(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169909
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】慣性センサーモジュール、慣性計測装置、および電子機器
(51)【国際特許分類】
G01C 19/5607 20120101AFI20241129BHJP
G01C 19/5614 20120101ALI20241129BHJP
【FI】
G01C19/5607
G01C19/5614
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086770
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 正泰
【テーマコード(参考)】
2F105
【Fターム(参考)】
2F105BB04
2F105BB09
2F105BB11
2F105CC02
2F105CC11
2F105CD13
(57)【要約】
【課題】外的変動が生じた場合でも、検出精度の信頼性が低下することを抑制できる慣性センサーモジュールを提供すること。
【解決手段】慣性センサーモジュール100は、第1軸の物理量としてのZ軸回りの角速度を検出する第1慣性センサーとしての第1慣性センサー1と、Z軸回りの角速度を検出する第2慣性センサー2と、第1慣性センサー1と第2慣性センサー2とを搭載する第1領域41、第1領域41を囲む第2領域42、および第1領域41と第2領域42との間に、第1領域41を囲むように設けられた複数のスリットとしてのスリット51,52,53,54を有する基板4と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸の物理量を検出する第1慣性センサーと、
前記第1軸の物理量を検出する第2慣性センサーと、
前記第1慣性センサーと前記第2慣性センサーとを搭載する第1領域、前記第1領域を囲む第2領域、および前記第1領域と前記第2領域との間に、前記第1領域を囲むように設けられた複数のスリットを有する基板と、を備える、
慣性センサーモジュール。
【請求項2】
前記基板は、前記第2領域に設けられた外部接続部を有する、
請求項1に記載の慣性センサーモジュール。
【請求項3】
前記基板は、前記第2領域に設けられ、前記第1慣性センサーの第1検出信号及び前記第2慣性センサーの第2検出信号を処理する処理装置を有する、
請求項1に記載の慣性センサーモジュール。
【請求項4】
前記複数のスリットは、前記第1慣性センサーおよび前記第2慣性センサーの四方を囲むように設けられる、
請求項1に記載の慣性センサーモジュール。
【請求項5】
前記基板は、
前記複数のスリットの間に設けられた複数の支持部を有し、
前記複数の支持部は、前記第1慣性センサーおよび前記第2慣性センサーの三方または四方を囲むように設けられる、
請求項1に記載の慣性センサーモジュール。
【請求項6】
前記複数のスリットは、第1スリット、第2スリット、第3スリット、および第4スリットを含み、
前記複数の支持部は、
前記第1スリットと前記第2スリットとの間に設けられた第1支持部と、
前記第2スリットと前記第3スリットとの間に設けられた第2支持部と、
前記第3スリットと前記第4スリットとの間に設けられた第3支持部と、
前記第4スリットと前記第1スリットとの間に設けられた第4支持部と、を含む、
請求項5に記載の慣性センサーモジュール。
【請求項7】
前記複数のスリットは、第1スリット、第2スリット、および第3スリットを含み、
前記複数の支持部は、
前記第1スリットと前記第2スリットとの間に設けられた第1支持部と、
前記第2スリットと前記第3スリットとの間に設けられた第2支持部と、
前記第3スリットと前記第1スリットとの間に設けられた第3支持部と、を含む、
請求項5に記載の慣性センサーモジュール。
【請求項8】
第1軸の物理量を検出する第1慣性センサーと、
前記第1軸の物理量を検出する第2慣性センサーと、
前記第1慣性センサーと前記第2慣性センサーとを搭載する第1領域、前記第1領域を囲む第2領域、前記第1領域と前記第2領域との間で前記第1領域を囲む第3領域、前記第1領域と前記第3領域との間に、前記第1領域を囲むように設けられた第1の複数のスリット、および前記第3領域と前記第2領域との間に、前記第3領域を囲むように設けられた第2の複数のスリットを有する基板と、を備える、
慣性センサーモジュール。
【請求項9】
前記基板は、前記第2領域に設けられた外部接続部を有する、
請求項8に記載の慣性センサーモジュール。
【請求項10】
前記基板は、前記第2領域に設けられ、前記第1慣性センサーの第1検出信号及び前記第2慣性センサーの第2検出信号を処理する処理装置を有する、
請求項8に記載の慣性センサーモジュール。
【請求項11】
前記第1の複数のスリットおよび前記第2の複数のスリットは、それぞれ前記第1慣性センサーおよび前記第2慣性センサーの四方を囲むように設けられる、
請求項8に記載の慣性センサーモジュール。
【請求項12】
前記基板は、
前記第1の複数のスリットの間に設けられた第1の複数の支持部を有し、
前記第1の複数の支持部は、前記第1領域の中心からみて、前記第2の複数のスリットのいずれかと重なる、
請求項8に記載の慣性センサーモジュール。
【請求項13】
前記基板は、
前記第2の複数のスリットの間に設けられた第2の複数の支持部を有し、
前記第1の複数の支持部は、前記第1領域の中心からみて、前記第2の複数の支持部のいずれとも重ならない、
請求項12に記載の慣性センサーモジュール。
【請求項14】
前記基板は、
前記第1の複数のスリットの間に設けられた第1の複数の支持部と、
前記第2の複数のスリットの間に設けられた第2の複数の支持部と、を有し、
前記第1の複数の支持部および前記第2の複数の支持部は、それぞれ前記第1慣性センサーおよび前記第2慣性センサーの三方または四方を囲むように設けられる、
請求項8に記載の慣性センサーモジュール。
【請求項15】
前記第1の複数のスリットは、第1スリット、第2スリット、第3スリット、および第4スリットを含み、
前記第1の複数の支持部は、
前記第1スリットと前記第2スリットとの間に設けられた第1支持部と、
前記第2スリットと前記第3スリットとの間に設けられた第2支持部と、
前記第3スリットと前記第4スリットとの間に設けられた第3支持部と、
前記第4スリットと前記第1スリットとの間に設けられた第4支持部と、を含み、
前記第2の複数のスリットは、第5スリット、第6スリット、第7スリット、および第8スリットを含み、
前記第2の複数の支持部は、
前記第5スリットと前記第6スリットとの間に設けられた第5支持部と、
前記第6スリットと前記第7スリットとの間に設けられた第6支持部と、
前記第7スリットと前記第8スリットとの間に設けられた第7支持部と、
前記第8スリットと前記第5スリットとの間に設けられた第8支持部と、を含む、
請求項14に記載の慣性センサーモジュール。
【請求項16】
前記第1の複数のスリットは、第1スリット、第2スリット、および第3スリットを含み、
前記第1の複数の支持部は、
前記第1スリットと前記第2スリットとの間に設けられた第1支持部と、
前記第2スリットと前記第3スリットとの間に設けられた第2支持部と、
前記第3スリットと前記第1スリットとの間に設けられた第3支持部と、を含み、
前記第2の複数のスリットは、第4スリット、第5スリット、および第6スリットを含み、
前記第2の複数の支持部は、
前記第4スリットと前記第5スリットとの間に設けられた第4支持部と、
前記第5スリットと前記第6スリットとの間に設けられた第5支持部と、
前記第6スリットと前記第4スリットとの間に設けられた第6支持部と、を含む、
請求項14に記載の慣性センサーモジュール。
【請求項17】
請求項1ないし請求項16に記載の慣性センサーモジュールを備える慣性計測装置。
【請求項18】
請求項1ないし請求項16に記載の慣性センサーモジュールを備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、慣性センサーモジュール、当該慣性センサーモジュールを備えた慣性計測装置、および当該慣性センサーモジュールを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
加速度や角速度などを測定する慣性センサーモジュールとしては、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。
