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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169901
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】充電器、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20241129BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20241129BHJP
   H02M 3/28 20060101ALI20241129BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
H02M7/12 601A
H02M3/155 C
H02M3/28 H
H02J7/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086756
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100207859
【弁理士】
【氏名又は名称】塩谷 尚人
(72)【発明者】
【氏名】越智 健次
(72)【発明者】
【氏名】畠中 健太
(72)【発明者】
【氏名】田中 翔大
【テーマコード(参考)】
5G503
5H006
5H730
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503GB04
5G503GD03
5G503GD06
5H006AA02
5H006AA07
5H006CA02
5H006CB01
5H006CB08
5H006CB09
5H006CC08
5H006DA04
5H006DB01
5H006DC02
5H006DC05
5H006FA01
5H730AA18
5H730AA20
5H730AS01
5H730AS05
5H730AS17
5H730BB13
5H730BB27
5H730BB37
5H730BB57
5H730BB82
5H730BB88
5H730CC01
5H730CC02
5H730DD04
5H730DD16
5H730EE04
5H730EE07
5H730EE13
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD31
5H730FF09
5H730FG05
5H730XX02
5H730XX12
5H730XX22
5H730XX32
(57)【要約】
【課題】平滑コンデンサの耐電圧を低減できる充電器及びプログラムを提供する。
【解決手段】3相交流電源又は単相交流電源に対応可能な充電器10は、各交流端子Tac1~Tac3と、各直流端子TdcH,TdcLと、入力された交流電圧を直流電圧に変換して出力する力率改善回路20と、力率改善回路20から入力された直流電圧を降圧して出力する降圧チョッパ回路40と、DCDCコンバータ50と、平滑コンデンサ55と、を備える。平滑コンデンサ55は、DCDCコンバータ50の入力側に接続されている。DCDCコンバータ50は、降圧チョッパ回路40の出力側と各直流端子TdcH,TdcLとを接続し、降圧チョッパ回路40から入力された直流電圧を変圧して各直流端子TdcH,TdcLに出力する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数相の交流端子(Tac1~Tac3)と、
直流端子(TdcH,TdcL)と、
を備え、
複数相交流電源(200)又は単相交流電源(210)が前記交流端子に電気的に接続可能に構成された充電器(10)において、
前記交流端子に接続され、前記交流端子から入力された交流電圧を直流電圧に変換して出力するACDCコンバータ(20)と、
前記ACDCコンバータの出力側に接続され、前記ACDCコンバータから入力された直流電圧を降圧して出力する降圧チョッパ回路(40)と、
DCDCコンバータ(50)と、
平滑コンデンサ(55)と、
を備え、
前記平滑コンデンサは、前記DCDCコンバータの入力側に接続されており、
前記DCDCコンバータは、前記降圧チョッパ回路の出力側と前記直流端子とを接続し、前記降圧チョッパ回路から入力された直流電圧を変圧して前記直流端子に出力する、充電器。
【請求項2】
前記ACDCコンバータは、直流電圧を出力する高電位側入力経路(25H)及び低電位側入力経路(25L)を有し、
前記降圧チョッパ回路は、
上アーム変圧スイッチ(41H)及び下アーム変圧スイッチ(41L)の直列接続体と、
インダクタ(42)と、
コンデンサ(43)と、
を有し、
前記DCDCコンバータは、高電位側経路(54H)及び低電位側経路(54L)を有し、
前記高電位側経路と前記低電位側経路とが前記平滑コンデンサによって接続されており、
前記上アーム変圧スイッチの高電位側端子は、前記高電位側入力経路に接続されており、
前記下アーム変圧スイッチの低電位側端子は、前記低電位側入力経路に接続されており、
前記インダクタ及び前記コンデンサの直列接続体は、前記下アーム変圧スイッチに並列接続されており、
前記下アーム変圧スイッチの低電位側端子は、前記低電位側経路に接続されており、
前記高電位側経路を、前記上アーム変圧スイッチの高電位側端子、又は前記インダクタ及び前記コンデンサの接続点に選択的に接続する切替スイッチ(45)を備える、請求項1に記載の充電器。
【請求項3】
制御装置(100)を備え、
前記制御装置は、
前記交流端子に前記複数相交流電源が電気的に接続されていると判定した場合、前記インダクタ及び前記コンデンサの接続点に前記高電位側経路が接続されるように前記切替スイッチを制御し、
前記交流端子に前記単相交流電源が電気的に接続されていると判定した場合、前記上アーム変圧スイッチの高電位側端子が前記高電位側経路に接続されるように前記切替スイッチを制御する、請求項2に記載の充電器。
【請求項4】
前記ACDCコンバータは、直流電圧を出力する高電位側入力経路(25H)及び低電位側入力経路(25L)を有し、
前記降圧チョッパ回路は、
上アーム変圧スイッチ(41H)及び下アーム変圧スイッチ(41L)の直列接続体と、
インダクタ(42)と、
コンデンサ(44)と、
を有し、
前記DCDCコンバータは、高電位側経路(54H)及び低電位側経路(54L)を有し、
前記高電位側経路と前記低電位側経路とが前記平滑コンデンサによって接続されており、
前記上アーム変圧スイッチの高電位側端子は、前記高電位側入力経路に接続されており、
前記下アーム変圧スイッチの低電位側端子は、前記低電位側入力経路に接続されており、
前記インダクタ及び前記コンデンサの直列接続体は、前記上アーム変圧スイッチに並列接続されており、
前記上アーム変圧スイッチの高電位側端子は、前記高電位側経路に接続されており、
前記低電位側経路を、前記下アーム変圧スイッチの低電位側端子、又は前記インダクタ及び前記コンデンサの接続点に選択的に接続する切替スイッチ(46)を備える、請求項1に記載の充電器。
【請求項5】
制御装置(100)を備え、
前記制御装置は、
前記交流端子に前記複数相交流電源が電気的に接続されていると判定した場合、前記インダクタ及び前記コンデンサの接続点に前記低電位側経路が接続されるように前記切替スイッチを制御し、
前記交流端子に前記単相交流電源が電気的に接続されていると判定した場合、前記下アーム変圧スイッチの低電位側端子に前記低電位側経路が接続されるように前記切替スイッチを制御する、請求項4に記載の充電器。
【請求項6】
前記制御装置は、前記交流端子に前記単相交流電源が電気的に接続されているとともに、前記交流端子と前記直流端子との間で電力が伝達されると判定した場合、前記平滑コンデンサの端子電圧の脈動を低減すべく、前記上,下アーム変圧スイッチのスイッチング制御を行い、
前記交流端子に前記複数相交流電源が電気的に接続されているとともに、前記交流端子と前記直流端子との間で電力が伝達されると判定した場合、前記降圧チョッパ回路に入力された直流電圧を降圧して前記DCDCコンバータに出力すべく、前記上,下アーム変圧スイッチのスイッチング制御を行う、請求項3又は5に記載の充電器。
【請求項7】
前記ACDCコンバータは、直流電圧を出力する高電位側入力経路(25H)及び低電位側入力経路(25L)を有し、
前記降圧チョッパ回路は、
第1上アーム変圧スイッチ(241H)及び第1下アーム変圧スイッチ(241L)の直列接続体と、
第2上アーム変圧スイッチ(242H)及び第2下アーム変圧スイッチ(242L)の直列接続体と、
第1インダクタ(243)及び第2インダクタ(244)と、
コンデンサ(246)と、
を有し、
前記DCDCコンバータは、高電位側経路(54H)及び低電位側経路(54L)を有し、
前記高電位側経路と前記低電位側経路とが前記平滑コンデンサによって接続されており、
