(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169877
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】接点機構、及び電磁継電器
(51)【国際特許分類】
H01H 50/54 20060101AFI20241129BHJP
H01H 9/44 20060101ALI20241129BHJP
H01H 50/14 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
H01H50/54 E
H01H9/44 A
H01H50/14 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086703
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】517137963
【氏名又は名称】EMデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】窪野 和男
(72)【発明者】
【氏名】今田 淳
【テーマコード(参考)】
5G027
【Fターム(参考)】
5G027AA03
5G027BB03
(57)【要約】
【課題】通電状態において可動子と固定子との間に働く電磁反発力を効果的に抑制すること。
【解決手段】本開示の一態様にかかる接点機構1は、第1固定子10、第2固定子20、及び可動子30を備える。第1固定子10は励磁部12を有し、励磁部12は、第1導電部材13、第2導電部材14、第3導電部材15、及び第4導電部材16の順に接続された角環状構造を有する。平面視した際に第1導電部材13および第3導電部材15は、可動子30と重畳するように構成されている。接点機構1が通電状態となった際、可動子30には励磁部12で発生した磁界によって可動子30が通電状態を維持する方向にローレンツ力が発生し、第1導電部材13と可動子30との間にはローレンツ力による吸引力が発生し、第3導電部材15と可動子30との間にはローレンツ力による反発力が発生する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に伸びる導電板と、当該導電板の第1面の前記第1方向の両端側に各々設けられた第1可動接点および第2可動接点と、を有する可動子と、
前記第1可動接点と接続可能に設けられた第1固定接点を有する第1固定子と、
前記第2可動接点と接続可能に設けられた第2固定接点を有する第2固定子と、を備える接点機構であって、
前記接点機構は、前記第1方向と垂直な第2方向に前記可動子が変位し、前記第1可動接点と前記第1固定接点とが接続し、かつ、前記第2可動接点と前記第2固定接点とが接続することで、前記第1固定子と前記第2固定子とが前記可動子を介して通電状態となるように構成されており、
前記第1固定子は、前記第1方向および前記第2方向と垂直な第3方向に磁界を発生可能に構成されるとともに、前記第3方向から見た際に前記可動子と重畳している励磁部を有し、
前記励磁部は、前記第1方向に伸びる第1導電部材および第3導電部材と、前記第2方向に伸びる第2導電部材および第4導電部材とが、前記第1導電部材、前記第2導電部材、前記第3導電部材、及び第4導電部材の順に接続された角環状構造を有し、
前記第2方向から見た際に、前記第1導電部材および前記第3導電部材が前記可動子と重畳するように構成されており、
前記接点機構が通電状態となった際、前記可動子には前記励磁部で発生した磁界によって前記可動子が通電状態を維持する方向にローレンツ力が発生し、前記第1導電部材と前記可動子との間にはローレンツ力による吸引力が発生し、前記第3導電部材と前記可動子との間にはローレンツ力による反発力が発生する、
接点機構。
【請求項2】
前記接点機構が通電状態の場合、前記可動子に流れる電流の方向と前記第1導電部材に流れる電流の方向とが同一の方向であり、前記可動子に流れる電流の方向と前記第3導電部材に流れる電流の方向とが互いに逆の方向である、請求項1に記載の接点機構。
【請求項3】
前記第1固定接点は、前記励磁部を構成する前記第1乃至第4導電部材のうち前記第4導電部材側に設けられている、請求項1に記載の接点機構。
【請求項4】
前記第1固定接点は、前記第4導電部材と連結された第5導電部材に設けられており、
前記第1導電部材と前記可動子との間の距離が前記第5導電部材と前記可動子との間の距離よりも短くなるように構成されている、請求項1に記載の接点機構。