特許文献1には、3軸の角速度センサーと3軸の加速度センサーとを収納する多軸の慣性センサー、1軸の角速度センサー、およびコネクターを搭載した回路基板が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような慣性センサーモジュールには、温度変化などの外的変動が生じた場合に、検出精度の信頼性が担保されることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の一態様に係る慣性センサーモジュールは、第1軸の物理量を検出する第1慣性センサーと、前記第1軸の物理量を検出する第2慣性センサーと、前記第1慣性センサーと前記第2慣性センサーとを搭載する第1領域、前記第1領域を囲む第2領域、および前記第1領域と前記第2領域との間に、前記第1領域を囲むように設けられた複数のスリットを有する基板と、を備える。
【0006】
本願の一態様に係る慣性センサーモジュールは、第1軸の物理量を検出する第1慣性センサーと、前記第1軸の物理量を検出する第2慣性センサーと、前記第1慣性センサーと前記第2慣性センサーとを搭載する第1領域、前記第1領域を囲む第2領域、前記第1領域と前記第2領域との間で前記第1領域を囲む第3領域、前記第1領域と前記第3領域との間に、前記第1領域を囲むように設けられた第1の複数のスリット、および前記第3領域と前記第2領域との間に、前記第3領域を囲むように設けられた第2の複数のスリット を有する基板と、を備える。
【0007】
本願の一態様に係る慣性計測装置は、上記に記載の慣性センサーモジュールを備える。
【0008】
本願の一態様に係る電子機器は、上記に記載の慣性センサーモジュールを備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1に係る慣性センサーモジュールの斜視図。
【
図2】実施形態1に係る慣性センサーモジュールの平面図。
【
図3A】
図1のA-A線に沿う慣性センサーモジュールの断面図。
【
図3B】
図1のA-A線に沿う慣性センサーモジュールの断面図。
【
図4A】変形例1に係る慣性センサーモジュールの平面図。
【
図4B】変形例2に係る慣性センサーモジュールの平面図。
【
図4C】変形例3に係る慣性センサーモジュールの平面図。
【
図4D】変形例4に係る慣性センサーモジュールの平面図。
【
図4E】変形例5に係る慣性センサーモジュールの平面図。
【
図4F】変形例6に係る慣性センサーモジュールの平面図。
【
図6】実施形態2に係る慣性センサーモジュールの斜視図。
【
図7】実施形態2に係る慣性センサーモジュールの平面図。
【
図8A】変形例7に係る慣性センサーモジュールの平面図。
【
図8B】変形例8に係る慣性センサーモジュールの平面図。
【
図11】実施形態3に係る慣性計測装置の分解斜視図。
【
図12】実施形態3に係る慣性センサーモジュールの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下の各図面では、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
また、以下では、説明の便宜上、互いに直交する3つの軸をX軸、Y軸、およびZ軸とする。また、X軸に平行な方向をX軸方向、Y軸に平行な方向をY軸方向、Z軸に平行な方向をZ軸方向とも言う。また、各軸の矢印方向先端側をプラス側とも言い、反対側をマイナス側とも言う。また、Z軸方向に見ることを平面視とも言い、Z軸を含む断面に対してY軸方向から見ることを断面視とも言う。
【0011】
さらに、以下の説明において、例えば「基板上に」との記載は、基板の上に接して配置される場合、基板の上に他の構造物を介して配置される場合、または基板の上に一部が接して配置され、一部が他の構造物を介して配置される場合のいずれかを表すものとする。また、例えば「基板の上面」との記載は、基板のZ軸方向プラス側の面、を示すものとする。また、例えば「基板の下面」との記載は、基板のZ軸方向マイナス側の面、を示すものとする。
【0012】
1. 実施形態1
本実施形態では、最初に、実施形態1に係る慣性センサーモジュール100の基本的な構成について説明し、次に、応用的な構成について説明する。
【0013】
1.1. 慣性センサーモジュールの基本的な構成
図1は、実施形態1に係る慣性センサーモジュール100の斜視図である。
図2は、実施形態1に係る慣性センサーモジュール100の平面図である。
図3Aおよび
図3Bは、
図1のA-A線に沿った断面図である。
【0014】
図1および
図2に示すように、慣性センサーモジュール100は、第1慣性センサー1、第2慣性センサー2、処理装置3、および基板4を備える。なお、本実施形態において、第1慣性センサー1は、第1慣性センサーの一例であり、第2慣性センサー2は、第2慣性センサーの一例であり、処理装置3は、処理装置の一例である。
【0015】
1.1.1. 基板について
基板4は、第1領域41、第2領域42、スリット51,52,53,54、および支持部61,62,63,64を有する。なお、本実施形態において、スリット51,52,53,54は、複数のスリットの一例であり、スリット51は、第1スリットの一例であり、スリット52は、第2スリットの一例であり、スリット53は、第3スリットの一例であり、スリット54は、第4スリットの一例である。また、支持部61,62,63,64は、複数の支持部の一例であり、支持部61は、第1支持部の一例であり、支持部62は、第2支持部の一例であり、支持部63は、第3支持部の一例であり、支持部64は、第4支持部の一例である。
【0016】
第1領域41は、第2領域42の内側に位置する。換言すると、第2領域42は、第1領域41を囲む。第1領域41の形状は、長方形である。なお、第1領域41の形状は、長方形に限定されない。菱形、三角形、および六角形を含む多角形、楕円を含む円形などであってもよい。
第1領域41には、第1慣性センサー1および第2慣性センサー2が搭載される。また、第2領域42には、処理装置3が搭載される。
【0017】
スリット51,52,53,54は、第1領域41と第2領域42との間に設けられる。また、スリット51,52,53,54は、第1領域41の周辺に沿って、第1領域41を囲むように設けられる。換言すると、第1領域41は、スリット51,52,53,54によって、四方を囲まれる。
また、スリット51,52,53,54は、第1慣性センサー1および第2慣性センサー2の四方を囲む。なお、四方は、第1領域41の4辺ないし周囲、第1慣性センサー1の4辺ないし周囲、または第2慣性センサー2の4辺ないし周囲と読み替えることができる。
【0018】
スリット51,52,53,54は、それぞれ、直角二等辺三角形の直角に交わる2辺からなる形状を有する。なお、スリット51,52,53,54の形状は、これに限定されない。スリット51,52,53,54の他の形状は、後述する変形例で説明する。
【0019】
図3Aに示すように、スリット53およびスリット54は、好適には、基板4を貫通する穴である。スリット51およびスリット52も同様に、基板4を貫通する穴である。なお、スリット51,52,53,54は、
図3Bに示すように、有底の溝であってもよい。また、スリット51,52,53,54のうちの一部を貫通穴として、残りを溝とすることもできる。
【0020】
また、スリット51,52,53,54は、外的変動としての物理的曲げ応力の伝搬を緩和する緩衝部としての機能を有する。
したがって、慣性センサーモジュール100に外的変動としての物理的曲げ応力が印加された場合、スリット51,52,53,54は、第2領域42を介して第1領域41に伝わる応力を緩和して、第1領域41の変形を抑制することができる。
【0021】
図1および
図2に示すように、支持部61,62,63,64は、スリット51,52,53,54を設けることによって形成された隣り合う2つのスリットの間の部分である。
支持部61は、スリット51とスリット52との間の部分である。同様に、支持部62は、スリット52とスリット53との間の部分であり、支持部63は、スリット53とスリット54との間の部分であり、支持部64は、スリット54とスリット51との間の部分である。
【0022】
支持部61,62,63,64は、第1領域41の四方を囲む。換言すると、支持部61,62,63,64は、第1領域41に搭載された第1慣性センサー1および第2慣性センサー2の四方を囲む。
