【実施例0017】
本発明の実施例1について以下に説明する。まず、
図1、2に示す如く(1)は仮設トイレ本体であって、工事現場等で一般的に使用されているものである。この仮設トイレ本体(1)は
図2に示す如く、地面に設置した床タンク(2)と、当該床タンク(2)の上面に組付けた便器(3)とを備えている。また当該便器(3)の外周には、当該便器(3)の四方をそれぞれ側壁(4)にて取り囲むとともに、当該四方の側壁(4)のうちの一の側壁(4)に扉部(図示せず。)を備えている。また、当該側壁(4)の上端には、当該側壁(4)の内部を被覆する天板(5)を設けている。
【0018】
そして当該天板(5)には、長方形の窓部(6)を設けており、日中は当該窓部(6)からの太陽光により当該仮設トイレ本体(1)内の明かりを確保している。また当該天板(5)には、雨水(44)を受水可能とする雨水収集屋根(7)を載置し、当該雨水収集屋根(7)と上記天板(5)とにより、本実施例の屋根部材(8)を構成している。
【0019】
当該雨水収集屋根(7)は
図3に示す如く、平板状の屋根本体(11)の外周に凹部(12)を環状に設けるとともに、当該凹部(12)の外周に周壁(13)を立ち上げて成るものである。また上記屋根本体(11)には、上記天板(5)の窓部(6)の対応位置に開口部(14)を開口し、当該窓部(6)を露出可能としている。また、当該雨水収集屋根(7)の角部位置において、上記凹部(12)の底部(15)に上記連通管(16)に連通する連通開口(17)を設け、当該連通開口(17)を本発明の連通部(18)としている。そして上記凹部(12)は
図3に示す如く、当該連通開口(17)に向かってその底部(15)を、上記床タンク(2)側である
図3の上下方向における下方に傾斜させている。また当該連通開口(17)は
図1に示す如く、上記側壁(4)よりも外方に位置するよう形成している。
【0020】
上記の如く雨水収集屋根(7)を形成することによって、上記凹部(12)にて受水した雨水(44)を自動的に上記連通開口(17)に移送することが可能となる。そのため、当該凹部(12)から上記連通管(16)への雨水(44)の移送を円滑に行うことが可能となり、ひいては以下に説明する貯水タンク(21)への雨水(44)の移送を迅速に行うことが可能となる。
【0021】
また
図1に示す如く、上記雨水収集屋根(7)には、長尺な固定紐体(22)の一端を接続固定している。この固定紐体(22)は平坦なロープ状であって、その一端に固定具(23)を備えるとともに、他端に係合部材(24)を備えている。そして、上記雨水収集屋根(7)の周壁(13)の外面に、上記固定紐体(22)の一端を、上記固定具(23)にて接続固定している。また
図1に示す如く、上記固定具(23)の垂直下方には、床タンク(2)の外側面に係止部(25)を設けている。
【0022】
そして
図4に示す如く、当該係止部(25)に、上記固定紐体(22)の他端に設けた係合部材(24)を係合固定している。これにより、当該雨水収集屋根(7)を当該天板(5)に、容易且つ確実に、また特別な加工を施す必要がなく、既存の仮設トイレに上記雨水収集屋根(7)を容易に固定配置し、本発明の仮設トイレシステムとして使用することが可能となる。
【0023】
尚、本実施例では上記の如く、固定紐体(22)にて上記雨水収集屋根(7)を固定配置しているが、他の異なる実施例では
図12に示す如く、当該固定紐体(22)を上記係止部(25)に挿通するとともに上記雨水収集屋根(7)に開口した一対の挿通口(66)に挿通し、当該固定紐体(22)の一端と他端とを接続固定することにより、当該固定紐体(22)にて上記雨水収集屋根(7)を固定配置することも可能である。
【0024】
また
図1に示す如く、上記雨水収集屋根(7)に形成した連通開口(17)には、連通管(16)の一端(26)を接続するとともに、他端(27)を以下に説明する貯水タンク(21)に接続している。そして当該連通管(16)には、
図1に示す如く上記床タンク(2)側に突出したU字型の湾曲部(28)を備えるとともに、当該湾曲部(28)から連続して当該湾曲部(28)とは反対側の屋根部材(8)側に突出した上方曲部(31)を備えている。
【0025】
また上記湾曲部(28)には、
図1に示す如く当該湾曲部(28)の下端から上記床タンク(2)側に延びる分岐管(32)の一端を連通可能に接続している。そして、当該分岐管(32)の他端には排出管(33)を接続しており、
図5に示す如く当該排出管(33)の先端(34)側の内径を、上記連通管(16)よりも径小としている。また、当該排出管(33)と上記分岐管(32)との間には、当該分岐管(32)よりも径大な貯留管(35)を備えている。そして当該貯留管(35)内には、
図5、7に示す如く当該貯留管(35)と分岐管(32)との接続部(36)、または当該貯留管(35)と上記排出管(33)との接続部(37)のいずれか一方を閉止可能とする浮き球(38)を収納している。
【0026】
また上記貯水タンク(21)は
図2に示す如く、側壁(4)内において上記便器(3)の外周に位置するとともに、