前記第1,第2上アーム変圧スイッチの高電位側端子は、前記高電位側入力経路に接続されており、
前記第1,第2下アーム変圧スイッチの低電位側端子は、前記低電位側入力経路に接続されており、
第1切替スイッチ(245A)と、
第2切替スイッチ(245B)と、
を備え、
前記第1インダクタ及び前記第1切替スイッチの直列接続体の第1端には、前記第1上アーム変圧スイッチ及び前記第1下アーム変圧スイッチの接続点が接続されており、
前記第1インダクタ及び前記第1切替スイッチの直列接続体の第2端には、前記コンデンサの第1端が接続されており、
前記コンデンサの第2端には、前記第1,第2下アーム変圧スイッチの低電位側端子及び前記低電位側経路が接続されており、
前記第2上アーム変圧スイッチ及び前記第2下アーム変圧スイッチの接続点には、第2インダクタを介して前記コンデンサの第1端が接続されており、
前記第2切替スイッチは、前記高電位側経路を、前記第1,第2上アーム変圧スイッチの高電位側端子、又は前記コンデンサの第1端に選択的に接続する、請求項1に記載の充電器。
【請求項8】
制御装置(100)を備え、
前記制御装置は、
前記交流端子に前記複数相交流電源が電気的に接続されていると判定した場合、前記第1切替スイッチをオンするとともに、前記コンデンサの第1端に前記高電位側経路が接続されるように前記第2切替スイッチを制御し、
前記交流端子に前記単相交流電源が電気的に接続されていると判定した場合、前記第1切替スイッチをオフするととともに、前記第1,第2上アーム変圧スイッチの高電位側端子に前記高電位側経路が接続されるように前記第2切替スイッチを制御する、請求項7に記載の充電器。
【請求項9】
前記ACDCコンバータは、直流電圧を出力する高電位側入力経路(25H)及び低電位側入力経路(25L)を有し、
前記降圧チョッパ回路は、
第1上アーム変圧スイッチ(241H)及び第1下アーム変圧スイッチ(241L)の直列接続体と、
第2上アーム変圧スイッチ(242H)及び第2下アーム変圧スイッチ(242L)の直列接続体と、
第1インダクタ(243)及び第2インダクタ(244)と、
コンデンサ(247)と、
を有し、
前記DCDCコンバータは、高電位側経路(54H)及び低電位側経路(54L)を有し、
前記高電位側経路と前記低電位側経路とが前記平滑コンデンサによって接続されており、
前記第1,第2上アーム変圧スイッチの高電位側端子は、前記高電位側入力経路に接続されており、
前記第1,第2下アーム変圧スイッチの低電位側端子は、前記低電位側入力経路に接続されており、
第1切替スイッチ(245A)と、
第2切替スイッチ(245C)と、
を備え、
前記第1インダクタ及び前記第1切替スイッチの直列接続体の第1端には、前記第1上アーム変圧スイッチ及び前記第1下アーム変圧スイッチの接続点が接続されており、
前記第1インダクタ及び前記第1切替スイッチの直列接続体の第2端には、前記コンデンサの第1端が接続されており、
前記コンデンサの第2端には、前記第1,第2上アーム変圧スイッチの高電位側端子及び前記高電位側経路が接続されており、
前記第2上アーム変圧スイッチ及び前記第2下アーム変圧スイッチの接続点には、第2インダクタを介して前記コンデンサの第1端が接続されており、
前記第2切替スイッチは、前記低電位側経路を、前記第1,第2下アーム変圧スイッチの低電位側端子、又は前記コンデンサの第1端に選択的に接続する、請求項1に記載の充電器。
【請求項10】
制御装置(100)を備え、
前記制御装置は、
前記交流端子に前記複数相交流電源が電気的に接続されていると判定した場合、前記第1切替スイッチをオンするとともに、前記コンデンサの第1端に前記低電位側経路が接続されるように前記第2切替スイッチを制御し、
前記交流端子に前記単相交流電源が電気的に接続されていると判定した場合、前記第1切替スイッチをオフするととともに、前記第1,第2下アーム変圧スイッチの低電位側端子に前記低電位側経路が接続されるように前記第2切替スイッチを制御する、請求項9に記載の充電器。
【請求項11】
前記制御装置は、前記交流端子に前記単相交流電源が電気的に接続されているとともに、前記交流端子と前記直流端子との間で電力が伝達されると判定した場合、前記平滑コンデンサの端子電圧の脈動を低減すべく、前記第2上,下アーム変圧スイッチのスイッチング制御を行い、
前記交流端子に前記複数相交流電源が電気的に接続されているとともに、前記交流端子と前記直流端子との間で電力が伝達されると判定した場合、前記降圧チョッパ回路に入力された直流電圧を降圧して前記DCDCコンバータに出力すべく、前記第1上,下アーム変圧スイッチ及び前記第2上,下アーム変圧スイッチのスイッチング制御を行う、請求項8又は10に記載の充電器。
【請求項12】
充電器(10)に適用されるコンピュータ(100a)により実行されるプログラムにおいて、
前記充電器は、
複数相の交流端子(Tac1~Tac3)と、
直流端子(TdcH,TdcL)と、
を備え、
複数相交流電源(200)又は単相交流電源(210)が前記交流端子に電気的に接続可能に前記充電器が構成されており、
前記充電器は、
前記交流端子に接続され、前記交流端子から入力された交流電圧を直流電圧に変換して出力するACDCコンバータ(20)と、
前記ACDCコンバータの出力側に接続され、前記ACDCコンバータから入力された直流電圧を降圧して出力する降圧チョッパ回路(40)と、
前記降圧チョッパ回路の出力側と前記直流端子とを接続し、前記降圧チョッパ回路から入力された直流電圧を変圧して前記直流端子に出力するDCDCコンバータ(50)と、
平滑コンデンサ(55)と、
切替スイッチ(45)と、
を備え、
前記ACDCコンバータは、直流電圧を出力する高電位側入力経路(25H)及び低電位側入力経路(25L)を有し、
前記降圧チョッパ回路は、
上アーム変圧スイッチ(41H)及び下アーム変圧スイッチ(41L)の直列接続体と、
インダクタ(42)と、
コンデンサ(43)と、
を有し、
前記DCDCコンバータは、高電位側経路(54H)及び低電位側経路(54L)を有し、
前記高電位側経路と前記低電位側経路とが前記平滑コンデンサによって接続されており、
前記上アーム変圧スイッチの高電位側端子は、前記高電位側入力経路に接続されており、
前記下アーム変圧スイッチの低電位側端子は、前記低電位側入力経路に接続されており、
前記インダクタ及び前記コンデンサの直列接続体は、前記下アーム変圧スイッチに並列接続されており、
前記下アーム変圧スイッチの低電位側端子は、前記低電位側経路に接続されており、
前記切替スイッチは、前記高電位側経路を、前記上アーム変圧スイッチの高電位側端子、又は前記インダクタ及び前記コンデンサの接続点に選択的に接続し、
前記コンピュータに
前記交流端子に前記複数相交流電源が電気的に接続されていると判定した場合、前記インダクタ及び前記コンデンサの接続点に前記高電位側経路が接続されるように前記切替スイッチを制御する処理と、
前記交流端子に前記単相交流電源が電気的に接続されていると判定した場合、前記上アーム変圧スイッチの高電位側端子が前記高電位側経路に接続されるように前記切替スイッチを制御する処理と、を実行させる、プログラム。
【請求項13】
充電器(10)に適用されるコンピュータ(100a)により実行されるプログラムにおいて、
前記充電器は、
複数相の交流端子(Tac1~Tac3)と、
直流端子(TdcH,TdcL)と、
を備え、
複数相交流電源(200)又は単相交流電源(210)が前記交流端子に電気的に接続可能に前記充電器が構成されており、
前記充電器は、
前記交流端子に接続され、前記交流端子から入力された交流電圧を直流電圧に変換して出力するACDCコンバータ(20)と、
前記ACDCコンバータの出力側に接続され、前記ACDCコンバータから入力された直流電圧を降圧して出力する降圧チョッパ回路(40)と、
前記降圧チョッパ回路の出力側と前記直流端子とを接続し、前記降圧チョッパ回路から入力された直流電圧を変圧して前記直流端子に出力するDCDCコンバータ(50)と、
平滑コンデンサ(55)と、
切替スイッチ(46)と、
を備え、
前記ACDCコンバータは、直流電圧を出力する高電位側入力経路(25H)及び低電位側入力経路(25L)を有し、
前記降圧チョッパ回路は、
上アーム変圧スイッチ(41H)及び下アーム変圧スイッチ(41L)の直列接続体と、
インダクタ(42)と、
コンデンサ(44)と、
を有し、
前記DCDCコンバータは、高電位側経路(54H)及び低電位側経路(54L)を有し、
前記高電位側経路と前記低電位側経路とが前記平滑コンデンサによって接続されており、
前記上アーム変圧スイッチの高電位側端子は、前記高電位側入力経路に接続されており、
前記下アーム変圧スイッチの低電位側端子は、前記低電位側入力経路に接続されており、
前記インダクタ及び前記コンデンサの直列接続体は、前記上アーム変圧スイッチに並列接続されており、
前記上アーム変圧スイッチの高電位側端子は、前記高電位側経路に接続されており、
