(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169820
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】水性被覆材
(51)【国際特許分類】
C09D 201/00 20060101AFI20241129BHJP
C09D 7/40 20180101ALI20241129BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D7/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086590
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】599071496
【氏名又は名称】ベック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】三森 雅士
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038CG121
4J038HA166
4J038KA08
4J038KA20
4J038NA01
4J038PB05
4J038PC04
(57)【要約】
【課題】
本発明は、意匠性に優れた均質な粒模様を呈する被膜が形成できる被覆材を提供する。
【解決手段】
本発明水性被覆材は、液状またはゲル状の色粒が水性媒体に分散してなり、上記色粒は、着色顔料を含有する遮光性色粒(A)、着色顔料を含有し当該遮光性色粒と同色の透光性色粒(a)、及び上記遮光性色粒とは異色の色粒(B)を含むことを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状またはゲル状の色粒が水性媒体に分散してなる水性被覆材であって、
上記色粒は、
着色顔料を含有する遮光性色粒(A)、
着色顔料を含有し当該遮光性色粒と同色の透光性色粒(a)、及び
上記遮光性色粒とは異色の色粒(B)
を含むことを特徴とする水性被覆材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な水性被覆材に関するものである。
【0002】
従来、建築物、土木構造物等の意匠性を高めるため、その表面に、粒が散在した模様(以下単に「粒模様」ともいう)を付する手法等が採用されている。例えば特許文献1には、特定粘度に調製した着色塗材を用い、塗装時のパターンや吐出量等を制御しながらスプレー塗装して粒模様を形成する方法が記載されている。また特許文献2には、ベース塗材を塗装した後、ベース塗材とは異色の着色塗材を不均一に塗装する方法が記載されている。
【0003】
しかし、これらの手法は、いずれも工場内での塗装方法に関するものであり、着色塗材を機械的に制御しながらスパッタ塗装することにより粒模様を付しているものである。実在する建築物や土木構造物等の現場での塗装において上記特許文献の手法を適用しようとしても、所望の大きさの粒模様を安定して得ることは難しく、実用性に欠くのが現状である。
【0004】
一方、建築物の壁面等に対し、珪砂、雲母等の骨材を樹脂液に分散させたクリヤー塗料を塗装することによって、粒模様を付する方法も知られている。このような方法によれば、使用する骨材の粒度等を設定することで、所望の粒模様を得ることができる。例えば、特許文献3には、積層多彩模様塗膜上に、雲母等の扁平状着色物を含むクリヤー塗料を塗装する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3-186381号公報
【特許文献2】実開平4-77440号公報
【特許文献3】特許第6180678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3のような、珪砂、雲母等の骨材を含むクリヤー塗料を塗装した場合、被塗面において骨材どうしが寄り集まった状態となりやすく、粒の散在状態に偏りが生じるおそれがあり、均質な粒模様は得られ難い。
【0007】
本発明は、上述の課題に鑑みなされたものであり、意匠性に優れた均質な粒模様を呈する被膜が形成できる被覆材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、特定の色粒が水性媒体に分散してなる水性被覆材に想到し、本発明を完成させるに到った。
【0009】
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.液状またはゲル状の色粒が水性媒体に分散してなる水性被覆材であって、
上記色粒は、
着色顔料を含有する遮光性色粒(A)、
着色顔料を含有し当該遮光性色粒と同色の透光性色粒(a)、及び
上記遮光性色粒とは異色の色粒(B)
を含むことを特徴とする水性被覆材。
