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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169851
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
A47J37/06 326
A47J37/06 366
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086662
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】591031902
【氏名又は名称】シンポ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】名古谷 育志
(72)【発明者】
【氏名】萬谷 裕司
【テーマコード(参考)】
4B040
【Fターム(参考)】
4B040AA08
4B040AC01
4B040AC02
4B040AD04
4B040AE11
4B040AE13
4B040CA02
4B040CB20
(57)【要約】
【課題】小型化した加熱調理器を提供する。
【解決手段】加熱調理器1000は、インナーケーシング10と、アウターケーシング20と、を備える。インナーケーシング10は、第1インナー側壁12A、第2インナー側壁12B、第3インナー側壁13Aおよび第4インナー側壁13Bを備える。アウターケーシング20は、第1アウター側壁22A、第2アウター側壁22B、第3アウター側壁23Aおよび第4アウター側壁23Bを備える。第1アウター側壁22Aの内面と第1インナー側壁12Aの外面との間の隙間の大きさおよび第2アウター側壁22Bの内面と第2インナー側壁12Bの外面との間の隙間の大きさは、第3アウター側壁23Aの内面と第3インナー側壁13Aの外面との間の隙間の大きさおよび第4アウター側壁23Bの内面と第4インナー側壁13Bの外面との間の隙間の大きさよりも小さい。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気口を有する矩形状のアウター底壁、ならびに前記アウター底壁の4辺からそれぞれ立ち上がる第1アウター側壁、第2アウター側壁、第3アウター側壁および第4アウター側壁を備えるアウターケーシングと、
矩形状で且つ上面が平坦面であるインナー底壁、ならびに前記インナー底壁の4辺からそれぞれ立ち上がる第1インナー側壁、第2インナー側壁、第3インナー側壁および第4インナー側壁を備え、前記アウターケーシング内に配置されるインナーケーシングと、
加熱装置と、
前記アウターケーシングおよび前記インナーケーシングの上方に配置され、前記排気口と連通する吸引孔を有するトップカバーと、
を備え、
前記第1アウター側壁は、前記第1インナー側壁と対向しており、
前記第2アウター側壁は、前記第2インナー側壁と対向しており、
前記第3アウター側壁は、前記第3インナー側壁と対向しており、
前記第4アウター側壁は、前記第4インナー側壁と対向しており、
前記第1アウター側壁の内面と前記第1インナー側壁の外面との間の隙間の大きさおよび前記第2アウター側壁の内面と前記第2インナー側壁の外面との間の隙間の大きさは、前記第3アウター側壁の内面と前記第3インナー側壁の外面との間の隙間の大きさおよび前記第4アウター側壁の内面と前記第4インナー側壁の外面との間の隙間の大きさよりも小さい、
加熱調理器。
【請求項2】
前記第3インナー側壁および前記第4インナー側壁は、調理器具を配置するように構成された載置部を備える、
請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記加熱装置は、ガスバーナであり、
前記加熱装置の上方に、熱板をさらに備える、
請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記第2アウター側壁および前記第2インナー側壁は、前記ガスバーナを通すための通過開口部を有する、
請求項3に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記ガスバーナを点火するためのパイロットバーナを含むガスユニットをさらに備え、
前記ガスユニットは、前記第2アウター側壁の外面に着脱可能に取り付けられている、
請求項3または4に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記第2アウター側壁の外面に取り付けられたサイドカバーをさらに備え、
前記パイロットバーナは、炎口を有し、
前記パイロットバーナの前記炎口は、前記サイドカバー内に位置している、
請求項5に記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記加熱調理器の運転中、前記サイドカバー内の圧力は、前記第2アウター側壁の内面と前記第2インナー側壁の外面との間の隙間内の圧力と略同じである、
請求項6に記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記第3インナー側壁の下部および前記第4インナー側壁の下部は、内方に傾斜する傾斜部を有し、
前記アウターケーシングは、前記第2アウター側壁の内面に設けられ、前記傾斜部に接触する傾斜ガイドをさらに備える、
請求項6に記載の加熱調理器。
【請求項9】
前記第1アウター側壁は、前記第2アウター側壁に向けて突出する突出部を有し、前記突出部は、前記第1インナー側壁の外面に接触し、前記インナーケーシングを前記第2アウター側壁に向けて押している、
請求項6に記載の加熱調理器。
【請求項10】
前記第2アウター側壁の内面と前記第2インナー側壁の外面との間の隙間の大きさは、前記第1アウター側壁の内面と前記第1インナー側壁の外面との間の隙間の大きさよりも小さい、
請求項6に記載の加熱調理器。
【請求項11】
前記第1インナー側壁および前記第2インナー側壁はそれぞれ、空気を吸引するためのインナー吸引開口部を有しており、
前記インナーケーシングは、前記インナー吸引開口部の下縁から斜め上方にかつ外方に延びるインナー飛散防止部をさらに備える、
請求項6に記載の加熱調理器。
【請求項12】
前記第1インナー側壁および前記第2インナー側壁はそれぞれ、前記インナー飛散防止部の下方にポケットを有する、
請求項11に記載の加熱調理器。
【請求項13】
前記第1アウター側壁および前記第2アウター側壁はそれぞれ、空気を吸引するためのアウター吸引開口部を有しており、前記アウター吸引開口部は、前記ポケットよりも上方に設けられている、
請求項12に記載の加熱調理器。
【請求項14】
