IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フクハラの特許一覧

<>
  • 特開-圧縮空気圧回路 図1
  • 特開-圧縮空気圧回路 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169886
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】圧縮空気圧回路
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
B01D53/26 100
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086723
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000154521
【氏名又は名称】株式会社フクハラ
(74)【代理人】
【識別番号】100129056
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 信雄
(72)【発明者】
【氏名】福原 廣
【テーマコード(参考)】
4D052
【Fターム(参考)】
4D052AA05
4D052BA04
4D052BB06
4D052BB07
(57)【要約】
【課題】外気の接触による圧縮空気の温度低下及びドレン生成を防ぐことで、油分除去装置内へのドレン流入を防止して性能を最大限に引き出すことが可能な圧縮空気圧回路を提供する。
【解決手段】少なくともコンプレッサとサイクロンセパレータと冷凍式エアドライヤと油分除去装置とを備える圧縮空気圧回路において、該サイクロンセパレータと冷凍式エアドライヤとが圧縮空気を送気する第一接続管を介して近接に配設されると共に、該冷凍式エアドライヤと油分除去装置とが圧縮空気を送気する第二接続管を介して近接に配設されて成る手段を採る。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともコンプレッサとサイクロンセパレータと冷凍式エアドライヤと油分除去装置とを備える圧縮空気圧回路において、
該サイクロンセパレータと冷凍式エアドライヤとが圧縮空気を送気する第一接続管を介して近接に配設されると共に、該冷凍式エアドライヤと油分除去装置とが圧縮空気を送気する第二接続管を介して近接に配設されて成ることを特徴とする圧縮空気圧回路。
【請求項2】
前記第二接続管の屈曲部が多くとも3箇所以下であり、
該第二接続管は該屈曲部により最終的に略鉛直上方へ立ち上がった状態で油分除去装置に接続されて成ることを特徴とする請求項1に記載の圧縮空気圧回路。
【請求項3】
前記第二接続管の屈曲部が1箇所であることを特徴とする請求項2に記載の圧縮空気圧回路。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気圧回路に関し、詳しくは、圧縮空気圧回路を構成するエアドライヤと油分除去装置とが、近接箇所に配設されて成る圧縮空気圧回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンプレッサによって生成される圧縮空気は、スプレー塗装や、電車の自動開閉装置等、様々な用途に使用されている。そして、かかる圧縮空気の用途によっては、コンプレッサから圧縮空気が吐出されるまでの空気圧回路の中間において、エアドライヤやサイクロンセパレータ、油分除去装置といった各種機器が配設される。
【0003】
しかしながら、従来の圧縮空気圧回路の構成によると、各種機器同士を接続する配管が各種機器の配設状況に伴って伸長されると、外気との接触部分が増加し、通過する圧縮空気の温度低下及び飽和水蒸気量が低下し、配管内でドレンが生じやすくなる、といった問題があった。また、生じたドレンが、圧縮空気内の油分除去用に使用される油分除去装置へ流入し、充填された除去素材の劣化を早めてしまう、といった問題もあった。
そのため、配管の伸長による圧縮空気の温度低下を防ぐと共に、油分除去装置へ水分を流入させることがない技術が求められていた。