【請求項5】
前記第1可動接点および前記第1固定接点の前記第1方向における外側、及び前記第2可動接点および前記第2固定接点の前記第1方向における外側にはそれぞれ、アーク消弧用の永久磁石が設けられている、請求項1に記載の接点機構。
【請求項6】
前記第2方向から見た際に、前記励磁部は、前記第1方向において前記第1可動接点および前記第1固定接点の位置と前記第2可動接点および前記第2固定接点の位置との間に配置されている、請求項5に記載の接点機構。
【請求項7】
前記永久磁石には、前記アーク消弧用の磁界を強めるためのヨークが設けられており、
前記ヨークには、前記接点機構が非通電状態である際に前記可動子の前記第2方向における変位を規制する規制構造が設けられている、
請求項5に記載の接点機構。
【請求項8】
前記可動子が備える前記導電板の前記第1面または前記第1面と反対側の第2面には、前記可動子を前記第2方向に変位させるための可動板が連結されており、
前記第1方向から見た際、前記可動板は、前記励磁部が設けられている側と逆方向に伸びるように設けられている、
請求項1に記載の接点機構。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の接点機構と、
前記可動子を前記第2方向に変位可能な電磁機構と、を備え、
前記電磁機構を用いて前記第1可動接点と前記第1固定接点との接続・非接続、及び、前記第2可動接点と前記第2固定接点との接続・非接続を切り替え可能に構成されている、
電磁継電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接点機構、及び電磁継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁継電器は、通信機器、自動車の電装部品、電気製品などの分野で広く用いられている。特許文献1には、通電時に可動子を開極させる方向に働く電磁反発力を抑制することが可能な接点機構に関する技術が開示されている。特許文献2には、可動子及び固定子間に生じる電磁反発力を抑制しながら接点装置の高さを低くすることが可能な接点機構に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-028252号公報
【特許文献2】特開2012-243584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電磁継電器は、電磁石を用いて可動子を変位させ、当該可動子と固定子との接続・非接続を切り替えることで、端子間の電気的な接続を切り替える。ここで、可動子と固定子とが接続された通電状態では、可動子を開極させる方向に電磁反発力が発生する場合がある。このため、可動子と固定子との間に働く電磁反発力を効率的に抑制する技術が必要とされている。
【0005】
上記課題に鑑み本開示の目的は、通電状態において可動子と固定子との間に働く電磁反発力を効果的に抑制することが可能な接点機構、及び電磁継電器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様にかかる接点機構は、第1方向に伸びる導電板と、当該導電板の第1面の前記第1方向の両端側に各々設けられた第1可動接点および第2可動接点と、を有する可動子と、前記第1可動接点と接続可能に設けられた第1固定接点を有する第1固定子と、前記第2可動接点と接続可能に設けられた第2固定接点を有する第2固定子と、を備える。前記接点機構は、前記第1方向と垂直な第2方向に前記可動子が変位し、前記第1可動接点と前記第1固定接点とが接続し、かつ、前記第2可動接点と前記第2固定接点とが接続することで、前記第1固定子と前記第2固定子とが前記可動子を介して通電状態となるように構成されており、前記第1固定子は、前記第1方向および前記第2方向と垂直な第3方向に磁界を発生可能に構成されるとともに、前記第3方向から見た際に前記可動子と重畳している励磁部を有し、前記励磁部は、前記第1方向に伸びる第1導電部材および第3導電部材と、前記第2方向に伸びる第2導電部材および第4導電部材とが、前記第1導電部材、前記第2導電部材、前記第3導電部材、及び第4導電部材の順に接続された角環状構造を有し、前記第2方向から見た際に、前記第1導電部材および前記第3導電部材が前記可動子と重畳するように構成されており、前記接点機構が通電状態となった際、前記可動子には前記励磁部で発生した磁界によって前記可動子が通電状態を維持する方向にローレンツ力が発生し、前記第1導電部材と前記可動子との間にはローレンツ力による吸引力が発生し、前記第3導電部材と前記可動子との間にはローレンツ力による反発力が発生する。
