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特開2024-169895ディーゼルエンジン作業車の排気浄化再生表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169895
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】ディーゼルエンジン作業車の排気浄化再生表示装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/023 20060101AFI20241129BHJP
   B60K 35/00 20240101ALI20241129BHJP
【FI】
F01N3/023 A
B60K35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086739
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福山 尚尋
(72)【発明者】
【氏名】大久保 真司
(72)【発明者】
【氏名】足立 憲司
(72)【発明者】
【氏名】松本 秀昭
(72)【発明者】
【氏名】竹▲崎▼ 直人
(72)【発明者】
【氏名】金野 晃大
(72)【発明者】
【氏名】上田 晋
(72)【発明者】
【氏名】岡本 英章
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 礼
【テーマコード(参考)】
3D344
3G190
【Fターム(参考)】
3D344AA16
3D344AA19
3D344AA26
3D344AD01
3D344AD05
3G190AA06
3G190AA12
3G190BA49
3G190CB23
3G190DA04
3G190DB05
3G190DB12
3G190DB20
3G190EA01
3G190EA23
(57)【要約】
【課題】本発明は、機体の操縦操作に直接関係のない排気浄化装置の管理状態を必要時のみに表示させることで、操作パネルの操縦データ表示を複雑にしないことを課題とする。
【解決手段】ディーゼルエンジンを搭載した作業車において、エンジン回転計4からのエンジン回転データを回転表示器5に表示すると共に、該回転表示器5にディーゼルエンジン排気浄化装置2が自動再生処理を開始すると再生進行状態を表示することを特徴とするディーゼルエンジン作業車の排気浄化再生表示装置とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼルエンジンを搭載した作業車において、エンジン回転計(4)からのエンジン回転データを回転表示器(5)に表示すると共に、該回転表示器(5)にディーゼルエンジン排気浄化装置(2)が自動再生処理を開始すると再生進行状態を表示することを特徴とするディーゼルエンジン作業車の排気浄化再生表示装置。
【請求項2】
排気浄化装置(2)の煤堆積率を制御装置(1)に保存の再生データ(3)に基づいてアナログ変換して回転表示器(5)の指針で表示することを特徴とする請求項1に記載のディーゼルエンジン作業車の排気浄化再生表示装置。
【請求項3】
回転表示器(5)の表示がエンジン回転数か煤堆積率のどちらであるかを切換える表示切換スイッチ(7)を設けたことを特徴とする請求項1記載のディーゼルエンジン作業車の排気浄化再生表示装置。
【請求項4】
回転表示器(5)の表示は、排気浄化装置(2)の自動再生時はエンジン回転数で、手動再生時は回転表示器(5)の表示を煤堆積率(%)表示に切り換えることを特徴とする請求項1に記載のディーゼルエンジン作業車の排気浄化再生表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジンを搭載した作業車で排気浄化装置の再生処理状態を機体操縦者に知らせる排気浄化表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
農作業機や土木作業機、その他の作業車に使われるディーゼルエンジンは、酸化触媒コンバータ(以下、「DOC」という)とディーゼルパキュムレートフィルタ(以下、「DPF」という)で排気ガスを浄化する排気浄化装置を備えている。
【0003】
この排気浄化装置では、DOCでNO2を生成し、このNO2を酸化材としてDPFで捕集する排気ガス中の煤などの粒子状物質(以下、「PM」という)を焼却除去しているが、長時間使用しているとDPFにPMが残留するので、DPFの背圧を検出して、所定の限界背圧になると詰りが生じているとして、排気ガスを高温にしてPMを焼却する再生処理をする。
【0004】
そのために、DPFに堆積したPMの堆積量を表示するPM堆積表示装置を設けた作業車が、特許第4325664号公報に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4325664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記のPM堆積表示装置は、操縦者の見る操作パネルに走行速度計や走行距離計や燃料計と共に表示され、エンジンの管理データとして利用されるが、操作パネルの管理データ表示を複雑化する要因となっている。
