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特開2024-169871位置検出装置、レンズモジュールおよび撮像装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169871
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】位置検出装置、レンズモジュールおよび撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/245 20060101AFI20241129BHJP
   G01B 7/00 20060101ALI20241129BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20241129BHJP
   G03B 5/00 20210101ALI20241129BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20241129BHJP
【FI】
G01D5/245 110L
G01B7/00 102M
G02B7/04 E
G03B5/00 J
H04N23/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086690
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 健太郎
【テーマコード(参考)】
2F063
2F077
2H044
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2F063AA03
2F063BA03
2F063DB05
2F063GA52
2F077JJ03
2F077JJ07
2F077JJ23
2H044BE02
2H044BE10
2H044BE18
2K005AA01
2K005CA02
2K005CA14
2K005CA23
2K005CA40
2K005CA53
5C122FD01
5C122GE11
5C122HA75
5C122HA82
(57)【要約】
【課題】優れた検出性能を発現することのできる位置検出装置を提供する。
【解決手段】位置検出装置は、第1の磁場を発生する第1の磁場発生部と、第1方向に第1の磁場発生部と対向して配置され、駆動力を発生することにより第1の磁場発生部を第1方向と直交する第1の面に平行な第2方向に移動させる駆動部と、第1の磁場のうち第1の面に平行な磁場成分を検出する磁場センサとを有する。第1の磁場発生部は、駆動部および磁場センサに対し第2方向に移動可能に設けられている。駆動部は、第1の磁場発生部の一部と第1方向に離間しつつ重なり合うと共に、第1の面に平行であって第2方向と直交する第3方向に第1の磁場発生部の一部を横切って延在している。磁場センサの第3方向の中心位置は、第1の磁場発生部の第3方向の中心位置と異なっている。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の磁場を発生する第1の磁場発生部と、
第1方向に前記第1の磁場発生部と対向して配置され、駆動力を発生することにより前記第1の磁場発生部を前記第1方向と直交する第1の面に平行な第2方向に移動させる駆動部と、
前記第1の磁場のうち前記第1の面に平行な磁場成分を検出する磁場センサと、
を有し、
前記第1の磁場発生部は、前記駆動部および前記磁場センサに対し前記第2方向に移動可能に設けられ、
前記駆動部は、前記第1の磁場発生部の一部と前記第1方向に離間しつつ重なり合うと共に、前記第1の面に平行であって前記第2方向と直交する第3方向に前記第1の磁場発生部の一部を横切って延在しており、
前記磁場センサの前記第3方向の中心位置は、前記第1の磁場発生部の前記第3方向の中心位置と異なっている
位置検出装置。
【請求項2】
前記第1の磁場発生部は、前記駆動部の一部と前記第1方向に重なり合う状態を維持しつつ、第1の位置と第2の位置との間で前記第2方向に沿って移動可能である
請求項1記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記駆動部は、前記駆動力として第2の磁場を発生する第2の磁場発生部である
請求項1記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記第1の磁場発生部は、
前記第1方向に沿って第1の向きに着磁された第1の着磁領域と、
前記第1方向に沿って前記第1の向きと反対の第2の向きに着磁された第2の着磁領域と
を含む
請求項1記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記第1の着磁領域と前記第2の着磁領域とが前記第2方向に並んでいる
請求項4記載の位置検出装置。
【請求項6】
前記第1の着磁領域は、前記第1の向きに並ぶ第1のS極と第1のN極とを含み、
前記第2の着磁領域は、前記第2の向きに並ぶ第2のS極と第2のN極とを含む
請求項5記載の位置検出装置。
【請求項7】
前記第1の着磁領域と前記第2の着磁領域とが互いに接している
請求項5記載の位置検出装置。
【請求項8】
前記第1の磁場発生部は、前記第1方向に沿って第1の向きに着磁された第1の着磁領域と、前記第1方向に沿って前記第1の向きと反対の第2の向きに着磁された第2の着磁領域とを含み、
前記第2の磁場発生部は、前記第1の着磁領域と前記第1方向に離間しつつ重なり合う第1部分と、前記第2の着磁領域と前記第1方向に離間しつつ重なり合う第2部分と を含み、
前記第1の磁場発生部は、前記第1の着磁領域と前記第1部分とが重なり合う状態と前記第2の着磁領域と前記第2部分とが重なり合う状態とを維持しつつ、第1の位置と第2の位置との間で前記第2方向に沿って移動可能である
請求項3記載の位置検出装置。
【請求項9】
前記駆動部は前記第1の面に平行な面内において巻回されたコイルであり、
前記第1部分が発生する、前記第1の着磁領域に対する前記第2の磁場の向きが、前記第2部分が発生する、前記第2の着磁領域に対する前記第2の磁場の向きと反対である
請求項8記載の位置検出装置。
【請求項10】
前記第1の着磁領域と前記第2の着磁領域とが互いに離間しており、
前記第1の着磁領域と前記第2の着磁領域との間に、前記第2方向に沿って第3の向きに着磁された第3の着磁領域をさらに含む
請求項5記載の位置検出装置。
【請求項11】
前記第1の着磁領域と前記第2の着磁領域とが互いに離間しており、
前記第1の着磁領域と前記第2の着磁領域との間に、空間、または非着磁領域が設けられている
請求項5記載の位置検出装置。
【請求項12】
前記第1の着磁領域と前記第2の着磁領域とが互いに離間しており、
前記第1の着磁領域は、前記第2の着磁領域と対向する第1の対向面を含み、
前記第2の着磁領域は、前記第1の着磁領域と対向する第2の対向面を含み、
前記第1の対向面および前記第2の対向面のそれぞれの一部または全部は、前記第3方向に平行であって前記第1の面に対して傾斜した傾斜面、または曲面である
請求項5記載の位置検出装置。
【請求項13】
前記第2の磁場発生部は前記第1の面に平行な面内において巻回されたコイルであり、
前記第1方向に眺めた平面視において、前記磁場センサは、前記コイルの内側に配置されている
請求項3記載の位置検出装置。
【請求項14】
前記第2の磁場発生部は前記第1の面に平行な面内において巻回されたコイルであり、
前記第1方向に眺めた平面視において、前記磁場センサは、前記コイルの外側に配置されている
請求項3記載の位置検出装置。
【請求項15】
前記コイルの少なくとも一部と前記磁場センサの少なくとも一部とは、前記第3方向に互いに重なり合っている
請求項13または請求項14記載の位置検出装置。
【請求項16】
前記コイルは、前記第1の面に平行な第1階層に設けられ、
前記磁場センサは、前記第1の面に平行であって前記第1階層と異なる第2階層にある
請求項13または請求項14記載の位置検出装置。
【請求項17】
前記駆動部は、前記駆動力として第2の磁場を発生する第2の磁場発生部であり、
前記第2の磁場発生部は、互いに離間して配置された第1のコイルおよび第2のコイルを含み、
前記第1のコイルの一部が前記第1の着磁領域と前記第1方向に対向しており、
前記第2のコイルの一部が前記第2の着磁領域と前記第1方向に対向しており、
