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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169819
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】電気機器の回路基板
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/631 20060101AFI20241129BHJP
   H01R 12/73 20110101ALI20241129BHJP
   H01R 13/10 20060101ALI20241129BHJP
   H05K 7/14 20060101ALI20241129BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
H01R13/631
H01R12/73
H01R13/10 Z
H05K7/14 C
H02K5/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086589
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000115773
【氏名又は名称】リズム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】北嶋 芳一
(72)【発明者】
【氏名】石塚 義行
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
5E348
5H605
【Fターム(参考)】
5E021FA02
5E021FA20
5E021FB21
5E021FB30
5E021FC31
5E223AA30
5E223AB26
5E223BA23
5E223BA27
5E223BB01
5E223BB12
5E223CB22
5E223CB38
5E223CD01
5E223DA05
5E223DB01
5E223DB08
5E223DB11
5E348AA07
5E348CC08
5E348CC09
5E348DE08
5H605AA08
5H605BB05
5H605BB10
5H605CC06
5H605EC05
5H605EC07
5H605EC20
(57)【要約】
【課題】オス端子に位置誤差が生じている場合であっても、メス端子側で位置誤差を吸収して良好な導通性を確保できる電気機器の回路基板を提供する。
【解決手段】ベースフレーム5から延設された互いに直交する3つのオス端子6U,6V,6Wを、回路基板4の端子孔7を介して表面側に突出させ、各オス端子6U,6V,6Wに対応して回路基板4の表面側に実装された大略U字状をなすメス端子8U,8V,8Wの脚部8bにより、各オス端子6U,6V,6Wを弾性をもって挟持する。平面視aにおいて、各メス端子8U,8V,8Wの脚部8bをオス端子6U,6V,6Wに対して直交させ、且つ両脚部8bをオス端子6U,6V,6Wの横幅方向の両端縁6bのみと接触させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器から延設された少なくとも一対の平型状をなすオス端子が裏面側から端子孔を介して表面側に突出し、前記各オス端子に対応して表面側に実装された大略U字状をなすメス端子により前記各オス端子を弾性をもって挟持して電気的に接続される電気機器の回路基板において、
前記各メス端子は、対応する前記オス端子に対して平面視において略直交する姿勢で配設されて、前記オス端子の横幅方向の両端縁のみと接触して前記オス端子を挟持する
ことを特徴とする電気機器の回路基板。
【請求項2】
前記各オス端子は、平面視において互いに直交して配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電気機器の回路基板。
【請求項3】
前記各メス端子は、前記回路基板上から立設した一対の脚部を連結部を介して互いに連結してなり、
前記一対の脚部は、前記回路基板上から次第に接近して最接近部を経て次第に離間して前記連結部へと連続している
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電気機器の回路基板。
【請求項4】
前記電気機器は、円筒状をなすケーシングを有するモータであり、
前記回路基板は、前記ケーシングと対応する円形板状をなして前記ケーシング内に配設され、