【発明の効果】
【0010】
本発明の水性被覆材によれば、意匠性に優れた均質な粒模様を呈する被膜を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0012】
本発明の水性被覆材は、液状またはゲル状の色粒が水性媒体に分散してなるものである。このような水性被覆材は、水性被覆材を構成する色粒と水性媒体との組み合わせ(色粒/水性媒体)によって、水中油型(O/W型)、または水中水型(W/W型)に分類される。本発明では、水中水型(W/W型)の水性被覆材が好適である。色粒と水性媒体との質量比率(色粒:水性媒体)は、好ましくは1:99~80:20(より好ましくは10:90~75:25、さらに好ましくは30:70~70:30)である。
【0013】
水性被覆材における色粒は、着色顔料を含むものであり、具体的には、樹脂と着色顔料、及び必要に応じ各種添加剤等を含む着色材が、水性媒体中に、液状またはゲル状の状態にて粒状に分散されたものである。着色材中の樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル酢酸ビニル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルアルコール、バイオガム、ガラクトマンナン誘導体、アルギン酸誘導体、セルロース誘導体等が挙げられる。このような樹脂が、水溶性樹脂及び/または水分散性樹脂(樹脂エマルション)の形態である場合、着色材を水性媒体に分散させると水中水型(W/W型)の水性被覆材となる。着色材中の樹脂固形分比率は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは3~40質量%、さらに好ましくは5~30質量%である。
【0014】
着色材における着色顔料は、色粒に色彩等を付与する成分である。着色顔料としては、例えば、酸化第二鉄(弁柄)、黄色酸化鉄、群青、コバルトブルー、コバルトグリーン等の無機有彩色顔料;アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジスアゾ系、イソインドリノン系、ベンゾイミダゾール系、フタロシアニン系、キノフタロン系等の有機有彩色顔料;カーボンブラック、鉄‐マンガン複合酸化物、鉄‐銅‐マンガン複合酸化物、鉄‐クロム‐コバルト複合酸化物、銅‐クロム複合酸化物、銅‐マンガン‐クロム複合酸化物、黒色酸化鉄、鉄-クロム複合酸化物、マンガン-ビスマス複合酸化物、マンガン-イットリウム複合酸化物等の黒色顔料;酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ等の白色顔料;その他パール顔料、アルミニウム顔料、光輝性顔料、蓄光顔料、蛍光顔料等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用できる。着色顔料の平均粒子径は、好ましくは2μm以下、より好ましくは0.01~1μmである。なお、本発明において、顔料の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定される平均値である(測定温度は25℃)。
【0015】
着色材中の着色顔料比率は、好ましくは0.01~50質量%、より好ましくは0.1~20質量%、さらに好ましくは0.5~10質量%である。なお、本発明において「a~b」は「a以上b以下」と同義である。
【0016】
着色材を水性媒体中に粒状に分散させる方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。例えばJIS K5667:2003「多彩模様塗料」に規定される材料の製造方法に準じた方法等が採用できる。具体的には、分散安定剤等を含む水性媒体に、着色材を分散させる方法等を採用することができる。分散安定剤は、着色材を粒状に安定化させる成分であり、例えば着色材のゲル化剤等として作用するものである。分散安定剤は、樹脂や着色材の種類等に応じて選定することができる。分散安定剤の具体例としては、例えば、マグネシウム塩類、カルシウム塩類、バリウム塩類、アルミニウム塩類、ナトリウム塩類、カリウム塩類、ホウ酸塩類、リン酸塩類等が挙げられる。この他、分散安定剤として、例えば、水溶性高分子類、粘土類等を使用することもできる。水性媒体は、上述と同様の樹脂(水溶性樹脂、樹脂エマルション等)を含むこともできる。水性媒体中の樹脂固形分比率は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは3~45質量%、さらに好ましくは5~40質量%である。
【0017】
