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特開2024-169873媒体処理装置、媒体処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169873
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】媒体処理装置、媒体処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/387 20060101AFI20241129BHJP
   G06T 3/02 20240101ALI20241129BHJP
   G07D 7/128 20160101ALI20241129BHJP
【FI】
H04N1/387 700
G06T3/00 700
G07D7/128
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086693
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】水本 卓
【テーマコード(参考)】
3E041
5B057
【Fターム(参考)】
3E041AA01
3E041BA11
3E041CB06
3E041EA03
5B057AA11
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB12
5B057CB16
5B057CD03
5B057DB02
5B057DC02
(57)【要約】
【課題】スキャンされた媒体の画像データを正立させる。
【解決手段】スキャナは、媒体を読み取り、読み取り結果に基づいて回転補正をした媒体画像データである一次画像データを出力する。取得部は、スキャナから一次画像データを取得する。補正判定部は、媒体の既知の特徴に基づいて一次画像データの回転補正の要否を判定する。補正部は、回転補正が必要と判定された場合に、一次画像データを回転補正した媒体画像データである二次画像データを生成する。表示部は媒体画像データを表示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を読み取り、読み取り結果に基づいて回転補正をした媒体画像データである一次画像データを出力するスキャナと、
前記スキャナから前記一次画像データを取得する取得部と、
前記媒体の既知の特徴に基づいて前記一次画像データの回転補正の要否を判定する補正判定部と、
回転補正が必要と判定された場合に、前記一次画像データを回転補正した媒体画像データである二次画像データを生成する補正部と、
前記媒体画像データを表示する表示部と
を備える媒体処理装置。
【請求項2】
前記媒体は、矩形の未使用媒体の一角が切り取られた使用済み媒体であって、
前記一次画像データは、切り取りによって生じた辺を基準に回転補正された媒体画像データである
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記媒体画像データは、前記媒体が写る領域を内包する最小の外接矩形の画像データであって、
前記補正判定部は、前記一次画像データのサイズが前記媒体に応じた閾値を超える場合に、回転補正が必要であると判定する
請求項1または請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記媒体画像データは、前記媒体が写る領域を内包する最小の外接矩形の画像データであって、
前記補正判定部は、前記一次画像データに含まれる余白部分の色に類似または一致する画素の量が前記媒体に応じた閾値を超える場合に、回転補正が必要であると判定する
請求項1または請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
媒体を読み取り、読み取り結果に基づいて回転補正をした媒体画像データである一次画像データを出力するスキャナから前記一次画像データを取得するステップと、
前記媒体の既知の特徴に基づいて前記一次画像データの回転補正の要否を判定するステップと、
回転補正が必要と判定された場合に、前記一次画像データを回転補正した媒体画像データである二次画像データを生成するステップと、
前記媒体画像データを表示するステップと
を備える媒体処理方法。
【請求項6】
媒体を読み取り、読み取り結果に基づいて回転補正をした媒体画像データである一次画像データを出力するスキャナに接続されたコンピュータに、
前記スキャナから前記一次画像データを取得するステップと、
前記媒体の既知の特徴に基づいて前記一次画像データの回転補正の要否を判定するステップと、
回転補正が必要と判定された場合に、前記一次画像データを回転補正した媒体画像データである二次画像データを生成するステップと、