【0007】
本開示の一態様にかかる電磁継電器は、上述の接点機構と、前記可動子を前記第2方向に変位可能な電磁機構と、を備え、前記電磁機構を用いて前記第1可動接点と前記第1固定接点との接続・非接続、及び、前記第2可動接点と前記第2固定接点との接続・非接続を切り替え可能に構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示により、通電状態において可動子と固定子との間に働く電磁反発力を効果的に抑制することが可能な接点機構、及び電磁継電器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】実施の形態1にかかる接点機構の構成例を示す斜視図である。
【
図1B】実施の形態1にかかる接点機構の構成例を示す上面図である。
【
図1C】実施の形態1にかかる接点機構の構成例を示す正面図である。
【
図1D】実施の形態1にかかる接点機構の構成例を示す側面図である。
【
図2】実施の形態1にかかる接点機構に流れる電流の向きと磁界の向きを示す図である。
【
図3A】実施の形態2にかかる接点機構の構成例を示す斜視図である。
【
図3B】実施の形態2にかかる接点機構の構成例を示す上面図である。
【
図3C】実施の形態2にかかる接点機構の構成例を示す正面図である。
【
図3D】実施の形態2にかかる接点機構の構成例を示す側面図である。
【
図4A】実施の形態3にかかる接点機構の構成例を示す斜視図である。
【
図4B】実施の形態3にかかる接点機構の構成例を示す上面図である。
【
図4C】実施の形態3にかかる接点機構の構成例を示す正面図である。
【
図4D】実施の形態3にかかる接点機構の構成例を示す側面図である。
【
図5A】実施の形態4にかかる接点機構の構成例を示す斜視図である。
【
図5B】実施の形態4にかかる接点機構の構成例を示す上面図である。
【
図5C】実施の形態4にかかる接点機構の構成例を示す正面図である。
【
図5D】実施の形態4にかかる接点機構の構成例を示す側面図である。
【
図6A】実施の形態5にかかる接点機構の構成例を示す斜視図である。
【
図6B】実施の形態5にかかる接点機構の構成例を示す上面図である。
【
図6C】実施の形態5にかかる接点機構の構成例を示す正面図である。
【
図6D】実施の形態5にかかる接点機構の構成例を示す側面図である。
【
図7】実施の形態6にかかる電磁継電器の構成例を示す斜視図である。
【
図8A】実施の形態6にかかる電磁継電器(非通電状態)の構成例を示す側面図である。
【
図8B】実施の形態6にかかる電磁継電器(通電状態)の構成例を示す側面図である。
【
図9】実施の形態6にかかる電磁継電器の構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施の形態1>
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
図1A~
図1Dはそれぞれ、実施の形態1にかかる接点機構の構成例を示す斜視図、上面図、正面図及び側面図である。
図1A~
図1Dに示すように、本実施の形態にかかる接点機構1は、第1固定子10、第2固定子20、及び可動子30を備える。
【0011】
可動子30は、x軸方向(第1方向)に伸びる導電板31と、当該導電板31の第1面(z軸方向マイナス側の面)のx軸方向の両端側に各々設けられた第1可動接点32および第2可動接点33と、を有する。可動子30の第1可動接点32および第2可動接点33は、導電板31のx軸方向の両端側の第1面に凸形状の部材を設けることで構成されている。可動子30を構成する各部材は、金属材料等の導電性を有する材料で構成されている。
【0012】
第1固定子10は、可動子30の第1可動接点32と接続可能に設けられた第1固定接点11、及び励磁部12を有する。第1固定子10の第1固定接点11は、導電部材17のz軸方向プラス側の面に凸形状の部材を設けることで構成されている。第1固定子10を構成する各部材は、金属材料等の導電性を有する材料で構成されている。
【0013】
第2固定子20は、可動子30の第2可動接点33と接続可能に設けられた第2固定接点21を有する。第2固定子20の第2固定接点21は、導電板22のz軸方向プラス側の面に凸形状の部材を設けることで構成されている。第2固定子20を構成する各部材は、金属材料等の導電性を有する材料で構成されている。なお、第1固定子10と第2固定子20を総称して、固定子10、20とも記載する。