【0007】
本発明は、機体の操縦操作に直接関係のない排気浄化装置の管理状態を必要時のみに表示させることで、操作パネルの操縦データ表示を複雑にしないことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
【0009】
請求項1の発明は、ディーゼルエンジンを搭載した作業車において、エンジン回転計4からのエンジン回転データを回転表示器5に表示すると共に、該回転表示器5にディーゼルエンジン排気浄化装置2が自動再生処理を開始すると再生進行状態を表示することを特徴とするディーゼルエンジン作業車の排気浄化再生表示装置とする。
【0010】
請求項2の発明は、排気浄化装置2の煤堆積率を制御装置1に保存の再生データ3に基づいてアナログ変換して回転表示器5の指針で表示することを特徴とする請求項1に記載のディーゼルエンジン作業車の排気浄化再生表示装置とする。
【0011】
請求項3の発明は、回転表示器5の表示がエンジン回転数か煤堆積率のどちらであるかを切換える表示切換スイッチ7を設けた請求項1に記載のディーゼルエンジン作業車の排気浄化再生表示装置とする。
【0012】
請求項4の発明は、回転表示器5の表示は、排気浄化装置2の自動再生時はエンジン回転数で、手動再生時は回転表示器5の表示を煤堆積率(%)表示に切り換えることを特徴とする請求項1に記載のディーゼルエンジン作業車の排気浄化再生表示装置とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明で、作業車の操作パネルに設ける回転表示器5にはエンジンの回転数が表示されるのを操縦者が見てエンジンの調子を確認しながら操縦するが、ディーゼルエンジン排気浄化装置2が再生処理を開始すると回転表示器5に再生進行状態を表示されることでエンジン出力低下の原因を知ることが出来る。このように回転表示器5にはエンジン回転数と共に排気浄化装置2の状態が表示され、操作パネルを複雑にしないで操縦者に操縦管理データを提供できる。
【0014】
請求項2の発明で、排気浄化装置2の煤堆積率が回転表示器5の指針で表示されることで、操縦作業者が一瞥で排気浄化装置2の再生処理状態を確認出来る。
【0015】
請求項3の発明で、排気浄化装置2の自動再生は作業車の走行中に行われるが、表示切換スイッチ7を押すことで回転表示器5の表示が排気浄化装置2の煤堆積率表示に切替って確認出来る。
【0016】
請求項4の発明で、排気浄化装置2が自動再生時には回転表示器5にエンジン回転数が表示されて操縦作業者は気にすることなく作業走行が行え、手動再生時は機体の走行を停止していてディーゼルエンジン排気浄化装置2の浄化進行状態を回転表示器5で確認出来る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態にかかるディーゼルエンジン排気浄化装置の制御ブロック図である。
図2】ディーゼルエンジン排気浄化装置の浄化進行データ表である。
図3】浄化進行フローチャート図である。
図4】操作パネルの回転表示器の正面図で、(A)通常作業時、(B)再生処理時である。
図5】(A)エンジンブロックの斜視図、(B)エンジンブロック一部の斜視図である。
図6】エンジンブロック内のカムシャフトの一部断面図である。
図7】(A)カムシャフトの斜視図、(B)カムシャフト部の断面図である。
図8】(A)タペット部の断面図、(B)タペットの斜視図である。
図9】ブローバイガス通路を示す一部拡大断面図である。
図10】循環用タービンの側断面図である。
図11】オイルバンの側断面図である。
図12】(A)エンジンブロック上斜視図、(B)風ガイドプレートの斜視図である。
図13】エンジンの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例を参照しながら説明する。
【0019】
図1は制御ブロック図で、制御部1には図2に示す排気浄化装置2の再生データ3と共に再生経過データが記憶され、排気浄化装置2からDOCやDPFの状態を示すセンサデータが入力し、制御部1からアナログ変換器6を介して回転計5に再生データ3の時間経過が出力される。
【0020】
また、ディーゼルエンジン排気浄化装置2の浄化作用が働かない間は、回転計5にはエンジン回転計4からエンジン回転数が回転計5に入力され、その回転数が回転表示器5の円形指針盤に表示される。
【0021】
図2は、DOCの排気温度の変化を表すグラフで、排気温度が低い状態が数時間続くと煤がDPFに堆積する状態のために燃料のポスト噴射を一定時間行って排気温度を上昇させて煤の燃焼を促進させる。ディーゼルエンジン排気浄化装置2の再生処理時には、制御部1に記憶した再生データ3のPM低減率の時間経過がアナログ変換器6を介して回転表示器5の円形指針盤に表示される。PM低減率は円形指針盤に(100~0)%表示で示されるが、表示切替スイッチ7を押すことで円形指針盤の表示が100%表示に切り替わって再生処理中であることが操縦作業者に知れるようにする。