前記媒体画像データを表示するステップと
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体処理装置、媒体処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
店舗のバックヤードに設けられる出納機などの貨幣処理装置が知られている。貨幣処理装置は、店舗で取り扱われる現金などの媒体を管理する。店舗で扱われる媒体には、現金の他、商品券などの金券がある。これらの媒体には、券番号、有効期限、使用日などの情報が記載されており、貨幣処理装置はこれらの情報を管理する。特許文献1には、有価媒体の検査を行う検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-070892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
貨幣処理装置は、媒体をスキャンし、画像データを取得することで、店舗が受領した個別の媒体を管理することができる。
ところで、スキャナの制御装置やドライバには、スキャンした画像の傾きを補正する機能を有するものがある。これにより、スキャナは、投入された媒体が傾いていても、正立した媒体画像データを得ることができる。
【0005】
ここで、商品券などの媒体は、試用の際にその一部を切り取ることで使用済みであることを表すものがある。媒体によっては、媒体の一角を斜めに切り取るように作られたものがある。このような媒体がスキャナによって補正されると、切り取られた部分が画像のX軸に平行になるように補正されてしまうことがある。
【0006】
本発明の目的は、スキャンされた媒体の画像データを正立させることができる媒体処理装置、媒体処理方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、媒体処理装置は、媒体を読み取り、読み取り結果に基づいて回転補正をした媒体画像データである一次画像データを出力するスキャナと、前記スキャナから前記一次画像データを取得する取得部と、前記媒体の既知の特徴に基づいて前記一次画像データの回転補正の要否を判定する補正判定部と、回転補正が必要と判定された場合に、前記一次画像データを回転補正した媒体画像データである二次画像データを生成する補正部と、前記媒体画像データを表示する表示部とを備える。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、媒体処理方法は、媒体を読み取り、読み取り結果に基づいて回転補正をした媒体画像データである一次画像データを出力するスキャナから前記一次画像データを取得するステップと、前記媒体の既知の特徴に基づいて前記一次画像データの回転補正の要否を判定するステップと、回転補正が必要と判定された場合に、前記一次画像データを回転補正した媒体画像データである二次画像データを生成するステップと、前記媒体画像データを表示するステップとを備える。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、プログラムは、媒体を読み取り、読み取り結果に基づいて回転補正をした媒体画像データである一次画像データを出力するスキャナに接続されたコンピュータに、前記スキャナから前記一次画像データを取得するステップと、前記媒体の既知の特徴に基づいて前記一次画像データの回転補正の要否を判定するステップと、回転補正が必要と判定された場合に、前記一次画像データを回転補正した媒体画像データである二次画像データを生成するステップと、前記媒体画像データを表示するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0010】
上記態様によれば、スキャンされた媒体の画像データを正立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る媒体処理装置の構成を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る使用済み商品券の例を示す図である。
図3】第1の実施形態に係る補正に成功した一次画像データの例を示す図である。
図4】第1の実施形態に係る補正に失敗した一次画像データの例を示す図である。
図5】第1の実施形態に係るターミナルのソフトウェア構成を示す図である。
図6】第1の実施形態に係る媒体処理装置による精算手順を示すフローチャート(パート1)である。
図7】第1の実施形態に係る媒体処理装置による精算手順を示すフローチャート(パート2)である。
図8】第1の実施形態に係る媒体一覧画面の一例である。
図9】第1の実施形態に係るデータ入力画面の一例である。
