(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169912
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20241129BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G08G1/09 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086774
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】川戸 正裕
(72)【発明者】
【氏名】谷 英明
(72)【発明者】
【氏名】元内 宏朗
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA06
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB13
5H181CC04
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL09
5H181MA22
5H181MA28
(57)【要約】
【課題】輸送効率の低下を抑制しつつ、利便性の低下も抑制することができる情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置1は、利用者端末から送信されたリクエスト情報であって、乗り物の利用開始地点、当該乗り物の利用終了地点、及び、当該乗り物を利用する時刻を含むリクエスト情報を取得するリクエスト取得部2と、複数の前記リクエスト情報の類似度が所定の基準を満たす場合、部分的な走行区間において、前記リクエスト情報ごとに割り当てられた乗り物からなる複数の乗り物が連結した状態で走行するように、前記乗り物ごとの走行計画を作成する連結走行計画作成部3と、前記走行計画を出力する出力部4とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者端末から送信されたリクエスト情報であって、乗り物の利用開始地点、当該乗り物の利用終了地点、及び、当該乗り物を利用する時刻を含むリクエスト情報を取得するリクエスト取得部と、
複数の前記リクエスト情報の類似度が所定の基準を満たす場合、部分的な走行区間において、前記リクエスト情報ごとに割り当てられた乗り物からなる複数の乗り物が連結した状態で走行するように、前記乗り物ごとの走行計画を作成する連結走行計画作成部と、
前記走行計画を出力する出力部と
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記乗り物は、運転手により遠隔運転される乗り物である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記複数の乗り物が連結した状態で走行する前記部分的な走行区間に対して、前記複数の乗り物をまとめて運転する一人の運転手を割り当てる運転手割当部を
さらに有する請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記類似度は、前記リクエスト情報でリクエストされた輸送を実現するための前記乗り物の走行経路と前記乗り物の走行時間帯についての前記リクエスト情報間の類似度である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記連結走行計画作成部は、他の乗り物と連結せずに走行する場合の前記走行経路又は前記走行時間帯を、所定の許容範囲内で修正し、修正された前記走行経路又は前記走行時間帯を用いて、前記リクエスト情報間の前記類似度を算出する
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記乗り物に輸送対象が乗っていない状態で前記乗り物が走行する走行区間に対する前記所定の許容範囲は、前記乗り物に当該輸送対象が乗った状態で前記乗り物が走行する走行区間に対する前記所定の許容範囲よりも大きい
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記出力部は、さらに、前記乗り物の運転手が用いる装置に対し、当該乗り物の連結相手の乗り物に関する情報を出力する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置が、
利用者端末から送信されたリクエスト情報であって、乗り物の利用開始地点、当該乗り物の利用終了地点、及び、当該乗り物を利用する時刻を含むリクエスト情報を取得し、
複数の前記リクエスト情報の類似度が所定の基準を満たす場合、部分的な走行区間において、前記リクエスト情報ごとに割り当てられた乗り物からなる複数の乗り物が連結した状態で走行するように、前記乗り物ごとの走行計画を作成し、
前記走行計画を出力する
情報処理方法。
【請求項9】
利用者端末から送信されたリクエスト情報であって、乗り物の利用開始地点、当該乗り物の利用終了地点、及び、当該乗り物を利用する時刻を含むリクエスト情報を取得するリクエスト取得ステップと、
複数の前記リクエスト情報の類似度が所定の基準を満たす場合、部分的な走行区間において、前記リクエスト情報ごとに割り当てられた乗り物からなる複数の乗り物が連結した状態で走行するように、前記乗り物ごとの走行計画を作成する連結走行計画作成ステップと、
前記走行計画を出力する出力ステップと
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
人口密度の低い地域などにおいて、鉄道や路線バスなどの公共交通機関へのアクセスが困難な「交通空白地域」の拡大が社会的な問題となっている。このような地域では、移動需要への対応と、移動サービス提供者(バス事業者、自治体など)にとっての採算性(輸送効率、すなわち乗り物の1回の運行あたりの乗客数)を両立させるために、乗合型オンデマンド交通の導入が進みつつある。乗合型オンデマンド交通(以下、単にオンデマンド交通と呼ぶ)は、利用者から乗降地と希望時刻からなるリクエストを受け付けて、リクエストに示される条件が近い複数の利用者を一つの乗り物で輸送するように動的に走行計画を作成する交通システムである。なお、乗合型オンデマンド交通は、デマンド交通、オンデマンドバスとも呼ばれる。
【0003】