【0004】
そこで、本出願人は、エアドライヤと油水分離装置を一体に構成し、コンプレッサにて生成された圧縮空気をエアドライヤで乾燥させることで発生したドレンを、油水分離装置を通過させることで清水化し排出する、といった技術を開発し、特許第3368429号公報(特許文献1)に記載の技術提案を行っている。また、サイクロンセパレータ及び油吸着装置を配設させることで、コンプレッサにて生成された圧縮空気中の水分及びオイルミストの分離・除去を行い、清浄な圧縮空気として後段へ送気する、といった技術を開発し、特許第6713596号公報(特許文献2)に記載の技術提案を行っている。
【0005】
しかしながら、特許文献1の提案によれば、エアドライヤから油水分離装置までのドレン配管を短くすることによるドレン処理の効率化には有用であるものの、油水分離装置の用途はエアドライヤから排出されるドレンに対して分離・除去を行うものであり、上記問題の解決には至っていない。
また、特許文献2の提案によれば、サイクロンセパレータによる水分や異物の分離・除去には有用ではあるものの、送気される圧縮空気自体が高温のままであり、油吸着装置内との気温差によって圧縮空気の温度が低下し、装置内にてドレンが発生してしまう場合があり、やはり上記問題の解決には至っていない。
【0006】
本出願人は、以上のような従来の圧縮空気圧回路において、配管の伸長に伴う温度変化によってドレンが生じる現象に着目し、サイクロンセパレータとエアドライヤと油分除去装置の配設方法によって配管距離を短くできないものかとの着想のもと、サイクロンセパレータと冷凍式エアドライヤと油分除去装置を夫々近接箇所に配設し各装置を接続する接続管を短くすることで、外気との接触による圧縮空気の温度低下及びドレン生成を防ぐと共に、後段機器へのドレン流入を防止し得る圧縮空気圧回路を開発し、本発明にかかる「圧縮空気圧回路」の提案に至るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3368429号公報
【特許文献2】特許第6713596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、外気の接触による圧縮空気の温度低下及びドレン生成を防ぐことで、油分除去装置内へのドレン流入を防止して性能を最大限に引き出すことが可能な圧縮空気圧回路を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、少なくともコンプレッサとサイクロンセパレータと冷凍式エアドライヤと油分除去装置とを備える圧縮空気圧回路において、該サイクロンセパレータと冷凍式エアドライヤとが圧縮空気を送気する第一接続管を介して近接に配設されると共に、該冷凍式エアドライヤと油分除去装置とが圧縮空気を送気する第二接続管を介して近接に配設されて成る手段を採る。
【0010】
また、本発明は、前記第二接続管の屈曲部が多くとも3箇所以下であり、該第二接続管は該屈曲部により最終的に略鉛直上方へ立ち上がった状態で油分除去装置に接続されて成る手段を採る。
【0011】
さらに、本発明は、前記第二接続管の屈曲部が1箇所である手段を採る。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる圧縮空気圧回路によれば、サイクロンセパレータと冷凍式エアドライヤが第一接続管を介して近接に配設されると共に、冷凍式エアドライヤと油分除去装置が第二接続管を介して近接に配設されていることにより、各接続管の長さを短くすることで接続管と外気が接触する面積も狭くなり、接続管内に送気される圧縮空気の温度低下を防ぐことが可能になると共に、冷凍式エアドライヤにドレンが進入してこないので、該冷凍式エアドライヤの性能は仕様通りの露点温度が維持され、且つ、オイルミストも圧縮空気の露点温度まで冷却されて油分除去装置に進入してくるので、該油分除去装置の性能が最大限に発揮され、オイルミストが効果的に吸着除去される、といった優れた効果を奏する。
【0013】