前記各メス端子は、前記回路基板上にハンダ付けされた一対のハンダ付け部からそれぞれ脚部を立設させて連結部により互いに連結してなり、前記脚部及び連結部に対して前記ハンダ付け部が前記回路基板の内周側にオフセット配置されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電気機器の回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器の回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気機器の回路基板として、例えば特許文献1には、ハウジングに開口形成した栓刃挿通孔内に大略U字状をなす刃受けばねを収容したものが開示されている。刃受けばねには絶縁基台上に立設された導体バーの栓刃が挿入され、刃受けばねが弾性をもって栓刃を板厚方向に挟持することにより電気的に接続している。
【0003】
また、特許文献2には、直交配置した一対の雌型タブ端子を実装してなる回路基板が開示されている。回路基板上に配設されるアッパーカバーには、各雌型タブ端子と対応する位置に雄型タブ端子がインサート成形され、これらの雄型タブ端子をそれぞれ雌型タブ端子に挿入して電気的に接続している。このような直交配置により互いのタブ端子の遊びを規制し、アッパーカバーに対応する回路基板の位置決め精度を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3399160号公報
【特許文献2】特開2008-282766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように単一の端子(刃受けばね及び栓刃)を接続する場合には問題は生じないが、特許文献2のように直交配置した一対の雌型タブ端子及び雄型端子を接続する場合には、以下に述べる問題が発生する。
【0006】
製造時において一対の雄型タブ端子に位置誤差が生じることは避けられないため、このときの位置誤差を雌型タブ端子側で吸収する必要が生じる。しかしながら、特許文献2のように雄型タブ端子を板厚方向に雌型タブ端子で挟持した場合には、逃げ場がないことから位置誤差の吸収が困難となる。従って、例えば雌型タブ端子に無理な力が作用して回路基板上から剥離する等のトラブルの要因になり得る。
【0007】
また、雌型タブ端子は雄型タブ端子を挿入可能な最小限の形状をなしているため、十分な弾性をもって雌型タブ端子を挟持できず、電気的な導通性の点でも問題がある。
【0008】
そこで、導通性の向上を目的として、雌型タブ端子の形状を特許文献1の大略U字状をなす刃受けばねに変更することも考えられる。しかしながら、この場合には、雄型タブ端子を板厚方向に刃受けばねで挟持することになるため、雄型タブ端子側の位置誤差により、雄型タブ端子の一方の面にしか刃受けばねが接触しない事態が生じ、やはり導通性の点で問題が生じる。
【0009】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、オス端子に位置誤差が生じている場合であっても、メス端子側で位置誤差を吸収して良好な導通性を確保することができる電気機器の回路基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明の電気機器の回路基板は、電気機器から延設された少なくとも一対の平型状をなすオス端子が裏面側から端子孔を介して表面側に突出し、前記各オス端子に対応して表面側に実装された大略U字状をなすメス端子により前記各オス端子を弾性をもって挟持して電気的に接続される電気機器の回路基板において、前記各メス端子が、対応する前記オス端子に対して平面視において略直交する姿勢で配設されて、前記オス端子の横幅方向の両端縁のみと接触して前記オス端子を挟持することを特徴とする。
【0011】
このように構成した電気機器の回路基板によれば、各メス端子がオス端子に対して略直交し、且つオス端子の横幅方向の両端縁のみと接触するため、何れのオス端子に位置誤差が生じていても、その位置誤差をメス端子側で吸収可能となる。
【0012】
その他の態様として、前記各オス端子が、平面視において互いに直交して配置されていてもよい。
このように構成した場合には、直交して配置された何れのオス端子に位置誤差が生じていても、その位置誤差をメス端子側で吸収可能となる。
【0013】
その他の態様として、前記各メス端子が、前記回路基板上から立設した一対の脚部を連結部を介して互いに連結してなり、前記一対の脚部が、前記回路基板上から次第に接近して最接近部を経て次第に離間して前記連結部へと連続していてもよい。