前記アウターケーシングは、前記アウター吸引開口部の下縁から斜め上方に且つ外方に延びるアウター飛散防止部をさらに備える、
請求項13に記載の加熱調理器。
【請求項15】
前記サイドカバーは、斜め下方に傾斜する傾斜板を備え、前記傾斜板の先端は、前記第2アウター側壁に設けられた前記アウター飛散防止部よりも上方に位置している、
請求項14に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食材を加熱調理する加熱調理器が知られている。特許文献1に記載の加熱調理器は、食材を加熱した際に発生する煙を吸引し、加熱調理器外に排気する排気機構を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-028107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加熱調理器の占有スペースを小さくするために、加熱調理器を小型化することが望まれている。
【0005】
本発明は、小型化した加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下に掲げる態様の発明を提供する。
排気口を有する矩形状のアウター底壁、ならびに前記アウター底壁の4辺からそれぞれ立ち上がる第1アウター側壁、第2アウター側壁、第3アウター側壁および第4アウター側壁を備えるアウターケーシングと、
矩形状で且つ上面が平坦面であるインナー底壁、ならびに前記インナー底壁の4辺からそれぞれ立ち上がる第1インナー側壁、第2インナー側壁、第3インナー側壁および第4インナー側壁を備え、前記アウターケーシング内に配置されるインナーケーシングと、
加熱装置と、
前記アウターケーシングおよび前記インナーケーシングの上方に配置され、前記排気口と連通する吸引孔を有するトップカバーと、
を備え、
前記第1アウター側壁は、前記第1インナー側壁と対向しており、
前記第2アウター側壁は、前記第2インナー側壁と対向しており、
前記第3アウター側壁は、前記第3インナー側壁と対向しており、
前記第4アウター側壁は、前記第4インナー側壁と対向しており、
前記第1アウター側壁の内面と前記第1インナー側壁の外面との間の隙間の大きさおよび前記第2アウター側壁の内面と前記第2インナー側壁の外面との間の隙間の大きさは、前記第3アウター側壁の内面と前記第3インナー側壁の外面との間の隙間の大きさおよび前記第4アウター側壁の内面と前記第4インナー側壁の外面との間の隙間の大きさよりも小さい、
加熱調理器。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、小型化した加熱調理器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】加熱調理器およびテーブルの斜視図である。
図2】加熱調理器の分解斜視図である。
図3】インナーケーシングの斜視図である。
図4A図3のIVA-IVA線断面図である。
図4B図3のIVB-IVB線断面図である。
図5】アウターケーシングの斜視図である。
図6A図5のVIA-VIA線断面図である。
図6B図5のVIB-VIB線断面図である。
図6C図5のVIC-VIC線断面図である。
図7図1のVII-VII線断面図である。
図8A図7のVIIIA部分の拡大図である。
図8B図7のVIIIB部分の拡大図である。
図9図1のIX-IX線断面図である。
図10】接続チューブ、防火ダンパ、温度ヒューズおよび落下防止網の斜視図である。
図11A】落下防止網の平面図である。
図11B】落下防止網の正面図である。
図12】カバーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<1.加熱調理器の概要>
本発明の加熱調理器1000は、食材を加熱調理するための装置である。一実施形態において、加熱調理器1000は、例えば焼肉や焼き鳥など、食材を焼いて調理するための加熱調理器である。図1に示すように、加熱調理器1000の大部分は、テーブルT内に収容されている。
【0010】
図2に示すように、加熱調理器1000は、主に、インナーケーシング10と、アウターケーシング20と、フィルタ30と、接続チューブ40と、排気ダクト50と、ガスユニット60と、サイドカバー70と、ガスバーナ80(加熱装置の一例)と、熱板受け90と、熱板100と、調理器具200と、トップカバー300と、を備える。図10に示すように、加熱調理器1000は、接続チューブ40内に、防火ダンパ400と、落下防止網500と、温度ヒューズ600と、をさらに備える。
【0011】
排気ダクト50は、加熱調理器1000外の別のダクト(不図示)に結合可能である。別のダクトは、ファンなどの排気装置(不図示)に結合可能である。排気装置を作動させると、食材を加熱した際に発生した煙は、トップカバー300から吸引され、加熱調理器1000の下方に引かれ、排気ダクト50および別のダクトを通って加熱調理器1000から排出される。
【0012】
以下、各構成要素の詳細な構造について説明する。なお、以下では、「煙」のことを「排気」と表記することがある。
【0013】
<1-1.インナーケーシングおよび調理器具>
図3図4Aおよび図4Bに示すように、インナーケーシング10は、矩形状のインナー底壁11と、4つのインナー側壁(第1インナー側壁12A、第2インナー側壁12B、第3インナー側壁13Aおよび第4インナー側壁13B)と、を備える。
【0014】
インナーケーシング10の上部は、開口している。加熱調理器1000の使用時に、インナーケーシング10の過熱を防止するため、および、インナーケーシング10に汚れが付着することを防止するために、インナーケーシング10内には水が入れられる。
【0015】
インナー底壁11の上面は、平坦面である。インナー底壁11の第1辺および第2辺は、短辺であり、且つ、互いに平行である。インナー底壁11の第3辺および第4辺は、長辺であり、且つ、互いに平行である。
【0016】
以下では、説明の便宜上、図3に示すように、インナー底壁11の第1辺および第2辺が延びる方向を「X方向」と表記する。インナー底壁11の第3辺および第4辺が延びる方向を「Y方向」と表記する。X方向およびY方向に直交する方向を「Z方向」と表記する。なお、Z方向は、上下方向(鉛直方向)と平行である。
【0017】
第1インナー側壁12Aは、インナー底壁11の第1辺から立ち上がっている。第2インナー側壁12Bは、インナー底壁11の第2辺から立ち上がっており、第1インナー側壁12Aと対向している。第3インナー側壁13Aは、インナー底壁11の第3辺から立ち上がっている。第4インナー側壁13Bは、インナー底壁11の第4辺から立ち上がっており、第3インナー側壁13Aと対向している。
