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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169915
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】ベルト駆動機構および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20241129BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20241129BHJP
   F16C 23/10 20060101ALI20241129BHJP
   F16C 35/077 20060101ALI20241129BHJP
   F16H 7/14 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
G03G15/00 654
G03G21/16 147
F16C23/10
F16C35/077
F16H7/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086777
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】山口 晃宏
【テーマコード(参考)】
2H035
2H171
3J012
3J049
3J117
【Fターム(参考)】
2H035CA07
2H035CD07
2H035CG03
2H171FA04
2H171FA07
2H171FA09
2H171GA08
2H171GA25
2H171LA03
2H171LA11
2H171PA02
2H171PA03
2H171QA01
2H171QB32
2H171QC03
2H171SA10
2H171SA12
2H171SA14
2H171SA18
2H171SA22
2H171XA03
3J012AB03
3J012BB01
3J012CB01
3J012FB10
3J012GB10
3J012HB01
3J049AA01
3J049BA03
3J049BC01
3J049BC07
3J049CA08
3J117AA03
3J117CA01
3J117DA01
3J117DA02
3J117DB01
(57)【要約】
【課題】プーリーのアライメントを適正に維持することができるベルト駆動機構を提供する。
【解決手段】
ベルト駆動機構8は、ドラム装置11の第3支持フレーム23の外面に隣接して設けられる駆動装置30と、第3支持フレーム23を貫通した伝達軸24を軸支する軸受構造40と、を備え、駆動装置30は、第3支持フレーム23に固定される筐体31と、筐体31の内部に固定され、伝達軸24を支持する固定フレーム32と、駆動源34によって回転される駆動プーリー35と、伝達軸24に軸心を合わせて固定される従動プーリー36と、駆動プーリー35と従動プーリー36とに巻き掛けられるベルト37と、ベルト37に所定の張力を付与する周長補正部38と、を有し、軸受構造40は、固定フレーム32に設けられる第1軸受部41と、第1軸受部41との間に従動プーリー36を挟む位置で筐体31に設けられる第2軸受部42と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転装置に設けられた回転体を伝達軸まわりに回転させるベルト駆動機構であって、
前記回転装置の支持フレームの外面に隣接して設けられる駆動装置と、
前記支持フレームを貫通して前記回転装置から前記駆動装置に亘って延びる前記伝達軸を軸支する軸受構造と、を備え、
前記駆動装置は、
前記支持フレームの外面に固定される筐体と、
前記筐体の内部に固定され、前記伝達軸を支持する固定フレームと、
駆動源によって回転される駆動プーリーと、
前記伝達軸に軸心を合わせて固定される従動プーリーと、
前記駆動プーリーと前記従動プーリーとに巻き掛けられるベルトと、
前記ベルトに所定の張力を付与する周長補正部と、を有し、
前記軸受構造は、
前記固定フレームに設けられ、前記伝達軸を軸支する第1軸受部と、
前記第1軸受部との間に前記従動プーリーを挟む位置で前記筐体に設けられ、前記伝達軸を軸支する第2軸受部と、を有することを特徴とするベルト駆動機構。
【請求項2】
前記支持フレームと前記筐体との間に配置され、前記支持フレームに対する前記筐体の位置を調整する調整部材を更に備え、