このように構成した場合には、メス端子が、その脚部の屈曲した形状をなす最接近部でオス端子を挟持するため、確実な接続を実現可能となる。
【0014】
その他の態様として、前記電気機器が、円筒状をなすケーシングを有するモータであり、前記回路基板が、前記ケーシングと対応する円形板状をなして前記ケーシング内に配設され、前記各メス端子が、前記回路基板上にハンダ付けされた一対のハンダ付け部からそれぞれ脚部を立設させて連結部により互いに連結してなり、前記脚部及び連結部に対して前記ハンダ付け部が前記回路基板の内周側にオフセット配置されていてもよい。
このように構成した場合には、内周側へのオフセット配置によりハンダ付け部の面積を確保可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の電気機器の回路基板によれば、オス端子に位置誤差が生じている場合であっても、メス端子側で位置誤差を吸収して良好な導通性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態のモータ及び回路基板を示す斜視図である。
図2】直交配置された3セットのオス端子とメス端子との接続状態を平面視、正面視及び側面視で示した説明図である。
図3】オス端子とメス端子との関係を示した部分拡大斜視図である。
図4】直交以外の角度で配置された2セットのオス端子とメス端子との接続状態を示した図2に対応する別例1の説明図である。
図5】並列配置された3セットのオス端子とメス端子との接続状態をした図2に対応する別例2の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明をモータに収容される電気機器の回路基板に具体化した一実施形態を説明する。
図1は、本実施形態のモータ及び回路基板を示す斜視図、図2は、直交配置された3セットのオス端子とメス端子との接続状態を平面視a、正面視b及び側面視cで示した説明図、図3は、オス端子とメス端子との関係を示した部分拡大斜視図である。なお、図2中の平面視aは、正面視bのA-A線断面に相当する。
【0018】
図1に示すように、モータ1(本発明の電気機器に相当)のケーシング2は円筒状をなし、ケーシング2の後端は開放され、ケーシング2の前端からは出力軸3が突出している。本実施形態の回路基板4はケーシング2と対応する円形板状をなし、ケーシング2の後端から内部に挿入・配設されている。なお、ケーシング2の後端は図示しないキャップにより閉塞され、内部への埃等の侵入が防止されている。
【0019】
図2に示すように、ケーシング2の後端において、その内部には円形板状をなすベースフレーム5が配設され、ベースフレーム5の後面5a上の出力軸3を中心とした90°間隔の3位置にはそれぞれオス端子6が設けられている。各オス端子6は長方形板状、即ち平型状をなして後方に向けて延設され、その先端は半円状に形成されている。各オス端子6の基端は図示しないU,V,W相のコイルと接続され、以下の説明では、各オス端子6にU,V,W相を付して区別する。
【0020】
図2中の平面視aに示すように、各オス端子6U,6V,6Wは、その板厚方向の一側面6aを出力軸3側に向けた姿勢で配設されている。上記のように各オス端子6U,6V,6Wは軸線Lを中心とした90°間隔で配設されているため、結果としてV相オス端子6VとU相オス端子6U及びW相オス端子6Wとは、互いに直交する姿勢で配置されていることになる。
【0021】
ベースフレーム5の後側には上記した回路基板4が配設され、回路基板4の前面4a(本発明の裏面に相当)はベースフレーム5に対して僅かな間隙をおいて相対向し、回路基板4の後面4b(本発明の表面に相当)はキャップと相対向している。回路基板4には、各オス端子6U,6V,6Wの断面形状に対応するスリット状の端子孔7が貫設され、各オス端子6U,6V,6Wは前面4a側から対応する端子孔7内に遊びをもって挿通されて、回路基板4の後面4bから後方に向けて突出している。回路基板4の外周とケーシング2の内周との間には間隙Sが形成されており、後述するようにオス端子6U,6V,6Wに位置誤差が生じた場合でも、それに伴う回路基板4の位置変位が許容されるようになっている。
【0022】
回路基板4の後面4b上の各端子孔7の位置にはメス端子8が実装され、それぞれオス端子6U,6V,6Wと対応している。以下、各メス端子8についてもU,V,W相を付して区別する。
【0023】
図2,3に示すように、各メス端子8U,8V,8Wは、回路基板4側に向けて開放された大略U字状をなしている。各メス端子8U,8V,8Wは、連結部8a、一対の脚部8b及び一対のハンダ付け部8cからなり、一枚の金属板を折曲して製作されて弾性を有する。以下、U相メス端子8Uの形状を述べるが、他のメス端子8V,8Wも同一形状である。