特許文献1に開示されているオンデマンド交通システムは、各利用者から移動のリクエスト(乗車地、降車地、乗車時刻、降車時刻の情報を含む)を受け付けた後、所定の基準を適用して走行経路を生成する。また、このオンデマンド交通システムは、走行経路を作成した後にリクエストを受付けると、同様の基準を適用して走行経路を更新する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなオンデマンド交通では、複数の利用者からのリクエストに対して、1台の車両による1回の運行で対応するために、各利用者にとっての最短経路よりも大回りの経路が当該車両の走行経路として設定される。特に、人口密度の低い地域では、広い地理的範囲に分散した乗降地を巡回するために、目的地に到着するまでに著しく長い時間を要する(例えば、最短距離での移動よりも1時間余分に要する)状況が典型的に発生する。このことは、利用者にとっての大きな不満要因となっており、利用者の利便性を低下させていた。このような状況を解消するために、リクエストに対応するための車両数を増加させると、各車両の運転手には、少なくとも、担当する車両の出発時刻から終着時刻までの労働時間が発生するため、輸送事業者にとって輸送効率が悪化する。
【0006】
そこで、本明細書に開示される実施形態が達成しようとする目的の1つは、輸送効率の低下を抑制しつつ、利便性の低下も抑制することができる情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様にかかる情報処理装置は、
利用者端末から送信されたリクエスト情報であって、乗り物の利用開始地点、当該乗り物の利用終了地点、及び、当該乗り物を利用する時刻を含むリクエスト情報を取得するリクエスト取得部と、
複数の前記リクエスト情報の類似度が所定の基準を満たす場合、部分的な走行区間において、前記リクエスト情報ごとに割り当てられた乗り物からなる複数の乗り物が連結した状態で走行するように、前記乗り物ごとの走行計画を作成する連結走行計画作成部と、
前記走行計画を出力する出力部と
を有する。
【0008】
第2の態様にかかる情報処理方法では、
情報処理装置が、
利用者端末から送信されたリクエスト情報であって、乗り物の利用開始地点、当該乗り物の利用終了地点、及び、当該乗り物を利用する時刻を含むリクエスト情報を取得し、
複数の前記リクエスト情報の類似度が所定の基準を満たす場合、部分的な走行区間において、前記リクエスト情報ごとに割り当てられた乗り物からなる複数の乗り物が連結した状態で走行するように、前記乗り物ごとの走行計画を作成し、
前記走行計画を出力する。
【0009】
第3の態様にかかるプログラムは、
利用者端末から送信されたリクエスト情報であって、乗り物の利用開始地点、当該乗り物の利用終了地点、及び、当該乗り物を利用する時刻を含むリクエスト情報を取得するリクエスト取得ステップと、
複数の前記リクエスト情報の類似度が所定の基準を満たす場合、部分的な走行区間において、前記リクエスト情報ごとに割り当てられた乗り物からなる複数の乗り物が連結した状態で走行するように、前記乗り物ごとの走行計画を作成する連結走行計画作成ステップと、
前記走行計画を出力する出力ステップと
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
上述の態様によれば、輸送効率の低下を抑制しつつ、利便性の低下も抑制することができる情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1にかかる情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】モビリティサービスが提供されるエリアの一例を示す模式図である。
【
図3A】車両と運転手の対応関係を示す模式図である。
【
図3B】車両と運転手の対応関係を示す模式図である。
【
図4】実施の形態2にかかるモビリティシステムの構成例を示す模式図である。
【
図7】運転手スケジュールの一例を示す模式図である。
【
図8】予約リクエストを入力するための画面の一例を示す模式図である。
【
図11】走行計画データの一例を示す模式図である。
【
図12】運転手スケジュールの一例を示す模式図である。
【
図13】運転手に通知される情報の一例を示す図である。
【
図14】ナビゲーション画面の一例を示す模式図である。
【
図15】コンピュータの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1にかかる情報処理装置1の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、情報処理装置1は、リクエスト取得部2、連結走行計画作成部3、及び出力部4を有する。
【0013】
リクエスト取得部2は、利用者端末から送信されたリクエスト情報を取得する。ここで、リクエスト情報は、乗り物の利用開始地点、当該乗り物の利用終了地点、及び、当該乗り物を利用する時刻を含む。なお、リクエスト情報が他の情報をさらに含んでもよい。乗り物は、例えば、運転手により遠隔運転される乗り物であるが、運転手が乗った状態で運転される乗り物であってもよい。また、乗り物は、具体的には、例えば、車両であるが、地上を走行して、対象物を輸送する機能を有する乗り物であればよく、必ずしも車両でなくてもよい。また、輸送される対象物は、人に限られず、貨物であってもよい。連結走行計画作成部3は、取得された複数のリクエスト情報の類似度が所定の基準を満たす場合、部分的な走行区間において、リクエスト情報ごとに割り当てられた乗り物からなる複数の乗り物が連結した状態で走行するように、乗り物ごとの走行計画を作成する。出力部4は、連結走行計画作成部3が作成した乗り物ごとの走行計画を任意の装置に出力する。なお、走行計画の出力は、具体的には、走行計画の表示であってもよいし、走行計画の送信であってもよいし、走行計画の印刷であってもよい。
【0014】
実施の形態1にかかる情報処理装置1によれば、リクエスト情報の類似度が所定の基準を満たす場合には、部分的な走行区間において、複数の乗り物が連結した状態で走行するように、走行計画が作成され、出力される。このため、この走行計画によれば、複数の乗り物が連結した状態で走行する区間においては、1人の運転手だけが、運転業務を行えばよい。このため、効率的な輸送を実現できる。また、この走行計画によれば、1つの乗り物により、複数のリクエストに対応するわけではないため、利用者の利便性の低下を抑制することができる。すなわち、各乗り物は、全てのリクエストに対応するための大回りの走行経路で走行するわけではないため、輸送時間の大幅な増加を抑制することができる。よって、情報処理装置1によれば、輸送効率の低下を抑制しつつ、利便性の低下も抑制することができる。
【0015】
なお、上記説明では、
図1に示す構成を備える情報処理装置1について説明したが、上記効果を得るための態様は装置に限られない。例えば、情報処理装置1の上述した処理を含む情報処理方法や、情報処理装置1の上述した処理を行うプログラムもしくは当該プログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体においても、同様の効果を得ることができる。
【0016】
<実施の形態2>