図2に示す如くその一部を、当該便器(3)の後方に位置する側壁(4)開口から外方に突出して配置している。そして、上記側壁開口(42)から外方に突出した貯水タンク(21)の突出部(43)に、上記連通管(16)の他端(27)を接続している。上記の如く構成することにより、上記雨水収集屋根(7)にて受水した雨水(44)を上記連通管(16)を通じて当該貯水タンク(21)に移送可能としている。
【0027】
そして上記貯水タンク(21)には、当該貯水タンク(21)から便器(3)内に水を給水するための給水管(図示せず。)が配置され、当該給水管に設けた給水ポンプ(図示せず。)を作動させることにより、上記貯水タンク(21)内に貯水した雨水(44)を、上記給水管を通じて便器(3)内に供給可能としている。また上記便器(3)の底部には、
図2に示す如く当該便器(3)内の汚物等を排出可能とする排水管(45)が設けられ、当該排水管(45)の先端を床タンク(2)内に挿入配置している。よって、上記の如く便器(3)内に供給されるとともに上記便器(3)内の洗浄に使用された排水は、汚物とともに、上記排水管(45)を通じて床タンク(2)内に排出されるものとなる。
【0028】
上記構成の仮設トイレシステムを使用した雨水収集方法について以下に説明する。まず、降雨当初の初期雨水(10)が雨水収集屋根(7)の凹部(12)に受水され、上記連通開口(17)を通じて連通管(16)に流入する。その後、当該初期雨水(10)は連通管(16)の湾曲部(28)に移送され、更に当該湾曲部(28)から、上方曲部(31)に移行することなく上記湾曲部(28)から下方に延びる分岐管(32)を通じて貯留管(35)に流入する。
【0029】
この時、当該貯留管(35)内の浮き球(38)は、
図5に示す如く当該貯留管(35)と上記排出管(33)との接続部(37)に位置し、当該接続部(37)を閉止した状態であることから、上記初期雨水(10)は当該貯留管(35)内に貯留される。その後、上記貯留管(35)内への初期雨水(10)の流入に伴い上記貯留管(35)内の初期雨水(10)量が増加するにつれて、当該貯留管(35)内に配置した浮き球(38)は、
図6に示す如く上記初期雨水(10)の水面に浮かび当該水面とともに上昇するものとなる。
【0030】
そして、当該浮き球(38)が上記貯留管(35)の上端に達することにより、
図7に示す如く当該貯留管(35)と上記分岐管(32)との接続部(36)が上記浮き球(38)によって閉止される。そのため、当該接続部(36)の閉止後に連通管(16)の湾曲部(28)に移送された雨水(44)は、上記貯留管(35)に流入することなく当該湾曲部(28)に連続する上方曲部(31)に移送され、最終的には上記連通管(16)の他端(27)から貯水タンク(21)に供給されるものとなる。一方、上記貯留管(35)内に貯留された初期雨水(10)は、
図8に示す如く上方曲部(31)を通じて最終的に上記排出管(33)から外方に排出されるものとなる。
【0031】
ここで、上記の如く上記貯留管(35)から連続する排出管(33)の先端(34)側の内径を径小としていることから、上記貯留管(35)に貯留された初期雨水(10)の排出が当該排出管(33)によって遅延し、長時間にわたって当該貯留管(35)に留まるものとなる。よって、上記初期雨水(10)貯留後に上記湾曲部(28)に移送された雨水(44)が一時的には貯留管(35)に移送されるものの、早い段階で上記浮き球(38)にて接続部(36)が閉止されることから、大半が貯水タンク(21)側に移送されるものとなる。
【0032】
そして上記の如く貯水タンク(21)に貯水した雨水(44)は、上記給水ポンプを作動させることによって上記便器(3)内に供給され、当該雨水(44)により便器(3)内を洗浄した後、汚物等とともに上記排出管(33)から床タンク(2)に排出される。
【0033】
上記の如く、降雨当初の初期雨水(10)は上記貯留管(35)に貯留および排出管(33)より排出されることから、確実に外部に排出されるものとなる。そのため、当該初期雨水(10)採取後の雨水(44)を貯水タンク(21)に確実に貯水することが可能となる。よって、当該貯水タンク(21)に、初期雨水(10)に多く混入している泥やゴミが貯水タンク(21)に流入するという事態を防ぐことができる。従って、便器(3)を泥などで汚すことなく清潔な状態で当該便器(3)に雨水(44)を供給することが可能となるとともに、排水管(45)のつまりが生じにくいものとなり、当該仮設トイレを良好な状態で使用することが可能となる。
実施例1では上記の如く、既設の単一トイレユニットの仮設トイレ本体(1)の天板(5)に雨水収集屋根(7)を固定配置しているが、本実施例2では2つのトイレユニットが連結された仮設トイレ本体(図示せず。)の天板(図示せず。)に、一対の雨水収集屋根(55)を連結して固定配置している。本実施例について以下に説明すると、本実施例の仮設トイレ本体は、上記実施例1の仮設トイレ本体(1)に小便器用仮設トイレを連接したものであって、その天板の広さを上記実施例1の天板(5)の広さの二倍としている。