前記軸受構造は、前記回転装置に設けられ、前記伝達軸を軸支する第3軸受部を更に有し、
前記調整部材は、前記筐体の位置を調整した状態で前記支持フレームに固定されることを特徴とする請求項1に記載のベルト駆動機構。
【請求項3】
前記筐体には、前記支持フレームに向けて突設されて前記伝達軸を挿通させる支持筒部が形成され、
前記支持フレームには、遊びを有した状態で前記支持筒部を貫通させる遊挿穴と、締結部材を締結させる締結穴と、が形成され、
前記調整部材には、前記筐体の前記支持筒部を嵌合させて不動に支持する支持穴と、遊びを有した状態で前記締結部材を貫通させる調整穴と、が形成され、
前記筐体は、前記調整部材の前記支持穴に嵌合させた前記支持筒部を前記支持フレームの前記遊挿穴に進入させた状態で、前記調整部材を挟んで前記支持フレームに固定され、
前記筐体を前記支持フレームに固定する以前に、前記調整部材は、前記締結部材に対する前記調整穴の遊びの範囲で前記支持フレームの外面と平行に移動されることで前記支持穴の位置を調整された後、前記締結部材が前記締結穴に締結されることで前記支持フレームに固定されることを特徴とする請求項2に記載のベルト駆動機構。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のベルト駆動機構と、
前記回転体としての感光体ドラムを有する前記回転装置としてのドラム装置と、を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体に伝達軸を介して回転を伝えるベルト駆動機構および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
駆動プーリーと従動プーリーとに巻き回された無端状のベルトを介して駆動プーリーの回転を従動プーリーに伝達する駆動伝達装置が知られている(特許文献1)。適正な駆動伝達を行うために、ベルトには所定の張力が付与されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-64111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ベルトを用いた駆動伝達装置では、駆動プーリーと従動プーリーとの位置、角度、姿勢(以下、「アライメント」という。)が僅かに崩れただけで、ベルトの蛇行や回転軸の傾斜(芯ずれ(ミスアライメント))等が発生し、適正な駆動伝達が不可能になる。上記した駆動伝達装置では、ベルトに付与された張力によって、従動プーリーが駆動プーリーに接近する方向に僅かに移動し、アライメントが崩れる(ミスアライメントが発生する)という問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮し、プーリーのアライメントを適正に維持することができるベルト駆動機構および画像形成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、回転装置に設けられた回転体を伝達軸まわりに回転させるベルト駆動機構であって、前記回転装置の支持フレームの外面に隣接して設けられる駆動装置と、前記支持フレームを貫通して前記回転装置から前記駆動装置に亘って延びる前記伝達軸を軸支する軸受構造と、を備え、前記駆動装置は、前記支持フレームの外面に固定される筐体と、前記筐体の内部に固定され、前記伝達軸を支持する固定フレームと、駆動源によって回転される駆動プーリーと、前記伝達軸に軸心を合わせて固定される従動プーリーと、前記駆動プーリーと前記従動プーリーとに巻き掛けられるベルトと、前記ベルトに所定の張力を付与する周長補正部と、を有し、前記軸受構造は、前記固定フレームに設けられ、前記伝達軸を軸支する第1軸受部と、前記第1軸受部との間に前記従動プーリーを挟む位置で前記筐体に設けられ、前記伝達軸を軸支する第2軸受部と、を有する。
【0007】
この場合、前記支持フレームと前記筐体との間に配置され、前記支持フレームに対する前記筐体の位置を調整する調整部材を更に備え、前記軸受構造は、前記回転装置に設けられ、前記伝達軸を軸支する第3軸受部を更に有し、前記調整部材は、前記筐体の位置を調整した状態で前記支持フレームに固定されるとよい。
【0008】