まず、実施の形態2の概要について説明する。実施の形態2により実現されるモビリティサービスでは、無線通信を用いて遠隔で運転可能な車両であり、かつ複数の車両を物理的もしくは論理的に連結可能な遠隔運転車両が用いられる。遠隔運転車両は、利用者が所有あるいはレンタルしたものであってもよいし、交通サービス提供者(輸送事業者)が所有するものであってもよい。実施の形態2により実現されるモビリティサービスでは、概略以下のように動作する。
【0017】
1.予約サーバ15が、乗客から、乗車地点、降車地点、およびモビリティサービスの利用時間の情報を含む予約リクエストを受け付け、リクエストに応えるように走行計画(すなわち、車両の割り当てと、時間情報を含む走行経路)を作成する。
2.走行計画には運転手が割り当てられる。なお、運転手は割り当てられた車両を無線通信経由で遠隔運転する。また、複数台の車両が連結された場合、一人の運転手は、連結された複数台の車両を仮想的に1台の車両として運転する。
3.複数の予約リクエスト間に走行経路と時間に共通性(あるいは類似性)がある場合、予約サーバ15は、複数車両を連結した状態での走行を含む走行計画を出力する。
【0018】
このようなモビリティサービスによれば、経路が共通する区間では複数の車両が連結した状態で運行が行われ、それ以外の区間は分離した状態で運行が行われる。このため、複数の車両が連結した状態で走行する区間においては、1人の運転手だけが、運転業務を行えばよい。よって、運転手一人あたりの輸送効率が低下することを抑制することができる。また、本モビリティサービスでは、1つの車両により、複数のリクエストに対応するわけではないため、利用者の利便性の低下を抑制することができる。すなわち、各リクエストに対応するために1台の車両が大回りの走行経路で走行するわけではないため、輸送時間の大幅な増加を抑制することができる。
【0019】
図2は、本実施の形態にかかるモビリティサービスが提供されるエリアの一例を示す。なお、
図2に示される要素の位置関係は一例に過ぎず、
図2に示される位置関係に限定されない。車両11_1、11_2、11_3、11_4は、いずれも遠隔運転車両であり、別の場所にいる遠隔運転手(図示されない)による操縦に従って運転される車両である。なお、以下の説明において、車両11_1、11_2、11_3、11_4を特に区別せずに言及する場合、単に車両11と称す。
図2では、4台の車両11が図示されているが、本モビリティサービスの提供において、車両11の台数は2以上であればよく、その数は4台に限定されない。また、
図2に示されるエリアには、利用者Aの自宅90_Aと、利用者Bの自宅90_Bと、利用者Cの自宅90_Cが所在している。なお、自宅90_A、自宅90_B、自宅90_Cを特に区別せずに言及する場合、単に自宅90と称す。また、
図2に示されるエリアには、利用者の行き先となりうる施設として、施設91_1と、施設91_2と、施設91_3が所在している。施設91_1、施設91_2、施設91_3を特に区別せずに言及する場合、単に施設91と称す。施設91は、例えば、役所、スーパーマーケット、診療所などであるが、これらに限られない。自宅90及び施設91は、
図2に例示したエリアにおいて、利用者による車両11の利用開始地点(すなわち乗車地点)の候補又は車両11の利用終了地点(すなわち降車地点)の候補となるスポットの具体例である。各スポットの間は、車両11が通行可能な道路93で接続されている。さらに、
図2に例示したエリアは、道路93に接続された場所に、車両11を駐車できる駐車場92_1、駐車場92_2、駐車場92_3が設けられている。駐車場92_1、駐車場92_2、駐車場92_3を特に区別せずに言及する場合、単に駐車場92と称す。なお、上述した自宅90、施設91といったスポットの数、及び駐車場92の数は、一例にすぎず、
図2に示した数に限られない。
【0020】
図3A及び
図3Bは、車両11と運転手80の対応関係を示す模式図である。
図3Aは、車両11が他の車両11と連結していない状態、すなわち分離状態における、車両11と運転手80の対応関係を示す模式図である。車両11は、運転手80が遠隔操縦装置12を操作することにより、遠隔操縦装置12から送信される指令に従って走行する。
図3Aに示した状態では、1人の運転手は1台の車両11のみを運転することができる。
図3Bは、複数台の車両11(ここでは一例として3台の車両11)を連結させた状態における、車両11と運転手80の対応関係を示す模式図である。これらの車両11は、1台の遠隔操縦装置12から送信される指令に従って、仮想的に1台の車両として走行する。この状態では、1人の運転手は、1台の遠隔操縦装置12を操作することにより、連結された複数台の車両11を同時に運転することができる。
【0021】
例えば、車両11間を物理的な連結器を用いて連結する場合、遠隔操縦装置12の制御対象は先頭の車両11であり、先頭の車両11に続く2台目以降の車両11は先行する車両11に牽引される。あるいは、1台の車両11に他の車両11を積載することにより連結が行われてもよく、この場合、遠隔操縦装置12による制御対象は、他の車両11を積載している車両11である。また、本実施の形態における車両11の連結は、物理的な連結に限らず、車車間通信(Vehicle to Vehicle、V2V)を用いた隊列走行や、カメラ画像認識を用いた先行車両の自動追尾走行といった論理的な連結であってもよい。これらの場合、遠隔操縦装置12の制御対象は例えば先頭の車両11である。このように、連結された車両11は、1台の遠隔操縦装置12からの単一の指令に従って一体的に移動可能である。
【0022】
図4は、本実施の形態にかかるモビリティサービスを実現するためのモビリティシステム10の構成例を示す模式図である。モビリティシステム10は、車両11、遠隔操縦装置12、利用者端末13、運転手端末14、及び予約サーバ15を含む。モビリティシステム10のこれらの構成要素は、無線あるいは有線ネットワークであるネットワーク16を介して相互に接続される。ネットワーク16は、例えば、第5世代移動通信網(5G)、Wi-Fi(登録商標)、Ethernet(登録商標)、インターネットなどであるが、これらに限られない。
【0023】
車両11は、遠隔操縦装置12から送信される指令に従って走行する機能を備えた遠隔運転車両である。車両11には、センサー(カメラ、マイク、速度計、加速度計など)が内蔵もしくは接続されていてもよく、センサーによる計測結果を監視情報として遠隔操縦装置12に送信する機能を備えていてもよい。また、特に、車両11は、複数台が連結した状態で仮想的に1台の車両として走行する機能を備えている。車両11は、例えば、電気自動車(Electric Vehicle:EV)、ガソリンエンジン車などである。モビリティシステム10は、任意の台数の車両11を含む。