【0018】
図3および図4Aに示すように、第1インナー側壁12Aおよび第2インナー側壁12Bはそれぞれ、第1直立部121、第1傾斜部122、第2直立部123、第2傾斜部124、第3直立部125および第3傾斜部126を備える。図4Aに示すように、第1インナー側壁12Aは、インナーケーシング10のY方向中心を通るXZ平面に対して、第2インナー側壁12Bと略対称の形状を有している。
【0019】
第1直立部121は、XZ平面に平行である。第2インナー側壁12Bの第1直立部121は、ガスバーナ80を通すための通過開口部1211を有する。第1傾斜部122は、第1直立部121から斜め下方に且つY方向内方に延びている。第2直立部123は、第1傾斜部122の下方に設けられている。第2直立部123は、XZ平面に平行である。第2直立部123は、第1直立部121よりもY方向内方に設けられている。第2傾斜部124は、第2直立部123から斜め下方に且つY方向外方に延びている。第3直立部125は、第2傾斜部124の下方に設けられている。第3直立部125は、XZ平面に平行である。第3傾斜部126は、第3直立部125から斜め下方に且つY方向内方に延びており、インナー底壁11の辺と一体化されている。インナー底壁11と第3傾斜部126との間の角度は、90度よりも大きく180度よりも小さい。
【0020】
第1インナー側壁12Aおよび第2インナー側壁12Bの第2直立部123は、X方向に延びる長手状のインナー吸引開口部1231を有する。加熱調理器1000の使用時に、これらのインナー吸引開口部1231からは、ガスバーナ80の炎の完全燃焼に必要な空気(二次空気)が吸引される。
【0021】
第1インナー側壁12Aおよび第2インナー側壁12Bは、インナー飛散防止部127を備える。インナー飛散防止部127は、インナーケーシング10が揺れたときに、インナーケーシング10内の水がインナー吸引開口部1231から飛び出ることを防止する。インナー飛散防止部127は、インナー吸引開口部1231の下縁から斜め上方に且つY方向外方に延びている。インナー飛散防止部127は、湾曲した板状である。インナー飛散防止部127の先端は、第1直立部121の外面および第3直立部125の外面よりもY方向内方に位置している。
【0022】
後述するように、インナー飛散防止部127の下方の空間(すなわち、第2直立部123、第2傾斜部124およびインナー飛散防止部127によって画定される空間)は、水(液体)を一時的に溜めるためのポケット128として機能する。
【0023】
第1インナー側壁12Aおよび第2インナー側壁12Bの第1直立部121の内面には、支持部14が設けられている。支持部14上には、ガスバーナ80および熱板受け90が配置される(図7参照)。
【0024】
図3および図4Bに示すように、第3インナー側壁13Aおよび第4インナー側壁13Bはそれぞれ、第1直立部131、載置部132、第2直立部133および傾斜部134を備える。
【0025】
第1直立部131は、YZ平面に平行である。載置部132は、第1直立部131からX方向内方に延びている。載置部132上には、調理器具200(図7参照)が載置される。調理器具200は、例えば網またはロストルといった、その上に食材を載せるための部材である。第2直立部133は、載置部132よりも下方に設けられている。第2直立部133は、YZ平面に平行である。傾斜部134は、第2直立部133から斜め下方に且つX方向内方に延び、インナー底壁11の辺と一体化されている。傾斜部134の上端は、第1インナー側壁12Aおよび第2インナー側壁12Bの第3傾斜部126の上端と同じ高さに位置している。インナー底壁11と傾斜部134との間の角度は、90度よりも大きく180度よりも小さい。
【0026】
<1-2.アウターケーシングおよびフィルタ>
図5に示すように、アウターケーシング20は、略直方体の外観形状を有している。アウターケーシング20は、矩形状のアウター底壁21と、4つのアウター側壁(第1アウター側壁22A、第2アウター側壁22B、第3アウター側壁23Aおよび第4アウター側壁23B)と、を備える。アウターケーシング20の上部は、開口している。アウターケーシング20内には、フィルタ30およびインナーケーシング10が配置される(図7参照)。
【0027】
図6Aから図6Cに示すように、アウター底壁21は、その中央に、排気口211を有している。アウター底壁21の第1辺および第2辺は、X方向に延びている。第1辺および第2辺は、長辺であり、且つ、互いに平行である。アウター底壁21の第3辺および第4辺は、Y方向に延びている。第3辺および第4辺は、短辺であり、且つ、互いに平行である。
【0028】
第1アウター側壁22Aは、アウター底壁21の第1辺から立ち上がっている。第2アウター側壁22Bは、アウター底壁21の第2辺から立ち上がっており、第1アウター側壁22Aと対向している。第3アウター側壁23Aは、アウター底壁21の第3辺から立ち上がっている。第4アウター側壁23Bは、アウター底壁21の第4辺から立ち上がっており、第3アウター側壁23Aと対向している。
【0029】
第1アウター側壁22A、第2アウター側壁22B、第3アウター側壁23Aおよび第4アウター側壁23Bは、アウター底壁21と直交している。
【0030】
図5から図6Cに示すように、第1アウター側壁22Aの内面および第2アウター側壁22Bの内面にはそれぞれ、2つのガイド部24および支持部25が設けられている。
【0031】
各ガイド部24は、アウターケーシング20内にインナーケーシング10を入れるときに、インナーケーシング10がスムーズに入るようにインナーケーシング10を案内する。また、各ガイド部24は、X方向へのインナーケーシング10の移動を規制する。
【0032】
各ガイド部24は、縦ガイド241と、傾斜ガイド242と、を含む。
【0033】
第1アウター側壁22Aに設けられた2つの縦ガイド241は、X方向に互いに離隔している。また、第1アウター側壁22Aに設けられた2つの縦ガイド241は、互いに平行にZ方向に延びている。第2アウター側壁22Bに設けられた2つの縦ガイド241は、X方向に互いに離隔している。また、第2アウター側壁22Bに設けられた2つの縦ガイド241は、互いに平行にZ方向に延びている。
【0034】