また、本発明にかかる圧縮空気圧回路によれば、第二接続管の屈曲部が多くとも3箇所以下であって、第二接続管が屈曲部により最終的に略鉛直上方へ立ち上がった状態で油分除去装置に接続されていることにより、油分除去装置内における圧縮空気の流路も略鉛直上方となるため、該油分除去装置内で分離・除去された油分が重力に従い下方へ垂下されることとなって、後段の圧縮空気使用機器への油分流出を防ぐことが可能となる。
【0014】
さらに、本発明にかかる圧縮空気圧回路によれば、第二接続管の屈曲部を1箇所とすることで、第二接続管内に流入した圧縮空気が、屈曲に伴って内壁と接触する回数が1回となり、内壁への接触に伴う圧縮空気の温度低下や、圧力減損を防ぎつつ油分除去装置へ流入させることが可能となる、といった優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明にかかる空気圧縮機の実施形態を示す説明図である。
図2】本発明にかかる空気圧縮機の実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明にかかる圧縮空気圧回路1は、サイクロンセパレータ7と冷凍式エアドライヤ3と油分除去装置4が近接に配設されていることを最大の特徴とする。
以下、本発明にかかる圧縮空気圧回路1の実施形態について、図面に基づき説明する。
【0017】
なお、本発明にかかる圧縮空気圧回路1は、以下に述べる実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、すなわち同一の作用効果を発揮できる形状や寸法、材質等の範囲内で適宜変更することができるものである。
【0018】
図1は、本発明にかかる圧縮空気圧回路1の実施形態を示す説明図であり、詳しくは、第二接続管10bの屈曲部Kを3箇所とした態様における説明図である。図2は、本発明にかかる圧縮空気圧回路1の他の実施形態を示す説明図であり、詳しくは、第二接続管10bの屈曲部Kを1箇所とした態様における説明図である。
本発明にかかる圧縮空気圧回路1は、少なくともコンプレッサ2とサイクロンセパレータ7と冷凍式エアドライヤ3と油分除去装置4(以下、各種装置という場合がある。)を備えて成り、コンプレッサ2によって生成された圧縮空気は、サイクロンセパレータ7にてドレンが分離された後に冷凍式エアドライヤ3へ送られ、該冷凍式エアドライヤ3によって乾燥された後に接続管10を介して油分除去装置4へ送気され、油分が除去された圧縮空気として後段の圧縮空気使用機器に供される。
【0019】
コンプレッサ2からサイクロンセパレータ7間並びに油分除去装置4から後段に配設される圧縮空気使用機器間に夫々配設される中空管から成るエア配管11と、該サイクロンセパレータ7から冷凍式エアドライヤ3間に配設される中空管から成る第一接続管10aと、冷凍式エアドライヤ3から油分除去装置4間に配設される中空管から成る第二接続管10bを介することにより、コンプレッサ2から圧縮空気使用機器まで送気される圧縮空気の流路が形成されることとなる。と、
各種装置間を接続するエア配管11及び各接続管10の径については特に限定はないが、夫々の径を同径とすることで圧縮空気の圧力損失を軽減することが可能となる。また、エア配管11の長さについては特に限定はしないが、該エア配管11の長さを短くし外気と接触する面積を狭くすることで、エア配管11内に送気される圧縮空気の温度低下を防ぐ効果を高めることも可能となる。
【0020】
コンプレッサ2は、空気を圧縮して所定気圧(例えば0.7Mpa)に昇圧された圧縮空気を生成する装置である。
コンプレッサ2には、圧縮空気を生成するための構造によって、往復式や回転式、遠心式など種々の方式が存在する。また、潤滑油使用の有無によって、給油式やオイルフリー式などの種類も存在する。本発明で使用するコンプレッサ2の方式については、特に限定はなく、いずれの方式・構造のものでも使用することが可能である。また、コンプレッサ2には、生成した圧縮空気をサイクロンセパレータ7へ送気するためのエア配管11aが接続されている。
コンプレッサ2によって圧縮される空気には、水蒸気や塵埃の他に、周辺に浮遊する油分等も含有されており、圧縮空気の生成時にオイルミスト状の油分となって送気されることとなる。給油式のコンプレッサ2であれば、そこで使用されている潤滑油のミストが、油分として生成された圧縮空気中に含まれる。
