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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169847
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】液体吐出装置および推測方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
B41J2/165 303
B41J2/165 401
B41J2/165 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086654
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】加藤 龍二
(72)【発明者】
【氏名】小川 幹生
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕幸
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB24
2C056EB29
2C056EB35
2C056EC23
2C056EC28
2C056JB04
2C056JB08
2C056JB15
(57)【要約】
【課題】ワイピング処理の条件を最適化する手段を提供する。
【解決手段】プリンタ10は、印刷ヘッド34のノズル面33Aに当接して、印刷ヘッド34に対して相対的に移動するワイパ72と、コントローラ130と、を備える。コントローラ130は、ワイピング処理を実行してからの経過時間t、ワイパ速度V、力Fwipeに基づいて、ワイピング処理を実行したときにノズル面33Aにインク滴が残存するかを推測する推測処理を実行し、推測処理においてノズル面33Aにインク滴が残存すると推測したことに応じて、少なくとも経過時間t、ワイパ速度V、および力Fwipeのいずれかを変更する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル面にノズルが開口するヘッドと、
上記ノズル面に当接して、上記ヘッドに対して相対的に移動するワイパと、
コントローラと、を備えており、
上記コントローラは、
上記ワイパが上記ノズル面に当接して上記ヘッドに対して相対的に移動するワイピング処理を実行してからの経過時間、上記ワイパが上記ヘッドに対して相対的に移動する移動速度、および上記ワイパが上記ノズル面に当接するときの押付圧を取得し、
上記経過時間、上記移動速度、および上記押付圧に基づいて、上記ワイピング処理を実行したときに上記ノズル面に液体が残存するかを推測する推測処理を実行し、
上記推測処理において液体が残存すると推測したことに応じて、少なくとも上記経過時間、上記移動速度、および上記押付圧のいずれかを変更する液体吐出装置。
【請求項2】
上記コントローラは、
液体が残存すると推測したことに応じて、上記移動速度を最小速度に変更して、再度の上記推測処理を実行し、
再度の上記推測処理において液体が残存すると推測したことに応じて、上記押付圧を最大押付圧に変更して再々度の上記推測処理を実行し、
再々度の上記推測処理において液体が残存すると推測したことに応じて、上記経過時間を変更する請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
上記推測処理は、さらに、上記ノズルが吐出する液体に関する液体情報、上記ワイパに関するワイパ情報、および上記ヘッドの環境に関する環境情報に基づくものである請求項1または2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
上記コントローラは、
上記推測処理において、
少なくとも、上記経過時間、上記液体情報、および上記環境情報に基づいて、上記ノズル面に付着した液体の蒸発率を決定し、
少なくとも、決定された上記蒸発率に基づいて、上記ノズル面に付着した液体の粘度を決定し、
少なくとも、決定された上記粘度、上記押付圧、および上記移動速度に基づいて、液体が残存するかを推測する請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
洗浄液を保持するウエットワイパをさらに備えており、
上記コントローラは、
少なくとも、決定された上記粘度に基づいて、上記液体が固まった状態であるかを決定し、
上記液体が固まった状態であると決定したことに基づいて、上記ウエットワイパを上記ノズル面に当接して上記ヘッドに対して相対的に移動するウエットワイピング処理を実行する請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
上記液体は、顔料および水溶性有機溶媒を含む水系インクである請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
上記液体は、樹脂微粒子をさらに含む請求項6に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
ヘッドのノズル面に付着した液体を、上記ノズル面に当接しつつ上記ヘッドに対して相対的に移動するワイパによって拭き取るワイピング処理の推測方法であって、
上記ワイパが上記ノズル面に当接して上記ヘッドに対して相対的に移動するワイピング処理を実行してからの経過時間、上記ワイパが上記ヘッドに対して相対的に移動する移動速度、および上記ワイパが上記ノズル面に当接するときの押付圧に基づいて、上記ワイピング処理を実行したときに上記ノズル面に液体が残存するかを推測する推測方法。
【請求項9】
上記ヘッドが吐出する液体に関する液体情報、上記ワイパに関するワイパ情報、および上記ヘッドの環境に関する環境情報に基づいて、上記ワイピング処理を実行したときに上記ノズル面に液体が残存するかを推測する請求項8に記載の推測方法。
【請求項10】
少なくとも、上記経過時間、上記液体情報、および上記環境情報に基づいて、上記ノズル面に付着した上記液体の蒸発率を決定し、
少なくとも、決定された上記蒸発率に基づいて、上記ノズル面に付着した上記液体の粘度を決定し、
少なくとも、決定された上記粘度、上記押付圧、および上記移動速度に基づいて、上記ノズル面に上記液体が残存するかを推測する請求項9に記載の推測方法。
【請求項11】
少なくとも、決定された上記粘度に基づいて、上記液体が固まった状態であるかを決定する請求項10に記載の推測方法。
【請求項12】
少なくとも、決定された上記粘度、上記押付圧、上記移動速度に基づいて、上記ワイパから上記液体に加わる力と、上記液体の粘性摩擦による力とを比較する請求項10に記載の推測方法。
【請求項13】