第1アウター側壁22Aに設けられた2つの傾斜ガイド242は、第1アウター側壁22Aに設けられた2つの縦ガイド241の下端から、互いに接近するように傾斜している。第2アウター側壁22Bに設けられた2つの傾斜ガイド242は、第2アウター側壁22Bに設けられた2つの縦ガイド241の下端から、互いに接近するように傾斜している。Z方向に対する傾斜ガイド242の傾斜角度は、インナーケーシング10の傾斜部134の傾斜角度と略一致している。したがって、図9に示すように、インナーケーシング10がアウターケーシング20内に配置されたとき、第1アウター側壁22Aに設けられた一方の傾斜ガイド242および第2アウター側壁22Bに設けられた一方の傾斜ガイド242は、第3インナー側壁13Aの傾斜部134の外面に接触する。また、第1アウター側壁22Aに設けられた他方の傾斜ガイド242および第2アウター側壁22Bに設けられた他方の傾斜ガイド242は、第4インナー側壁13Bの傾斜部134の外面に接触する。
【0035】
第1アウター側壁22Aに設けられた支持部25は、X方向に水平に延びており、第1アウター側壁22Aに設けられた2つの傾斜ガイド242と結合されている。第2アウター側壁22Bに設けられた支持部25は、X方向に水平に延びており、第2アウター側壁22Bに設けられた2つの傾斜ガイド242と結合されている。図7および図9に示すように、各支持部25は、インナーケーシング10のインナー底壁11の下面に接触し、インナーケーシング10を支持する。
【0036】
図5および図6Aに示すように、第1アウター側壁22Aの上端および第2アウター側壁22Bの上端には、トップカバー300を配置するための段差221が設けられている。
【0037】
図5に示すように、第2アウター側壁22Bは、ガスバーナ80を通すための通過開口部222を有する。通過開口部222は、インナーケーシング10の通過開口部1211(図3参照)と連通している。
【0038】
第1アウター側壁22Aおよび第2アウター側壁22Bは、X方向に延びる長手状のアウター吸引開口部223を有する。加熱調理器1000の使用時に、アウター吸引開口部223からは、ガスバーナ80の炎の完全燃焼に必要な空気(二次空気)が吸引される。図7に示すように、アウター吸引開口部223は、インナーケーシング10のポケット128よりも上方に設けられている。
【0039】
図6Aに示すように、第1アウター側壁22Aおよび第2アウター側壁22Bは、アウター飛散防止部224を備える。アウター飛散防止部224は、アウター吸引開口部223の下縁から斜め上方に且つY方向外方に延びている。アウター飛散防止部224は、傾斜板から成る。
【0040】
汚れを含む液体(例えば、肉を焼いた際に発生する肉汁)およびインナーケーシング10内の水は、インナーケーシング10のインナー吸引開口部1231からアウター吸引開口部223内に向けて飛散する可能性がある。アウター飛散防止部224は、汚れを含む液体および水がアウター吸引開口部223を通ってアウターケーシング20外に飛散することを防止する。また、アウター飛散防止部224が傾斜していることにより、アウター飛散防止部224上に飛散した汚れを含む液体および水は、アウターケーシング20内に戻される。
【0041】
図6Aに示すように、第1アウター側壁22Aは、突出部225を有する。突出部225は、第2アウター側壁22Bに向けて突出している。突出部225の作製方法は特に限定されないが、突出部225は、例えば、第1アウター側壁22Aの一部にビード加工を施し、第1アウター側壁22Aの一部を凹ませることによって設けられる。
【0042】
図8Aに示すように、突出部225は、第1インナー側壁12Aの第3直立部125の外面に接触し、インナーケーシング10を第2アウター側壁22Bに向けて押している。突出部225によってインナーケーシング10を押すことにより、第2アウター側壁22Bの内面と第2インナー側壁12Bの外面との間の隙間(空間S2)は小さくなる。
【0043】
図7に示すように、インナーケーシング10がアウターケーシング20内に配置されたとき、第1アウター側壁22Aは、第1インナー側壁12Aに対向する。第1アウター側壁22Aの内面と第1インナー側壁12Aの外面との間の空間(間隔)S1は非常に狭い。また、第2アウター側壁22Bは、第2インナー側壁12Bに対向する。第2アウター側壁22Bの内面と第2インナー側壁12Bの外面との間の空間S2は非常に狭い。
【0044】
図9に示すように、インナーケーシング10がアウターケーシング20内に配置されたとき、第3アウター側壁23Aは、第3インナー側壁13Aに対向する。第3アウター側壁23Aの内面と第3インナー側壁13Aの外面との間の空間(間隔)S3は、空間S1,S2よりも広くなっている。また、第4アウター側壁23Bは、第4インナー側壁13Bに対向する。第4アウター側壁23Bの内面と第4インナー側壁13Bの外面との間の空間(間隔)S4は、空間S1,S2よりも広くなっている。
【0045】
空間S1,S2は非常に狭いため、空間S1,S2にはほとんど煙が流れない。一方、空間S3,S4は、煙が流れる排気流路として機能する。
【0046】
一実施形態において、同じZ方向高さで比較したときに、空間(隙間)S2の大きさは、空間(隙間)S1の大きさよりも小さい。これにより、空気(排気)は、空間S1,S2,S3,S4の中で、空間S2から最も吸引され難くなる。
【0047】
図7および図9に示すように、フィルタ30は、アウター底壁21の排気口211を覆うように、アウター底壁21上に配置されている。フィルタ30は、煙(排気)に含まれる油を除去する。フィルタ30は、例えば、上下に積層された複数の金属製のリングから成る。
【0048】
<1-3.接続チューブ,排気ダクト,防火ダンパおよび落下防止網>
図7および図9に示すように、接続チューブ40は、アウター底壁21の下面に結合されている。フィルタ30の下部は、接続チューブ40内に挿入されている。排気ダクト50は、接続チューブ40の下部に結合されている。主に空間S3,S4を通って下方に流れた煙は、フィルタ30によってろ過された後、接続チューブ40および排気ダクト50内に流れ、加熱調理器1000外に排気される。
【0049】
防火ダンパ400および落下防止網500は、接続チューブ40内に配置されている。
【0050】
防火ダンパ400は、排気の温度が所定の温度(例えば、140℃)を超える異常高温になった際に作動して、接続チューブ40内の流路を閉鎖する。これにより、異常高温になった排気が排気ダクト50などのダクト内に流れることを防止できる。その結果、ダクトに溜まった油に着火することを防止でき、火事の発生を防止できる。
【0051】
図10に示すように、防火ダンパ400は、2枚の板410を備えている。2枚の板410は、互いに接触した状態で温度ヒューズ600によって固定されている。温度ヒューズ600によって2枚の板410が固定されているとき、接続チューブ40内の流路は開いている。すなわち、フィルタ30を通過した排気は、接続チューブ40を通って、排気ダクト50内に流れることができる。
【0052】
