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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169829
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】床暖房システム
(51)【国際特許分類】
   F24D 7/00 20220101AFI20241129BHJP
   E04B 1/76 20060101ALI20241129BHJP
   F24D 15/02 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
F24D7/00 B
E04B1/76 200D
F24D15/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086604
(22)【出願日】2023-05-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】512149167
【氏名又は名称】株式会社奥美濃プロデュース
(71)【出願人】
【識別番号】523198132
【氏名又は名称】有限会社スタジオアンビエンテ
(74)【代理人】
【識別番号】100137327
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 勝義
(72)【発明者】
【氏名】窪田 浩之
【テーマコード(参考)】
2E001
3L071
3L072
【Fターム(参考)】
2E001DD15
2E001DD17
2E001FA12
2E001FA24
2E001FA34
2E001NA03
2E001NB01
2E001ND02
3L071AC01
3L071AD01
3L071BE03
3L071CC04
3L071CD01
3L072AA01
3L072AB03
3L072AC01
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で、かつ効率よく床暖房を行うことができる床暖房システムを提供する。
【解決手段】温風を蓄える温風室を下部に有するペレットストーブ3と、温風室の温風が温風ダクト4を通して送り込まれ蓄熱される床下空間13、14と、床下空間13、14の温風を部屋91、95に吹き出し可能な温風吹出し部材5とを備えた床暖房システムである。ペレットストーブ3には、ペレットストーブ3の前方に送り出される第1温風の風量と、床下空間13、14に送り出される第2温風の風量との比率を調整可能な温風量調整器35が設けられている。また、温風ダクト4は温風室の底板と部屋91の床92とを垂直に貫通して設けられ、床下空間13、14の基礎1の底盤部10及び立上り部11、12の内側には、断熱材、20、21が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペレットストーブを用いて部屋を暖める床暖房システムにおいて、
温風を蓄える温風室を下部に有する該ペレットストーブと、
該温風室の温風が温風ダクトを通して送り込まれ蓄熱される床下空間と、
該床下空間と該部屋との間に設けられ、該床下空間の温風を該部屋に吹き出し可能な温風吹出し部材と、を備え、
該ペレットストーブには、該ペレットストーブの前方に送り出される第1温風の風量と、該床下空間に送り出される第2温風の風量との比率を調整可能な温風量調整器が設けられ、
該温風ダクトは、該温風室の底板と該部屋の床とを垂直に貫通して設けられ、
該床下空間の基礎の底盤部及び立上り部の内側には、断熱材が設けられていることを特徴とする床暖房システム。
【請求項2】
前記立上り部には外気を通す通気口を設けることなく、該立上り部の外側には断熱材が施工されていることを特徴とする請求項1記載の床暖房システム。
【請求項3】
前記床下空間には、前記温風ダクトから送り出される温風を該床下空間に拡散する送風機が設置され、
前記温風吹出し部材は床下換気扇であることを特徴とする請求項1記載の床暖房システム。
【請求項4】
前記温風量調整器は、前記温風ダクトに設けられ、前記第2温風の風量を直接調整することにより、前記第1温風の風量と該第2温風の風量との比率を調整することを特徴とする請求項1記載の床暖房システム。
【請求項5】
前記温風ダクトは、前記床下空間に配設される第1ダクトと、前記温風室に配設される第2ダクトとからなり、
該第1ダクトの上端部は、前記部屋の床を貫通するダクト孔に挿入され、該床より所定長さだけ突出して取り付けられ、
該第2ダクトは、該第1ダクトの上端に着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項1記載の床暖房システム。
【請求項6】
前記ペレットストーブの前記温風室の底板には、前記温風ダクトが貫通する長孔が設けられ、
該ペレットストーブは、前記部屋の壁面に平行に移動調整して設置可能であることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか1項記載の床暖房システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペレットストーブを用いた床暖房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ペレットストーブを用いた床暖房システムは、再生可能エネルギー源である木質ペレットを燃料として使用するペレットストーブを用いるためSDGs(持続可能な開発目標)に合致し、持続可能な社会の実現に寄与しうるものである。このペレットストーブを用いた床暖房システムとして、従来、特許文献1に記載されたものが知られている。この床暖房システムは、室内(12)に設置するペレットストーブ(13)と、ペレットストーブ(13)の排熱を床下(19)に導入してから屋外に排出する排気管(14a、14b)と、排気管(14a、14b)に設けられて排熱を床下(19)に放熱する放熱ボックス(15)と、放熱ボックス(15)から放熱される熱エネルギーを蓄熱するコンクリートベタ基礎(16)とを備えている。この床暖房システムによれば、屋外に排出していたペレットストーブ(13)の排熱を床下暖房用の熱源と有効に活用することができると考えられる。