前記切替スイッチは、前記低電位側経路を、前記下アーム変圧スイッチの低電位側端子、又は前記インダクタ及び前記コンデンサの接続点に選択的に接続し、
前記コンピュータに、
前記交流端子に前記複数相交流電源が電気的に接続されていると判定した場合、前記インダクタ及び前記コンデンサの接続点に前記低電位側経路が接続されるように前記切替スイッチを制御する処理と、
前記交流端子に前記単相交流電源が電気的に接続されていると判定した場合、前記下アーム変圧スイッチの低電位側端子に前記低電位側経路が接続されるように前記切替スイッチを制御する処理と、を実行させる、プログラム。
【請求項14】
充電器(10)に適用されるコンピュータ(100a)により実行されるプログラムにおいて、
前記充電器は、
複数相の交流端子(Tac1~Tac3)と、
直流端子(TdcH,TdcL)と、
を備え、
複数相交流電源(200)又は単相交流電源(210)が前記交流端子に電気的に接続可能に前記充電器が構成されており、
前記充電器は、
前記交流端子に接続され、前記交流端子から入力された交流電圧を直流電圧に変換して出力するACDCコンバータ(20)と、
前記ACDCコンバータの出力側に接続され、前記ACDCコンバータから入力された直流電圧を降圧して出力する降圧チョッパ回路(40)と、
前記降圧チョッパ回路の出力側と前記直流端子とを接続し、前記降圧チョッパ回路から入力された直流電圧を変圧して前記直流端子に出力するDCDCコンバータ(50)と、
平滑コンデンサ(55)と、
第1切替スイッチ(245A)と、
第2切替スイッチ(245B)と、
を備え、
前記ACDCコンバータは、直流電圧を出力する高電位側入力経路(25H)及び低電位側入力経路(25L)を有し、
前記降圧チョッパ回路は、
第1上アーム変圧スイッチ(241H)及び第1下アーム変圧スイッチ(241L)の直列接続体と、
第2上アーム変圧スイッチ(242H)及び第2下アーム変圧スイッチ(242L)の直列接続体と、
第1インダクタ(243)及び第2インダクタ(244)と、
コンデンサ(246)と、
を有し、
前記DCDCコンバータは、高電位側経路(54H)及び低電位側経路(54L)を有し、
前記高電位側経路と前記低電位側経路とが前記平滑コンデンサによって接続されており、
前記第1,第2上アーム変圧スイッチの高電位側端子は、前記高電位側入力経路に接続されており、
前記第1,第2下アーム変圧スイッチの低電位側端子は、前記低電位側入力経路に接続されており、
前記第1インダクタ及び前記第1切替スイッチの直列接続体の第1端には、前記第1上アーム変圧スイッチ及び前記第1下アーム変圧スイッチの接続点が接続されており、
前記第1インダクタ及び前記第1切替スイッチの直列接続体の第2端には、前記コンデンサの第1端が接続されており、
前記コンデンサの第2端には、前記第1,第2下アーム変圧スイッチの低電位側端子及び前記低電位側経路が接続されており、
前記第2上アーム変圧スイッチ及び前記第2下アーム変圧スイッチの接続点には、第2インダクタを介して前記コンデンサの第1端が接続されており、
前記第2切替スイッチは、前記高電位側経路を、前記第1,第2上アーム変圧スイッチの高電位側端子、又は前記コンデンサの第1端に選択的に接続し、
前記コンピュータに、
前記交流端子に前記複数相交流電源が電気的に接続されていると判定した場合、前記第1切替スイッチをオンするとともに、前記コンデンサの第1端に前記高電位側経路が接続されるように前記第2切替スイッチを制御する処理と、
前記交流端子に前記単相交流電源が電気的に接続されていると判定した場合、前記第1切替スイッチをオフするととともに、前記第1,第2上アーム変圧スイッチの高電位側端子に前記高電位側経路が接続されるように前記第2切替スイッチを制御する処理と、を実行させる、プログラム。
【請求項15】
充電器(10)に適用されるコンピュータ(100a)により実行されるプログラムにおいて、
前記充電器は、
複数相の交流端子(Tac1~Tac3)と、
直流端子(TdcH,TdcL)と、
を備え、
複数相交流電源(200)又は単相交流電源(210)が前記交流端子に電気的に接続可能に前記充電器が構成されており、
前記充電器は、
前記交流端子に接続され、前記交流端子から入力された交流電圧を直流電圧に変換して出力するACDCコンバータ(20)と、
前記ACDCコンバータの出力側に接続され、前記ACDCコンバータから入力された直流電圧を降圧して出力する降圧チョッパ回路(40)と、
前記降圧チョッパ回路の出力側と前記直流端子とを接続し、前記降圧チョッパ回路から入力された直流電圧を変圧して前記直流端子に出力するDCDCコンバータ(50)と、
平滑コンデンサ(55)と、
第1切替スイッチ(245A)と、
第2切替スイッチ(245C)と、
を備え、
前記ACDCコンバータは、直流電圧を出力する高電位側入力経路(25H)及び低電位側入力経路(25L)を有し、
前記降圧チョッパ回路は、
第1上アーム変圧スイッチ(241H)及び第1下アーム変圧スイッチ(241L)の直列接続体と、
第2上アーム変圧スイッチ(242H)及び第2下アーム変圧スイッチ(242L)の直列接続体と、
第1インダクタ(243)及び第2インダクタ(244)と、
コンデンサ(247)と、
を有し、
前記DCDCコンバータは、高電位側経路(54H)及び低電位側経路(54L)を有し、
前記高電位側経路と前記低電位側経路とが前記平滑コンデンサによって接続されており、
前記第1,第2上アーム変圧スイッチの高電位側端子は、前記高電位側入力経路に接続されており、
前記第1,第2下アーム変圧スイッチの低電位側端子は、前記低電位側入力経路に接続されており、
前記第1インダクタ及び前記第1切替スイッチの直列接続体の第1端には、前記第1上アーム変圧スイッチ及び前記第1下アーム変圧スイッチの接続点が接続されており、
前記第1インダクタ及び前記第1切替スイッチの直列接続体の第2端には、前記コンデンサの第1端が接続されており、
前記コンデンサの第2端には、前記第1,第2上アーム変圧スイッチの高電位側端子及び前記高電位側経路が接続されており、
前記第2上アーム変圧スイッチ及び前記第2下アーム変圧スイッチの接続点には、第2インダクタを介して前記コンデンサの第1端が接続されており、
前記第2切替スイッチは、前記低電位側経路を、前記第1,第2下アーム変圧スイッチの低電位側端子、又は前記コンデンサの第1端に選択的に接続し、
前記コンピュータに、
前記交流端子に前記複数相交流電源が電気的に接続されていると判定した場合、前記第1切替スイッチをオンするとともに、前記コンデンサの第1端に前記低電位側経路が接続されるように前記第2切替スイッチを制御する処理と、
前記交流端子に前記単相交流電源が電気的に接続されていると判定した場合、前記第1切替スイッチをオフするととともに、前記第1,第2下アーム変圧スイッチの低電位側端子に前記低電位側経路が接続されるように前記第2切替スイッチを制御する処理と、を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、充電器及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3相交流電源及び単相交流電源の双方に対応した充電器が知られている。なお、このような充電器の例として、特許文献1に開示された電力変換装置が挙げられる。
【0003】
充電器は、ACDCコンバータを備えている。ACDCコンバータは、各相に対応して設けられた上,下アームスイッチを備えている。各相の上アームスイッチの高電位側端子は、高電位側直流端子に接続され、各相の下アームスイッチの低電位側端子は、低電位側直流端子に接続されている。高電位側経路及び低電位側経路は平滑コンデンサによって接続されている。
【0004】
充電器は、各相に対応して設けられたインダクタと、各相のうちいずれか1相に対応して設けられた補償用コンデンサ及び切替スイッチとを備えている。切替スイッチの操作により、補償用コンデンサは、1相分のインダクタ及び下アームスイッチの直列接続体に並列接続されたり、この直列接続体から切り離されたりする。
【0005】
入力側となる交流端子に単相交流電源が電気的に接続される単相充電制御時において、インダクタ及び下アームスイッチの直列接続体に補償用コンデンサが並列接続されるように切替スイッチが操作される。この操作状態において、補償用コンデンサが接続された相の上,下アームスイッチのスイッチング制御が行われる。これにより、交流端子から入力された交流電力を直流電力に変換して直流端子から出力する場合において、平滑コンデンサの端子電圧の脈動を低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第8503208明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