排気の温度が所定の温度を超えると、温度ヒューズ600が溶断する。温度ヒューズ600が溶断することにより、2枚の板410の固定が解除され、2枚の板410が互いに離れるように動き、接続チューブ40内の流路を閉鎖する。これにより、異常高温になった排気は、排気ダクト50内に流れることができなくなる。
【0053】
落下防止網500は、防火ダンパ400の下方に配置されている。落下防止網500は、接続チューブ40内に落下した物を受け止める。落下する可能性のある物としては、例えば、温度ヒューズ600である。
【0054】
図11Aおよび図11Bに示すように、落下防止網500は、環状の枠部510と、枠部510の内側空間に設けられた網本体520と、を備える。枠部510および網本体520はいずれも、例えば金属材料から成る。
【0055】
好ましくは少なくとも網本体520、より好ましくは落下防止網500全体は、1枚の金属製の板材をプレス加工することによって製造された一体成型品である。より詳細には、網本体520または落下防止網500全体は、1枚の金属製の板材を打ち抜くことによって製造される。網本体520に後述する窪みが設けられる場合には、網本体520にさらに曲げ加工が施される。落下防止網500を接続チューブ40内に配置したとき、網本体520は、接続チューブ40の内部を覆う(図10参照)。
【0056】
枠部510は、平板から成る。網本体520は、複数の線部が交差することによって構成されている。線部は、例えば、帯状の板材から成る。線部の端部は、枠部510の内周縁に一体化されている。また、線部同士も一体化されている。したがって、線部と枠部510との交点および線部同士の交点には、凹凸が存在しない。
【0057】
網本体520は、下方に窪んだ窪みを有することが好ましい。網本体520が窪みを有することにより、落下物が窪み内に収まる。これにより、防火ダンパ400の作動時に、防火ダンパ400の2枚の板410が、落下物と干渉することなく完全に閉じることができる。窪みの形状は特に限定されないが、例えば、正面視で逆円錐台形状、長方形もしくは正方形などの底部が平坦な形状であってもよく、または、正面視で底部が下方に湾曲した形状であってもよい。
【0058】
窪みの最も深い位置の深さは、温度ヒューズ600の大きさよりも大きいことが好ましい。また、窪み水平方向長さの最小寸法は、温度ヒューズ600の最大寸法よりも大きいことが好ましい。これにより、温度ヒューズ600が窪み内に収まる。なお、図11Bに示す実施形態では、窪み水平方向長さの最小寸法は、窪みの底部の水平方向長さである。
【0059】
網本体520の目開きは、温度ヒューズ600の大きさよりも小さいことが好ましい。これにより、温度ヒューズ600が、網本体520の網目をすり抜けて落下してしまうことを防止できる。温度ヒューズ600の最小寸法が14mmである実施形態の場合、目開きが14mm以下となるようにするために、網本体520のメッシュ数は、3メッシュ以上で5メッシュ以下あることが好ましい。網本体520のメッシュ数は、5メッシュより大きくてもよいが、網本体520のメッシュ数が大きくなると(すなわち、目開きが小さくなると)、排気に含まれる油などの汚れにより、網目(網本体520の開口部)が詰まるおそれがある。したがって、網本体520のメッシュ数は、5メッシュ以下であることが好ましく、3メッシュであることが最も好ましい。なお、網本体520の線部の幅は、例えば0.9mmから2.0mmである。
【0060】
<1-4.ガスユニットおよびカバー>
ガスユニット60は、ガスバーナ80に点火するためのパイロットバーナ61、パイロットバーナ61に点火するための点火プラグ、ガスの流量を制御するためのバルブ、ならびにガスバーナ80およびパイロットバーナ61にガスを供給するためのガス供給管などを備える。ガス供給管は、ガス供給源と結合されている。図7に示すように、ガスユニット60は、第2アウター側壁22Bの外面に、着脱可能に取り付けられている。
【0061】
図7および図8Bに示すように、サイドカバー70は、第2アウター側壁22Bの外面に、着脱可能に取り付けられている。サイドカバー70は、第2アウター側壁22Bの通過開口部222(図5参照)の周囲を囲うと共に、ガスユニット60の一部を覆っている。パイロットバーナ61の先端(炎口)は、サイドカバー70内(具体的には、後述するインナーカバー72内)に配置されている。
【0062】
第2アウター側壁22Bの通過開口部222の周囲をサイドカバー70によって囲むことにより、インナーケーシング10の通過開口部1211およびアウターケーシング20の通過開口部222を通って飛び出た肉汁などの液体が、加熱調理器1000外に飛散することを防止できる。
【0063】
加熱調理器1000の運転中(すなわち、排気装置の作動中)、サイドカバー70内の圧力は、空間S2内の圧力と略同じであることが好ましい。これにより、サイドカバー70内の空気が、アウター吸引開口部223を通って空間S2内に流れることを抑制できる。すなわち、サイドカバー70内での気流の発生を低減できる。その結果、パイロットバーナ61の炎に対する気流の影響を低減できる。
【0064】
図12に示すように、サイドカバー70は、アウターカバー71と、インナーカバー72と、を備える。
【0065】
アウターカバー71は、ガスユニット60を通すための開口部を有している。アウターカバー71は、上壁711を備える。上壁711は、第2アウター側壁22Bの通過開口部222よりも上方に位置している。
【0066】
インナーカバー72は、アウターカバー71の内部に取り付けられている。インナーカバー72は、2つの側板721と、1つの傾斜底板722と、を備える。2つの側板721の上端は、アウターカバー71の上壁711の下面に接触している。2つの側板721は、第2アウター側壁22Bの通過開口部222のX方向両側にそれぞれ位置している。傾斜底板722は、2つの側板721の下端に一体化されており、斜め下方に且つY方向内方に傾斜している。
【0067】
図8Bに示すように、傾斜底板722は、第2アウター側壁22Bの通過開口部222よりも下方に位置している。傾斜底板722の先端7221は、アウター飛散防止部224よりも上方に位置している。傾斜底板722の先端7221は、アウター飛散防止部224の先端2241よりもY方向内方に位置している。また、傾斜底板722の先端7221は、第2アウター側壁22Bの外面に接触していない。すなわち、傾斜底板722の先端7221と第2アウター側壁22Bの外面との間には隙間(例えば、2mmの隙間)が存在している。したがって、汚れを含む液体がインナーカバー72内に飛散したとしても、その飛散した液体は、傾斜底板722に沿って下方に流れ、アウター飛散防止部224上に落下し、アウター飛散防止部224を伝ってアウターケーシング20内に戻される。