図10】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〈第1の実施形態〉
《媒体処理装置1の構成》
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
図1は、第1の実施形態に係る媒体処理装置1の構成を示す図である。第1の実施形態に係る媒体処理装置1は、出納機10とスキャナ50とを備える。
【0013】
出納機10は、店舗に設置され、貨幣の入金処理を含む種々の処理が可能な装置である。出納機10は、紙幣の収納または払い出しを行う紙幣処理ユニット11と、硬貨の収納または払い出しを行う硬貨処理ユニット12と、出納機10の操作や状態表示等を行うターミナル13等を備える。
【0014】
ターミナル13は、オペレータの操作を受け付け、紙幣処理ユニット11および硬貨処理ユニット12へ動作指示を行う。ターミナル13は、表示部131および操作部132を備える。表示部131は、液晶ディスプレイ等の表示装置を含んで構成される。表示部131は、業務メニュー画面、操作説明画面、エラー処理ガイダンス、装置設定、保守員用の保守画面などの情報を表示する。操作部132は、タッチパネル、ハードウェアのボタン、キーボードなどを含んで構成され、オペレータがタッチパネルやキーボードを用いて行った操作を受け付ける。
【0015】
ターミナル13は、店舗が取り扱う現金通貨および商品券を管理する。ターミナル13は紙幣処理ユニット11および硬貨処理ユニット12による金種の識別結果および計数結果に基づいて現金通貨を管理する。ターミナル13は、スキャナ50によって商品券がスキャンされた媒体画像データと、オペレータによって入力された商品券のデータとを関連付けて記憶することで、商品券を管理する。商品券は媒体の一例である。
【0016】
《スキャナ50》
スキャナ50は、商品券などのシート媒体の投入を受け付け、投入されたシート媒体の画像データを生成する。以下、シート媒体がスキャンされた画像データを媒体画像データIとよぶ。スキャナ50は、図示しない一列に並べられたイメージセンサを備える。スキャナ50としては、シートフィードスキャナやフラットベッドスキャナなどを用いることができる。シートフィードスキャナは、シート媒体をイメージセンサの列に直交する方向に搬送して、イメージセンサでシート媒体を走査させるスキャナである。フラットベッドスキャナは、イメージセンサを列に直交する方向に搬送して、イメージセンサでシート媒体を走査させるスキャナである。
【0017】
ターミナル13には、スキャナ50のドライバであるスキャナドライバ21がインストールされている。スキャナドライバ21は、スキャナ50のマイクロコンピュータと通信して、媒体画像データを取得する。
【0018】
第1の実施形態に係るスキャナ50のマイクロコンピュータは、イメージセンサから得られた媒体画像データIの傾き補正機能を有する。例えばスキャナ50は、イメージセンサから得られた生の媒体画像データIのエッジを抽出し、当該エッジが画像のX軸(水平軸)と平行になるように画像データを回転させる回転補正を行う。そしてスキャナ50は回転補正後の画像データのうちシート媒体が写る領域を内包する最小の外接矩形でクロッピングした媒体画像データIを出力する。以下、スキャナ50による回転補正後の媒体画像データIを、一次画像データI1とよぶ。商品券は矩形であるため、これにより、スキャナ50に投入されたシート媒体が傾いていても、スキャナ50はその傾きを補正して媒体が正立した媒体画像データIを生成することができる。なお、他の実施形態においては、スキャナ50のマイクロコンピュータではなく、スキャナドライバ21が傾き補正機能を有していてもよい。なお、スキャナドライバ21が傾き補正機能を有する場合も、スキャナ50は、媒体を読み取り、読み取り結果に基づいて回転補正をした媒体画像データである一次画像データを出力するスキャナであるといえる。
【0019】
商品券には、使用済みであることの証としてその一部が切り離して用いられるものがある。図2は、第1の実施形態に係る使用済み商品券T1の例を示す図である。つまり、使用済み商品券T1は、矩形の未使用商品券T0の角Cが切り取られたものである。
汎用のスキャナ50は、必ずしも商品券の読み取りに特化して作られていないため、使用済み商品券T1がスキャナ50によってスキャンされると、切り離された角Cに対応する辺がX軸と平行になるように回転補正された一次画像データが生成されることがある。図3は、第1の実施形態に係る補正に成功した一次画像データI1の例を示す図である。図4は、第1の実施形態に係る補正に失敗した一次画像データI1の例を示す図である。図3、4に示すように、補正に失敗した一次画像データI1の画像サイズは、補正に成功した一次画像データI1より大きくなる。また、補正に失敗した一次画像データI1の画像には、補正に成功した一次画像データI1より多くの余白が生じる。