【0023】
また、支持部61,62,63,64は、第1領域41の四方の4カ所において、第2領域42から第1領域41を支持する。換言すると、支持部61,62,63,64は、第1領域41と第2領域42とを連結する。
【0024】
本実施形態では、支持部61,62,63,64は、第1領域41の各辺の中央付近に設けられる。なお、支持部61,62,63,64が設けられる位置は、これに限定されない。支持部61,62,63,64が設けられる他の位置は、後述する変形例で説明する。
【0025】
支持部61,62,63,64は、外的変動としての物理的曲げ応力の伝搬を緩和する緩衝部としての機能を有する。
したがって、慣性センサーモジュール100に外的変動としての物理的曲げ応力が印加された場合、支持部61,62,63,64は、第2領域42から第1領域41に伝わる応力を緩和して、第1領域41の変形を抑制することができる。
【0026】
1.1.2. 第1慣性センサーおよび第2慣性センサーについて
第1慣性センサー1と第2慣性センサー2とは、それぞれ第1軸の物理量を検出して出力する慣性センサーである。例えば、第1軸の物理量が、Z軸回りの角速度の場合、第1慣性センサー1および第2慣性センサー2は、それぞれZ軸回りの角速度を検出する角速度センサーである。
【0027】
第1慣性センサー1および第2慣性センサー2は、第1軸の物理量を検出するセンサー素子がパッケージに収容されたデバイスであり、それぞれ1つのチップとして構成されている。好適には、第1慣性センサー1および第2慣性センサー2は、それぞれセンサー素子と、検出回路と、出力回路とを、パッケージに収容する。
【0028】
第1慣性センサー1および第2慣性センサー2が、Z軸回りの角速度を検出する角速度センサーの場合は、第1慣性センサー1および第2慣性センサー2のセンサー素子は、それぞれZ軸回りの角速度を検出するセンサー素子である。
【0029】
第1慣性センサー1の検出回路は、センサー素子から出力される信号に対して検出処理を行い、出力回路は、検出処理によって得られた信号を第1検出信号をとして出力する。
第2慣性センサー2の検出回路は、センサー素子から出力される信号に対して検出処理を行い、出力回路は、検出処理によって得られた信号を第2検出信号をとして出力する。
【0030】
第1慣性センサー1および第2慣性センサー2はA/Dコンバーターを有していてもよい。A/Dコンバーターは、センサー素子から出力される第1軸の物理量の信号に基づいて、デジタルの検出信号を生成する。
【0031】
なお、第1軸の物理量は、Z軸回りの角速度に限定されない。第1軸の物理量は、X軸回りの角速度、Y軸回りの角速度、X軸の加速度、Y軸の加速度、Z軸の加速度であってもよい。また、慣性センサーモジュール100は、第1軸の物理量を検出する3個以上の慣性センサーを、第1領域41に有していてもよい。
【0032】
また、第1慣性センサー1および第2慣性センサー2は、それぞれ1軸の慣性センサーおよび多軸の慣性センサーのどちらであってもよい。また、第1慣性センサー1および第2慣性センサー2は、同じ種類の慣性センサーまたは異なる種類の慣性センサーのどちらであってもよい。なお、1軸の慣性センサーおよび多軸の慣性センサー、ならびに、同じ種類の慣性センサーおよび異なる種類の慣性センサーについては、後述する応用的な構成で説明する。
【0033】
第1軸は、第1慣性センサー1の検出軸a1の向きおよび第2慣性センサー2の検出軸a2の向きに一致する。なお、検出軸a1の向きおよび検出軸a2の向きは、慣性センサーモジュール100の用途や目的などによって、適宜、設定する。検出軸a1の向きおよび検出軸a2の向きが決まると、検出軸a1の向きおよび検出軸a2の向きが、第1軸となる。
【0034】
例えば、慣性センサーモジュール100を、自動車などの移動体に用いる場合、第1軸は、ヨー(yaw)角を算出するための軸とすることが好ましい。移動体の姿勢制御や位置計測などを行う場合、移動体のロール(roll)角、ピッチ(pitch)角、およびヨー角のうち、特に、ヨー角を正確に算出することが、精度の向上に効果的だからである。ここで、移動体の直進方向をX軸、移動体の重力方向をZ軸、およびX軸とZ軸とに直交する方向をY軸としたとき、移動体のヨー角は、Z軸回りの角速度を検出することで算出される。
【0035】
したがって、慣性センサーモジュール100を移動体に用いる場合、検出軸a1の向きおよび検出軸a2の向きは、Z軸と一致するように設けるとよい。この場合、Z軸が、第1軸となる。
そして、第1慣性センサー1の検出軸a1の向きをZ軸と一致させることで、第1慣性センサー1は、Z軸回りの角速度を検出し、Z軸回りの角速度信号を出力するZ軸角速度センサーとして機能する。
同様に、第2慣性センサー2の検出軸a2の向きをZ軸と一致させることで、第2慣性センサー2は、Z軸回りの角速度を検出し、Z軸回りの角速度信号を出力するZ軸角速度センサーとして機能する。
【0036】
第1慣性センサー1および第2慣性センサー2は、第1領域41の上面において、第1慣性センサー1の検出軸a1と第2慣性センサー2の検出軸a2の向きとが、それぞれZ軸と一致するように設けられる。
【0037】
このように、本実施形態の慣性センサーモジュール100は、Z軸回りの角速度を検出する角速度センサーを2個有することで、Z軸回りの角速度の検出に関してセンサーの冗長性を向上させることができる。さらには、Z軸回りの角速度の検出に関してセンサーの検出精度を向上させることができる。
【0038】
また、本実施形態の慣性センサーモジュール100は、第1慣性センサー1と第2慣性センサー2とを、第1領域41の上面に搭載する。上述したように、第1領域41は、外的変動が生じても、変形が抑制される。
したがって、外的変動が生じても、第1慣性センサー1の検出軸a1の向き、およびまたは、第2慣性センサー2の検出軸a2の向きがZ軸からずれることを抑制でき、検出精度が低下することを抑制することができる。換言すると、第1慣性センサー1と第2慣性センサー2とを第1領域41に搭載することで、外的変動が生じた場合でも、検出精度の信頼性は、維持ないし担保される。
【0039】
処理装置3は、例えばMCUであり、1チップのICとして構成されている。MCUは、Micro Controller Unitの略である。第1慣性センサー1及び第2慣性センサー2は、基板4の配線により処理装置3と接続されている。
【0040】
処理装置3は、第1慣性センサー1からの第1検出信号及び第2慣性センサー2からの第2検出信号の読み取り処理を行う。
処理装置3は、第1慣性センサー1から出力される第1検出信号が入力され、第1検出信号に基づく第1検出データを生成し、第2慣性センサー2から出力される第2検出信号が入力され、第2検出信号に基づく第2検出データを生成する。
また、処理装置3は、第1検出信号及び第2検出信号に対して各種の演算処理を行う。当該演算処理は、例えば、平均化処理である。なお、処理装置3は、温度特性やミスアライメントなどを補正する機能を備えてもよい。
【0041】
1.1.3. 変形例
前述したスリット51,52,53,54の実施形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を、以下に例示する。
【0042】
1.1.3.1. 変形例1
図4Aは、変形例1に係る慣性センサーモジュールの平面図である。
上述した実施形態では、スリット51,52,53,54は、スリットを構成する2辺が、ほぼ同じ長さを有するが、変形例1では、スリット51,52,53,54は、スリットを構成する2辺が、複数倍程度、異なる長さを有する。
そのため、支持部61,62,63,64は、長方形の形状を有する第1領域41の4つの角のうちのそれぞれ異なる角の近くに設けられる。
【0043】
1.1.3.2. 変形例2
図4Bは、変形例2に係る慣性センサーモジュールの平面図である。
変形例2では、スリット51,52,53,54は、直線状に設けられる。また、スリット51,52,53,54は、第1領域41の4つの角のうちのそれぞれ異なる角からそれぞれ異なる辺に沿って設けられる。
そのため、支持部61,62,63,64は、長方形の形状を有する第1領域41の4つの角のうちのそれぞれ異なる角の近くに設けられる。
【0044】
1.1.3.3. 変形例3
図4Cは、変形例3に係る慣性センサーモジュールの平面図である。