少なくとも決定された上記粘度に基づいて、相対移動するワイパにより上記液体に生ずる剪断流において上記液体の粘性摩擦がする仕事量と、相対移動するワイパにより上記液体に生ずる上記液体の表面張力による力とが釣り合うときの上記ワイパの最大移動速度を決定し、決定した上記最大移動速度と上記移動速度とを比較する請求項10に記載の推測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル面の液体を払拭するワイパを備えた液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に係る画像形成装置では、ヘッドのノズルから最終吐出時に吐出されたインクのドットサイズと、最終吐出からの未吐出時間と、に基づいて、ノズルの乾燥度を求めて、ヘッドからインクの予備吐出が必要か否かを判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-94950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、パージなどによりヘッドのノズル面に付着したインクは、ワイパによりワイピング処理によって拭き取られる。しかしながら、ノズル面に付着したインクから水分が蒸発するとインクの粘度や表面張力などが変化する。また、ノズル面に対するワイパの押付圧やワイパの移動速度もインクの拭き取りに影響し得る。このため、ワイピング処理の最適な条件が判断しにくいという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ワイピング処理の条件を最適化する手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る液体吐出装置は、ノズル面にノズルが開口するヘッドと、上記ノズル面に当接して、上記ヘッドに対して相対的に移動するワイパと、コントローラと、を備える。上記コントローラは、上記ワイパが上記ノズル面に当接して上記ヘッドに対して相対的に移動するワイピング処理を実行してからの経過時間、上記ワイパが上記ヘッドに対して相対的に移動する移動速度、および上記ワイパが上記ノズル面に当接するときの押付圧を取得し、上記経過時間、上記移動速度、および上記押付圧に基づいて、上記ワイピング処理を実行したときに上記ノズル面に液体が残存するかを推測する推測処理を実行し、上記推測処理において液体が残存すると推測したことに応じて、少なくとも上記経過時間、上記移動速度、および上記押付圧のいずれかを変更する。
【0007】
上記液体吐出装置によれば、ワイピング処理の条件が最適化される。
【0008】
(2) 上記コントローラは、液体が残存すると推測したことに応じて、上記移動速度を最小速度に変更して、再度の上記推測処理を実行し、再度の上記推測処理において液体が残存すると推測したことに応じて、上記押付圧を最大押付圧に変更して再々度の上記推測処理を実行し、再々度の上記推測処理において液体が残存すると推測したことに応じて、上記経過時間を変更してもよい。
【0009】
ワイピング処理の頻度を少なくしつつワイピング処理の条件が最適化される。
【0010】
(3) 上記推測処理は、さらに、上記ノズルが吐出する液体に関する液体情報、上記ワイパに関するワイパ情報、および上記ヘッドの環境に関する環境情報に基づくものであってもよい。
【0011】
(4) 上記コントローラは、上記推測処理において、少なくとも、上記経過時間、上記液体情報、および上記環境情報に基づいて、上記ノズル面に付着した液体の蒸発率を決定し、少なくとも、決定された上記蒸発率に基づいて、上記ノズル面に付着した液体の粘度を決定し、少なくとも、決定された上記粘度、上記押付圧、および上記移動速度に基づいて、液体が残存するかを推測してもよい。
【0012】
(5) 上記液体吐出装置は、洗浄液を保持するウエットワイパをさらに備えており、上記コントローラは、少なくとも、決定された上記粘度に基づいて、上記液体が固まった状態であるかを決定し、上記液体が固まった状態であると決定したことに基づいて、上記ウエットワイパを上記ノズル面に当接して上記ヘッドに対して相対的に移動するウエットワイピング処理を実行してもよい。
【0013】
(6) 上記液体は、顔料および水溶性有機溶媒を含む水系インクであってもよい。
【0014】
(7) 上記液体は、樹脂微粒子をさらに含んでもよい。
【0015】
(8) 本発明は、ヘッドのノズル面に付着した液体を、上記ノズル面に当接しつつ上記ヘッドに対して相対的に移動するワイパによって拭き取るワイピング処理の推測方法であって、上記ワイパが上記ノズル面に当接して上記ヘッドに対して相対的に移動するワイピング処理を実行してからの経過時間、上記ワイパが上記ヘッドに対して相対的に移動する移動速度、および上記ワイパが上記ノズル面に当接するときの押付圧に基づいて、上記ワイピング処理を実行したときに上記ノズル面に液体が残存するかを推測する。
【0016】
(9) さらに、上記ヘッドが吐出する液体に関する液体情報、上記ワイパに関するワイパ情報、および上記ヘッドの環境に関する環境情報に基づいて、上記ワイピング処理を実行したときに上記ノズル面に液体が残存するかを推測してもよい。
【0017】
(10) 少なくとも、上記経過時間、上記液体情報、および上記環境情報に基づいて、上記ノズル面に付着した上記液体の蒸発率を決定し、少なくとも、決定された上記蒸発率に基づいて、上記ノズル面に付着した上記液体の粘度を決定し、少なくとも、決定された上記粘度、上記押付圧、および上記移動速度に基づいて、上記ノズル面に上記液体が残存するかを推測してもよい。
【0018】
(11) 少なくとも、決定された上記粘度に基づいて、上記液体が固まった状態であるかを決定してもよい。
【0019】
(12) 少なくとも、決定された上記粘度、上記押付圧、上記移動速度に基づいて、上記ワイパから上記液体に加わる力と、上記液体の粘性摩擦による力とを比較してもよい。
【0020】
(13) 少なくとも決定された上記粘度に基づいて、相対移動するワイパにより上記液体に生ずる剪断流において上記液体の粘性摩擦がする仕事量と、相対移動するワイパにより上記液体に生ずる上記液体の表面張力による力とが釣り合うときの上記ワイパの最大移動速度を決定し、決定した上記最大移動速度と上記移動速度とを比較してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ワイピング処理の条件が最適化される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、プリンタ10の斜視図である。
図2図2は、プリンタ10の内部構成を示す模式図である。
図3図3は、印刷ヘッド34、キャップ71、ワイパ72、ウエットワイパ76を示す模式図である。
図4図4は、プリンタ10の機能ブロック図である。
図5図5は、判定処理を示すフローチャートであ。
図6図6は、推測処理を示すフローチャートである。
図7図7は、ノズル面33Aに付着した固体状態のインク滴にワイパブレード73が当接した状態を示す模式図である。
図8図8は、ノズル面33Aに付着した液体状態のインク滴にワイパブレード73が当接した状態を示す模式図である。
図9図9は、前進接触角θ、後退接触角θ、平衡接触角θを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係るプリンタ10について詳説する。なお、下記の実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0024】
実施形態では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。プリンタ10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向1が定義される。プリンタ10において給紙トレイ23が引き出される方を前方として、前後方向2が定義される。プリンタ10を手前側(前側)から視て左右方向3が定義される。