前記磁場センサは、前記第2方向において前記第1のコイルと前記第2のコイルとの間に位置する
請求項5記載の位置検出装置。
【請求項18】
前記第1のコイル、前記第2のコイル、および前記磁場センサは、前記第2方向に互いに重なり合っている
請求項17記載の位置検出装置。
【請求項19】
前記第1のコイルおよび前記第2のコイルは、前記第1の面に平行な第1階層に設けられ、
前記磁場センサは、前記第1の面に平行であって前記第1階層と異なる第2階層にある
請求項17記載の位置検出装置。
【請求項20】
前記第1の磁場発生部は、前記第1方向に沿って並ぶS極とN極とを含む着磁領域を有し、
前記第2の磁場発生部は、互いに離間して配置された第1のコイルおよび第2のコイルを含み、
前記第1のコイルの一部および前記第2のコイルの一部の各々が前記着磁領域と前記第1方向に対向しており、
前記磁場センサは、前記第2方向において前記第1のコイルと前記第2のコイルとの間に位置する
請求項3記載の位置検出装置。
【請求項21】
前記第2方向に並ぶ複数の前記磁場センサを有する
請求項1記載の位置検出装置。
【請求項22】
第1の磁場を発生する第1の磁場発生部と、
第1方向に前記第1の磁場発生部と対向して配置され、駆動力を発生することにより前記第1の磁場発生部を前記第1方向と直交する第1の面に平行な第2方向に移動させる駆動部と、
前記第1の磁場のうち前記第1の面に平行な磁場成分を検出する磁場センサと、
レンズと
を有し、
前記第1の磁場発生部および前記レンズは、前記駆動部および前記磁場センサに対し前記第2方向に一体となって移動可能に設けられ、
前記駆動部は、前記第1の磁場発生部の一部と前記第1方向に離間しつつ重なり合うと共に、前記第1の面に平行であって前記第2方向と直交する第3方向に前記第1の磁場発生部の一部を横切って延在しており、
前記磁場センサの前記第3方向の中心位置は、前記第1の磁場発生部の前記第3方向の中心位置と異なっている
レンズモジュール。
【請求項23】
撮像素子と、
レンズモジュールと
を備え、
前記レンズモジュールは、
第1の磁場を発生する第1の磁場発生部と、
第1方向に前記第1の磁場発生部と対向して配置され、駆動力を発生することにより前記第1の磁場発生部を前記第1方向と直交する第1の面に平行な第2方向に移動させる駆動部と、
前記第1の磁場のうち前記第1の面に平行な磁場成分を検出する磁場センサと、
レンズと
を有し、
前記第1の磁場発生部および前記レンズは、前記駆動部および前記磁場センサに対し前記第2方向に一体となって移動可能に設けられ、
前記駆動部は、前記第1の磁場発生部の一部と前記第1方向に離間しつつ重なり合うと共に、前記第1の面に平行であって前記第2方向と直交する第3方向に前記第1の磁場発生部の一部を横切って延在しており、
前記磁場センサの前記第3方向の中心位置は、前記第1の磁場発生部の前記第3方向の中心位置と異なっている
撮像装置。
【請求項24】
制御部をさらに備え、
前記レンズは、前記第2方向に沿った光軸を有し、
前記制御部は、前記駆動部に前記駆動力を発生させ、前記第1の磁場発生部および前記レンズを前記光軸の方向に沿って移動させることで被写体に対する焦点合わせを行う
請求項23記載の撮像装置。
【請求項25】
制御部をさらに備え、
前記レンズは、前記第2方向に沿った光軸を有し、
前記制御部は、前記駆動部に前記駆動力を発生させ、前記第1の磁場発生部および前記レンズを前記光軸の方向と直交する面に沿って移動させることで被写体に対する焦点合わせを行う
請求項23記載の撮像装置。
【請求項26】
回転体と、
位置検出装置と
を備え、
前記位置検出装置は、
前記回転体に設けられ、第1の磁場を発生する第1の磁場発生部と、
第1方向に前記第1の磁場発生部と対向して配置され、駆動力を発生することにより前記第1の磁場発生部および前記回転体を前記第1方向と直交する第1の面に平行な第2方向に回転させる駆動部と、
前記第1の磁場のうち前記第1の面に平行な磁場成分を検出する磁場センサと、
を有し、
前記第1の磁場発生部および前記回転体は、前記駆動部および前記磁場センサに対し前記第2方向に回転可能に設けられ、
前記駆動部は、前記第1の磁場発生部の一部と前記第1方向に離間しつつ重なり合うと共に、前記第1の面に平行であって前記第2方向と直交する第3方向に前記第1の磁場発生部の一部を横切って延在しており、
前記磁場センサの前記第3方向の中心位置は、前記第1の磁場発生部の前記第3方向の中心位置と異なっている
角度センサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気センサを備えた位置検出装置、レンズモジュールおよび撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに、磁気センサを用いた位置検出装置が提案されている。本出願人は、例えば位置検出装置を備えたカメラモジュールを提案している(例えば特許文献1参照)。このカメラモジュールでは、位置検出装置が、焦点合わせを行う際に移動するレンズの位置検出を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-082445号公報
【特許文献2】国際公開第2018/051729号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような位置検出装置に対しては、より高い位置検出精度を有することが求められている。
【0005】
したがって、優れた検出性能を発現することのできる位置検出装置を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施態様としての位置検出装置は、第1の磁場を発生する第1の磁場発生部と、第1方向に第1の磁場発生部と対向して配置され、駆動力を発生することにより第1の磁場発生部を第1方向と直交する第1の面に平行な第2方向に移動させる駆動部と、第1の磁場のうち第1の面に平行な磁場成分を検出する磁場センサとを有する。第1の磁場発生部は、駆動部および磁場センサに対し第2方向に移動可能に設けられている。駆動部は、第1の磁場発生部の一部と第1方向に離間しつつ重なり合うと共に、第1の面に平行であって第2方向と直交する第3方向に第1の磁場発生部の一部を横切って延在している。磁場センサの第3方向の中心位置は、第1の磁場発生部の第3方向の中心位置と異なっている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施態様としての位置検出装置によれば、優れた検出性能を発現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A図1Aは、本開示の第1の実施の形態に係る位置検出装置の構成例を表す斜視図である。
図1B図1Bは、図1Aに示した位置検出装置の断面構成例を表す断面図である。
図1C図1Cは、図1Aに示した位置検出装置を上方から眺めた平面図である。
図2A図2Aは、図1Aに示した位置検出装置における磁石の挙動を説明する斜視図である。
図2B図2Bは、図1Aに示した位置検出装置における磁石の挙動を説明する断面図である。
図2C図2Cは、図1Aに示した位置検出装置における磁石の挙動を説明する平面図である。
図3図3は、図1Aに示した位置検出装置における磁場センサの回路構成例を表す回路図である。
図4図4は、図3に示した回路構成例を有する磁場センサから得られる出力電圧特性を表す特性図である。
図5図5は、図3における1つの磁場検出素子の一部を示す斜視図である。
図6A図6Aは、本開示の第2の実施の形態に係る位置検出装置の構成例を表す斜視図である。
図6B図6Bは、図6Aに示した位置検出装置の断面構成例を表す断面図である。
図6C図6Cは、図6Aに示した位置検出装置を上方から眺めた平面図である。
図7図7は、磁石のX軸方向の移動量と、磁場センサによって検出される第1の磁場の角度との関係の一例を模式的に表す特性図である。
図8図8は、磁石のX軸方向の移動量と、磁場センサに付与される第1の磁場の磁束密度との関係の一例を模式的に表す特性図である。
図9A図9Aは、本開示の第3の実施の形態に係る位置検出装置の構成例を表す斜視図である。
図9B図9Bは、図9Aに示した位置検出装置の断面構成例を表す断面図である。
図9C図9Cは、図9に示した位置検出装置を上方から眺めた平面図である。
