(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169907
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】シート製造装置、及び、シート製造方法
(51)【国際特許分類】
D04H 1/732 20120101AFI20241129BHJP
【FI】
D04H1/732
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086768
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】橋本 聡
(72)【発明者】
【氏名】宮内 敬輔
【テーマコード(参考)】
4L047
【Fターム(参考)】
4L047AA08
4L047AB02
4L047AB06
4L047EA01
(57)【要約】
【課題】ウェブに適切に水分を付与できないおそれがある。
【解決手段】シート製造装置は、繊維を含む材料を堆積させてウェブを形成する堆積部と、ウェブを保持して搬送する搬送ベルトを有するウェブ搬送部と、搬送ベルトと対向するように設けられ、ウェブに水分を付与する加湿部と、水分が付与されたウェブに対し、加熱及び加圧の少なくとも一方を行うシート形成部と、制御部と、を備え、加湿部は、少なくとも第1ミスト発生素子及び第2ミスト発生素子を有し、制御部は、第1ミスト発生素子と、第2ミスト発生素子とを個別に制御可能である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維を含む材料を堆積させてウェブを形成する堆積部と、
前記ウェブを保持して搬送する搬送ベルトを有するウェブ搬送部と、
前記搬送ベルトと対向するように設けられ、前記ウェブに水分を付与する加湿部と、
前記水分が付与された前記ウェブに対し、加熱及び加圧の少なくとも一方を行うシート形成部と、
制御部と、を備え、
前記加湿部は、少なくとも第1ミスト発生素子及び第2ミスト発生素子を有し、
前記制御部は、前記第1ミスト発生素子と、前記第2ミスト発生素子とを個別に制御可能である、シート製造装置。
【請求項2】
前記加湿部は、
ダクトと、排気口とを有し、
前記第1ミスト発生素子、及び、前記第2ミスト発生素子の少なくともいずれかにより発生させたミストを、前記ダクトを経由して、前記排気口から前記ウェブに対して排気する、請求項1に記載のシート製造装置。
【請求項3】
1つ以上のセンサーを備え、
前記制御部は、前記センサーにより計測した結果に基づき、前記第1ミスト発生素子、及び、前記第2ミスト発生素子の少なくともいずれか一方を制御する、請求項1に記載のシート製造装置。
【請求項4】
前記ウェブの水分を計測可能な水分計を備え、
前記制御部は、前記水分計により計測した前記ウェブの水分に基づき、前記第1ミスト発生素子と、前記第2ミスト発生素子とを個別に制御可能である、請求項1に記載のシート製造装置。
【請求項5】
温度を計測可能な温度検出部を備え、
前記制御部は、前記温度検出部により計測した温度に基づき、前記第1ミスト発生素子と、前記第2ミスト発生素子とを個別に制御可能である、請求項1に記載のシート製造装置。
【請求項6】
湿度を計測可能な湿度検出部を備え、
前記制御部は、前記湿度検出部により計測した湿度に基づき、前記第1ミスト発生素子と、前記第2ミスト発生素子とを個別に制御可能である、請求項1に記載のシート製造装置。
【請求項7】
前記ウェブの厚さを計測可能な厚さ検出部を備え、
前記制御部は、前記厚さ検出部により計測した前記ウェブの厚さに基づき、前記第1ミスト発生素子と、前記第2ミスト発生素子とを個別に制御可能である、請求項1に記載のシート製造装置。
【請求項8】
前記加湿部に貯留され、ミストを発生させるための水の水温を計測可能な水温検出部を備え、
前記制御部は、前記水温検出部により計測した水温に基づき、前記第1ミスト発生素子と、前記第2ミスト発生素子とを個別に制御可能である、請求項1に記載のシート製造装置。
【請求項9】
繊維を含む材料からシートを製造するシート製造装置であって、
前記繊維を含む材料を堆積させてウェブを形成する堆積部と、
前記ウェブを保持して搬送方向へ搬送する搬送ベルトを有するウェブ搬送部と、
前記搬送ベルトと対向するように設けられ、前記ウェブに水分を付与する加湿部と、
前記水分が付与された前記ウェブに対し、加熱及び加圧の少なくとも一方を行うシート形成部と、
制御部と、を備え、
前記加湿部は、前記ウェブの幅方向に複数のミスト発生素子を線対称となるように配置し、
前記制御部は、前記線対称に対応する条件により、前記複数のミスト発生素子を個別に制御可能である、シート製造装置。
【請求項10】
少なくとも第1ミスト発生素子及び第2ミスト発生素子を備えるシート製造装置のシート製造方法であって、
繊維を含む材料を堆積させてウェブを形成し、
前記ウェブを搬送し、
個別に制御可能である前記第1ミスト発生素子、及び、前記第2ミスト発生素子の少なくともいずれかにより、前記ウェブに水分を付与し、
前記水分が付与された前記ウェブに対して、加熱及び加圧の少なくとも一方を行う、シート製造方法。
【請求項11】
複数のミスト発生素子をウェブの幅方向に線対称となるように配置するシート製造装置のシート製造方法であって、
繊維を含む材料を堆積させて前記ウェブを形成し、
前記ウェブを搬送し、
前記線対称に対応する条件により、前記複数のミスト発生素子を個別に制御して、前記ウェブに水分を付与し、
前記水分が付与された前記ウェブに対して、加熱及び加圧の少なくとも一方を行う、シート製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート製造装置、及び、シート製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、ウェブに水分を付与した後に熱処理を行う装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の装置では、ウェブに適切に水分を付与できないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
シート製造装置は、繊維を含む材料を堆積させてウェブを形成する堆積部と、前記ウェブを保持して搬送する搬送ベルトを有するウェブ搬送部と、前記搬送ベルトと対向するように設けられ、前記ウェブに水分を付与する加湿部と、前記水分が付与された前記ウェブに対し、加熱及び加圧の少なくとも一方を行うシート形成部と、制御部と、を備え、前記加湿部は、少なくとも第1ミスト発生素子及び第2ミスト発生素子を有し、前記制御部は、前記第1ミスト発生素子と、前記第2ミスト発生素子とを個別に制御可能である。
【0006】
繊維を含む材料からシートを製造するシート製造装置は、前記繊維を含む材料を堆積させてウェブを形成する堆積部と、前記ウェブを保持して搬送方向へ搬送する搬送ベルトを有するウェブ搬送部と、前記搬送ベルトと対向するように設けられ、前記ウェブに水分を付与する加湿部と、前記水分が付与された前記ウェブに対し、加熱及び加圧の少なくとも一方を行うシート形成部と、制御部と、を備え、前記加湿部は、前記ウェブの幅方向に複数のミスト発生素子を線対称となるように配置し、前記制御部は、前記線対称に対応する条件により、前記複数のミスト発生素子を個別に制御可能である。
【0007】
少なくとも第1ミスト発生素子及び第2ミスト発生素子を備えるシート製造装置のシート製造方法であって、繊維を含む材料を堆積させてウェブを形成し、前記ウェブを搬送し、個別に制御可能である前記第1ミスト発生素子、及び、前記第2ミスト発生素子の少なくともいずれかにより、前記ウェブに水分を付与し、前記水分が付与された前記ウェブに対して、加熱及び加圧の少なくとも一方を行う。
【0008】
複数のミスト発生素子をウェブの幅方向に線対称となるように配置するシート製造装置のシート製造方法であって、繊維を含む材料を堆積させて前記ウェブを形成し、前記ウェブを搬送し、前記線対称に対応する条件により、前記複数のミスト発生素子を個別に制御して、前記ウェブに水分を付与し、前記水分が付与された前記ウェブに対して、加熱及び加圧の少なくとも一方を行う。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】奇数個のミスト発生素子の配置を示す模式図。