【0021】
サイクロンセパレータ7は、コンプレッサ2からエア配管11aを経由して送られてくる圧縮空気中のドレンを分離・除去する装置である。
サイクロンセパレータ7の構造について、特に限定はなく、従来公知のものを使用すれば足りるが、一般的には、螺旋状に設けた流路に沿って内壁の外周近傍を高速で円運動させることにより遠心力を生じさせ、空気より質量のあるドレンを内壁にぶつけて圧縮空気とドレンとを分離させ、サイクロンセパレータ7外に排出させる構造のものが使用される。
サイクロンセパレータ7にて分離・除去されたドレンは、図1に図示したように、該サイクロンセパレータ7の底部に備えられたドレン用配管12を介して外部へ排出されることとなる。
そして、サイクロンセパレータ7にてドレンが除去された圧縮空気は、第一接続管10aを介して冷凍式エアドライヤ3へ流入することとなる。
【0022】
サイクロンセパレータ7は、後段の冷凍式エアドライヤ3の近接箇所に配設する態様が好適である。近接とは、サイクロンセパレータ7を出た圧縮空気が、第一接続管10aを経て冷凍式エアドライヤ3に到達する間に、当該第一接続管10aにおいて温度低下によるドレン発生を生じさせない程度の近距離を意味し、その距離は短ければ短いほど好適であるが、例えば互いの距離を側方0.5m以上1m以内とする態様が考え得る。0.5mより近いと、第一接続管10aの配管・配設作業がかえって困難になる場合が想定されると共に、第一接続管10aの中間に不要な屈曲部Kを設ける必要が生じることも想定され、また、1mより離れていると、その分第一接続管10aも長くなるため、外気の影響を受け易くなってドレンも発生し易くなってしまうからである。
【0023】
冷凍式エアドライヤ3は、サイクロンセパレータ7から第一接続管10aを経由して送られてくる圧縮空気を乾燥させ、水分を取り除くための装置である。
エアドライヤには、水分の除去方式により、冷凍式や中空糸膜式、吸着式などが存在するが、本発明で使用するエアドライヤは、冷凍式エアドライヤ3である。冷凍式エアドライヤ3は、冷媒の蒸発潜熱を利用して、圧縮空気を冷却し、含有水分を凝縮して除去するための装置であって、比較的安価に導入することができるため、好適である。また、本発明では、前段でサイクロンセパレータ7を介在させることにより、冷凍式エアドライヤ3にはドレンが進入してこないため、該冷凍式エアドライヤ3の性能は仕様通りの露点温度が維持されることとなる。
水分が取り除かれ乾燥した圧縮空気は、後段に配設された油分除去装置4へ接続管10を介して送気され、油分が除去されることとなる。また、冷凍式エアドライヤ3は、圧縮空気中の含有水分を凝縮・除去する過程において、冷却による飽和水蒸気量の低下によりドレンが冷凍式エアドライヤ3内に発生するため、図1に図示したように、ドレンを排出すべくドレン用配管12が冷凍式エアドライヤの底部に備えられ、該ドレン用配管12に流入したドレンは、外部へ排出されることとなる。
【0024】
接続管10は、中空管から成る配管であって、サイクロンセパレータ7と冷凍式エアドライヤ3とを接続する第一接続管10a、及び、冷凍式エアドライヤ3と油分除去装置4とを接続する第二接続管10bとが存する。
接続管10の径については特に限定はないが、圧縮空気の流路を形成するエア配管11の径と同径とすることで圧縮空気の圧力損失を軽減することが可能となる。また、接続管10の長さについては、その長さを短くして外気と接触する面積を少なくすることで、接続管10内壁への温度変化を減少させ、接続管10内に送気される圧縮空気の温度低下を防ぐと共に、飽和水蒸気量の低下に伴うドレンの発生を防ぐことが可能となり、後段に接続される油分除去装置4内へ侵入するドレン(水分)量の減少に資することとなる。
【0025】