【0025】
[プリンタ10の外観構成]
図1に示されるように、プリンタ10(液体吐出装置の一例)は、筐体20と、筐体20に保持される操作部21、カバー22、給紙トレイ23、排紙トレイ24と、コントローラ130と、メモリ140と、を備える。プリンタ10は、シート6(図2参照)に画像を記録する。
【0026】
シート6は、所定の寸法にカットされた記録媒体であってもよいし、円筒形状に巻かれたロールから引き出されたものであってもよいし、ファンフォールドタイプのものであってもよい。
【0027】
操作部21は、ディスプレイ及び複数の操作スイッチを備える。操作部21は、ユーザの操作を受け付ける。操作部21はタッチパネルであってもよい。
【0028】
図1に示されるように、給紙トレイ23は、筐体20の下部に位置する。排紙トレイ24は、筐体20の下部であって、給紙トレイ23の上方に位置する。カバー22は、筐体20の前面の右部に位置する。カバー22は、下端において筐体20に対して回動可能である。カバー22が開かれると、インクを貯留するカートリッジ70にアクセス可能である。
【0029】
本実施形態では、カートリッジ70は、ブラックなどの1色のインクを貯留するものに限定されず、例えば、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの4つのインクをそれぞれ貯留する4つのカートリッジ70であってもよい。図2に示されるように、カートリッジにはIC基板79が搭載されており、カートリッジ70に貯留されているインクの種類を特定する液体情報が格納されている。
【0030】
[印刷エンジン50]
図2に示されるように、筐体20は、印刷エンジン50を内部に保持する。印刷エンジン50は、給送ローラ25、搬送ローラ26、排出ローラ27、プラテン28、印刷ヘッド(ヘッドの一例)34を主に備える。給送ローラ25は、アーム29に回転可能に支持されている。アーム29は、筐体20内に設けられた不図示のフレームに回動可能に支持されている。給送ローラ25は、給紙トレイ23に載置されたシート6に当接する。給送用モータ102(図4参照)の駆動が伝達されて給送ローラ25が回転すると、給紙トレイ23からシート6が搬送路37へ給送される。搬送路37は、不図示のガイド部材によって区画された空間である。本実施形態では、搬送路37は、給紙トレイ23の後端から上方へ湾曲しつつ延びており、次いで、前方に向かって延びている。
【0031】
搬送ローラ26および従動ローラ35は、シート6の搬送方向4において給紙トレイ23よりも下流に位置する。従動ローラ35は、搬送ローラ26へ向けてバネにより付勢されている。従動ローラ35は、搬送ローラ26との間にシート6を挟み込む。搬送用モータ101(図4参照)の駆動が伝達されて搬送ローラ26が回転すると、従動ローラ35との間に挟まれたシート6が搬送方向4へ搬送される。
【0032】
排出ローラ27および従動ローラ36は、搬送方向4において搬送ローラ26より下流に位置する。従動ローラ36は、排出ローラ27へ向けてバネにより付勢されている。従動ローラ36は、排出ローラ27との間にシート6を挟み込む。搬送用モータ101(図4参照)の駆動が伝達されて排出ローラ27が回転すると、従動ローラ36との間に挟まれたシート6が搬送方向4へ搬送される。
【0033】
搬送ローラ26には、搬送ローラ26の軸の回転量を検出するロータリエンコーダ75(図4参照)が設けられている。ロータリエンコーダ75は、搬送ローラ26の軸と共に回転するエンコーダディスク(不図示)と光学センサ(不図示)とを有する。エンコーダディスクには、光が透過される透過部と光が透過されない非透過部とが円周方向に等ピッチで交互に配置されたパターンが形成されている。エンコーダディスクが回転すると、光学センサによって透過部と非透過部とが検出される毎にパルス信号が生成される。生成されたパルス信号は、コントローラ130(図4参照)に出力される。コントローラ130は、受信したパルス信号に基づいて、搬送ローラ26の回転量を算出する。
【0034】
プラテン28は、前後方向8において搬送ローラ26と排出ローラ27との間に位置する。プラテン28は、上面にてシート6を支持する。
【0035】
印刷ヘッド34は、前後方向8において搬送ローラ26と排出ローラ27との間に位置する。印刷ヘッド34は、上下方向1においてプラテン28の上方に位置する。印刷ヘッド34は、キャリッジ40に搭載されている。キャリッジ40は、左右方向3に沿って延びるガイドレール(不図示)によって移動可能に支持されている。キャリッジ駆動用モータ103(図4参照)の駆動が伝達されるとキャリッジ40が左右方向3に移動する。キャリッジ40の移動に伴って、印刷ヘッド34が左右方向3に沿って移動する。
【0036】
印刷ヘッド34は、インクが流通する流路を内部に有する。流路は、チューブ31によって、カートリッジ70と連通されている。チューブ31を通じて、カートリッジ70から印刷ヘッド34へインクが供給される。印刷ヘッド34の下面はノズル面33Aである。ノズル面33Aには、複数のノズル33が開口する。各ノズル33に対応する圧電素子45(図4参照)が駆動されると、各ノズル33からインク滴が吐出される。なお、印刷ヘッド34はシリアルヘッドではなく、ラインヘッドであってもよい。ラインヘッドの場合、後述するワイパ72およびウエットワイパ76(図3参照)がラインヘッドに対して相対的に移動してノズル面33Aが拭われる。
【0037】
ガイドレールには、エンコーダ38(図4参照)が配置されている。エンコーダ38は、ガイドレールに沿って延びるエンコーダストリップと、キャリッジ40に搭載された光学センサとを備えている。エンコーダストリップには、光を透過させる透光部と光を遮断する遮光部とが、左右方向9に等ピッチで交互に配置されたパターンが記されている。光学センサによって透光部及び遮断部が検出されることによってパルス信号が検出される。パルス信号は、キャリッジ40の左右方向9の位置に応じた信号である。パルス信号は、コントローラ130に出力される。コントローラ130は、受信したパルス信号に基づいて、キャリッジ40の左右方向3の位置および速度を算出する。
【0038】
[キャップ71、ワイパ72、ウエットワイパ76]
図3に示されるように、キャップ71は、ゴム等の弾性材料により構成される。キャップ71は、メンテナンス位置の印刷ヘッド34の下方に位置する。キャップ71は、上方に向かって開口するカップ形状である。キャップ71は、キャップ駆動用モータ104によって上下方向1に移動可能である。図3において破線で示されるように、キャップ71は、メンテナンス位置にある印刷ヘッド34のノズル面33Aに密着して、全てのノズル33の開口を覆う。
【0039】
キャップ71には、廃インクチューブ71Aが接続されている。キャップ71の底部には排出口が形成されている。排出口には、廃インクチューブ71Aの一端が接続されている。廃インクチューブ71Aの内部空間は、流体が流通可能である。廃インクチューブ71Aの他端は、廃インクタンク(不図示)と接続されている。
【0040】
キャップ71が印刷ヘッド34のノズル面33Aに密着した状態において、ポンプ77が駆動されると、キャップ71の内部空間が減圧されて、印刷ヘッド34のノズル33からインクが排出される。印刷ヘッド34から排出されたインクは、キャップ71の内部空間から廃インクチューブ71Aを通って廃インクタンクに流出する。