着色材、水性媒体は、それぞれ各種添加剤を含むことができる。このような添加剤としては、例えば、体質顔料、骨材、充填剤、艶消し剤、繊維類、ゲル形成剤、顔料分散剤、乳化剤、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、カップリング剤、湿潤剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、乾燥調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、消泡剤、吸着剤、脱臭剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、触媒、架橋剤等が挙げられる。
【0018】
着色材及び/または水性媒体が体質顔料等を含むことにより、水性被覆材被膜を艶消しにすることができる。体質顔料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、寒水石、軽微性炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、陶土、チャイナクレー、珪藻土、バライト粉、硫酸バリウム、沈降性硫酸バリウム、珪砂、珪石粉、石英粉、樹脂ビーズ等が挙げられ、これらは1種または2種以上で使用することができる。体質顔料の屈折率は、好ましくは1.4~1.7である。体質顔料の平均粒子径は、好ましくは50μm以下、より好ましくは0.1~30μm、さらに好ましくは0.5~20μmである。
【0019】
着色材中の体質顔料比率は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは3~45質量%、さらに好ましくは5~40質量%である。水性媒体中の体質顔料比率は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは3~45質量%、より好ましくは5~40質量%である。
【0020】
色粒の粒径や形状は、適宜設定することができる。具体的には、製造時における攪拌羽根の形状、攪拌槽に対する攪拌羽根の大きさや位置、攪拌羽根の回転速度、撹拌時間、着色材の粘性、分散安定剤の添加方法や濃度、水性媒体の粘性等を適宜選択・調整すればよい。色粒の平均粒径は、好ましくは0.05~20mm(より好ましくは0.1~18mm)である。なお、本発明において、色粒の平均粒径は、標準白紙上で色粒を48時間、標準状態(気温23℃、相対湿度50%。以下同様。)にて乾燥させ、その長径の平均値(色粒50個の平均値)を算出することによって得られる値である。
【0021】
2種以上の色粒を含む水性被覆材を得るためには、例えば、
1種の着色材が分散した色粒分散液(1種の色粒を含む色粒分散液)をそれぞれ製造した後、これらを混合する方法、あるいは、
色調等が異なる2種以上の着色材を、同時ないし順に水性媒体に添加し分散させる方法、
等の方法を採用することができる。
【0022】
本発明の水性被覆材では、色粒として、着色顔料を含有する遮光性色粒(A)(以下「遮光性色粒(A)」ともいう)、着色顔料を含有し当該遮光性色粒と同色の透光性色粒(a)(以下「透光性色粒(a)」ともいう)、及び上記遮光性色粒(A)とは異色の色粒(B)(以下「色粒(B)」ともいう)を含む。本発明の水性被覆材は、このような特定の色粒を含むことにより、意匠性に優れた均質な粒模様を呈する被膜を形成することができる。なお、本発明において、透光性色粒とは、遮光性色粒よりも相対的に透光性が高いものである。
【0023】
本発明の水性被覆材は、一つの材料中に、同色であって透光性が相対的に異なる2種の色粒、すなわち、遮光性色粒(A)と、その遮光性色粒と同色の透光性色粒(a)が含まれ、さらに、これらとは異色の色粒(B)が含まれるものである。そのため、このような水性被覆材を塗装すると、遮光性色粒(A)と透光性色粒(a)によって、下地被覆材と深み感を有する背景(基調色)が形成され、そのような背景(基調色)の中に、色粒(B)が散在した粒模様を形成することができる。形成被膜中の色粒(B)の密度は、水性被覆材の全色粒中に占める色粒(B)比に応じたものとなる。被膜を観察すると、色粒(B)が手前側に存在するような遠近感も付与できる。本発明では、このような作用により、意匠性に優れた均質な粒模様を呈する被膜が形成できるものと考えられる。なお、基調色とは、形成被膜における複数の色のうち、最も大きな面積を占める色である。
【0024】
このような遮光性色粒(A)、透光性色粒(a)としては、目視にて互いに同色と視認できるものであればよい。好適な態様としては、各色粒を構成する着色材どうしの色差(△E)が好ましくは10未満(より好ましくは9.5以下、さらに好ましくは9以下)であればよく、特に、明度差|△L|{下記(L*1-L*2)の絶対値}が10未満(より好ましくは9.5以下、さらに好ましくは9以下)であるとより好適である。
【0025】