【
図4】偶数個のミスト発生素子の配置を示す模式図。
【
図5】シート製造装置のシート製造方法を示すフローチャート。
【
図6】奇数個のミスト発生素子の駆動条件を示す表。
【
図7】偶数個のミスト発生素子の駆動条件を示す表。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.シート製造装置の構成
本実施形態に係るシート製造装置1の構成について、
図1~
図4を参照しながら説明する。
なお、各図における方向を、三次元座標系を用いて説明する。説明の便宜上、Z軸の正方向を上方向又は単に上と称し負方向を下方向又は単に下と称し、X軸の正方向を後方向又は単に後と称し負方向を前方向又は単に前と称し、Y軸の正方向を右方向又は単に右と称し負方向を左方向又は単に左と称して説明する。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係るシート製造装置1は、いわゆる乾式にて、繊維等を含む材料である原料Cから、ウェブWを形成し、単票形状のシートSを製造する装置である。本実施形態において乾式とは、シート製造において、液体中で実施されずに、大気などの気中で実施されることをいうものとする。なお、シート製造装置1は、乾式であることに限定されず、いわゆる湿式であってもよい。
また、以下では、原料Cは、ウェブW、シートSと、順次形態を変えながら、シート製造装置1において上流から下流へ移動するものとして説明する。
【0012】
シート製造装置1は、上流から下流へ向かって、供給部5、粗砕部10、解繊部30、混合部60、堆積部105、ウェブ形成部70、ウェブ搬送部80、温度検出部41、湿度検出部42、厚さ検出部43、加湿部90、水分計40、空気噴射部150、シート形成部110、切断部120が配置されるように構成される。また、加湿部90には、後述の水温検出部44が備えられる。
【0013】
さらに、シート製造装置1は、コントローラーであって、上記の各部を統括的に制御する制御部140を備える。制御部140は、プロセッサー及びメモリーを含む。プロセッサーは、メモリーに記憶されているファームウェアなどのプログラムを読み出して実行し、シート製造装置1の各部を制御することができる。
【0014】
供給部5は粗砕部10に原料Cを供給する。供給部5は、自動送り機構6を備え、粗砕部10に原料Cを連続的かつ自動的に投入する。原料Cは、各種繊維又は各種繊維の材料を含む。
各種繊維は、特に限定されず、広範な繊維を用いることができる。例えば、繊維としては、天然繊維(動物繊維、植物繊維)、化学繊維(有機繊維、無機繊維、有機無機複合繊維)などが含まれる。更に詳しくは、セルロース、絹、羊毛、綿、大麻、ケナフ、亜麻、ラミー、黄麻、マニラ麻、サイザル麻、針葉樹、広葉樹等からなる繊維等が挙げられ、これらを単独で用いてもよいし、適宜混合して用いてもよいし、精製などを行った再生繊維として用いてもよい。
【0015】
繊維の材料としては、例えば、パルプ、古紙、古布等が挙げられる。また、繊維は、各種の表面処理がされていてもよい。また、繊維の材質は、純物質であってもよいし、不純物及びその他の成分など、複数の成分を含む材質であってもよい。また、繊維としては、古紙やパルプシートなどを乾式で解繊した解繊物を用いてもよい。
【0016】
繊維の長さは、特に限定されないが、独立した1本の繊維で、その繊維の長手方向に沿った長さが、1μm以上5mm以下、好ましくは、2μm以上3mm以下、より好ましくは3μm以上2mm以下である。
【0017】
シート製造装置1では、後述のように、加湿部90においてウェブWに水分を付与するので、フィブリル(Fibril)間の水素結合を形成する能力のある繊維を用いると、形成されるシートSの機械的強度を高めることができる。そのような繊維の例としては、セルロースが挙げられる。なお、以下では、加湿部90がウェブWに水分を付与することを加湿とも称する。
【0018】
なお、シートSにおける繊維の含有量は、例えば、50質量%以上99.9質量%以下、好ましくは、60質量%以上99質量%以下、より好ましくは70質量%以上99質量%以下である。後述のように、混合部60において混合物を形成する際に所定の配合を行うことで、このような含有量とすることができる。
【0019】
粗砕部10は、供給部5によって供給された原料Cを、大気などの気中で、乾式にて裁断して細片にする。細片の形状や大きさは、例えば、数cm角の細片である。粗砕部10は、粗砕刃11を有し、粗砕刃11によって、投入された原料Cを裁断することができる。
粗砕部10としては、例えば、シュレッダーを用いることができる。粗砕部10によって裁断された原料Cの細片は、定量供給部15へ搬送される。
【0020】
定量供給部15は、原料Cの細片を計量してホッパー12へ定量供給する。定量供給部15としては、例えば、振動フィーダーを用いることができる。ホッパー12に供給された原料Cの細片は、管20内を搬送されて解繊部30の導入口31に至る。
【0021】
解繊部30は、原料Cの細片を乾式にて解繊する。解繊部30は、導入口31、排出口32、ステーター33、ローター34を備える。
ステーター33は円筒形状を有する。ローター34は、ステーター33の円筒形状の内側面に沿って回転する。ステーター33、及び、ローター34は、いわゆるインペラーミルを構成する。導入口31から導入された原料Cの細片は、ステーター33とローター34との間に挟まれて回転し、これらの間に生じるせん断力によって解繊される。解繊部30により、絡まった繊維が解きほぐされて、解繊物が生成される。
【0022】
さらに、解繊部30は、ローター34の回転により、原料Cの細片を吸引し、解繊物を排出するような気流を発生させることができる。これにより、解繊部30は、自ら発生する気流によって、導入口31から原料Cの細片を気流と共に吸引し、解繊処理して、解繊物を排出口32へと排出することができる。
解繊部30で解繊処理された解繊物は、排出口32から管67を介して、混合部60へ搬送される。なお、解繊部30から堆積部105へ解繊物を搬送させるための気流は、解繊部30が発生させる気流を利用してもよいし、別途、ブロアー等の気流発生装置(図示省略)を設け、その気流を利用してもよい。
【0023】
管67は管68に連通する。管67は、解繊部30の内部に連通し、管68は堆積部105の内部に連通する。解繊部30と堆積部105との間であって、管67と管68との間には、混合部60が配置される。
混合部60は、大気などの気中で、解繊物に結着剤などを混合して混合物を生成する。混合部60は、ホッパー13,14、供給管61,62、バルブ65,66を含んで構成される。
なお、ホッパー13,14は、スクリューフィーダー(図示省略)やディスクフィーダー(図示省略)などを含んで構成されてもよい。
【0024】
ホッパー13は、供給管61を介して管67の内部に連通する。供給管61において、バルブ65はホッパー13と管67との間に設けられる。ホッパー13は結着剤を管67内へ供給する。バルブ65は、ホッパー13から管67に供給される結着剤の重量を調整する。これにより、解繊物と結着剤との混合比が調整される。
【0025】
また、ホッパー14は、供給管62を介して管67の内部に連通する。供給管62において、バルブ66はホッパー14と管67との間に設けられる。ホッパー14は、結着剤以外の添加剤を管67内へ供給する。バルブ66は、ホッパー14から管67に供給される添加剤の重量を調整する。これにより、解繊物と添加剤との混合比が調整される。
結着剤、添加剤は、管67に連通する管68内を搬送されながら、解繊物と混合されて混合物となる。混合物は管68から堆積部105へ搬送される。
【0026】
なお、別途、ブロアー等の気流発生装置(図示省略)を設け、その気流を利用して、管68内で、添加剤、結着剤、及び、解繊物を混合するようにしてもよい。また、別途、混合する機構を設けてもよい。例えば、混合する機構としては、高速回転する羽根により攪拌する機構(図示省略)であってもよいし、V型ミキサー(図示省略)のように容器の回転を利用する機構であってもよい。
【0027】
ここで、結着剤及び添加剤について説明する。結着剤は、例えば、澱粉またはデキストリンである。澱粉は、複数のα-グルコース分子がグリコシド結合によって重合した高分子である。澱粉は、直鎖状であってもよいし、分岐を含んでもよい。