この場合、前記筐体には、前記支持フレームに向けて突設されて前記伝達軸を挿通させる支持筒部が形成され、前記支持フレームには、遊びを有した状態で前記支持筒部を貫通させる遊挿穴と、締結部材を締結させる締結穴と、が形成され、前記調整部材には、前記筐体の前記支持筒部を嵌合させて不動に支持する支持穴と、遊びを有した状態で前記締結部材を貫通させる調整穴と、が形成され、前記筐体は、前記調整部材の前記支持穴に嵌合させた前記支持筒部を前記支持フレームの前記遊挿穴に進入させた状態で、前記調整部材を挟んで前記支持フレームに固定され、前記筐体を前記支持フレームに固定する以前に、前記調整部材は、前記締結部材に対する前記調整穴の遊びの範囲で前記支持フレームの外面と平行に移動されることで前記支持穴の位置を調整された後、前記締結部材が前記締結穴に締結されることで前記支持フレームに固定されるとよい。
【0009】
本発明に係る画像形成装置は、上記したいずれかのベルト駆動機構と、前記回転体としての感光体ドラムを有する前記回転装置としてのドラム装置と、を備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、プーリーのアライメントを適正に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構造を示す概略図(正面図)である。
図2】本発明の一実施形態に係るドラム装置およびベルト駆動機構を示す平面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るベルト駆動機構を示す側面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るベルト駆動機構の調整部材等を示す背面図である。
図5】本発明の一実施形態に係るベルト駆動機構を示す背面図である。
図6】本発明の一実施形態に係るベルト駆動機構の組立手順を説明する平面図である。
図7】本発明の一実施形態の変型例に係るベルト駆動機構の周長補正部等を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、図面に示すFr、Rr、L、R、U、Dは、前、後、左、右、上、下を示している。本明細書では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0013】
[画像形成装置]
図1および図2を参照して、画像形成装置1について説明する。図1は画像形成装置1の内部構造を示す概略図(正面図)である。図2はドラム装置11およびベルト駆動機構8を示す平面図である。
【0014】
図1に示すように、画像形成装置1は、略直方体状の外観を構成する装置本体2を備えている。装置本体2の下部には用紙P(媒体)を収容する給紙カセット3が着脱可能に設けられ、装置本体2の上面には排紙トレイ4が設けられている。装置本体2の左上部には、例えば、黒色のトナー(現像剤)を収容したトナーコンテナ5が設けられている。
【0015】
画像形成装置1は、用紙Pに電子写真方式で画像を形成する作像部10を備えている。作像部10は、ドラム装置11と、帯電装置12と、現像装置13と、転写ローラー14と、光走査装置15と、定着装置16と、を備えている。
【0016】
回転装置の一例としてのドラム装置11は、給紙カセット3から排紙トレイ4まで延びた第1の搬送路6の中流部に設けられている。図2に示すように、ドラム装置11は、感光体ドラム20と、一対の第1支持フレーム21と、第2支持フレーム22と、第3支持フレーム23と、を有している。
【0017】
回転体の一例としての感光体ドラム20は、金属製で円筒状に形成された素管20Aの表面に感光層20Bを積層して構成されている。一対の第1支持フレーム21、第2支持フレーム22および第3支持フレーム23は、それぞれ板金で形成されている。一対の第1支持フレーム21は、感光体ドラム20を挟んで前後方向に離間して配置され、感光体ドラム20(素管20Aの回転軸部)を回転可能に支持している。第2支持フレーム22は、後方の第1支持フレーム21から後方に離れて配置されている。第3支持フレーム23(支持フレーム)は、第2支持フレーム22から後方に離れて配置されている。感光体ドラム20の回転軸部の後端は、後方の第1支持フレーム21と第2支持フレーム22との間に位置し、カップリング20Cを介して伝達軸24と連結されている。伝達軸24は、カップリング20Cから後方に向けて延設され、第2支持フレーム22および第3支持フレーム23を貫通している。伝達軸24の後部は、第3支持フレーム23よりも後方に突き出している。
【0018】