なお、色差(△E)は、色彩色差計を用いて測定される値である。具体的には、それぞれの色粒を構成する着色材を標準白紙に500μmの厚みで塗付け、標準状態にて48時間乾燥したときの被膜のL*値、a*値、b*値(測定点3箇所以上の平均値)より下記式にて算出することができる。
<式>△E={(L*1-L*2)2+(a*1-a*2)2+(b*1-b*2)2}0.5
(式中、L*1、a*1、b*1はそれぞれ一方の色粒を構成する着色材のL*、a*、b*。L*2、a*2、b*2はそれぞれ他方の色粒を構成する着色材のL*、a*、b*)
【0026】
本発明の水性被覆材において、遮光性色粒(A)は、色粒を構成する着色材として遮光性着色材を用いることによって得られ、透光性色粒(a)は、色粒を構成する着色材として透光性着色材を用いることによって得られる。
【0027】
遮光性着色材としては、透光性着色材よりも相対的に隠ぺい率が高いものを用いることができる。遮光性着色材と透光性着色材の隠ぺい率の差{(遮光性着色材の隠ぺい率)-(透光性着色材の隠ぺい率)}は、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上である。なお、隠ぺい率は、JIS K5663:2021「合成樹脂エマルションペイント及びシーラー」の7.9「隠ぺい率」の方法によって測定される値である。
【0028】
遮光性着色材の隠ぺい率は、透光性着色材の隠ぺい率よりも10%以上高いことが望ましく、20%以上高いことがより望ましく、30%以上高いことがさらに望ましい。遮光性着色材の隠ぺい率は、好ましくは60%超、より好ましくは65~100%、さらに好ましくは70~99%である。
【0029】
このような遮光性着色材を得るには、色調、隠ぺい率等を考慮して、例えば、樹脂、着色顔料、及び必要に応じ各種添加剤等を混合すればよい。遮光性着色材における着色顔料比率は、使用する着色顔料の種類等にもよるが、好ましくは0.5~50質量%、より好ましくは1~20質量%、さらに好ましくは1.6~10質量%である。
【0030】
遮光性色粒(A)の平均粒径は、好ましくは0.05~20mm、より好ましくは0.1~18mm、さらに好ましくは0.2~15mm、特に好ましくは0.3~12mmとすることができる。本発明において、遮光性色粒(A)の平均粒径は、透光性色粒(a)の平均粒径より大とすることもでき、その場合、遮光性色粒(A)の平均粒径は1~20mmであることが好ましく、より好ましくは2~18mm、さらに好ましくは2.5~15mm、特に好ましくは3~12mmである。このような平均粒径を有する遮光性色粒(A)は、下地被覆性、色粒(B)の濁り抑制等の点で好ましく、全体的な意匠性向上等の点でも好適である。
【0031】
水性被覆材における透光性色粒(a)は、透光性色粒(a)を構成する透光性着色材の隠ぺい率を、遮光性着色材の隠ぺい率よりも相対的に低く設定することにより得ることができる。透光性着色材の隠ぺい率は、例えば、隠ぺい率0~80%の範囲内で、遮光性着色材の隠ぺい率よりも相対的に低い値に設定することができる。透光性着色材の隠ぺい率は、好ましくは60%以下であり、より好ましくは6~55%、さらに好ましくは7~50%、特に好ましくは8~45%である。
【0032】
このような透光性着色材を得るには、色調、隠ぺい率等を考慮して、例えば、樹脂、着色顔料、及び必要に応じ各種添加剤等を混合する方法、遮光性着色材と樹脂及び/または体質顔料等とを混合する方法、透光性着色材と遮光性着色材とを混合する方法、等を採用することができる。透光性着色材における着色顔料比率は、使用する着色顔料の種類等にもよるが、好ましくは0.01~10質量%、より好ましくは0.1~5質量%、さらに好ましくは0.5~2質量%、特に好ましくは0.51~1.5質量%である。
【0033】
透光性色粒(a)の平均粒径は、好ましくは0.05~20mm、より好ましくは0.1~18mm、さらに好ましくは0.2~15mm、特に好ましくは0.3~12mmとすることができる。本発明において、透光性色粒(a)の平均粒径は、遮光性色粒(A)の平均粒径より小とすることもでき、その場合、透光性色粒(a)の平均粒径は0.05~5mmであることが好ましく、より好ましくは0.1~3mm、さらに好ましくは0.2~2mm、特に好ましくは0.3~1.9mmである。このような平均粒径を有する透光性色粒(a)は、粒模様の間隙を埋める作用、深み感を付与する作用等を十分に発揮することができ、下地被覆性、意匠性向上等の点で好適である。
【0034】
水性被覆材における、遮光性色粒(A)と透光性色粒(a)との質量比は、好ましくは99:1~5:95であり、より好ましくは98:2~30:70、さらに好ましくは97:3~50:50である。このような質量比であれば、下地被覆性、深み感付与等の点で好ましく、意匠性をいっそう高めることができる。
【0035】
