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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169836
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】燃料電池システムの運転方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04291 20160101AFI20241129BHJP
   H01M 8/04858 20160101ALI20241129BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20241129BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20241129BHJP
   H01M 8/04492 20160101ALI20241129BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20241129BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20241129BHJP
【FI】
H01M8/04291
H01M8/04858
H01M8/04746
H01M8/04537
H01M8/04492
H01M8/04 Z
H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086622
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100129838
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典輝
(72)【発明者】
【氏名】下村 哲也
(72)【発明者】
【氏名】萬壽 良則
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA06
5H127AB01
5H127AB04
5H127AB29
5H127AC05
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA58
5H127BA59
5H127BA60
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB37
5H127DB27
5H127DB56
5H127DB63
5H127DC22
5H127DC29
5H127DC47
5H127DC96
5H127FF04
(57)【要約】
【課題】燃料電池の発電性能の低下を抑制することができる燃料電池システムの運転方法を提供する。
【解決手段】燃料電池システムの運転方法であって、前記燃料電池システムは、燃料電池スタックと、空気供給手段と、水素供給手段と、蓄電器と、電力調整部と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、カチオン濃化抑制要否を判断する濃化抑制運転要否判定手段を備え、前記濃化抑制運転要否判定手段がカチオン濃化抑制運転要と判断した際に、カチオン濃化抑制運転として、前記燃料電池スタックが出力していた電気エネルギ分を、前記蓄電器が放電し、前記空気供給手段が前記燃料電池スタックへの空気の供給を停止し、前記燃料電池スタックが電気エネルギを出力することを停止する制御を前記制御装置が行う、ことを特徴とする燃料電池システムの運転方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池システムの運転方法であって、
前記燃料電池システムは、
燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックに酸化剤ガスとして空気を供給し、且つ、前記空気の流量を調整する空気供給手段と、
前記燃料電池スタックに燃料ガスとして水素を供給し、且つ、前記水素の流量を調整する水素供給手段と、
前記燃料電池スタックで出力した電気エネルギの少なくとも一部を充電し、充電した前記電気エネルギの少なくとも一部を放電する蓄電器と、
前記蓄電器の充放電と前記燃料電池スタックから入力された前記電気エネルギを調整する機能を有する電力調整部と、
前記燃料電池スタックの発電状態、前記空気供給手段、及び、前記蓄電器の充放電状態を少なくとも制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、カチオン濃化抑制要否を判断する濃化抑制運転要否判定手段を備え、