【0014】
本実施の形態にかかる接点機構1では、z軸方向(第2方向)に可動子30を変位させることで、通電状態と非通電状態とを切り替える。具体的には、可動子30がz軸方向プラス側に変位した場合は、第1可動接点32と第1固定接点11とが非接続状態となり、第2可動接点33と第2固定接点21とが非接続状態となるので、第1固定子10と第2固定子20とが非通電状態となる。一方、可動子30がz軸方向マイナス側に変位した場合は、第1可動接点32と第1固定接点11とが接続し、かつ、第2可動接点33と第2固定接点21とが接続するので、第1固定子10と第2固定子20とが可動子30を介して通電状態となる。なお、
図1A~
図1Dでは接点機構1が通電状態の場合を図示している。
【0015】
第1固定子10が有する励磁部12は、接点機構1が通電状態となった際に、y軸方向に磁界を発生させるように構成されている(
図2参照)。具体的には、
図1Cに示すように、励磁部12は、x軸方向に伸びる第1導電部材13および第3導電部材15と、z軸方向に伸びる第2導電部材14および第4導電部材16とが、第1導電部材13、第2導電部材14、第3導電部材15、及び第4導電部材16の順に接続された角環状構造を有する。また、第4導電部材16は導電部材(第5導電部材)17と接続されており、導電部材17のz軸方向プラス側の面には第1固定接点11が設けられている。つまり、第1固定接点11は、励磁部12を構成する第1乃至第4導電部材13~16のうち第4導電部材16側に設けられている。よって、接点機構1が通電状態となった際、励磁部12に電流が流れると、第1導電部材13、第2導電部材14、第3導電部材15、及び第4導電部材16の順に電流が流れる(
図2参照)。
【0016】
そして、接点機構1が通電状態となった際、励磁部12に電流が流れると、
図2に示すように、励磁部12の内側にはy軸方向プラス側に向かう磁界が発生する。また、
図1Cに示すように、励磁部12は、y軸方向から見た際に可動子30(導電板31)と重畳する位置に設けられている。したがって、
図2に示すように、接点機構1が通電状態となった際、可動子30(導電板31)には励磁部12で発生した磁界によって可動子30が通電状態を維持する方向(z軸方向マイナス側)にローレンツ力が発生する。よって、z軸方向マイナス側に働くローレンツ力を用いて、通電状態において可動子30と固定子10、20との間に働く電磁反発力(z軸方向プラス側に働く力)を効果的に抑制することができる。
【0017】
また、本実施の形態では、
図1B、
図1Dに示すように、z軸方向から見た際に、第1導電部材13および第3導電部材15が可動子30(導電板31)と重畳するように構成されている。換言すると、
図1Dに示すように、励磁部12をx軸方向から見ると、断面コ字状となるように構成されている。
【0018】
図2に示すように、接点機構1が通電状態の場合、可動子30の導電板31に流れる電流の方向と第1導電部材13に流れる電流の方向とが同一の方向であり、可動子30の導電板31に流れる電流の方向と第3導電部材15に流れる電流の方向とが互いに逆の方向である。よって、接点機構1が通電状態となった際、第1導電部材13と可動子30の導電板31との間にはローレンツ力による吸引力が発生する。また、第3導電部材15と可動子30の導電板31との間にはローレンツ力による反発力が発生する。したがって、通電状態において、可動子30の導電板31にはz軸方向マイナス側にローレンツ力が働くので、可動子30と固定子10、20との間に働く電磁反発力(z軸方向プラス側に働く力)を効果的に抑制することができる。
【0019】
以上で説明した本開示により、通電状態において可動子と固定子との間に働く電磁反発力を効果的に抑制することが可能な接点機構を提供することができる。
【0020】
なお、本実施の形態では、接点機構1に流れる電流の方向が
図2に示す電流の方向と逆向きであっても同様の効果を得ることができる。つまり、可動子30の導電板31に流れる電流の方向がx軸方向プラス方向、第4導電部材16に流れる電流の方向がz軸方向プラス方向、第3導電部材15に流れる電流の方向がx軸方向マイナス方向、第2導電部材14に流れる電流の方向がz軸方向マイナス方向、第1導電部材13に流れる電流の方向がx軸方向プラス方向であっても、同様の効果を得ることができる。