図10A図10Aは、本開示の第4の実施の形態に係る位置検出装置の構成例を表す斜視図である。
図10B図10Bは、図10Aに示した位置検出装置の断面構成例を表す断面図である。
図11A図11Aは、本開示の第4の実施の形態の変形例としての位置検出装置の構成例を表す斜視図である。
図11B図11Bは、図11Aに示した変形例としての位置検出装置の断面構成例を表す断面図である。
図12A図12Aは、本開示の第5の実施の形態の位置検出装置の断面構成例を表す断面図である。
図12B図12Bは、図12Aに示した位置検出装置を上方から眺めた平面図である。
図13図13は、本開示の第5の実施の形態の第1変形例としての位置検出装置の断面構成例を表す断面図である。
図14図14は、本開示の第5の実施の形態の第2変形例としての位置検出装置を上方から眺めた平面図である。
図15図15は、本開示の第5の実施の形態の第3変形例としての位置検出装置を上方から眺めた平面図である。
図16図16は、本開示の第6の実施の形態に係る位置検出装置の構成例を表す斜視図である。
図17A図17Aは、本開示の第6の実施の形態に係る撮像装置の全体構成例を表す概略斜視図である。
図17B図17Bは、本開示の第6の実施の形態の変形例としての撮像装置の全体構成例を表す概略斜視図である。
図18図18は、本開示のその他の第1変形例としての位置検出装置における磁場センサの回路構成例を表す回路図である。
図19図19は、図18に示した回路構成例を有する磁場センサから得られる出力電圧特性を表す特性図である。
図20A図20Aは、本開示のその他の第2変形例としての位置検出装置の全体構成例を表す概略斜視図である。
図20B図20Bは、本開示のその他の第3変形例としての位置検出装置の全体構成例を表す概略斜視図である。
図20C図20Cは、本開示のその他の第4変形例としての位置検出装置の全体構成例を表す概略斜視図である。
図21図21は、図20Aに示した位置検出装置を搭載した角度センサ装置の全体構成例を表す概略斜視図である。
図22図22は、本開示のその他の第5変形例としての位置検出装置の全体構成例を表す概略平面図である。
図23A図23Aは、本開示のその他の第6変形例としての位置検出装置の全体構成例を表す概略平面図である。
図23B図23Bは、図23Aに示した本開示のその他の第6変形例としての位置検出装置の全体構成例を表す概略断面図である。
図24A図24Aは、本開示のその他の第7変形例としての位置検出装置の全体構成例を表す概略斜視図である。
図24B図24Bは、図24Aに示した本開示のその他の第7変形例としての位置検出装置における磁場センサの回路構成例を表す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
第1の着磁領域と第2の着磁領域とが隣接する方向に移動可能な磁石を備えた位置検出装置の例。
2.第2の実施の形態
第1の着磁領域と第2の着磁領域との間に第3の着磁領域を含む磁石を有する位置検出装置の例。
3.第3の実施の形態
第1の着磁領域と第2の着磁領域との間に非着磁領域を含む磁石を有する位置検出装置の例。
4.第4の実施の形態
面取り部が形成された対向面を各々含む第1の着磁領域および第2の着磁領域を有する磁石を備えた位置検出装置の例。
5.第5の実施の形態
1つの磁石と、2つの駆動コイルとを備えた位置検出装置の第1の例。
6.第6の実施の形態
1つの磁石と、2つの駆動コイルとを備えた位置検出装置の第2の例。
7.第7の実施の形態
第1の磁場を発生すると共にレンズと一体に移動する第1の磁場発生部と、レンズを駆動するための第2の磁場を発生する第2の磁場発生部と、レンズの位置検出を行うための磁気センサとを有するレンズモジュールを備えた撮像装置の第1の例。
8.第8の実施の形態
第1の磁場を発生すると共にレンズと一体に移動する第1の磁場発生部と、レンズを駆動するための第2の磁場を発生する第2の磁場発生部とレンズの位置検出を行うための磁気センサとを有するレンズモジュールを備えた撮像装置の第2の例。
9.その他の変形例
【0010】
<1.第1の実施の形態>
[位置検出装置1の構成]
最初に、図1A~1Cを参照して、本開示における第1の実施の形態としての位置検出装置1の構成について説明する。
【0011】
図1Aは、位置検出装置1の全体構成例を表す斜視図である。図1Bは、位置検出装置1の断面構成例を表す断面図である。図1Cは、位置検出装置1を上方から眺めた平面図である。なお、図1Bは、図1Cに示したIB-IB線に沿った矢視方向の断面を表している。また、図1A~1Cに示したZ軸方向,X軸方向,およびY軸方向のそれぞれは、本開示の「第1方向」、「第2方向」、および「第3方向」に対応する一具体例である。Z軸方向,X軸方向,およびY軸方向は、互いに直交している。
【0012】
図1A~1Cに示したように、位置検出装置1は、第1の磁場発生部としての磁石10と、駆動部であって第2の磁場発生部である駆動コイル20と、磁場センサ30とを有している。位置検出装置1では、磁石10と駆動コイル20とがZ軸方向に離間して対向している。本実施の形態では、便宜上、相対的に磁石10が駆動コイル20の上方に位置し、駆動コイル20が磁石10の下方に位置するものとして説明する。
【0013】
(磁石10)
磁石10は、例えばX軸方向を長手方向とする略直方体形状の外観を有する永久磁石である。磁石10は、磁場センサ30に及ぶ第1の磁場MF1(図1B参照)を発生する。磁石10は、強磁性材料を主成分としている。具体的には、磁石10に用いられる強磁性材料として、例えばNdFeBなどのネオジム系磁石材料やSmCoなどの希土類磁石材料が挙げられる。また、磁石10は、駆動コイル20および磁場センサ30に対しX軸方向に可逆的に移動可能に設けられている。磁石10は、駆動コイル20の一部とZ軸方向に重なり合っている。
【0014】
磁石10は、第1の着磁領域11と第2の着磁領域12とを含んでいる。第1の着磁領域11と第2の着磁領域12とはX軸方向に並んでいる。第1の着磁領域11は、Z軸方向に沿って第1の向き(+Zの向き)に着磁されている。すなわち、第1の着磁領域11では、駆動コイル20と対向する側がS極となっており、駆動コイル20と反対側がN極となっている。但し本開示は、第1の着磁領域11の着磁方向が厳密に+Zの向きに一致している場合に限定されるものではなく、着磁方向が+Zの向きに対して5~10°程度傾いている場合をも許容するものである。一方、第2の着磁領域12では、駆動コイル20と対向する側がN極となっており、駆動コイル20と反対側がS極となっている。但し本開示は、第2の着磁領域12の着磁方向が厳密に-Zの向きに一致している場合に限定されるものではなく、着磁方向が-Zの向きに対して5~10°程度傾いている場合をも許容するものである。したがって、磁石10では、第1の着磁領域11のS極と第2の着磁領域12のN極とがX軸方向に隣り合っており、第1の着磁領域11のN極と第2の着磁領域12のS極とがX軸方向に隣り合っている。第1の着磁領域11と第2の着磁領域12とは互いに接している。但し、磁石10には、X軸方向における第1の着磁領域11と第2の着磁領域12との間にニュートラルゾーンが存在していてもよい。ニュートラルゾーンとは、着磁されていない非着磁領域である。また、第1の着磁領域11の形状、大きさ、重量、および磁気的ボリュームのそれぞれは、第2の着磁領域12の形状、大きさ、重量、および磁気的ボリュームのそれぞれと一致していることが望ましい。但し、第1の着磁領域11の形状、大きさ、重量、および磁気的ボリュームのうちの少なくとも1つが、第2の着磁領域12の形状、大きさ、重量、および磁気的ボリュームのそれぞれと異なっていてもよい。
【0015】
(駆動コイル20)
駆動コイル20は、例えばZ軸方向と直交するXY面に平行な面内において渦巻き状に巻回された薄膜コイルである。駆動コイル20は、例えばプリント基板に形成されている。なお、図1A,1Cでは、駆動コイル20を簡略化して全体の形状を記載している。また、駆動コイル20の巻回数は任意に設定可能であり、図1Bに示した巻回数に限定されるものではない。駆動コイル20は、それ自身に電流が供給されることにより第2の磁場MF2(図1B参照)を発生する。磁石10は、第2の磁場MF2が付与されることにより、XY面に平行なX軸方向に移動することとなる。
【0016】