【0020】
出納機10のターミナル13は、商品券の登録にあたって、スキャナ50から取得した媒体画像データIを表示部131に表示させ、表示部131の画面を参照しながらオペレータにデータの入力をさせる。このとき、表示部131に表示される媒体画像データIが傾いている場合、オペレータによる入力作業が不便となるため、ターミナル13は傾きが適切になるように補正する。
【0021】
《ターミナル13のソフトウェア》
図5は、第1の実施形態に係るターミナル13のソフトウェア構成を示す図である。
ターミナル13は、スキャナドライバ21、精算処理部22、補正判定部23、補正部24、媒体判定部25、入力部26、表示制御部27、管理データベース28、マスタデータベース29を備える。
【0022】
スキャナドライバ21は、スキャナ50のマイクロコンピュータと通信して、一次画像データI1を取得する。スキャナドライバ21は取得部の一例である。
精算処理部22は、店舗に設けられた図示しないキャッシュレジスタなどの精算処理を行う。
【0023】
補正判定部23は、スキャナ50から取得した一次画像データI1の回転補正が必要か否かを判定する。
補正部24は、一次画像データI1の回転補正が必要であると判定された場合に、一次画像データI1を回転補正した媒体画像データIである二次画像データI2を生成する。補正部24は、例えば以下の手順で回転補正を行う。まず補正部24は、一次画像データI1の二値化およびモルフォロジー変換によるノイズ除去を行う。補正部24は、画像の輪郭を抽出する。輪郭の抽出は、例えばCanny法によって行われる。補正部24は、抽出した輪郭に外接する外接矩形であって、面積が最小となるものを求める。補正部24は、外接矩形の長辺をX軸に平行にするように媒体画像データIを回転させる。回転は、例えばアフィン変換によって行われる。
【0024】
媒体判定部25は、媒体画像データI(一次画像データI1または二次画像データI2)を解析し、媒体画像データIに写るものが商品券であるか否かを判定する。
入力部26は、オペレータから媒体画像データIに写る商品券のデータの入力を受け付ける。
表示制御部27は、表示部131の表示を制御する。例えば、表示制御部27は、精算処理部22の処理結果や、媒体画像データIを表示する。
【0025】
管理データベース28は、店舗で扱われる媒体のデータを管理する。具体的には、管理データベース28は、店舗で扱われる現金通貨の金種別の枚数を記憶する。また管理データベース28は、店舗で扱われる商品券の種類、額面、券番号、媒体画像データIを記憶する。
【0026】
マスタデータベース29は、商品券の種類および額面ごとに、画像の特徴量と補正の要否を判定するための画素数の閾値とを記憶する。画素数の閾値は、角Cの辺をX軸に平行にしたときの媒体画像データIの画素数より小さく、長辺をX軸に平行にしたときの媒体画像データIの画素数より大きい値である。画像の特徴量は、媒体判定部25が商品券の種類および額面を判定するための類似度の判定に用いられる。特徴量の例としては、例えばSIFT(Scale-Invariant Feature Transform)が挙げられる。
【0027】
《媒体処理装置1による精算手順》
図6は、第1の実施形態に係る媒体処理装置1による精算手順を示すフローチャート(パート1)である。図7は、第1の実施形態に係る媒体処理装置1による精算手順を示すフローチャート(パート2)である。
オペレータは、店舗のキャッシュレジスタの締め作業を終えると、媒体処理装置1のターミナル13を操作し、精算処理を開始する。ターミナル13の表示制御部27は、表示部131に精算対象のキャッシュレジスタのIDの入力画面を表示する。オペレータは操作部132を操作し、精算対象のキャッシュレジスタのIDを入力する。入力部26はオペレータによるキャッシュレジスタのIDの入力を受け付ける(ステップS1)。精算処理部22は、入力されたIDに係るキャッシュレジスタから、キャッシュレジスタに収容された媒体の管理データを受信する(ステップS2)。
【0028】
次に、精算処理部22は、紙幣処理ユニット11および硬貨処理ユニット12の入金口を開き、キャッシュレジスタに収容された現金通貨の計数処理を行う(ステップS3)。オペレータはキャッシュレジスタに収容された現金通貨を、紙幣処理ユニット11および硬貨処理ユニット12に投入する。精算処理部22は、紙幣処理ユニット11および硬貨処理ユニット12から計数結果を取得し、ステップS2で受信した管理データとの違算の有無を判定する(ステップS4)。管理データとの違算がある場合(ステップS4:YES)、表示制御部27は表示部131に現金通貨の違算があることを表示させ、処理を終了する(ステップS5)。