澱粉は、各種植物由来のものを用いることができる。澱粉の原料としては、トウモロコシ、小麦、米等の穀類、ソラマメ、緑豆、小豆等の豆類、ジャガイモ、サツマイモ、タピオカ等のイモ類、カタクリ、ワラビ、葛等の野草類、サゴヤシ等のヤシ類が挙げられる。
【0028】
また、澱粉として加工澱粉、変性澱粉を用いてもよい。加工澱粉としては、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化澱粉、酸化澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、ヒドロキシプロピル澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、リン酸化澱粉、リン酸物エステル化リン酸架橋澱粉、尿素リン酸化エステル化澱粉、澱粉グリコール酸ナトリウム、高アミロースコーンスターチ等が挙げられる。また、変性澱粉としてのデキストリンは、澱粉を加工又は変性して得られるものを好適に用いることができる。
【0029】
シート製造装置1において、結着剤として澱粉またはデキストリンを用いることにより、後述のように、加湿部90でウェブWに水分が付与された後にシート形成部110で加圧加熱されることで、結着剤の糊化、及び、繊維のフィブリル間の水素結合の少なくとも一方が生じ、製造されるシートSに十分な強度を持たせることができる。
一方、繊維のフィブリル間の水素結合のみでシートSに十分な強度を持たせることができる場合は、結着剤を用いずにシートSを製造することもできる。なお、結着剤を用いずにシートSを製造する場合、シート製造装置1はホッパー13等を備えなくてもよい。
【0030】
シートSにおける澱粉またはデキストリンの含有量は、例えば、0.1質量%以上50質量%以下、好ましくは、1質量%以上40質量%以下、より好ましくは1質量%以上30質量%以下である。混合部60のバルブ65の調整により、このような含有量とすることができる。
【0031】
ホッパー14から供給管62を介して管67に供給される添加剤には、製造されるシートSの種類に応じて、繊維を着色するための着色剤や、繊維の凝集や結着剤の凝集を抑制するための凝集抑制剤、繊維等を燃え難くするための難燃剤などが含まれていてもよい。
なお、添加剤は必須の成分ではない。添加剤を用いない場合、ホッパー14等を備えなくてもよい。
【0032】
次に、堆積部105は、例えば、ドラム部106と、ドラム部106を収容するハウジング部107と、ウェブ形成部70とを含んで構成される。
混合部60で混合された混合物は、管68を介して、堆積部105へ搬送される。ドラム部106は、混合物を導入し、絡み合った繊維等をほぐして、大気などの気中で分散させながらウェブ形成部70に降らせる。これにより、ドラム部106は、ウェブ形成部70に、混合物を均一性よく堆積させることができる。
【0033】
ドラム部106としては、例えば、回転可能な円筒の篩を用いる。混合物は、管68からドラム部106の円筒の篩の内側に導入される。
ドラム部106は、円筒の篩である網を有する。ドラム部106は、混合物に含まれる、網の目開きの大きさより小さい繊維又は粒子を、モーター(図示省略)により回転する円筒の網の内側から外側へ通過させて、ウェブ形成部70に降らせる。
なお、ドラム部106の「篩」は、特定の対象物を選別する機能を有していなくてもよい。すなわち、ドラム部106として用いられる「篩」とは、網を備えたもの、という意味であり、ドラム部106は、ドラム部106に導入された混合物の全てを降らしてもよい。
【0034】
ウェブ形成部70は、ドラム部106から降る混合物を堆積して、ウェブWを形成する。ウェブ形成部70は、例えば、第1メッシュベルト72と、複数の張架ローラー74と、第1サクション機構76と、を含んで構成される。
第1メッシュベルト72上には、ドラム部106の網を通過した混合物が堆積される。第1メッシュベルト72は、張架ローラー74によって張架され、混合物を通し難く空気を通し易い構成である。第1メッシュベルト72は、いわゆる無端ベルトであり、モーター(図示省略)により張架ローラー74が自転することによって、時計回りに周回する。第1メッシュベルト72が連続的に移動しながら、ドラム部106から混合物が連続的に降り積もることにより、第1メッシュベルト72上にウェブWが形成される。
【0035】
第1サクション機構76は、第1メッシュベルト72の下方に設けられる。第1サクション機構76は、下方に向く気流を発生させることができる。第1サクション機構76によって、ドラム部106により空気中に分散された混合物を、第1メッシュベルト72上に吸引することができる。また、第1サクション機構76により、堆積部105からの混合物の排出速度を速くすることができる。
さらに、第1サクション機構76によって、混合物の落下経路にダウンフローを形成することができ、落下中に繊維や結着剤などが絡み合うことを防ぐことができる。
【0036】
このように、堆積部105は、繊維を含む混合物を気流によって堆積させてウェブWを形成することができる。堆積部105を経ることにより、さらに繊維に結着剤等が混合され、空気を多く含み柔らかく膨らんだ状態のウェブWが形成される。
【0037】
第1メッシュベルト72上におけるウェブWの下流には、ウェブ搬送部80が配置される。ウェブ搬送部80は、第1メッシュベルト72上のウェブWを、搬送方向Tへ向かって搬送する。
具体的には、ウェブ搬送部80は、ウェブWを第1メッシュベルト72から剥がしてシート形成部110に向けて搬送する。なお、
図1において、搬送方向Tは右方向であり、搬送方向の反対方向は左方向である。
【0038】
ところで、シート製造装置1の構成は同じではあるが、説明の便宜上、
図1に対して
図2は、Y軸の正方向を逆にして示している。すなわち、
図1はシート製造装置1を前から見た図であるのに対し、
図2はシート製造装置1の加湿部90を後から見た図となっている。例えば、
図1ではウェブWの搬送方向Tが図に向かって右を示しているのに対し、
図2では搬送方向Tが図に向かって左を示すように表示される。
【0039】
図2を参照して、ウェブ搬送部80、及び、加湿部90について説明する。ウェブ搬送部80は、ウェブWを搬送する搬送ベルトである第2メッシュベルト81と、第2メッシュベルト81を移動させる複数のローラー82と、ウェブWを吸引する吸引部としての第2サクション機構83と、を有する。
第2メッシュベルト81は、複数のローラー82によって張架され、後述の加湿空気MAを通すことができる構成となっている。第2メッシュベルト81は、無端ベルトであり、モーター(図示省略)によるローラー82の自転により、時計回りに周回可能に構成される。
【0040】
第2サクション機構83は、第2メッシュベルト81を挟んでウェブWに対して上方から対向する位置に配置される。第2サクション機構83は、複数の吸気ファン86を備え、吸気ファン86の吸引力によって、ウェブWに接触する第2メッシュベルト81に上向きの気流を発生させる。気流の方向はウェブWの厚さ方向でもある。この気流によって、第2メッシュベルト81を介してウェブWを上方から吸引し、第2メッシュベルト81の下方にウェブWを保持することができる。
【0041】
さらに詳細には、第2サクション機構83は、後述の加湿空気MAを吸引するための複数の吸引口84を有する。また、第2サクション機構83は、複数の吸引口84にそれぞれ接続された吸引ダクト85を有する。
吸引ダクト85は、吸引口84を形成する壁部によって区画される。複数の吸引口84にそれぞれ接続された吸引ダクト85により、ウェブWに対する吸引量を安定させることができる。
【0042】
ウェブ搬送部80により、ウェブWを第1メッシュベルト72から剥がして、第2メッシュベルト81へ移し、搬送方向Tへ搬送することができる。ウェブWの上面である一方面Waは、第2メッシュベルト81に接触する一方、ウェブWの下面である他方面Wbは、第2メッシュベルト81に接触しない。
すなわち、ウェブWの一方面Waは、第1メッシュベルト72には接触していなかったが、第2メッシュベルト81には接触するようになる。一方、ウェブWの他方面Wbは、第1メッシュベルト72には接触していたが、第2メッシュベルト81には接触しないようになる。