駆動コイル20は、磁石10の一部とZ軸方向に離間しつつ重なり合うと共に、Y軸方向に磁石10の一部を横切るように延在している。より詳細には、駆動コイル20のうちY軸方向に延びる第1部分21が、第1の着磁領域11とZ軸方向に離間しつつ重なり合っており、駆動コイル20のうちY軸方向に延びる第2部分22が、第2の着磁領域12とZ軸方向に離間しつつ重なり合っている。なお、例えば駆動コイル20のうち第1部分21には+Y方向に電流が供給され、駆動コイル20のうち第2部分22には-Y方向に電流が供給されるようになっている。したがって、第1部分21が発生する、第1の着磁領域11に対する第2の磁場MF2の向きは+X方向であり、第2部分22が発生する、第2の着磁領域12に対する第2の磁場MF2の向きは-X方向である。すなわち、第1の着磁領域11に対する第2の磁場MF2の向きは、第2の着磁領域12に対する第2の磁場MF2の向きと反対である。
【0017】
(磁場センサ30)
磁場センサ30は、自らに付与される第1の磁場MF1のうちXY面に平行な磁場成分を検出し、第1の磁場MF1の向きおよび大きさに対応した検出信号を生成する。第1の位置P1と第2の位置P2との間で磁石10の位置が変化することにより、磁場センサ30からの出力信号が変化する。すなわち、磁場センサ30は、X軸方向における磁場センサ30に対する磁石10の相対位置に応じた抵抗値を示すようになっている。このため、磁場センサ30は、第1の位置P1と第2の位置P2との間における、X軸方向の磁石10の位置を検出することができる。図1Cに示したように、Z軸方向に眺めた平面視において、磁場センサ30は、例えば駆動コイル20の外側に配置されている。また、磁場センサ30の少なくとも一部と駆動コイル20の少なくとも一部とが、Y軸方向に互いに重なり合っている。すなわち、磁場センサ30は、駆動コイル20と同じ階層に設けられている。また、磁場センサ30のY軸方向の中心位置CY30は、磁石10のY軸方向の中心位置CY10と異なっている。
【0018】
図2A~2Cは、いずれも位置検出装置1における磁石10の挙動を説明する図であり、それぞれ図1A~1Cに対応している。駆動コイル20による誘導磁場である第2の磁場MF2が付与されることで、磁石10は、図2A~2Cに示したように、初期位置P0から+X方向へ位置P1まで移動可能であると共に初期位置P0から-X方向へ位置P2まで移動可能である。すなわち、磁石10における第1の着磁領域11の端縁T11、第2の着磁領域12の端縁T12、および第1の着磁領域11と第2の着磁領域12との境界Kのそれぞれが、位置P1から位置P2の間においてX軸方向に移動可能となっている。ここで、磁石10は、駆動コイル20の一部とZ軸方向に重なり合う状態を維持したまま、第1の位置P1と第2の位置P2との間で+X方向および-X方向の双方に移動可能であるとよい。具体的には、位置検出装置1では、磁石10は、第1部分21が第1の着磁領域11からX軸方向にはみ出さない範囲であると共に第2部分22が第2の着磁領域12からX軸方向にはみ出さない範囲で移動可能に構成されているとよい。なお、駆動コイル20および磁場センサ30を基準として+X方向へ磁石10を移動させる際に駆動コイル20に流れる電流の向きと、駆動コイル20および磁場センサ30を基準として-X方向へ磁石10を移動させる際に駆動コイル20に流れる電流の向きとは反対である。
【0019】
次に、図3を参照して、磁場センサ30の構成について説明する。図3は、磁場センサ30の構成例を示す回路図である。本実施の形態では、磁場センサ30は、検出対象磁場である第1の磁場MF1の方向に対応した検出信号として、第1の磁場MF1の方向が基準方向に対してなす角度に対応した検出信号を生成するように構成されている。
【0020】
図3に示したように、磁場センサ30は、ホイートストンブリッジ回路31を有している。ホイートストンブリッジ回路31は、電源ポートVと、グランドポートGと、2つの出力ポートE1,E2と、直列に接続された第1の抵抗部R1および第2の抵抗部R2と、直列に接続された第3の抵抗部R3および第4の抵抗部R4とを含んでいる。第1の抵抗部R1の第1端部および第4の抵抗部R4の第1端部は、それぞれ電源ポートVに接続されている。第1の抵抗部R1の第2端部は、第2の抵抗部R2の第1端部と出力ポートE1とにそれぞれ接続されている。第4の抵抗部R4の第2端部は、第3の抵抗部R3の第1端部と出力ポートE2とにそれぞれ接続されている。第2の抵抗部R2の第2端部および第3の抵抗部R3の第2端部は、それぞれグランドポートGに接続されている。電源ポートVには、所定の大きさの電源電圧が印加される。グランドポートGはグランドに接続される。出力ポートE1,E2のそれぞれは、外部の制御部40に接続されている。
【0021】
本実施の形態では、第1~第4の抵抗部R1~R4の各々は、直列に接続された複数の磁気抵抗効果素子(MR素子)を含んでいる。複数のMR素子の各々は、例えばスピンバルブ型のMR素子であってもよい。このスピンバルブ型のMR素子は、磁化方向が固定された磁化固定層と、検出対象磁場の方向に応じて磁化の方向が変化する磁性層である自由層と、磁化固定層と自由層の間に配置された非磁性層とを有している。スピンバルブ型のMR素子は、トンネル磁気抵抗効果素子(TMR素子)でもよいし、巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)でもよい。TMR素子では、非磁性層はトンネルバリア層である。GMR素子では、非磁性層は非磁性導電層である。スピンバルブ型のMR素子では、自由層の磁化の方向が磁化固定層の磁化の方向に対してなす角度に応じて抵抗値が変化し、この角度が0°のときに抵抗値は最小値となり、角度が180°のときに抵抗値は最大値となる。
【0022】
図3に示したように、第1の抵抗部R1にそれぞれ含まれる複数のMR素子における磁化固定層の磁化方向(以下、単に第1の抵抗部R1のピン方向PR1という)と、第2の抵抗部R2にそれぞれ含まれる複数のMR素子における磁化固定層の磁化方向(以下、単に第2の抵抗部R2のピン方向PR2という)とは、互いに逆向きである。また、第3の抵抗部R3にそれぞれ含まれる複数のMR素子における磁化固定層の磁化方向(以下、単に第3の抵抗部R3のピン方向PR3という)と、第4の抵抗部R4にそれぞれ含まれる複数のMR素子における磁化固定層の磁化方向(以下、単に第4の抵抗部R4のピン方向PR4という)とは、互いに逆向きである。さらに、第1の抵抗部R1のピン方向PR1および第2の抵抗部R2のピン方向PR2は、第3の抵抗部R3のピン方向PR3および第4の抵抗部R4のピン方向PR4と実質的に直交している。したがって、例えば図4に示したように、出力ポートE1に出力される電圧Vout1が基準方向に対する第1の磁場MF1のなす角度θに応じて変化する余弦曲線を描くとき、出力ポートE2に出力される電圧Vout2は角度θに応じて変化する正弦曲線を描くこととなる。すなわち、電圧Vout1と電圧Vout2とは、角度θについて互いに90°の位相差を有する。検出信号は、出力ポートE1の電位と、出力ポートE2の電位と、出力ポートE1,E2の電位差に依存する。その検出信号は、検出対象磁場である第1の磁場MF1の方向に応じて変化する。なお、図4は、磁場センサ30から得られる出力電圧特性の一例を表す特性図である。
【0023】
なお、複数のMR素子における磁化固定層の磁化の方向は、MR素子の作製の精度等の観点から、上述の方向からわずかにずれていてもよい。例えば第1の抵抗部R1のピン方向PR1に対する第2の抵抗部R2のピン方向PR2のなす角度および第3の抵抗部R3のピン方向PR3に対する第4の抵抗部R4のピン方向PR4のなす角度は、それぞれ180°±15°程度の範囲であってもよい。また、第1の抵抗部R1のピン方向PR1に対する、第3の抵抗部R3のピン方向PR3および第4の抵抗部R4のピン方向PR4の各々のなす角度は、90°±15°程度の範囲であってもよい。さらに、第2の抵抗部R2のピン方向PR2に対する、第3の抵抗部R3のピン方向PR3および第4の抵抗部R4のピン方向PR4の各々のなす角度は、90°±15°程度の範囲であってもよい。
【0024】