【0003】
しかし、上記床暖房システムにおいては、ある程度の床面積を有する室内(12)の床暖房を排気管(14a、14b)からの排熱だけで行うのには熱量が不足してしまう。また、排気管(14a、14b)を床下に施工する必要があり、構造が複雑であるうえ、安全性やメインテナンスの面からも問題がある。
【0004】
これに対し、特許文献2に記載された床暖房システムが提案されている。この床暖房システムは、リビング(19)に配置される開閉可能な仕切り材(31)と、リビング(19)の外壁Wと仕切り材(31)とで囲まれた仕切り空間(32)に配置された暖房機(33)と、仕切り空間(32)の床(34)に開閉可能に設けられ、開状態の際、仕切り空間(32)の暖気を床下空間(35)に送り出すための開閉部材(36)とを備えている。この床暖房システムによれば、仕切り材(31)が開状態の場合、リビング(19)が暖房機(33)の暖気によって暖められる。また、仕切り材(31)が閉状態の場合、暖気が仕切り空間(32)が暖気によって優先的に温められる。そして、仕切り材(31)が閉状態であり、開閉部材(36)が開状態の場合、仕切り空間(32)内の暖気は、開閉部材(36)を介して、床下空間(35)に送られる。その結果、床下空間(35)が暖気によって暖められ、リビング(19)を暖房することができる。これにより、特許文献1に記載された床暖房システムに比べ簡単な構成で、暖房機(33)から回収可能な熱量の大半を床下空間(35)に供給可能であり、リビング(19)を含む同階の部屋全体を暖房することができると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-250544号公報
【特許文献2】特開2019-2631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献2記載の床暖房システムでは、仕切り空間(32)が縦方向に長く大きな空間であるため、暖房機(33)の暖気は天井(40)近辺に溜まってしまう。そのため、開閉部材(36)のある床(34)近辺は暖気が不足して、床下空間(35)に十分な暖気が供給されないおそれがある。また、リビング(19)内に仕切り空間(32)等を作らなければならず、必ずしも簡単な構成であるとはいい切れないうえ、外見上もあまりよくない。
【0007】
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で、かつ効率よく床暖房を行うことができる床暖房システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る床暖房システムの特徴は、ペレットストーブを用いて部屋を暖める床暖房システムにおいて、温風を蓄える温風室を下部に有する該ペレットストーブと、該温風室の温風が温風ダクトを通して送り込まれ蓄熱される床下空間と、該床下空間と該部屋との間に設けられ、該床下空間の温風を該部屋に吹き出し可能な温風吹出し部材と、を備え、該ペレットストーブには、該ペレットストーブの前方に送り出される第1温風の風量と、該床下空間に送り出される第2温風の風量との比率を調整可能な温風量調整器が設けられ、該温風ダクトは、該温風室の底板と該部屋の床とを垂直に貫通して設けられ、該床下空間の基礎の底盤部及び立上り部の内側には、断熱材が設けられていることである。
【0009】
請求項2に係る床暖房システムの特徴は、請求項1において、前記立上り部には外気を通す通気口を設けることなく、該立上り部の外側には断熱材が施工されていることである。
【0010】
請求項3に係る床暖房システムの特徴は、請求項1において、前記床下空間には、前記温風ダクトから送り出される温風を該床下空間に拡散する送風機が設置され、前記温風吹出し部材は床下換気扇であることである。
【0011】
請求項4に係る床暖房システムの特徴は、請求項1において、前記温風量調整器は、前記温風ダクトに設けられ、前記第2温風の風量を直接調整することにより、前記第1温風の風量と該第2温風の風量との比率を調整することである。
【0012】
請求項5に係る床暖房システムの特徴は、請求項1において、前記温風ダクトは、前記床下空間に配設される第1ダクトと、前記温風室に配設される第2ダクトとからなり、該第1ダクトの上端部は、前記部屋の床を貫通するダクト孔に挿入され、該床より所定長さだけ突出して取り付けられ、該第2ダクトは、該第1ダクトの上端に着脱可能に取り付けられることである。
【0013】
請求項6に係る床暖房システムの特徴は、請求項1乃至5のうちいずれか1項において、前記ペレットストーブの前記温風室の底板には、前記温風ダクトが貫通する長孔が設けられ、該ペレットストーブは、前記部屋の壁面に平行に移動調整して設置可能であることである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る床暖房システムでは、温風を蓄える温風室を下部に有するペレットストーブと、温風室の温風が温風ダクトを通して送り込まれ蓄熱される床下空間と、床下空間の温風を部屋に吹き出し可能な温風吹出し部材とを備えている。そして、ペレットストーブには、ペレットストーブの前方に送り出される第1温風の風量と、床下空間に送り出される第2温風の風量との比率を調整可能な温風量調整器が設けられている。また、温風ダクトは温風室の底板と部屋の床とを垂直に貫通して設けられ、床下空間の基礎の底盤部及び立上り部には断熱材が設けられている。このように、この床暖房システムは、ペレットストーブと、床下空間と、温風吹出し部材と、温風ダクトとから構成されるため、特別な部材や配管を必要とせず、非常に簡単な構成になっている。
【0015】
