(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169884
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】パーツフィーダ
(51)【国際特許分類】
B65G 47/14 20060101AFI20241129BHJP
B65G 51/03 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
B65G47/14 K
B65G51/03 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086718
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】522087154
【氏名又は名称】合同会社ポーラス・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110003155
【氏名又は名称】弁理士法人バリュープラス
(72)【発明者】
【氏名】蒲田 喜彦
【テーマコード(参考)】
3F080
【Fターム(参考)】
3F080AA13
3F080BA02
3F080BC07
3F080BF19
3F080BF28
3F080CE20
3F080DA18
3F080EA10
(57)【要約】
【課題】堆積状に供給された微細なワークを垂直方向の一層化と共に水平方向に単列化及び個別搬送することができなかった点を改善する。
【解決手段】上面開放され、内部を区画するための区画部材2Aを分離部2Sとして設けた第1エアチャンバ2と、第1エアチャンバの傾斜下端部に配置され、上面開放され、内部を区画するための区画部材6Aを分離部6Sとして設けた第2エアチャンバ6と、のそれぞれにおいて、上面開放面に設けられたポーラスプレート4,8と、各区画部に独立して空気が吸排気される吸排気部P1~P4と、第1エアチャンバ2及び第2エアチャンバ6を独立して傾斜させる傾斜部3,7とを備えた。
【効果】第1エアチャンバにおいて一層化を、第2エアチャンバにおいて単列化及び個別化を、連続して行うので高速かつ確実に単列及び個別搬送が可能となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
堆積状に供給された極小のワークを一層化及び単列化して搬送するパーツフィーダであって、上面開放され、内部を複数に区画するための区画部材を分離部として設けた第1エアチャンバと、この第1エアチャンバの傾斜下端部に配置され、上面開放され、内部を複数に区画するための区画部材を分離部として設けた第2エアチャンバと、を有し、前記第1エアチャンバ及び前記第2エアチャンバのそれぞれにおいて、前記上面開放面に設けられ、その表裏面に亘ってワークよりさらに小さい多数の孔を有したポーラスプレートと、各区画部にそれぞれ設けられて独立して空気が吸排気される吸排気部と、該第1エアチャンバ及び該第2エアチャンバを独立して傾斜させる傾斜部とを備えたパーツフィーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極めて小さい、例えば半導体素子や電子・電気素子のような部品が乱雑に搬送されて多層状、山積状、といったように堆積して部品(以下、ワークという)が重なった状態を一層に均して垂直方向にも水平方向にも単列化して個別搬送するパーツフィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の電子部品、素子(以下、ワークという)などは極小化、極薄化が進んでいる。そうしたワークの製造工程では、最終的に出荷に至るまでには、個数の計数、個別の外観検査などの工程を経る。
【0003】
このとき、ワークが、多層状、山積状になっていると、例えば個数を計数する工程であれば、重なった塊を1個と認識されてしまうので、正確な個数を計数できず、また、例えば外観検査工程であれば、重なって隠れたワークについての外観検査ができず、さらに、例えば個別に移載させる場合は、重なって隠れたワークの移載残しが生じる。
【0004】
したがって、堆積状に供給されたワークは、水平方向にも垂直方向にも重なった状態を均して単列化して搬送する必要がある。従来では、堆積状に供給されたワークを一層化するための下記の技術が提案されている。
【0005】