【0024】
U相メス端子8Uの一対のハンダ付け部8cは、端子孔7の両側で回路基板4上に重ねられてハンダ付けされ、各ハンダ付け部8cの内端から脚部8bがそれぞれ略直角に折曲されて回路基板4上で立設している。全体として各脚部8bは「く」字状をなしており、回路基板4上から次第に接近して最接近部8baを経て次第に離間し、その先端が平板状をなす連結部8aを介して互いに連結されている。
【0025】
図2中の平面視aで示す各オス端子6U,6V,6Wの姿勢に対応して、V相メス端子8VとU相メス端子8U及びW相メス端子8Wとは、互いに直交する姿勢で配置されている。詳しくは、各メス端子8U,8V,8Wは、その両脚部8bの横幅方向の一端縁8bbを出力軸3側に向けた姿勢で配設されている。結果として各メス端子8U,8V,8Wは、対応するオス端子6U,6V,6Wに対して同一の位置関係となる姿勢で配設され、図2中の平面視aにハッチングで示すように、その両脚部8bは平型状をなすオス端子6U,6V,6Wに対して直交している。そして各メス端子8U,8V,8Wの両脚部8bは、対応するオス端子6U,6V,6Wの横幅方向の両側に位置し、それぞれの最接近部8baをオス端子6U,6V,6Wの横幅方向の両端縁6bに弾性をもって接触させて挟持し、これによりオス端子6U,6V,6Wと電気的に接続されている。
【0026】
最も重要な点は、図2中の平面視aにおいて、各メス端子8U,8V,8Wの両脚部8bがそれぞれオス端子6U,6V,6Wに対して直交し、且つ両脚部8bがオス端子6U,6V,6Wの横幅方向の両端縁6bのみと接触していることであるが、その作用効果については後述する。
【0027】
メス端子8U,8V,8Wを実装済の回路基板4をモータ1のケーシング2に組み付ける手順は、以下のとおりである。
【0028】
回路基板4をベースフレーム5に接近させると、まず各オス端子6U,6V,6Wが端子孔7に次第に挿通され、その後に回路基板4の後面4b側に突出して、対応するメス端子8U,8V,8Wの両脚部8bの間に挿入され始める。オス端子6U,6V,6Wの先端は半円状をなし、且つメス端子8U,8V,8Wの両脚部8bの最接近部8baに至るまでの領域は次第に接近する形状をなすことから、オス端子6U,6V,6Wは両脚部8bを押し広げながら円滑に挿入され、正規の位置に達するとメス端子8U,8V,8Wに弾性をもって挟持される。このような接続操作を妨げないように、接続状態においてメス端子8U,8V,8Wの連結部8aとオス端子6U,6V,6Wの先端との間に空間を形成するように、メス端子8U,8V,8Wの脚部8bの長さ等が設定されている。
【0029】
そして、ケーシング2への回路基板4の組付後には、上記のようにメス端子8U,8V,8Wは、脚部8bの屈曲した形状をなす最接近部8baでオス端子6U,6V,6Wを挟持している。このため、オス端子6U,6V,6Wとの確実な接続を実現することができる。
【0030】
また、図2中の平面視aで示すように、各メス端子8U,8V,8Wの両脚部8b及び連結部8aに対して両ハンダ付け部8cは回路基板4の内周側にオフセット配置されている。各オス端子6U,6V,6Wの位置に対応して各メス端子8U,8V,8Wは回路基板4上のほぼ最外周に配設されているため、円弧状をなす回路基板4の外周に妨げられてハンダ付け部8cの面積を確保し難い。しかし、内周側へのオフセット配置によりハンダ付け部8cの面積を確保できるため、回路基板4に対するメス端子8U,8V,8Wの十分な接合強度を実現することができる。
【0031】
以上のように回路基板4上で3セットのオス端子6U,6V,6Wとメス端子8U,8V,8Wとがそれぞれ電気的に接続され、各メス端子8U,8V,8Wは図示しないコネクタ及びハーネスを介して外部のコントローラと接続される。コントローラからの駆動電流が各メス端子8U,8V,8W及び各オス端子6U,6V,6Wを介して各相のコイルにそれぞれ供給され、コイルの励磁によりモータ1が回転駆動される。
【0032】
ところで、既述したように、ベースフレーム5上に各オス端子6U,6V,6Wを固定する際に位置誤差が生じることは避けられないため、このときの位置誤差をメス端子8U,8V,8W側で吸収する必要が生じる。例えば、V相オス端子6Vに図2中の矢印X方向に沿った位置誤差が生じた場合、V相オス端子6Vを挟持しているV相メス端子8Vが同一方向に位置変位し、それに応じて回路基板4も同一方向に位置変位する。結果として正規位置にあるU相オス端子6U及びW相オス端子6Wに対して、回路基板4上のU相メス端子8U及びW相メス端子8Wが矢印X方向に位置変位することになる。