【0021】
<実施の形態2>
次に、実施の形態2にかかる接点機構について説明する。
図3A~
図3Dはそれぞれ、実施の形態2にかかる接点機構の構成例を示す斜視図、上面図、正面図及び側面図である。
図3A~
図3Dに示すように、本実施の形態にかかる接点機構1aは、第1固定子10a、第2固定子20a、及び可動子30aを備える。
【0022】
第1固定子10aは、第1固定接点11a、励磁部12a、及び導電部材17aを有する。励磁部12aは、第1導電部材13a、第2導電部材14a、第3導電部材15a、及び第4導電部材16aを有する。第2固定子20aは、第2固定接点21a、及び導電板22aを有する。可動子30aは、導電板31a、第1可動接点32a、及び第2可動接点33aを有する。
【0023】
本明細書において、互いに対応する構成要素は、同一の数字を用いて示している。例えば、
図1Aに示す「第1固定子10」と
図3Aに示す「第1固定子10a」は同一の数字「10」であり、互いに対応する構成要素であることを示している。また、本明細書では、符号10に「a」を付加することで、
図3Aに示す接点機構1aの「第1固定子10a」であることを示している。つまり、実施の形態2にかかる「第1固定子10a」は実施の形態1にかかる「第1固定子10」と対応しており、本明細書では重複した説明を適宜省略している。以下で説明する各構成要素についても同様である。
【0024】
実施の形態2にかかる接点機構1aでは、実施の形態1にかかる接点機構1と比べて、第1導電部材13aと可動子30a(導電板31a)との間の距離が導電部材17aと可動子30a(導電板31a)との間の距離よりも短くなるように構成している点が異なる。これ以外の構成については、実施の形態1で説明した接点機構1と同様であるので、重複した説明は省略する。
【0025】
具体的には
図3Cに示すように、本実施の形態では、第1導電部材13aの位置が、実施の形態1にかかる接点機構1(
図1C参照)の第1導電部材13の位置と比べて、z軸方向プラス側となるように構成している。また、本実施の形態では、
図3Cに示すように、第4導電部材16aをz軸方向マイナス側に伸ばすことで、第1固定接点11aの位置(導電部材17aの位置)が、実施の形態1にかかる接点機構1(
図1C参照)の第1固定接点11の位置(導電部材17の位置)と比べて、z軸方向マイナス側となるように構成している。また、本実施の形態では、
図3Cに示すように、第2固定子20aの第2固定接点21aの位置が、実施の形態1にかかる接点機構1(
図1C参照)の第2固定接点21の位置と比べて、z軸方向マイナス側となるように構成している。
【0026】
本実施の形態では、このような構成とすることで、通電状態における可動子30aの位置が、実施の形態1にかかる接点機構1(
図1C参照)の可動子30の位置と比べて、z軸方向マイナス側の位置となる。また、第1導電部材13aの位置が、実施の形態1にかかる接点機構1(
図1C参照)の第1導電部材13の位置と比べて、z軸方向プラス側となるように構成している。よって、本実施の形態にかかる接点機構1aでは、実施の形態1にかかる接点機構1と比べて、第1導電部材13aと可動子30a(導電板31a)との間の距離を、導電部材17aと可動子30a(導電板31a)との間の距離よりも短くすることができる。したがって、接点機構1aが通電状態となった際、第1導電部材13aと可動子30aとの間に発生するローレンツ力による吸引力を更に強くすることができる。
【0027】
<実施の形態3>
次に、実施の形態3にかかる接点機構について説明する。
図4A~
図4Dはそれぞれ、実施の形態3にかかる接点機構の構成例を示す斜視図、上面図、正面図及び側面図である。
図4A~
図4Dに示すように、本実施の形態にかかる接点機構1bは、第1固定子10b、第2固定子20b、及び可動子30bを備える。
【0028】
第1固定子10bは、第1固定接点11b、励磁部12b、及び導電部材17bを有する。励磁部12bは、第1導電部材13b、第2導電部材14b、第3導電部材15b、及び第4導電部材16bを有する。第2固定子20bは、第2固定接点21b、及び導電板22bを有する。可動子30bは、導電板31b、第1可動接点32b、及び第2可動接点33bを有する。
【0029】
実施の形態3にかかる接点機構1bは、実施の形態1にかかる接点機構1と比べて、アーク消弧用の永久磁石41、42を備える点が異なる。これ以外の構成については、実施の形態1で説明した接点機構1と同様であるので、重複した説明は省略する。