例えば特許文献1(特開2020-111466号公報)には、ワークが接触した載置面や搬送面を揺動又は振動させたり、ヘラを用いたりする手法では、ワークを損傷する可能性あることから適してなく、堆積状のワークを一層化する有効な手立てが存在しないという課題を解決するために、次の構成とした一層化装置が開示されている。
【0006】
すなわち、特許文献1の一層化装置は、ワークの載置面に該ワークよりさらに小さい多数の孔を有すると共に内部が中空とされた載置台と、この載置台に接続されて該載置台の内部に正圧又は負圧を生じさせる吸排気機構と、載置台を揺動させる揺動機構と、吸排気機構と揺動機構とを駆動制御する制御部とを備えた構成とされている。
【0007】
しかしながら、特許文献1の一層化装置は、一層化するに際して堆積状のワーク全てを一斉に均す構成であったため、ワーク全てを(垂直方向に)一層化したとしても水平方向にも単列化してさらに個別搬送することができなかった。
【0008】
また、仮に特許文献1の一層化装置に通常のパーツフィーダを接続したとしても、特許文献1では上記のとおり水平方向に単列化できないことから通常のパーツフィーダに移載される際に、再堆積化する可能性があるとともに、通常のパーツフィーダの搬送路でワークが詰ってしまう可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする問題は、垂直方向の一層化と共に水平方向に単列化及び個別搬送することができなかった点、また、垂直方向に一層化した後に通常のパーツフィーダに移載しようとしてもワークが再堆積化する可能性及び通常のパーツフィーダの搬送路で水平方向に単列化できていないワークが集合して詰る可能性がある点である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は、堆積状に供給された極小のワークを一層化及び単列化して搬送するパーツフィーダであって、上面開放され、内部を複数に区画するための区画部材を分離部として設けた第1エアチャンバと、この第1エアチャンバの傾斜下端部に配置され、上面開放され、内部を複数に区画するための区画部材を分離部として設けた第2エアチャンバと、を有し、前記第1エアチャンバ及び前記第2エアチャンバのそれぞれにおいて、前記上面開放面に設けられ、その表裏面に亘ってワークよりさらに小さい多数の孔を有したポーラスプレートと、各区画部にそれぞれ設けられて独立して空気が吸排気される吸排気部と、該第1エアチャンバ及び該第2エアチャンバを独立して傾斜させる傾斜部とを備えた構成とした。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、第1エアチャンバ及び第2エアチャンバのそれぞれを区画し、ワークを浮上させて隣接する区画に移動させる際、分離部により、所定数のワークだけが隣接する区画に数度に分けて分散しつつ移動するので、結果として一層化、単列化及び個別搬送が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施例構成を示す概略図であり、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【
図2】本発明の第1実施例構成を示す概略図であり、(a)は前方上方から見た部分分解斜視図、(b)は前方下方から見た部分分解斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施例構成を示すブロック図である。
【
図4】(a)~(f)は本発明の第1実施例構成における動作を説明するための図である。
【
図5】本発明の第2実施例構成を示す概略図であり、前方上方から見た部分分解斜視図である。
【
図6】本発明の第2実施例構成を示すブロック図である。
【
図7】(a)~(j)は本発明の第2実施例構成における動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、堆積状に供給されたワークを、垂直方向の一層化と共に水平方向に単列化及び個別搬送をするという目的を、上面開放され、内部を複数に区画するための区画部材を分離部として設けた第1エアチャンバと、この第1エアチャンバの傾斜下端部に配置され、上面開放され、内部を複数に区画するための区画部材を分離部として設けた第2エアチャンバと、を有し、前記第1エアチャンバ及び前記第2エアチャンバのそれぞれにおいて、前記上面開放面に設けられ、その表裏面に亘ってワークよりさらに小さい多数の孔を有したポーラスプレートと、各区画部にそれぞれ設けられて独立して空気が吸排気される吸排気部と、該第1エアチャンバ及び該第2エアチャンバを独立して傾斜させる傾斜部とを備えることで実現した。
【0015】