他方、管理データとの違算がない場合(ステップS4:NO)、精算処理部22は取得した計数結果を管理データベース28に記録する(ステップS6)。表示制御部27は、紙幣処理ユニット11および硬貨処理ユニット12の計数結果を表示部131に表示させる。
【0029】
次に、オペレータはターミナル13を操作し、商品券の読取開始を指示する。入力部26が読取開始の指示を受け付けると、スキャナドライバ21はスキャナ50にスキャン指示を送信する(ステップS7)。スキャナ50は、スキャナドライバ21から指示を受信すると、スキャナ50にセットされた商品券を順次両面スキャンする。スキャナ50は、スキャンによって得られた媒体画像データIそれぞれについて回転補正を行い、一次画像データI1を生成する。
【0030】
スキャナドライバ21は、スキャナ50から一次画像データI1を取得する(ステップS8)。ターミナル13は、取得された複数の一次画像データI1を1組ずつ選択して(ステップS9)、以下のステップS10からステップS12の処理を実行する。1組とは、両面スキャンされた表面の一次画像データI1と裏面の一次画像データI1の組である。
媒体判定部25は、マスタデータベース29が記憶する商品券の種類および額面ごとの特徴量との類似度を求め、一次画像データI1が商品券を写したものであるか否かを判定する(ステップS10)。例えば、媒体判定部25は、商品券の種類および額面ごとの類似度の少なくとも1つが所定の閾値を超える場合に、一次画像データI1が最も類似度の高い特徴量に関連付けられた商品券を写したものであると判定する。類似度が所定の閾値を超える場合、媒体判定部25は、判定結果として商品券の種類および額面を特定する。他方、媒体判定部25は、商品券の種類および額面ごとの類似度のすべてが閾値より低い場合に、一次画像データI1が商品券を写したものでないと判定する。
【0031】
媒体判定部25が、読み取った一次画像データI1が商品券であると判定した場合(ステップS10:YES)、補正判定部23は、一次画像データI1の画素数が、マスタデータベース29において当該商品券の種類および額面に関連付けられた画素数の閾値より多いか否かを判定する(ステップS11)。画素数が多い場合(ステップS11:YES)、補正判定部23は一次画像データI1の回転補正が必要であると判定する。補正部24は、ステップS7で選択された一次画像データI1を回転補正し、二次画像データI2を生成する(ステップS12)。なお、媒体判定部25は、確認のために、二次画像データI2について商品券の種類および額面の判定を行ってもよい。他方、画素数が少ない場合(ステップS11:NO)、補正判定部23は一次画像データI1の回転補正が不要であると判定する。
【0032】
なお、媒体判定部25が、読み取った一次画像データI1が商品券でないと判定した場合(ステップS10:NO)、関連付けられた閾値がないため補正判定部23は回転補正を行うか否かの判定を行わなくてよい。なお、例えばマスタデータベース29にデフォルトの閾値が記録されている場合、補正判定部23はデフォルトの閾値に基づいて回転補正の要否を判定してもよい。
【0033】
表示制御部27は、媒体一覧画面を表示部131に表示させ、入力部26は、データを編集したい媒体の選択を受け付ける(ステップS13)。図8は、第1の実施形態に係る媒体一覧画面の一例である。媒体一覧画面には、スキャンされた媒体それぞれの媒体画像データI(一次画像データI1または二次画像データI2)と、媒体判定部25による判定結果と、確定ボタンとが表示される。例えば、媒体判定部25による判定結果が誤っている場合、オペレータは操作部132を操作して当該誤りを訂正することができる。また例えば、券番号などの未入力項目が存在する場合、オペレータは操作部132を操作して未入力項目の値を入力することができる。
【0034】
表示制御部27は、ステップS13で選択された媒体のデータ入力画面を表示部131に表示させ、入力部26は当該媒体の種類、額面および券番号の値の編集を受け付ける(ステップS14)。図9は、第1の実施形態に係るデータ入力画面の一例である。データ入力画面には、媒体画像データIと、表裏ボタンと、180度回転ボタンと、種類、額面および券番号の入力フォームと、データ破棄ボタンと、登録ボタンとが表示される。オペレータは、媒体画像データIを視認しながら入力フォームへの入力を行い、登録ボタンを押下することで、入力内容を確定することができる。