また、基礎の底盤部及び立上り部の内側には断熱材が設けられる、いわゆる基礎内断熱を採用しているため、床下空間の天井面以外は全て断熱材で覆われることとなり、高気密、高断熱の空間を形成することができる。これにより、蓄えられた熱が外部に逃げ難い床下空間を実現することができる。また、温風室はペレットストーブの下部に設けられた小さな空間であるため、温風室内の温風の温度は全体として高温になる。さらに、温風ダクトが温風室の底板と部屋の床とを垂直に貫通して設けられているため、温風室から床下空間へ最短距離で温風を送り出することができ、送風中の温風から熱が外部に逃げ難い。そして、温風吹出し部材により、床下空間の温風を部屋に吹き出すことができるため、床下空間から部屋への温風の流れを円滑にすることができる。また、温風量調整器により、ペレットストーブの前方に送り出される第1温風の風量と、床下空間に送り出される第2温風の風量との比率を調整できるため、部屋の温度を最適な状態に保つことができる。したがって、この床暖房システムによれば、簡単な構成で、かつ効率よく床暖房を行うことができる。
【0016】
なお、温風ダクトが温風室の底板と部屋の床とを垂直に貫通して設けられているため、外部から温風ダクトを視認することができないうえ、部屋にはペレットストーブ以外の大きな部材や装置等がなく、外観を損なうことがない。さらには、温風ダクトがペレットストーブの背面に突出することがないため、ペレットストーブを壁に近づけることができ、スペースを有効に活用することができる。
【0017】
請求項2に係る床暖房システムでは、立上り部に外気を通す通気口を設けていないのみならず、立上り部の外側に断熱材を施工する、いわゆる基礎外断熱を採用している。そのため、屋外の冷気により基礎コンクリートが冷却されるのを防ぐことができる。これにより、さらに高気密、高断熱を実現することができる。
【0018】
請求項3に係る床暖房システムでは、床下空間に設置された送風機により、温風ダクトから送り出される温風が床下空間に拡散される。そして、温風吹出し部材としての床下換気扇により、この温風が部屋に強制的に送り込まれるため、床下空間から部屋への温風の流れを円滑にすることができる。また、送風機により、温風ダクトから温風がより多く送り出され、温風室から床下空間への温風の流れを円滑にすることができる。
【0019】
請求項4に係る床暖房システムでは、温風ダクトに設けられた温風量調整器により第2温風の風量を直接調整して、第1温風の風量と第2温風の風量との比率を調整する。このように、温風量調整器により第2温風の風量を直接調整するということは、第2温風の風量を第1温風の風量より優先して調整することとなり、住宅全体の温度調整が容易になる。
【0020】
請求項5に係る床暖房システムでは、温風ダクトが床下空間に配設される第1ダクトと、温風室に配設される第2ダクトとからなっている。そして、第1ダクトの上端部は、部屋の床を貫通するダクト孔に挿入され、この床より所定長さだけ突出して取り付けられる。また、第2ダクトは、第1ダクトの上端に着脱可能に取り付けられる。なお、本明細書において「所定長さ」とは、床からペレットストーブの底面までの長さより短い長さをいう。この第2ダクトを第1ダクトから取り外せば、第1ダクトの上端がペレットストーブの底面に接触することがないため、メインテナンス等においてペレットストーブを水平に移動させることができ非常に便利である。
【0021】
請求項6に係る床暖房システムでは、ペレットストーブの温風室の底板には、温風ダクトが貫通する長孔が設けられている。この長孔により、ペレットストーブを部屋の壁面に平行に移動調整して設置可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態の床暖房システムを備えた住宅の1階の平面図。
図2】実施形態の床暖房システムを備えた住宅に係り、図1おけるII矢視断面図。
図3】実施形態の床暖房システムを備えた住宅に係り、図1おけるIII矢視断面図。
図4】実施形態の床暖房システムを備えた住宅に係り、図3における一部拡大断面図。
図5】実施形態の床暖房システムを備えた住宅に係り、温風室、ダクト固定部材、温風量調整器の平面図。
図6】実施形態の床暖房システムを備えた住宅に係り、ペレットストーブの設置方法を示す平面図。
図7】実施形態の床暖房システムを備えた住宅に係り、ペレットストーブの設置方法を示す平面図。
図8】実施形態の床暖房システムを備えた住宅に係り、温風ダクトの拡大断面図。
図9】実施形態の床暖房システムを備えた住宅に係り、ペレットストーブの設置方法を示す平面図。
図10】実施形態の床暖房システムを備えた住宅に係り、温風量調整器の分解斜視図、組立図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る床暖房システムを住宅に具体化した実施形態を図面に基づいて以下に説明する。図1は、この床暖房システムを備えた住宅の1階の平面図であり、図2、3は図1におけるII矢視断面図、III矢視断面図である。ただし、図1から図3に示す住宅においては、説明の便宜上、部屋数、間取り、設備等を簡略化している。図1から図3に示すように、この住宅は、外壁90に囲まれ、一階に部屋91、95が設けられている。また、天井93、97を隔てて二階に部屋98、99が設けられている。
【0024】
図1に示すように、部屋91は窓91a、91bを有し、床92にはペレットストーブ3が設置されている。部屋95は窓95a、玄関ドア95bを有している。ただし、部屋95の床96に配置されている設備、調度品等は省略している。そして、床92、96と後述する床下空間13、14(図2参照)との間であって窓91a、91b、95aの下には、床下空間13、14の温風を部屋91、95に吹き出すことができる温風吹出し部材としての床下換気扇5が設けられている。このように、床下換気扇5を窓91a、91b、95aの下に設けることにより、窓91a、91b、95aの結露を防止することができる。なお、床下換気扇5は必要に応じ増減してもよい。さらに、床下換気扇5の他、ガラリ、ルーバー等を適宜設けてもよい。
【0025】
図2図3に示すように、この住宅の基礎1はベタ基礎であり、水平に打設される底盤部10と、底盤部10から鉛直上方に打設される立上り部11、12とを有している。そして、基礎1と床92、96とにより形成された空間が床下空間13、14である。この床下空間13、14に、ペレットストーブ3からの温風が温風ダクト4を通して送り込まれ蓄熱される。基礎1の底盤部10には断熱材20が設けられ、立上り部11の内側及び立上り部12の両側には断熱材21が設けられて、基礎内断熱が施工されている。この基礎内断熱により、高気密、高断熱の床下空間13、14を形成することができ、蓄えられた熱が外部に逃げ難くなる。