変形例3では、スリット51,52,53,54は、直線状に設けられる。また、スリット51,52,53,54は、第1領域41の4つの角を除く、4つの辺のうちのそれぞれ異なる辺に対応して設けられる。
そのため、支持部61,62,63,64は、長方形の形状を有する第1領域41の4つの角のうちのそれぞれ異なる角に設けられる。
【0045】
1.1.3.4. 変形例4
図4Dは、変形例4に係る慣性センサーモジュールの平面図である。
変形例4および後述する変形例5,6は、複数のスリットとして、3つのスリット51,52,53を有する。なお、変形例4,5,6において、スリット51,52,53は、複数のスリットの一例であり、スリット51は、第1スリットの一例であり、スリット52は、第2スリットの一例であり、スリット53は、第3スリットの一例である。
【0046】
スリット51,52,53は、第1領域41と第2領域42との間に設けられるとともに、第1領域41に沿って、第1領域41を囲むように設けられる。これによって、第1領域41は、スリット51,52,53によって、四方を囲まれる。換言すると、スリット51,52,53は、第1領域41に搭載された第1慣性センサー1および第2慣性センサー2の四方を囲む。
【0047】
また、変形例4および後述する変形例5,6は、3つの支持部61,62,63を有する。なお、変形例4,5,6において、支持部61,62,63は、複数の支持部の一例であり、支持部61は、第1支持部の一例であり、支持部62は、第2支持部の一例であり、支持部63は、第3支持部の一例である。
【0048】
支持部61,62,63は、第1領域41の三方を囲むように設けられる。換言すると、支持部61,62,63は、第1領域41に搭載された第1慣性センサー1および第2慣性センサー2の三方を囲む。なお、三方は、第1領域41の4辺のうちの3辺、第1慣性センサー1の4辺のうちの3辺、または第2慣性センサー2の4辺のうちの3辺と読み替えることができる。
【0049】
また、支持部61,62,63は、第1領域41の三方の3カ所において、第2領域42から第1領域41を支持する。換言すると、支持部61,62,63は、第1領域41と第2領域42とを連結する。
【0050】
1.1.3.5. 変形例5
図4Eは、変形例5に係る慣性センサーモジュールの平面図である。
変形例5では、複数のスリットとして、3つのスリット51,52,53を有する。変形例5は、スリット51,52,53のそれぞれの長さが異なる。スリット52の長さが最も短く、スリット53の長さが最も長い。これにより支持部62は、辺の中央辺りに設けられる。
【0051】
1.1.3.6. 変形例6
図4Fは、変形例6に係る慣性センサーモジュールの平面図である。
変形例6では、複数のスリットとして、3つのスリット51,52,53を有する。変形例6は、スリット51とスリット52との長さが同じで、且つ、スリット53の長さより長い。これにより、支持部62と支持部63とは、支持部61が設けられる辺の対辺に設けられる。
【0052】
1.2. 慣性センサーモジュールの応用的な構成
1.2.1. 応用構成1
応用構成1に係る慣性センサーモジュール100は、第1慣性センサー1および第2慣性センサー2の種類と検出軸の数とが異なる。
図5は、応用構成1に係る慣性センサーモジュール100の構成を示すブロック図である。
【0053】
応用構成1に係る慣性センサーモジュール100は、第1慣性センサー1として1軸の水晶ジャイロセンサー1sと、第2慣性センサー2として多軸の6DoF(Degrees of Freedom)センサー2sと、を備える。
【0054】
水晶ジャイロセンサー1sと6DoFセンサー2sとは、基板4の第1領域41に実装され、処理装置3は、基板4の第2領域42に実装される。
【0055】
1軸の水晶ジャイロセンサー1sは、具体的には、振動する物体に加わるコリオリの力から角速度を検出する共振周波数変化型水晶ジャイロであり、第2慣性センサー2よりも高精度の角速度センサーである。
【0056】
6DoFセンサー2sは、3軸の角速度センサー22と3軸の加速度センサー23とを搭載した多軸の慣性センサーである。換言すると、1軸の水晶ジャイロセンサー1sと6DoFセンサー2sとは、検出軸の数が異なる。
【0057】
また、6DoFセンサー2sにおいて、角速度センサー22は、静電容量変化型Si(シリコン)-MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)角速度センサーであり、加速度センサー23は、静電容量変化型Si-MEMS加速度センサーである。換言すると、水晶ジャイロセンサー1sと6DoFセンサー2sとは、センサーの種類が異なる。
【0058】
なお、水晶ジャイロセンサー1sは、静電容量変化型Si-MEMSを複数個用いたマルチセンサーやFOG(Fiber Optic Gyro)などであってよい。また、6DoFセンサー2sの角速度センサー22は、水晶ジャイロなどであってもよく、加速度センサー23は、水晶加速度センサー、ピエゾ抵抗型加速度センサー、および熱検知型加速度センサーであってもよい。
【0059】
6DoFセンサー2sの角速度センサー22は、X軸角速度センサー22x、Y軸角速度センサー22y、およびZ軸角速度センサー22zを含む。
X軸角速度センサー22xは、X軸回りの角速度を検出し、第1の角速度信号を出力する。Y軸角速度センサー22yは、Y軸回りの角速度を検出し、第2の角速度信号を出力する。Z軸角速度センサー22zは、Z軸回りの角速度を検出し、第3の角速度信号を出力する。
【0060】
6DoFセンサー2sの加速度センサー23は、X軸加速度センサー23x、Y軸加速度センサー23y、およびZ軸加速度センサー23zを含む。
X軸加速度センサー23xは、X軸方向での加速度を検出し、第1の加速度信号を出力する。Y軸加速度センサー23yは、Y軸方向での加速度を検出し、第2の加速度信号を出力する。Z軸加速度センサー23zは、Z軸方向での加速度を検出し、第3の加速度信号を出力する。
【0061】
応用構成1に係る慣性センサーモジュール100は、例えば、上述した自動車に用いることができる。
この場合、第1軸は、ヨー角を算出するための軸、すなわち、Z軸とする。
したがって、水晶ジャイロセンサー1sの検出軸a1の方向と、Z軸角速度センサー22zの検出軸a2の方向とは、それぞれZ軸と一致するように設けられる。なお、第1軸は、Z軸に限定されない。用途や目的などに応じて、適宜、X軸またはY軸としてもよい。
【0062】
応用構成1に係る慣性センサーモジュール100は、水晶ジャイロセンサー1sと6DoFセンサー2sとが、第1領域41に実装され、処理装置3が、第2領域42に実装される。
したがって、応用構成1に係る慣性センサーモジュール100によれば、外的変動が生じた場合でも、水晶ジャイロセンサー1sおよびまたは6DoFセンサー2sの検出精度が低下することが抑制される。よって、外的変動が生じた場合でも、慣性センサーモジュール100の検出精度の信頼性が維持ないし担保される。
【0063】
また、応用構成1に係る慣性センサーモジュール100は、Z軸回りの角速度を検出する角速度センサーとして、水晶ジャイロセンサー1sおよびZ軸角速度センサー22zの複数の角速度センサーを有することで、Z軸回りの角速度の検出に関してセンサーの冗長性を向上させることができる。
【0064】
さらには、第1慣性センサー1に、第2慣性センサー2よりも高精度の1軸の水晶ジャイロセンサー1sを用いることで、検出精度を向上させることができる。この点について、本出願人は、本発明者等の実験によって、1軸の水晶ジャイロセンサー1sと6DoFセンサー2sとを用いた場合、それらを単独で用いた場合よりも、検出精度を向上させることができる、という知見を得ている。
【0065】
さらには、1軸の水晶ジャイロセンサー1sと6DoFセンサー2sとを備えた慣性センサーモジュール100は、3軸の水晶ジャイロセンサーよりも安価であるが、高価な3軸の水晶ジャイロセンサーと同等の検出精度を実現することができる。したがって、実用性が高く、産業上の利用価値が高い慣性センサーモジュール100を実現できる。
【0066】
1.2.2. 応用構成2
応用構成2に係る慣性センサーモジュール100は、第1慣性センサー1および第2慣性センサー2の種類およびまたは検出軸の数が同じである。
【0067】
具体的には、応用構成2に係る慣性センサーモジュール100は、第1慣性センサー1として6DoFセンサー2sと、第2慣性センサー2として6DoFセンサー2sと、を備える。
【0068】