【0024】
遠隔操縦装置12は、車両11を遠隔操縦するために、運転手により操作される装置である。遠隔操縦装置12は、入力デバイス(例えば、ハンドル、アクセル、ブレーキなどといった車両11の操縦用デバイスを模した入力デバイス)と、出力デバイス(例えば、車両11のウィンドウを模したディスプレイ装置)を備えている。また、遠隔操縦装置12は、運転手による操作を車両11への指令(すなわち、制御信号)に変換して送信する機能と、車両11から送信された監視情報を受信して出力デバイスに出力する機能を備える。遠隔操縦装置12は、複数台の遠隔操縦装置12および複数の運転手を集約した管制センター、運転手の自宅など、任意の場所に設置することができる。モビリティシステム10は、任意の台数の遠隔操縦装置12を含む。
【0025】
利用者端末13は、モビリティシステム10により提供されるモビリティサービスの利用者(乗客)により操作される端末(例えば、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータなど)である。利用者端末13は、利用者からの操作に基づき、予約サーバ15に対して予約リクエストを送信する機能と、予約サーバ15から出力された予約結果を受信してその内容を表示する機能を備える。モビリティシステム10は、任意の台数の利用者端末13を含む。
【0026】
運転手端末14は、運転手により操作される端末(例えば、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータなど)であり、予約サーバ15から通知される割り当て情報を受信してその内容を表示する機能を備える。運転手端末14は、遠隔操縦装置12と同一の筐体に組み込まれていてもよい。モビリティシステム10は、任意の台数の運転手端末14を含む。
【0027】
予約サーバ15は、利用者端末13から送信された予約リクエストを受け付け、予約リクエストにしたがった輸送を実現するための車両11と運転手を当該予約リクエストに割り当てる機能を備えたサーバ装置(情報処理装置)である。なお、予約サーバ15は、上述した情報処理装置1に対応している。
【0028】
図4に示されるように、予約サーバ15は、リクエスト取得部101、走行計画作成部102、連結走行計画作成部103、運転手割当部104、出力部105、地図データ記憶部106、走行計画データ記憶部107、及び運転手スケジュール記憶部108を含む。
【0029】
リクエスト取得部101は、利用者端末13から送信された予約リクエストを取得する。リクエスト取得部101は、上述したリクエスト取得部2に対応する構成要素である。走行計画作成部102は、取得された予約リクエストに示される条件を満たすような、車両11の走行計画を作成する。連結走行計画作成部103は、複数の予約リクエストについての複数の走行計画を基に、複数の車両11が連結した状態で走行する走行計画を作成する。すなわち、連結走行計画作成部103は、走行計画作成部102により作成された複数の走行計画のそれぞれを、連結走行を含む走行計画に修正する。連結走行計画作成部103は、上述した連結走行計画作成部3に対応する構成要素である。連結走行計画作成部103は、複数の予約リクエストの類似度が所定の基準を満たす場合、部分的な走行区間において、複数の車両11が連結した状態で走行するように、車両11ごとの走行計画を作成する。ここで、連結される複数の車両11は、予約リクエストごとに割り当てられた車両11の集まりである。本実施の形態では、後述するように、予約リクエストの類似度の算出は、予約リクエストに基づいて作成された走行計画の類似度の算出によって行われる。運転手割当部104は、作成された走行計画に対して運転手を割り当て、運転手のスケジュール(以下、運転手スケジュールと称す)を作成する。特に、運転手割当部104は、複数の車両11が連結した状態で走行する部分的な走行区間に対して、これら複数の車両11をまとめて運転する一人の運転手を割り当てる。出力部105は、作成された走行計画および運転手スケジュールを他の装置に出力する。出力部105は、上述した出力部4に対応する構成要素である。
【0030】
地図データ記憶部106は、モビリティサービスが提供されるエリアについての地図データを記憶する。地図データは、道路の情報、および乗降地点となりうるスポットの情報などを含む。地図データは、走行計画の作成などに用いられる。
図2における道路と各スポットの情報が地図データの一例である。走行計画データ記憶部107は、作成された走行計画を記憶する。運転手スケジュール記憶部108は、作成された運転手スケジュールを記憶する。
【0031】
図5は、走行計画作成部102により作成された走行計画データの一例を示す模式図である。この図は、2023年10月2日に予定されている各車両11の走行計画を示している。この例では、車両11_1の走行計画は以下のようになっている。この走行計画によれば、車両11_1は、8時過ぎに利用者Aの自宅90_Aの前にある駐車場92_2にて利用者Aを乗せて出発して、9時前に施設91_1の前の駐車場92_3に到着する。その後、車両11_1は、9時過ぎまで駐車場92_3に駐車した後、利用者Aを乗せて10時00分に駐車場92_2まで輸送する。また、この例では、車両11_2の走行計画は以下のようになっている。この走行計画によれば、車両11_2は、8時50分に駐車場92_1を出発して利用者Bの自宅90_Bの前まで迎車し、利用者Bを乗せる。その後、車両11_2は、10時20分に施設91_3に到着して利用者Bを下ろし、回送して10時55分に駐車場92_1に到着する。走行計画は、このように、車両11の出発地点、利用者の利用開始地点(乗車地点)、利用者の利用終了地点(降車地点)、及び車両11の終着地点と、出発地点の出発時刻、利用者の利用開始時刻、利用者の利用終了時刻、及び終着地点の到着時刻を含む。なお、車両11の出発地点と、利用者の利用開始地点は同じであってもよい。また、利用者の利用終了地点と車両11の終着地点は同じであってもよい。
【0032】
図6は、走行計画データの一部として記録される走行経路の一例を示す模式図である。
図6に示した走行経路は、
図5で示した走行計画のうちの車両11_2についての走行計画に対応しており、駐車場92_1から利用者Bの自宅90_B前、施設91_3を経由して駐車場92_1に戻るまでの一連の走行経路を示している。
【0033】
図7は、運転手割当部104により作成された運転手スケジュールの一例を示す模式図である。この図に示される運転手スケジュ-ルは、
図5及び
図6に示した走行計画データに対応している。
図7は、車両11_1の運転には運転手Aが割り当てられていることを示している。つまり、運転手Aが車両11_1を遠隔運転することにより、車両11_1が駐車場92_2を出発してから駐車場92_3に到着するまでの走行、および車両11_1が駐車場92_3を出発してから駐車場92_2に到着するまでの走行が実現される。また、