図1に示すように、帯電装置12、現像装置13および転写ローラー14は、感光体ドラム20の周囲に画像形成プロセス順に配置されている。転写ローラー14は、下側から感光体ドラム20に接触して転写ニップを形成している。光走査装置15は、感光体ドラム20よりも上方に設けられている。定着装置16は、第1の搬送路6の下流側に設けられている。
【0019】
第1の搬送路6の上流端部には給紙部17が設けられ、第1の搬送路6の中流部(感光体ドラム20よりも上流側)にはレジストローラー対18が設けられている。装置本体2の内部には、第1の搬送路6の下流側で分岐し、第1の搬送路6の上流側に合流する第2の搬送路7が設けられている。なお、第1の搬送路6および第2の搬送路7には、用紙Pを搬送するための複数の搬送ローラー対が設けられている。
【0020】
画像形成装置1には、様々な制御対象機器を適宜制御するための制御装置(図示せず)が設けられている。制御装置は、メモリーに記憶されたプログラムやパラメーターに従って各種の演算処理を実行するプロセッサー等を含んでいる。また、画像形成装置1には、ユーザー(操作者)からの各種の指示を入力するためのタッチパネルやボタン等の表示入力部(図示せず)が設けられている。表示入力部は、制御装置に電気的に接続され、制御装置に入力信号を送信したり、制御装置から電気信号(例えばタッチパネルへの表示情報)を受信したりする。
【0021】
[画像形成処理]
画像形成装置1の動作について説明する。制御装置は、例えば、外部端末から入力された画像データに基づいて、以下のように画像形成処理を実行する。
【0022】
帯電装置12は感光体ドラム20の表面を帯電させ、光走査装置15は画像データに基づいた走査光を出射して感光体ドラム20の表面に静電潜像を形成する。現像装置13は、トナーコンテナ5から供給されたトナーを用いて感光体ドラム20の表面にトナー像を現像する。給紙部17は、給紙カセット3から用紙Pを1枚ずつ第1の搬送路6に送り出す。用紙Pは、第1の搬送路6に沿って搬送され、レジストローラー対18でスキュー補正され、転写ニップに進入する。転写ローラー14は転写ニップを通過する用紙Pに感光体ドラム20上のトナー像を転写し、定着装置16は用紙Pにトナー像を熱定着させる。片面印刷の場合、用紙Pは排紙トレイ4に排出される。
【0023】
両面印刷の場合、用紙Pは、第1の搬送路6の下流端部でスイッチバックされ、第2の搬送路7を搬送されて再び第1の搬送路6に戻される。その後、上記と同様の工程を経て用紙Pの裏面に画像が形成され、両面印刷された用紙Pが排紙トレイ4に排出される。
【0024】
[ベルト駆動機構]
図2に示すように、画像形成装置1には、ドラム装置11に設けられた感光体ドラム20を伝達軸24まわりに回転させるベルト駆動機構8が備えられている。以下、図2ないし図5を参照して、ベルト駆動機構8について説明する。図3はベルト駆動機構8を示す側面図である。図4はベルト駆動機構8の調整部材44等を示す背面図である。図5はベルト駆動機構8を示す背面図である。
【0025】
図2および図3に示すように、ベルト駆動機構8は、駆動装置30と、軸受構造40と、を備えている。駆動装置30は、ドラム装置11の第3支持フレーム23の外面(後面)に隣接して設けられている。軸受構造40は、第3支持フレーム23を貫通してドラム装置11から駆動装置30に亘って延びる伝達軸24を軸支する。
【0026】
<駆動装置>
図2および図3に示すように、駆動装置30は、筐体31と、固定フレーム32と、可動フレーム33と、駆動源34と、駆動プーリー35と、従動プーリー36と、ベルト37と、周長補正部38と、を有している。
【0027】
(筐体、固定フレーム、可動フレーム)
筐体31は、例えば合成樹脂で中空の箱状に形成された駆動装置30の外装である。筐体31は、例えば、ビス等の固定部材51を用いて、第3支持フレーム23の外面(後面)に固定される。筐体31には、前方(第3支持フレーム23)に向けて突設される支持筒部31Aが形成されている。支持筒部31Aは、略円筒状に形成され、その内部に伝達軸24を挿通させている。なお、第3支持フレーム23には、遊びを有した状態で支持筒部31Aを貫通させる遊挿穴25が穿設されている(図4も参照)。また、筐体31には、遊びを有した状態で固定部材51を貫通させる貫通穴52が4つ形成され(図5も参照)、第3支持フレーム23には、貫通穴52を貫通した固定部材51を螺合させる固定穴27が4つ形成されている(図4および図5も参照)。
【0028】
(固定フレーム、可動フレーム)