または、応用構成2に係る慣性センサーモジュール100は、第1慣性センサー1として1軸の水晶ジャイロセンサー1sと、第2慣性センサー2として1軸の水晶ジャイロセンサー1sと、を備える。
【0069】
または、応用構成2に係る慣性センサーモジュール100は、第1慣性センサー1として3軸の角速度センサーと、第2慣性センサー2として3軸の角速度センサーと、を備える。
【0070】
または、応用構成2に係る慣性センサーモジュール100は、第1慣性センサー1として3軸の加速度センサーと、第2慣性センサー2として3軸の加速度センサーと、を備える。
【0071】
応用構成2に係る慣性センサーモジュール100において、第1軸は、X軸、Y軸、およびZ軸のいずれであってもよい。
また、応用構成2に係る慣性センサーモジュール100において、第1慣性センサー1と第2慣性センサー2とが検出する第1軸の物理量は、X軸回りの角速度、Y軸回りの角速度、Z軸回りの角速度、X軸方向の加速度、Y軸方向の加速度、Z軸方向の加速度のいずれかであってもよい。
【0072】
応用構成2に係る慣性センサーモジュール100は、第1慣性センサー1および第2慣性センサー2の2つの慣性センサーを有するが、3つ以上の慣性センサーを有してもよい。
【0073】
以上、述べたとおり、本実施形態の慣性センサーモジュール100によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態の慣性センサーモジュール100は、第1軸の物理量としてのZ軸回りの角速度を検出する第1慣性センサー1と、Z軸回りの角速度を検出する第2慣性センサー2と、第1慣性センサー1と第2慣性センサー2とを搭載する第1領域41、第1領域41を囲む第2領域42、および第1領域41と第2領域42との間に、第1領域41を囲むように設けられた複数のスリットとしてのスリット51,52,53,54を有する基板4と、を備える。
【0074】
このように、慣性センサーモジュール100は、スリット51,52,53,54により周囲を囲まれた第1領域41を有し、第1領域41に、Z軸回りの角速度を検出する第1慣性センサー1と第2慣性センサー2とを搭載する。
【0075】
したがって、本実施形態の慣性センサーモジュール100は、曲げ応力の印加や温度変化などの外的変動が生じた場合でも、第1慣性センサー1およびまたは第2慣性センサー2の検出精度の信頼性が低下することを抑制できる。よって、本実施形態の慣性センサーモジュール100によれば、外的変動が生じた場合でも、慣性センサーモジュール100の検出精度の信頼性が維持ないし担保される。
【0076】
本実施形態の慣性センサーモジュール100は、さらに、基板4は、第2領域42に設けられた外部接続部としての後述するコネクター8を有する。
したがって、コネクター8を介して伝わる外部変動を緩和することができる。
【0077】
本実施形態の慣性センサーモジュール100は、さらに、第2領域42に設けられ、第1慣性センサー1からの第1検出信号及び第2慣性センサー2からの第2検出信号を処理する処理装置3をさらに備える。
このように、第2領域42に処理装置3を備える。
したがって、処理装置3を熱源する外部変動の影響を緩和することができる。よって、本実施形態の慣性センサーモジュール100は、信頼性の高い演算結果を出力することができる。
【0078】
本実施形態の慣性センサーモジュール100は、さらに、複数のスリットとしてのスリット51,52,53,54は、第1慣性センサーとしての第1慣性センサー1および第2慣性センサーとしての第2慣性センサー2の四方を囲むように設けられる。
したがって、本実施形態の慣性センサーモジュール100は、外的変動が生じた場合でも、第1慣性センサー1およびまたは第2慣性センサー2の検出精度の信頼性が低下することを抑制できる。
【0079】
本実施形態の慣性センサーモジュール100は、さらに、基板4は、複数のスリットとしてのスリット51,52,53,54の間に設けられた複数の支持部としての支持部61,62,63,64を有し、支持部61,62,63,64は、第1慣性センサーとしての第1慣性センサー1および第2慣性センサーとしての第2慣性センサー2の三方または四方を囲むように設けられる。
したがって、本実施形態の慣性センサーモジュール100は、外的変動が生じた場合でも、第1慣性センサー1およびまたは第2慣性センサー2の検出精度の信頼性が低下することを抑制できる。
【0080】
本実施形態の慣性センサーモジュール100は、さらに、複数のスリットとしてのスリット51,52,53,54は、第1スリットとしてのスリット51、第2スリットとしてのスリット52、第3スリットとしてのスリット53、および第4スリットとしてのスリット54を含み、複数の支持部としての支持部61,62,63,64は、スリット51とスリット52との間に設けられた第1支持部としての支持部61と、スリット52とスリット53との間に設けられた第2支持部としての支持部62と、スリット53とスリット54との間に設けられた第3支持部としての支持部63と、スリット54とスリット51との間に設けられた第4支持部ととしの支持部64と、を含む。
【0081】
このように、第1領域41は、四方の4カ所で支持部61,62,63,64によって、第2領域42から支持される。
したがって、本実施形態の慣性センサーモジュール100は、外的変動が生じた場合でも、第1慣性センサー1およびまたは第2慣性センサー2の検出精度の信頼性が低下することを抑制できる。
【0082】
本実施形態の慣性センサーモジュール100は、さらに、複数のスリットとしての51,52,53は、第1スリットとしてのスリット51、第2スリットとしてのスリット52、および第3スリットとしてのスリット53を含み、複数の支持部としての支持部61,62,63は、スリット51とスリット52との間に設けられた第1支持部としての支持部61と、スリット52とスリット53との間に設けられた第2支持部としての支持部62と、スリット53とスリット51との間に設けられた第3支持部としての支持部63と、を含む。
【0083】
このように、第1領域41は、三方の3カ所で支持部61,62,63によって、第2領域42から支持される。
したがって、本実施形態の慣性センサーモジュール100は、外的変動が生じた場合でも、第1慣性センサー1およびまたは第2慣性センサー2の検出精度の信頼性が低下することを抑制できる。
【0084】
2. 実施形態2
実施形態2に係る慣性センサーモジュール100の構成について、
図6および
図7を参照して説明する。
図6は、実施形態2に係る慣性センサーモジュールの斜視図である。
図7は、実施形態2に係る慣性センサーモジュールの平面図である。
【0085】
2.1. 慣性センサーモジュールの構成
実施形態2の慣性センサーモジュール100は、第1領域41を囲む2重のスリットを有する点で、実施形態1と異なる。なお、実施形態1と同一ないし同様の構成には、同じ符号を付して、説明を省略する。
【0086】
図6および
図7において、基板4は、第1領域41、第2領域42、第3領域43、スリット51,52,53,54、支持部61,62,63,64、スリット71,72,73,74、および支持部81,82,83,84を有する。なお、実施形態2において、スリット51,52,53,54は、第1の複数のスリットの一例であり、スリット51は、第1スリットの一例であり、スリット52は、第2スリットの一例であり、スリット53は、第3スリットの一例であり、スリット54は、第4スリットの一例である。また、支持部61,62,63,64は、第1の複数の支持部の一例であり、支持部61は、第1支持部の一例であり、支持部62は、第2支持部の一例であり、支持部63は、第3支持部の一例であり、支持部64は、第4支持部の一例である。
【0087】
第3領域43は、第1領域41と第2領域42の間に位置する。換言すると、第3領域43は、第1領域41を囲み、第2領域42は、第3領域43を囲む。
第1領域41には、第1慣性センサー1と第2慣性センサー2とが搭載される。また、第2領域42には、処理装置3が搭載される。
【0088】
スリット51,52,53,54は、第1領域41と第3領域43との間に設けられる。また、スリット51,52,53,54は、第1領域41の周辺に沿って、第1領域41を囲むように設けられる。換言すると、第1領域41は、スリット51,52,53,54によって、四方を囲まれる。
また、スリット51,52,53,54は、第1慣性センサー1および第2慣性センサー2の四方を囲む。