【0041】
ワイパ72は、キャップ71の右方に位置しており、図3において破線で示されるように上下方向1に移動可能である。ワイパ72は、ゴム等の弾性材料で構成されたワイパブレード73と、ホルダ74と、を有する。ホルダ74は、ワイパブレード73を支持する。ワイパブレード73は、ホルダ74から上向きに延びる。ワイパブレード73の先端部72Aは上向きである。上方に位置するワイパブレード73とノズル面33Aとが上下方向1に重複する長さ(押し込み量p)によって、ワイパブレード73がノズル面33Aに当接するときの押付圧が決まる。ワイパ72において、ワイパブレード73は、例えばホルダ74の上下方向1の位置が変更されることにより押し込み量pが変更可能である。ワイパ72が上方に位置する状態(図3に破線で示された状態)において、印刷ヘッド34がメンテナンス位置から右方へ移動すると、ワイパブレード73の先端部72Aがノズル面33Aに当接しノズル面33Aを拭う。これにより、印刷ヘッド34のノズル面33Aに付着したインク滴が、ワイパ72によって拭き取られる。
【0042】
ウエットワイパ76は、キャップ71の右方であってワイパ72の左方に位置しており、図3において破線で示されるように上下方向1に移動可能である。ウエットワイパ76は、スポンジ等の洗浄液を保持可能な材料で構成される。ウエットワイパ76が上方に位置する状態(図3に破線で示された状態)において、印刷ヘッド34がメンテナンス位置から右方へ移動すると、ウエットワイパ76がノズル面33Aに当接する。これにより、印刷ヘッド34のノズル面33Aに洗浄液が塗布される。洗浄液は、例えば、水溶性有機溶媒、界面活性剤、水などを含む。
【0043】
[コントローラ130およびメモリ140]
プリンタ10は、コントローラ130およびメモリ140を有する。コントローラ130は、プリンタ10の各種動作を制御する。図4に示されるように、コントローラ130は、CPU131及びASIC135を備えている。メモリ140は、ROM132、RAM133、及びEEPROM134を備えている。CPU131、ASIC135、ROM132、RAM133、及びEEPROM134は、内部バス137によって接続されている。
【0044】
ROM132には、CPU131が各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号などを一時的に記録する記憶領域、或いはデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM134には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグなどが格納される。
【0045】
ASIC135には、搬送用モータ101、給送用モータ102、キャリッジ駆動用モータ103、キャップ駆動用モータ104、及びワイパ駆動用モータ105、が接続されている。ASIC135には、各モータを制御する駆動回路が組み込まれている。CPU131は、各モータを回転させるための駆動信号を各モータに対応する駆動回路に出力する。駆動回路は、CPU131から取得した駆動信号に応じた駆動電流を対応するモータへ出力する。これにより、対応するモータが回転する。つまり、コントローラ130は、給送用モータ102を制御して、搬送路37にシート6を給送させる。また、コントローラ130は、搬送用モータ101を制御して、搬送ローラ26及び排出ローラ27を駆動しシート6を搬送させる。また、コントローラ130は、キャリッジ駆動用モータ103を制御して、キャリッジ40を移動させる。また、コントローラ130は、キャップ駆動用モータ104を制御して、キャップ71を左右方向3に移動させる。
【0046】
ASIC135には、ロータリエンコーダ75の光学センサが接続されている。コントローラ130は、ロータリエンコーダ75の光学センサから受け取った電気信号に基づいて、搬送用モータ101の回転量を算出する。
【0047】
ASIC135には、エンコーダ38が接続されている。コントローラ130は、エンコーダ38から受け取ったパルス信号に基づいて、キャリッジ40の位置や移動の有無を認識する。
【0048】
ASIC135には、圧電素子45が接続されている。圧電素子45は、不図示のドライブ回路を介してコントローラ130により給電されることで動作する。コントローラ130は、圧電素子45への給電を制御し、複数のノズル33から選択的にインク滴を吐出させる。
【0049】
ASIC135には、環境センサ78が接続されている。環境センサ78は、温度および湿度を検知して信号を出力する。コントローラ130は、環境センサ78が出力する信号に基づいてプリンタ10が置かれている環境の温度および湿度を決定する。
【0050】
ASIC135には、例えば接点(不図示)を介してカートリッジ70のIC基板79が接続されている。コントローラ130は、IC基板79に電子情報を書き込んだり、IC基板79に記憶されている液体情報などを読み出したりする。
【0051】
ASIC135には、操作部17が接続されている。ASIC135は、操作部17からボタンが押されたことを示す信号を受け取る。ASIC135は、操作部17に対してディスプレイに表示すべき内容を示す表示データを出力する。ASIC35には、その他にポンプ77が接続されている。
【0052】
IC基板79は、カートリッジ70が貯留するインクに関する液体情報を記憶する。液体情報は、例えば、インク密度ρ、水の初期濃度W0、単位面積あたりの最大付着力A、インクの表面張力γ、インクの後退接触角θD、インクの平衡接触角θEなどである。なお、液体情報は、インクの種類に応じて、EEPROM134に記憶されていてもよい。コントローラ130は、IC基板79から読み出したインクの種類に応じて、EEPROM134から液体情報を読み出してもよい。
【0053】
EEPROM134には、ワイパ72に関するワイパ情報を記憶する。ワイパ情報は、例えば、ワイパブレード73のヤング率E、厚みt、上下方向7の長さL、および奥行きb、ワイパブレード73のノズル面33Aに対する押し込み量p、ワイプ速度Vなどである。
【0054】
EEPROM134は、一般的な定数として、気体定数R、水のモル質量M、水分子1個の大きさa、水蒸気の拡散係数Dwa、水の飽和蒸気圧Ps、ノズル面33Aにおけるインク滴の直径d、その他の定数などを記憶する。
【0055】
シート6に画像記録を行うとき、コントローラ130は、搬送処理と印刷処理とを交互に実行する。搬送処理は、搬送ローラ26及び排出ローラ27の駆動によって所定の量だけシート6を搬送する処理である。コントローラ130は、搬送用モータ101を制御することによって搬送処理を実行させる。印刷処理は、キャリッジ40を左右方向9に沿って移動させながら、圧電素子45への給電を制御して、印刷ヘッド34にノズル33からインク滴を吐出させる処理である。
【0056】
コントローラ130は、搬送処理が実行された後、シート6を停止する。コントローラ130は、シート6が停止している間に印刷処理を実行する。つまり、コントローラ130は、印刷処理において、キャリッジ40を右向きまたは左向きに移動させながら、ノズル33からインク滴を吐出させる1回のパスを実行する。これにより、シート6に対して1パス分の画像記録が実行される。コントローラ130は、搬送処理と印刷処理とを交互に繰り返し実行することによって、シート6の画像記録可能な全領域に、画像記録することが可能である。つまり、コントローラ130は、複数回のパスで1枚のシート6に画像記録させる。