エアチャンバは区画され、各区画に対応した吸排気部が接続されている。そして、各区画を隔てる区画部材が本発明では分離部として機能している。エアチャンバの上面全域はポーラスプレートが設けられ、該エアチャンバ内外の空気の流通が可能となっている。
【0016】
また、傾斜部はポーラスプレートを設けたエアチャンバを所定角度傾斜させるものであり、吸排気部による空気噴射により浮上したポーラスプレート上のワークの一方向から他方向への推進方向付けを行う。なお、本発明においてワークの一方向から他方向への推進力は、ワークの自重である。
【0017】
第2エアチャンバは、第1エアチャンバの傾斜による搬送方向下流において該第1エアチャンバの搬送方向と直交する方向にワークを搬送するように配置されている。すなわち、第1エアチャンバの搬送方向をX軸方向とした場合、第2エアチャンバの搬送方向はY軸方向ということである。
【0018】
そして、第2エアチャンバは、第1エアチャンバの傾斜の下流側が、搬送上流側となり、第1エアチャンバから送られて来たワークを、第2エアチャンバで受け取って上記のとおり直交状に方向を変えて搬送する。
【0019】
傾斜部と、吸排気部とは、制御部に接続されており、この制御部によりワークの大きさ(重さ)や全体量や切り分け量に応じて、傾斜部による傾斜角度や吸排気部による空気噴射圧や排気のオンとオフを含む吸排気の切り替えが制御される。このように構成することで、第1エアチャンバでは堆積状のワークを一定量ずつ切り分けて、広い区画に誘導して、ここで確実に一層化とワーク同士の分散を行い、第2エアチャンバでは一層化したワークを単列化して搬送し、下流側で個別に分離する。
【0020】
第1エアチャンバと第2エアチャンバには内部を区画する区画部材が分離部として設けられている。この区画部材はすなわち空気がポーラスプレートから噴射しない領域であり、空気の噴射によって浮遊したワークが傾斜によってその自重で速やかに移動するとき、分離部に移動すると空気噴射が無くなってポーラスプレート上に着地し、傾斜と自重によってのみ移動することとなり、ワークの移動速度が減速する。
【0021】
この減速により、第1エアチャンバにおいてはワークを適当な量に小分けして搬送することが可能となり、分離部を通過した領域で再び浮上と傾斜及びワークの自重により移動速度が加速し、このとき、ワークは上下前後左右に自在に揺れることで一層化される。
【0022】
一方、第2エアチャンバにおいては、小分けされて一層化されたワークがランダムな複数(2列から5列程度)の列をなして移動し、第1エアチャンバの搬送方向と直交する方向(前記列の延びる方向)に搬送されて分離部に到達すると、減速し、分離部を通過した領域で再び浮上と傾斜及びワークの自重により移動速度が加速し、このとき、ワークは単列化と個別化される。
【実施例0023】
以下、
図1~
図7を参照して本発明の具体的な第1及び第2実施例を説明する。本発明のパーツフィーダについての基本構成は第1実施例において説明する。第2実施例では、第1実施例と異なる構成について説明することとし、第1実施例と重複する構成についての説明は省略し、図示においては同じ参照符号を示す。
【0024】
(第1実施例)
図1~
図4に示す本発明のパーツフィーダ1は、次の構成とされている。2は、上面が開放され、底面と4側面が閉塞した第1エアチャンバであり、上面開放面を上方から見ると、対向した1対の短辺、対向した1対の長辺でなり、短辺と長辺の長さの差が小さい長方形状とされている。なお、本例(第1、第2実施例)では、ワークWは第1エアチャンバ2の長辺に沿った方向へ搬送される。
【0025】
また、第1エアチャンバ2は、内部が、第1実施例の場合、区画部材2Aにより、領域L1と領域L2とに2分割されている。区画部材2Aは、本発明では分離部2Sとされ、堆積したワークWの切り分け機能を果たしている。
【0026】
第1エアチャンバ2の領域L1と領域L2のそれぞれの底面には、各々独立して稼働する吸排気部P1(領域L1に対応)、吸排気部P2(領域L2に対応)が、バルブを介して接続されている。
【0027】
3は、第1エアチャンバ2を傾斜させるために、例えば第1エアチャンバ2の一端部における外底面に設けた傾斜部である。この傾斜部3は、該第1エアチャンバ2の他方端を固定として傾斜部3を設けた一方端の上下動させることで、他方端を下り勾配とする該他方端の傾斜角度を変えるように構成されている。なお、この傾斜部3に関しては、第1エアチャンバ2を傾斜させることができれば、特に構成の限定はしない。
【0028】