図1及び図2に図示したように、サイクロンセパレータ7と冷凍式エアドライヤ3との接続に用いられる第一接続管10aは、中間に屈曲の無い直管となる。すなわち、サイクロンセパレータ7における圧縮空気の流出口と冷凍式エアドライヤ3における圧縮空気の流入口とは、同レベル位置に存することとなる。これに対し、冷凍式エアドライヤ3と油分除去装置4との接続に用いられる第二接続管10bは、夫々の接続位置(流出口及び流入口の位置)の関係から、中間に屈曲部Kが設けられる場合がある。この場合、圧縮空気が第二接続管10bの屈曲部Kを経由する際に、進行方向の変化によって屈曲部K内壁に衝突し、かかる衝突により圧縮空気中の水分が屈曲部K内壁に付着して水滴化することで、ドレンの発生が想定される。したがって、可能な限り屈曲部分を少なくする態様が好適であって、好ましくは屈曲部Kを3箇所以下、さらに望ましくは屈曲部Kを1箇所のみとする態様が好適である。かかる態様を採用することで、圧縮空気の内壁への衝突を減らし、第二接続管10b内におけるドレンの発生を抑えることが可能となる。
【0026】
また、図1及び図2に図示したように、本発明では、油分除去装置4へ流入する直前の第二接続管10bが、最終屈曲部K’から略鉛直上方へ立ち上がった状態で油分除去装置4に接続される態様となっている。かかる態様を採ることにより、油分除去装置内へ流入した圧縮空気は、該油分除去装置4内を重力に逆らいつつ上方に備えられたエア配管11bに向けて送気されることとなり、油分除去装置4内で分離・除去された油分が凝結したとしても、重力に従い下方へ垂下するため、後段機器への油分流出を防ぐことが可能となる。
なお、図示してはいないが、冷凍式エアドライヤ3の上方位置に油分除去装置4を配設することで、接続管10に屈曲部Kがなく、冷凍式エアドライヤ3と油分除去装置4を直管で接続する態様も可能である。この態様を採る場合、接続管10の長さを極短小にする態様や、接続管10を介在させずに冷凍式エアドライヤ3の送気口と油分除去装置4の入気口とを直接接続する態様なども可能であり、温度低下やドレン発生の生じない流路形成が可能となる。
【0027】
ドレントラップ5は、ドレン用配管12に備えられ、サイクロンセパレータ7や冷凍式エアドライヤ3からドレン用配管12へ流入したドレンを外部へ機械的に排出するものであり、ドレン排出時において、圧縮空気が共に排出されることを防止することが可能となる。
ドレントラップ5は、従来公知のものを使用すれば足り、その排出方法により電磁式やフロート式などが存在するが、特に限定するものではない。
【0028】
ドレン用配管12とドレントラップ5間の所定中央箇所には、配管内の流量を調整可能なバルブ6が設けられる態様が望ましい。この態様を採ることにより、ドレン用配管12から排出されるドレンの流量調整が容易となる他、各種装置のメンテナンスや異常時に該当流路を遮断する、といった作用が可能となる。
【0029】
油分除去装置4は、冷凍式エアドライヤ3から第二接続管10bを経由して送られてくる乾燥した圧縮空気を、油分除去装置4内に備えた充填物と接触させることにより圧縮空気に含有される油分を分離・除去し、後段へ清浄な圧縮空気として送気させるものである。
油分除去装置4は、冷凍式エアドライヤ3の近接箇所に配設されており、接続管10から流入した圧縮空気の油分を分離・除去した後、エア配管11bへ流出させることで、圧縮空気は後段に接続される圧縮空気使用機器へ送気されることとなる。
油分除去装置4の形状や性能に特に限定はなく、空気の圧縮過程及び各種装置にて発生し得る油分に鑑み、後段にて接続される圧縮空気使用機器へ清浄な圧縮空気を送気可能な形状及び性能を有した従来公知のものを使用すれば足りる。
また、油分除去装置4内に備えられる充填物に関しても同様に限定はなく、例えば、立方体形状や直方体形状のポリエチレンやポリプロピレン、ポリエチレンテフタレート、アミン類を不織布に塗布または浸透させたものや、多孔体を有する鉱物であるゼオライト、活性炭等といった、従来公知のものを使用し、上記性能を発揮させることとなる。
尚、本発明では、前段で冷凍式エアドライヤ3を介在させることにより、オイルミストも圧縮空気の露点温度まで冷却されて油分除去装置4に進入してくることとなるため、該油分除去装置4の性能が最大限に発揮され、オイルミストを効果的に吸着除去することが可能となる
【0030】