【0057】
なお、コントローラ130は、上記に限らず、CPU131のみが各種処理を行うものであってもよいし、ASIC135のみが各種処理を行うものであってもよいし、CPU131とASIC135とが協働して各種処理を行うものであってもよい。また、コントローラ130は、1つのCPU131が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のCPU131が処理を分担して行うものであってもよい。また、コントローラ130は、1つのASIC135が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のASIC135が処理を分担して行うものであってもよい。
【0058】
コントローラ130は、パージ処理、ワイピング処理、ウエットワイピング処理、およびフラッシング処理を含むメンテナンス処理を実行する。メンテナンス処理は、例えば、前回のメンテナンス処理を実行してからの経過時間tが、EEPROM134に記憶された経過時間t0に到達したときに実行される。なお、メンテナンス処理は、プリンタ10の電源がオンにされたときやカートリッジ70が交換されたときなどの別のタイミングによっても実行されてよい。
【0059】
パージ処理は、キャップ71によってノズル33を被覆した状態でポンプ77によってノズル33からインクを吸引する処理である。パージ処理では、廃インクチューブ71Aが非連通状態であるときにポンプ77が駆動されると、キャップ71の内部が負圧となり、ノズル33からインクとともに異物が吸い出される。ワイピング処理は、ワイパ72によって印刷ヘッド34のノズル面33Aを拭き取る処理である。ウエットワイピング処理は、ウエットワイパ76によって印刷ヘッド34のノズル面33Aに洗浄液を塗布する処理である。フラッシング処理は、フラッシングフォーム(不図示)へ向けてインクを吐出する処理である。
【0060】
[インクの組成]
以下、インクの詳細が説明される。インクは、水性インクであり、少なくとも水を有する。インクは、水の他に、樹脂微粒子、色材、有機溶剤、および界面活性剤を有してもよい。
【0061】
インクは、コート紙、プラスチック、フィルム、OHPシート等の疎水性の記録媒体への濡れ性があるが、これに限定されるものではなく、例えば、普通紙、光沢紙、マット紙等の疎水性の記録媒体以外の画像記録に好適なものであってもよい。「コート紙」とは、例えば、上級印刷紙、中級印刷紙等のパルプを主要な構成要素とした普通紙に、平滑性、白色度、光沢度等の向上を目的として、コート剤を塗布したものを言い、具体的には、上級コート紙、中級コート紙等があげられる。
【0062】
樹脂微粒子としては、例えば、メタクリル酸及びアクリル酸の少なくとも一方をモノマーとして含むものを用いることができ、例えば、市販品を用いてもよい。樹脂微粒子は、例えば、モノマーとして、さらに、スチレン、塩化ビニル等を含んでもよい。樹脂微粒子は、例えば、エマルジョンに含まれるものであってもよい。エマルジョンは、例えば、樹脂微粒子と、分散媒(例えば、水等)とで構成されるものである。樹脂微粒子は、分散媒に対して溶解状態ではなく、特定の粒子径の範囲で分散している。樹脂微粒子としては、例えば、アクリル酸系樹脂、マレイン酸系エステル樹脂、酢酸ビニル系樹脂、カーボネート型樹脂、ポリカーボネート型樹脂、スチレン系樹脂、エチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂及びこれらの共重合体樹脂等があげられるが、アクリル系樹脂であることが好ましい。
【0063】
樹脂微粒子としては、例えば、0℃以上200℃以下の範囲内においてガラス転移温度(Tg)を有する樹脂が用いられる。より好ましくは、ガラス転移温度(Tg)は、20℃以上180℃以下であり、さらに好ましくは、30℃以上150℃以下である。
【0064】
エマルジョンとしては、例えば、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、第一工業製薬(株)製の「スーパーフレックス(登録商標)870」(Tg:71℃)、「スーパーフレックス(登録商標)150」(Tg:40℃)、ジャパンコーティングレジン(株)製の「モビニール(登録商標)6760」(Tg:-28℃)、「モビニール(登録商標)DM774」(Tg:33℃)、昭和電工(株)製の「ポリゾール(登録商標)AP-3270N」(Tg:27℃)、星光PMC(株)製の「ハイロース-X(登録商標)KE-1062」(Tg:112℃)、「ハイロース-X(登録商標)QE-1042」(Tg:69℃)等があげられる。
【0065】
樹脂微粒子の平均粒子径は、例えば、30nm以上200nm以下の範囲内である。平均粒子径は、例えば、(株)堀場製作所製の動的光散乱式粒径分布測定装置「LB-550」を用いて、算術平均径として測定可能である。
【0066】
インク全量における樹脂微粒子の含有量(R)は、例えば、0.1wt%以上30wt%以下の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは0.5wt%以上20wt%以下の範囲内であり、特に好ましくは1.0wt%以上15.0wt%以下の範囲内である。樹脂微粒子は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0067】
色材は、例えば、顔料分散用樹脂(樹脂分散剤)によって、水に分散可能な顔料である。色材としては、例えば、カーボンブラック、無機顔料及び有機顔料等があげられる。カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等があげられる。無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄系無機顔料及びカーボンブラック系無機顔料等が挙げられる。有機顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料;フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料;塩基性染料型レーキ顔料、酸性染料型レーキ顔料等の染料レーキ顔料;ニトロ顔料;ニトロソ顔料;アニリンブラック昼光蛍光顔料;等が挙げられる。
【0068】
インク全量における色材の固形分含有量は、特に限定されず、例えば、所望の光学濃度又は彩度等により、適宜決定できる。色材の固形分含有量は、例えば、0.1wt%以上20.0wt%以下の範囲内が好ましく、更に好ましくは1.0wt%以上15.0wt%以下の範囲内である。色材の固形分含有量は、顔料のみの重量であり、樹脂微粒子の重量は含まない。色材は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0069】