ここで、図5を参照して、第1~第4の抵抗部R1~R4の構成の一例について説明する。図5は、図3に示した磁場センサ30における1つの抵抗部の一部を示す斜視図である。この例では、1つの磁気検出素子は、複数の下部電極162と、複数の磁気抵抗効果(MR)素子150と、複数の上部電極163とを有している。複数の下部電極162は基板上に配置されていてもよい。個々の下部電極162は細長い形状を有している。下部電極162の長手方向に隣接する2つの下部電極162の間には、間隙が形成されている。図5に示したように、下部電極162の上面上において、長手方向の両端の近傍に、それぞれMR素子150が配置されている。MR素子150は、例えば、下部電極162側から順に積層された磁化自由層151と非磁性層152と磁化固定層153と反強磁性層154とを含んでいる。磁化自由層151は、下部電極162に電気的に接続されている。反強磁性層154は、反強磁性材料を含んで構成され、磁化固定層153との間で交換結合を生じさせて磁化固定層153の磁化の方向を固定する。複数の上部電極163は、複数のMR素子150の上に配置されている。個々の上部電極163は細長い形状を有し、下部電極162の長手方向に隣接する2つの下部電極162上に配置されて隣接する2つのMR素子150の反強磁性層154同士を電気的に接続する。このような構成により、図5に示した磁気検出素子は、複数の下部電極162と複数の上部電極163とによって直列に接続された複数のMR素子150を有している。なお、MR素子150における磁化自由層151、非磁性層152、磁化固定層153および反強磁性層154の配置は、図5に示した配置とは上下が反対でもよい。
【0025】
[位置検出装置1の作用効果]
次に、本実施の形態に係る位置検出装置1の作用および効果について説明する。本実施の形態に係る位置検出装置1は、第1の磁場MF1を発生する磁石10と、Z軸方向に磁石10と対向して配置され、第2の磁場MF2を発生することにより磁石10をX軸方向に移動させる駆動コイル20と、第1の磁場MF1のうちXY面に平行な磁場成分を検出する磁場センサ30とを有する。ここで、磁石10は、駆動コイル20および磁場センサ30に対しX軸方向に移動可能に設けられている。また、磁場センサ30のY軸方向の中心位置CY30は、磁石10のY軸方向の中心位置CY10と異なっている。磁場センサ30はXY面に平行な磁場成分を検出するので、駆動コイル20から発生するZ軸方向の磁場成分の影響を受けない。また、磁場センサ30の位置に対して磁石10の位置が変化する一方で磁場センサ30と駆動コイル20との相対位置は固定されているので、磁場センサ30に対する第2の磁場MF2の向きは変化しない。さらに、駆動コイル20の第1部分21および第2部分22は、磁石10の第1の着磁領域11および第2の着磁領域12とZ軸方向に離間しつつ重なり合うと共に、磁石10の第1の着磁領域11および第2の着磁領域12をY軸方向に横切って延在している。このため、駆動コイル20によって生成される第2の磁場MF2が、磁石10の第1の着磁領域11および第2の着磁領域12に対して効率的かつ安定的に付与される。よって、第2の磁場MF2が微小であっても磁石10が正確に移動することができ、磁石10の発生する第1の磁場MF1の変化を磁場センサ30によって正確に検出することができる。
【0026】
<2.第2の実施の形態>
[位置検出装置2の構成]
次に、図6A~6Cを参照して、本開示における第2の実施の形態としての位置検出装置2の構成について説明する。
【0027】
図6Aは、位置検出装置2の全体構成例を表す斜視図である。図6Bは、位置検出装置2の断面構成例を表す断面図である。図6Cは、位置検出装置2を上方から眺めた平面図である。なお、図6Bは、図6Cに示したVIB-VIB線に沿った矢視方向の断面を表している。図6A~6Cは、それぞれ、上記第1の実施の形態の位置検出装置1を表す図1A,2B,2Cと対応する。
【0028】
図6A~6Cに示したように、位置検出装置2は、磁石10の代わりに磁石10Aを有している。位置検出装置2の磁石10Aでは、X軸方向に並ぶ第1の着磁領域11と第2の着磁領域12とが互いに離間している。さらに、第1の着磁領域11と第2の着磁領域12との間に、X軸方向に沿って例えば-X方向に着磁された第3の着磁領域13を含んでいる。これらの点を除き、位置検出装置2の構成は上記第1の実施の形態の位置検出装置1の構成と実質的に同じである。なお、第1の着磁領域11および第2の着磁領域12と第3の着磁領域13とは、互いに接している。但し、第1の着磁領域11と第3の着磁領域13との間、および第2の着磁領域12と第3の着磁領域13との間に非着磁領域が存在していてもよい。
【0029】
位置検出装置2においても、第2の磁場MF2が付与されることで、磁石10Aは図6B~6Cに示したように初期位置P0から+X方向へ位置P1まで移動可能であると共に初期位置P0から-X方向へ位置P2まで移動可能である。すなわち、磁石10Aにおける第1の着磁領域11の端縁T11および第2の着磁領域12の端縁T12のそれぞれが、位置P1から位置P2の間においてX軸方向に移動可能となっている。ここで、磁石10は、駆動コイル20の一部とZ軸方向に重なり合う状態を維持したまま、第1の位置P1と第2の位置P2との間で+X方向および-X方向の双方に移動可能であるとよい。具体的には、位置検出装置2では、第1部分21が第1の着磁領域11からX軸方向にはみ出さない範囲であると共に第2部分22が第2の着磁領域12からX軸方向にはみ出さない範囲で磁石10AがX軸方向に移動可能に構成されているとよい。但し、位置検出装置2では、第1の着磁領域11と第2の着磁領域12との間に第3の着磁領域13を設けるようにしているので、第1部分21が第1の着磁領域11からX軸方向にはみ出すと共に第2部分22が第2の着磁領域12からX軸方向にはみ出すように、磁石10AがX軸方向に移動可能に構成されていてもよい。
【0030】
[位置検出装置2の作用効果]
本実施の形態の位置検出装置2では、磁石10Aに第3の着磁領域13を設けるようにしたので、上記第1の実施の形態の位置検出装置1と比べて第1の磁場MF1の変化に対する出力のリニアリティを向上させることができる。また、磁石10AのX軸方向に移動量が比較的大きな領域では、磁場センサ30に付与される第1の磁場MF1の強度を向上させることができ、検出感度が向上する。
【0031】
図7は、第1の磁場発生部(磁石10A)のX軸方向の移動量と、磁場センサ30によって検出される第1の磁場MF1の角度θとの関係の一例を模式的に表す特性図である。図7では、横軸が基準位置からの第1の磁場発生部のX軸方向の移動量を表し、縦軸が検出される第1の磁場MF1の角度θを表している。なお、図7では、比較のため、上記第1の実施の形態の位置検出装置1における同様の特性を併せて示している。さらに、図7には、後述する第3の実施の形態の位置検出装置3における同様の特性をも併せて示している。図7において、符号C1を付した曲線が位置検出装置1を表し、符号C2を付した曲線が位置検出装置2を表し、符号C3を付した曲線が位置検出装置3を表している。図7に示したように、位置検出装置1に比べて位置検出装置2,3のほうが、第1の磁場発生部のX軸方向の移動量に対して、第1の磁場MF1の角度θがより直線的に変化している。したがって、位置検出装置2によれば、位置検出装置1と比較して、磁石10AのX軸方向の移動量をより高い精度で検出することができる。
【0032】
図8は、第1の磁場発生部(磁石10A)のX軸方向の移動量と、磁場センサ30に付与される第1の磁場MF1の磁束密度Bとの関係の一例を模式的に表す特性図である。図8では、横軸が基準位置からの第1の磁場発生部のX軸方向の移動量を表し、縦軸が磁場センサ30に付与される第1の磁場MF1の磁束密度Bを表している。なお、図8では、比較のため、上記第1の実施の形態の位置検出装置1における同様の特性を併せて示している。さらに、図8には、後述する第3の実施の形態の位置検出装置3における同様の特性をも併せて示している。図8においても、符号C1を付した曲線が位置検出装置1を表し、符号C2を付した曲線が位置検出装置2を表し、符号C3を付した曲線が位置検出装置3を表している。図8に示したように、位置検出装置1に比べて位置検出装置2のほうが、第1の磁場発生部(磁石10A)の移動量が小さい領域では磁束密度が低いものの、第1の磁場発生部(磁石10A)の移動量がある程度大きい領域では磁束密度が高くなる。
【0033】
<3.第3の実施の形態>
[位置検出装置3の構成]
次に、図9A~9Cを参照して、本開示における第3の実施の形態としての位置検出装置3の構成について説明する。