交流端子に3相交流電源が電気的に接続される3相充電制御時においては、単相充電制御時よりもACDCコンバータの出力電圧が高くなる。このため、単相充電制御時における平滑コンデンサの端子電圧の脈動を低減できるものの、平滑コンデンサの耐電圧は、3相充電制御時におけるACDCコンバータの出力電圧を考慮して設定されることとなる。その結果、平滑コンデンサの耐電圧を低減することができず、平滑コンデンサの体格が増加してしまうといった問題が生じ得る。
【0008】
本開示は、平滑コンデンサの耐電圧を低減できる充電器及びプログラムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、複数相の交流端子と、
直流端子と、
を備え、
複数相交流電源又は単相交流電源が前記交流端子に電気的に接続可能に構成された充電器において、
前記交流端子に接続され、前記交流端子から入力された交流電圧を直流電圧に変換して出力するACDCコンバータと、
前記ACDCコンバータの出力側に接続され、前記ACDCコンバータから入力された直流電圧を降圧して出力する降圧チョッパ回路と、
DCDCコンバータと、
平滑コンデンサと、
を備える。
【0010】
本開示において、前記平滑コンデンサは、前記DCDCコンバータの入力側に接続されており、
前記DCDCコンバータは、前記降圧チョッパ回路の出力側と前記直流端子とを接続し、前記降圧チョッパ回路から入力された直流電圧を変圧して前記直流端子に出力する。
【0011】
これにより、DCDCコンバータの入力側に接続された平滑コンデンサの印加電圧を低下させることができる。その結果、平滑コンデンサの耐電圧を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る車載充電器の全体構成図。
図2】3相充電時における車載充電器を示す図。
図3】単相充電時における車載充電器を示す図。
図4】蓄電池の充電制御の手順を示すフローチャート。
図5】単相充電制御時における脈動補償制御処理のブロック図。
図6】単相充電制御時における電流,電圧等の推移を示すタイムチャート。
図7】第2実施形態に係る車載充電器の全体構成図。
図8】蓄電池の充電制御の手順を示すフローチャート。
図9】第3実施形態に係る3相充電時における車載充電器を示す図。
図10】単相充電時における車載充電器を示す図。
図11】蓄電池の充電制御の手順を示すフローチャート。
図12】第4実施形態に係る3相充電時における車載充電器を示す図。
図13】単相充電時における車載充電器を示す図。
図14】蓄電池の充電制御の手順を示すフローチャート。
図15】第5実施形態に係る3相充電時における車載充電器を示す図。
図16】単相充電時における車載充電器を示す図。
図17】蓄電池の充電制御の手順を示すフローチャート。
図18】第6実施形態に係る3相充電時における車載充電器を示す図。
図19】単相充電時における車載充電器を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的に及び/又は構造的に対応する部分及び/又は関連付けられる部分には同一の参照符号、又は百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分及び/又は関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
【0014】
<第1実施形態>
以下、本発明に係る充電器を具体化した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係る充電器は、電気自動車などの車両に備えられている。車載充電器は、オンボードチャージャとも呼ばれる。
【0015】
充電器は、交流端子及び直流端子を備えている。充電器は、車両外部の交流電源に接続された交流端子を介して入力された交流電力を直流電力に変換して直流端子から出力する機能を備えている。直流端子から出力された直流電力は、車両に備えられた蓄電池に供給される。
【0016】
図1に示すように、充電器10は、交流端子として第1交流端子Tac1、第2交流端子Tac2及び第3交流端子Tac3を備えている。第1~第3交流端子Tac1~Tac3は、図2に示すように、車両外部の3相交流電源200に接続可能である。第1~第3交流端子Tac1~Tac3のうち第1,第3交流端子Tac1,Tac3は、図3に示すように、車両外部の単相交流電源210に接続可能である。
【0017】
充電器10は、力率改善回路20を備えている。力率改善回路20は、3相分の上,下アームスイッチとして、第1上アームスイッチS1H及び第1下アームスイッチS1Lの直列接続体と、第2上アームスイッチS2H及び第2下アームスイッチS2Lの直列接続体と、第3上アームスイッチS3H及び第3下アームスイッチS3Lの直列接続体とを備え、ACDCコンバータとして機能する。本実施形態において、各上,下アームスイッチS1H~S3Lは、ボディダイオードを有するNチャネルMOSFETである。このため、各上,下アームスイッチS1H~S3Lにおいて、高電位側端子はドレインであり、低電位側端子はソースである。第1~第3相のうち、例えば、第1相がU相であり、第2相がV相であり、第3相がW相である。
【0018】
力率改善回路20は、第1,第2,第3上アームスイッチS1H,S2H,S3Hの高電位側端子に接続された高電位側入力経路25Hと、第1,第2,第3下アームスイッチS1L,S2L,S3Lの低電位側端子に接続された低電位側入力経路25Lとを備えている。各経路25H,25Lは、バスバー等を含む電気経路である。力率改善回路20は、高電位側入力経路25H及び低電位側入力経路25Lを接続する第1平滑コンデンサ24を備えている。
【0019】
力率改善回路20は、第1経路21、第2経路22及び第3経路23を備えている。第1経路21は、第1相に対応する電気経路であり、第1上アームスイッチS1Hの低電位側端子及び第1下アームスイッチS1Lの高電位側端子と、第1交流端子Tac1とを接続する。第2経路22は、第2相に対応する電気経路であり、第2上アームスイッチS2Hの低電位側端子及び第2下アームスイッチS2Lの高電位側端子と、第2交流端子Tac2とを接続する。第3経路23は、第3相に対応する電気経路であり、第3上アームスイッチS3Hの低電位側端子及び第3下アームスイッチS3Lの高電位側端子と、第3交流端子Tac3とを接続する。
【0020】
力率改善回路20は、第1経路21に設けられた第1インダクタ31、第2経路22に設けられた第2インダクタ32、及び第3経路23に設けられた第3インダクタ33を備えている。なお、各インダクタ31~33のインダクタンス値が同じ値であってもよく、各インダクタ31~33の定格電流(具体的には、温度上昇定格電流)が同じ値であってもよい。
【0021】
充電器10は、降圧チョッパ回路40を備えている。降圧チョッパ回路40は、力率改善回路20から入力された直流電圧を降圧し、降圧した直流電圧を出力する。降圧チョッパ回路40は、上,下アーム変圧スイッチ41H,41L、インダクタ42及びコンデンサ43を備えている。本実施形態において、上,下アーム変圧スイッチ41H,41Lは、ボディダイオードを有するNチャネルMOSFETである。このため、上,下アーム変圧スイッチ41H,41Lにおいて、高電位側端子はドレインであり、低電位側端子はソースである。
【0022】
上アーム変圧スイッチ41Hの高電位側端子には、高電位側入力経路25Hを構成する第1端子TPが接続され、下アーム変圧スイッチ41Lの低電位側端子には、低電位側入力経路25Lを構成する第2端子TNが接続されている。上アーム変圧スイッチ41Hの低電位側端子及び下アーム変圧スイッチ41Lの高電位側端子には、インダクタ42の第1端が接続されている。インダクタ42の第2端には、コンデンサ43の第1端が接続されている。コンデンサ43の第2端には、下アーム変圧スイッチ41Lの低電位側端子が接続されている。なお、高電位側入力経路25Hに第1端子TPが構成されていなくてもよく、低電位側入力経路25Lに第2端子TNが構成されていなくてもよい。
【0023】
充電器10は、DCDCコンバータ50を備えている。DCDCコンバータ50は、降圧チョッパ回路40から入力された直流電圧を変圧し、変圧した直流電圧を出力する。DCDCコンバータ50は、DAB(Dual Active Bridge)方式のものであり、第1ブリッジ回路51、第2ブリッジ回路52、及び、各ブリッジ回路51,52の間の電力伝達を行うトランス53を備える絶縁型のDCDCコンバータである。
【0024】
第1ブリッジ回路51は、フルブリッジ回路である、第1~第4変換スイッチQ1~Q4を備えている。第2ブリッジ回路52は、フルブリッジ回路であり、第5~第8変換スイッチQ5~Q8を備えている。本実施形態において、各変換スイッチQ1~Q8は、ボディダイオードを有するNチャネルMOSFETである。このため、各変換スイッチQ1~Q8において、高電位側端子はドレインであり、低電位側端子はソースである。なお、DCDCコンバータ50は、他の方式(例えばLLC方式)のものであってもよい。