【0030】
図4A~
図4Dに示すように、アーク消弧用の永久磁石41は、第1可動接点32bおよび第1固定接点11bのx軸方向における外側(つまり、x軸方向プラス側)に設けられている。また、アーク消弧用の永久磁石42は、第2可動接点33bおよび第2固定接点21bのx軸方向における外側(つまり、x軸方向マイナス側)に設けられている。
【0031】
また、永久磁石41、42は、磁界がx軸方向に伸びるように構成している。例えば、永久磁石41のx軸方向マイナス側の面がN極となるように、永久磁石41のx軸方向プラス側の面がS極となるように構成している。また、例えば、永久磁石42のx軸方向マイナス側の面がS極となるように、永久磁石41のx軸方向プラス側の面がN極となるように構成している。なお、N極とS極は逆であってもよい。
【0032】
このように、本実施の形態では、永久磁石41を設けて、第1可動接点32bおよび第1固定接点11bの近傍においてx軸方向の磁界を発生させている。同様に、本実施の形態では、永久磁石42を設けて、第2可動接点33bおよび第2固定接点21bの近傍においてx軸方向の磁界を発生させている。よって、第1可動接点32bと第1固定接点11bとが接続状態から非接続状態となる際に発生するアーク、及び第2可動接点33bと第2固定接点21bとが接続状態から非接続状態となる際に発生するアークをそれぞれ消弧することができる。
【0033】
つまり、本実施の形態では
図4Bに示すように、第1可動接点32bおよび第1固定接点11bの近傍に発生したアークを、永久磁石41の磁場を用いてy軸方向に引き伸ばして(破線の矢印で示す)消磁することができる。また、第2可動接点33bおよび第2固定接点21bの近傍に発生したアークを、永久磁石42の磁場を用いてy軸方向に引き伸ばして(破線の矢印で示す)消磁することができる。なお、アークが伸びる方向はy軸方向プラス側またはマイナス側のいずれかであり、アークが伸びる方向は接点機構1bに流れる電流の向き、及び永久磁石41、42の磁場の方向に応じて決定される。
【0034】
また、本実施の形態では
図4Cに示すように、y軸方向(z軸方向でもよい)から見た際に、励磁部12bが、x軸方向において第1可動接点32bおよび第1固定接点11bの位置と第2可動接点33bおよび第2固定接点21bの位置との間に配置されるように構成している。よって、
図4Bに示すように、アークがy軸方向に引き伸ばされた際に、アークと励磁部12(特に、第2導電部材14bおよび第4導電部材16b)が干渉することを抑制できる。特にこのような構成とした場合は、接点機構1bの電流の向きを逆方向で使用した場合でも、永久磁石41、42を用いてアークを効果的に消弧することができる。
【0035】
つまり、
図4Bに示すように、接点機構1bにおいてアークがy軸方向プラス側に向かう向きとなるように接点機構1bを設計した場合であっても、接点機構1bの電流の向きを逆方向とした場合はアークがy軸方向マイナス側に向かう向きとなる。本実施の形態では、励磁部12が、x軸方向において第1可動接点32bおよび第1固定接点11bの位置と第2可動接点33bおよび第2固定接点21bの位置との間に配置されるように構成している。よって、接点機構1bの電流の向きを逆方向とし、アークがy軸方向マイナス側に向かう向きとなった場合であっても、アークと励磁部12とが干渉することを抑制することができる。
【0036】
<実施の形態4>
次に、実施の形態4にかかる接点機構について説明する。
図5A~
図5Dはそれぞれ、実施の形態4にかかる接点機構の構成例を示す斜視図、上面図、正面図及び側面図である。
図5A~
図5Dに示すように、本実施の形態にかかる接点機構1cは、第1固定子10c、第2固定子20c、及び可動子30cを備える。
【0037】
第1固定子10cは、第1固定接点11c、励磁部12c、及び導電部材17cを有する。励磁部12cは、第1導電部材13c、第2導電部材14c、第3導電部材15c、及び第4導電部材16cを有する。第2固定子20cは、第2固定接点21c、及び導電板22cを有する。可動子30cは、導電板31c、第1可動接点32c、及び第2可動接点33cを有する。
【0038】
実施の形態4にかかる接点機構1cは、実施の形態1にかかる接点機構1と比べて、可動板50を備える点が異なる。これ以外の構成については、実施の形態1で説明した接点機構1と同様であるので、重複した説明は省略する。
【0039】
図5A~