図7は、車両11_2の運転には運転手Bが割り当てられていることを示している。つまり、運転手Bが車両11_2を遠隔運転することにより、車両11_2が駐車場92_1を出発して、自宅90_B前、施設91_3を経由して駐車場92_1に戻る走行が実現される。
【0034】
次に、予約サーバ15の動作を具体的に説明する。なお、
図2で示した各スポットと道路の配置を前提として説明する。また、ここでは、
図5から
図7で示した走行計画および運転手スケジュールが既に作成された状態において、予約サーバ15が新規に予約リクエストを受け付けた場合の処理の例を示す。
【0035】
[第一のステップ:予約リクエストの取得]
本ステップは、リクエスト取得部101の処理として行われる。予約リクエストは、輸送を要求するとともに輸送条件を指定する情報である。予約リクエストは、具体的には、輸送を要求する利用者の識別子(ユーザID)と、車両11の利用開始地点(乗車地点)、車両11の利用終了地点(降車地点)、車両11を利用する時刻について時間情報(利用開始時刻、利用終了時刻の少なくとも一方)を含む。ここで、利用開始時刻とは、利用開始地点、すなわち乗車地点を出発する時刻をいい、乗車時刻とも言うことができる。また、利用終了時刻とは、利用終了地点すなわち降車地点に到着すべき目標時刻をいい、降車時刻とも言うことができる。予約リクエストは、他の情報をさらに含んでもよい。例えば、予約リクエストは、乗車人数を示す情報を含んでもよいし、希望する車両11の車種を示す情報を含んでもよい。また、予約リクエストは、車両11を利用する時刻として指定した時刻の時間変動の許容範囲を示す情報をさらに含んでもよい。具体的には、例えば、予約リクエストは、利用開始時刻として指定した時刻よりも早い利用開始時刻についての許容範囲を示す情報を含んでもよいし、利用終了時刻として指定した時刻よりも遅い利用終了時刻についての許容範囲を示す情報を含んでもよい。予約リクエストは、リクエスト情報とも称される。リクエスト取得部101は、利用者端末13から送信された予約リクエストを、ネットワーク16を介して受信することにより、当該予約リクエストを取得する。
【0036】
図8は、利用者端末13において表示される、予約リクエストを入力するための画面の一例を示す図である。典型的には、この画面は、利用者端末13に組み込まれたアプリケーションプログラムにより生成されるか、もしくは、予約サーバ15から送信されたデータ(より具体的にはHTML(Hyper Text Markup Language)形式のデータなど)に従ってWebブラウザにより生成される。予約リクエストを入力するための画面の表示に先だって、利用者の認証処理が行われてもよい。
図8に示した画面は、利用者Cの利用者端末13に表示される画面例を示している。この画面では、乗車地点として利用者Cの自宅(すなわち、自宅90_C)が指定され、降車地点として施設91_2に相当するスーパーマーケットが指定され、降車地点への到着時刻(利用終了時刻)として2023年10月2日の10時30分が指定されている。
【0037】
[第二のステップ:車両の割り当てと走行計画の作成]
本ステップは、走行計画作成部102の処理として行われる。予約サーバ15の走行計画作成部102は、リクエスト取得部101が取得した予約リクエストに基づいて、走行計画を作成する。具体的には、走行計画作成部102は、予約リクエストに対して割り当てる車両11を選択するとともに、当該予約リクエストで指定された輸送条件を満たす走行計画を算出する。走行計画作成部102は、具体的には、当該予約リクエストに割り当てられた車両11についての出発地点から終着地点までの走行経路と、走行が行われる時刻を示す時間情報とを含む走行計画を作成する。
【0038】
本ステップにおける車両11の選択方法および走行計画の算出方法については、既知のオンデマンド交通における任意の方法を用いることができる。ここでは、一例として、走行計画作成部102は、以下のルールにしたがって、走行計画を作成する。走行経路については、利用開始地点から利用終了地点までの走行時間の期待値が最小である経路が選択される。車両11の選択の制約条件は、例えば次のような条件である。選択可能な車両11は、利用開始時刻までに利用開始地点まで移動可能、かつ、出発地点の出発時刻から終着地点の終着時刻まで未予約、かつ、利用終了時刻までに利用終了地点まで移動可能、かつ、指定された車両条件を満たす車両11である。なお、指定された車両条件とは、予約リクエストで指定された、車種の条件や乗車人数の条件などである。なお、予約リクエストにおいて利用終了時刻(すなわち、降車地点に到着すべき目標の到着時刻)だけが指定されおり、利用開始時刻が指定されていない場合、利用開始時刻として例えば、次のような時刻が設定される。この場合、利用開始時刻として、例えば、目標の到着時刻までに降車地点に到着することが可能になる利用開始地点の出発時刻のうち最も遅い時刻が用いられる。なお、利用開始時刻として、それよりも前の時刻が用いられてもよい。また、予約リクエストにおいて利用開始時刻(すなわち、乗車地点の出発時刻)だけが指定されおり、利用終了時刻が指定されていない場合、利用終了時刻として例えば、次のような時刻が設定される。この場合、例えば、指定された時刻に乗車地点を出発したとして降車地点に到着できる最も早い時刻が、利用終了時刻として用いられる。なお、利用終了時刻として、それよりも後の時刻が用いられてもよい。制約条件を満たした車両11が複数存在する場合、同日に他の予約の入っている車両11が優先して選択されてもよい。
【0039】
図9は、新たな予約リクエストに対して作成される走行計画の一例を示す模式図である。
図9は、
図2に示した地図データ及び
図5に示した走行計画データが予約サーバ15に記憶されている状態で、リクエスト取得部101が
図8に示した新たな予約リクエストを取得したときに走行計画作成部102が作成する走行計画の例を示している。この例では、車両11_1および車両11_2は既に他の予約リクエストに割り当てられており、これらの車両を
図8に示される予約リクエストに割り当てることは不可能である。このため、走行計画作成部102は、新たな予約リクエストに対して、未だ予約の入っていない車両11_3を割り当てる。
【0040】
図9に示される走行計画は、車両11_3についての以下の(1)から(4)に示す走行経路の情報を含む。なお、ここでは、車両11_3について、他の更なる予約リクエストが割り当てられていない場合には、乗客の輸送後は駐車場92_1に回送する走行計画を生成するというルールが予め設定されているものとする。
(1)車両11_3は、9時00分に、それまで駐車していた駐車場92_1を出発し、利用開始地点として指定された利用者Cの自宅90_Cまで迎車に向かう。