【0022】
なお、PMの低減は、DOCの前に設けたバーナーに点火して燃焼したりもするが、DOCの前を開いて作業者が手作業で煤払いを行うようにすることもある。
【0023】
図3は、排気温度監視による自動制御のフローチャートで、排気温度が低い状態が所定時間継続すると、DOC燃焼用自動シーケンス運転を行うようにする。
【0024】
なお、DOCの閉塞は排気ガスのDPF通過圧損によっても検出されるので、圧損が大きくなると警報を出したり自動で再生を開始したり、走行を停止して手動で再生処理を開始する。
【0025】
図4は、操作パネル表示器11を示し、左側に回転表示器5、右側に温度等のエンジンデータ9、中央に走行速度や走行距離等の走行計8を設けている。(A)は通常作業時の状態で、回転表示器5にエンジンの回転数が表示され、(B)は再生処理時の状態で、回転表示器5の表示盤がPMの残留率表示に切り換わる。なお、再生処理時に走行計8に再生中と表示するようにしても良い。
【0026】
なお、運転中に排気温度を計測し、標高の高い高地などの使用において、連続的に排気温が高い状態が継続し、なおかつ、煤堆積量が100%に対して十分に低いと判断される場合には、運転時間による再生間隔を長くして、再生間隔を伸ばすと良い。
【0027】
また、再生中にDPF入口温を監視し、標高の高い高地での使用や、エアエレメントの詰まりなどが発生して、DPF入口温がある一定以上の高い温度となっている場合、DPF入口温を見ながら吸気スロットルバルブを開ける方向に調節を行うと、DPF入口温度を適温に保つことが出来、過昇温などでDPFを壊してしまうリスクを下げることが出来る。
【0028】
以下は、エンジンの内部構造の改良提案である。
【0029】
図5は、エンジンの分解斜視図を示し、エンジンブロック10のカムシャフト軸受け部11’にオイル溝12を設けることで、カムシャフトジャーナル部を潤滑するエンジンオイルが、溜まることなくオイル溝12から流れ出ることで、ジャーナル部の油膜を形成し軸受け部の焼付きを防止する。
【0030】
図6は、同じく、エンジンの分解斜視図を示し、オイル室からのオイル孔15近くのカムシャフト13の端部に面取り部14を形成し、カムシャフトジャーナル部を潤滑するエンジンオイルが、溜まることなくカムシャフト面取り部14から流れ出ることで、ジャーナル部の油膜形成し軸受け部の焼付きを防止する。
【0031】
図7は、カムシャフト20を示し、軸部に突起21を設けることで、タペット22から下方へ流れたエンジンオイルがカムシャフト20の突起21にあたってオイルを飛沫させることで、タペット22とカムシャフト20の接触部に油膜を形成する。
【0032】
図8は、タペット22の断面図を示し、タペット22の周囲に軸方向のオイル溝23を設けることで、そのオイル溝23からオイル口42にオイルが下方へ流れることでオイルパンへ早く戻ることができ、ヘッドカバー内にオイルが溜まり、溜まる量が多くなるとブローバイガスと一緒に吸気へオイルが侵入し、エンジン過回転不具合へ至る問題を解決する。
【0033】
図9は、エンジンブロック10の一部拡大断面図で、ブローバイガス通路24に突出する突起部28を設けることで、ブローバイガスが当たってガス中のエンジンオイルをろ過し、ブローバイガス中のオイル分を少なくする効果がある。
【0034】
図10は、サーモスタット26を組み込んだ冷却水の循環用タービン25内に水温センサ27を組み込んだ構成で、冷却水の流れによって、水温センサ27に絡まるゴミ等を取り除くことができ、暖機時間を短縮することができる。
【0035】
図11は、オイルバン30の中央にタービン31を設けた構成で、タービン31を回転させ、オイルの掻き混ぜによる摩擦熱によってオイルを暖めることで、エンジン全体に効率よく暖機させることができる。
【0036】
図12は、エンジンブロック10上部のインジェクタ32付近を示し、風ガイドプレート33を取り付けて、冷却風が逃げるのを防ぎ、インジェクタ32周辺への風の流れを確保し、インジェクタ32温度が高くなるのを防ぐ。また、風ガイドプレート33はハーネスの固定にも利用される。
【0037】
図13は、エアーブリーザ35を第一気筒36と第二気筒37の間上部でヘッドカバー38に配置した構成で、円筒形のエアーブリーザ35のオイル排出口をロッカーシャフトの上、もしくは吸気マニホールドよりに配置し、オイル分離後のブローバイガスの出口をエンジン前方向に開口させたて、ヘッドカバー38外側への張り出しを極力小さく出来る。また、オイル分離後のブローバイガスの出口開口部をターボチャージャの吸気開口部と同じ方向に向けると、配管、電気配線をコンパクトに配置できる。
【符号の説明】
【0038】
1 制御装置
2 ディーゼルエンジン排気浄化装置
3 再生データ
4 エンジン回転計
5 回転表示器
7 表示切換スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13