このように、ウェブWは、第1メッシュベルト72から第2メッシュベルト81へ搬送される際、それぞれに接触する面が他方面Wbから一方面Waへ切り替わることとなる。
【0043】
また、以下では、ウェブWの一方面Waに接触する第2メッシュベルト81の外側の面であって外周の面を一方の面と称し、ウェブWに接触しない内側の面であって内周の面を他方の面と称する。
ウェブWは、第2メッシュベルト81の一方の面が下方に向いているとき、第2サクション機構83により吸引されて、第2メッシュベルト81の一方の面に吸着される。すなわち、下方に向いている第2メッシュベルト81の一方の面は、ウェブWを重力に逆らって保持することが可能である。このような第2メッシュベルト81を、背面搬送ベルトともいう。
【0044】
このように、ウェブWは、第2メッシュベルト81の下方において、第2メッシュベルト81の一方の面に一方面Waが接触した状態で、搬送方向Tへ搬送される。
このとき、第2サクション機構83は、第2メッシュベルト81の他方の面から、ウェブWを安定的に吸引することができる。ウェブWは、下方から支持するものがない状態となっているが、第2メッシュベルト81に吸着され、剥がれて落下することがない。
【0045】
図2に示すように、温度検出部41、湿度検出部42、厚さ検出部43、加湿部90、及び、水分計40は、ウェブ搬送部80の第2メッシュベルト81の一方の面側に配置される。また、少なくとも、厚さ検出部43及び加湿部90は、下方から第2メッシュベルト81に対向するように配置される。
【0046】
加湿部90は、下部がケース99で覆われ、上部はダクト91で覆われている。加湿部90は、吸気口である空気吸気口95a、水貯蔵部であるタンク96、ミスト生成部97、ダクト91を含んで構成される。ダクト91は、排気口93aを有する。
図2を参照しながら、流路Fの上流から下流に従って、加湿部90の構成について説明する。なお、加湿部90における流路Fに沿った空気A等の流れは、加湿部90の上方向に位置する第2サクション機構83による吸引力に基づき発生する。また、流路Fは、上流から下流へ向かって、空気流路F1、第1流路F2、第2流路F3、第3流路F4を含んでいる。
【0047】
空気ダクト95は、空気Aを空気吸気口95aから取り入れ、ウェブWの搬送方向Tに対して反対方向へ向かう空気流路F1に沿って流し、空気排気口95bから排気する。
空気吸気口95aは、空気Aを搬送方向Tの反対方向へスムーズに流せるように、ケース99の右の面に開口されている。
【0048】
タンク96は、ミストを発生させるための水Lを貯留可能である。空気排気口95bから排気された空気Aは、タンク96に貯留された水Lの水面へ向かって流れる。空気排気口95bは、空気Aを、タンク96の水Lの水面へ向かってスムーズに流せるように、空気ダクト95の左下に開口されている。
また、タンク96には、貯留された水Lの温度を検出可能な水温検出部44が備えられる。
【0049】
タンク96の底部には、水LからミストMを生成するミスト生成部97が配置される。ここで、
図3及び
図4を参照して、ミスト生成部97について詳しく説明する。ミスト生成部97を複数のミスト発生素子が構成する例として、
図3はミスト発生素子が奇数個の場合を示し、
図4は偶数個の例を示す。
【0050】
図3の例では、ミスト生成部97には、5個のミスト発生素子である、第1ミスト発生素子97a、第2ミスト発生素子97b、第3ミスト発生素子97c、第4ミスト発生素子97d、第5ミスト発生素子97eが含まれる。
第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97eは、ウェブWの搬送方向Tと交差する方向であるウェブWの幅方向に、それぞれ並んで配置される。
【0051】
第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97eは、第1対称軸H1に対して線対称となるように配置される。
図3の場合、奇数個である5個の第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97eが並んでいるので、真ん中のミスト発生素子である第3ミスト発生素子97c上に、第1対称軸H1が位置する。第1対称軸H1は搬送方向Tと並行に延び、ウェブWの幅方向と交わる方向へ延びる。
ウェブWの幅方向に線対称となるように配置された複数のミスト発生素子である第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97eにより、ウェブWは幅方向に、より均一に加湿されることができる。
【0052】
第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97eは、例えば、圧電振動子である。圧電振動子が駆動されて振動し、水L中に超音波が発生して水LからミストMが生成される。生成されたミストMは、タンク96の水Lの水面から立ち昇る。
【0053】
制御部140は、圧電振動子である第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97eに対して、個別にPWM(Pulse Width Modulation)制御により駆動させることができる。具体的には、制御部140は、第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97eに印加する駆動パルスのパルス幅のデュ-ティー(Duty)を変えることにより、個別にミストMの発生量を調整することができる。
パルス幅のデュ-ティーとは、駆動パルスの周期における、ONであるHIghレベルの幅と、OFFであるLowレベルの幅との比を示す。以下では、駆動パルスのパルス幅のデュ-ティーを、駆動デュ-ティーと称する。
【0054】
なお、ミスト生成部97のミスト発生素子は、圧電振動子のような超音波方式でなくてもよく、例えば、スチーム式、気化式、温風気化式などでもよい。これらの場合も、制御部140は、各素子に対して個別に制御することができ、ミストMの発生量を調整することができる。 ミスト生成部97により、タンク96の水Lの水面から立ち昇るミストMは、空気排気口95bから水Lの水面へ向かって流される空気Aに乗り、空気A及びミストMが含まれた状態となる。以下では、空気A及びミストMが含まれたものを、加湿空気MAと称する。
【0055】
図4の例では、ミスト生成部97に、4個のミスト発生素子である、第1ミスト発生素子97a、第2ミスト発生素子97b、第3ミスト発生素子97c、第4ミスト発生素子97dが含まれる。
第1ミスト発生素子97a~第4ミスト発生素子97dは、ウェブWの搬送方向Tと交差する方向であるウェブWの幅方向に、それぞれ並んで配置される。
【0056】
第1ミスト発生素子97a~第4ミスト発生素子97dは、第2対称軸H2に対して線対称となるように配置される。
図4の場合、偶数個である4個の第1ミスト発生素子97a~第4ミスト発生素子97dが並んでいるので、中央において隣接する2個のミスト発生素子である第2ミスト発生素子97b、及び、第3ミスト発生素子97cの間に、第2対称軸H2が位置することとなる。第2対称軸H2は搬送方向Tと並行に延び、ウェブWの幅方向と交わる方向へ延びる。
ウェブWの幅方向に線対称となるように配置された複数の第1ミスト発生素子97a~第4ミスト発生素子97dにより、ウェブWは幅方向に、より均一に加湿されることができる。
【0057】
なお、以下では、特に断らない限り、ミスト生成部97には、5個の第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97eが備えられているものとして説明する。
また、上述のように、加湿部90のミスト生成部97は、複数のミスト発生素子により構成される。すなわち、ミスト生成部97は、少なくとも、第1ミスト発生素子97aと、第2ミスト発生素子97bとを備えるようにしてもよい。制御部140は、第1ミスト発生素子97aと、第2ミスト発生素子97bとを、個別に制御することが可能であり、それぞれのミストMの発生量を調整することができる。
【0058】