(2)車両11_3は、9時30分に自宅90_Cの前に到着し、そこで利用者Cを乗車させ、降車地点(利用終了地点)である施設91_2(スーパーマーケット)に向けて輸送を開始する。
(3)車両11_3は、10時30分に施設91_2(スーパーマーケット)に到着し、そこで利用者Cを降車させ、終着地点である駐車場92_1への回送を開始する。
(4)車両11_3は、11時00分に駐車場92_1に到着し、そこで駐車する。
【0041】
[第三のステップ:車両連結を含む走行計画の作成]
本ステップは、連結走行計画作成部103の処理として行われる。連結走行計画作成部103は、第二のステップで作成された走行計画(以下、便宜的に「走行計画A」と呼ぶ)を、走行計画データとして既に記憶されている他の走行計画と比較する。なお、走行計画Aは、本ステップの処理対象の走行計画であるため、対象走行計画と呼ばれてもよい。そして、連結走行計画作成部103は、走行計画Aと、走行経路及び走行タイミング(走行日及び走行時間帯)に共通性がある他の走行計画が存在する場合、車両11の連結を含む走行計画を生成する。連結走行計画作成部103は、共通性のある各走行計画を、車両11の連結を含む走行計画に更新(修正)する。すなわち、連結走行計画作成部103は、走行計画データ記憶部107に既にデータが記憶されている走行計画と、第二のステップで作成された新規の予約リクエストに対応する走行計画を、それぞれ車両11の連結を含む走行計画に更新する。
【0042】
以下、連結走行計画作成部103による、車両連結を含む走行計画の作成の具体的な処理手順を示す。まず、連結走行計画作成部103は、走行計画Aに含まれる日付情報(走行日)を参照して、走行計画データ記憶部107に既にデータが記憶されている走行計画のうち、走行計画Aと走行日が同じであるすべての走行計画を取得する。取得される各走行計画は、車両11の連結が行われる走行計画へと変更される走行計画の候補であるため、以下では、連結候補走行計画と称すこととする。ここで、取得される各走行計画(連結候補走行計画)は、1台の車両11についての出発地点から終着地点に至る一連の走行計画である。なお、モビリティサービスが提供されるエリア全体が複数のサブエリアに分割されていてもよく、この場合、連結走行計画作成部103は、走行計画Aによる輸送が行われるサブエリアと同一のサブエリア内における輸送についての走行計画のみを取得してもよい。
【0043】
次に、連結走行計画作成部103は、連結候補走行計画のそれぞれに対して、走行計画Aとの類似度を算出する。これにより、走行計画Aに対応する予約リクエスト(リクエスト情報)と、連結候補走行計画に対応する予約リクエスト(リクエスト情報)の類似度が算出される。類似度の定義としては様々な定義が可能であるが、走行経路に共通部分が長いほど、また、共通する走行経路の走行時間帯が近いほど、類似度が高くなるように予め定義されている。したがって、算出される類似度は、予約リクエストでリクエストされた輸送を実現するための車両11の走行経路と走行時間帯についての予約リクエスト間の類似度ということもできる。走行計画Aと連結候補走行計画との類似度の算出の際、連結走行計画作成部103は、走行計画A又は連結候補走行計画のいずれか一方又は両方において、走行時間が所定の範囲内で伸びることを許容して、走行経路の一部を変更してもよい。すなわち、連結走行計画作成部103は、走行経路を修正することにより、走行経路において共通する区間が生じるようにしてもよい。また、類似度の算出の際、連結走行計画作成部103は、走行計画A又は連結候補走行計画のいずれか一方又は両方において、所定の許容範囲内で、走行時間帯を変更してもよい。なお、予約リクエストにおいて、時間変動の許容範囲が利用者により指定されている場合には、この許容範囲内において走行経路又は走行時間帯の変更が行われてもよい。このように、連結走行計画作成部103は、他の車両11と連結せずに走行する場合の走行経路又は走行時間帯を、所定の許容範囲内で修正し、修正された走行経路又は走行時間帯を用いて、類似度を算出してもよい。これにより、連結した走行を多く実現することができ、輸送効率をさらに向上することができる。なお、上述した所定の許容範囲は、例えば、最短経路の距離からのずれ量の許容範囲であってもよいし、指定もしくは設定された時間からのずれ量の許容範囲であってもよい。
【0044】
類似度の算出の後、連結走行計画作成部103は、類似度が所定の閾値以上である走行計画Aと連結候補走行計画のペアについて、いずれも、車両11の連結を含む走行計画に修正する。すなわち、連結走行計画作成部103は、共通する走行区間において車両11が連結した状態で走行する走行計画を作成する。なお、連結走行計画作成部103は、走行計画Aとの類似度が閾値以上である連結候補走行計画が複数存在する場合、それら連結候補走行計画のうち、類似度が最大の連結候補走行計画に対して、車両11の連結を含む走行計画を作成してもよい。なお、類似度の算出の際に、走行経路又は走行時間帯の変更が行われた場合には、連結走行計画作成部103は、当該変更を反映した走行計画であって、車両11の連結を含む走行計画を作成する。なお、類似度の算出の際の走行経路又は走行時間帯の変更では、乗客を輸送する区間よりも乗客を乗せないで移動する区間(迎車区間または回送区間)において、変更の許容範囲が大きく設定されてもよい。つまり、車両11に輸送対象(本実施の形態では人)が乗っていない状態で車両11が走行する走行区間に対する許容範囲は、車両11に当該輸送対象が乗った状態で車両11が走行する走行区間に対する許容範囲よりも大きくてもよい。これにより、利用者への影響を抑制することができる。このように、走行経路のずれ量の許容量や走行時間帯のずれ量の許容量が、乗車区間か否かで異なってもよい。また、車両11の連結を含む走行計画の作成においては、連結可能な車両の組み合わせや、連結可能な最大車両数といった制約条件が設けられていてもよい。この場合、連結走行計画作成部103は、制約条件を満たすように、車両11の連結を含む走行計画を作成する。
【0045】
ここで、
図6に示した車両11_2についての走行計画(上述した連結候補走行計画に相当)と、
図9に示した車両11_3についての走行計画(上述した走行計画Aに相当)を例に挙げて、車両11_2と車両11_3の連結を含む走行計画について説明する。
【0046】
図6に示した走行計画と
図9に示した走行計画は、走行時間帯がいずれも2023年10月2日の9時00分頃から11時00分頃であり、かつ、部分的に共通する区間を走行経路に含んでいる。このため、両者の類似度が高く、両者は、連結を含む走行計画の作成対象となる。ここで、例えば、乗客を輸送しない区間を優先的に連結区間にするものとすると、駐車場92_1を出てから自宅90_B又は自宅90_Cに至る迎車区間の一部と、乗客を降ろしてから駐車場92_1へ戻る回送区間の一部が連結状態での走行区間となる。