前記濃化抑制運転要否判定手段がカチオン濃化抑制運転要と判断した際に、カチオン濃化抑制運転として、前記燃料電池スタックが出力していた電気エネルギ分を、前記蓄電器が放電し、前記空気供給手段が前記燃料電池スタックへの前記空気の供給を停止し、前記燃料電池スタックが前記電気エネルギを出力することを停止する制御を前記制御装置が行う、ことを特徴とする燃料電池システムの運転方法。
【請求項2】
前記濃化抑制運転要否判定手段は、前記燃料電池スタックの発電の予め定められた継続時間、前記燃料電池スタックの発電の累積時間、前記燃料電池スタックに設置された電圧センサが測定する前記燃料電池スタックの電圧、前記燃料電池スタックに設置された湿度センサが測定する前記燃料電池スタックの湿度、及び、前記燃料電池スタックに設置された電流センサが測定する前記燃料電池スタックの電流、からなる群より選ばれる少なくとも1つによって前記カチオン濃化抑制要否を判断する、請求項1に記載の燃料電池システムの運転方法。
【請求項3】
前記蓄電器は、二次電池、及び、キャパシタの内の少なくとも一方である、請求項1に記載の燃料電池システムの運転方法。
【請求項4】
前記制御装置は、前記カチオン濃化抑制運転を、少なくとも5秒間継続する制御を行う、請求項1に記載の燃料電池システムの運転方法。
【請求項5】
前記濃化抑制運転要否判定手段は、一度カチオン濃化抑制運転要と判定した後に、再度カチオン濃化抑制運転要と判定するまでに、少なくとも1時間のカチオン濃化抑制運転の不要期間を設ける、請求項1に記載の燃料電池システムの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料電池システムの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1において開示されるような燃料電池(FC)に関して様々な技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-101774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、燃料電池の出力が低い状態において、空気(エアと称する場合がある)を間欠的に供給するため、空気入口の湿度が向上できない。これにより、連続して発電を継続した場合に生じる、空気入口におけるカチオンの濃化を抑制できない。そのため、燃料電池の発電性能の低下を抑制できない。
【0005】
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、燃料電池の発電性能の低下を抑制することができる燃料電池システムの運転方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1実施形態においては、燃料電池システムの運転方法であって、
前記燃料電池システムは、
燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックに酸化剤ガスとして空気を供給し、且つ、前記空気の流量を調整する空気供給手段と、
前記燃料電池スタックに燃料ガスとして水素を供給し、且つ、前記水素の流量を調整する水素供給手段と、
前記燃料電池スタックで出力した電気エネルギの少なくとも一部を充電し、充電した前記電気エネルギの少なくとも一部を放電する蓄電器と、
前記蓄電器の充放電と前記燃料電池スタックから入力された前記電気エネルギを調整する機能を有する電力調整部と、
前記燃料電池スタックの発電状態、前記空気供給手段、及び、前記蓄電器の充放電状態を少なくとも制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、カチオン濃化抑制要否を判断する濃化抑制運転要否判定手段を備え、
前記濃化抑制運転要否判定手段がカチオン濃化抑制運転要と判断した際に、カチオン濃化抑制運転として、前記燃料電池スタックが出力していた電気エネルギ分を、前記蓄電器が放電し、前記空気供給手段が前記燃料電池スタックへの前記空気の供給を停止し、前記燃料電池スタックが前記電気エネルギを出力することを停止する制御を前記制御装置が行う、ことを特徴とする燃料電池システムの運転方法を提供する。
【0007】
本開示の第2実施形態においては、第1実施形態において、前記濃化抑制運転要否判定手段は、前記燃料電池スタックの発電の予め定められた継続時間、前記燃料電池スタックの発電の累積時間、前記燃料電池スタックに設置された電圧センサが測定する前記燃料電池スタックの電圧、前記燃料電池スタックに設置された湿度センサが測定する前記燃料電池スタックの湿度、及び、前記燃料電池スタックに設置された電流センサが測定する前記燃料電池スタックの電流、からなる群より選ばれる少なくとも1つによって前記カチオン濃化抑制要否を判断してもよい。
【0008】
本開示の第3実施形態においては、第1実施形態において、前記蓄電器は、二次電池、及び、キャパシタの内の少なくとも一方であってもよい。
【0009】