【0026】
また、立上り部11には外気を通す通気口が設けられていないため、屋外と床下空間13、14との間での空気の流れを確実に遮断することができる。さらに、立上り部11の外側には断熱材22が設けられて基礎外断熱が施工されているため、屋外の冷気により立上り部11が冷却されるのを防ぐことができる。なお、基礎外断熱が施工されていない場合は、屋外の冷気により立上り部11のコンクリートが冷却されてしまい、基礎内断熱の効果が減少してしまう。本実施形態では、基礎内断熱及び基礎外断熱が施工されているため、床下空間13、14を高気密、高断熱の空間とすることができ、部屋91、95と同等の空間とすることができる。
【0027】
本実施形態は新築の例であり、断熱材20、22として40mmフェノールフォームを採用し、断熱材21として100mmのウレタン吹き込みを施工している。なお、リフォームの場合は、本実施形態に示す新築の場合と同等になるよう基礎部分の処理を行う。例えば、基礎が布基礎である場合は、屋外に面する立上りに設けられている通気口を完全に塞いだうえ、底盤部分の処理を行ってから断熱材を施工する。底盤部分の処理はコンクリートスラブ打設、又は砕石敷き込み、転圧後、気密シート敷設により行うことができる。
【0028】
部屋91の床92には、外壁90の近くにペレットストーブ3が設置されている。このペレットストーブ3からの温風の一部が、矢印A(図3参照)で示すように、ペレットストーブ3の前方に送り出されて部屋91を直接暖めている。また、ペレットストーブ3からの温風の一部が、矢印B、G(図2参照)で示すように、温風ダクト4を通して床下空間13、14に送りだされて蓄熱される。そして、温風ダクト4から送り出された温風は送風機15により床下空間13、14に拡散される。
【0029】
なお、説明の都合上、以下、部屋91についてのみ説明する。床下空間13と部屋91との間に設けられた床下換気扇5により、矢印C、D(図2図3参照)で示すように、床下空間13の温風が部屋91に強制的に送り込まれる。そして、矢印E、F(図2図3参照)で示すように、温風が移動する。このように、床下空間13から部屋91への温風の流れを円滑にすることができる。また、送風機15により温風ダクト4の出口近傍に空気の流れが生じるため、温風ダクト4から温風がより多く送り出され、ペレットストーブ3から床下空間13への温風の流れを円滑にすることができる。そのため、床下空間13と部屋91との間での対流を円滑にすることができる。
【0030】
この住宅全体においては、破線矢印で示されるように、床92、96、天井93、97を介して伝熱され、部屋91、95、98、99を足元から暖めることができる。このように、この床暖房システムにおいては、効率よく住宅全体を暖めることができる。そのため、トイレや洗面所等におけるヒートショックを防ぐことができる。なお、ペレットストーブ3から送られる温風はペレットストーブ3により暖められた部屋91の空気であり、排ガスが混入することがないため安全である。さらに、この床暖房システムは、ペレットストーブ3、床下空間13、14、床下換気扇5、温風ダクト4、送風機15から構成され、特別な部材や配管等を必要とせず、非常に簡単な構成になっている。また、ペレットストーブ3には、図4に示すように、ペレットストーブ3の前方に送り出される第1温風WA1の風量と、床下空間13、14に送り出される第2温風WA2の風量との比率を調整可能な温風量調整器35が設けられている。
【0031】
図4に示すように、ペレットストーブ3の外形は略直方体状をなし、背面3bが外壁90の壁面90aと平行になるように設置されている。そして、前面3a側の上部には燃焼室30が形成され、燃焼室30の下には温風室31が設けられている。この温風室31は小さな空間であり、温風室31の温風の温度は全体として高温になりやすい。また、燃焼室30で燃料であるペレットを燃焼させるための外気を供給するとともに、燃焼室30で生じた燃焼ガスを屋外に排出する給排気筒39がペレットストーブ3の背面3bから外壁90を貫通して取り付けられている。このペレットストーブ3では、部屋91から導入した空気が破線矢印で示されるように上方に送られる間に、燃焼室30で発生した高温の燃焼ガスと熱交換して暖められ温風となる。そして、この温風が燃焼室30の上部において、ペレットストーブ3の前方に送り出される第1温風WA1と、燃焼室30の背面を通って温風室31に送り込まれる温風WA0とに分かれる。この温風WA0は温風室31に貯留される。そして、貯留された温風は第2温風WA2として、温風ダクト4を通って床下空間13、14に送り出される。
【0032】
温風ダクト4は、温風室31の底板32及び床92に貫設されたダクト孔92aを垂直に貫通して配設され、床下空間13、14に配設される第1ダクト40と温風室31に配設される第2ダクト41とからなっている。このように、温風ダクト4は、温風室31の底板32及び床92を垂直に貫通して配設されるため、温風室31から床下空間13へ最短距離で温風を送り出すことができる。そして、第1ダクト40は、その上端部がペレットストーブ3の底面(温風室31の底板32)と接触しないように取り付けられる。また、第2ダクト41は、第1ダクト40の上端に着脱可能に取り付けられる。この第2ダクト41を第1ダクト40から取り外せば、第1ダクト40がペレットストーブ3の底面(温風室31の底板32)に接触することがないため、メインテナンス等においてペレットストーブ3を水平に移動させることができ非常に便利である。
【0033】
また、第1ダクト40と第2ダクト41との間には、第1温風WA1の風量と第2温風WA2の風量との比率を調整可能な温風量調整器35が設けられている。この温風量調整器35は、第2温風WA2の風量を直接調整することにより、第1温風WA1の風量と第2温風WA2の風量との比率を調整することができる。すなわち、温風量調整器35を大きく開ければ第2温風WA2の風量が多くなって温風室31に送り込まれる温風WA0の風量が多くなり、相対的に第1温風WA1の風量が少なくなる。反対に、温風量調整器35を小さく開ければ第2温風WA2の風量が少なくなって温風室31に送り込まれる温風WA0の風量が少なくなり、相対的に第1温風WA1の風量が多くなる。この温風量調整器35により、第1温風WA1の風量と第2温風WA2の風量との比率を調整できるため、部屋91、95、98、99の温度を最適に保つことができる。