【0068】
<1-5.ガスバーナ>
ガスバーナ80は、ガスバーナ80の周囲の空気および熱板100を加熱し、熱風を生成する。この熱風および熱板100から放射される輻射熱により、調理器具200および食材が加熱される。
【0069】
図2に示すように、ガスバーナ80は、バーナ本体81と、装着部82と、を備える。バーナ本体81は、Y方向に延びる円筒状であり、第1端部および第1端部とは反対側の第2端部を有する。装着部82は、バーナ本体81の第2端部に設けられている。バーナ本体81の周壁には、X方向に互いに離隔した複数の炎口が設けられている。複数の炎口は、上方を向いている。
【0070】
図7に示すように、装着部82は、第1インナー側壁12Aの支持部14に取り付けられている。バーナ本体81は、第2インナー側壁12Bの支持部14上にも載置されている。バーナ本体81は、第2インナー側壁12Bの通過開口部1211および第2アウター側壁22Bの通過開口部222内を通り、ガスユニット60に結合されている。
【0071】
ガス供給源からバーナ本体81内に流入したガスは空気(一次空気)と混合される。ガスと空気との混合気体は、バーナ本体81内を第2端部に向けて流れる。炎口から噴出する混合気体に着火すると、炎口から炎が出る。
【0072】
<1-6.熱板受けおよび熱板>
図7および図9に示すように、熱板受け90は、支持部14上に載置され、且つ、ガスバーナ80の上方に配置される。熱板100は、上方に凸となるように湾曲または屈曲する山型であり、複数の開口部を有する。熱板100は、熱板受け90上に載置される。熱板100は、ガスバーナ80の炎によって加熱されることにより、調理器具200に向けて輻射熱を放射する。
【0073】
<1-7.トップカバー>
図2図7および図9に示すように、トップカバー300は、アウターケーシング20の段差221上およびテーブルT上に配置される。
【0074】
トップカバー300は、2つの第1上板310と、2つの第2上板320と、2つの第1側板330と、2つの第2側板340と、2つの第3側板350と、を備える。
【0075】
2つの第1上板310は、互いにX方向に離隔している。2つの第1上板310はそれぞれ、水平に延びる水平部311と、水平部311から斜め下方に且つX方向内方に延びる延出部312と、を備える。水平部311は、複数の貫通穴3111を有する。一方の水平部311の貫通穴3111は、空間S3と連通している。他方の水平部311の貫通穴3111は、空間S4と連通している。
【0076】
2つの第2上板320は、互いにY方向に離隔している。2つの第2上板320は、水平に延びている。2つの第2上板320は、2つの水平部311に結合されている。2つの水平部311および2つの第2上板320は、平面視で、Y方向に長い長方形を形成している。
【0077】
図9に示すように、2つの第1側板330はそれぞれ、YZ平面に平行である。一方の第1側板330は、第3インナー側壁13Aの上部よりもX方向内方に位置している。他方の第1側板330は、第4インナー側壁13Bの上部よりもX方向内方に位置している。2つの第1側板330は、複数の貫通穴331を有する。一方の第1側板330の貫通穴331は、空間S3と連通している。他方の第1側板330の貫通穴331は、空間S4と連通している。
【0078】
図9に示すように、2つの第2側板340はそれぞれ、貫通穴331よりも下方の位置まで延びている。2つの第2側板340はそれぞれ、第1側板330よりもX方向外方で、且つ、貫通穴3111よりもX方向内方に位置している。
【0079】
図2および図7に示すように、2つの第3側板350はそれぞれ、XZ平面に平行である。一方の第3側板350は、第1インナー側壁12Aの上部よりもY方向内方に位置している。他方の第3側板350は、第2インナー側壁12Bの上部よりもY方向内方に位置している。
【0080】
排気装置の作動中、煙は、複数の貫通穴331から吸引される。複数の貫通穴331から吸引された煙は、第2側板340によって下方に方向転換させられる。その後、煙は、空間S3,S4内を下方に流れ、フィルタ30でろ過される。ろ過された後の煙は、接続チューブ40および排気ダクト50を通って、加熱調理器1000外に排気される。
【0081】
また、排気装置の作動中、空気(外気)が、複数の貫通穴3111から吸引される。貫通穴3111から吸引された空気によって、水平部311は冷却される。そのため、喫食者が水平部311に触れたとしても、喫食者が火傷をすることがない。また、吸引された空気は、第3アウター側壁23Aの内面および第4アウター側壁23Bの内面に沿って下方に流れる。第3アウター側壁23Aの内面および第4アウター側壁23Bの内面に沿って流れる空気により、油分を含んだ煙が第3アウター側壁23Aの内面および第4アウター側壁23Bの内面に接触することを低減できる。その結果、第3アウター側壁23Aの内面および第4アウター側壁23Bの内面に付着する汚れを低減できる。
【0082】
<2.効果>
本発明の加熱調理器1000では、空間S3,S4を排気流路とすることにより、空間S1,S2を排気流路とする必要がなくなる。これにより、図7および図9に示すように、空間S1,S2を空間S3,S4よりも狭くすることできるため、加熱調理器1000を小型化できる。
【0083】
インナー底壁11の上面が平坦面であることにより、インナーケーシング10内に入れることができる水量を増加させることができる。
【0084】
ガスユニット60は、第2アウター側壁22Bに着脱可能である。これにより、ガスユニット60をアウターケーシング20から取り外して、アウターケーシング20をテーブルT内に入れることができる。ガスユニット60がテーブルTと干渉することがなくなるため、アウターケーシング20をテーブルT内に入れやすくなる。
【0085】
図8Aに示すように、第1アウター側壁22Aの突出部225は、第1インナー側壁12Aに接触しており、インナーケーシング10を第2アウター側壁22Bに向けて押している。これにより、第2アウター側壁22Bの内面と第2インナー側壁12Bの外面との間の隙間(空間S2)が小さくなるため、空気は、空間S2内を流れにくくなる。その結果、空気が、サイドカバー70内から、アウター吸引開口部223を通って、空間S2に流れることを抑制でき、サイドカバー70内での気流の発生を低減できる。したがって、サイドカバー70内に配置されたパイロットバーナ61から噴出される炎が気流の影響を受けにくくなり、パイロットバーナ61の炎が真っ直ぐに噴出されるようになるため、ガスバーナ80に確実に点火することができる。
【0086】