固定フレーム32および可動フレーム33は、それぞれ板金で形成され、第3支持フレーム23と略平行となる姿勢(起立姿勢)で筐体31に内蔵されている。固定フレーム32は、例えばビス等(図示せず)を用いて、筐体31の内部に固定されている。感光体ドラム20から延びた伝達軸24の後端部は、筐体31の内部に進入し、固定フレーム32に支持されている。可動フレーム33は、固定フレーム32の後面下側に対向している。固定フレーム32には上下方向に延びるスライド溝(図示せず)が形成されており、可動フレーム33にはスライド溝にスライド可能に係合するスライド凸部33Bが設けられている。可動フレーム33は、固定フレーム32に対して上下方向にスライド可能に設けられている(係合している)。なお、スライド溝が可動フレーム33に形成され、スライド凸部33Bが固定フレーム32に設けられてもよい(図示せず)。また、可動フレーム33は、固定フレーム32ではなく、筐体31にスライド可能に支持されてもよい(図示せず)。
【0029】
(駆動源)
駆動源34は、例えば、直流モーターであって、制御装置に電気的に接続されて駆動制御される。図3に示すように、駆動源34は、ステーターおよびローター(図示せず)を内蔵したモーター本体34Aと、ローターの軸心から延びた駆動軸34Bと、を有している。モーター本体34Aは、可動フレーム33の後面下部に固定されている。駆動軸34Bは、円柱状(丸棒状)に形成され、モーター本体34Aに軸受け(図示せず)を介して軸周りに回転可能に支持されている。駆動軸34Bは、可動フレーム33に開口した穴(図示せず)を貫通し、可動フレーム33の前方に突出している。なお、駆動軸34Bは、非磁性のステンレスで高い精度で形成され、曲がりが非常に少なく、倒れや回転時の軸振れが非常に少ない状態でモーター本体34Aに支持されている。
【0030】
(駆動プーリー)
駆動源34の駆動軸34Bの先端側が、駆動プーリー35として用いられる(図3参照)。駆動プーリー35(駆動軸34B)は、可動フレーム33に固定された駆動源34(モーター本体34A)によって回転される。詳細は後述するが、駆動プーリー35は金属製のベルト37と接触するため、ガルバニック腐食を考慮して駆動プーリー35の素材を選定する必要がある。本実施形態では、ガルバニック腐食の抑制と量産性とを考慮して、駆動プーリー35(駆動軸34B)は、SUS303、SUS304またはSUS631等のオーステナイト系ステンレス(非磁性のステンレス)で形成されている。また、駆動プーリー35とベルト37との摩耗を低減するため、駆動プーリー35(駆動軸34B)の表面粗さはRa0.2以下とされている。
【0031】
(従動プーリー)
従動プーリー36は、金属材料または耐摩耗性を有する合成樹脂で円盤状(または円柱状)に形成されている。図3に示すように、従動プーリー36は、駆動プーリー35よりも大径に形成され、駆動プーリー35から上方に離れた位置に配置されている。従動プーリー36は、固定フレーム32よりも前方に配置され、固定フレーム32に支持された伝達軸24に軸心を合わせて固定されている。従動プーリー36の軸心部(伝達軸24)は、駆動プーリー35(駆動軸34B)と平行に配置されている。なお、従動プーリー36および伝達軸24は、駆動プーリー35(駆動軸34B)と同様に、非磁性のステンレスで高い精度で形成されている。
【0032】
(ベルト)
ベルト37は、金属製の平帯で環状に形成されている。ベルト37は、駆動プーリー35と従動プーリー36とに巻き掛けられている。ベルト37は、例えば、マルテンサイト系やオーステナイト系等のステンレスによって形成されることが好ましい。ベルト37の厚みは、20μm以上40μm以下であるとよい。ベルト37は、駆動プーリー35(駆動軸34B)の回転を従動プーリー36(伝達軸24)に伝達する。
【0033】
(周長補正部)
図3に示すように、周長補正部38は、固定フレーム32と可動フレーム33との間に架設された左右一対の圧縮コイルスプリング38Aを含んでいる。詳細には、固定フレーム32の左右両側には一対の第1受け部32Aが略水平に突き出し、可動フレーム33の左右両側には一対の第2受け部33Aが略水平に突き出し、各第1受け部32Aと各第2受け部33Aとの間に圧縮コイルスプリング38Aが架設されている。各圧縮コイルスプリング38Aが可動フレーム33を固定フレーム32から離れる方向(下方)に付勢することで、ベルト37には所定の張力が付与される。
【0034】
なお、従動プーリー36の近傍には、感光体ドラム20(伝達軸24)の回転速度を検出するために、エンコーダーディスクや光学センサー等を含む速度検知部が設けられている(図示せず)。
