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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169917
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20241129BHJP
   G03G 21/18 20060101ALI20241129BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
G03G21/16 152
G03G21/18 121
G03G15/08 321Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086779
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】久保 智照
【テーマコード(参考)】
2H077
2H171
【Fターム(参考)】
2H077AB02
2H077AB18
2H077AC02
2H077AD02
2H077AD06
2H077AD13
2H077AD18
2H077AD24
2H077AE03
2H077BA07
2H077DA10
2H077DA42
2H077DA52
2H077EA03
2H171FA02
2H171FA03
2H171FA05
2H171FA13
2H171GA15
2H171JA06
2H171JA23
2H171JA31
2H171JA49
2H171JA51
2H171KA06
2H171KA13
2H171KA16
2H171KA22
2H171KA25
2H171MA02
2H171MA11
2H171QA03
2H171QA08
2H171QA24
2H171QB32
(57)【要約】
【課題】濃度センサーの信号線の処理を簡易化できる現像装置を備える画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、支持フレームに支持された感光体ドラムと、現像ローラーと現像ハウジングと、を備え、前記支持フレームに着脱可能に支持される現像装置と、前記現像装置が前記支持フレームから取り外される前に、前記現像ローラーが前記感光体ドラムから離間するように前記現像装置を移動させる離間機構と、前記現像ハウジングに備えられたトナー濃度検知センサー61と、前記支持フレームに支持された、前記センサー61と電気的に接続可能な中継基板81と、を備え、前記離間機構によって前記現像装置が移動していない状態では、前記センサー61が前記中継基板81と電気的に接続し、前記現像装置が前記支持フレームから取り外される前に前記離間機構によって前記現像装置が移動すると、前記センサー61が前記中継基板81から離間する。
【選択図】図9B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持フレームに支持された、静電潜像が形成される感光体ドラムと、
前記感光体ドラムに形成された静電潜像を現像剤で現像する現像ローラーと、現像剤を収容する現像ハウジングと、を備え、前記支持フレームに着脱可能に支持される現像装置と、
前記現像装置が前記支持フレームから取り外される前に、前記現像ローラーが前記感光体ドラムから離間するように前記現像装置を移動させる離間機構と、
前記現像ハウジングに備えられた、該現像ハウジング内のトナー濃度を検知するセンサーと、
前記支持フレームに支持された、前記センサーと電気的に接続可能な中継基板と、
を備え、
前記離間機構によって前記現像装置が移動していない状態では、前記センサーが前記中継基板と電気的に接続し、前記現像装置が前記支持フレームから取り外される前に前記離間機構によって前記現像装置が移動すると、前記センサーが前記中継基板から離間することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記中継基板は、前記離間機構によって前記現像装置が移動していない状態で前記センサーと電気的に接続する上位置と、前記センサーとの電気的な接続が遮断される下位置とに、上下方向に移動可能に支持され、
前記離間機構によって前記現像ローラーが前記感光体ドラムから離間するように前記現像装置が移動すると、前記上位置から前記下位置へ移動することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記離間機構は、
前記現像装置が支持される現像ホルダーと、
前記現像ホルダーの下面に前記現像ローラーの軸方向に延びるように設けられ、下方に突出した上凸部を有する上段レールと、
前記下段レールの下方に前記軸方向に移動可能に支持され、上方に突出した下凸部を有する下段レールと、を備え、
前記下凸部が前記上凸部から離間している第1の位置に前記下段レールが移動すると、前記現像装置は、前記現像ローラーが前記感光体ドラムから離間するように前記現像ホルダーが揺動し、
前記下凸部が前記上凸部と前記軸方向において重なる第2の位置に前記下段レールが移動すると、前記上凸部が前記下凸部に乗り上げ、前記現像ローラーが前記感光体ドラムに接触するように前記現像ホルダーが揺動するように構成され、
前記中継基板は、前記下段レールの前記第2の位置から前記第1の位置への移動に伴って、前記上位置から前記下位置へ移動することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記上段レールに上下方向に移動可能に支持され、前記中継基板を保持する基板ホルダーを更に備え、