【0047】
図10は、連結走行計画作成部103が作成する走行計画の一例を示す模式図である。ここでは、駐車場92_1からA地点(迎車の途中地点)までの経路71a、およびB地点(回送の途中地点)から駐車場92_1までの経路71bにおいて、車両11_2と車両11_3を連結した状態で走行する走行計画が作成されている。なお、図において、経路72は、車両11_2が単独で走行する経路を示し、経路73は、車両11_3が単独で走行する経路を示す。この例について、
図5に示した走行計画データと同形式で表された走行計画データを
図11に示す。
図5では車両11_2単体での走行計画が作成されていたのに対して、
図11では迎車および回送の一部区間において車両11_2と車両11_3が連結走行するように、走行計画が更新されている。
【0048】
[第四のステップ:運転手の割り当て]
本ステップは、運転手割当部104の処理として行われる。運転手割当部104は、第二のステップもしくは第三のステップで作成された走行計画に対し、車両11を遠隔運転する運転手を割り当てる。運転手の割り当ての制約条件として、割り当てる運転手は、割り当て対象の走行計画と走行日及び走行時間帯が重複する別の走行計画に割り当て済みでない運転手である必要がある。この条件を満たす運転手がいない場合には、第一のステップで取得した予約リクエストの処理は失敗となり、作成された走行計画についての走行計画データの記憶は行われない。なお、本ステップの前に既に走行計画データが記憶された場合には、記憶前の状態へのロールバックが行われる。運転手割当部104は、制約条件を満たす運転手の中から、所定の優先度に従って、走行計画に割り当てる運転手を決定する。この優先度の基準には任意のものを用いることができる。一例として、運転手割当部104は、稼働率(全勤務時間のうち運転に割り当てられている時間)が所定値に満たない限り、同日に他の走行計画に割り当てられている運転手を優先して選択する。運転手の割り当てに成功すると、運転手割当部104は、運転スケジュールを運転手スケジュール記憶部108に格納する。また、連結走行計画作成部103又は走行計画作成部102は、作成された走行計画についての走行計画データを走行計画データ記憶部107に格納する。
【0049】
図11に示した具体的な走行計画に対する運転手の割り当て結果の一例を
図12に示す。車両連結を含む走行計画を作成する前の運転スケジュール(
図7)と比較すると、
図12に示される運転スケジュールは、以下の点で、
図7の運転スケジュールと異なっている。
図12に示される運転スケジュールでは、車両11_3の運転が運転手Cに割り当てられている。また、
図12に示される運転スケジュールでは、車両11_2に割り当てられていた運転手Bのスケジュールは、部分的な走行区間において、車両11_2と車両11_3を連結した状態で運転するスケジュールに変更されている。
【0050】
[第五のステップ:走行計画の出力]
本ステップは、出力部105の処理として行われる。第四のステップで運転手の割り当てに成功すると、出力部105は、第一のステップで取得した予約リクエストへの応答として、当該予約リクエストの送信元の利用者端末13に予約成功を通知する。また、出力部105は、走行計画(走行計画データ)を任意の装置に出力する。出力部105は、走行計画データを、このデータに示される走行計画が割り当てられた運転手の運転手端末14に送信してもよいし、運行を管理する他の装置に送信してもよい。また、出力部105は、予約リクエストの送信元の利用者端末13に走行計画データを送信してもよい。また、出力部105は、所定のタイミングで、運転手スケジュールを、当該運転手スケジュールに対応する運転手の運転手端末14に通知する。通知タイミングは任意に設定することができる。一例として、1日に1回、翌日の走行計画に割り当てられた運転手の運転スケジュールを運転手端末14に通知する。もちろん、出力部105は、走行計画が確定した時点で、直ちに運転手端末14に運転手スケジュールを通知してもよい。運転手端末14は、運転スケジュールを受信すると、
図13に示されるような情報を表示する。
【0051】
なお、予約サーバ15は、予約確定の前に、利用者あるいは運転手が予約サーバ15と交渉(ネゴシエーション)できる機能を提供してもよい。例えば、予約可能な走行時刻が、利用者が予約リクエストで指定した時刻の条件を満たさない場合、予約サーバ15は、予約可能な走行時刻での輸送の予約を成立させるか否かを利用者に問い合わせる問合せ通知を利用者端末13に送信してもよい。そして、予約サーバ15は、予約を成立させる旨の応答が利用者端末13から得られた場合、すなわち利用者が承諾した場合に限り、そのような輸送の予約を成立させてもよい。すなわち、予約サーバ15は、そのような輸送の走行計画を確定版の走行計画として作成してもよい。また、予約リクエストで指定された走行日時と予約リクエスト自体の送信日時が近接している場合、予約サーバ15は、次のような通知を送信してもよい。この場合、予約サーバ15は、予約を成立させるか否かを、この予約リクエストに対応する走行計画が割り当てられる運転手に問い合わせる問合せ通知を運転手端末14に送信してもよい。例えば、予約サーバ15は、予約リクエストで指定された走行日と予約リクエスト自体の送信日が同日である場合、問合せ通知を運転手端末14に送信してもよい。そして、予約サーバ15は、予約を成立させる旨の応答が運転手端末14から得られた場合、すなわち運転手が承諾した場合に限り、予約を成立させてもよい。すなわち、予約サーバ15は、確定版の運転手スケジュールを作成してもよい。
【0052】
なお、出力部105は、車両11の走行時に、当該車両11を運転する運転手を支援する情報を、当該運転手が用いる装置(例えば、遠隔操縦装置12)に出力してもよい。特に、出力部105は、運転手が運転する車両11の連結相手の車両11に関する情報を、走行計画に基づいて出力してもよい。これにより、運転手は連結相手の車両11を認識しやすくなる。例えば、
図14に示すように、出力部105は、運転手が運転する車両11の連結相手の車両11をナビゲーション画面上で特定する情報を出力してもよい。
図14では、具体的には、車両11_2を運転する運転手に対するナビゲーション画面(例えば、遠隔操縦装置12に表示される画面)において、当該運転手が運転する車両11_2の前方にいる連結対象の車両11_3を特定する表示がされている。なお、連結対象を特定する表示は、運転手の注意を惹くように強調した表示であることが好ましい。なお、出力部105によって出力される車両11に関する情報は、連結対象の車両11の外観上の特徴を示す情報であってもよい。
【0053】