【0089】
スリット51,52,53,54は、実施形態1と同様に、それぞれ直角二等辺三角形の直角に交わる2辺からなる形状を有する。なお、スリット51,52,53,54の形状は、これに限定されない。スリット51,52,53,54の他の形状は、後述する変形例で説明する。
【0090】
支持部61,62,63,64は、第1領域41の四方の4カ所において、第3領域43から第1領域41を支持する。換言すると、支持部61,62,63,64は、第1領域41と第3領域43とを連結する。
【0091】
支持部61,62,63,64は、実施形態1と同様に、第1領域41の各辺の中央付近に設けられる。なお、支持部61,62,63,64が設けられる位置は、これに限定されない。支持部61,62,63,64が設けられる他の位置は、後述する変形例で説明する。
【0092】
スリット71,72,73,74は、第3領域43と第2領域42との間に設けられる。また、スリット71,72,73,74は、第3領域43の周辺に沿って、第3領域43を囲むように設けられる。換言すると、第3領域43は、スリット71,72,73,74によって、四方を囲まれる。
また、スリット71,72,73,74は、第1慣性センサー1および第2慣性センサー2の四方を囲む。
【0093】
スリット71,72,73,74は、それぞれ直線状に設けられる。なお、スリット71,72,73,74の形状は、これに限定されない。スリット71,72,73,74の他の形状は、後述する変形例で説明する。
【0094】
図示しないが、スリット71,72,73,74は、スリット51,52,53,54と同様に、好適には、基板4を貫通する穴である。なお、スリット71,72,73,74は、有底の溝であってもよい。また、スリット51,52,53,54およびスリット71,72,73,74のうちの一部を貫通穴として、残りを溝とすることもできる。
【0095】
また、スリット51,52,53,54およびスリット71,72,73,74は、外的変動としての物理的曲げ応力の伝搬を緩和する緩衝部としての機能を有する。
したがって、慣性センサーモジュール100に外的変動としての物理的曲げ応力が印加された場合、スリット71,72,73,74は、第2領域42を介して第3領域43に伝わる応力を緩和して、第3領域43および第1領域41の変形を抑制することができる。また、スリット51,52,53,54は、第3領域43を介して第1領域41に伝わる応力を緩和して、第1領域41の変形を抑制することができる。
【0096】
図6および
図7に示すように、支持部81,82,83,84は、スリット71,72,73,74を設けることによって形成された隣り合う2つのスリットの間の部分である。
支持部81は、スリット71とスリット72との間の部分である。同様に、支持部82は、スリット72とスリット73との間の部分であり、支持部83は、スリット73とスリット74との間の部分であり、支持部84は、スリット74とスリット71との間の部分である。
【0097】
支持部81,82,83,84は、第3領域43の四方を囲む。換言すると、支持部81,82,83,84は、第3領域43に囲まれた第1領域41に搭載された第1慣性センサー1および第2慣性センサー2の四方を囲む。
【0098】
支持部81,82,83,84は、第3領域43の4つの角のうちのそれぞれ異なる角の近くに設けられる。
また、支持部81,82,83,84は、第1領域41の中心41cから見たとき、支持部61,62,63,64と重ならない位置に設けられる。なお、支持部81,82,83,84が設けられる位置は、これに限定されない。支持部81,82,83,84が設けられる他の位置は、後述する変形例で説明する。
【0099】
支持部61,62,63,64および支持部81,82,83,84は、外的変動としての物理的曲げ応力の伝搬を緩和する緩衝部としての機能を有する。
したがって、慣性センサーモジュール100に外的変動としての物理的曲げ応力が印加された場合、支持部81,82,83,84は、第2領域42から第3領域43に伝わる応力を緩和して、第3領域43および第1領域41の変形を抑制することができる。また、支持部61,62,63,64は、第3領域43から第1領域41に伝わる応力を緩和して、第1領域41の変形を抑制することができる。
【0100】
さらには、第1領域41の中心41cから見たとき、支持部61,62,63,64と支持部81,82,83,84とが重ならないため、支持部61,62,63,64と支持部81,82,83,84とが重なる場合よりも、第2領域42から第1領域41に伝わる熱や応力を緩和することができる。換言すると、支持部61は、第1領域41の中心41cと支持部81を結ぶ直線上にはなく、支持部62は、第1領域41の中心41cと支持部82を結ぶ直線上にはなく、支持部63は、第1領域41の中心41cと支持部83を結ぶ直線上にはなく、支持部64は、第1領域41の中心41cと支持部84を結ぶ直線上にはないように、配置されている。
【0101】
2.2. 変形例
実施形態2において、スリット51,52,53,54およびスリット71,72,73,74の実施形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を、以下に例示する。
【0102】
2.2.1. 変形例7
図8Aは、変形例7に係る慣性センサーモジュール100の平面図である。
スリット51,52,53,54は、
図4Aに示したスリット51,52,53,54に略相似する。スリット71,72,73,74は、スリット51,52,53,54を左右反転した形状に略相似する。
【0103】
2.2.2. 変形例8
図8Bは、変形例8に係る慣性センサーモジュール100の平面図である。
スリット51,52,53は、
図4Dに示したスリット51,52,53に略相似する。スリット71,72,73は、スリット51,52,53を上下反転した形状に略相似する。
【0104】
2.2.3. 変形例9
図示しないが、変形例7または変形例8において、スリット51,52,53,54またはスリットスリット51,52,53は、上述した形態のいずれを採用してもよい。また、スリット71,72,73,74またはスリット71,72,73は、上述した形態のいずれを採用してもよい。なお、支持部61,62,63,64または支持部61,62,63、および支持部81,82,83,84または支持部81,82,83は、第1領域41の中心41cから見たとき、重ならない位置とすることが好ましい。
また、スリット71,72,73,74またはスリット71,72,73を囲むスリットを設けて、第1領域41を、3重以上のスリットで囲む構成としてもよい。
【0105】
以上、述べたとおり、実施形態2の慣性センサーモジュール100によれば、実施形態1の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
【0106】
実施形態2の慣性センサーモジュール100は、第1軸の物理量としてのZ軸回りの角速度を検出する第1慣性センサーとしての第1慣性センサー1と、Z軸回りの角速度を検出する第2慣性センサー2と、第1慣性センサー1と第2慣性センサー2とを搭載する第1領域41、第1領域41を囲む第2領域42、第1領域41と第2領域42との間で第1領域41を囲む第3領域43、第1領域41と第3領域43との間に、第1領域41を囲むように設けられた第1の複数のスリットとしてのスリット51,52,53,54、および第3領域43と第2領域42との間に、第3領域43を囲むように設けられた第2の複数のスリットとしてのスリット71,72,73,74を有する基板4と、を備える。
【0107】
このように、慣性センサーモジュール100は、スリット51,52,53,54により周囲を囲まれた第1領域41と、第1領域41を囲むと共に、スリット71,72,73,74により周囲を囲まれた第3領域43とを有し、第1領域41に、Z軸回りの角速度を検出する第1慣性センサー1と第2慣性センサー2とを搭載する。
【0108】
したがって、実施形態2の慣性センサーモジュール100は、曲げ応力の印加や温度変化などの外的変動が生じた場合でも、第1慣性センサー1およびまたは第2慣性センサー2の検出精度の信頼性が低下することを抑制できる。よって、本実施形態の慣性センサーモジュール100によれば、外的変動が生じた場合でも、慣性センサーモジュール100の検出精度の信頼性が維持ないし担保される。
【0109】