【0035】
<軸受構造>
軸受構造40は、軸回りに回転する伝達軸24を支持すると共に荷重を受けるための構造である。図2および図3に示すように、軸受構造40は、第1軸受部41と、第2軸受部42と、第3軸受部43と、を有している。3つの軸受部41~43は、それぞれ、外輪と内輪との間に複数の球体(転動体)を配置した所謂ボールベアリングである。第1軸受部41、第2軸受部42および第3軸受部43は、互いに軸心に合わせて配置され、伝達軸24を回転可能に支持する。
【0036】
第1軸受部41は、従動プーリー36よりも後方に配置された固定フレーム32に設けられている。詳細には、第1軸受部41の外輪は固定フレーム32の上部に固定され、伝達軸24の後端部は第1軸受部41の内輪に嵌合(貫通)している。第2軸受部42は、第1軸受部41との間に従動プーリー36を挟む位置で筐体31に設けられている。詳細には、第2軸受部42は、従動プーリー36よりも前方に配置されている。第2軸受部42の外輪は筐体31の支持筒部31Aに嵌合し(固定され)、伝達軸24は第2軸受部42の内輪を貫通している。第3軸受部43は、ドラム装置11に設けられている。詳細には、第3軸受部43の外輪は第2支持フレーム22に固定され、伝達軸24の前端部は第3軸受部43の内輪に嵌合(貫通)している。
【0037】
ところで、3つの軸受部41~43を同一直線上に配置した設計は、第3支持フレーム23を貫通する伝達軸24の位置(上下・左右)の調整代がなく自由の利かない設計(いわゆる地獄設計)になる。仮に、3つの軸受部41~43の位置が微小にずれていると、伝達軸24が歪んだり3つの軸受部41~43の何れかが破損したりする虞がある。3つの軸受部41~43が完全に同一直線上に並んでいれば、上記のような問題は発生しないのだが、3つの軸受部41~43を完全に同一直線上に並べることは、各部品の累積公差や組立時のずれ等を考慮すると困難である。そこで、本実施形態に係るベルト駆動機構8は、第3支持フレーム23と筐体31との間に配置され、第3支持フレーム23とに対する筐体31の位置を調整する調整部材44を備えている。
【0038】
<調整部材>
調整部材44は、例えば、ステンレス等の金属材料によって略平行四辺形(略菱形)の板状に形成されている(図4参照)。調整部材44は、例えば、ビス等の締結部材50によって第3支持フレーム23の外面(後面)に固定される(図2参照)。図4に示すように、調整部材44には、支持穴45と一対の調整穴46とが形成されている。支持穴45は、調整部材44の略中央に開口した丸穴である。支持穴45の内径は、筐体31の支持筒部31Aの外径と略同一に設定されている(図2参照)。支持穴45は、筐体31の支持筒部31Aを嵌合させて不動に支持する。一対の調整穴46は、支持穴45を挟むように調整部材44の対角位置に開口した丸穴である。各調整穴46の内径は、締結部材50(雄ネジ部分)の外径よりも大きく形成されている(図2参照)。各調整穴46は、遊びを有した状態で締結部材50を貫通させる。
【0039】
なお、上記した第3支持フレーム23には、遊挿穴25を挟むように一対の締結穴26が形成されている(図4参照)。各締結穴26の内周面には雌ネジ(図示せず)が形成されており、各締結穴26には調整部材44の調整穴46を貫通した締結部材50が締結される(螺合する)。
【0040】
[ベルト駆動機構の組立手順]
次に、図2ないし図6を参照して、ベルト駆動機構8の組立手順、正確には、駆動装置30(筐体31)および調整部材44を第3支持フレーム23に取り付ける手順について説明する。図6はベルト駆動機構8の組立手順を説明する平面図である。なお、感光体ドラム20は一対の第1支持フレーム21に支持され、第3軸受部43は第2支持フレーム22に固定されているものとする。また、伝達軸24は、支持筒部31Aから筐体31の内部に差し込まれ、第1~第2軸受部41~42(の内輪)に支持された状態であり、駆動装置30は完成した状態であるものとする。
【0041】
作業者は、調整部材44の各調整穴46を貫通させた締結部材50を、第3支持フレーム23の締結穴26に螺合させる(図4参照)。この際、作業者は、締結部材50を完全に締め付けずに緩んだ状態にする。各調整穴46は締結部材50(雄ネジ部分)よりも大径であるため、調整部材44は締結部材50と調整穴46との隙間の範囲で移動可能に設けられる。
【0042】