本開示の第4実施形態においては、第1実施形態において、前記制御装置は、前記カチオン濃化抑制運転を、少なくとも5秒間継続する制御を行ってもよい。
【0010】
本開示の第5実施形態においては、第1実施形態において、前記濃化抑制運転要否判定手段は、一度カチオン濃化抑制運転要と判定した後に、再度カチオン濃化抑制運転要と判定するまでに、少なくとも1時間のカチオン濃化抑制運転の不要期間を設けてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示の燃料電池システムの運転方法は、燃料電池の発電性能の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本開示の第1実施形態の一例を示すフローチャートである。
図2図2は、本開示の第1実施形態を実現する燃料電池システムの一例を示すシステム構成図である。
図3図3は、本開示の第6実施形態の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、本開示の第7実施形態の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、本開示の第9実施形態を実現する燃料電池システムの一例を示すシステム構成図である。
図6図6は、本開示が解決する課題を説明する図である。
図7図7は、本開示の効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示による実施の形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本開示の実施に必要な事柄(例えば、本開示を特徴付けない燃料電池システムの一般的な構成および製造プロセス)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本開示は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
また、図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
【0014】
本開示は燃料電池の発電性能の低下を抑制するための、燃料電池システムの制御方法に関するもので、特に、燃料電池の湿度を向上して、カチオンの濃化による燃料電池の発電性能の低下の抑制に有効である。
【0015】
1日に数百回の燃料電池の間欠運転を実施する乗用車と異なり、燃料電池製品の普及のため、従来の乗用車で使用される燃料電池システムを流用した定置式発電機(以下、定置式)では、定格で連続して発電を行うため、従来技術のような電圧変動が少ない。そのため、電圧変動に伴う劣化が少ない。本研究者らは、定置式の発電性能の低下抑制のためには、連続して発電を行った際に生じるカチオンの濃化を抑制することが重要という点を見出した。
カチオンは、燃料電池における低湿度の空気入口湿度と高湿度のセル中央との湿度差によって低湿度側に移動し、空気入口で濃化する。カチオン濃化は、プロトンの伝導阻害やスルホン酸基の水吸着を妨げて、燃料電池の発電性能を低下させる。そのため、燃料電池の空気入口の湿度を向上させてセル中央との湿度差をなくし、カチオン濃化を抑制する必要がある。空気入口の湿度を向上させる従来技術では、定格で連続して発電を行うと、カチオンの濃化を抑制できない。
そこで、本研究者らは、燃料電池内部に湿度センサを組み込み、実験的に空気入口の湿度を調査した結果、発電状態から発電を停止し、同時あるいはその直後に空気供給を停止すると、空気供給停止後の約1分間、空気入口の湿度が100%RH(相対湿度)まで向上し、セル中央との湿度差が無くなるという新規な効果を見出した。
また本研究者らは、100:0の偏った分布をもつカチオン分布に対して、一様に湿度100%RHで湿度差が無い分布を入力すると、カチオン分布は5秒後にカチオン自身の濃度拡散により、60:40にまで均一化するという新規な効果を見出した。
【0016】
第1実施形態
本開示の第1実施形態においては、燃料電池システムの運転方法であって、
前記燃料電池システムは、
燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックに酸化剤ガスとして空気を供給し、且つ、前記空気の流量を調整する空気供給手段と、
前記燃料電池スタックに燃料ガスとして水素を供給し、且つ、前記水素の流量を調整する水素供給手段と、
前記燃料電池スタックで出力した電気エネルギの少なくとも一部を充電し、充電した前記電気エネルギの少なくとも一部を放電する蓄電器と、
前記蓄電器の充放電と前記燃料電池スタックから入力された前記電気エネルギを調整する機能を有する電力調整部と、
前記燃料電池スタックの発電状態、前記空気供給手段、及び、前記蓄電器の充放電状態を少なくとも制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、カチオン濃化抑制要否を判断する濃化抑制運転要否判定手段を備え、