【0025】
DCDCコンバータ50は、高電位側経路54H及び低電位側経路54Lを備えている。各経路54H,54Lは、バスバー等で構成された電気経路である。第1,第3変換スイッチQ1,Q3の高電位側端子には、高電位側経路54Hが接続され、第2,第4変換スイッチQ2,Q4の低電位側端子には、低電位側経路54Lが接続されている。高電位側経路54Hと低電位側経路54Lとは、DCDCコンバータ50が備える第2平滑コンデンサ55により接続されている。なお、第2平滑コンデンサ55は、DCDCコンバータ50に内蔵されることに代えて、DCDCコンバータ50の外部に設けられていてもよい。
【0026】
第1ブリッジ回路51において、第1,第2変換スイッチQ1,Q2の接続点には、トランス53を構成する1次側コイル53Aの第1端が接続されている。1次側コイル53Aの第2端には、第3,第4変換スイッチQ3,Q4の接続点が接続されている。第1,第2変換スイッチQ1,Q2の接続点には、トランス53を構成する1次側コイル53Aの第1端が接続されている。1次側コイル53Aの第2端には、第3,第4変換スイッチQ3,Q4の接続点が接続されている。
【0027】
第2ブリッジ回路52において、第5,第6変換スイッチQ5,Q6の接続点には、トランス53を構成する2次側コイル53Bの第1端が接続されている。2次側コイル53Bの第2端には、第7,第8変換スイッチQ7,Q8の接続点が接続されている。2次側コイル53B及び1次側コイル53Aの巻数比は、例えば1である。2次側コイル53B及び1次側コイル53Aは、トランス53を構成するコア53Cを介して磁気結合する。
【0028】
第5,第7変換スイッチQ5,Q7の高電位側端子には、充電器10が備える高電位側直流端子TdcHが接続されている。第6,第8変換スイッチQ6,Q8の低電位側端子には、充電器10が備える低電位側直流端子TdcLが接続されている。第5,第7変換スイッチQ5,Q7の高電位側端子と、第6,第8変換スイッチQ6,Q8の低電位側端子とは、DCDCコンバータ50が備える第3平滑コンデンサ56により接続されている。なお、第2ブリッジ回路52と各直流端子TdcH,TdcLとの間には、ノイズ除去用のフィルタ60が設けられている。
【0029】
高電位側直流端子TdcHには、車両に搭載された蓄電池220の正極端子が接続されている。蓄電池220は、充放電可能な2次電池であり、例えばリチウムイオン蓄電池又はニッケル水素蓄電池である。蓄電池220の負極端子には、低電位側直流端子TdcLが接続されている。
【0030】
充電器10は、第1~第3電流センサ71~73を備えている。第1電流センサ71は、第1インダクタ31に流れる電流を検出し、第2電流センサ72は、第2インダクタ32に流れる電流を検出し、第3電流センサ73は、第3インダクタ33に流れる電流を検出する。本実施形態において、第1,第2,第3電流センサ71,72,73により検出された電流(以下、第1,第2,第3電流検出値i1r,i2r,i3r)は、第1,第2,第3交流端子Tac1,Tac2,Tac3側から第1,第2,第3インダクタ31,32,33側に向かって流れる場合を正とする。
【0031】
充電器10は、交流側電圧センサ81及び直流側電圧センサ82を備えている。交流側電圧センサ81は、第1交流端子Tac1と第3交流端子Tac4との電圧差を検出する。直流側電圧センサ82は、コンデンサ43の端子電圧を検出する。
【0032】
充電器10は、インダクタ42に流れる電流を検出する電流センサ83を備えている。本実施形態において、電流センサ83により検出された電流は、インダクタ42から各変圧スイッチ41H,41Lの接続点側に向かって流れる場合を正とする。各センサ71~73,81~83の検出値は、充電器10が備える制御装置100に入力される。
【0033】
制御装置100は、マイコン100aを主体として構成される電子制御装置(Electronic Control Unit)である。制御装置100は、制御装置100よりも上位の上位制御装置101と情報のやり取りが可能になっている。上位制御装置101は、マイコン101aを主体として構成される電子制御装置(Electronic Control Unit)であり、充電器10の外部に設けられている。
【0034】
各マイコン100a,101aは、CPU(Central Processing Unit)を備えている。各マイコン100a,101aが提供する機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェア及びそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供することができる。例えば、マイコンがハードウェアである電子回路によって提供される場合、それは多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路によって提供することができる。例えば、マイコンは、自身が備える記憶部としての非遷移的実体的記録媒体(non-transitory tangible storage medium)に格納されたプログラムを実行する。プログラムには、例えば、後述する図4等に示す充電制御処理のプログラムが含まれる。プログラムを構成するインストラクションのセットが実行されることにより、プログラムに対応する方法が実行される。記憶部は、例えば不揮発性メモリである。なお、記憶部に記憶されたプログラムは、例えばOTA(Over The Air)等、インターネット等の通信ネットワークを介して更新可能である。
【0035】
車両において、充電器10の外部には、第1遮断スイッチ90A、第2遮断スイッチ90B及び第3遮断スイッチ90Cが備えられている。本実施形態において、各遮断スイッチ90A~90Cはリレーである。各遮断スイッチ90A~90Cは、オンされている場合に双方向の電流の流通を許可し、オフされている場合に双方向の電流の流通を阻止する。第1~第3遮断スイッチ90A~90Cは、第1~第3交流端子Tac3~Tac3に接続されている。
【0036】
図2に示すように、第1~第3交流端子Tac1~Tac3には、第1~第3遮断スイッチ90A~90Cを介して3相交流電源200が電気的に接続可能である。3相交流電源200は、例えば系統電源である。3相交流電源200において、3相の出力電圧V1,V2,V3の振幅及び周波数は同じであり、出力電圧及び出力電流の位相は各相で120°ずつずれている。
【0037】
図3に示すように、第1交流端子Tac1及び第3交流端子Tac3には、第1,第3遮断スイッチ90A,90Cを介して単相交流電源210が電気的に接続可能である。本実施形態において、単相交流電源210の出力電圧Vacの振幅は3相交流電源200の出力電圧V1~V3の振幅と同じである。また、単相交流電源210の出力電圧Vacの周波数は3相交流電源200の出力電圧V1~V3の周波数と同じである。
【0038】
充電器10は、降圧チョッパ回路40の出力側とDCDCコンバータ50の入力側との接続状態を切り替えるための切替スイッチ45を備えている。切替スイッチ45が第1状態に制御されることにより、図2に示すように、インダクタ42及びコンデンサ43の接続点と、高電位側経路54Hとが接続される。一方、切替スイッチ45が第2状態に制御されることにより、図3に示すように、上アーム変圧スイッチ41Hの高電位側端子及び第1端子TPと、高電位側経路54Hとが接続される。
【0039】
制御装置100は、外部の交流電源からの入力電力を充電器10を介して蓄電池220に供給する充電制御を行う。以下、図4のフローチャートを用いて、この制御について説明する。
【0040】
ステップS10では、3相充電制御の指示がなされているか否かを判定する。本実施形態では、上位制御装置101からCAN通信等を介して送信される指示を受信し、受信した指示に基づいて、3相充電制御の指示がなされているか否かを判定する。
【0041】
3相充電制御は、3相交流電源200からの電力を蓄電池220に充電する制御である。3相充電指示がなされている場合、図2に示すように、第1遮断スイッチ90A、第2遮断スイッチ90B及び第3遮断スイッチ90Cが上位制御装置101によってオンされる。
【0042】
ステップS10において肯定判定した場合には、ステップS11に進み、インダクタ42及びコンデンサ43の接続点と、高電位側経路54Hとが接続されるように切替スイッチ45を制御する(図2参照)。
【0043】
ステップS12では、力率改善回路20のスイッチング制御を行う。詳しくは、第1交流端子Tac1、第2交流端子Tac2及び第3交流端子Tac3から入力された交流電力を直流電力に変換して出力すべく、第1,第2,第3上アームスイッチS1H,S2H,S3H及び第1,第2,第3下アームスイッチS1L,S2L,S3Lのスイッチング制御を行う。各相において、上アームスイッチと下アームスイッチとはデッドタイムを挟みつつ交互にオンされる。各相において、上,下アームスイッチの1スイッチング周期は同じである。