前記下段レールは、前記基板ホルダーが載置される台座部を有し、
前記下段レールが前記第2の位置に移動している状態では、前記基板ホルダーが前記台座部に載置されて前記上位置に移動し、
前記下段レールが前記第1の位置に移動すると、前記基板ホルダーが前記台座部から離れて前記下位置に移動することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記基板ホルダーは、前記下段レールの移動方向と交差する方向に突出するボスを有し、
前記下段レールは、前記ボスが挿通されるガイド溝と、を有し、
前記下段レールの前記第2の位置から前記第1の位置への移動に伴って、前記ガイド溝は、前記基板ホルダーを前記台座上において前記下段レールの移動方向と平行な方向に案内した後、前記移動方向の下流側に向かって下方に案内することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記台座部は、前記移動方向の上流側から下流側へ向かって上方に傾斜した傾斜面を有し、
前記下段レールが前記第1の位置から前記第2の位置へ移動すると、前記基板ホルダーは、前記下位置から前記上位置へ前記傾斜面に沿って移動することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取り外し可能な現像装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、感光体ドラムに形成された潜像を現像ローラーに担持された現像剤で現像する現像装置を備えている。現像装置は、メンテナンスや交換のために、支持フレームに取り外し可能に支持されている。現像ローラーが感光体ドラムに接近した状態で現像装置を取り外すと、感光体ドラムと現像装置とが干渉して、感光体ドラムが損傷するおそれがある。
【0003】
特許文献1に記載の画像形成装置は、現像装置を支持し、現像ローラーが感光体ドラムに接近する方向及び感光体ドラムから離間する方向に揺動する現像ホルダーを備えている。現像ローラーが感光体ドラムから離間する方向に現像ホルダーを揺動させた後、現像装置を取り外すことで、感光体ドラムを損傷させることなく現像装置を取り外すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-201459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、現像装置には、トナーの濃度を検知する濃度センサーが備えられている。濃度センサーは、現像装置の現像ハウジングの下面に取り付けられている。さらに、現像ハウジングの下面には、濃度センサーと、装置本体の制御部とを中継する中継基板も取り付けられている。このため、特許文献1に記載の画像形成装置のように現像装置が現像ホルダーに支持されている場合、現像ホルダーに中継基板を収容するスペースを設ける必要がある。また、現像装置の取り外しや装着時に、濃度センサーや中継基板を現像ホルダー等と干渉しないように配置する必要があり、設計上の制約が大きくなったり装置が大型化したりするという問題もある。
【0006】
さらに、濃度センサーと中継基板との間の信号線等の処理を現像装置の側で行う必要があるので、自動生産に対応できないという問題がある。
【0007】
本発明は上記事情を考慮し、濃度センサーの信号線の処理を簡易化できる現像装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の画像形成装置は、支持フレームに支持された、静電潜像が形成される感光体ドラムと、前記感光体ドラムに形成された静電潜像を現像剤で現像する現像ローラーと、現像剤を収容する現像ハウジングと、を備え、前記支持フレームに着脱可能に支持される現像装置と、前記現像装置が前記支持フレームから取り外される前に、前記現像ローラーが前記感光体ドラムから離間するように前記現像装置を移動させる離間機構と、前記現像ハウジングに備えられた、該現像ハウジング内のトナー濃度を検知するセンサーと、前記支持フレームに支持された、前記センサーと電気的に接続可能な中継基板と、を備え、前記離間機構によって前記現像装置が移動していない状態では、前記センサーが前記中継基板と電気的に接続し、前記現像装置が前記支持フレームから取り外される前に前記離間機構によって前記現像装置が移動すると、前記センサーが前記中継基板から離間することを特徴とする。
【0009】
本発明において、前記中継基板は、前記離間機構によって前記現像装置が移動していない状態で前記センサーと電気的に接続する上位置と、前記センサーとの電気的な接続が遮断される下位置とに、上下方向に移動可能に支持され、前記離間機構によって前記現像ローラーが前記感光体ドラムから離間するように前記現像装置が移動すると、前記上位置から前記下位置へ移動することを特徴としてもよい。
【0010】
本発明において、前記離間機構は、前記現像装置が支持される現像ホルダーと、前記現像ホルダーの下面に前記現像ローラーの軸方向に延びるように設けられ、下方に突出した上凸部を有する上段レールと、前記下段レールの下方に前記軸方向に移動可能に支持され、上方に突出した下凸部を有する下段レールと、を備え、前記下凸部が前記上凸部から離間している第1の位置に前記下段レールが移動すると、前記現像装置は、前記現像ローラーが前記感光体ドラムから離間するように前記現像ホルダーが揺動し、前記下凸部が前記上凸部と前記軸方向において重なる第2の位置に前記下段レールが移動すると、前記上凸部が前記下凸部に乗り上げ、前記現像ローラーが前記感光体ドラムに接触するように前記現像ホルダーが揺動するように構成され、前記中継基板は、前記下段レールの前記第2の位置から前記第1の位置への移動に伴って、前記上位置から前記下位置へ移動することを特徴としてもよい。