【0034】
図9Aは、位置検出装置3の全体構成例を表す斜視図である。図9Bは、位置検出装置3の断面構成例を表す断面図である。図9Cは、位置検出装置3を上方から眺めた平面図である。なお、図9Bは、図9Cに示したIXB-IXB線に沿った矢視方向の断面を表している。図9A~9Cは、それぞれ、上記第1の実施の形態の位置検出装置1を表す図1A,2B,2Cと対応する。
【0035】
図9A~9Cに示したように、位置検出装置3は、磁石10の代わりに磁石10Bを有している。位置検出装置3の磁石10Bでは、X軸方向に並ぶ第1の着磁領域11と第2の着磁領域12とが互いに離間している。さらに、第1の着磁領域11と第2の着磁領域12との間に非着磁領域14を含んでいる。これらの点を除き、位置検出装置3の構成は上記第1の実施の形態の位置検出装置1の構成と実質的に同じである。
【0036】
位置検出装置3においても、第2の磁場MF2が付与されることで、磁石10Bは図9B~9Cに示したように初期位置P0から+X方向へ位置P1まで移動可能であると共に初期位置P0から-X方向へ位置P2まで移動可能である。すなわち、磁石10Bにおける第1の着磁領域11の端縁T11および第2の着磁領域12の端縁T12のそれぞれが、位置P1から位置P2の間においてX軸方向に移動可能となっている。ここで、磁石10Bは、駆動コイル20の一部とZ軸方向に重なり合う状態を維持したまま、第1の位置P1と第2の位置P2との間で+X方向および-X方向の双方に移動可能であるとよい。具体的には、位置検出装置2では、磁石10Bは、第1部分21が第1の着磁領域11からX軸方向にはみ出さない範囲であると共に第2部分22が第2の着磁領域12からX軸方向にはみ出さない範囲で移動可能に構成されているとよい。
【0037】
[位置検出装置3の作用効果]
本実施の形態の位置検出装置3では、磁石10Bに非着磁領域14を設けるようにしたので、図7に示したように、位置検出装置1と比べて第1の磁場MF1の変化に対する出力のリニアリティを向上させることができる。したがって、位置検出装置3によれば、位置検出装置1と比較して、磁石10BのX軸方向の移動量をより高い精度で検出することができる。
【0038】
<4.第4の実施の形態>
[位置検出装置4の構成]
次に、図10A,10Bを参照して、本開示における第4の実施の形態としての位置検出装置4の構成について説明する。
【0039】
図10Aは、位置検出装置4の全体構成例を表す斜視図である。図10Bは、位置検出装置4の断面構成例を表す断面図である。図10A,10Bは、それぞれ、上記第1の実施の形態の位置検出装置1を表す図1A,2Bと対応する。
【0040】
図10A,10Bに示したように、位置検出装置4は、磁石10の代わりに磁石10Cを有している。位置検出装置4の磁石10Cでは、X軸方向に並ぶ第1の着磁領域11と第2の着磁領域12とが互いに離間している。第1の着磁領域11と第2の着磁領域12との間に空間Vが設けられている。さらに、第1の着磁領域11は、第2の着磁領域12と対向する対向面11Sを含んでおり、対向面11Sの一部が面取りされて傾斜面11SSとなっている。同様に、第2の着磁領域12は、第1の着磁領域11と対向する対向面12Sを含んでおり、対向面12Sの一部が面取りされて傾斜面12SSとなっている。傾斜面11SSおよび傾斜面12SSは、Y軸方向に平行であると共にXY面に対して傾斜した面である。これらの点を除き、位置検出装置2の構成は上記第1の実施の形態の位置検出装置1の構成と実質的に同じである。なお、対向面11Sの全てが傾斜面11SSであってもよいし、対向面12Sの全てが傾斜面12SSであってもよい。
【0041】
位置検出装置4においても、第2の磁場MF2が付与されることで、磁石10Cは図10Bに示したように初期位置P0から+X方向へ位置P1まで移動可能であると共に初期位置P0から-X方向へ位置P2まで移動可能である。すなわち、磁石10Cにおける第1の着磁領域11の端縁T11および第2の着磁領域12の端縁T12のそれぞれが、位置P1から位置P2の間においてX軸方向に移動可能となっている。ここで、磁石10Cは、駆動コイル20の一部とZ軸方向に重なり合う状態を維持したまま、第1の位置P1と第2の位置P2との間で+X方向および-X方向の双方に移動可能であるとよい。具体的には、位置検出装置2では、磁石10Cは、第1部分21が第1の着磁領域11からX軸方向にはみ出さない範囲であると共に第2部分22が第2の着磁領域12からX軸方向にはみ出さない範囲で移動可能に構成されているとよい。
【0042】
[位置検出装置4の作用効果]
本実施の形態の位置検出装置4では、第1の着磁領域11と第2の着磁領域12とが互いに離間しているうえ、第1の着磁領域11と第1部分21とがZ軸方向に重なると共に第2の着磁領域12と第2部分22とがZ軸方向に重なっている。さらに、対向面11Sの一部が傾斜面11SSを有すると共に対向面12Sの一部が傾斜面12SSを有するようにしている。このため、位置検出装置4によれば、位置検出装置1や位置検出装置3と比べて第1の磁場MF1の変化に対する出力のリニアリティを向上させることができる。したがって、位置検出装置4によれば、磁石10DのX軸方向の移動量をより高い精度で検出することができる。
【0043】
(第4の実施の形態の変形例)
上記位置検出装置4では、第1の着磁領域11の対向面11Sの一部が平坦な傾斜面11SSとなっており、第2の着磁領域12の対向面12Sの一部が平坦な傾斜面12SSとなっている。しかしながら、本開示はこれに限定されるものではない。例えば図11Aおよび図11Bに示した変形例としての位置検出装置4Aのように、第1の着磁領域11の対向面11Sの一部が曲面11SRとなっており、第2の着磁領域12の対向面12Sの一部が曲面12SRとなっていてもよい。なお、位置検出装置4Aでは、第1の着磁領域11の対向面11Sの全てが曲面11SRとなっており、第2の着磁領域12の対向面12Sの全てが曲面12SRとなっていてもよい。
【0044】
<5.第5の実施の形態>
[位置検出装置5の構成]
次に、図12A,12Bを参照して、本開示における第5の実施の形態としての位置検出装置5の構成について説明する。
【0045】
図12Aは、位置検出装置5の断面構成例を表す断面図である。図12Bは、位置検出装置5を上方から眺めた平面図である。図12A,12Bは、それぞれ、上記第1の実施の形態の位置検出装置1を表す図1B,1Cと対応する。
【0046】
位置検出装置5は、第2の磁場発生部として2つの駆動コイル20A,20Bを備える。駆動コイル20Aの一部である第1部分21が第1の着磁領域11とZ軸方向に離間しつつ重なり合っており、駆動コイル20Bの一部である第2部分22が第2の着磁領域12とZ軸方向に離間しつつ重なり合っている。位置検出装置5では、駆動コイル20Aが発生する磁場および駆動コイル20Bが発生する磁場の双方によって磁石10がX軸方向に可逆的に移動するようになっている。磁場センサ30は、例えばX軸方向において駆動コイル20Aと駆動コイル20Bとの間に位置する。磁場センサ30は、図12Aに示したように、例えば駆動コイル20Aおよび駆動コイル20Bが形成された階層と同じ階層に設けられている。また、X軸方向において、駆動コイル20Aの少なくとも一部および駆動コイル20Bの少なくとも一部と、磁場センサ30の少なくとも一部とが互いに重なり合っている。
【0047】
[位置検出装置5の作用効果]
本実施の形態の位置検出装置5においても、上記第1の実施の形態の位置検出装置1と同様の作用効果が得られる。
【0048】
(第5の実施の形態の第1変形例)
図13は、本開示の第5の実施の形態の第1変形例としての位置検出装置5Aの構成を表す断面図である。本開示では、位置検出装置5Aのように、Z軸方向において、駆動コイル20Aおよび駆動コイル20Bが形成された階層L1と異なる階層L2に磁場センサ30が設けられていてもよい。
【0049】
(第5の実施の形態の第2変形例)
図14は、本開示の第5の実施の形態の第2変形例としての位置検出装置5Bの構成を表す平面図である。本開示では、位置検出装置5Bのように、磁場センサ30が、平面視において駆動コイル20Aと駆動コイル20Bとの間に挟まれた位置からY軸方向に外れた位置に設けられていてもよい。
【0050】
(第5の実施の形態の第3変形例)