以上、実施の形態2について説明した。本実施の形態によれば、経路が共通する区間において、複数の車両11を連結した状態で走行させることができる。そして、本実施の形態によれば、そのような区間における複数の車両11の走行に対して、1人の運転手だけが割り当てられる。このため、そのような区間においては、1人の運転手だけが、運転業務を行えばよい。したがって、効率的な輸送を実現できる。また、各車両11は、大回りの走行経路で走行する必要がないため、輸送時間の増大を防ぐことができる。よって、本実施の形態によれば、輸送効率の低下を抑制しつつ、利便性の低下も抑制することができる。
【0054】
なお、遠隔操縦装置12、利用者端末13、運転手端末14、又は予約サーバ15についての上述した機能(処理)は、例えば次のような構成を有するコンピュータ500により実現されてもよい。
【0055】
図15は、遠隔操縦装置12、利用者端末13、運転手端末14、又は予約サーバ15の処理を実現するコンピュータ500の構成を示すブロック図である。
図15に示すように、コンピュータ500は、メモリ501、及び、プロセッサ502を含む。
【0056】
メモリ501は、例えば、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ501は、プロセッサ502により実行されるプログラム、及び各種処理に用いるデータなどを格納するために使用される。地図データ記憶部106、走行計画データ記憶部107、及び運転手スケジュール記憶部108は、メモリ501により実現されてもよい。ただし、これらが、他の任意の記憶装置により実現されてもよい。
【0057】
プロセッサ502は、メモリ501からプログラムを読み出して実行することで、各装置の処理を行う。プロセッサ502は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processor Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)などであってもよい。プロセッサ502は、複数のプロセッサを含んでもよい。
【0058】
プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明される1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0059】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、輸送対象は、利用者でなくてもよく、利用者が指定する貨物であってもよいし、利用者及び貨物の両方であってもよい。輸送対象に貨物が含まれる場合、予約サーバ15は、貨物の車両11への積み込み、車両11からの貨物の荷下ろしを担当する人員又はロボットのスケジュールについても計画を作成してもよい。また、上述した予約サーバ15は、オンデマンド交通サービスではなく、利用者の管理する車両11の運転を代行する運転代行サービスに用いられてもよい。
【0060】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
(付記1)
利用者端末から送信されたリクエスト情報であって、乗り物の利用開始地点、当該乗り物の利用終了地点、及び、当該乗り物を利用する時刻を含むリクエスト情報を取得するリクエスト取得部と、
複数の前記リクエスト情報の類似度が所定の基準を満たす場合、部分的な走行区間において、前記リクエスト情報ごとに割り当てられた乗り物からなる複数の乗り物が連結した状態で走行するように、前記乗り物ごとの走行計画を作成する連結走行計画作成部と、
前記走行計画を出力する出力部と
を有する情報処理装置。
(付記2)
前記乗り物は、運転手により遠隔運転される乗り物である
付記1に記載の情報処理装置。
(付記3)
前記複数の乗り物が連結した状態で走行する前記部分的な走行区間に対して、前記複数の乗り物をまとめて運転する一人の運転手を割り当てる運転手割当部を
さらに有する付記1又は2に記載の情報処理装置。
(付記4)
前記類似度は、前記リクエスト情報でリクエストされた輸送を実現するための前記乗り物の走行経路と前記乗り物の走行時間帯についての前記リクエスト情報間の類似度である
付記1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記5)
前記連結走行計画作成部は、他の乗り物と連結せずに走行する場合の前記走行経路又は前記走行時間帯を、所定の許容範囲内で修正し、修正された前記走行経路又は前記走行時間帯を用いて、前記リクエスト情報間の前記類似度を算出する
付記4に記載の情報処理装置。
(付記6)
前記乗り物に輸送対象が乗っていない状態で前記乗り物が走行する走行区間に対する前記所定の許容範囲は、前記乗り物に当該輸送対象が乗った状態で前記乗り物が走行する走行区間に対する前記所定の許容範囲よりも大きい
付記5に記載の情報処理装置。
(付記7)
前記出力部は、さらに、前記乗り物の運転手が用いる装置に対し、当該乗り物の連結相手の乗り物に関する情報を出力する
付記1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記8)
情報処理装置が、
利用者端末から送信されたリクエスト情報であって、乗り物の利用開始地点、当該乗り物の利用終了地点、及び、当該乗り物を利用する時刻を含むリクエスト情報を取得し、
複数の前記リクエスト情報の類似度が所定の基準を満たす場合、部分的な走行区間において、前記リクエスト情報ごとに割り当てられた乗り物からなる複数の乗り物が連結した状態で走行するように、前記乗り物ごとの走行計画を作成し、
前記走行計画を出力する
情報処理方法。
(付記9)
利用者端末から送信されたリクエスト情報であって、乗り物の利用開始地点、当該乗り物の利用終了地点、及び、当該乗り物を利用する時刻を含むリクエスト情報を取得するリクエスト取得ステップと、
複数の前記リクエスト情報の類似度が所定の基準を満たす場合、部分的な走行区間において、前記リクエスト情報ごとに割り当てられた乗り物からなる複数の乗り物が連結した状態で走行するように、前記乗り物ごとの走行計画を作成する連結走行計画作成ステップと、
前記走行計画を出力する出力ステップと
をコンピュータに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0061】
1 情報処理装置
2 リクエスト取得部
3 連結走行計画作成部
4 出力部
10 モビリティシステム
11 車両
12 遠隔操縦装置
13 利用者端末
14 運転手端末
15 予約サーバ
16 ネットワーク
101 リクエスト取得部
102 走行計画作成部
103 連結走行計画作成部
104 運転手割当部
105 出力部
106 地図データ記憶部
107 走行計画データ記憶部
108 運転手スケジュール記憶部
500 コンピュータ
501 メモリ
502 プロセッサ