遮光性色粒(A)と透光性色粒(a)は、形成被膜において基調色を呈する色粒であり、水性被覆材に含まれる複数色の色粒のうち、最も大きな比率で含有されるものである。水性被覆材における、遮光性色粒(A)と透光性色粒(a)の合計質量比率は、遮光性色粒(A)と透光性色粒(a)と色粒(B)との総量中に好ましくは20~99質量%であり、より好ましくは50~98質量%、さらに好ましくは55~97質量%である。このような質量比率であれば、本発明の効果を十分に発揮することができる。
【0036】
水性被覆材における色粒(B)としては、遮光性色粒(A)に対し、目視にて異色と視認できるものが使用できる。好適な態様としては、各色粒を構成する着色材どうしの色差(△E)が好ましくは10以上(より好ましくは13以上、さらに好ましくは15以上)であればよく、特に、明度差|△L|{上記(L*1-L*2)の絶対値}が10超(より好ましくは11以上、さらに好ましくは13以上、特に好ましくは15以上)であるとより好適である。
【0037】
色粒(B)は、遮光性色粒、透光性色粒のいずれであってもよい。遮光性を有する色粒(B)は、色粒(B)を構成する着色材として遮光性着色材を用いることによって得られ、透光性を有する色粒(B)は、色粒(B)を構成する着色材として透光性着色材を用いることによって得られる。
【0038】
色粒(B)が遮光性色粒である場合は、鮮明な粒模様を形成することができ、遠近感付与等の点でも好適である。この場合、色粒(B)を構成する着色材の隠ぺい率は、好ましくは60%超、より好ましくは65~100%、さらに好ましくは70~99%である。このような着色材を得るには、色調、隠ぺい率等を考慮して、例えば、樹脂、着色顔料、及び必要に応じ各種添加剤等を混合すればよい。このような着色材における着色顔料比率は、使用する着色顔料の種類等にもよるが、好ましくは0.5~50質量%、より好ましくは1~20質量%、さらに好ましくは1.6~10質量%である。
【0039】
色粒(B)の平均粒径は、好ましくは0.05~20mm、より好ましくは0.1~18mm、さらに好ましくは0.2~15mm、特に好ましくは0.3~12mmとすることができる。このような平均粒径を有する色粒(B)は、粒模様の意匠性向上等の点で好適である。
【0040】
色粒(B)としては、1種(1色)以上の色粒を含むことができ、2種(2色)以上の色粒を含むこともできる。本発明の水性被覆材では、粒模様が形成できるように、遮光性色粒(A)とは異色である色粒(B)が少なくとも1種以上含まれていればよい。
【0041】
水性被覆材における、色粒(B)の質量比率は、遮光性色粒(A)と透光性色粒(a)と色粒(B)との総量中に好ましくは1~80質量%であり、より好ましくは2~50質量%、さらに好ましくは3~45質量%である。このような質量比率であれば、粒模様の意匠性向上化等の点で好適である。
【0042】
本発明の水性被覆材は、例えば、建築物、土木構造物等の壁面等に適用することができる。このような壁面を構成する基材としては、例えば、コンクリート、モルタル、金属、木材、ガラス等、あるいは各種板状壁材等が挙げられる。このうち板状壁材としては、例えばセメント、珪酸カルシウム、石灰、石膏等のいずれかを主成分する無機質硬化体が挙げられる。このような板状壁材の具体例としては、例えば、セメントボード、押出成形板、スレート板、PC板、ALC板、繊維強化セメント板、サイディングボード、セラミック板、珪酸カルシウム板、石膏ボード、硬質木片セメント板等が挙げられる。
【0043】
水性被覆材の塗装前には、必要に応じ、基材の表面処理を行うことができる。表面処理としては、例えば、洗浄処理、ケレン処理、フィラー処理、パテ処理、サーフェーサー処理、シーラー処理等が挙げられる。このような表面処理は、例えば、既存被膜の種類や状態等を考慮して適宜行うことができる。
【0044】
水性被覆材の塗装前には、1種または2種以上の着色下塗材を塗付する工程を行うことができる。着色下塗材としては、例えば、樹脂、及び着色顔料を含み、その発色によって均一な単色被膜が形成できるもの等が使用できる。着色下塗材の色調は、水性被覆材の色調を考慮して設定することができ、例えば、水性被覆材の近似色に設定することができる。着色下塗材としては、例えば、平坦な被膜を形成するもの、種々の凹凸模様を形成するもの等が使用できる。
【0045】
着色下塗材の塗装方法としては、例えば、スプレー塗り、ローラー塗り、こて塗り、刷毛塗り等を採用することができる。着色下塗材の塗付け量は、好ましくは0.05~1kg/m2、より好ましくは0.1~0.8kg/m2である。着色下塗材は、塗装対象となる基材全体に均一に塗装することが望ましい。着色下塗材の塗装ないし乾燥は、好ましくは常温(0~40℃)で行えばよい。
【0046】