図2に戻って説明を続ける。タンク96及び排気口93aとの間に、加湿空気MAが通過するダクト91が設けられる。ダクト91は、第1流路F2を形成する第1ダクト92、第2流路F3を形成する第2ダクト93、及び、第3流路F4を形成する第3ダクト94を含んで構成される。
第1ダクト92は、タンク96の上方に設けられ、第2ダクト93は、ウェブWの搬送方向Tへ延在する。第3ダクト94は、第2ダクト93と排気口93aとの間に設けられ、ウェブWの搬送方向Tと交わる方向へ延在する。なお、ウェブWの搬送方向T、及び、搬送方向Tの反対方向は、例えば、水平方向である。ウェブWの搬送方向Tと交わる方向は、例えば、鉛直方向である。
【0059】
第1ダクト92は、第1流路F2の上流では、タンク96の上方において膨らむような形状をし、第1流路F2の下流では、ウェブWの搬送方向Tである第2ダクト93へ向かう形状をしている。そして、第1ダクト92は、第2ダクト93へ向かって、高さが低くなるような形状をしている。このような形状により、第1ダクト92は、タンク96の上方にチャンバーCを形成する。
【0060】
加湿空気MAは、タンク96の水Lの水面から第1ダクト92の壁に沿って上方へ向かった後、第1ダクト92のチャンバーC内で渦状に巻きながら屈曲し、搬送方向Tへ向かう第1流路F2に沿って、流される。加湿空気MAは、チャンバーCで渦状に巻かれるとき、特に流速が速くなる。
この結果、加湿空気MAの空気A及びミストMは、より均一に混ぜられる。加湿空気MAは、より均一にウェブWを加湿することができる。
このように、少なくとも第1ダクト92の第1流路F2の一部の方向は、搬送方向Tであって、空気流路F1の方向に対して反対方向となる。
【0061】
次に、加湿空気MAは、第1ダクト92に連通する第2ダクト93により、搬送方向Tへ向かう第2流路F3に沿って流される。そして、加湿空気MAは、第2ダクト93に連通する第3ダクト94により、第2流路F3から、搬送方向Tと交わる方向である上方へ向かう第3流路F4に沿って、方向を変えながら流される。
加湿空気MAは、第3ダクト94の上方に形成された排気口93aから、上方のウェブWへ向かって排気される。
【0062】
加湿部90は、下方からウェブ搬送部80に対向するように配置される。具体的には、加湿部90の排気口93aは、ウェブ搬送部80の第2メッシュベルト81の一方の面と対向するように配置される。第2メッシュベルト81の一方の面には、ウェブWの上面である一方面Waが接触する。
加湿部90は、排気口93aから、第2メッシュベルト81のウェブWの下面である他方面Wbへ向かって加湿空気MAを排気し、加湿することができる。
【0063】
また、上述のように、加湿部90のミスト生成部97は、少なくとも、第1ミスト発生素子97aと、第2ミスト発生素子97bとを備えるようにしてもよい。加湿部90は、第1ミスト発生素子97a、及び、第2ミスト発生素子97bの少なくともいずれかにより発生したミストMを含む加湿空気MAを、ダクト91を経由して、排気口93aからウェブWに対して排気し、加湿することができる。
【0064】
排気口93aは、矩形形状をしている。排気口93aは、搬送方向Tと交わる方向の辺がウェブWの幅より長く、搬送されるウェブWの幅全体に加湿空気MAを排気することができる。排気口93aにはアルミニウムなどの金網で構成されたメッシュ面で覆われる。排気口93aは、メッシュ面により、加湿空気MAを通過させつつ、排気口93aへの繊維等の異物の進入を抑制することができる。
また、加湿部90は、第3ダクト94の下部に位置するトレイ98を有する。排気口93aから落下して加湿部90内に進入してくる繊維等の異物は、第3ダクト94を通過してトレイ98で受け取られ、捕捉されることができる。
【0065】
上述のように、ウェブ搬送部80の下方に位置する加湿部90は、第3ダクト94の上端に形成された排気口93aにより、ウェブWの下方から加湿空気MAを排気して加湿することができる。このため、加湿部90やその付近に結露が発生した場合でも、水滴がウェブWに落下することがない。
この結果、ウェブWに対する加湿が不均一となることを抑制することができ、シートSの品質に影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0066】
ここで、第2サクション機構83と加湿部90との構成について、より詳しく説明する。
第2サクション機構83は、第2メッシュベルト81の他方の面側であって、第2メッシュベルト81を挟んで加湿部90と対向する位置に配置される。具体的には、第2サクション機構83の吸引口84と加湿部90の排気口93aとが、第2メッシュベルト81を挟んで、互いに対向するように配置される。
そして、加湿部90の排気口93aから排気された加湿空気MAを、ウェブWの厚さ方向に、吸引ダクト85が吸引することができる。
【0067】
このようにして、排気口93aから排気された加湿空気MAは、第2メッシュベルト81を介し、排気口93aに対面する吸引口84から吸引ダクト85を通じて吸引される。そして、加湿空気MAは、第2メッシュベルト81の一方の面に接触しているウェブWの厚さ方向へ向かって、通過することができる。
この結果、加湿空気MAは、ウェブWの厚さ方向における水分量がより均一になるように、加湿することができる。
【0068】
複数の吸引口84は、それぞれ対応する吸引ダクト85に接続されており、それぞれ独立して機能することができる。第2サクション機構83は、排気口93aの直上のウェブWを通過する加湿空気MAの風量を一定とすることができる。これにより、搬送されるウェブWに付与される水分量がより均一化され、シートSの強度のばらつきを抑え、シートSの品質を確保することができる。
【0069】
上述のように、第2サクション機構83の吸引ダクト85は、吸気によってウェブWを第2メッシュベルト81に吸着させることができる。
従って、ウェブWを、ウェブ形成部70の第1メッシュベルト72からウェブ搬送部80の第2メッシュベルト81へ移す際、第2サクション機構83は、ウェブWを第1メッシュベルト72から剥がして第2メッシュベルト81に吸着させることができる。
【0070】
ここで、センサー群である、温度検出部41、湿度検出部42、厚さ検出部43、水分計40について説明する。なお、センサー群には、上述の、加湿部90のタンク96に設けられた水温検出部44も含むものとする。
温度検出部41、湿度検出部42、厚さ検出部43は、加湿部90に対する搬送方向Tの上流の位置において、加湿部90と隣り合うように配置される。水分計40は、加湿部90に対する搬送方向Tの下流の位置において、加湿部90と隣り合うように配置される。なお、ここでの加湿部90の位置は、具体的には排気口93aの位置を指すものとする。
【0071】
後述のように、制御部140は、センサー群の少なくともいずれかの計測結果に基づき、加湿部90のミスト生成部97の第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97eを制御して、ウェブWを加湿することができる。
なお、以下では、センサー群である、温度検出部41、湿度検出部42、厚さ検出部43、水分計40、水温検出部44が計測することを、検出とも称する。
【0072】
温度検出部41は、加湿部90の周囲の温度を検出可能である。温度検出部41は、例として、測温抵抗体、リニア抵抗器、サーミスターのいずれかを用いることができる。
また、水温検出部44も同様のものを用いることができる。水温検出部44は、タンク96の水Lの水温を検出可能である。
湿度検出部42は、加湿部90の周囲の湿度を検出可能である。湿度検出部42は、例として、抵抗変化型、静電容量変化型のいずれかを用いることができる。
【0073】
厚さ検出部43は、第2メッシュベルト81からのウェブWの高さを検出することができる。厚さ検出部43は、例えば、非接触方式の変位計を用いて、ウェブWの厚さを検出可能である。
変位計としては、例として、光学式変位計、渦電流式変位計、超音波式変位計、レーザー変位計、接触式変位計のいずれかを用いることができる。
【0074】
水分計40は、ウェブWに含まれる水分を検出することができる。水分計40は、例えば、非接触で検出可能な赤外線水分計である。この場合、水分計40は、赤外線をウェブWの他方面Wbから照射し、戻ってきた赤外線を受光して、ウェブWに含まれる水分を検出することができる。水分計40は、赤外線の他、例えば、マイクロ波を用いることができる。