次に、図6に示すように、作業者は、治具90を、調整部材44の支持穴45および第3支持フレーム23の遊挿穴25に差し込む。治具90は、例えば、伝達軸24と筐体31の支持筒部31Aとを模したものであり、段付きの丸棒状に形成されている。治具90の支持筒部31Aに相当する部分を支持穴45に差し込む過程で、調整部材44は、締結部材50に対する調整穴46の遊びの範囲で第3支持フレーム23の外面と平行に移動されることで支持穴45の位置を調整される。この状態で、治具90の支持筒部31Aに相当する部分は支持穴45に略隙間なく嵌合し、治具90の伝達軸24に相当する部分の先端部は第3軸受部43の内輪に嵌合する。治具90で支持穴45の位置が調整された後、作業者は、各締結部材50を確りと締め付け、調整部材44を第3支持フレーム23の外面に固定する(図4参照)。その後、作業者は、治具90を引き抜く(除去する)。
【0043】
次に、作業者は、第1~第2軸受部41~42に支持された伝達軸24を調整部材44の支持穴45に差し込み、伝達軸24の先端部を第3軸受部43の内輪に通してカップリング20Cに接続し、筐体31の支持筒部31Aを調整部材44の支持穴45に嵌合させる(図2および図3参照)。調整部材44は予め第3支持フレーム23に位置決めされた状態で固定されているため、筐体31の支持筒部31Aを調整部材44の支持穴45に嵌合させるだけで、第1~第3軸受部41~43が同一直線上に配置される(図2および図3参照)。
【0044】
最後に、作業者は、筐体31の各貫通穴52を貫通した固定部材51を、第3支持フレーム23の固定穴27に締め付ける(図2図3および図5参照)。以上によって、筐体31は、調整部材44の支持穴45に嵌合させた支持筒部31Aを第3支持フレーム23の遊挿穴25に進入させた状態で、調整部材44を挟んで第3支持フレーム23に固定される(図2および図3参照)。つまり、ベルト駆動機構8が完成する。
【0045】
[ベルト駆動機構の作用]
次に、ベルト駆動機構8の作用(動作)について簡単に説明する。既に説明した画像形成処理が開始されると、制御装置は駆動源34を駆動させる。駆動源34は、駆動軸34B(駆動プーリー35)を軸周りに回転させ、駆動プーリー35の回転力は、ベルト37を介して従動プーリー36に伝達される。伝達軸24は、従動プーリー36と同一軸回りに回転し、感光体ドラム20を軸周りに回転させる。なお、速度検知部が感光体ドラム20の回転速度を検出し、制御装置が回転速度の検出結果に基づいて駆動源34をフィードバック制御し、感光体ドラム20を所定の速度で回転させる。
【0046】
以上説明した本実施形態に係るベルト駆動機構8では、第1軸受部41と第2軸受部42とが従動プーリー36の軸方向の両側で伝達軸24を支持する構成とした(図3参照)。この構成によれば、従動プーリー36が2つの軸受部41,42に挟まれた位置で伝達軸24に固定されているため、ベルト37に付与された張力を2つの軸受部41,42で受け止めることができる。これにより、ベルト37の張力を受けたとしても、従動プーリー36の位置、角度、姿勢が変化したり、従動プーリー36が駆動プーリー35に接近する方向に僅かに移動したりすることが抑制されるため、両プーリー35,36のアライメントを適正に維持することができる。
【0047】
また、本実施形態に係るベルト駆動機構8によれば、第1~第3軸受部41~43が伝達軸24を支持するため、伝達軸24を高精度に位置決めすることができる。また、第1~第3軸受部41~43が同一直線上に配置された地獄設計となるところを、調整部材44が、筐体31の位置を調整した状態で第3支持フレーム23に固定されていた。この構成によれば、第1~第3軸受部41~43を同一直線上に配置することが可能になり、第3支持フレーム23に対して筐体31を高精度に取り付けることができる。これにより、伝達軸24が歪んだり第1~第3軸受部41~43の何れかが破損したりする等の不具合を抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態に係るベルト駆動機構8によれば、調整部材44を締結部材50に対する調整穴46の遊びの範囲で移動させ、締結部材50を締結穴26に締め付けることで、支持穴45に支持された支持筒部31A(筐体31)の位置を調整することができる。これにより、簡素な構成で、簡単に第1~第3軸受部41~43を同一直線上に配置することができる。
【0049】