本発明では、必要に応じ上記表面処理、着色下塗材の塗装等を行った後、水性被覆材を塗装する。着色下塗材の塗装を行った場合、水性被覆材は、着色下塗材の被膜が乾燥した後に塗付することが望ましい。
【0047】
水性被覆材の塗装方法としては、例えば、スプレー塗り、ローラー塗り、刷毛塗り等を採用することができる。水性被覆材の塗付け量は、例えば1.5kg/m2以下とすることができ、好ましくは0.1~1kg/m2、より好ましくは0.2~0.7kg/m2である。本発明の水性被覆材は、塗付け量が少ない場合であっても、意匠性に優れた被膜が形成可能であり、塗付け量の上限を0.5kg/m2以下(さらには0.48kg/m2以下)とすることもでき、塗付け量が比較的少ない場合であっても下地被覆性等を発揮することができる。水性被覆材の塗装ないし乾燥は、好ましくは常温で行えばよい。
【0048】
水性被覆材の塗装時には水等の希釈剤を混合して粘性を適宜調製することもできる。希釈割合は、好ましくは0~10質量%である。塗装に供する水性被覆材の粘度は、好ましくは1~30Pa・s(より好ましくは2~20Pa・s)であり、チクソトロピーインデックスは、好ましくは2~9(さらに好ましくは3~8)である。
【0049】
本発明では、上記水性被覆材の被膜を最表面とすることができ、必要に応じ、上記水性被覆材の被膜の表面に、クリアコート材を塗付することもできる。クリアコート材は、水性被覆材の被膜が乾燥した後に塗付することができる。
【0050】
クリアコート材としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等、またはこれらの複合樹脂、あるいはコロイダルシリカ等を含むものが使用できる。これらは架橋反応性を有するものであってもよいし、目的に応じ、例えば、親水化剤、撥水剤等を含むものであってもよい。クリアコート材としては、水性の材料が好適である。クリアコート材としては、例えば、艶有りタイプ、艶消しタイプ等を適宜選択して使用することができる。
【0051】
クリアコート材の塗装方法としては、例えば、スプレー塗り、ローラー塗り、刷毛塗り等を採用することができる。クリアコート材の塗付け量は、好ましくは0.03~0.5kg/m2、より好ましくは0.05~0.4kg/m2である。クリアコート材の塗装ないし乾燥は、好ましくは常温で行えばよい。
【実施例0052】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。なお、本発明は、ここでの実施例に制限されるものではない。
【0053】
・色粒分散液1
容器内に合成樹脂エマルション1(アクリルシリコン樹脂エマルション、固形分40質量%)を75質量部仕込み、造膜助剤4質量部、水10質量部、ゲル化剤(ホウ酸アンモニウム5質量%水溶液)10質量部、消泡剤1質量部を加えて均一に混合することにより、水性媒体1を製造した。
一方、別の容器内に合成樹脂エマルション1(同上)を40質量部仕込み、造膜助剤2質量部、白色顔料液(酸化チタン60質量%分散液)3.5質量部、黄色顔料液(黄色酸化鉄60質量%分散液)0.04質量部、赤色顔料液(弁柄60質量%分散液)0.04質量部、青色顔料液(コバルトブルー60質量%分散液)0.4質量部、体質顔料15質量部、ゲル形成物質(ガラクトマンナン3質量%水溶液)30質量部、水7.52質量部、増粘剤1質量部、消泡剤0.5質量部、を均一に混合することにより着色材1(遮光性着色材)を製造した。この着色材1の色調は水色、着色顔料比率は2.4質量%、隠ぺい率は86%である。
上述の水性媒体1(100質量部)に対し、着色材1を100質量部加えて撹拌分散することにより、平均粒径4.5mmの水色遮光性色粒が分散した色粒分散液1を得た。
【0054】
・色粒分散液2
上述の色粒分散液1と同様に、水性媒体1、及び着色材1を製造した。
上述の水性媒体1(100質量部)に対し、着色材1を100質量部加えて撹拌分散することにより、平均粒径1.0mmの水色遮光性色粒が分散した色粒分散液2を得た。
【0055】
・色粒分散液3
上述の色粒分散液1と同様に、水性媒体1を製造した。
一方、別の容器内に合成樹脂エマルション1(同上)を40質量部仕込み、造膜助剤2質量部、白色顔料液(同上)0.88質量部、青色顔料液(同上)0.1質量部、体質顔料15質量部、ゲル形成物質(同上)30質量部、水10.32質量部、増粘剤1.2質量部、消泡剤0.5質量部、を均一に混合することにより着色材2(透光性着色材)を製造した。この着色材2の色調は水色、着色顔料比率は0.59質量%、隠ぺい率は23%、着色材1との色差△Eは1以下、|△L|は1以下である。
上述の水性媒体1(100質量部)に対し、着色材2を100質量部加えて撹拌分散することにより、平均粒径0.6mmの水色透光性色粒が分散した色粒分散液3を得た。
【0056】
・色粒分散液4
上述の色粒分散液1と同様に、水性媒体1を製造した。また、上述の色粒分散液3と同様に、着色材2を製造した。