図9に示すように、2つの傾斜ガイド242は、第3インナー側壁13Aの傾斜部134および第4インナー側壁13Bの傾斜部134に接触している。これにより、空気は、空間S2内を流れにくくなる。その結果、空気が、サイドカバー70内から、アウター吸引開口部223を通って、空間S2に流れることを抑制でき、サイドカバー70内での気流の発生を低減できる。したがって、サイドカバー70内に配置されたパイロットバーナ61から噴出される炎が気流の影響を受けにくくなり、パイロットバーナ61の炎が真っ直ぐに噴出されるようになるため、ガスバーナ80に確実に点火することができる。
【0087】
加熱調理器1000の運転中(すなわち、排気装置の作動中)、サイドカバー70内の圧力は、空間S2内の圧力と略同じであることにより、サイドカバー70内の空気が、アウター吸引開口部223を通って空間S2内に流れることを抑制できる。すなわち、サイドカバー70内での気流の発生を低減できる。その結果、サイドカバー70内に配置されたパイロットバーナ61から噴出される炎が気流の影響を受けにくくなり、パイロットバーナ61の炎が真っ直ぐに噴出されるようになるため、ガスバーナ80に確実に点火することができる。
【0088】
図4Aに示すように、インナー飛散防止部127は、インナー吸引開口部1231の下縁から斜め上方に且つY方向外方に延びている。したがって、インナーケーシング10が揺れ、インナーケーシング10内の水がインナー吸引開口部1231から飛び出ようとしても、インナー飛散防止部127によってインナーケーシング10内に戻される。このように、インナー飛散防止部127によって、インナーケーシング10内の水がインナーケーシング10外に飛散することを防止できる。
【0089】
図6Aに示すように、第1アウター側壁22Aおよび第2アウター側壁22Bは、アウター飛散防止部224を備えている。したがって、水および汚れを含む液体が、インナーケーシング10のインナー吸引開口部1231からアウターケーシング20のアウター吸引開口部223内に進入したとしても、アウター飛散防止部224によって、水および汚れを含む液体がアウターケーシング20外に飛散することを防止できる。
【0090】
図8Bに示すように、アウター飛散防止部224は、斜め下方に且つY方向内方に傾斜している。また、アウター吸引開口部223は、インナーケーシング10のポケット128よりも上方に設けられている。よって、アウター吸引開口部223を通ってアウター飛散防止部224上に飛散した水および汚れを含む液体は、アウター飛散防止部224に沿って下方に流れ、アウター吸引開口部223からポケット128内に落下し、ポケット128内に溜まる。ポケット128に溜まった水および汚れを含む液体は、第1インナー側壁12Aの第3直立部125と第1アウター側壁22Aの内面との間の隙間および第2インナー側壁12Bの第3直立部125と第2アウター側壁22Bの内面との間の隙間からアウターケーシング20の下部にゆっくりと流れる。このようにして、アウター飛散防止部224上に飛散した水および汚れを含む液体をアウターケーシング20内に回収することができる。
【0091】
図8Bに示すように、加熱調理器1000の使用中に、肉汁などの汚れを含む液体は、インナーケーシング10の通過開口部1211およびアウターケーシング20の通過開口部222を通ってインナーカバー72内に飛散する可能性がある。インナーカバー72内に飛散した液体は、傾斜底板722上に落下する。傾斜底板722は斜め下方に且つY方向内方に傾斜している。また、傾斜底板722の先端7221の下方には、アウター飛散防止部224が配置されている。したがって、傾斜底板722上の液体は、傾斜底板722に沿って下方に流れ、傾斜底板722からアウター飛散防止部224上に落下し、アウター飛散防止部224を伝ってアウターケーシング20内に流れる。このようにして、インナーカバー72内に飛散した液体をアウターケーシング20内に戻すことができる。
【0092】
図8Bに示すように、傾斜底板722の先端7221は、第2アウター側壁22Bの外面に接触していない。これにより、傾斜底板722の先端7221に到達した汚れを含む液体は、第2アウター側壁22Bの外面に付着することなく、アウター飛散防止部224上に落下する。したがって、第2アウター側壁22Bの外面が汚れることを防止できる。
【0093】
<3.変形例>
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。以下に、本発明の変形例を説明する。以下で説明する変形例は、単独で、または、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わせて、上記実施形態に適用できる。
【0094】
(3-1)第1アウター側壁22Aのガイド部24は、傾斜ガイド242を備えていなくてもよい。すなわち、第1アウター側壁22Aのガイド部24は、縦ガイド241のみから構成され、支持部25は、2つの縦ガイド241に結合されていてもよい。
【0095】
(3-2)調理器具200は、鍋料理用の鍋であってもよい。
【0096】
<4.発明の開示>
本発明は、以下に掲げる態様の発明も提供する。
【0097】
(項1)
排気口を有する矩形状のアウター底壁、ならびに前記アウター底壁の4辺からそれぞれ立ち上がる第1アウター側壁、第2アウター側壁、第3アウター側壁および第4アウター側壁を備えるアウターケーシングと、
矩形状で且つ上面が平坦面であるインナー底壁、ならびに前記インナー底壁の4辺からそれぞれ立ち上がる第1インナー側壁、第2インナー側壁、第3インナー側壁および第4インナー側壁を備え、前記アウターケーシング内に配置されるインナーケーシングと、
加熱装置と、
前記アウターケーシングおよび前記インナーケーシングの上方に配置され、前記排気口と連通する吸引孔を有するトップカバーと、
を備え、
前記第1アウター側壁は、前記第1インナー側壁と対向しており、
前記第2アウター側壁は、前記第2インナー側壁と対向しており、
前記第3アウター側壁は、前記第3インナー側壁と対向しており、
前記第4アウター側壁は、前記第4インナー側壁と対向している、
加熱調理器。
【0098】
(項2)
前記第1アウター側壁の内面と前記第1インナー側壁の外面との間の隙間の大きさおよび前記第2アウター側壁の内面と前記第2インナー側壁の外面との間の隙間の大きさは、前記第3アウター側壁の内面と前記第3インナー側壁の外面との間の隙間の大きさおよび前記第4アウター側壁の内面と前記第4インナー側壁の外面との間の隙間の大きさよりも小さい、
項1に記載の加熱調理器。
【0099】
(項3)
前記第3インナー側壁および前記第4インナー側壁は、調理器具を配置するように構成された載置部を備える、
項1または2に記載の加熱調理器。