【0034】
ここで、ペレットストーブ3の前面から直接噴き出される温風により部屋91を暖めるよりも、床下空間13からから床92、96、天井93、97を介して足元から部屋91、95、98、99を暖める方が効率よく住宅全体を暖めることができる。そのため、温風量調整器35により第2温風WA2の風量を直接調整するということは、第2温風WA2の風量を第1温風WA1の風量より優先して調整することとなり、住宅全体の温度調整が容易になる。
【0035】
次に、図5から図10を用いて、ペレットストーブ3の設置方法を詳細に説明する。図5は温風室31と、ペレットストーブ3の設置に用いられるダクト固定部材33、34と、温風量調整器35の平面図であり、図6図7図9はペレットストーブ3の設置方法を示す平面図である。また、図8は温風ダクト4の拡大断面図であり、図10は温風量調整器35の分解斜視図、組立図である。図5に示すように、ペレットストーブ3の温風室31の底板32には、第2ダクト41が貫通する長孔32aが設けられ、長孔32aの外側の四隅には、雌ネジが設けられたビス孔32bが開けられている。長孔32aの長径はペレットストーブ3の前面3a、背面3bに平行になっている。これにより、ペレットストーブ3を第2ダクト41に対して前面3a、背面3bと平行方向に移動させることができるようになっている。
【0036】
また、ダクト固定部材33、34は、第2ダクト41に対してペレットストーブ3を位置決めして固定するものであり、位置決め板33と押さえ板34とからなっている。位置決め板33は略長方形状をなし、中央に第2ダクト41が貫通する丸穴33aが開けられ、四隅に切り欠き33bが形成されている。この切り欠き33bにより、位置決め板33を前面3a、背面3bに対して平行方向に移動させることができる。押さえ板34は長方形状をなし、中央に角孔34aが開けられ、四隅にビス孔34bが開けられている。位置決め板33の上に押さえ板34を載せて、ビス孔32bとビス孔34bとを合わせビス止めすることにより、第2ダクト41に対してペレットストーブ3を固定することができる。
【0037】
温風量調整器35は、調整棒36と、支持板37と、回動板38とからなっている。調整棒36は断面円形の棒状をなし、一端36c側に調整板36aが固定され、回動することにより調整板36aを回動させることができる。そして、調整板36aは円板状をなし、回動することにより第2ダクト41の断面積を変化させて第2温風WA2の風量を直接調整することができる。なお、支持板37、回動板38については後述する。
【0038】
以上の構成をしたダクト固定部材33、34を用いてペレットストーブ3を設置するには、まず図6に示すように、長孔32aから第1ダクト40が見えるようにペレットストーブ3を部屋91の床92に載置した後、給排気筒39を接続する。この際、矢印で示すように、長孔32aから第1ダクト40が見える範囲内において、ペレットストーブ3を壁面90aと平行に移動させて設置場所を調整することができる。次に、一端36c側に調整板36aが固定された調整棒36をペレットストーブ3の前面3aと平行に、かつ他端36dをペレットストーブ3から突出させて、底板32と床92との間に配設する。ただし、調整板36aは、回動可能に第2ダクト41内に取り付けられる。なお、調整板36aの具体的な取り付け方法は後述する。
【0039】
そして、図7に示すように、第1ダクト40の上端に第2ダクト41を取り付ける。この第2ダクト41の具体的な取り付け方法も後述する。さらに、丸孔33aに第2ダクト41を貫通させた状態で、切り欠き33bからビス孔32bが見えるように位置決め板33を調整して底板32に押し付ける。
【0040】
第1ダクト40の上端部と第2ダクト41との拡大断面図を図8に示す。図8に示すように、第1ダクト40の上端部は、円筒状をなす金属製の第1ダクト本体40aの外周に断熱材40bが巻かれている。そして、第1ダクト40の上端には、切り欠き40cが同一直径上の2か所に形成されている。この切り欠き40cには調整棒36が回動可能に嵌入される。第2ダクト41は円筒状の金属製であり、下端には第1ダクト40の切り欠き40cに対応した位置に切り欠き41cが2つ形成されている。また、第2ダクト41の外径は第1ダクト40の内径よりわずかに小さくなっている。そのため、第2ダクト41を第1ダクト40に差し込んで、切り欠き41cに調整棒36を回動可能に嵌入すれば、第2ダクト41が第1ダクト40に取り付けられる。これにより、調整棒36を回動させることにより、調整板36aが第2ダクト41内で回動する。
【0041】
そして、図9に示すように、ビス孔32bとビス孔34bとが一致するように押さえ板34を位置決め板33の上に置く。そして、ビス孔32bとビス孔34bとをビス締めして押さえ板34を取り付ける。これにより、位置決め板33が押さえ板34に押圧され、第2ダクト41とペレットストーブ3とが固定されてペレットストーブ3が設置される。このように、温風ダクト4が温風室31の底板32及び床92を垂直に貫通して設けられているため、外部から温風ダクト4を視認することができないうえ、部屋にはペレットストーブ3以外の特別な部材、装置等がなく、外観を損なうことがない。さらには、温風ダクト4がペレットストーブ3の背面3bに突出することがないため、ペレットストーブ3を壁面90aに近づけることができ、スペースを有効に活用することができる。
【0042】