前記濃化抑制運転要否判定手段がカチオン濃化抑制運転要と判断した際に、カチオン濃化抑制運転として、前記燃料電池スタックが出力していた電気エネルギ分を、前記蓄電器が放電し、前記空気供給手段が前記燃料電池スタックへの前記空気の供給を停止し、前記燃料電池スタックが前記電気エネルギを出力することを停止する制御を前記制御装置が行う、ことを特徴とする燃料電池システムの運転方法を提供する。
【0017】
第1実施形態によれば、前記燃料電池スタックが出力していた電気エネルギ分を、前記蓄電器が放電することで、燃料電池スタックが発電を停止しても、燃料電池システムの外部からの要求出力に応え続けることが可能になる。
燃料電池スタックが発電中に、発電を停止し空気の供給を停止されることで、燃料電池の電極面内における空気入口側の湿度を一時的(約1分間)100%RHまで増加させることができる。これにより、空気入口とセル中央との湿度差が無くなり、空気入口側にカチオンが濃化していた場合、カチオンがセル中央側に均一化され、濃化が抑制される。
【0018】
本開示は、連続して発電を継続して行うことが多い燃料電池を想定しており、特に、定置式発電機や一定速度で走行を継続するパターンのバスやトラックなどの商用車を想定している。
カチオン濃化は、定置式発電機や一定速度で走行を継続するパターンのバスやトラックなどの商用車を代表として、連続して発電を継続して行う燃料電池で生じやすい。また、カチオン濃化は、燃料電池システムの原価を低減するために空気供給系に加湿器を用いない燃料電池システムで生じやすく、電極面内の空気入口側で生じる。本開示は、原価低減のための加湿器を用いていない燃料電池システムであっても、カチオン濃化による発電性能の低下を抑制できる嬉しさがある。
【0019】
カチオン濃化抑制運転は、カチオン濃化を抑制するため、燃料電池の発電中に発電を停止してその直後に空気の供給を停止することで、空気入口の湿度を向上させて、空気入口とセル中央との湿度差を少なくして、濃化したカチオン分布を均一化させる。そのため、カチオン濃化抑制運転前には、カチオンが濃化し、カチオン分布が偏った状態であると、効果的にカチオン濃化抑制運転が作用できる。カチオンが濃化すると、カチオンによるプロトン伝導性を悪化させ、またカチオンがアイオノマのスルホン酸基に結合するため、スルホン酸基に結合する水が少なくなり、これもまたプロトン伝導性を悪化させる。カチオン濃化抑制運転により、カチオン濃化を抑制すると、これらのプロトン伝導性の悪化を抑制することができ、燃料電池の発電性能を回復することができる。そのため、カチオン濃化抑制運転を定期的に実施することで、燃料電池の発電性能の耐久性を向上することができる。
【0020】
燃料電池は、燃料ガスと酸化剤ガスとを供給し化学反応させることで電気エネルギを出力する。
燃料電池スタックは、燃料電池の単セル(セル)を複数枚積層した積層体である。
本開示においては、セル及び燃料電池スタックのいずれも燃料電池と称する場合がある。
燃料電池スタックにおけるセルの積層数は特に限定されず、例えば、2~数百個であってもよい。
燃料電池の単セルは、発電部を含む。
発電部は、電解質膜および電極を含む。
電解質膜は、固体高分子電解質膜であってもよい。固体高分子電解質膜としては、例えば、水分が含まれたパーフルオロスルホン酸の薄膜等のフッ素系電解質膜、及び、炭化水素系電解質膜等が挙げられる。電解質膜としては、例えば、ナフィオン膜(デュポン社製)等であってもよい。
電極は、アノード(燃料極)及びカソード(酸素極)である。
本開示においては、燃料電池に供給されるガスは反応ガスと称する。アノードに供給される反応ガスは、燃料ガス(アノードガス)であり、カソードに供給される反応ガスは酸化剤ガス(カソードガス)である。燃料ガスは、主に水素を含有するガスであり、水素であってもよい。酸化剤ガスは、酸素を含有するガスであり、酸素、空気(エア)等であってもよい。
電極は、触媒層を含み、必要に応じてガス拡散層を含んでいてもよい。
触媒層は、例えば、電気化学反応を促進する触媒金属、プロトン伝導性を有する電解質、及び、電子伝導性を有する担体等を備えていてもよい。
触媒金属としては、例えば、白金(Pt)、及び、Ptと他の金属とから成る合金(例えばコバルト、及び、ニッケル等を混合したPt合金)等を用いることができる。
電解質としては、フッ素系樹脂等であってもよい。フッ素系樹脂としては、例えば、ナフィオン溶液等を用いてもよい。
上記触媒金属は担体上に担持されており、各触媒層では、触媒金属を担持した担体(触媒担持担体)と電解質とが混在していてもよい。
触媒金属を担持するための担体は、例えば、一般に市販されているカーボンなどの炭素材料等が挙げられる。
ガス拡散層は、気孔を有する導電性部材等であってもよい。