【0033】
本実施形態では、各メス端子8U,8V,8Wの両脚部8bがオス端子6U,6V,6Wに対して直交し、且つ両脚部8bがオス端子6U,6V,6Wの横幅方向の両端縁6bのみと接触している。換言すると、各メス端子8U,8V,8Wがオス端子6U,6V,6Wを横幅方向に挟持しているため、このときのU相メス端子8U及びW相メス端子8Wの位置変位が許容される。即ち、U相メス端子8U及びW相メス端子8Wのそれぞれの両脚部8bは、矢印X方向に沿った位置変位に伴ってU相オス端子6U及びW相オス端子6Wの両端縁6bとの接触位置を変化させるだけで、それぞれの接触状態を保ち続ける。このため、U相メス端子8U及びW相メス端子8Vの位置変位が許容される。結果として、V相オス端子6Vに生じた位置誤差がU相メス端子8U及びW相メス端子8Vにより吸収されることになる。
【0034】
なお、V相オス端子6Vに矢印X方向への位置誤差が生じたときに回路基板4が回転を伴って位置変位することもあり、その場合にはU相メス端子8U及びW相メス端子8Wが完全にX方向に沿って位置変位しなくなる。しかし、そのような場合であっても、上記と同様の作用により、U相メス端子8U及びW相メス端子8Wの位置変位が許容される。
【0035】
また、逆にU相オス端子6UやW相オス端子6Wに図2中の矢印Y方向に沿った位置誤差が生じた場合には、V相メス端子8Vが矢印Y方向に沿って位置変位するが、上記と同様の作用により、このときのV相メス端子8Vの位置変位が許容される。
【0036】
結果として、何れのオス端子6U,6V,6Wに位置誤差が生じた場合であっても、その位置誤差がメス端子8U,8V,8W側で吸収される。このため、各オス端子6U,6V,6Wの両端縁6bと各メス端子8U,8V,8Wの両脚部8bとのそれぞれの接触状態を確実に保ち続けることができ、これにより良好な導通性を確保することができる。また、位置変位の吸収によりメス端子8U,8V,8Wに無理な力が作用しないことから、回路基板4上からメス端子8U,8V,8Wが剥離する等のトラブルを未然に防止することができる。
【0037】
なお、各メス端子8U,8V,8Wの両脚部8bをオス端子6U,6V,6Wに対して完全に直交させる必要はなく、直交から多少角度を変更してもよく(本発明の略直交する姿勢に相当)、この場合でも上記作用効果を達成することができる。
【0038】
ところで、上記実施形態では、3セットのオス端子6U,6V,6Wとメス端子8U,8V,8Wとを直交配置したが、本発明はこれに限るものではなく、以下に述べる別例1及び別例2のように配置してもよい。
【0039】
[別例1]
図4は、直交以外の角度で配置された2セットのオス端子とメス端子との接続状態を示した図2に対応する別例1の説明図である。
この例では、各セットのオス端子101a,101b及び各メス端子102a,102bとの間に135°の角度が形成されている。オス端子101a,101bは、上記実施形態のオス端子6U,6V,6Wと同一構成であり、メス端子102a,102bは、上記実施形態の8U,8V,8Wと同一構成である。この場合であっても、それぞれのオス端子101a,101bに生じた位置誤差を吸収することができる。
【0040】
[別例2]
図5は、並列配置された3セットのオス端子とメス端子との接続状態を示した図2に対応する別例1の説明図である。
この例では、3セットのオス端子6U,6V,6W及びメス端子8U,8V,8Wが平面視において同一姿勢で並列配置されている。オス端子6U,6V,6Wは、上記実施形態のオス端子6U,6V,6Wと同一構成であり、メス端子8U,8V,8Wは、上記実施形態の8U,8V,8Wと同一構成である。この場合であっても、それぞれのオス端子6U,6V,6Wに生じた位置誤差を吸収することができる。
【0041】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態及び別例1,2では、モータ1に収容される電気機器の回路基板4に具体化したが、これに限るものではなく、例えばブレーカー等の他の電気機器の回路基板に適用してもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 モータ(電気機器)
2 ケーシング
4 回路基板
4a 前面(裏面)
4b 後面(表面)
6U,6V,6W,101a,101b オス端子
6b 端縁
7 端子孔
8U,8V,8W,102a,102b メス端子
8a 連結部
8b 脚部
8ba 最接近部
8c ハンダ付け部
図1
図2
図3
図4
図5