図5Dに示すように、可動板50は、板状部材51および板状部材52を備える。
図5Dに示すように、板状部材51は、可動子30cが備える導電板31cの第2面(z軸方向プラス側の面)に連結されている。板状部材51は、励磁部12cが設けられている側と逆方向(つまり、y軸方向プラス側)に伸びるように設けられている。換言すると、板状部材51は、断面コ字状の励磁部12cの開口部からy軸方向プラス側に伸びるように設けられている。板状部材51のy軸方向プラス側の端部は、板状部材52と連結されている。板状部材52はz軸方向プラス側に伸びるように設けられている。可動板50は、金属材料を用いて構成できる。なお、可動板50を構成する板状部材51と板状部材52は、一体的に形成されていてもよい。つまり、可動板50は、1枚の金属板をL字状に折り曲げて形成してもよい。
【0040】
本実施の形態にかかる接点機構1cでは、
図5Dに示すように、励磁部12cが設けられている側と逆方向(つまり、y軸方向プラス側)に伸びるように可動板50を設けている。よって、可動子30cを変位させる際に、可動板50と励磁部12cとが干渉することを抑制できる。なお、
図5A~
図5Dでは、可動板50の断面形状がL字状の場合を例示したが、本実施の形態では、可動板50の断面形状はL字状以外の形状であってもよい。また、
図5A~
図5Dでは、可動子30cの導電板31cの第2面(z軸方向プラス側の面)に板状部材51を連結した構成を例示したが、本実施の形態では、可動子30cの導電板31cの第1面(z軸方向マイナス側の面)に板状部材51を連結してもよい。
【0041】
<実施の形態5>
次に、実施の形態5にかかる接点機構について説明する。
図6A~
図6Eはそれぞれ、実施の形態5にかかる接点機構の構成例を示す斜視図、上面図、正面図、側面図、及び断面図である。
図6A~
図6Eに示すように、本実施の形態にかかる接点機構1dは、第1固定子10d、第2固定子20d、及び可動子30dを備える。
【0042】
第1固定子10dは、第1固定接点11d、励磁部12d、及び導電部材17dを有する。励磁部12dは、第1導電部材13d、第2導電部材14d、第3導電部材15d、及び第4導電部材16dを有する。第2固定子20dは、第2固定接点21d、及び導電板22dを有する。可動子30dは、導電板31d、第1可動接点32d、及び第2可動接点33dを有する。更に、本実施の形態にかかる接点機構1dは、永久磁石41、42、可動板50、及びヨーク61、62を備える。
【0043】
本実施の形態にかかる接点機構1dは、実施の形態3にかかる接点機構1bと実施の形態4にかかる接点機構1cとを組み合わせた構成を備え、更にヨーク61、62を備える。なお、ヨーク61、62を備える構成以外については、実施の形態3、4で説明した接点機構1b、1cと同様であるので、重複した説明は省略する。
【0044】
図6A~
図6Eに示すように、永久磁石41、42にはそれぞれ、アーク消弧用の磁界を強めるためのヨーク61、62が設けられている。具体的には、
図6Cに示すように、ヨーク61はz軸方向に伸びる板状部材とx軸方向に伸びる板状部材とが直角に連結されたL字状の形状を備える。ヨーク61のz軸方向に伸びる板状部材には永久磁石41が取り付けられている。同様に、ヨーク62はz軸方向に伸びる板状部材とx軸方向に伸びる板状部材が直角に連結されたL字状の形状を備える。ヨーク62のz軸方向に伸びる板状部材には永久磁石42が取り付けられている。
図6B、
図6Cに示すように、ヨーク61およびヨーク62は、yz平面に対して対称となるように構成されている。なお、ヨーク61、62はそれぞれ、1枚の金属板をL字状に折り曲げて形成してもよい。
【0045】
図6Cに示すように、ヨーク61、62には、接点機構1dが非通電状態(開状態)である際に可動子30dのz軸方向における変位を規制する規制構造63、64が設けられている。具体的には、
図6B、
図6Cに示すように、ヨーク61を構成するx軸方向に伸びる板状部材には、z軸方向マイナス側に向かって伸びる規制構造63が設けられている。
【0046】
図6Eは、
図6Cの切断線VI-VIにおける断面図である。
図6C、
図6Eに示すように、規制構造63の先端は、可動子30dが開状態である際に、可動子30dと当接するように構成されている(
図6C、
図6Eの破線の円を参照)。また、
図6Eに示すように、規制構造63の先端はL字状に折り曲げられている。このような構成とすることで、規制構造63の先端と可動子30dの第2面とが面で当接するようにできる。