【0011】
本発明において、前記上段レールに上下方向に移動可能に支持され、前記中継基板を保持する基板ホルダーを更に備え、前記下段レールは、前記基板ホルダーが載置される台座部を有し、前記下段レールが前記第2の位置に移動している状態では、前記基板ホルダーが前記台座部に載置されて前記上位置に移動し、前記下段レールが前記第1の位置に移動すると、前記基板ホルダーが前記台座部から離れて前記下位置に移動することを特徴としてもよい。
【0012】
本発明において、前記基板ホルダーは、前記下段レールの移動方向と交差する方向に突出するボスを有し、前記下段レールは、前記ボスが挿通されるガイド溝と、を有し、前記下段レールの前記第2の位置から前記第1の位置への移動に伴って、前記ガイド溝は、前記基板ホルダーを前記台座上において前記下段レールの移動方向と平行な方向に案内した後、前記移動方向の下流側に向かって下方に案内することを特徴としてもよい。
【0013】
本発明において、前記台座部は、前記移動方向の上流側から下流側へ向かって上方に傾斜した傾斜面を有し、前記下段レールが前記第1の位置から前記第2の位置へ移動すると、前記基板ホルダーは、前記下位置から前記上位置へ前記傾斜面に沿って移動することを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、センサーと制御部とを中継する中継基板が支持フレームの側に配置されているので、中継基板と制御部との間の信号線等の処理を、支持フレームの側で行うことができる。このため、現像装置の自動生産が可能となり、生産効率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構成を模式的に示す正面図である。
図2A】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、支持フレームに支持された現像装置及びドラムユニットと上方に回動した内カバーとを示す斜視図である。
図2B】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、支持フレームに支持された現像装置及びドラムユニットと下方に回動した内カバーとを示す斜視図である。
図3A】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、ドラムユニットと現像位置に揺動した現像装置とを示す正面図である。
図3B】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、ドラムユニットと離間位置に揺動した現像装置とを示す正面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、現像装置を下方から見た斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、離間機構の現像ホルダーと上段レール及び下段レールとを下方から見た斜視図である。
図6A】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、離間機構(下段レールが第2の位置に移動した状態)を示す側面図である。
図6B】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、離間機構(下段レールが第1の位置に移動した状態)を示す側面図である。
図6C】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、離間機構(下段レールが第1の位置に移動した状態)を示す側面図である。
図7A】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、中継基板を示す斜視図である。
図7B】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、基板ホルダーを示す斜視図である。
図7C】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、基板ホルダーに支持された中継基板を示す斜視図である。
図8A】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、下段レールを上方から見た斜視図である。
図8B】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、下段レールのホルダー支持部を示す側面図である。
図9A】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、上位置に移動した中継基板を示す側面図である。
図9B】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、下位置に移動した中継基板を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係る画像形成装置について説明する。
【0017】
図1図2A及び図2Bを参照して、画像形成装置1の全体構成について説明する。図1は画像形成装置1の内部構成を模式的に示す正面図、図2A及び図2Bは支持フレーム7と内カバー5とを示す斜視図である。各図に示すFr、Rr、L、Rは、画像形成装置1の前側、後側、左側、右側をそれぞれ示す。
【0018】