【0044】
ステップS13では、降圧チョッパ回路40の上,下アーム変圧スイッチ41H,41Lを交互にオンすることにより、降圧チョッパ回路40に入力された直流電圧を降圧して目標電圧Vtgtに制御する降圧制御を行う。詳しくは、直流側電圧センサ82の検出電圧を目標電圧Vtgtにフィードバック制御するための時比率Dutyを算出する。時比率Dutyは、1スイッチング周期Tswに対する上アーム変圧スイッチ41Hのオン期間Tоnの比率(Tоn/Tsw)である。そして、算出した時比率Dutyに基づいて、上,下アーム変圧スイッチ41H,41Lを交互にオンする。
【0045】
なお、降圧制御において、下アーム変圧スイッチ41Lをオフに維持し、同期整流を行わなくてもよい。
【0046】
ステップS14では、DCDCコンバータ50のスイッチング制御を行う。詳しくは、第1,第4変換スイッチQ1,Q4の組と、第2,第3変換スイッチQ2,Q3の組とを交互にオンし、第5,第8変換スイッチQ5,Q8の組と、第6,第7変換スイッチQ6,Q7の組とを交互にオンする。
【0047】
3相充電制御時においては、降圧制御により、第2平滑コンデンサ55の印加電圧を低下させることができる。
【0048】
一方、ステップS10において否定判定した場合には、ステップS15に進み、上位制御装置101から受信した指示に基づいて、単相充電制御の指示がなされているか否かを判定する。
【0049】
単相充電制御は、単相交流電源210からの電力を蓄電池220に充電する制御である。単相充電指示がなされている場合、図3に示すように、第1遮断スイッチ90A及び第3遮断スイッチ90Cが上位制御装置101によってオンされ、第2遮断スイッチ90Bが上位制御装置101によってオフされる。
【0050】
ステップS15において肯定判定した場合には、ステップS16に進み、上アーム変圧スイッチ41Hの高電位側端子及び第1端子TPと、高電位側経路54Hとが接続されるように切替スイッチ45を制御する(図3参照)。これにより、降圧チョッパ回路40のコンデンサ43は、後述する脈動補償制御に用いられる補償用コンデンサとなる。
【0051】
ステップS17では、力率改善回路20のスイッチング制御を行う。詳しくは、第1交流端子Tac1及び第3交流端子Tac3から入力された交流電力を直流電力に変換して出力すべく、第1上アームスイッチS1H及び第1下アームスイッチS1Lのスイッチング制御を行う。第1上アームスイッチS1Hと第1下アームスイッチS1Lとは、デッドタイムを挟みつつ、同期して交互にオンされる。第1上,下アームスイッチS1H,S1Lの1スイッチング周期は同じであり、3相充電制御時の1スイッチング周期と同じである。
【0052】
また、第3交流端子Tac3から単相交流電源210を介して第1交流端子Tac1へと向かう方向に電流が流れている第1期間において、第3下アームスイッチS3Lをオンするとともに第3上アームスイッチS3Hをオフする。一方、第1交流端子Tac1から単相交流電源210を介して第3交流端子Tac3へと向かう方向に電流が流れている第2期間において、第3上アームスイッチS3Hをオンするとともに第3下アームスイッチS3Lをオフする。現在のタイミングが第1期間及び第2期間のいずれに含まれているかは、例えば、第1電流センサ71又は第3電流センサ73の検出値に基づいて判定されればよい。なお、ステップS17における第3上,下アームスイッチS3H,S3Lの1スイッチング周期は、単相交流電源210の出力電圧1周期と同じ周期であり、第1上、下アームスイッチS1H,S1Lの1スイッチング周期よりも長い。
【0053】
単相充電制御時における力率改善回路20の出力電圧(例えば400V)は、3相充電制御時における力率改善回路20の出力電圧(例えば800V)よりも低く設定されている。
【0054】
ステップS18では、降圧チョッパ回路40からDCDCコンバータ50への出力電圧の脈動を低減するための降圧チョッパ回路40のスイッチング制御として、脈動補償制御を行う。この制御における上,下アーム変圧スイッチ41H,41Lの1スイッチング周期は、第1上、下アームスイッチS1H,S1Lの1スイッチング周期と同じである。
【0055】
ステップS19では、DCDCコンバータ50のスイッチング制御を行う。詳しくは、第1,第4変換スイッチQ1,Q4の組と、第2,第3変換スイッチQ2,Q3の組とを交互にオンし、第5,第8変換スイッチQ5,Q8の組と、第6,第7変換スイッチQ6,Q7の組とを交互にオンする。
【0056】
続いて、単相充電制御における脈動補償制御について説明する。この制御により、DCDCコンバータ50の第2平滑コンデンサ55の端子電圧の脈動を低減する。これにより、第2平滑コンデンサ55に要求される静電容量を低減する。図5は、脈動補償制御の一例を示すブロック図である。
【0057】
目標補償電圧算出部110は、第2平滑コンデンサ55の脈動を低減するためのコンデンサ43の端子電圧の目標値である目標補償電圧Vcprefを算出する。具体的には例えば、目標補償電圧算出部110は、脈動補償振幅Ppeakと、電気角θeと、下式(eq1)とに基づいて、目標補償電圧Vcprefを算出する。
【0058】
【数1】
脈動補償振幅Ppeak[W]は、単相交流電源210の出力電圧Vacの振幅に基づいて設定される値であり、具体的には出力電圧Vacの振幅と同等(例えば同じ)の値である。上式(eq1)において、ωは出力電圧Vacの角周波数[rad./sec]を示し、tは出力電圧Vacが負から正に切り替わるゼロアップクロスタイミングからの経過時間[sec.]を示し、電気角θeに基づいて把握することができる。また、「θe=ω×t」の関係がある。Ccprはコンデンサ43の静電容量[F]を示す。Kは、1以上の実数であり、例えば1に設定されている。目標補償電圧算出部110は、脈動補償振幅Ppeak及び電気角θeと紐付けられて目標補償電圧Vcprefが規定されたマップ情報に基づいて、目標補償電圧Vcprefを算出すればよい。電気角θeは、交流側電圧センサ81により検出された電圧(以下、交流電圧検出値V1r)に基づいて算出されればよい。本実施形態では、交流電圧検出値V1rのゼロクロスタイミング(具体的には例えば、ゼロアップクロスタイミング)の電気角θeを0°とし、次のゼロアップクロスタイミングにおける電気角θeを360°とする。これにより、交流電圧検出値V1rの1周期が電気角1周期(0°~360°)に対応する。
【0059】
電圧制御部111は、補償電圧偏差算出部112と、補償電圧フィードバック制御部113とを備えている。補償電圧偏差算出部112は、目標補償電圧Vcprefから、直流側電圧センサ82により検出されたコンデンサ43の端子電圧(以下、補償電圧検出値Vcpr)を差し引くことにより、補償電圧偏差ΔVpを算出する。本実施形態において、補償電圧検出値Vcprは、コンデンサ43の両端のうち、インダクタ42に接続される第1端側の電圧が第2端側の電圧よりも高い場合を正とする。
【0060】
補償電圧フィードバック制御部113は、補償電圧偏差ΔVpを0にフィードバック制御するための操作量として目標フィードバック電流Ifbを算出する。補償電圧フィードバック制御部113におけるフィードバック制御は、例えば比例積分制御である。
【0061】
フィードフォワード電流算出部114は、脈動補償振幅Ppeakと、電気角θeと、下式(eq2)とに基づいて、目標フィードフォワード電流Iffを算出する。
【0062】
【数2】
フィードフォワード電流算出部114は、脈動補償振幅Ppeak及び電気角θeと紐付けられて目標フィードフォワード電流Iffが規定されたマップ情報に基づいて、目標フィードフォワード電流Iffを算出すればよい。
【0063】
電流制御部115は、加算部116と、補償電流偏差算出部117と、補償電流フィードバック制御部118とを備えている。加算部116は、目標フィードバック電流Ifbに目標フィードフォワード電流Iffを加えることにより、目標補償電流Irefを算出する。なお、フィードフォワード電流算出部114は必須ではない。この場合、「Iref=Ifb」となる。
【0064】
補償電流偏差算出部117は、目標補償電流Irefから、電流センサ83により検出された電流(以下、補償電流検出値icpr)を差し引くことにより、補償電流偏差ΔIpを算出する。本実施形態において、補償電流検出値icprは、インダクタ42の両端のうち、コンデンサ43側から上,下アーム変圧スイッチ41H,41Lの接続点側に向かって流れる場合を正とする。
【0065】
補償電流フィードバック制御部118は、補償電流偏差ΔIpを0にフィードバック制御するための操作量として、指令電圧Vrefを算出する。補償電流フィードバック制御部118におけるフィードバック制御は、例えば比例積分制御である。
【0066】