次に、温風量調整器35の組み立て及び調整について、図10を用いて説明する。図10(1)は、調整棒36の他端36d側の分解斜視図である。図10(1)に示すように、調整棒36の他端36dには長手方向にビス穴36bが設けられている。このビス穴36bに固定ネジ38cが螺合されて、回動板38を調整棒36に固定することができる。また、支持板37はL字形をなし、丸孔37aとメネジ孔37bとを有している。丸孔37aは調整棒36の径より僅かに大きな径の貫通孔であり、調整棒36を回動可能に支持する。メネジ孔37bはメネジが設けられた貫通孔であり、蝶ネジ38dが螺合されて、回動板38を支持板37に固定することができる。また、回動板38は略L字形をなし、丸孔38aと調整孔38bとを有している。丸孔38aは固定ネジ38cが貫通する貫通孔であり、固定ネジ38cにより回動板38を調整棒36に固定することができる。調整孔38bは丸孔38aと同心の長孔であり、回動板38を所定の角度まで回動させた後、蝶ネジ38dにより回動板38を支持板37に固定させることができる。
【0043】
この温風量調整器35を組み立てるには、まず、図10(2)に示すように、支持板37の丸孔37aに調整棒36の他端36dを通す。そして、回動板38の丸孔38aと調整棒36のビス穴36bとを合わせ、固定ネジ38cにより回動板38を調整棒36に固定する。これにより、回動板38を回動させると、調整棒36が回動して調整板36aを回動させることができる。
【0044】
そして、図10(3)に示すように、支持板37を移動させて回動板38に当接させた後、蝶ネジ38dにより支持板37を回動板38に固定する。そして、支持板37をビス(図示なし)で床92に固定する。これにより、温風量調整器35が組み立てられるとともに床92に固定される。なお、第2温風WA2の風量を調整するには、まず、蝶ネジ38dを緩め、回動板38を回動させることにより調整板36aを所定の角度まで回動させる。そして、再度、蝶ネジ38dを締めて回動板38を支持板37に固定すればよい。
【0045】
次に、以上のようにして設置されたペレットストーブ3を備えた床暖房システム全体の動作の概要を簡単に説明する。この床暖房システムでは、ペレットストーブ3の電源スイッチボタンを押すと、ペレットストーブ3の燃焼室30内において燃料である木質ペレットが燃焼される。部屋91から導入された空気は、このペレット燃料の燃焼による燃焼ガスと熱交換して暖められ温風となる。そして、この温風が燃焼室30の上部において、ペレットストーブ3の前方に送り出される第1温風WA1と、燃焼室30の背面を通って温風室31に送り込まれる温風WA0とに分かれる。この温風WA0は温風室31に貯留される。そして、貯留された温風は第2温風WA2として、温風ダクト4を通って床下空間13、14に送り出される。ここで、第2温風WA2の風量は温風量調整器35により直接調整され、その結果として、第1温風WA1の風量が決まる。
【0046】
第1温風WA1は、ペレットストーブ3の前方に送り出されて部屋91を直接暖める。また、第2温風WA2は、送風機15により床下空間13、14に拡散されて蓄熱される。そして、床下換気扇5により床下空間13、14の温風が部屋91、95に強制的に送り込まれる。さらに、床下空間13、14に蓄えられた熱は、床92、96を介して伝熱され、部屋91、95を足元から暖める。そして、暖められた部屋91、95の熱は、天井93、97を介して伝熱され、部屋98、99を足元から暖める。このようにして、この床暖房システムにおいては、効率よく住宅全体を暖めることができる。
【0047】
実施形態の床暖房システムでは、温風を蓄える温風室31を下部に有するペレットストーブ3と、温風室31の温風が温風ダクト4を通して送り込まれ蓄熱される床下空間13、14と、床下空間13、14の温風を部屋91、95に吹き出し可能な床下換気扇5とを備えている。そして、ペレットストーブ3には、ペレットストーブ3の前方に送り出される第1温風WA1の風量と、床下空間13、14に送り出される第2温風WA2の風量との比率を調整可能な温風量調整器35が設けられている。また、温風ダクト4は温風室31の底板32と部屋91の床92とを垂直に貫通して設けられ、床下空間13、14の基礎1の底盤部10及び立上り部11、12には断熱材20、21、22が設けられている。このように、この床暖房システムは、ペレットストーブ3と、床下空間13、14と、床下換気扇5と、温風ダクト4とから構成されるため、特別な部材や配管を必要とせず、非常に簡単な構成になっている。
【0048】
また、基礎1の底盤部10及び立上り部11、12の内側には断熱材20、21が設けられる基礎内断熱を採用しているため、床下空間13、14の天井面以外は全て断熱材20、21で覆われることとなり、高気密、高断熱の空間を形成することができる。これにより、蓄えられた熱が外部に逃げ難い床下空間13、14を実現することができる。また、温風室31はペレットストーブ3の下部に設けられた小さな空間であるため、温風室31内の温風の温度は全体として高温になる。さらに、温風ダクト4が温風室31の底板32と部屋91の床92とを垂直に貫通して設けられているため、温風室31から床下空間13、14へ最短距離で温風を送り出することができ、送風中の温風から熱が外部に逃げ難い。そして、床下換気扇5により、床下空間13、14の温風を部屋92、96に吹き出すことができるため、床下空間13、14から部屋92、96への温風の流れを円滑にすることができる。また、温風量調整器35により、ペレットストーブ3の前方に送り出される第1温風WA1の風量と、床下空間13、14に送り出される第2温風WA2の風量との比率を調整できるため、部屋91、95の温度を最適な状態に保つことができる。したがって、この床暖房システムによれば、簡単な構成で、かつ効率よく床暖房を行うことができる。
【0049】
さらに、この床暖房システムでは、立上り部11に外気を通す通気口を設けていないのみならず、立上り部11の外側に断熱材22を施工する基礎外断熱を採用している。そのため、屋外の冷気により基礎コンクリートが冷却されるのを防ぐことができる。これにより、さらに高気密、高断熱を実現することができる。
【0050】
また、この床暖房システムでは、床下空間13、14に設置された送風機15により、温風ダクト4から送り出される温風が床下空間13、14に拡散される。そして、床下換気扇5により、この温風が部屋91、95に強制的に送り込まれるため、床下空間13、14から部屋91、95への温風の流れを円滑にすることができる。また、送風機15により、温風ダクト4から温風がより多く送り出され、温風室31から床下空間13、14への温風の流れを円滑にすることができる。