上述の水性媒体1(100質量部)に対し、着色材2を100質量部加えて撹拌分散することにより、平均粒径1.0mmの水色透光性色粒が分散した色粒分散液4を得た。
【0057】
・色粒分散液5
上述の色粒分散液1と同様に、水性媒体1を製造した。また、上述の色粒分散液3と同様に、着色材2を製造した。
上述の水性媒体1(100質量部)に対し、着色材2を100質量部加えて撹拌分散することにより、平均粒径1.8mmの水色透光性色粒が分散した色粒分散液5を得た。
【0058】
・色粒分散液6
上述の色粒分散液1と同様に、水性媒体1を製造した。
一方、別の容器内に合成樹脂エマルション1(同上)を40質量部仕込み、造膜助剤2質量部、白色顔料液(同上)7.4質量部、黒色顔料液(黒色酸化鉄60質量%分散液)0.6質量部、体質顔料15質量部、ゲル形成物質(同上)30質量部、水3.5質量部、増粘剤1質量部、消泡剤0.5質量部、を均一に混合することにより着色材3(遮光性着色材)を製造した。この着色材3の色調は灰色、着色顔料比率は4.8質量%、隠ぺい率は99%、着色材1との色差△Eは16、|△L|は15である。
上述の水性媒体1(100質量部)に対し、着色材3を100質量部加えて撹拌分散することにより、平均粒径8.0mmの灰色遮光性色粒が分散した色粒分散液6を得た。
【0059】
・色粒分散液7
上述の色粒分散液1と同様に、水性媒体1を製造した。
一方、別の容器内に合成樹脂エマルション1(同上)を40質量部仕込み、造膜助剤2質量部、白色顔料液(同上)4.6質量部、黒色顔料液(同上)1.2質量部、黄色顔料液(同上)0.32質量部、赤色顔料液(同上)0.54質量部、体質顔料15質量部、ゲル形成物質(同上)30質量部、水4.84質量部、増粘剤1質量部、消泡剤0.5質量部、を均一に混合することにより着色材4(遮光性着色材)を製造した。この着色材4の色調は赤茶色、着色顔料比率は4.0質量%、隠ぺい率は97%、着色材1との色差△Eは19、|△L|は17である。
上述の水性媒体1(100質量部)に対し、着色材4を100質量部加えて撹拌分散することにより、平均粒径5.6mmの赤茶色遮光性色粒が分散した色粒分散液7を得た。
【0060】
・色粒分散液8
上述の色粒分散液1と同様に、水性媒体1を製造した。
一方、別の容器内に合成樹脂エマルション1(同上)を40質量部仕込み、造膜助剤2質量部、黒色顔料液(同上)4.0質量部、体質顔料15質量部、ゲル形成物質(同上)30質量部、水7.5質量部、増粘剤1質量部、消泡剤0.5質量部、を均一に混合することにより着色材5(遮光性着色材)を製造した。この着色材5の色調は黒色、着色顔料比率は2.4質量%、隠ぺい率は81%、着色材1との色差△Eは49、|△L|は49である。
上述の水性媒体1(100質量部)に対し、着色材5を100質量部加えて撹拌分散することにより、平均粒径3.8mmの黒色遮光性色粒が分散した色粒分散液8を得た。
【0061】
なお、上述の各色粒分散液の製造においては、水性媒体に着色材を加えた後の撹拌速度及び撹拌時間を適宜設定することにより、色粒の平均粒径を調整した。
【0062】
・実施例1
色粒分散液1と色粒分散液3と色粒分散液6とを60:15:25の質量比にて混合することにより、水性被覆材1(水色遮光性色粒:水色透光性色粒:灰色遮光性色粒=60:15:25(質量比))を得た。
下地(白系の着色下塗材が塗装されたスレート板)に対し、水性被覆材1を塗付け量0.3kg/m2にてスプレー塗装し、48時間乾燥後、被膜の外観を観察し、以下の評価を行った。
【0063】
評価1として、下地被覆性について評価した。評価基準は、粒どうし間の下地が基調色によって十分に隠蔽されていたものを「A」とする3段階(優:A>B>C:劣)にて行った。
【0064】
評価2として、被膜の深み感について評価した。評価基準は、被膜が深み感を有するものを「A」とする3段階(優:A>B>C:劣)にて行った。
【0065】
評価3として、粒模様の均質性及び鮮明性について評価した。評価基準は、粒模様が均質かつ鮮明であるものを「A」とする3段階(優:A>B>C:劣)にて行った。
【0066】
実施例1で得られた被膜は、基調色(水色)に、灰色の粒が散在しており、いずれの評価においても優れるものであった。
【0067】
・実施例2
色粒分散液1と色粒分散液4と色粒分散液6とを60:15:25の質量比にて混合することにより、水性被覆材2(水色遮光性色粒:水色透光性色粒:灰色遮光性色粒=60:15:25(質量比))を得た。
実施例1と同様の下地に対し、水性被覆材2を塗付け量0.3kg/m2にてスプレー塗装し、48時間乾燥後、被膜の外観を観察し、実施例1と同様の評価を行った。
実施例2で得られた被膜は、基調色(水色)に、灰色の粒が散在しており、いずれの評価においても優れるものであった。
【0068】