図15は、本開示の第5の実施の形態の第3変形例としての位置検出装置5Cの構成を表す平面図である。本開示では、位置検出装置5Cのように、磁場センサ30が、平面視において磁石10とZ軸方向に重なり合う位置に設けられていてもよい。
【0051】
<6.第6の実施の形態>
[位置検出装置6の構成]
次に、図16を参照して、本開示における第6の実施の形態としての位置検出装置6の構成について説明する。図16は、位置検出装置6の全体構成例を表す斜視図である。図16は、上記第1の実施の形態の位置検出装置1を表す図1Aと対応する。
【0052】
位置検出装置6は、上記第5の実施の形態で説明した位置検出装置5と同様に、第2の磁場発生部として2つの駆動コイル20A,20Bを備える。但し、位置検出装置6は、第1の磁場発生部として、磁石10の代わりに磁石10Dを備える。磁石10Dは、図16に示したように、その全体が+Zの向きに着磁された領域となっている。但し、ここでいう全体とは磁石10Dの一部に非着磁領域や-Zの向きに着磁された領域を含むことを排除するものではない。また、本開示は、着磁方向が厳密に+Zの向きに一致している場合に限定されるものではなく、着磁方向が+Zの向きに対して5~10°程度傾いている場合をも許容するものである。位置検出装置6では、駆動コイル20Aの一部である第1部分21および駆動コイル20Bの一部である第2部分22の各々が磁石10DとZ軸方向に離間しつつ重なり合っている。位置検出装置6では、駆動コイル20Aが発生する磁場および駆動コイル20Bが発生する磁場の双方によって磁石10がX軸方向に可逆的に移動するようになっている。磁場センサ30は、例えばX軸方向において駆動コイル20Aと駆動コイル20Bとの間に位置する。磁場センサ30は、例えば駆動コイル20Aおよび駆動コイル20Bが形成された階層と同じ階層に設けられていてもよいし、駆動コイル20Aおよび駆動コイル20Bが形成された階層と異なる階層に設けられていてもよい。
【0053】
[位置検出装置6の作用効果]
本実施の形態の位置検出装置6においても、上記第1の実施の形態の位置検出装置1と同様の作用効果が得られる。また位置検出装置6では、上記第1の実施の形態の位置検出装置1のような4極の磁石10ではなく2極の磁石10Dを用いるようにしたので、磁石10と比較して磁石10Dの着磁が容易であり、磁石10Dの製造が容易になる 。
【0054】
<7.第7の実施の形態>
[撮像装置100の構成]
続いて、図17Aを参照して、本開示の第7の実施の形態としての撮像装置100の構成について説明する。
【0055】
図17Aは、撮像装置100の全体構成例を表す斜視図である。なお、図17Aに示した撮像装置100は例示であって、本実施の形態は、撮像装置100を構成する各構成要素、ならびにそれらの寸法、形状および配置位置は図17Aに示したものに限定されない。
【0056】
撮像装置100は、例えば、オートフォーカス機構を備えたスマートフォン用のカメラの一部を構成する。撮像装置100は、例えば、CMOS等を用いて画像を取得するイメージセンサ200と、被写体からの光をイメージセンサ200に導くレンズモジュール300とを備えている。
【0057】
[レンズモジュール300の構成]
レンズモジュール300は、上記第1の実施の形態で説明した位置検出装置1と、レンズ305と、筐体306と、基体307と、保持部材314とを有している。位置検出装置1は、磁気式の位置検出装置であり、被写体から入射した光(以下、単に入射光)がイメージセンサ200の撮像面に結像するように、入射光の焦点合わせを自動的に行う際にレンズ305の位置を検出する機構である。また、位置検出装置1は、例えば入射光の焦点合わせを行うためにレンズ305を移動させる駆動装置を兼ねている。筐体306は、位置検出装置1などを収容し、それらを保護するようになっている。なお、図17Aの撮像装置100では、位置検出装置1が、x軸方向に磁石10が移動する姿勢で設けられている。図17Aの撮像装置100では、x軸方向に磁石10およびレンズ305を移動させ、磁石10およびレンズ305のx軸方向の位置が検出される。
【0058】
レンズ305は、その光軸方向がx軸と一致するような姿勢で、基体307の上方に配置されている。また、基体307は、レンズ305を通過した光を通過させる開口部を有している。レンズ305と基体307の開口部とを順次通過した被写体からの光がイメージセンサ200に入射されるように、レンズモジュール300とイメージセンサ200との位置合わせがなされている。
【0059】
保持部材314は、位置検出装置1のうちの磁石10と、レンズ305とを一体に保持する部材である。保持部材314は、例えば、その内部にレンズ305を装着できるように構成された筒状の形状を有している。保持部材314は、基体307に対しレンズ305の光軸方向、すなわちx軸方向に沿って可逆的に移動可能に設けられている。基体307は、保持部材314が基体307に対してx軸方向に移動できるように、例えば複数のスプリングなどの付勢部材を介して保持部材314を支持している。
【0060】
[撮像装置100の動作]
撮像装置100の動作は、撮像装置100の外部に設けられた制御部40によって制御される。制御部40は、例えば、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)、CPUが使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する記憶素子であるROM(Read Only Memory)及びCPUの実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する記憶素子であるRAM(Random Access Memory)等で構成される回路を有する。
【0061】
オートフォーカス機構は、例えば、イメージセンサ200またはオートフォーカスセンサ等によって、被写体に焦点が合った状態を検出できるように構成されている。制御部40は、被写体に焦点が合った状態になるように、位置検出装置1によって、基板7に対するレンズ305の相対的な位置をx軸に沿って変化させる。具体的には、これにより、自動的に被写体に対する焦点合わせを行うことができる。
【0062】
[撮像装置100の作用効果]
撮像装置100は上記第1の実施の形態の位置検出装置1を備えるようにしたので、レンズ305と一体に移動する磁石10の位置(変位量)を正確に検出することができる。このため、撮像装置100は、高精度の焦点合わせを行うことができる。
【0063】
(第7の実施の形態の変形例)
図17Bは、本開示の第7の実施の形態の変形例としての撮像装置100Aの全体構成例を表す概略斜視図である。本開示は、撮像装置100Aのように、光学式手振れ補正機構を備えていてもよい。撮像装置100Aは、位置検出装置1の代わりに2つの位置検出装置1-1,1-2を有している。位置検出装置1-1,1-2は、いずれも上記第1の実施の形態で説明した位置検出装置1と実質的に同じ構成を有する。但し、位置検出装置1-1は、磁石10がレンズ305と一体にy軸方向に移動するように設けられており、磁石10およびレンズ305のy軸方向の位置を検出する。また、位置検出装置1-2は、磁石10がレンズ305と一体にz軸方向に移動するように設けられており、磁石10およびレンズ305のz軸方向の位置を検出する。図17Bに示した撮像装置100Aの構成は、オートフォーカス機構の代わりに光学式手振れ補正機構を備えるようにしたことを除き、図17Aに示した撮像装置100の構成と実質的に同じである。
【0064】
光学式手振れ補正機構は、例えばジャイロセンサ等によって手振れを検出できるように構成されている。なお、ジャイロセンサ等のセンサは、撮像装置100Aの外部に設けられていてもよい。光学式手振れ補正機構が手振れを検出すると、制御部40は、手振れの態様に応じて基体307に対するレンズ305の相対的な位置が変化するように、位置検出装置1-1,1-2を制御する。位置検出装置1-1,1-2では、制御部40からの指令により駆動コイル20に所定の大きさおよび向きの電流が供給されると磁石10が所定の方向(例えばレンズ305の光軸の方向と直交するy軸方向またはz軸方向)にレンズ305と共に移動する。これにより、レンズ305の絶対的な位置を安定化させて、手振れの影響を低減することができる。なお、基体307に対するレンズ305の相対的な位置は、手振れの態様に応じて、y軸に平行な方向またはz軸に平行な方向に変化する。