有機溶剤としては、特に限定はなく、任意のものが使用できる。有機溶剤としては、例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,2-ブタンジオール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール等が挙げられ、プロピレンオキサイド基を有するグリコールエーテルが好ましい。その他の有機溶剤の例としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコールなどの炭素数1~4のアルキルアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルキレン基が2~6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン、エチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル、ヘキシル)エーテル、テトラエチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル、ヘキシル)エーテル、プロピレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、ジプロピレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、トリプロピレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、テトラプロピレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテルなどのアルキレングリコール類の低級アルキルエーテル類;N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなどがあげられる。
【0070】
インク全量における有機溶剤の含有量は、25℃において単体で液体として存在する有機溶剤が、インク全量に対して50wt%以下であることが好ましく、更に好ましくは40wt%以下である。
【0071】
水は、イオン交換水又は純水であることが好ましい。インク全量における水の含有量は、例えば、15wt%以上95wt%以下の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは25wt%以上85wt%以下の範囲内である。水の含有量は、例えば、他の成分の残部としてもよい。
【0072】
インクは、必要に応じて、さらに、従来公知の添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、防腐剤、防黴剤、レベリング剤、消泡剤、光安定剤、酸化防止剤、ノズル乾燥防止剤、エマルジョンなどのポリマー成分、染料等が挙げられる。界面活性剤は、さらに、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、またはノニオン性界面活性剤を含んでもよい。これら界面活性剤は、例えば、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、日信化学工業(株)製の「オルフィン(登録商標)E1010」、「オルフィン(登録商標)E1006」、「オルフィン(登録商標)E1004」、「シルフェイスSAG503A」、および「シルフェイスSAG002」等があげられる。インク全量における界面活性剤の含有量は、例えば、5wt%以下、3wt%以下、0.1wt%~2wt%である。粘度調整剤は、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性樹脂等があげられる。
【0073】
インクは、例えば、樹脂微粒子と、色材と、有機溶剤と、水と、必要に応じて他の添加剤とを、従来公知の方法で均一に混合し、フィルタ等で不溶解物を除去することにより調製できる。
【0074】
[ワイピング処理結果の判定]
コントローラ130は、ワイピング処理を実行する際に、ワイピング処理の結果を判定する判定処理を実行する。ワイピング処理においては、デフォルトの条件が予め設定されている。デフォルトの条件として、例えば、ワイプ速度V0、押し込み量p0、経過時間t0がEEPROM134に記憶されている。
【0075】
図5および図6に判定処理が示される。図5に示されるように、コントローラ130は、ワイピング処理における条件をデフォルトの条件として(ステップS1)、推測処理を実行する(ステップS2)。推測処理については後述される。コントローラ130は、推測処理の結果に基づいて、ワイピング処理の結果が良好(OK)か不良(NG)かを判定する(ステップS3)。コントローラ130は、ワイピング処理の結果が良好であれば(ステップS3;Yes)、デフォルトの条件をワイピング処理の条件として確定する(ステップS4)。ワイピング処理の条件が確定すると、コントローラ130は、確定した条件によりワイピング処理を実行する。
【0076】
コントローラ130は、ワイピング処理の結果が不良であれば(ステップS3;No)、ワイパ速度V0を最小のワイパ速度Vminに変更する(ステップS5)。最小のワイパ速度Vminとは、プリンタ10において設定可能なワイパ速度の範囲または複数のワイパ速度のうち、最も遅いワイパ速度をいう。
【0077】
コントローラ130は、デフォルトの条件のうちワイパ速度V0を最小のワイパ速度Vminに変更した後、再び推測処理を実行する(ステップS6)。コントローラ130は、推測処理の結果に基づいて、ワイピング処理の結果が良好(OK)か不良(NG)かを判定する(ステップS7)。コントローラ130は、ワイピング処理の結果が良好であれば(ステップS7;Yes)、最小速度Vminとした条件をワイピング処理の条件として確定する(ステップS8)。ワイピング処理の条件が確定すると、コントローラ130は、確定した条件によりワイピング処理を実行する。
【0078】
コントローラ130は、ワイピング処理の結果が不良であれば(ステップS7;No)、ワイパ72の押付圧を最大に変更する(ステップS9)。ワイパ72の押付圧は、具体的にはノズル面33Aに対するワイパ72の押し込み量pにより変更される。本実施形態では、最小の押し込み量p0が最大の押し込み量pmaxに変更される。押し込み量pが大きくなることにより、ワイパブレード73の変形角度θが大きくなり、ワイパブレード73の曲げ弾性力が増加するので、ワイパ72の押付圧が大きくなる。なお、ワイパ72の押付圧は、上方に位置するワイパブレード73とノズル面33Aとが上下方向1に重複する長さにより変更することも可能である。また、ワイパ72の押付圧は、ワイパブレード73の長さLにより変更することも可能である。これにより、ワイピング処理の条件は、デフォルトの条件から、ワイパ速度V0が最小のワイパ速度Vminに変更され、押し込み量p0が最大の押し込み量pmaxに変更される。
【0079】
コントローラ130は、押し込み量p0を最大の押し込み量pmaxに変更した後、再々度の推測処理を実行する(ステップS10)。コントローラ130は、推測処理の結果に基づいて、ワイピング処理の結果が良好(OK)か不良(NG)かを判定する(ステップS11)。コントローラ130は、ワイピング処理の結果が良好であれば(ステップS11;Yes)、押し込み量pmaxとした条件をワイピング処理の条件として確定する(ステップS12)。ワイピング処理の条件が確定すると、コントローラ130は、確定した条件によりワイピング処理を実行する。
【0080】