【0047】
同様に、ヨーク62を構成するx軸方向に伸びる板状部材には、z軸方向マイナス側に向かって伸びる規制構造64が設けられている。規制構造64の先端は、可動子30dが開状態である際に、可動子30dと当接するように構成されている(
図6Cの破線の円を参照)。なお、規制構造64の先端も同様に、L字状に折り曲げられている。規制構造63、64は、ヨーク61、62を構成する金属材料を用いて一体的に形成してもよい。
【0048】
このように、本実施の形態では、ヨーク61、62を用いて規制構造63、64を構成している。よって、新たに専用の部品を追加する必要がないため、接点機構の部品点数を削減することができる。なお、
図6A~
図6Eでは、ヨーク61、62の断面形状がL字状の場合を例示したが、本実施の形態では、ヨーク61、62の断面形状はL字状以外の形状であってもよい。
【0049】
<実施の形態6>
次に、実施の形態6にかかる電磁継電器について説明する。
図7は、本実施の形態にかかる電磁継電器の構成例を示す斜視図である。
図8Aは、本実施の形態にかかる電磁継電器(非通電状態)の構成例を示す側面図である。
図8Bは、本実施の形態にかかる電磁継電器(通電状態)の構成例を示す側面図である。
図7、
図8A、Bに示す電磁継電器は、実施の形態4にかかる接点機構1cを用いて構成した電磁継電器を例示している。
【0050】
図7、
図8A、Bに示すように、本実施の形態にかかる電磁継電器100は、接点機構1c、電磁機構(コイル)80、継鉄81、及び可動鉄片82を備える。
図7に示すように、可動鉄片82には、可動板50の板状部材52が固定されている。よって、
図8A、Bに示すように、可動鉄片82が変位することで可動板50が変位し、可動子30cがz軸方向に変位する。
【0051】
具体的には、電磁機構80がオフの場合は、
図8Aに示すように、可動鉄片82が電磁機構80に吸着されないので、可動子30cはz軸方向プラス側の位置において静止する。この状態では、第1可動接点32cと第1固定接点11cとが非接続状態となり、第2可動接点33c(不図示)と第2固定接点21c(不図示)とが非接続状態となるので、第1固定子10cと第2固定子20cとが非通電状態となる。
【0052】
一方、電磁機構80がオンの場合は、
図8Bに示すように、可動鉄片82が電磁機構80に吸着されるので、可動子30cはz軸方向マイナス側に変位する。この状態では、第1可動接点32cと第1固定接点11cとが接続し、かつ、第2可動接点33c(不図示)と第2固定接点21c(不図示)とが接続するので、第1固定子10cと第2固定子20cとが可動子30cを介して通電状態となる。
【0053】
このように本実施の形態にかかる電磁継電器100は、可動子30cをz軸方向に変位可能な電磁機構80を備える。そして、電磁機構80を用いて、第1可動接点32cと第1固定接点11cとの接続・非接続、及び、第2可動接点33cと第2固定接点21cとの接続・非接続を切り替えている。よって、第1固定子10cと第2固定子20cの導通・非導通を切り替えることができる。
【0054】
図9は、本実施の形態にかかる電磁継電器の構成例を示す斜視図であり、
図7に示した電磁継電器100を構成する要素をケース90に収容した状態を示している。
図9に示すように、電磁継電器100のケース90の側面上部からは第1固定子10cおよび第2固定子20cが露出した状態となる。電磁継電器100を構成する要素をケース90に収容することで、外部環境から電磁継電器100を構成する要素を保護することができる。
【0055】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、各実施の形態は互いに組み合わせてもよい。
【0056】
以上、本発明を上記実施の形態に即して説明したが、本発明は上記実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0057】
1 接点機構
10 第1固定子
11 第1固定接点
12 励磁部
13 第1導電部材
14 第2導電部材
15 第3導電部材
16 第4導電部材
17 導電板
20 第2固定子
21 第2固定接点
22 導電板
30 可動子
31 導電板
32 第1可動接点
33 第2可動接点
41、42 永久磁石
50 可動板
51、52 板状部材
61、62 ヨーク
63、64 規制構造
80 電磁機構
81 継鉄
82 可動鉄片
90 ケース
100 電磁継電器