なお、本実施形態に係るベルト駆動機構8では、軸受構造40が3つの軸受部41~43を有していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第3軸受部43が省略され、軸受構造40は第1軸受部41と第2軸受部42とで構成されてもよい(図示せず)。
【0050】
また、本実施形態に係るベルト駆動機構8では、駆動プーリー35が駆動軸34Bの一部で構成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、駆動プーリー35は、駆動軸34Bとは別部材とされ、従動プーリー36と同様に、円盤状(または円柱状)に形成され、駆動軸34Bの先端部に固定されてもよい(図示せず)。
【0051】
また、本実施形態に係るベルト駆動機構8では、周長補正部38が一対の圧縮コイルスプリング38Aであったが、本発明はこれに限定されない。図7に示すように、他の周長補正部60は、ベルト37の外側に接触するテンションローラー61と、テンションローラー61をベルト37に押し付けるコイルスプリング62と、を有してもよい。この場合、可動フレーム33は筐体31の内部に固定されてもよいし、可動フレーム33を省略して駆動源34を筐体31に支持させてもよい(いずれも図示せず)。
【0052】
また、本実施形態に係るベルト駆動機構8では、調整部材44を第3支持フレーム23に固定するための締結部材50がビスであったが、本発明はこれに限定されない。例えば、締結部材50は、締結穴26に圧入されるリベットであってもよい(図示せず)。また、筐体31を第3支持フレーム23に固定するための固定部材51も、固定穴27に圧入されるリベットであってもよい(図示せず)。
【0053】
また、本実施形態に係るベルト駆動機構8では、調整部材44が2つの締結部材50で第3支持フレーム23に固定されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、調整部材44に突起を設け、第3支持フレーム23に調整部材44の突起が嵌り込む凹部を設け、調整部材44は、凹部に嵌った突起を支点に回動(揺動)されることで位置調整される構成としてもよい(図示せず)。この場合、締結部材50(調整穴46や締結穴26)は1つでもよい(図示せず)。なお、これと同様の構成とすることで、筐体31が1つの固定部材51によって第3支持フレーム23に固定されてもよい(図示せず)。
【0054】
また、本実施形態に係るベルト駆動機構8は、ドラム装置11(感光体ドラム20)の後方に配置されていたが、これに限らず、例えば、ドラム装置11の前方に配置されてもよい(図示せず)。
【0055】
また、本実施形態に係るベルト駆動機構8は、感光体ドラム20が回転体の一例とされ、ドラム装置11が回転装置の一例とされていたが、本発明はこれに限定されない。回転体は、軸周りに回転する搬送ローラー等であってもよく、回転装置は、搬送ローラー等を有する装置であってもよい(いずれも図示せず)。
【0056】
また、本実施形態に係る画像形成装置1は、モノクロプリンターであったが、これに限らず、カラープリンター、コピー機、ファクシミリ等であってもよい。また、画像形成装置1の画像形成方式が、電子写真式であったが、これに限らず、インクジェット式であってもよい。
【0057】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係るベルト駆動機構および画像形成装置における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施態様に限定されるものではない。本発明は技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよく、特許請求の範囲は技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様を含んでいる。
【符号の説明】
【0058】
1 画像形成装置
8 ベルト駆動機構
11 ドラム装置(回転装置)
20 感光体ドラム(回転体)
23 第3支持フレーム(支持フレーム)
24 伝達軸
25 遊挿穴
26 締結穴
30 駆動装置
31 筐体
31A 支持筒部
32 固定フレーム
34 駆動源
35 駆動プーリー
36 従動プーリー
37 ベルト
38、60 周長補正部
40 軸受構造
41 第1軸受部
42 第2軸受部
43 第3軸受部
44 調整部材
45 支持穴
46 調整穴
50 締結部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7