なお、厚さ検出部43、及び、水分計40は、検出用の赤外線等が影響を受けないようにするため、ウェブWとの間に何も介在しない位置に配置される。具体的には、これらは、第2メッシュベルト81等が介在しないように、ウェブWの下方に配置される。
【0075】
制御部140は、水分計40によりウェブWの含水率を取得し、ウェブWが規定の含水率になるように、加湿部90のミスト生成部97の第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97eを制御し、加湿空気MAに含まれるミストMの発生量を調整することができる。
具体的には、制御部140のメモリーには、水分計40により取得したウェブWの含水率に対応する第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97eの駆動デューティーが記憶されている。制御部140は、取得したウェブWの含水率に対応する駆動デューティーに基づき、第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97eを個別に制御可能であり、規定の含水率になるようにウェブWを加湿することができる。
【0076】
水分計40は、加湿部90の下流において、加湿部90により加湿されたウェブWに含まれる水分を検出することができる。ところで、ウェブ搬送部80が搬送方向TへウェブWの搬送を開始するとき、ウェブWの先端部分は、上流に位置する加湿部90の排気口93aの位置に至った後に、下流に位置する水分計40の位置に到達することとなる。
すなわち、加湿部90により加湿が開始される際、ウェブWの先端部分は、まだ水分計40の位置に至っていない。
【0077】
そこで、制御部140は、加湿部90により加湿を開始する際、水分計40を除く、少なくとも、温度検出部41、湿度検出部42、厚さ検出部43、水温検出部44のいずれかの検出結果を用いて加湿部90のミスト生成部97を制御し、ウェブWの加湿を開始する。
また、制御部140は、これらの検出結果の任意の組み合わせを用いて加湿部90のミスト生成部97を制御するようにしてもよい。
【0078】
一例として、制御部140は、温度検出部41により検出した温度に基づき、ミスト生成部97を制御して、ウェブWを加湿することができる。
例えば、制御部140は、温度が低い場合には、温度が高い場合に比べ、ミストMの発生量が多くなるように、ミスト生成部97の第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97eを個別に制御可能である。
【0079】
同様に、制御部140は、水温検出部44により検出した水Lの水温に基づき、ミスト生成部97を制御して、ウェブWを加湿することができる。
例えば、制御部140は、水温が低い場合には、水温が高い場合に比べ、ミストMの発生量が多くなるように、ミスト生成部97の第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97eを個別に制御可能である。
【0080】
また、制御部140は、湿度検出部42により検出した湿度に基づき、ミスト生成部97を制御して、ウェブWを加湿することができる。
例えば、制御部140は、湿度が低い場合には、湿度が高い場合に比べ、ミストMの発生量が多くなるように、ミスト生成部97の第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97eを個別に制御可能である。
【0081】
また、制御部140は、厚さ検出部43により検出したウェブWの厚さに基づき、ミスト生成部97を制御して、ウェブWを加湿することができる。
例えば、制御部140は、ウェブWの厚さが厚い場合には、ウェブWの厚さが薄い場合に比べ、ミストMの発生量が多くなるように、ミスト生成部97の第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97eを個別に制御可能である。
【0082】
制御部140のメモリーには、温度、湿度、ウェブWの厚さ、水Lの水温に、それぞれ対応する第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97eの駆動デューティーが記憶されている。さらに、制御部140のメモリーには、これらの任意の組み合わせに対応する第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97eの駆動デューティーが記憶されていてもよい。
【0083】
制御部140は、ウェブWの加湿を開始する際、これらの少なくともいずれかの検出した値に対応する駆動デューティーに基づき、第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97eを個別に制可能である。制御部140は、水分計40の検出結果によらず、適切にミストMを発生させることができ、ウェブWの加湿を開始することができる。
【0084】
そして、ウェブWの先端が水分計40の位置に到達し、水分計40が加湿されたウェブWの水分を検出できるようになる。すると、制御部140は、水分計40により取得したウェブWの含水率に基づき、ミスト生成部97の第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97eを制御して、ウェブWを加湿するように切り替える。
なお、このとき、制御部140は、ウェブWの含水率の他に、温度、湿度、ウェブWの厚さ、水Lの水温の任意の組み合わせを用いて、ミスト生成部97の第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97eを制御するようにしてもよい。
【0085】
シート製造装置1は、上述のセンサー群のうち、少なくとも1つ以上のセンサーを備えるようにしてもよい。すなわち、センサーである、温度検出部41、湿度検出部42、厚さ検出部43、水温検出部44、水分計40の少なくともいずれかを備えるようにしてもよい。
また、上述のように、加湿部90のミスト生成部97は、少なくとも、第1ミスト発生素子97aと、第2ミスト発生素子97bとを備えるようにしてもよい。
この場合、少なくともいずれかのセンサーが検出した結果に基づき、制御部140は、第1ミスト発生素子97aと、第2ミスト発生素子97bとを個別に制御することができる。具体的には、制御部140は、第1ミスト発生素子97aと、第2ミスト発生素子97bとの少なくとも一方に駆動デューティーを印加するように、制御することができる。
【0086】
ウェブWの含水率は、好ましくは12質量%以上40質量%以下である。制御部140は、このような規定の範囲のウェブWの含水率になるように、ミスト生成部97の第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97eを制御する。
この結果、制御部140は、ウェブWの繊維のフィブリル間の水素結合を効果的に形成することができ、シートSの強度を増加させることができる。
【0087】
次に、
図1~
図2に示すように、ウェブ搬送部80及び加湿部90の搬送方向Tの下流には、シート形成部110が配置される。加湿されたウェブWは、シート形成部110へと搬送される。
第2メッシュベルト81から剥がされたウェブWは、上流のウェブWに繋がっている。上流のウェブWは第2メッシュベルト81により搬送されているので、剥がされたウェブWも上流のウェブWに押されて、引き続き、搬送方向Tへ搬送される。そして、第2メッシュベルト81から剥がされたウェブWは、シート形成部110に到達することができる。
【0088】
シート形成部110は、例えば、ウェブWを加圧すると同時に加熱するように構成されるとする。シート形成部110により、加湿されたウェブWに含まれる水分が温度上昇した後に蒸発するとともに、ウェブWの厚さが薄くなって繊維密度を高めることができる。
熱により水分と結着剤とが温度上昇し、圧力により繊維密度が高まることにより、結着剤が糊化し、その後水分が蒸発することにより糊化した結着剤を介して複数の繊維同士が結着する。さらに、熱により水分が蒸発し、圧力により繊維密度が高まることにより、フィブリル間の水素結合によって複数の繊維が結着する。これにより、機械的強度が強く、良好な品質のシートSを形成することができる。