冷凍式エアドライヤ3と油分除去装置4とは、互いに近接箇所に配設されることとなる。近接とは、冷凍式エアドライヤ3を出た圧縮空気が、第二接続管10bを経て油分除去装置4に到達する間に、当該第二接続管10bにおいて温度低下によるドレン発生を生じさせない程度の近距離を意味し、その距離は短ければ短いほど好適であるが、屈曲部Kの存在も考慮し、例えば互いの距離を側方及び上下方向1m以内とする態様が考え得る。1mより近い距離であれば、仮に冷凍式エアドライヤ3と油分除去装置4との側方距離あるいは上下距離が一部重なったマイナス距離の状態で配設された場合であっても、問題なく第二接続管10bによる接続が可能であり、逆に1mより離れていると、その分第二接続管10bも長くなるため、外気の影響を受け易くなってドレンも発生し易くなってしまうからである。
【0031】
以上の構成要素から成る圧縮空気圧回路1について、図1及び図2に基づきその主な動作および作用を説明する。
圧縮空気圧回路1は、コンプレッサ2と、サイクロンセパレータ7と、冷凍式エアドライヤ3と、油分除去装置4と、を備えて成り、該サイクロンセパレータ7と冷凍式エアドライヤ3と油分除去装置4が互いに近接箇所に配設された状態で構成されている。
まず、コンプレッサ2にて圧縮空気が生成され、エア配管11aを介してサイクロンセパレータ7へ流入する。サイクロンセパレータ7にてドレンが分離・除去された圧縮空気は、第一接続管10aを介して冷凍式エアドライヤ3へ流入する。エアドライヤ3にて冷却乾燥された圧縮空気は、第二接続管10bへ流入し、該第二接続管10b内の屈曲部Kの内壁へ接触しつつ最終屈曲部K’によって最終的に略鉛直上方へ立ち上がった第二接続管10bを経由し、油分除去装置4へ送流される。油分除去装置4へ流入した圧縮空気は、充填物と接触することにより油分が除去された清浄な圧縮空気となり、エア配管11bを介して後段の圧縮空気使用機器へ送気されることとなる。
【0032】
以上、本発明にかかる圧縮空気圧回路1の基本的構成態様、並びに、動作・作用について説明したが、本発明は、上記実施形態や図面に示す構成態様に限定するものではない。例えば、コンプレッサ2、サイクロンセパレータ7、冷凍式エアドライヤ3、油分除去装置4を一の筐体内に配設することで、装置間を接続するエア配管11を短縮させ、圧縮空気圧回路1全体の省スペース化が可能となる。また、エア配管11の長さが短くなることにより、接続管10と同様に、外気との接触に伴うエア配管11内壁の温度変化も軽減させると共に、圧縮空気の温度低下に伴うドレンの発生も抑えるため、水分付着による油分除去装置4の性能劣化を防ぐことも可能である、といった優れた効果を奏する。
さらに、本発明にかかる圧縮空気圧回路1では、少なくともサイクロンセパレータ7を備える構成態様を採用しているが、当該サイクロンセパレータ7と同じく圧縮空気中のドレンを分離・除去可能な装置であれば、サイクロンセパレータ7以外の他の装置に置換した構成態様であっても構わない。
【0033】
以上のように、本発明にかかる圧縮空気圧回路1は、サイクロンセパレータ7と冷凍式エアドライヤ3と油分除去装置4を近接的に配設することで、互いを接続する接続管10の長さを短くすることが可能となり、該接続管10を経由することで発生し得る圧縮空気の温度低下及び飽和水蒸気量の低下を防ぐと共に、油分除去装置4内における水分付着による油分除去素材の性能劣化を防止することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、食品加工や電子部品、車体塗装等、油分を含まない圧縮空気を必要とするあらゆる分野において、油分除去性能に優れた圧縮空気圧回路として採用することが可能である。したがって、本発明にかかる「圧縮空気圧回路」の産業上の利用可能性は大であると思料する。
【符号の説明】
【0035】
1 圧縮空気圧回路
2 コンプレッサ
3 冷凍式エアドライヤ
4 油分除去装置
5 ドレントラップ
6 バルブ
7 サイクロンセパレータ
10 接続管
10a 第一接続管
10b 第二接続管
11 エア配管
11a エア配管
11b エア配管
12 ドレン用配管
K 屈曲部
K’ 最終屈曲部

図1
図2