このとき、オペレータが媒体画像データIのうち拡大したい部分を押下すると、表示制御部27は押下された点を中心に媒体画像データIを拡大表示させる。これにより、オペレータは、例えば媒体画像データIのうち券番号が写る部分を拡大表示させながら券番号の入力を行うことができる。また、表示された媒体画像データIの天地が逆になっている場合、オペレータが180度回転ボタンを押下することで、媒体画像データIの天地を合わせることができる。また、表示された媒体画像データIの表裏が逆になっている場合、オペレータが表裏ボタンを押下することで、媒体画像データIの表裏を切り替えることができる。また、選択された媒体が、精算の対象となる商品券でない場合、オペレータは、データ破棄ボタンを押下することで、選択された媒体のデータを破棄することができる。
【0035】
オペレータは、全ての媒体についてのデータの入力が完了しているか否かを確認する(ステップS15)。データの入力が完了していない場合(ステップS15:NO)、ステップS13に戻り、オペレータは、編集したい媒体を選択する。他方、全ての媒体についてのデータの入力が完了した場合(ステップS15:YES)、オペレータは、媒体一覧画面の確定ボタンを押下する。入力部26が確定ボタンの押下を受け付けると、精算処理部22はステップS8からステップS14で入力されたデータをステップS2で受信した管理データとの違算の有無を判定する(ステップS16)。管理データとの違算がある場合(ステップS16:YES)、表示制御部27は表示部131に現金通貨の違算があることを表示させ、処理を終了する(ステップS17)。
管理データとの違算がない場合(ステップS16:NO)、精算処理部22は媒体ごとのデータを管理データベース28に記録する(ステップS18)。また、このとき表示制御部27は、表示部131に現金通貨の違算がないことを表示させてもよい。
【0036】
《作用・効果》
このように、第1の実施形態によれば、媒体処理装置1は、以下の構成を備える。媒体処理装置1は、スキャナ50と、スキャナドライバ21(取得部)と、補正判定部23と、補正部24と、表示部131とを備える。スキャナ50は、媒体を読み取り、読み取り結果に基づいて回転補正をした媒体画像データIである一次画像データI1を出力する。スキャナドライバ21は、スキャナ50から一次画像データI1を取得する。補正判定部23は、媒体の既知の特徴に基づいて一次画像データI1の回転補正の要否を判定する。第1の実施形態に係る媒体の既知の特徴は、正立しているときの一次画像データI1の画素数と誤って回転したときの一次画像データI1の画素数である。画素数は媒体画像データIのサイズを表す。補正部24は、回転補正が必要と判定された場合に、一次画像データI1を回転補正した媒体画像データIである二次画像データI2を生成する。表示部131は媒体画像データIを表示する。なお、第1の実施形態では、スキャナ50が常に所定の解像度で読み取りを行うものである。他方、他の実施形態において、スキャナ50の読み取りにおける解像度が可変である場合、マスタデータベース29は解像度ごとに画素数の閾値を記憶する。
これにより、媒体処理装置1は、スキャナ50によって媒体画像データIが適切に回転されない場合にも、媒体が正立するように媒体画像データIを補正することができる。
【0037】
なお、スキャナ50またはスキャナドライバ21は多くの場合、媒体が正立するように媒体画像データIを回転することができる。またスキャナ50またはスキャナドライバ21による補正は処理速度が速い。そのため、媒体処理装置1はスキャナ50またはスキャナドライバ21による補正処理を有効にしたうえで、誤った回転が生じた場合のみ、さらなる補正をかけることで、高速に媒体画像データIを補正することができる。
【0038】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。すなわち、他の実施形態においては、上述の処理の順序が適宜変更されてもよい。また、一部の処理が並列に実行されてもよい。
上述した実施形態に係るターミナル13は、単独のコンピュータによって構成されるものであってもよいし、ターミナル13の構成を複数のコンピュータに分けて配置し、複数のコンピュータが互いに協働することでターミナル13として機能するものであってもよい。
【0039】
第1の実施形態に係る媒体処理装置1は、画素数の閾値に基づいて一次画像データI1の回転補正の要否を判定するが、これに限られない。例えば第2の実施形態に係る媒体処理装置1は、一次画像データI1の縦横比に基づいて回転補正の要否を判定してもよい。縦横比は、媒体画像データIのサイズの一例である。例えば第3の実施形態に係る媒体処理装置1は、一次画像データI1のデータサイズに基づいて回転補正の要否を判定してもよい。縦横比に基づいて回転補正の要否を判定する場合、マスタデータベース29はスキャナ50の画素数によらず、種類および額面に応じて判定の閾値を1つ記憶すればよい。