・実施例3
色粒分散液1と色粒分散液5と色粒分散液6とを60:15:25の質量比にて混合することにより、水性被覆材3(水色遮光性色粒:水色透光性色粒:灰色遮光性色粒=60:15:25(質量比))を得た。
実施例1と同様の下地に対し、水性被覆材3を塗付け量0.3kg/m2にてスプレー塗装し、48時間乾燥後、被膜の外観を観察し、実施例1と同様の評価を行った。
実施例3で得られた被膜は、基調色(水色)に、灰色の粒が散在しており、いずれの評価においても優れるものであった。
【0069】
・実施例4
色粒分散液1と色粒分散液4と色粒分散液6と色粒分散液7と色粒分散液8とを55:15:10:10:10の質量比にて混合することにより、水性被覆材4(水色遮光性色粒:水色透光性色粒:灰色遮光性色粒:赤茶色遮光性色粒:黒色遮光性色粒=55:15:10:10:10(質量比))を得た。
実施例1と同様の下地に対し、水性被覆材4を塗付け量0.3kg/m2にてスプレー塗装し、48時間乾燥後、被膜の外観を観察し、実施例1と同様の評価を行った。
実施例4で得られた被膜は、基調色(水色)に、灰色の粒と赤茶色の粒と黒色の粒とが散在しており、いずれの評価においても優れるものであった。
【0070】
・実施例5
色粒分散液1と色粒分散液4と色粒分散液6と色粒分散液7と色粒分散液8とを65:5:10:10:10の質量比にて混合することにより、水性被覆材5(水色遮光性色粒:水色透光性色粒:灰色遮光性色粒:赤茶色遮光性色粒:黒色遮光性色粒=65:5:10:10:10(質量比))を得た。
実施例1と同様の下地に対し、水性被覆材5を塗付け量0.3kg/m2にてスプレー塗装し、48時間乾燥後、被膜の外観を観察し、実施例1と同様の評価を行った。
実施例5で得られた被膜は、基調色(水色)に、灰色の粒と赤茶色の粒と黒色の粒とが散在しており、いずれの評価においても優れるものであった。
【0071】
・実施例6
色粒分散液1と色粒分散液4と色粒分散液6と色粒分散液7と色粒分散液8とを40:30:10:10:10の質量比にて混合することにより、水性被覆材6(水色遮光性色粒:水色透光性色粒:灰色遮光性色粒:赤茶色遮光性色粒:黒色遮光性色粒=40:30:10:10:10(質量比))を得た。
実施例1と同様の下地に対し、水性被覆材6を塗付け量0.3kg/m2にてスプレー塗装し、48時間乾燥後、被膜の外観を観察し、実施例1と同様の評価を行った。
実施例6で得られた被膜は、基調色(水色)に、灰色の粒と赤茶色の粒と黒色の粒とが散在しており、いずれの評価においても優れるものであった。
【0072】
・実施例7
色粒分散液2と色粒分散液4と色粒分散液6と色粒分散液7と色粒分散液8とを20:50:10:10:10の質量比にて混合することにより、水性被覆材7(水色遮光性色粒:水色透光性色粒:灰色遮光性色粒:赤茶色遮光性色粒:黒色遮光性色粒=20:50:10:10:10(質量比))を得た。
実施例1と同様の下地に対し、水性被覆材7を塗付け量0.3kg/m2にてスプレー塗装し、48時間乾燥後、被膜の外観を観察し、実施例1と同様の評価を行った。
実施例7で得られた被膜は、基調色(水色)に、灰色の粒と赤茶色の粒と黒色の粒とが散在しており、概ね良好な評価結果であった。
【0073】
・比較例1
色粒分散液1と色粒分散液6とを75:25の質量比にて混合することにより、水性被覆材8(水色遮光性色粒:灰色遮光性色粒=75:25(質量比))を得た。
実施例1と同様の下地に対し、水性被覆材8を塗付け量0.3kg/m2にてスプレー塗装し、48時間乾燥後、被膜の外観を観察し、実施例1と同様の評価を行った。
比較例1で得られた被膜は、基調色(水色)に、灰色の粒が散在していたが、評価1(下地隠蔽性)や評価2(深み感)が十分ではなかった。
【0074】
・比較例2
色粒分散液2と色粒分散液6とを75:25の質量比にて混合することにより、水性被覆材9(水色遮光性色粒:灰色遮光性色粒=75:25(質量比))を得た。
実施例1と同様の下地に対し、水性被覆材9を塗付け量0.3kg/m2にてスプレー塗装し、48時間乾燥後、被膜の外観を観察し、実施例1と同様の評価を行った。
比較例2で得られた被膜は、基調色(水色)に、灰色の粒が散在していたが、評価2(深み感)や評価3(粒模様の鮮明性)が十分ではなかった。
【0075】
・比較例3
色粒分散液1と色粒分散液2と色粒分散液6とを60:15:25の質量比にて混合することにより、水性被覆材10(水色遮光性色粒:灰色遮光性色粒=75:25(質量比))を得た。
実施例1と同様の下地に対し、水性被覆材10を塗付け量0.3kg/m2にてスプレー塗装し、48時間乾燥後、被膜の外観を観察し、実施例1と同様の評価を行った。
比較例3で得られた被膜は、基調色(水色)に、灰色の粒が散在していたが、評価2(深み感)や評価3(粒模様の鮮明性)が十分ではなかった。
【0076】