4は、第1エアチャンバ2における上面の開放面に設けたポーラスプレートである。ポーラスプレート4は、その表裏面に亘って現行の最小サイズのワークWよりさらに小さいサイズの多数の孔が形成されている。ポーラスプレート4は全領域一面に多数の孔を有したものであって区画されていないが、以下の説明では、このポーラスプレート4上において、上記の第1エアチャンバ2の領域L1、領域L2、分離部2Sを示している。
【0029】
5は、第1エアチャンバ2の4辺のうち1辺を除いた3辺には設けられた枠体である。この枠体5は、ポーラスプレート4上の4側面部の壁面として機能してワークWの該ポーラスプレート4外への落下、散乱を予防するために設けられている。
【0030】
6は、第1エアチャンバ2の他端、つまり傾斜部3により下方に傾斜した側のやや下方に第1エアチャンバ2とは(接続や連結した部位がなく)独立して設けられた第2エアチャンバであり、上面開放面を上方から見ると、対向した1対の短辺、対向した1対の長辺でなり、短辺と長辺の長さの差が大きい長方形状とされている。なお、本例(第1、第2実施例)では、ワークWは第2エアチャンバ2の長辺に沿った方向へ搬送される。つまり、第2エアチャンバ6は、第1エアチャンバ2によるワークWの搬送方向(以下、「第1搬送方向」という)と直交する方向(以下、「第2搬送方向」という)にワークWを搬送する。言い換えると、第1エアチャンバ2と第2エアチャンバ6の各々の長辺に沿った方向が直交しているということである。
【0031】
また、第2エアチャンバ6は、後述の傾斜部7によらず、対向する1対の長辺でなる両側面のうち第1エアチャンバ2側の一方側面が上方に(つまり、第1エアチャンバ2とは反対側の他方側面が下方に)なるように予め固定的に傾斜した状態となっている。
【0032】
第2エアチャンバ6は、上面が開放され、底面と4側面が閉塞しており、内部が区画部材6Aにより、第2搬送方向の上流から領域L3と領域L4とに2分割されている。区画部材6Aは、本発明では分離部6Sとされ、水平方向に集合したワークWを個別に切り分ける機能を果たしている。
【0033】
第2エアチャンバ2の領域L3と領域L4のそれぞれの底面には、各々独立して稼働する吸排気部P3(領域L3に対応)、吸排気部P4(領域L5に対応)が、バルブを介して接続されている。
【0034】
7は、第2エアチャンバ6を傾斜させるために、例えば第2エアチャンバ6の、上流側、すなわち第1エアチャンバ2側の一端部における外底面に設けた傾斜部である。この傾斜部7は、該第2エアチャンバ2の他方端を固定として傾斜部7を設けた一方端を上下動させることで、他方端を下り勾配とする該他方端の傾斜角度を変えるように構成されている。なお、この傾斜部7に関しては、第2エアチャンバ6を傾斜させることができれば、特に構成の限定はしない。
【0035】
8は、第2エアチャンバ6における上面の開放面に設けたポーラスプレートである。ポーラスプレート8は、その表裏面に亘って現行の最小サイズのワークWよりさらに小さいサイズの多数の孔が形成されている。ポーラスプレート8は全領域一面に多数の孔を有したものであって区画されていないが、以下の説明では、このポーラスプレート8上において、上記の第2エアチャンバ6の領域L3、領域L4、分離部6Sを示している。
【0036】
9は、第2エアチャンバ6の第1エアチャンバ2とは反対側の他方側面に設けた整列プレートである。この整列プレート9は、第2エアチャンバ6の他方側面を下方とする傾斜と角度を等しくして、つまり第2エアチャンバ6におけるポーラスプレート8の(上面における)ワークWの搬送面と直交するように設けられている。
【0037】
整列プレート9は、ワークWのポーラスプレート8外への落下、散乱を予防すると共に、第1エアチャンバ2から搬送されたワークWを、第2エアチャンバ6の他方側面へ下る勾配の傾斜により該整列プレート9に当接させることで、第2搬送方向において直線状に整列させる機能を果たしている。
【0038】
10は、吸排気部P1~P4、傾斜部3,7の駆動を制御する制御部である。以下、この制御部10によるパーツフィーダ1の動作制御とワークWの搬送状況とを
図4を参照して説明する。
【0039】
制御部10は、ワークWの大きさ及び重さに応じて、予め第1エアチャンバ2を傾斜部3により第2エアチャンバ6側が下方となるように、第2エアチャンバ6を傾斜部7により第1エアチャンバ2側と反対の端部が下方になるように、各々所定角度で傾斜させておく。この状態で
図4(a)に示すように領域L1にワークWが堆積状に供給される。
【0040】