【0051】
さらに、この床暖房システムでは、温風量調整器35により第2温風WA2を調整して第1温風WA1の風量と第2温風WA2の風量との比率を調整する。このように、温風量調整器35により第2温風WA2の風量を直接調整するということは、第2温風WA2の風量を第1温風WA1の風量より優先して調整することとなり、住宅全体の温度調整が容易になる。
【0052】
また、この床暖房システムでは、第2ダクト41を第1ダクト40から取り外せば、第1ダクト40の上端がペレットストーブ3の底面に接触することがないため、メインテナンス等においてペレットストーブ3を水平に移動させることができ非常に便利である。
【0053】
さらに、この床暖房システムでは、ペレットストーブ3の温風室31の底板32には、第2ダクト41が貫通する長孔32aが設けられている。この長孔32aにより、ペレットストーブ3を壁面90aに平行に移動調整して設置可能である。
【0054】
以上、本発明の床暖房システムを採用した住宅を実施形態に即して説明したが、本発明はこれらに制限されるものではなく、本発明の技術的思想に反しない限り、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0055】
1…基礎、3…ペレットストーブ、4…温風ダクト(40…第1ダクト、41…第2ダクト)、5…温風吹き出し部材(床下換気扇)、10…底盤部、11、12…立上り部、13、14…床下空間、15…送風機、20、21、22…断熱材、31…温風室、32…底板、32a…長孔、35…温風量調整器、90a…壁面、91、95、98、99…部屋、92、96…床、92a…ダクト孔、WA1…第1温風、WA2…第2温風。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペレットストーブを用いて部屋を暖める床暖房システムにおいて、
温風を蓄える温風室を下部に有する該ペレットストーブと、
該温風室の温風が温風ダクトを通して送り込まれ蓄熱される床下空間と、
該床下空間と該部屋との間に設けられ、該床下空間の温風を該部屋に吹き出し可能な温風吹出し部材と、を備え、
該ペレットストーブには、該ペレットストーブの前方に送り出される第1温風の風量と、
該床下空間に送り出される第2温風の風量との比率を調整可能な温風量調整器が設けられ、
該温風ダクトは、該温風室の底板と該部屋の床とを垂直に貫通して設けられ、
該床下空間の基礎の底盤部及び立上り部の内側には、断熱材が設けられ、
前記温風量調整器は、前記温風ダクトに設けられ、前記第2温風の風量を直接調整することにより、前記第1温風の風量と該第2温風の風量との比率を調整し、
前記温風ダクトは、前記床下空間に配設される第1ダクトと、前記温風室に配設される第2ダクトとからなり、
該第1ダクトの上端部は、前記部屋の床を貫通するダクト孔に挿入され、該床より所定長さだけ突出して取り付けられ、
該第2ダクトは、該第1ダクトの上端に着脱可能に取り付けられ、
前記温風量調整器は、前記温風ダクト内で回動することにより該温風ダクトの断面積を変化させて前記第2温風の風量を直接調整する調整板を一端側に固定するとともに他端を前記ペレットストーブから突出させる調整棒を有し、
前記第2ダクトは、前記第1ダクトの内径より僅かに小さい外径を有し、
該第1ダクトの上端には、該調整棒が回動可能に嵌入される第1切り欠きが該第1ダクトの同一直径上に一対形成され、
該第2ダクトの下端には、一対の第2切り欠きが該第1切り欠きに対応した位置に形成され、
該第2ダクトを該第1ダクトに差し込んで、該調整棒を該第1、2ダクトの該第1、2切り欠きに嵌入することにより、該調整棒が回動可能に取り付けられるとともに、該第2ダクトが該調整棒に当接していることを特徴とする床暖房システム。
【請求項2】
前記調整棒の他端側には、前記部屋の前記床に固定されて該調整棒を回動可能に支持する支持板と、該調整棒を回動可能であるとともに回動不能に固定することのできる回動板とが設けられ、
該調整棒の他端には、長手方向にビス穴が設けられ、
該支持板はL字形をなし、該床に垂直な面には該調整棒を回動可能に支持する第1丸孔と、該回動板を固定するメネジ孔とを有し、
該回動板には、該回動板と該調整棒とを固定する固定ネジを挿通する第2丸孔と、該第2丸孔と同心の長孔である調整孔とが設けられ、
該調整棒の他端を該第1丸孔に挿通し、該固定ネジを該第2丸孔に挿通して該ビス穴に螺合させることにより該回動板と該調整棒とを固定し、該回動板を該第2丸孔の中心回りに回動させて該調整棒を調整した後、蝶ネジを該調整孔に挿通して該メネジ孔に螺合させて該回動板と該支持板とを当接させ固定することにより、該調整棒を回動不能に固定することを特徴とする請求項1記載の床暖房システム。
【請求項3】
前記立上り部には外気を通す通気口を設けることなく、該立上り部の外側には断熱材が施工されていることを特徴とする請求項記載の床暖房システム。
【請求項4】
前記床下空間には、前記温風ダクトから送り出される温風を該床下空間に拡散する送風機が設置され、
前記温風吹出し部材は床下換気扇であることを特徴とする請求項記載の床暖房システム。
【請求項5】
前記ペレットストーブの前記温風室の底板には、前記温風ダクトが貫通する長孔が設けられ、
該ペレットストーブは、前記部屋の壁面に平行に移動調整して設置可能であることを特徴とする請求項1乃至のうちいずれか1項記載の床暖房システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る床暖房システムの特徴は、ペレットストーブを用いて部屋を暖める床暖房システムにおいて、温風を蓄える温風室を下部に有する該ペレットストーブと、該温風室の温風が温風ダクトを通して送り込まれ蓄熱される床下空間と、該床下空間と該部屋との間に設けられ、該床下空間の温風を該部屋に吹き出し可能な温風吹出し部材と、を備え、該ペレットストーブには、該ペレットストーブの前方に送り出される第1温風の風量と、該床下空間に送り出される第2温風の風量との比率を調整可能な温風量調整器が設けられ、該温風ダクトは、該温風室の底板と該部屋の床とを垂直に貫通して設けられ、該床下空間の基礎の底盤部及び立上り部の内側には、断熱材が設けられており、