PWM生成部119は、指令電圧Vrefと、キャリア信号との大小比較に基づくパルス幅変調により、上,下アーム変圧スイッチ41H,41Lのゲートに供給する上,下アーム駆動信号を生成する。上,下アーム変圧スイッチ41H,41Lのゲートに上,下アーム駆動信号が供給されることにより、脈動低減制御が行われる。
【0067】
図6に、単相充電制御時における補償電圧検出値Vcpr、単相交流電源210の出力電圧Vac,出力電流iac、補償電流検出値icpr、第1電流検出値i1r、単相交流電源210の出力電力Pac、コンデンサ43の電力Pcpr(=Vcpr×icpr)、及び降圧チョッパ回路40から出力された直流電力Pdcの推移を示す。なお、単相交流電源210の出力電圧Vacは、第3交流端子Tac3側の電圧よりも第1交流端子Tac1側の電圧が高い場合を正とする。単相交流電源210の出力電流iacは、第3交流端子Tac3側から第1交流端子Tac1側に向かって流れる場合を正とする。
【0068】
第1上,下アームスイッチS1H,S1Lの高周波スイッチング制御及び第3上,下アームスイッチS3H,S3Lの低周波のスイッチング制御により、図6に示すように、単相交流電源210の出力電圧Vacと、第1電流検出値i1rとの位相差が0(つまり、力率が1)になるような単相充電制御が実行されている。
【0069】
図6に示す例では、単相交流電源210の出力電力Pac(つまり、充電器10の入力電力)は、単相交流電源210の出力電圧Vacの基本周波数の2倍の周波数で脈動する。この脈動成分を低減するための目標補償電圧Vcprefに補償電圧検出値Vcprが制御されるように、上,下アーム変圧スイッチ41H,41Lがスイッチング制御される。これにより、入力電力の脈動成分がコンデンサ43に無効電力として吸収され、降圧チョッパ回路40からDCDCコンバータ50へと伝達される直流電力Pdcは、概ね一定となる。その結果、第2平滑コンデンサ55の端子電圧の脈動を低減できる。
【0070】
以上説明した本実施形態によれば、単相充電制御時において、脈動補償制御により、第2平滑コンデンサ55の端子電圧の脈動を低減できる。一方、力率改善回路20の出力電圧が単相充電制御時よりも高い3相充電制御時において、降圧制御により、第2平滑コンデンサ55の印加電圧を低下させることができる。これにより、第2平滑コンデンサ55の耐電圧を低減することができ、ひいては第2平滑コンデンサ55を小型化することができる。その結果、例えば、第2平滑コンデンサ55として、電解コンデンサではなく、体格がより小さいフィルムコンデンサを用いることができる。
【0071】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、制御装置100における3相/単相充電制御指示の判定方法が変更されている。
【0072】
図7に、本実施形態に係る車載充電器の全体構成を示す。
【0073】
充電器10は、電圧検出回路84を備えている。電圧検出回路84は、第3経路23の電圧を基準とした第1,第2経路21,22の電圧を検出する。電圧検出回路84の検出値は、制御装置100に入力される。
【0074】
図8に、制御装置100によって実行される3相/単相充電制御のフローチャートを示す。
【0075】
ステップS20では、各遮断スイッチ90A~90Cがオンされている場合における電圧検出回路84の検出値を取得する。
【0076】
ステップS21では、電圧検出回路84の検出値に基づいて、3相充電制御の指示がなされているか否かを判定する。具体的には、検出値に基づいて、第1~第3相のうち2相以上について交流電圧を検出したと判定した場合、3相充電制御の指示がなされていると判定する。
【0077】
ステップS22では、電圧検出回路84の検出値に基づいて、単相充電制御の指示がなされているか否かを判定する。具体的には、検出値に基づいて、第1~第3相のうち第1相のみについて交流電圧を検出したと判定した場合、単相充電制御の指示がなされていると判定する。
【0078】
以上説明した本実施形態によれば、制御装置100自身で充電制御が指示されているか否かを判定できる。
【0079】
<第3実施形態>
以下、第3実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、図9及び図10に示すように、切替スイッチ46によって実現可能な降圧チョッパ回路40とDCDCコンバータ50との接続関係が変更されている。
【0080】
上アーム変圧スイッチ41Hには、インダクタ42及びコンデンサ43の直列接続体が並列接続されている。上,下アーム変圧スイッチ41H,41Lの接続点には、インダクタ42及びコンデンサ43の直列接続体を介して、高電位側経路54Hが接続されている。
【0081】
切替スイッチ46が第1状態に制御されることにより、図9に示すように、インダクタ42及びコンデンサ43の接続点と、低電位側経路54Lとが接続される。一方、切替スイッチ46が第2状態に制御されることにより、図10に示すように、下アーム変圧スイッチ41Lの低電位側端子及び第2端子TNと、低電位側経路54Lとが接続される。
【0082】
図11に、制御装置100によって実行される3相/単相充電制御のフローチャートを示す。
【0083】
ステップS10において3相充電制御の指示がなされていると判定した場合には、ステップS23に進み、インダクタ42及びコンデンサ43の接続点と、低電位側経路54Lとが接続されるように切替スイッチ46を制御する(図9参照)。その後、ステップS12に進む。
【0084】
ステップS15において単相充電制御の指示がなされていると判定した場合には、ステップS24に進み、下アーム変圧スイッチ41Lの低電位側端子及び第2端子TNと、低電位側経路54Lとが接続されるように切替スイッチ46を制御する(図10参照)。これにより、降圧チョッパ回路40のコンデンサ43は、脈動補償制御に用いられる補償用コンデンサとなる。
【0085】
以上説明した本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0086】
<第4実施形態>
以下、第4実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、図12及び図13に示すように、降圧チョッパ回路40の構成及び切替スイッチの構成が変更されている。
【0087】
降圧チョッパ回路40は、第1,第2変圧スイッチ141A,141B、インダクタ142及びコンデンサ143を備えている。本実施形態において、第1,第2変圧スイッチ141A,141Bは、ボディダイオードを有するNチャネルMOSFETである。
【0088】
第1変圧スイッチ141Aのドレインには、第1端子TPが接続され、第1変圧スイッチ141Aのソースには、インダクタ142の第1端が接続されている。インダクタ142の第2端には、第2端子TNが接続されている。第1変圧スイッチ141Aのソースには、第2変圧スイッチ141Bのドレインが接続されている。第2変圧スイッチ141Bのソースには、コンデンサ143の第1端が接続され、コンデンサ143の第2端には、インダクタ142の第2端が接続されている。
【0089】
充電器10は、第1切替スイッチ146A及び第2切替スイッチ146Bを備えている。第1切替スイッチ146Aは、高電位側経路54Hを、第1変圧スイッチ141Aのドレイン及び第1端子TP、又はコンデンサ143の第2端に選択的に接続する。第2切替スイッチ146Bは、低電位側経路54Lを、第2変圧スイッチ141B及びコンデンサ143の接続点、又はコンデンサ143の第2端に選択的に接続する。
【0090】
直流側電圧センサ82は、コンデンサ143の端子電圧を検出する。電流センサ83は、インダクタ142に流れる電流を検出する。
【0091】
図14に、制御装置100によって実行される3相/単相充電制御のフローチャートを示す。
【0092】
ステップS10において3相充電制御の指示がなされていると判定した場合には、ステップS25に進み、高電位側経路54Hとコンデンサ143の第2端とが接続されるように第1切替スイッチ146Aを制御し、第2変圧スイッチ141B及びコンデンサ143の接続点と低電位側経路54Lとが接続されるように第2切替スイッチ146Bを制御する(図12参照)。その後、ステップS12に進む。
【0093】
ステップS15において単相充電制御の指示がなされていると判定した場合には、ステップS26に進み、第1変圧スイッチ141Aのドレイン及び第1端子TPと高電位側経路54Hとが接続されるように第1切替スイッチ146Aを制御し、コンデンサ143の第2端と低電位側経路54Lとが接続されるように第2切替スイッチ146Bを制御する(図13参照)。これにより、降圧チョッパ回路40のコンデンサ143は、脈動補償制御に用いられる補償用コンデンサとなる。
【0094】
なお、本実施形態の脈動補償制御では、直流側電圧センサ82及び電流センサ83の検出値が用いられる。また、ステップS13,S18の降圧制御では、第1,第2変圧スイッチ141A,141Bを交互にオンする。