導電性部材としては、例えば、カーボンクロス、及びカーボンペーパー等のカーボン多孔質体、並びに、金属メッシュ、及び、発泡金属などの金属多孔質部材等が挙げられる。
燃料電池の単セルは、セパレータを含んでいてもよい。
セパレータは、発電により生じた電流を集電し、隔壁として機能する。セパレータは、燃料電池のセルにおいて、通常、一対のセパレータが発電部を挟持するように、発電部の積層方向の両側に配置される。
セパレータは、反応ガス及び冷却媒体等の流体をセルの積層方向に流通させるための供給孔及び排出孔等のマニホールドを構成する孔を有していてもよい。
セパレータとしては、例えば、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボン、及び、プレス成形した金属(例えば、鉄、アルミニウム、及び、ステンレス等)等であってもよい。
【0021】
空気供給手段は、前記燃料電池スタックに酸化剤ガスとして空気を供給し、且つ、前記空気の流量を調整する。空気供給手段は、エアコンプレッサ等を含んでいてもよい。
水素供給手段は、前記燃料電池スタックに燃料ガスとして水素を供給し、且つ、前記水素の流量を調整する。水素供給手段は、水素タンク、遮断弁、水素調圧弁、及び、水素インジェクタ等を含んでいてもよい。
蓄電器は、前記燃料電池スタックで出力した電気エネルギの少なくとも一部を充電し、充電した電気エネルギの少なくとも一部を放電する。
電力調整部は、前記蓄電器の充放電と前記燃料電池スタックから入力された電気エネルギを調整する機能を有する。電力調整部は、燃料電池スタックの電圧を測定する電圧センサの機能を備えていてもよい。
制御装置は、前記燃料電池スタックの発電状態、前記空気供給手段、及び、前記蓄電器の充放電状態を少なくとも制御し、必要に応じて水素供給手段を制御する。
制御装置は、物理的には、例えば、CPU(中央演算処理装置)等の演算処理装置と、CPUで処理される制御プログラム及び制御データ等を記憶するROM(リードオンリーメモリー)、並びに、主として制御処理のための各種作業領域として使用されるRAM(ランダムアクセスメモリー)等の記憶装置と、入出力インターフェースとを有するものである。
【0022】
第2実施形態
本開示の第2実施形態においては、第1実施形態において、前記濃化抑制運転要否判定手段は、前記燃料電池スタックの発電の予め定められた継続時間、前記燃料電池スタックの発電の累積時間、前記燃料電池スタックに設置された電圧センサが測定する前記燃料電池スタックの電圧、前記燃料電池スタックに設置された湿度センサが測定する前記燃料電池スタックの湿度、及び、前記燃料電池スタックに設置された電流センサが測定する前記燃料電池スタックの電流、からなる群より選ばれる少なくとも1つによって前記カチオン濃化抑制要否を判断してもよい。
【0023】
カチオン濃化抑制運転を実施するタイミングは、ある程度定格で燃料電池スタックを発電させることが予め定められているため、予測が可能になる。そのため、燃料電池スタックの発電の継続時間や累積時間で予測が可能になる。または燃料電池スタックの性能低下を判断基準として、燃料電池スタック内に設置した電圧センサ、電流センサ、湿度センサ等を元にして、燃料電池スタックの電圧、電流、及び、湿度等から、カチオンが濃化したかどうかを判定しても良い。
燃料電池スタックの性能低下は、燃料電池スタックの電圧低下、またはカチオンが濃化した空気入口の電流低下、または前述の電流低下による、発電反応の生成水量の低下に伴う湿度低下、を示す。
第2実施形態によれば、定格で燃料電池スタックを発電させるため、カチオン濃化の速度やそれによる性能低下が予め予測し易い。カチオン濃化抑制運転は、カチオンが濃化した分布で、抑制効果を発揮し易いため、カチオンが濃化した場合に、カチオン濃化抑制運転を実施することで、カチオン濃化を効果的に抑制することができる。
【0024】
第3実施形態
本開示の第3実施形態においては、第1実施形態において、前記蓄電器は、二次電池、及び、キャパシタの内の少なくとも一方であってもよい。
【0025】
カチオン濃化抑制運転では、空気の供給を停止するため、燃料電池スタックの発電中に発電を停止する。しかし、燃料電池システムの外部からの要求出力は変わらないため、燃料電池スタックの発電を停止しても、燃料電池システムの外部からの要求出力に応える手段が必要になる。
その手段としては、第3実施形態のように、キャパシタ、及び、二次電池(バッテリー)等の蓄電器がある。
一方、後述する第9実施形態のように、個別に空気供給が可能であって、複数の燃料電池スタックを備えた燃料電池システムであれば、少なくとも一つの燃料電池スタックの発電及び空気供給を停止して、次回のカチオン濃化抑制運転の際には、別の燃料電池スタックへの発電及び空気供給を停止しても良い(輪番制)。
【0026】
第4実施形態