【0100】
(項4)
前記加熱装置は、ガスバーナである、
項1から3のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【0101】
(項5)
前記加熱装置の上方に、熱板をさらに備える、
項1から4のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【0102】
(項6)
前記第2アウター側壁および前記第2インナー側壁は、前記ガスバーナを通すための通過開口部を有する、
項1から5のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【0103】
(項7)
前記ガスバーナにガスを供給するためのガスユニットをさらに備える、
項1から6のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【0104】
(項8)
前記ガスユニットは、前記第2アウター側壁の外面に着脱可能に取り付けられている、
項7に記載の加熱調理器。
【0105】
(項9)
前記第2アウター側壁の外面に取り付けられ、前記ガスユニットの少なくとも一部を覆うサイドカバーをさらに備える、
項8に記載の加熱調理器。
【0106】
(項10)
前記ガスユニットは、前記ガスバーナを点火するためのパイロットバーナを含み、
前記パイロットバーナは、炎口を有しており、
前記パイロットバーナの前記炎口は、前記サイドカバー内に位置している、
項9に記載の加熱調理器。
【0107】
(項11)
前記加熱調理器の運転中、前記サイドカバー内の圧力は、前記第2アウター側壁の内面と前記第2インナー側壁の外面との間の隙間内の圧力と略同じである、
項10に記載の加熱調理器。
【0108】
(項12)
前記サイドカバーは、斜め下方に傾斜する傾斜板を備える、
項9から11のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【0109】
(項13)
前記ガスユニットは、前記ガスバーナを点火するためのパイロットバーナを含む、
項7から9のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【0110】
(項14)
前記第3インナー側壁の下部および前記第4インナー側壁の下部は、内方に傾斜する傾斜部を有し、
前記アウターケーシングは、前記第2アウター側壁の内面に設けられ、前記傾斜部に接触する傾斜ガイドをさらに備える、
項1から13のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【0111】
(項15)
前記第1アウター側壁は、前記第2アウター側壁に向けて突出する突出部を有し、前記突出部は、前記第1インナー側壁の外面に接触し、前記インナーケーシングを前記第2アウター側壁に向けて押している、
項1から14のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【0112】
(項16)
前記第2アウター側壁の内面と前記第2インナー側壁の外面との間の隙間の大きさは、前記第1アウター側壁の内面と前記第1インナー側壁の外面との間の隙間の大きさよりも小さい、
項1から15のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【0113】
(項17)
前記第1インナー側壁および前記第2インナー側壁はそれぞれ、空気を吸引するためのインナー吸引開口部を有する、
項1から16のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【0114】
(項18)
前記インナーケーシングは、前記インナー吸引開口部の下縁から斜め上方にかつ外方に延びるインナー飛散防止部をさらに備える、
項17に記載の加熱調理器。
【0115】
(項19)
前記第1インナー側壁および前記第2インナー側壁はそれぞれ、前記インナー飛散防止部の下方にポケットを有する、
項18に記載の加熱調理器。
【0116】
(項20)
前記第1アウター側壁および前記第2アウター側壁はそれぞれ、空気を吸引するためのアウター吸引開口部を有する、
項1から19のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【0117】
(項21)
前記第1アウター側壁および前記第2アウター側壁はそれぞれ、空気を吸引するためのアウター吸引開口部を有しており、
前記アウター吸引開口部は、前記ポケットよりも上方に設けられている、
項20に記載の加熱調理器。
【0118】
(項22)
前記アウターケーシングは、前記アウター吸引開口部の下縁から斜め上方に且つ外方に延びるアウター飛散防止部をさらに備える、
項20または21に記載の加熱調理器。
【0119】
(項23)
前記第1アウター側壁および前記第2アウター側壁はそれぞれ、空気を吸引するためのアウター吸引開口部を有し、
前記アウターケーシングは、前記アウター吸引開口部の下縁から斜め上方に且つ外方に延びるアウター飛散防止部をさらに備え、
前記傾斜板の先端は、前記第2アウター側壁に設けられた前記アウター飛散防止部よりも上方に位置している、
項12に記載の加熱調理器。
【0120】
(項24)
前記アウター底壁に直接または間接的に結合された接続チューブと、前記接続チューブ内に配置された落下防止網と、をさらに備える、
項1から23のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【符号の説明】
【0121】
1000 加熱調理器
10 インナーケーシング
11 インナー底壁
12A 第1インナー側壁
12B 第2インナー側壁
1211 通過開口部
1231 インナー吸引開口部
127 インナー飛散防止部
128 ポケット
13A 第3インナー側壁
13B 第4インナー側壁
132 載置部
134 傾斜部
20 アウターケーシング
21 アウター底壁
211 排気口
22A 第1アウター側壁
22B 第2アウター側壁
222 通過開口部
223 アウター吸引開口部
224 アウター飛散防止部
225 突出部
242 傾斜ガイド
23A 第3アウター側壁
23B 第4アウター側壁
60 ガスユニット
61 パイロットバーナ
70 サイドカバー
722 傾斜底板(傾斜板)
7221 傾斜底板の先端
80 ガスバーナ(加熱装置)
100 熱板
200 調理器具
300 トップカバー
331 貫通穴(吸引孔)
S1 空間(隙間)
S2 空間(隙間)
S3 空間(隙間)
S4 空間(隙間)
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図12