コントローラ130は、ワイピング処理の結果が不良であれば(ステップS11;No)、経過時間t0を最小の経過時間tminに変更して(ステップS13)、ワイピング処理の条件を確定する(ステップS14)。これにより、ワイピング処理の条件は、デフォルトの条件から、ワイパ速度V0が最小のワイパ速度Vminに変更され、押し込み量p0が最大の押し込み量pmaxに変更され、経過時間t0が最小の経過時間tminに変更される。
【0081】
[推測処理]
コントローラ130は、図6に示される手順で推測処理を実行する。コントローラ130は、蒸発率Rを算出する(ステップS21)。蒸発率Rは、印刷ヘッド34のノズル面33Aにインク滴が付着したときの水の初期濃度W0(kg/m)、経過時間tが経過したときの水の濃度W(kg/m)、インク密度ρ(kg/m)に基づいて、下記の(式1)により算出される。
【数1】
・・・(式1)

【0082】
水の初期濃度W0、インク密度ρは、EEPROM134およびIC基板79から読み出される。経過時間tは、前回のワイピング処理を実行してからの経過時間が内部クロックまたは外部クロックなどに基づいて取得される。
【0083】
経過時間tが経過したときの水の濃度W(kg/m)は、水の初期濃度W0(kg/m)、水の飽和蒸気圧Ps(Pa)、水のモル質量M(kg/mol)、水蒸気の拡散係数Dwa(m/s)、相対湿度H0、気体定数R(Pa・m/K・mol)、環境温度T(k)、液滴直径d(m))に基づいて、下記の(式2)により算出される。
【数2】
・・・(式2)

【0084】
水の初期濃度W0、水の飽和蒸気圧Ps、水のモル質量M、水蒸気の拡散係数Dwa、気体定数R、液滴直径dは、EEPROM134およびIC基板79から読み出される。相対湿度H0および環境温度Tは、環境センサ78の出力値に基づいて算出される。
【0085】
コントローラ130は、算出された蒸発率Rに基づいてインク粘度η(mPa・s)を算出する(ステップS22)。インク粘度ηは、インクの種類毎の蒸発率Rとインク粘度ηとの関係を予め実測し、測定結果から実測値の間を傾きα、切片βとして線形補間することにより、実測値の間毎にη=αR+β(式3)を用いて算出する。(式3)は、例えばインクの種類に応じてEEPROM134に予め記憶されていてもよいし、IC基板79に予め記憶されていてもよい。
【0086】
コントローラ130は、算出されたインク粘度ηが第1閾値未満であるかを判定する(ステップS23)。第1閾値は、例えば、30,000mPa・sであり、EEPROM134に予め記憶されている。インク粘度ηが第1閾値以上であるとき、インクは、殆ど固体またはペーストとなって液体としての流動性が失われて固まった状態である。
【0087】
コントローラ130は、インク粘度ηが第1閾値以上であると判定したとき(ステップS23;No)、ワイパ72からインクに加わる力Fwipe(押付圧の一例)が、ノズル面33Aに対するインクの付着力Finkを上回るかを判定する(ステップS24)。
【0088】
力Fwipeは、ワイパブレード73のヤング率E(Pa)、ワイパブレード73の断面二次モーメントI(m)、ワイパブレード73の変位量δ(m)、ワイパブレード73の長さL(m)、ワイパブレード73の変形角度θに基づいて、下記の(式4)に基づいて算出される。
【数3】
・・・(式4)

【0089】
図7に、ワイパブレード73が印刷ヘッド34のノズル面33Aに当接した状態が示される。ワイパブレード73は、ノズル面33Aに当接した状態において、印刷ヘッド34の移動方向(図7では右向き)に傾く。ワイパブレード73の長さLは、ワイパブレード73が傾かずに上向きへ延びた状態においてホルダ74の上面からワイパブレード73の先端までの長さである。ワイパブレード73の断面二次モーメントIは、ワイパブレード73の厚みt(m)、長さL(m)、および奥行きb(m)から算出される。ワイパブレード73の変位量δおよび変形角度θは、ワイパブレード73の長さLおよび押し込み量pから算出される。
【0090】
付着力Finkは、ワイパブレード73の奥行きb(m)、インク滴直径d(m)、および単位面積あたりの最大付着力A(N/m)に基づいて、下記の(式5)に基づいて算出される。
【数4】
・・・(式5)

【0091】
コントローラ130は、FwipeがFinkを上回るとき(Fwipe>Fink)、ノズル面33Aのインク滴がワイパブレード73によって引き剥がされる(判定1)と判定する(ステップS24;Yes)。
【0092】
コントローラ130は、FwipeがFink以下であるとき(Fwipe≦Fink)、ノズル面33Aのインク滴がワイパブレード73によって引き剥がされずに残存する(判定2)と判定する(ステップS24;No)。
【0093】
コントローラ130は、インク粘度ηが第1閾値未満であると判定したとき(ステップS23;Yes)、ワイパ72からインクに加わる力Fwipeが、インクの粘性摩擦による力Finkを上回るかを判定する(ステップS25)。インク粘度ηが第1閾値未満であるとき、インクは、液体として流動する状態である。つまり、インクが液体であるか固体であるかによって、力Finkは、それぞれ異なる式により算出されて比較される。
【0094】
力Fwipeは、前述された(式4)に基づいて算出される。
【0095】
図8に、ワイパブレード73がノズル面33Aに付着したインク滴に当接して、インク滴におけるせん断流から粘性摩擦が発生した状態が示される。インク滴の粘性摩擦が力inkとして算出される。具体的には、力Finkは、インク粘度η(Pa・s)、ワイパブレード73の奥行き(m)、ワイパ速度V(m/s)、ワイパブレード73の変形角度θに基づいて、下記の(式6)に基づいて算出される。
【数5】
・・・(式6)

【0096】
ただし、lは、水分子1個の大きさa(m)とインク滴直径d(m)とに基づいて、l=ln(d/a)により算出される。また、tan(π/2-θ)=cosθ/sinθである。
【0097】
コントローラ130は、FwipeがFinkを上回るとき(Fwipe>Fink)、ノズル面33Aのインク滴にワイパブレード73が押し負けないと判定する(ステップS25;Yes)。
【0098】
コントローラ130は、FwipeがFink以下であるとき(Fwipe≦Fink)、ノズル面33Aのインク滴にワイパブレード73が押し負けると判定する(ステップS25;No)。
【0099】
コントローラ130は、ノズル面33Aのインク滴にワイパブレード73が押し負けると判定すると(ステップS25;No)、インク粘度ηが第2閾値未満であるかを判定する(ステップS26)。第2閾値は、例えば、1,000mPa・sであり、EEPROM134に予め記憶されている。
【0100】
コントローラ130は、インク粘度ηが第2閾値未満であれば(ステップS26;Yes)、ノズル面33Aにインク滴がドーム形状の液滴として残存する(判定3)と判定する。
【0101】
コントローラ130は、インク粘度ηが第2閾値以上であれば(ステップS26;No)、ノズル面33Aにインク滴が押し延ばされて膜状に残存する(判定4)と判定する。
【0102】
コントローラ130は、ノズル面33Aのインク滴にワイパブレード73が押し負けないと判定すると(ステップS25;Yes)、ノズル面33Aのインク滴がワイパブレード73に追随してノズル面33Aを移動するかを判定する(ステップS27)。