【0065】
[撮像装置100Aの作用効果]
撮像装置100Aは上記第1の実施の形態の位置検出装置1と実質的に同じ構成の位置検出装置1-1,1-2を備えるようにしたので、レンズ305と一体に移動する磁石10の位置(変位量)を正確に検出することができる。このため、撮像装置100は、高精度の光学式手振れ補正を行うことができる。
【0066】
なお、撮像装置100Aは、撮像装置100のオートフォーカス機構をも備えるようにしてもよい。その場合、撮像装置100Aは、高精度の光学式手振れ補正および高精度の焦点合わせを行うことができる。
【0067】
<7.その他の変形例>
以上、いくつかの実施の形態を挙げて本開示を説明したが、本開示は上記いくつかの実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、磁場センサが4つの抵抗部(角度θに対する出力電圧の変化が正弦曲線を描く2つの抵抗部と角度θに対する出力電圧の変化が余弦曲線を描く2つの抵抗部とを含む)を用いてハーフブリッジ回路を形成するようにしたが、本開示では、例えば角度θに対する出力電圧の変化が正弦曲線を描く4つの抵抗部と角度θに対する出力電圧の変化が余弦曲線を描く4つの抵抗部との合計8つの抵抗部を用いてフルブリッジ回路を形成するようにしてもよい。また、各々の抵抗部に含まれる複数の磁気抵抗効果素子の形状および寸法は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、抵抗部における磁気検出素子は、磁場を検知する機能を有する素子であればよく、スピンバルブ型のMR素子に限らず、異方性磁気抵抗効果素子(AMR素子)や、ホール素子等(例えば平面ホール素子や垂直ホール素子)をも含む概念である。また、各構成要素の寸法や各構成要素のレイアウトなどは例示であってこれに限定されるものではない。
【0068】
また、図3に示したホイートストンブリッジ回路31の構成は一例であって、本実施の形態の磁場センサ30は図3に示したものに限定されるものではない。磁場センサ30は、例えば図18に示したホイートストンブリッジ回路31Aを有するものであってもよい。ホイートストンブリッジ回路31Aでは、第1の抵抗部R1のピン方向PR1と第2の抵抗部R2のピン方向PR2とは互いに逆向きであり、第3の抵抗部R3のピン方向PR3と第4の抵抗部R4のピン方向PR4とは互いに逆向きである。また、第1の抵抗部R1のピン方向PR1と第3の抵抗部R3のピン方向PR3とは互いに同じ向きであり、第2の抵抗部R2のピン方向PR2と第4の抵抗部R4のピン方向PR4とは互いに同じ向きである。したがって、図18に示したホイートストンブリッジ回路31Aでは、例えば図19に示したように、出力ポートE1に出力される電圧Vout1の変化を示す曲線と、出力ポートE2に出力される電圧Vout2の変化を示す曲線とは、角度θについて互いに180°の位相差を有する。
【0069】
また、本開示の位置検出装置は、レンズの位置検出を行うための装置に限定されるものではなく、レンズ以外の他の物体の空間上の位置検出を行うものであってもよい。
【0070】
また、上記実施の形態では、磁石10が略直方体状の外観を有する場合について例示して説明したが、本開示の第1の磁場発生部はこれに限定されるものではない。例えば図20A~20Cにそれぞれ示した位置検出装置7A~7Cの磁石10E~10Gのように、円環の一部をなすように湾曲した形状の外観をそれぞれ有する第1の着磁領域11および第2の着磁領域12を含むものであってもよい。なお、磁石10Eは、第1の着磁領域11と第2の着磁領域12との間に空間Vを有する。磁石10Fは、第1の着磁領域11と第2の着磁領域12との間に第3の着磁領域13を有する。磁石10Gでは、第1の着磁領域11と第2の着磁領域12とが互いに隣接している。それらの磁石10D~10Fは、Y軸方向に沿った回転軸を中心にXZ面内で矢印Rの方向に回転するようになっている。但し、第1の着磁領域11および第2の着磁領域12のそれぞれが駆動コイル20の一部とZ軸方向に重なり合う範囲で磁石10E~10Gは回転する。このような位置検出装置7A~7Cによれば、磁石10E~10Gの回転角を高い精度で検出することができる。
【0071】
図20A図20Cにそれぞれ示した位置検出装置7A~7Cは、例えば角度センサ装置に適用可能である。図21は、一例として位置検出装置7Aを搭載した角度センサ装置500の全体構成例を表している。角度センサ装置500は、略円盤状の回転体50と、位置検出装置7Aとを備えている。回転体50は、Z軸方向に平行な回転軸J500を中心に+R方向および-R方向に回転可能に構成されている。回転体50には、図20Aに示した磁石10Eが取り付けられている。駆動コイル20が発生する第2の磁場によって磁石10Eは回転体50と一体に+R方向および-R方向に回転するようになっている。磁場センサ30は、磁石10Eが発生する第1の磁場のうち、回転体50の径方向(Z軸方向)と直交するXY面に平行な磁場成分の変化を検知することで、回転体50の回転角を高い精度で検出することができる。なお、角度センサ装置500は、位置検出装置7Aの代わりに位置検出装置7Bまたは位置検出装置7Cを搭載するようにしてもよい。
【0072】
また、本開示では、例えば図22に示した位置検出装置1Aのように、Z軸方向に眺めた平面視において、磁場センサ30は、例えば駆動コイル20の内側に配置されていてもよい。位置検出装置1Aでは、磁場センサ30は、駆動コイル20が設けられた階層と同じ階層に設けられていてもよいし、駆動コイル20が設けられた階層と異なる階層に設けられていてもよい。
【0073】
また、本開示では、例えば図23Aおよび図23Bに示した位置検出装置1Bのように、磁場センサ30が駆動コイル20の一部とZ軸方向に重なり合う位置に設けられていてもよい。位置検出装置1Bでは、図23Bに示したように、磁場センサ30は、駆動コイル20が設けられた階層L1と異なる階層L2に設けられている。
【0074】
また、上記いくつかの実施の形態および変形例では、1つの磁場センサを備えた位置検出装置をそれぞれ例示して説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば図24Aおよび図24Bに示した位置検出装置2Aのように、1つの磁石10Aに対し2つの磁場センサ30A,30Bを設けるようにしてもよい。図24Aは、本開示のその他の第7変形例としての位置検出装置2Aの全体構成例を表す概略斜視図である。図24Bは、位置検出装置2Aにおける磁場センサ30A,30Bの回路構成例を表す回路図である。磁場センサ30Aおよび磁場センサ30Bはそれぞれホイートストンブリッジ回路31を有しており、互いに接続されている。磁場センサ30Aと磁場センサ30Bとは、例えば、磁石10Aの移動するX軸方向に並んでいる。なお、本開示の位置検出装置が備える磁場センサの数は2つに限定されるものではなく、3以上の磁場センサを備えていてもよい。このような位置検出装置2Aにおいても、上記第2の実施の形態で説明した位置検出装置2と同様の効果が得られる。なお、第2の実施の形態以外の他のいくつかの実施の形態の位置検出装置、およびいくつかの変形例の位置検出装置においても複数の磁場センサを備えるようにしてもよい。
【0075】
さらに、上記いくつかの実施の形態および変形例では、駆動部として第2の磁場を発生するコイルを例示して説明するようにしたが、本開示はこれに限定されるものではない。駆動部として、コイルの代わりに例えば各種のモータやアクチュエータなどの、第1の磁場発生部などを駆動させる駆動力を発生する他のデバイスを用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1~5…位置検出装置、10,10A…磁石、11…第1の着磁領域、12…第2の着磁領域、13…第3の着磁領域、14…非着磁領域、20…駆動コイル、21…第1部分、22…第2部分、30…磁場センサ、40…制御部、100…撮像装置、500…角度センサ装置、MF1…第1の磁場、MF2…第2の磁場。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18
図19
図20A
図20B
図20C
図21
図22
図23A
図23B
図24A
図24B