【0089】
この場合、シート形成部110は、具体的には、ウェブWを加圧加熱する加圧加熱部114を有する。加圧加熱部114は、例えば、加熱ローラー、又は、熱プレス成形機などを用いて構成することができる。ここでは、加圧加熱部114は、加熱ローラー対116で構成されるものとする。
加熱ローラー対116によるウェブWの加熱は、ウェブWの温度が、60℃以上100℃以下となるようにすることが好ましい。
【0090】
また、加熱ローラー対116によるウェブWへの圧力は、好ましくは0.1Mpa以上15MPa以下、より好ましくは0.2Mpa以上10MPa以下、さらに好ましくは0.4Mpa以上8MPa以下である。
このような圧力の範囲であれば、繊維の劣化を抑制することができ、製造したシートSを解繊した解繊物を原料にして、再び強度の良好なシートSを製造することができる。
【0091】
なお、シート形成部110は、加熱及び加圧のうち少なくとも一方の処理を行うように構成してもよい。シート形成部110は、加熱及び加圧のうち少なくとも一方の処理を行うことにより、シートSを形成することができる。
シート形成部110は、加熱及び加圧のうち少なくとも一方の処理を行うことにより、結着剤を介して複数の繊維同士を結着させ、シート状に圧縮したシートSを形成することができる。
【0092】
また、加熱ローラー対116の数は、複数でもよく、特に限定されない。また、加熱ローラー対116により、ウェブWに対して加圧及び加熱を同時に行うようにすることもでき、一方のみを行うようにすることもできる。
さらに、シート形成部110は、加圧ローラーや搬送ベルト(例えば、メッシュベルト)を含む構成であってもよい。
【0093】
シート形成部110により形成されたシートSは、連続したシート状となっている。
図1に示すように、切断部120は、連続したシート状のシートSを切断する。
切断部120は、シートSの搬送方向Tと交差する方向である幅方向にシートSを切断する第1切断部122と、搬送方向Tに平行な方向である長さ方向にシートSを切断する第2切断部124と、を有する。第1切断部122がシートSを幅方向に切断した後、第2切断部124がシートSを長さ方向に切断する。
切断された単票形状のシートSは、排出受け部130に排出される。以上により、所定のサイズの単票形状のシートSが製造される。
【0094】
2.シート製造方法
次に、本実施形態に係るシート製造装置1によるシート製造方法について、
図5のフローチャートに示す工程を参照しながら説明する。なお、当該シート製造方法を実施するシート製造装置1の構成については、
図1~
図4を用いて説明した、上述の通りである。また、制御部140が各部を制御することにより各工程が実行される。
【0095】
シート製造装置1において、供給部5により繊維等の原料Cを供給する(S110)。シート製造装置1は、供給された原料Cを、粗砕部10により裁断し、解繊部30により解繊し、混合部60により結着剤等と混合し、堆積部105の第1サクション機構76の気流を用いて混合物を堆積し、ウェブ形成部70でウェブWを形成する(S111)。
ウェブ搬送部80は、第2メッシュベルト81を介して、第2サクション機構83により上方からウェブWを吸引しつつ、複数のローラー82により搬送方向Tへ搬送する(S112)。
【0096】
水分計40はウェブWに含まれる水分を検出する(S113)。具体的には、制御部140は、水分計40によりウェブWの含水率を取得する。
そして、制御部140は、ウェブWが規定の含水率になるように、加湿部90のミスト生成部97の第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97eを制御する(S114)。制御部140は、加湿部90により、加湿空気MAに含まれるミストMの発生量を調整して、ウェブWを加湿する(S115)。
【0097】
なお、上述のように、ウェブWの先端部分が、まだ水分計40の位置に至っていない場合には、制御部140は、水分計40を除くセンサー群の少なくともいずれかによる検出結果を用いて第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97eを制御し、ウェブWを加湿することができる。
そして、加湿されたウェブWの先端部分が水分計40の位置に到達すると、制御部140は、水分計40の検出結果を用いて制御するように切り替える。
【0098】
ここで、
図6~
図7を参照しながら、制御部140が各ミスト発生素子を制御する具体的な例を説明する。
図6~
図7は、各ミスト発生素子に対する駆動条件である、制御部140が印加する駆動デューティーの例を示す。
図6は、
図3に示す奇数個の第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97eに対応する駆動条件の例であり、
図7は、
図4に示す偶数個の第1ミスト発生素子97a~第4ミスト発生素子97dに対応する駆動条件の例である。
【0099】
なお、
図6~
図7に示す各ミスト発生素子の駆動デューティーは、水分計40により制御部140が取得したウェブWの所定の含水率に対応する値の一例である。また、これらの駆動デューティーは、水分計40を除くセンサー群の少なくともいずれかによる検出結果に対応する値の一例とすることもできる。
また、各ミスト発生素子に印加される駆動デューティーは、それぞれのミストMの発生量に対応することができる。ミスト発生素子は、駆動デューティーの値が大きい程、より多量のミストMを発生することができる。
【0100】
図6に示すように、組合せ(Combination)1では、第1ミスト発生素子97a、第2ミスト発生素子97b、第3ミスト発生素子97c、第4ミスト発生素子97d、第5ミスト発生素子97eに対する駆動デューティーは、それぞれ33%,OFF,33%,OFF,33%である。
組合せ(Combination)2では、第1ミスト発生素子97a、第2ミスト発生素子97b、第3ミスト発生素子97c、第4ミスト発生素子97d、第5ミスト発生素子97eに対する駆動デューティーは、それぞれOFF,50%,OFF,50%,OFFである。
【0101】
このように、組合せ1、及び、組合せ2において、第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97eの各駆動デューティーの値は、
図3に示す第1対称軸H1に対する線対称と同様の関係となるような値とされる。
すなわち、組合せ1では、
図3に示す第1対称軸H1の線対称の真ん中に位置する第3ミスト発生素子97cの駆動デューティーは33%であり、第3ミスト発生素子97cに隣接する第2ミスト発生素子97b、及び、第4ミスト発生素子97dは共にOFFである。両端の第1ミスト発生素子97a、及び、第5ミスト発生素子97eは、第3ミスト発生素子97cと同じ値であって、共に33%である。
なお、組合せ2の場合も、組合せ1に対して33%及びOFFが入れ替わっているが、線対称の関係については組合せ1の場合と同様である。
【0102】
制御部140は、組合せ1、又は、組合せ2に示すような駆動デュ-ティーを、第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97eにそれぞれ印加することにより、個別にミストMの発生量を調整することができる。
そして、組合せ1、及び、組合せ2に示す駆動デュ-ティーは、第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97eに対し、第1対称軸H1に対する線対称と同様の関係となるような値となっている。
換言すると、制御部140は、第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97eの各々に対して、第1対称軸H1の線対称に対応するような駆動デュ-ティーとなる条件で個別に制御可能である。
【0103】
具体的には、組合せ1のとき、第1ミスト発生素子97a、第3ミスト発生素子97c、第5ミスト発生素子97eの駆動デューティーはそれぞれ33%である。第1ミスト発生素子97a、第3ミスト発生素子97c、第5ミスト発生素子97eは、それぞれ33%に対応するミストMの量を発生することができる。一方、第2ミスト発生素子97b、第4ミスト発生素子97dはOFFであり、ミストMを発生しない。