本開示の第4実施形態においては、第1実施形態において、前記制御装置は、前記カチオン濃化抑制運転を、少なくとも5秒間継続する制御を行ってもよい。
【0027】
第4実施形態によれば、カチオン濃化抑制運転を継続する時間は、少なくとも5秒間以上であってもよい。これは、本研究者らが、100:0の偏った分布をもつカチオン分布に対して、一様に湿度100%RHで湿度差が無い分布を入力すると、カチオン分布は5秒後にカチオン自身の濃度拡散により、60:40にまで均一化するという新規な効果を見出した点から、5秒間と定めている。
カチオン濃化抑制運転では、カチオン自身の濃度拡散により、カチオン分布が均一化しようとするため、上述のカチオン濃化抑制運転の継続時間が長い程、カチオン分布は均一化し易い。その継続時間は、1分間でも効果的である。これは、本研究者らは、燃料電池内部に湿度センサを組み込み、実験的に空気入口の湿度を調査した結果、発電状態から発電を停止し、同時あるいはその直後に空気供給を停止すると、空気供給停止後の約1分間、空気入口の湿度が100%RHまで向上し、セル中央との湿度差が無くなるという新規な効果を見出した点から、1分間と定めている。
一方で、先述の通り、燃料電池スタックの発電を停止したカチオン濃化抑制運転中は、要求出力に応える手段が必要になるため、カチオン濃化抑制運転が継続するほど、要求出力に応える手段に求められる仕事量が増加することになる。例えば、容量が4.0Ahr、電圧が310.3VのLiイオンバッテリーを備える従来の乗用車において、LiイオンバッテリーのSOCの最大では、その仕事量は1.2kWhr(=4.0Ahr×310.3V)になる。仮に、要求出力70kWの1分間での必要仕事量は1.17kWhr(=70kW*1/60 hr)であるため、1分間は成立するが、1分以上ではLiイオンバッテリーの容量を増やす必要が発生する。
燃料電池システムが、複数の、例えば3台の燃料電池スタックを備える場合であっても、カチオン濃化抑制運転中は内2台の燃料電池スタックが、通常の運転中の1.5倍の出力で発電をすることになり、高電流で発電するため、燃料電池スタックの発電効率が低下する。したがって、カチオン濃化抑制運転の長期化はシステム効率を低下させることになる。
以上の関係からも、カチオン濃化抑制運転は、少なくとも5秒間継続してもよく、実用的な範囲として1分以内であってもよい。
【0028】
第5実施形態
本開示の第5実施形態においては、第1実施形態において、前記濃化抑制運転要否判定手段は、一度カチオン濃化抑制運転要と判定した後に、再度カチオン濃化抑制運転要と判定するまでに、少なくとも1時間のカチオン濃化抑制運転の不要期間を設けてもよい。
【0029】
従来の乗用車では、カチオン濃化による燃料電池の性能低下率は、さほど大きくなかったが、定置式では、燃料電池の連続発電時にカチオン濃化による燃料電池の性能低下率が大きくなる。カチオン濃化抑制運転を高頻度に行うと、バッテリー等の蓄電器の充放電回数が増えるため、バッテリーの劣化を招く。そこで、本研究者らは、実験的な観点により、カチオン濃化抑制運転の周期は少なくとも1時間以上を確保すれば良いことを確認した。
【0030】
第6実施形態
本開示の第6実施形態においては、第1実施形態において、前記制御装置は、前記カチオン濃化抑制運転を実施する前に、前記燃料電池スタックが前記燃料電池システムの外部からの要求出力を超える高出力運転を行ってもよい。
【0031】
第6実施形態によれば、燃料電池スタックの高出力運転を実施することで、燃料電池システムの外部からの要求出力に応じながら、蓄電器に充電が可能になる。そのため、蓄電器のSOCを満充電でき、確実にカチオン濃化抑制運転を作動させることができる。また、高出力運転では、燃料電池スタックの電流が高くなるため、発電反応に伴う生成水が増える。これにより、燃料電池スタック内に残存する生成水が増えるため、カチオン濃化抑制運転の際の湿度向上効果を高めることができる。
【0032】
第7実施形態
本開示の第7実施形態においては、第1実施形態において、前記制御装置は、前記カチオン濃化抑制運転を実施する前に、前記燃料電池スタックの自己加湿運転を行ってもよい。
【0033】
第7実施形態によれば、カチオン濃化抑制運転の前に、燃料電池スタックの自己加湿運転を行い、燃料電池スタック内に残存する生成水を増やしておくことにより、燃料電池スタック内の湿度が増えるため、カチオン濃化抑制運転の際の湿度向上効果を高めることができる。
【0034】
第8実施形態
本開示の第8実施形態においては、第7実施形態において、前記自己加湿運転は、空気供給量の低減、空気圧力の向上、及び、循環水素流量の増加からなる群より選ばれる少なくとも1つであってもよい。
【0035】
自己加湿運転は、従来技術の範囲内で、例えば空気供給量を低減すること、空気圧力を向上すること、及び、燃料電池スタックの水素オフガスを含み、且つ、加湿ガスである循環水素の流量を増加すること等により実施することができる。