領域L1にワークWが堆積状に供給されると、制御部10は、領域L1~L4に対応する吸排気部P1~P4を動作させて第1エアチャンバ2及び第2エアチャンバ6内を正圧にする。これにより分離部2S,6Sを除くポーラスプレート4,8全域から空気が噴出する。制御部10は、吸排気部P2は吸排気部P1より圧力が高く、吸排気部P4は吸排気部P3より圧力が高くなるように制御する。この理由は後述する。
【0041】
図4(b)において、領域L1に供給されたワークWは、ポーラスプレート4から噴出する空気の圧力で浮上しようとして、堆積山が崩れ、裾野の面積が広がり、かつ第1エアチャンバ2の傾斜に促されて、堆積山の裾野の一部が、分離部2Sに移動する。分離部2Sでは、区画部材2Aによってポーラスプレート4の孔を塞いでいる。よって、第1エアチャンバ2の正圧の影響でワークWは浮上せず、第1エアチャンバ2の傾斜のみによる移動となり、分離部2Sにて第1搬送方向の移動速度は減速する。
【0042】
そして、ワークWは減速するものの、第1エアチャンバ2の傾斜で移動は続けているから、しばらくすると、分離部2Sから領域L2に移動する。ここで吸排気部P2(領域L2)の圧力は吸排気部P1(領域L1)よりも高く設定しているので、領域L2に移動したワークWは、ポーラスプレート4に着地しようとする方向の重さが、ほぼ全て傾斜方向に作用することになり、第1搬送方向に速やかに移動する。
【0043】
分離部2Sにおける減速と、領域L2による第1搬送方向への加速移動により、一定少量にワークWが分離され、個別に上下左右に微細に揺れつつ(踊りつつ)第1搬送方向に移動し、これにより一定少量のワークWは確実に一層化される。
図4(c)は、
図4(b)から数秒経過した状態を示している。
【0044】
図4(c)に示す状態から数秒経過すると、第1エアチャンバ2の領域L2における傾斜下端位置にあるワークWは、第2エアチャンバ6の領域L3に移動する。領域L3に移動したワークWは、第2エアチャンバ6の第1搬送方向の該第1エアチャンバ2側と反対の側面を下方とする傾斜により、
図4(d)に示すように整列プレート9に当接する。
【0045】
第2エアチャンバ6は、上記のとおり傾斜部7により第2搬送方向の下流側(第1エアチャンバ2とは反対側の端部)に下り勾配となる傾斜が設けられているから、ワークWは整列プレート9に当接した状態で個別に上下左右に微細に揺れつつ(踊りつつ)第2搬送方向に移動する。この移動中にほぼ全てのワークWが単列化される。
【0046】
その後、ワークが領域L3から分離部6Sに到達すると、上記分離部2Sのときと同様に、第2搬送方向における移動速度が減速し、該分離部6Sを超えて領域L4に移動する際には吸排気部P4>吸排気部P3の圧力差により加速して、
図4(e)に示すように、個別に分離されて単列化された状態で領域L4を移動することとなる。
【0047】
図4(f)に示すように、領域L3のワークWが領域L4に全て移動するタイミングで、次のワークW群が第1エアチャンバ2の領域L2から移動し、以降、該第1エアチャンバ2の領域L1にあるワークWが全て領域L4の下流端へ搬送されるまで、
図4(d)以降が繰り返される。
【0048】
(第2実施例)
図5~
図7に示す第2実施例におけるパーツフィーダ1は、次の点が第1実施例の構成と異なる。第1エアチャンバ2が領域L1,L2に加えて、第1搬送方向の最下流位置に領域L5が形成され、この領域L5に相当する第1エアチャンバ2の底面部に、制御部10で制御される吸排気部P5が接続されている点。第1エアチャンバ2においては、領域L2と領域L5の境部位に通過センサS1が、第2エアチャンバ6においては、領域L3における分離部6Sの直前部位に通過センサS2が、それぞれ設けられている点。
【0049】
第2実施例における動作について
図7を用いて説明する。なお、
図7において、吸排気部P2,P5を停止した場合で、ワークWがポーラスプレート4に着地している状態のワークWは浮上中のワークWと見分けが容易になるように黒塗りとした。
【0050】
制御部10は、ワークWの大きさ及び重さに応じて、予め第1エアチャンバ2を傾斜部3により第2エアチャンバ6側が下方となるように、第2エアチャンバ6を傾斜部7により第1エアチャンバ2側と反対の端部が下方になるように、各々所定角度で傾斜させておく。この状態で
図7(a)に示すように領域L1にワークWが堆積状に供給される。
【0051】