【0095】
以上説明した本実施形態によれば、第2平滑コンデンサ55の耐電圧を低減することができる。
【0096】
<第5実施形態>
以下、第5実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、図15及び図16に示すように、降圧チョッパ回路40の構成及び切替スイッチの構成が変更されている。この構成は、3相充電制御時において充電器10の効率を改善するためのものである。
【0097】
降圧チョッパ回路40は、第1上アーム変圧スイッチ241H、第1下アーム変圧スイッチ241L、第2上アーム変圧スイッチ242H及び第2下アーム変圧スイッチ242Lを備えている。本実施形態において、各変圧スイッチ241H,241L,242H,242Lは、ボディダイオードを有するNチャネルMOSFETである。
【0098】
第1上アーム変圧スイッチ241Hのドレイン及び第2上アーム変圧スイッチ242Hのドレインには、第1端子TPが接続されている。第1下アーム変圧スイッチ241Lのソース及び第2下アーム変圧スイッチ242Lのソースには、第2端子TNが接続されている。
【0099】
降圧チョッパ回路40は、第1インダクタ243、第2インダクタ244、コンデンサ246、第1切替スイッチ245A及び第2切替スイッチ245Bを備えている。第1インダクタ243の第1端には、第1上アーム変圧スイッチ241H及び第1下アーム変圧スイッチ241Lの接続点が接続されている。第1インダクタ243の第2端には、第1切替スイッチ245Aを介してコンデンサ246の第1端が接続されている。コンデンサ246の第2端には、第1下アーム変圧スイッチ241Lのソース、第2下アーム変圧スイッチ242Lのソース、第2端子TN及び低電位側経路54Lが接続されている。
【0100】
第2インダクタ244の第1端には、第2上アーム変圧スイッチ242H及び第2下アーム変圧スイッチ242Lの接続点が接続されている。第2インダクタ244の第2端には、コンデンサ246の第1端が接続されている。
【0101】
第1切替スイッチ245Aは、第1インダクタ243の第2端と、コンデンサ246の第1端及び第2インダクタ244の第2端とを電気的に接続又は遮断する。第2切替スイッチ245Bは、高電位側経路54Hを、第1上アーム変圧スイッチ241Hのドレイン、第2上アーム変圧スイッチ242Hのドレイン、第1端子TP及び高電位側経路54H、又はコンデンサ246の第1端に選択的に接続する。
【0102】
直流側電圧センサ82は、コンデンサ246の端子電圧を検出する。電流センサ83は、第2インダクタ244に流れる電流を検出する。
【0103】
図17に、制御装置100によって実行される3相/単相充電制御のフローチャートを示す。
【0104】
ステップS10において3相充電制御の指示がなされていると判定した場合には、ステップS30に進み、第1切替スイッチ245Aをオンする(図15参照)。
【0105】
ステップS31では、高電位側経路54Hとコンデンサ246の第1端とが接続されるように第2切替スイッチ245Bを制御する(図15参照)。その後、ステップS12に進む。
【0106】
なお、ステップS13の降圧制御では、第1上アーム変圧スイッチ241H及び第1下アーム変圧スイッチ241Lを交互にオンするとともに、第2上アーム変圧スイッチ242H及び第2下アーム変圧スイッチ242Lを交互にオンする。ここでは、第1上アーム変圧スイッチ241H及び第2上アーム変圧スイッチ242Hについて、例えば、オンへの切替タイミングを同期させ、オフへの切替タイミングを同期させればよい。また、第1下アーム変圧スイッチ241L及び第2下アーム変圧スイッチ242Lについて、例えば、オンへの切替タイミングを同期させ、オフへの切替タイミングを同期させればよい。
【0107】
ステップS15において単相充電制御の指示がなされていると判定した場合には、ステップS32に進み、第1切替スイッチ245Aをオフする(図16参照)。
【0108】
ステップS33では、高電位側経路54Hと、第1上アーム変圧スイッチ241Hのドレイン、第2上アーム変圧スイッチ242Hのドレイン及び第1端子TPとが接続されるように第2切替スイッチ245Bを制御する(図16参照)。その後、ステップS17に進む。これにより、降圧チョッパ回路40のコンデンサ246は、脈動補償制御に用いられる補償用コンデンサとなる。なお、ステップS18の脈動補償制御では、直流側電圧センサ82及び電流センサ83の検出値が用いられる。
【0109】
以上説明した本実施形態によれば、3相充電制御時における充電器10の効率を改善することができる。
【0110】
<第6実施形態>
以下、第6実施形態について、第5実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、図18及び図19に示すように、切替スイッチによって実現可能な降圧チョッパ回路40とDCDCコンバータ50との接続関係が変更されている。
【0111】
降圧チョッパ回路40は、第2切替スイッチ246C及びコンデンサ247を備えている。コンデンサ247の第1端には、第2インダクタ244の第2端及び第1切替スイッチ245Aの一端が接続されている。コンデンサ247の第2端には、第1上アーム変圧スイッチ241Hのドレイン、第2上アーム変圧スイッチ242Hのドレイン、第1端子TP及び高電位側経路54Hが接続されている。
【0112】
第2切替スイッチ245Cは、低電位側経路54Lを、第1下アーム変圧スイッチ241Lのソース、第2下アーム変圧スイッチ242Lのソース、第2端子TN及び低電位側経路54L、又はコンデンサ246の第1端に選択的に接続する。直流側電圧センサ82は、コンデンサ246の端子電圧を検出する。
【0113】
続いて、本実施形態の3相/単相充電制御のうち、第5実施形態との相違点について説明する。
【0114】
制御装置100は、図17のステップS31において、コンデンサ247の第1端に低電位側経路54Lが接続されるように第2切替スイッチ245Cを制御する(図18参照)。制御装置100は、図17のステップS33において、第1,第2下アーム変圧スイッチ241L,242Lの低電位側端子に低電位側経路54Lが接続されるように第2切替スイッチ245Cを制御する(図19参照)。
【0115】
以上説明した本実施形態によれば、第5実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0116】
<その他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
【0117】
・第5,第6実施形態において、第1上,下アーム変圧スイッチ241H,241Lの接続点と第1インダクタ243の第1端とを接続するように第1切替スイッチ245Aが設けられていてもよい。
【0118】
・第5,第6実施形態において、第1上,下アーム変圧スイッチ241H,241L、第1インダクタ243及び第1切替スイッチ245Aが1組設けられる構成に限らず、複数組設けられる構成であってもよい。また、第2上,下アーム変圧スイッチ242H,242L及び第2インダクタ244が1組設けられる構成に限らず、複数組設けられる構成であってもよい。
【0119】
・DCDCコンバータ50の第1,第2ブリッジ回路としては、図1に示したフルブリッジ方式の回路に限らず、例えばハーフブリッジ方式の回路であってもよい。
【0120】
・力率改善回路としては、図1に示した回路に限らない。
【0121】
・力率改善回路20において、第1上アームスイッチが複数のNチャネルMOSFETの並列接続体で構成されていてもよい。第1下アームスイッチ及び第2,第3上,下アームスイッチについても同様である。
【0122】
・力率改善回路20、降圧チョッパ回路40及びDCDCコンバータ50が備えるスイッチとしては、NチャネルMOSFETに限らず、例えば、フリーホイールダイオードが逆並列接続されたIGBTであってもよい。この場合、IGBTのコレクタが高電位側端子に相当し、エミッタが低電位側端子に相当する。
【0123】
・電力変換装置が搭載される移動体としては、車両に限らず、例えば、航空機又は船舶であってもよい。また、電力変換装置の搭載先は、移動体に限らず、定置式の装置であってもよい。
【0124】
・電力変換装置としては、3相の交流電源及び交流負荷に対応可能なものに限らず、4相以上の交流電源及び交流負荷に対応可能なものであってもよい。
【0125】
・本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0126】
10…充電器、20…力率改善回路、40…降圧チョッパ回路、50…DCDCコンバータ、45…切替スイッチ、100…制御装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19