【0036】
第9実施形態
本開示の第9実施形態においては、第1実施形態において、前記燃料電池システムは前記燃料電池スタックを2つ以上の複数備え、
前記空気供給手段は、複数の前記燃料電池スタックに、個別に空気の供給が可能であり、
前記カチオン濃化抑制運転の際には、前記制御装置は、任意の1つの燃料電池スタックへの空気の供給を停止し、残りの燃料電池スタックへ空気を供給し、次回のカチオン濃化抑制運転では、前回のカチオン濃化抑制運転において空気の供給を停止した燃料電池スタックに空気を供給し、前回のカチオン濃化抑制運転において空気を供給した燃料電池スタックの内の1つへの空気の供給を停止してもよい。
【0037】
第9実施形態のように、燃料電池システムが複数の燃料電池スタックを有する場合は、カチオン濃化抑制運転は輪番制にしても良い。具体的には、燃料電池スタックA,Bを有する場合、N回目のカチオン濃化抑制運転では、燃料電池スタックAの出力を2倍に上げて、燃料電池スタックBは、空気供給を停止されて発電を停止する。N+1回目のカチオン濃化抑制運転では、燃料電池スタックBの出力を2倍に上げて、燃料電池スタックAは、空気供給を停止されて発電を停止する、という順番になる。これにより、蓄電器が放電する量を少なくすることができる。
燃料電池スタックを複数有する場合の個数は、少なくとも2以上であればよく、上限は特に限定されない。
【0038】
第10実施形態
本開示の第10実施形態においては、第1実施形態において、前記制御装置は、前記燃料電池スタック及び前記蓄電器が出力した電気エネルギを、主に定格で使用してもよい。
【0039】
カチオン濃化は、燃料電池電極面内に湿度差がある状態が、一定時間継続された場合に、カチオンの移動により生じるため、燃料電池スタックの定格及び連続運転時に生じやすい。そのため、第10実施形態は、定格で使用することを想定した、定置式や、トラック及びバス等の長距離輸送用の移動体に搭載される燃料電池システムにおいて、有効である。
本開示において主にとは、50%以上の割合を意味する。
【0040】
図1は、本開示の第1実施形態の一例を示すフローチャートである。
図2は、本開示の第1実施形態を実現する燃料電池システムの一例を示すシステム構成図である。図2に示す第1実施形態の燃料電池システムは、燃料電池スタック、空気供給手段、電力調整装置(電力調整部)、制御装置、蓄電器としてのBAT(バッテリー)、及び、水素供給手段を含む。水素供給手段は、水素タンク、遮断弁、水素調圧弁、及び、水素インジェクタを含む。
S1:濃化抑制運転要否判定手段により、カチオン濃化抑制運転が必要(YES)かどうかを判断する。濃化抑制運転要否判定手段は、発電の継続時間、または累積時間をもとに要否判断する場合は、制御装置(図2)の中に含まれていてもよい。電圧センサ、電流センサ、湿度センサ等を用いる場合は、燃料電池スタック内に所望のセンサを組み込んでもよい。
S2:制御装置は、カチオン濃化抑制運転を行う前に、燃料電池スタックが出力していた電気エネルギを、充放電可能な蓄電器(図2 BAT)がカチオン濃化抑制運転中に出力して補うことが可能かを、判断する。
判断は蓄電器の残容量(SOC)で行い、判断の基準となる量は、予め設定しておく。
S3~S5はカチオン濃化抑制運転のフローを示す。
S3:FC発電を停止し、バッテリーでの放電に切り替える。
S4:燃料電池スタックへの反応ガス(空気)の供給を停止する。S3とS4は同時でも良い。仮に、燃料電池スタックが発電中に、空気供給が停止されたとしても、燃料電池スタックの発電性能が一時的に低下して発電効率が著しく悪化するが、空気を供給すれば発電性能は回復するためである(可逆劣化)。
S5:予め定められた所定時間、S3とS4の状態を維持する。所定時間は一定でなくても良い。例えば、発電の総累計時間が長い程、保持時間を長くするようなMAPに基づいても良い。
【0041】
図3は、本開示の第6実施形態の一例を示すフローチャートである。
S21:バッテリーSOCが最大(満充電)になるまで、燃料電池スタックの高出力運転を実施する。
S22:SOCが最大になると、カチオン濃化抑制運転を実行する(S3~S5)
【0042】
図4は、本開示の第7実施形態の一例を示すフローチャートである。
S31:S3以降のカチオン濃化抑制運転を実行する前に、セル内湿度向上運転(燃料電池スタックの自己加湿運転)を実施する。
セル内湿度向上運転では、公知の技術であるが、空気供給流量の低減(=空気St比の低減)、空気圧力の増加、循環水素流量の増加等が挙げられる。
これらにより、セル内の湿度が上がるため、カチオン濃化抑制運転時の湿度向上効果が高められる。セル内湿度向上運転の目安時間は1分間であるが、必ずしもその限りでない。セル内湿度向上運転により燃料電池スタックの電流-出力特性が若干変化するが、要求出力に応じた電流に変えれば良い。