【0040】
第4の実施形態に係る媒体処理装置1は、一次画像データI1の余白の画素数に基づいて回転補正の要否を判定してもよい。具体的には、補正判定部23は、スキャンされた媒体画像データIの余白部分が白色である場合、一次画像データI1を二値化し、白色の画素数(背景色と一致する色の画素の数)が所定の閾値を超える場合に回転補正が必要と判定する。他方、補正判定部23は、スキャンされた媒体画像データIの余白部分が黒色である場合、一次画像データI1を二値化し、黒色の画素数(背景色と一致する色の画素の数)が所定の閾値を超える場合に回転補正が必要と判定する。第5の実施形態に係る媒体処理装置1は、白色の画素数と黒色の画素数の比に基づいて回転補正が必要と判定してもよい。また、他の実施形態においては、カラー画像について、背景色と一致する色の画素数ではなく背景色と類似の色の画素数を計数してもよい。背景色と類似の色の画素は、例えば背景色との色差(例えばRGBからなる三次元ベクトル間のユークリッド距離)が所定の閾値以下の画素であってよい。
【0041】
〈コンピュータ構成〉
図10は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ90は、プロセッサ91、メインメモリ92、ストレージ93、インタフェース94を備える。
上述のターミナル13は、コンピュータ90に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ93に記憶されている。プロセッサ91は、プログラムをストレージ93から読み出してメインメモリ92に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ91は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ92に確保する。プロセッサ91の例としては、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、マイクロプロセッサなどが挙げられる。
【0042】
プログラムは、コンピュータ90に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージに既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータ90は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ91によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。このような集積回路も、プロセッサの一例に含まれる。また、他の実施形態においては、コンピュータ90は、1または複数のコンピュータ上で仮想化されたものであってもよい。
【0043】
ストレージ93の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ93は、コンピュータ90のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース94または通信回線を介してコンピュータ90に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ90に配信される場合、配信を受けたコンピュータ90が当該プログラムをメインメモリ92に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ93は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0044】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ93に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…媒体処理装置 10…出納機 11…紙幣処理ユニット 12…硬貨処理ユニット 13…ターミナル 131…表示部 132…操作部 21…スキャナドライバ 22…精算処理部 23…補正判定部 24…補正部 25…媒体判定部 26…入力部 27…表示制御部 28…管理データベース 29…マスタデータベース 50…スキャナ 90…コンピュータ 91…プロセッサ 92…メインメモリ 93…ストレージ 94…インタフェース C…角 I…媒体画像データ I1…一次画像データ I2…二次画像データ T0…未使用商品券 T1…使用済み商品券
図1
図2
図3
図4
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図6
図7
図8
図9
図10