【0103】
図9では、ノズル面33Aにインク滴が付着した状態において、インク滴がワイパ72によって払拭される状態が示されている。図9において、ワイパ72に対して印刷ヘッド34は右向きに移動する。
【0104】
ワイパブレード73の先端部72Aは、ノズル面33Aに当接しているが、先端部72Aは前後方向2(図9において紙面に垂直な方向)において微少な凹凸があるため、先端部72Aの全体が均等にノズル面33Aに当接しているのではなく、先端部72Aにおいてノズル面33Aに当接している箇所と当接していない箇所が生じる。図9では、先端部72Aにおいてノズル面33Aに当接していない箇所が示されている。先端部72Aがノズル面33Aに当接していない箇所では、先端部72Aとノズル面33Aとの間には上下方向1に隙間がある。
【0105】
ノズル面33Aに付着したインク滴の右側に先端部72Aが当接すると、インク滴の一部は先端部72Aとノズル面33Aとの隙間を流れて先端部72Aの右方へ移動する。先端部72Aの右方において、ノズル面33Aに対するインクの粘性摩擦と、インクの表面張力とが生じる。インクの粘性摩擦による仕事量がインクの表面張力による仕事量より小さければ、インク滴はワイパブレード73に追随してノズル面33Aから払拭される。インクの粘性摩擦による仕事量がインクの表面張力による仕事量より大きければ、インク滴はワイパブレード73に追随せずにノズル面33Aに残存する。
【0106】
インクの粘性摩擦による仕事量dQは、下記の(式7)に基づいて算出される。
【数6】
・・・(式7)

【0107】
インクの表面張力におる仕事量F・Vは、下記の(式8)に基づいて算出される。
【数7】
・・・(式8)
【0108】
図9におけるインク滴の左側の接触角が後退接触角θである。インク滴の右側の接触角が前進接触角θである。図9においてワイパブレード73と接触する前のインク滴の平衡接触角θは左右両側で等しい。
【0109】
インクの粘性摩擦による仕事量とインクの表面張力による仕事量とは、いずれもワイパ速度Vに比例して大きくなる。インクの粘性摩擦による仕事量とインクの表面張力による仕事量が同等となるワイパ速度Vが、ノズル面33Aのインク滴をワイパブレード73により拭える最大ワイパ速度Vmaxである。
【0110】
(式7)および(式8)をワイパ速度Vについて解くと、最大ワイパ速度Vmaxを算出する下記の(式9)が導き出される。
【数8】
・・・(式9)

【0111】
コントローラ130は、ワイパ速度Vが最大ワイパ速度Vmax以下であれば(V≦Vmax、ステップS27;Yes)、インク滴がワイパブレード73に追随してノズル面33Aから払拭される(判定5)と判定する。コントローラ130は、ワイパ速度Vが最大ワイパ速度Vmaxより大きければ(V>Vmax、ステップS27;No)、インク滴はワイパブレード73に追随せずにノズル面33Aに残存する(判定6)と判定する。
【0112】
前述された推測処理において、インク滴がワイパブレード73に追随してノズル面33Aから払拭される(判定1,5)と判定したことが、ワイピング処理の結果が良好(OK)であるとの判定である。それ以外の判定(判定2,3,4,6)が、ワイピング処理の結果が不良(NG)であるとの判定である。
【0113】
例えば、ワイパ速度V0が最小のワイパ速度Vminに変更されると、ワイパ速度Vがワイパ速度Vmax以下となり得る。これにより、推測処理のステップS5において、インク滴がワイパブレード73に追随してノズル面33Aから払拭されると判定され得る。また、ステップS9において、押し込み量p0が最大の押し込み量pmaxに変更されると、(式4)において、ワイパブレード73の変位量δ(m)およびワイパブレード73の変形角度θが変わり、力Fwipeが大きくなる。これにより、推測処理のステップS25において、ノズル面33Aのインク滴にワイパブレード73が押し負けないと判定され得る。
【0114】
また、経過時間t0が最小の経過時間tminに変更されると、メンテナンス処理の間隔が短くなる。つまり、ワイピング処理の間隔が短くなる。これにより、(式2)において、経過時間tが経過したときの水の濃度W(kg/m)が小さくなり、その結果、(式1)において、蒸発率Rが小さくなる。蒸発率Rが小さくなると、(式3)において、インク粘度ηが小さくなる。インク粘度ηが小さくなると、(式6)において、力Finkが小さくなり、また、(式6)において、インクの粘性摩擦による仕事量dQが小さくなる。その結果、最大ワイパ速度Vmaxが大きくなり、推測処理のステップS27において、インク滴がワイパブレード73に追随してノズル面33Aから払拭される(判定5)と判定され得る。
【0115】
また、コントローラ130は、推測処理のステップS23において、インク粘度ηが第1閾値以上であると判定したとき、ワイピング処理とともに或いはワイピング処理より前に、ウエットワイパ76をノズル面33Aに当接して印刷ヘッド34を移動するウエットワイピング処理を実行することとしてもよい。
【0116】
[本実施形態の作用効果]
前述された実施形態によれば、コントローラ130が推測処理を実行し、推測処理においてインク滴がノズル面33Aに残存すると推測したことに応じて、ワイパ速度V、押し込み量、経過時間tの少なくともいずれかを変更するので、ワイピング処理の条件が最適化される。
【0117】
また、コントローラ130は、推測処理において、インク滴がノズル面33Aに残存すると推測したことに応じて、ワイパ速度V、押し込み量、経過時間tの順に変更して推測処理を実行し直すので、ワイピング処理の頻度を少なくしつつワイピング処理の条件が最適化される。
【0118】
インク滴は、液体であるか、固体であるか、インクの一部が固体化して固体の部分と液体の部分とが存在する固まりかけであるか、などによってワイピング処理におけるインク滴の状況が変わるが、前述された実施形態では、インク滴の状況に応じた最適なワイピング処理の条件が設定され得る。
【0119】
なお、前述された実施形態では、判定処理において、ワイパ速度V、押し込み量、経過時間tの順に変更されるが、これらの順序は入れ替わってもよい。また、判定処理において、ワイパ速度V、押し込み量、経過時間tのすべてが変更されなくてもよく、これらのうちの一部のみが変更されてもよい。
【0120】
また、ワイパ72が上下方向1における上方に移動した状態において、印刷ヘッド34が左右方向3に移動してワイピング処理が実行されるが、ワイピング処理はこれに限らない。例えば、静止している印刷ヘッド34に対してワイパ72が左右方向3に移動することによりワイピング処理が実行されてもよい。
【0121】
また、液体情報は、カートリッジ70のIC基板79やEEPROM134に記憶されていなくてもよい。例えば、液体情報は、プリンタ10がインターネットを通じて通信可能なサーバーのメモリに記憶されていてもよい。また、液体情報は、ユーザが操作部17から入力してEEPROM134に記憶されてもよい。
【符号の説明】
【0122】
10・・・プリンタ(液体吐出装置)
33・・・ノズル
33A・・・ノズル面
34・・・印刷ヘッド(ヘッド)
72・・・ワイパ
76・・・ウエットワイパ
130・・・コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9