領域L1にワークWが堆積状に供給されると、領域L1~L5に対応する吸排気部P1~P5を動作させて第1エアチャンバ2及び第2エアチャンバ6内を正圧とする。これにより分離部2S,6Sを除くポーラスプレート4,8全域から空気が噴出する。制御部10は、吸排気部P2は吸排気部P1より圧力が高く、吸排気部P4は吸排気部P3より圧力が高くなるように制御する。吸排気部P2と吸排気部P5は同圧とする。
【0052】
図7(b)において、領域L1に供給されたワークWは、ポーラスプレート4から噴出する空気の圧力で浮上しようとして、堆積山が崩れ、裾野の面積が広がり、かつ第1エアチャンバ2の傾斜に促されて、堆積山の裾野の一部が、分離部2Sに移動する。分離部2Sでは、区画部材2Aによってポーラスプレート4の孔を塞いでいる。よって、第1エアチャンバ2の正圧の影響でワークWは浮上せず、第1エアチャンバ2の傾斜のみによる移動となり、分離部2Sにて第1搬送方向の移動速度は減速する。
【0053】
そして、ワークWは減速するものの、第1エアチャンバ2の傾斜で移動は続けているから、しばらくすると、分離部2Sから領域L2に移動する。ここで吸排気部P2(領域L2)の圧力は吸排気部P1(領域L1)よりも高く設定しているので、領域L2に移動したワークWは、ポーラスプレート4に着地しようとする方向の重さが、ほぼ全て傾斜方向に作用することになり、第1搬送方向に速やかに移動する。
【0054】
分離部2Sにおける減速と、領域L2による第1搬送方向への加速移動により、一定少量にワークWが分離され、個別に上下左右に微細に揺れつつ(踊りつつ)第1搬送方向に移動し、これにより一定少量のワークWが確実に一層化される。
図7(c)は、
図7(b)から数秒経過した状態を示している。
【0055】
図7(c)に示す状態から数秒経過すると、第1エアチャンバ2における領域L5の傾斜下端位置にあるワークWは、第2エアチャンバ6の領域L3に移動する。領域L3に移動したワークWは、第2エアチャンバ6の第1搬送方向の該第1エアチャンバ2側と反対の側面を下方とする傾斜により、
図7(d)に示すように整列プレート9に当接する。
【0056】
第2実施例では、
図7(d)に示す状態では、領域L3にワークWが残存していると共に既に領域L5の傾斜下端位置にワークWが位置している。このとき、通過センサS2で領域L3においてワークWの存在を検知し、かつ、かつ通過センサS1で領域L5においてワークWの存在を検知している状態となり、制御部10は、領域L2及び領域L5の排気(正圧付与)を停止し、ワークWをポーラスプレート4上に着地させ、減速させる。
【0057】
この状態で、制御部10が、通過センサS2のOFF、つまり領域L3にワークWが存在しなくなったことを検知すると、
図7(e)に示すように、吸排気部P5をON、すなわち領域L5から排気して、
図7(f)に示すように、該領域L5にあるワークWを第2エアチャンバ6の領域L3に移動させる。
【0058】
第2エアチャンバ6は、上記のとおり傾斜部7により第2搬送方向の下流側(第1エアチャンバ2とは反対側の端部)に下り勾配となる傾斜が設けられているから、ワークWは整列プレート9に当接した状態で個別に上下左右に微細に揺れつつ(踊りつつ)第2搬送方向に移動する。この移動中にほぼ全てのワークWが単列化される。
【0059】
第2実施例では、
図7(f)の状態において、領域L5のワークWを第2エアチャンバ6の領域L3に移動させることで、領域L5に搬送余地が生じるので、制御部10は、
図7(g)に示すように、領域L5にワークWを搬送すべく吸排気部P2及びP5を排気稼働する。
【0060】
このとき、未だ通過センサS2がONであるために、制御部10は、
図7(h)に示すように通過センサS2がOFFになるまで、吸排気部P2及びP5の排気を停止する。以降、第1エアチャンバ2の領域L1にあるワークWが全て領域L4の下流端へ搬送されるまで、
図7(e)以降が繰り返される。
【0061】
以上、説明したように、本発明のパーツフィーダ1は、ポーラスプレート4,8を用いて第1エアチャンバ2、第2エアチャンバ6内をそれぞれ正圧化して空気を噴射してワークWを浮上させ、かつ第1エアチャンバ2、第2エアチャンバ6においてそれぞれの搬送方向途中に分離部2S、6Sを設けることで、第1エアチャンバ2において第1搬送方向に搬送しつつ一層化を図り、第2エアチャンバ6において第1搬送方向と直交する第2搬送方向に搬送しつつ単列化及び個別分離搬送が可能となった。
【0062】
なお、上記実施例では、吸排気部P1~P5は、いずれも排気する又は排気を停止する動作でしか使用していないが、傾斜による自重によらず積極的にかつ確実にワークWを停止(上記実施例では減速)させるために、吸気を行うようにしても構わない。