実施形態2の慣性センサーモジュール100は、さらに、基板4は、第2領域42に設けられた外部接続部としての後述するコネクター8を有する。
したがって、コネクター8を介して伝わる外部変動を緩和することができる。
【0110】
実施形態2の慣性センサーモジュール100は、さらに、第2領域42に設けられ、第1慣性センサーとしての第1慣性センサー1の第1検出信号および第2慣性センサーとしての第2慣性センサー2の第2検出信号を処理する処理装置3をさらに備える。
このように、第2領域42に処理装置3を備える。
したがって、処理装置3を熱源する外部変動の影響を緩和することができる。よって、実施形態2の慣性センサーモジュール100は、信頼性の高い演算結果を出力することができる。
【0111】
実施形態2の慣性センサーモジュール100は、さらに、第1の複数のスリットとしてのスリット51,52,53,54および第2の複数のスリットとしてのスリット71,72,73,74は、第1慣性センサーとしての第1慣性センサー1および第2慣性センサーとしての第2慣性センサー2の四方を囲むように設けられる。
したがって、本実施形態の慣性センサーモジュール100は、外的変動が生じた場合でも、第1慣性センサー1およびまたは第2慣性センサー2の検出精度の信頼性が低下することを抑制できる。
【0112】
本実施形態の慣性センサーモジュール100は、さらに、基板4は、第1の複数のスリットとしてのスリット51,52,53,54の間に設けられた第1の複数の支持部としての支持部61,62,63,64を有し、支持部61,62,63,64は、第1領域41の中心41cからみて、スリット71,72,73,74のいずれかと重なる。
したがって、本実施形態の慣性センサーモジュール100は、外的変動が生じた場合でも、第1慣性センサー1およびまたは第2慣性センサー2の検出精度の信頼性が低下することを抑制できる。
【0113】
本実施形態の慣性センサーモジュール100は、さらに、基板4は、第2の複数のスリットとしてのスリット71,72,73,74の間に設けられた第2の複数の支持部としての支持部81,82,83,84を有し、支持部61,62,63,64は、第1領域41の中心41cからみて、支持部81,82,83,84のいずれとも重ならない。
したがって、本実施形態の慣性センサーモジュール100は、外的変動が生じた場合でも、第1慣性センサー1およびまたは第2慣性センサー2の検出精度の信頼性が低下することを抑制できる。
【0114】
本実施形態の慣性センサーモジュール100は、さらに、基板4は、第1の複数のスリットとしてのスリット51,52,53,54の間に設けられた第1の複数の支持部としての支持部61,62,63,64と、第2の複数のスリットとしてのスリット71,72,73,74の間に設けられた第2の複数の支持部としての支持部81,82,83,84と、を有し、支持部61,62,63,64および支持部81,82,83,84は、それぞれ第1慣性センサーとしての第1慣性センサー1および第2慣性センサーとしての第2慣性センサー2の三方または四方を囲むように設けられる。
したがって、本実施形態の慣性センサーモジュール100は、外的変動が生じた場合でも、第1慣性センサー1およびまたは第2慣性センサー2の検出精度の信頼性が低下することを抑制できる。
【0115】
本実施形態の慣性センサーモジュール100は、さらに、第1の複数のスリットとしてのスリット51,52,53,54は、第1スリットとしてのスリット51、第2スリットとしてのスリット52、第3スリットとしてのスリット53、および第4スリットとしてのスリット54を含み、第1の複数の支持部としての支持部61,62,63,64は、スリット51とスリット52との間に設けられた第1支持部としての支持部61と、スリット52とスリット53との間に設けられた第2支持部としての支持部62と、スリット53とスリット54との間に設けられた第3支持部としての支持部63と、スリット54とスリット51との間に設けられた第4支持部としての支持部64と、を含み、第2の複数のスリットとしてのスリット71,72,73,74は、第5スリットとしてのスリット71、第6スリットとしてのスリット72、第7スリットとしてのスリット73、および第8スリットとしてのスリット74を含み、第2の複数の支持部としての支持部81,82,83,84は、スリット71とスリット72との間に設けられた第5支持部としての支持部81と、スリット72とスリット73との間に設けられた第6支持部としての支持部82と、スリット73とスリット74との間に設けられた第7支持部としての支持部83と、スリット74とスリット71との間に設けられた第8支持部としての支持部84と、を含む。
【0116】
このように、第1領域41は、四方の4カ所で支持部61,62,63,64によって、第3領域43から支持され、第3領域43は、四方の4カ所で支持部81,82,83,84によって、第2領域42から支持される。
したがって、本実施形態の慣性センサーモジュール100は、外的変動が生じた場合でも、第1慣性センサー1およびまたは第2慣性センサー2の検出精度の信頼性が低下することを抑制できる。
【0117】
本実施形態の慣性センサーモジュール100は、さらに、第1の複数のスリットとしてのスリット51,52,53は、第1スリットとしてのスリット51、第2スリットとしてのスリット52、および第3スリットとしてのスリット53を含み、第1の複数の支持部としての支持部61,62,63は、スリット51とスリット52との間に設けられた第1支持部としての支持部61と、スリット52とスリット53との間に設けられた第2支持部としての支持部62と、スリット53とスリット51との間に設けられた第3支持部としての支持部63と、を含み、第2の複数のスリットとしてのスリット71,72,73は、第4スリットとしてのスリット71、第5スリットとしてのスリット72、および第6スリットとしてのスリット73を含み、第2の複数の支持部としての支持部81,82,83は、スリット71とスリット72との間に設けられた第4支持部としての支持部81と、スリット72とスリット73との間に設けられた第5支持部としての支持部82と、スリット73とスリット71との間に設けられた第6支持部としての支持部83と、を含む。
【0118】
このように、第1領域41は、三方の3カ所で支持部61,62,63によって、第3領域43から支持され、第3領域43は、三方の3カ所で支持部81,82,83によって、第2領域42から支持される。
したがって、本実施形態の慣性センサーモジュール100は、外的変動が生じた場合でも、第1慣性センサー1およびまたは第2慣性センサー2の検出精度の信頼性が低下することを抑制できる。
【0119】
3. 実施形態3
実施形態3では、慣性センサーモジュール100を備えた慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)200について、説明する。
【0120】
3.1. 慣性計測装置の概要
慣性計測装置200は、例えば、自動車やスマートフォンなどの被装着装置に搭載され、被装着装置の姿勢や挙動などを検出するために用いられる。
【0121】
図9は、実施形態3に係る慣性計測装置200の斜視図であり、慣性計測装置200が、被装着装置の被装着面90に固定される状態を示す図である。
図10は、慣性計測装置200を被装着面90側からみた斜視図である。
【0122】
実施形態3において、慣性計測装置200は、平面形状が四角形状の直方体であり、四角形の対角方向に位置する2ヶ所の頂点近傍に、固定部としてのネジ穴202が形成されている。慣性計測装置200は、ネジ穴202に通したネジ205によって、被装着装置の被装着面90に固定され、使用される。なお、上述した慣性計測装置200の形状および固定方法は、一例であり、使用用途などに応じて相応しい形状や固定方法を採用できる。
【0123】
図10に示すように、慣性計測装置200の被装着面90側の面には、開口部204が形成される。開口部204の内部には、プラグ型のコネクター8が配置される。
コネクター8は、並列に配置された複数のピンを有する。コネクター8には、被装着装置から図示しないソケット型のコネクターが接続される。コネクター8を介して、慣性計測装置200と被装着装置との間で、慣性計測装置200への電力供給や被装着装置への検出データ出力などを含む、電気信号の送受信が行われる。
【0124】
3.2. 慣性計測装置の構成
図11は、慣性計測装置200の分解斜視図であり、