前記温風量調整器は、前記温風ダクトに設けられ、前記第2温風の風量を直接調整することにより、前記第1温風の風量と該第2温風の風量との比率を調整し、
前記温風ダクトは、前記床下空間に配設される第1ダクトと、前記温風室に配設される第2ダクトとからなり、該第1ダクトの上端部は、前記部屋の床を貫通するダクト孔に挿入され、該床より所定長さだけ突出して取り付けられ、該第2ダクトは、該第1ダクトの上端に着脱可能に取り付けられ、
前記温風量調整器は、前記温風ダクト内で回動することにより該温風ダクトの断面積を変化させて前記第2温風の風量を直接調整する調整板を一端側に固定するとともに他端を前記ペレットストーブから突出させる調整棒を有し、前記第2ダクトは、前記第1ダクトの内径より僅かに小さい外径を有し、該第1ダクトの上端には、該調整棒が回動可能に嵌入される第1切り欠きが該第1ダクトの同一直径上に一対形成され、該第2ダクトの下端には、一対の第2切り欠きが該第1切り欠きに対応した位置に形成され、該第2ダクトを該第1ダクトに差し込んで、該調整棒を該第1、2ダクトの該第1、2切り欠きに嵌入することにより、該調整棒が回動可能に取り付けられるとともに、該第2ダクトが該調整棒に当接していることである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
請求項2に係る床暖房システムの特徴は、請求項1において、前記調整棒の他端側には、前記部屋の前記床に固定されて該調整棒を回動可能に支持する支持板と、該調整棒を回動可能であるとともに回動不能に固定することのできる回動板とが設けられ、該調整棒の他端には、長手方向にビス穴が設けられ、該支持板はL字形をなし、該床に垂直な面には該調整棒を回動可能に支持する第1丸孔と、該回動板を固定するメネジ孔とを有し、該回動板には、該回動板と該調整棒とを固定する固定ネジを挿通する第2丸孔と、該第2丸孔と同心の長孔である調整孔とが設けられ、該調整棒の他端を該第1丸孔に挿通し、該固定ネジを該第2丸孔に挿通して該ビス穴に螺合させることにより該回動板と該調整棒とを固定し、該回動板を該第2丸孔の中心回りに回動させて該調整棒を調整した後、蝶ネジを該調整孔に挿通して該メネジ孔に螺合させて該回動板と該支持板とを当接させ固定することにより、該調整棒を回動不能に固定することである。
請求項に係る床暖房システムの特徴は、請求項において、前記立上り部には外気を通す通気口を設けることなく、該立上り部の外側には断熱材が施工されていることである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
請求項に係る床暖房システムの特徴は、請求項において、前記床下空間には、前記温風ダクトから送り出される温風を該床下空間に拡散する送風機が設置され、前記温風吹出し部材は床下換気扇であることである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
請求項に係る床暖房システムの特徴は、請求項1乃至のうちいずれか1項において、前記ペレットストーブの前記温風室の底板には、前記温風ダクトが貫通する長孔が設けられ、該ペレットストーブは、前記部屋の壁面に平行に移動調整して設置可能であることである。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
なお、温風ダクトが温風室の底板と部屋の床とを垂直に貫通して設けられているため、外部から温風ダクトを視認することができないうえ、部屋にはペレットストーブ以外の大きな部材や装置等がなく、外観を損なうことがない。さらには、温風ダクトがペレットストーブの背面に突出することがないため、ペレットストーブを壁に近づけることができ、スペースを有効に活用することができる。
また、温風ダクトに設けられた温風量調整器により第2温風の風量を直接調整して、第1温風の風量と第2温風の風量との比率を調整する。このように、温風量調整器により第2温風の風量を直接調整するということは、第2温風の風量を第1温風の風量より優先して調整することとなり、住宅全体の温度調整が容易になる。
更に、温風ダクトが床下空間に配設される第1ダクトと、温風室に配設される第2ダクトとからなっている。そして、第1ダクトの上端部は、部屋の床を貫通するダクト孔に挿入され、この床より所定長さだけ突出して取り付けられる。また、第2ダクトは、第1ダクトの上端に着脱可能に取り付けられる。なお、本明細書において「所定長さ」とは、床からペレットストーブの底面までの長さより短い長さをいう。この第2ダクトを第1ダクトから取り外せば、第1ダクトの上端がペレットストーブの底面に接触することがないため、メインテナンス等においてペレットストーブを水平に移動させることができ非常に便利である。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
請求項に係る床暖房システムでは、立上り部に外気を通す通気口を設けていないのみならず、立上り部の外側に断熱材を施工する、いわゆる基礎外断熱を採用している。そのため、屋外の冷気により基礎コンクリートが冷却されるのを防ぐことができる。これにより、さらに高気密、高断熱を実現することができる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
請求項に係る床暖房システムでは、床下空間に設置された送風機により、温風ダクトから送り出される温風が床下空間に拡散される。そして、温風吹出し部材としての床下換気扇により、この温風が部屋に強制的に送り込まれるため、床下空間から部屋への温風の流れを円滑にすることができる。また、送風機により、温風ダクトから温風がより多く送り出され、温風室から床下空間への温風の流れを円滑にすることができる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
請求項に係る床暖房システムでは、ペレットストーブの温風室の底板には、温風ダクトが貫通する長孔が設けられている。この長孔により、ペレットストーブを部屋の壁面に平行に移動調整して設置可能である。