そして、ミスト生成部97は、第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97eにより、これらを合算した駆動デューティーである99%に対応するミストMの量を発生することができる。
【0104】
また、組合せ2のとき、第2ミスト発生素子97b、第4ミスト発生素子97dの駆動デューティーはそれぞれ50%である。第2ミスト発生素子97b、第4ミスト発生素子97dは、それぞれ50%に対応するミストMの量を発生することができる。一方、第1ミスト発生素子97a、第3ミスト発生素子97c、第5ミスト発生素子97eはOFFであり、ミストMを発生しない。
そして、ミスト生成部97は、第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97eにより、これらを合算した駆動デューティーである100%に対応するミストMの量を発生することができる。
組合せ1のときの合算した駆動デューティーは99%であるので、ミスト生成部97は、組合せ1、及び、組合せ2において、ほぼ同じ量のミストMを発生することができる。
【0105】
図3に示すように、第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97eは、ウェブWの幅方向にそれぞれ並んで配置される。さらに、各駆動デューティーの値は線対称と同様の関係となるような値とされる。ミスト生成部97は、ウェブWの幅方向に、より均一にミストMを発生させて、加湿することができる。
【0106】
次に、
図7に示すように、組合せ(Combination)3では、第1ミスト発生素子97a、第2ミスト発生素子97b、第3ミスト発生素子97c、第4ミスト発生素子97dに対する各駆動デューティーは、それぞれ50%,OFF,OFF,50%である。
組合せ(Combination)4では、第1ミスト発生素子97a、第2ミスト発生素子97b、第3ミスト発生素子97c、第4ミスト発生素子97dに対する各駆動デューティーは、それぞれOFF,50%,50%,OFFである。
【0107】
このように、組合せ3、及び、組合せ4において、第1ミスト発生素子97a~第4ミスト発生素子97dの各駆動デューティーの値は、
図4に示す第2対称軸H2に対する線対称と同様の関係となるような値とされる。
すなわち、組合せ3では、
図4に示す第2対称軸H2の線対称の中央にて隣接する第2ミスト発生素子97b、及び、第3ミスト発生素子97cは共にOFFである。両端の第1ミスト発生素子97a、及び、第4ミスト発生素子97dは、共に50%である。
なお、組合せ4の場合も、組合せ3に対して50%及びOFFが入れ替わっているが、線対称の関係については組合せ3の場合と同様である。
【0108】
制御部140は、組合せ3、又は、組合せ4に示すような駆動デュ-ティーを、第1ミスト発生素子97a~第4ミスト発生素子97dにそれぞれ印加することにより、個別にミストMの発生量を調整することができる。
そして、組合せ3、及び、組合せ4に示す駆動デュ-ティーは、第1ミスト発生素子97a~第4ミスト発生素子97dに対し、第2対称軸H2に対する線対称と同様の関係となるような値となっている。
換言すると、制御部140は、第1ミスト発生素子97a~第4ミスト発生素子97dの各々に対して、第2対称軸H2の線対称に対応するような駆動デュ-ティーとなる条件で個別に制御可能である。
【0109】
組合せ3のとき、第1ミスト発生素子97a、第4ミスト発生素子97dの駆動デューティーは、それぞれ50%である。第1ミスト発生素子97a、第4ミスト発生素子97dは、それぞれ50%に対応するミストMの量を発生することができる。一方、第2ミスト発生素子97b、第3ミスト発生素子97cはOFFであり、ミストMを発生しない。
ミスト生成部97は、第1ミスト発生素子97a~第4ミスト発生素子97dにより、合算した駆動デューティーである100%に対応するミストMの量を発生することができる。
【0110】
組合せ4のとき、第2ミスト発生素子97b、第3ミスト発生素子97cの駆動デューティーは、それぞれ50%である。第2ミスト発生素子97b、第3ミスト発生素子97cは、それぞれ50%に対応するミストMの量を発生することができる。一方、第1ミスト発生素子97a、第4ミスト発生素子97dはOFFであり、ミストMを発生しない。
ミスト生成部97は、第1ミスト発生素子97a~第4ミスト発生素子97dにより、これらを合算した駆動デューティーである100%に対応するミストMの量を発生することができる。
組合せ3のときの合算した駆動デューティーも100%であるので、ミスト生成部97は、組合せ3、及び、組合せ4は、ほぼ同じ量のミストMを発生することができる。
【0111】
図4に示すように、第1ミスト発生素子97a~第4ミスト発生素子97dは、ウェブWの幅方向にそれぞれ並んで配置される。さらに、各駆動デューティーの値は線対称と同様の関係となるような値とされる。ミスト生成部97は、ウェブWの幅方向に、より均一にミストMを発生させて、加湿することができる。
また、上述のように、加湿部90のミスト生成部97は、少なくとも、第1ミスト発生素子97aと、第2ミスト発生素子97bとを備えるようにしてもよい。制御部140は、第1ミスト発生素子97aと、第2ミスト発生素子97bとを、個別に制御することが可能であり、それぞれのミストMの発生量を調整することができる。
【0112】
ウェブWの含水率は、好ましくは12質量%以上40質量%以下である。制御部140は、このような規定の範囲のウェブWの含水率になるように、ミスト生成部97の第1ミスト発生素子97a~第5ミスト発生素子97e、又は、第1ミスト発生素子97a~第4ミスト発生素子97dに各駆動デューティーを印加して、制御することができる。
この結果、制御部140は、より均一に、ウェブWを規定の範囲の含水率になるように、加湿することができる。
【0113】
次に、制御部140は、シート形成部110により、加湿部90で加湿されたウェブWに対して加熱加圧の処理を行い(S116)、シートSを形成する。なお、シート形成部110は、ウェブWに対して加熱及び加圧のうち少なくとも一方の処理を行い、シートSを形成するようにしてもよい。このとき、シートSは連続したシート状に形成される。
制御部140は、切断部120により、連続したシート状のシートSを切断し、所定のサイズの単票形状のシートSが製造される(S117)。
このように、シート製造装置1は、加湿部90によりウェブWをより均一に加湿することができ、ウェブWの含水率を規定の範囲内にすることができる。この結果、シート製造装置1は、ウェブWの繊維のフィブリル間の水素結合を効果的に形成して、強度が強いシートSを製造することができる。
【0114】
以上、これら実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
例えば、ミスト生成部97を構成するミスト発生素子の数について、
図3では奇数個として5個の例を示したが、1個を除き、他の奇数個でもよく、
図4では偶数個として4個の例を示したが、他の偶数個でもよい。
また、センサー群には、水分計40の他、少なくとも、温度検出部41、湿度検出部42、厚さ検出部43、水温検出部44のいずれかを含むように構成してもよい。
また、
図6~
図7の組合せ1~4のいずれかにおいて、各ミスト発生素子の駆動デューティーは、それぞれ同じ値としてもよい。また、各駆動デューティーは、任意の値とすることができ、OFFでなくともよい。
【符号の説明】
【0115】
1…シート製造装置、40…水分計、41…温度検出部、42…湿度検出部、43…厚さ検出部、44…水温検出部、80…ウェブ搬送部、81…第2メッシュベルト、90…加湿部、91…ダクト、93a…排気口、97…ミスト生成部、97a…第1ミスト発生素子,97b…第2ミスト発生素子,97c…第3ミスト発生素子,97d…第4ミスト発生素子,97e…第5ミスト発生素子、105…堆積部、110…シート形成部、114…加圧加熱部、116…加熱ローラー対、140…制御部、C…原料、H1…第1対称軸、H2…第2対称軸、L…水、M…ミスト、MA…加湿空気、T…搬送方向、W…ウェブ、S…シート。