図10と同じ方向からみた慣性計測装置200の分解斜視図である。
【0125】
図11に示すように、慣性計測装置200は、アウターケース201、環状の緩衝材206、慣性センサーユニット207を備える。換言すると、慣性計測装置200は、アウターケース201の内部に、環状の緩衝材206を介在させて、慣性センサーユニット207を搭載する。慣性センサーユニット207は、インナーケース208と慣性センサーモジュール100とを含む。
【0126】
アウターケース201の外形は、平面形状が四角形状の直方体であり、正方形の対角線方向に位置する2ヶ所の頂点近傍に、それぞれネジ穴202が形成されている。なお、アウターケース201の外形の平面形状は、例えば6角形や8角形などの多角形であってもよい。
【0127】
3.3. 慣性センサーモジュールの構成
図12は、慣性計測装置200に搭載された慣性センサーモジュール100の斜視図である。
実施形態3に係る慣性センサーモジュール100は、基板4にコネクター8、GPS(Global Positioning System)モジュール9、およびその他の回路部品を有する点で、実施形態1に係る慣性センサーモジュール100と異なる。なお、実施形態1と同じ構成には、同じ符号を付して、説明を省略する。
【0128】
基板4は、第1領域41と第2領域42とを有する。第1領域41には、第1慣性センサー1および第2慣性センサー2が実装され、第2領域42には、処理装置3、コネクター8、GPSモジュール9、およびその他の回路部品が実装される。なお、本実施形態において、コネクター8は、外部接続部の一例である。
【0129】
コネクター8は、プラグ型のコネクターであり、複数のピンからなる外部接続用の端子7を備えている。また、コネクター8は、このような形態に限定されない。例えば、コネクター8は、リード、接続電極、光コネクター、または非接触型コネクターであってもよい。
【0130】
慣性センサーモジュール100は、温度センサー、磁気センサー、キャパシタなどを有していてもよい。なお、温度センサーや磁気センサーを実装する場合は、第1領域41に実装する。温度センサーや磁気センサーは、第1慣性センサー1および第2慣性センサー2の近くに配置する方が、正確な測定ができるからである。
【0131】
このように実施形態3の慣性計測装置200は、慣性センサーモジュール100を備える。慣性センサーモジュール100は、曲げ応力の印加や温度変化などの外的変動が印加されても、検出精度の信頼性が維持ないし担保される。
したがって、実施形態3の慣性計測装置200によれば、外的変動が印加された場合において、検出精度の信頼性が維持ないし担保される慣性計測装置200を実現できる。
【0132】
4. 実施形態4
実施形態4では、慣性センサーモジュール100を備えた電子機器を説明する。
以下では、電子機器の例として、自動車などの移動体の例と、スマートフォンなどの携帯機器の例と、を説明する。
【0133】
4.1. 移動体の概要
図13は、実施形態4に係る電子機器としての移動体の斜視図であり、移動体の一例としての自動車1100の構成を示す図である。
【0134】
自動車1100は、慣性センサーモジュール100を備えた慣性計測装置200を搭載する。
慣性計測装置200は、車体1101の姿勢を検出して、検出信号を出力する。検出信号は、角速度信号および加速度信号を含む。慣性計測装置200の検出信号は、車体1101の姿勢を制御する車体姿勢制御装置1102に供給される。
車体姿勢制御装置1102は、その信号に基づいて車体1101の姿勢を検出し、検出結果に応じてサスペンションの硬軟を制御したり、個々の車輪1103のブレーキを制御したりする。
【0135】
また、慣性計測装置200の検出信号は、他にもキーレスエントリー、イモビライザー、カーナビゲーションシステム、カーエアコン、アンチロックブレーキシステム(ABS)、エアバック、TPMS(Tire Pressure Monitoring System)、エンジンコントロール、自動運転用慣性航法の制御機器、およびハイブリッド自動車や電気自動車の電池モニター等のECU(Electronic Control Unit)などにおいて、活用してもよい。
【0136】
また、慣性計測装置200は、自動車1100以外の他の移動体に搭載してもよい。例えば、二足歩行ロボット、電車、ラジコン飛行機、ラジコンヘリコプター、ドローン、農業機械、建築機械などの移動体に、慣性計測装置200を搭載する。これによって、移動体は、慣性計測装置200の検出信号を、移動体の姿勢制御や位置計測などに活用できる。
【0137】
このように本実施形態において、自動車1100などの移動体は、慣性センサーモジュール100を備えた慣性計測装置200を搭載する。慣性センサーモジュール100は、曲げ応力の印加や温度変化などの外的変動が印加されても、検出精度の信頼性を維持ないし担保することができる。
したがって、本実施形態によれば、慣性センサーモジュール100を備えた移動体の信頼性を向上させることができる。
【0138】
4.2. 携帯機器の概要
図14は、実施形態4に係る電子機器としての携帯機器の斜視図であり、携帯機器の一例としてのスマートフォン1200の構成を示す図である。
【0139】
スマートフォン1200は、慣性センサーモジュール100を備えた慣性計測装置200を搭載する。
慣性計測装置200によって検出された検出信号は、制御回路1201に出力され、制御回路1201は、受信した検出信号からスマートフォン1200の姿勢や挙動を認識して、表示部1202に表示されている表示画像を変化させたり、警告音や効果音を鳴らしたり、振動モーターを駆動して本体を振動させることができる。
【0140】
また、慣性計測装置200は、スマートフォン1200以外の他の携帯機器に搭載してもよい。例えば、スマートウオッチ、携帯型の活動量計、HMD(Head Mounted Display)、モバイルPC(Personal Computer)、タブレットPC、カメラ、PDA(Personal Digital Assistants)などの携帯機器に、慣性計測装置200を搭載してもよい。これによって、携帯機器は、慣性計測装置200からの検出信号によって、携帯機器の姿勢や挙動を認識して、表示画像を変化させたり、警告音や効果音を鳴らしたり、振動モーターを駆動して本体を振動させたりなどをすることができる。
【0141】
このように本実施形態において、スマートフォン1200などの携帯機器は、慣性センサーモジュール100を備えた慣性計測装置200を搭載する。慣性センサーモジュール100は、曲げ応力の印加や温度変化などの外的変動が印加されても、検出精度の信頼性を維持ないし担保することができる。
したがって、本実施形態によれば、慣性センサーモジュール100を備えた携帯機器の信頼性を向上させることができる。
【0142】
以上、述べたとおり、本実施形態の電子機器としての自動車1100およびスマートフォン1200は、上述した慣性センサーモジュール100を備える。
したがって、自動車1100およびスマートフォン1200の信頼性を向上させることができる。
【0143】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されない。また、本発明の各部の構成は、上述の実施形態の同様の機能を発揮する任意の構成に置換でき、また、任意の構成を付加できる。
【符号の説明】
【0144】
1…第1慣性センサー、1s…水晶ジャイロセンサー、2…第2慣性センサー、2s…6DoFセンサー、3…処理装置、4…基板、8…コネクター、9…GPSモジュール、22…角速度センサー、22x…X軸角速度センサー、22y…Y軸角速度センサー、22z…Z軸角速度センサー、23…加速度センサー、23x…X軸加速度センサー、23y…Y軸加速度センサー、23z…Z軸加速度センサー、41…第1領域、41c…中心、42…第2領域、43…第3領域、51,52,53,54…スリット、61,62,63,64…支持部、71,72,73,74…スリット、81,82,83,84…支持部、90…被装着面、100…慣性センサーモジュール、200…慣性計測装置、201…アウターケース、202…ネジ穴、204…開口部、205…ネジ、206…緩衝材、207…慣性センサーユニット、208…インナーケース、1100…自動車、1101…車体、1102…車体姿勢制御装置、1103…車輪、1200…スマートフォン、1201…制御回路、1202…表示部、a1…検出軸、a2…検出軸。