【0043】
図5は、本開示の第9実施形態を実現する燃料電池システムの一例を示すシステム構成図である。図5に示す第9実施形態の燃料電池システムは、燃料電池スタックA、燃料電池スタックB、これらの燃料電池スタックに個別に空気を供給する空気供給手段を含むこと以外は、図2に示す第1実施形態の燃料電池システムの構成と同じである。
【0044】
図6は、本開示が解決する課題を説明する図である。
図6(1)が燃料電池セルを平面視したときの一例を示す概略模式図であり、図6(2)が燃料電池スタックの構成の一例を示す模式図である。
図6(1)に示す数字の意味は以下の通りである。
1:セル、2:発電面、10:空気供給マニホールド、11:空気排出マニホールド、20:水素供給マニホールド、21:水素排出マニホールド、A:空気供給マニホールドに近い部位、B:セル中央側の部位、C:水素供給マニホールドに近い部位
図6a. 燃料電池セル内の初期のカチオン分布
燃料電池スタックを構成するセルには、ラジカルクエンチャーのためカチオンが製造時に所定量、比較的均一的に添加されている。
図6b. 燃料電池セル内の発電中の湿度分布
発電を行うと、ガス供給マニホールドに近いセル面内の部位(AやC)では、ガス流れに沿って考えた場合の発電反応の初期に相当するため、発電反応に伴う生成水による加湿量が少なくなる。結果的に、ガス供給マニホールドに近いセル面内の部位(AやC)の湿度は、セル中央の部位(B)と比較して、低くなる。
一般的に、水素は燃費向上を狙って、排出ガスを利用するため循環式にしており、この場合、排出ガスは生成水により加湿されたガスになる。また、システムの原価低減を狙って、空気側に加湿器を設けない場合、空気は乾燥したガスが供給される。これにより、空気供給マニホールドに近い部位(A)は水素供給マニホールドに近い部位(C)よりも湿度が低くなる。
図6c. 燃料電池セル内の連続発電後のカチオン分布
b.で説明した湿度分布が長時間連続して形成されると、高湿度から低湿度の方向に生じる水の流束に伴って、カチオンが移動する(カチオンは添加されているだけのため動きやすい)。結果として、低湿度のガス供給マニホールドに近い部位(A,C)にカチオンが濃化し、特に湿度がより低いAの部位に濃化する。
補足すると、乗用車のように、システム起動からシステム停止までが数時間である使い方をした場合、システム停止により、ガス供給が停止し、燃料電池スタックの温度が低下する(常温に戻る)ため、燃料電池セル内の湿度分布は、比較的高湿度で、均一的な分布になるため、カチオン濃化が進行しない。
図6d. カチオン濃度とプロトン伝導性及び発電性能の相関
カチオン濃化が生じると、カチオン(+イオン)がクーロン力によりプロトン(+イオン)の移動を阻害するため、プロトンの伝導性が悪化する。プロトンの伝導性が悪いと、発電反応に必要なプロトンが律速されるため、発電性能が悪化する。
図6e.カチオン濃化抑制のための湿度分布
図6a.~d.に基づき、本研究者らはカチオン濃化抑制のために湿度分布を改善することを考えた。効果については、図7で説明する。
【0045】
図7は、本開示の効果を示す図である。
本研究者らは、発電中に発電を停止してその直後(1秒後)に空気の供給を停止することで、空気入口の湿度を向上させて、セル中央との湿度差を少なくして、濃化したカチオン分布を、均一化させることを見出した。
これによって、10%低下していた燃料電池スタックの発電性能を、4%低下に抑制できることを見出した。
図7a. 空気供給を停止する前後のセル面内湿度の推移
本研究者らは、空気の供給を停止することで、直後に空気供給マニホールドに近い部位(A)の湿度が100%RHまで増加することを見出した。
増加する理由は乾燥したガスが入らないため、直前まで発電をしていたため、残存する生成水によって加湿されるためである。Aの湿度が100%RHを維持して、100%RHであるセル中央(B)と湿度差が少なくなっている時間は、およそ1分間継続される。その後は、供給され続けている水素(一般的に水素不足による問題を解決するため、供給を継続する)の湿度に収束する。
図7b. 高湿度(100%RH)環境下でのカチオン移動の試算
カチオンは図6_c.での説明のように、湿度差で移動するが、カチオン自身の濃度差によっても移動(均一化しようと)する。
その場合、カチオン周辺の湿度が高い程、濃度差による移動も促進される。本研究者らは、100%RHの湿度環境下で、カチオンが濃化した状態から、5秒後にはカチオンは均一化しようと移動することを見出した。
図7c. 本開示による発電性能の低下抑制の効果
空気の供給を一時的に停止する、という制御を取り入れることで、10%低下していた燃料電池スタックの発電性能を、4%低下に抑制できることを見出した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7