図1に示されるように、画像形成装置1は、略直方体状の中空部を有する筐体3を備える。筐体3の前面の上部には開口(図示省略)が形成されている。開口は、下端部を中心として回動可能に支持された外カバー(図示省略)によって開閉される。さらに、外カバーの内側には、下端部を中心として回動可能に支持された内カバー5(図1には図示省略、図2A及び図2B参照)が設けられている。内カバー5の内側には、矩形の板状の支持フレーム7が備えられている。
【0019】
図1を参照して、筐体3の中空部には、シートを給紙する給紙部11と、シートに転写されるトナー像を形成する画像形成部13と、トナー像をシートに定着する定着部15と、トナー像が定着されたシートを排出する排出部17と、が収容されている。給紙部11は、筐体3の中空部の下部に設けられる。画像形成部13は、給紙部11の上方に設けられる。定着部15は画像形成部13の上方に設けられ、排出部17は定着部15の上方に設けられる。また、筐体3の上面には、シートが排出される排出口19と、排出口19から排出されたシートが積載される排出トレイ21と、が設けられている。
【0020】
さらに、筐体3の中空部には、給紙部11から画像形成部13と定着部15とを通って排出部17に向かう、シートの搬送路23が形成されている。搬送路23には、画像形成部13よりもシートの搬送方向の上流側に、レジストローラー対25が備えられている
【0021】
次に、画像形成部13について、図1を参照して説明する。画像形成部13は、4色(イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック)のトナーに対応した4個の画像形成ユニット31と、中間転写ベルト33と、4個の画像形成ユニット31に対応した4個の一次転写ローラー35と、二次転写ローラー37と、露光装置39と、を備えている。
【0022】
4個の画像形成ユニット31はそれぞれ、ドラムユニット41と、現像装置43と、を備えている。ドラムユニット41は、回転可能な感光体ドラム45と、帯電装置47と、クリーニング装置49と、を備えている。
【0023】
図2A及び図2Bに示されるように、画像形成ユニット31(ドラムユニット41及び現像装置43)は、支持フレーム7に支持されている。支持フレーム7は、画像形成ユニット31毎に、左右に並んだ4つの区画に仕切られている。各区画に、現像装置43が支持される現像装置支持部とドラムユニット41が支持されるドラムユニット支持部とが左右に並んで設けられている。外カバーと内カバー5とを開くと、支持フレーム7に支持された画像形成ユニット31が筐体3の前面の開口から露出する。ドラムユニット41と現像装置43とは、後ろから前に向かう方向に沿って、それぞれドラムユニット支持部と現像装置支持部とから開口を通って取り外し可能である。
【0024】
再度図1を参照して、中間転写ベルト33は、4個の画像形成ユニット31の上方に配置されて、左右方向に離間して配置された駆動ローラーと従動ローラーとの間に巻き回されて、図1の矢印で示される方向に走行する。中間転写ベルト33の下側の軌道の外面は、4個の画像形成ユニット31の感光体ドラム45に対向して、感光体ドラム45と中間転写ベルト33との間に一次転写ニップを形成している。4個の一次転写ローラー35は、中間転写ベルト33の中空部に配置されて、一次転写ニップに対向している。二次転写ローラー37は、中間転写ベルト33を挟んで駆動ローラーと対向して、二次転写ローラー37と中間転写ベルト33との間に、二次転写ニップを形成している。搬送路23は、この二次転写ニップを通過している。露光装置39は、支持フレーム7(図2参照)の下方に配置されて、支持フレーム7に設けられた開口(図示省略)を通して感光体ドラム45を露光可能である。
【0025】
画像形成動作について簡単に説明する。画像形成部13の各画像形成ユニット31において、帯電装置47が感光体ドラム45を所定の電位に帯電する。その後、感光体ドラム45は、画像データに基づいて露光装置39によって露光され、静電潜像を形成する。静電潜像は、現像装置43によってトナー像に現像される。トナー像は、一次転写ニップにおいて、転写バイアスが印加された一次転写ローラー35によって、感光体ドラム45から中間転写ベルト33に転写される。4個の画像形成ユニット31において、それぞれトナー像が中間転写ベルト33に転写されることで、中間転写ベルト33にフルカラーのトナー像が形成される。
【0026】
一方で、給紙部11からシートが搬送路23に給紙される。シートは、搬送路23に沿って搬送され、レジストローラー対25によってスキューが補正された後、二次転写ニップに搬送される。二次転写ニップにおいて、転写バイアスが印加された二次転写ローラー37によって、中間転写ベルト33からシートへフルカラーのトナー像が転写される。その後、シートは定着部15に搬送され、トナー像が加熱及び加圧されてシートに定着される。シートは排出部17に搬送されて、排出部17によって排出口19を通って排出トレイ21に排出される。
【0027】
次に、現像装置43について、図3A及び図3B図4を参照して説明する。図3A及び図3Bは現像装置43を示す正面図、図4は現像装置43を下方から見た斜視図である。
【0028】
図3A及び図3Bに示されるように、現像装置43は、現像ハウジング51を備えている。現像ハウジング51には、撹拌ローラー53と、供給ローラー55と、現像ローラー57と、ブレード59と、が支持されている。現像ハウジング51には、ドラムユニット41の感光体ドラム45に対向する開口が形成されている。現像ハウジング51の内部の下部は、前後方向に沿った仕切り壁51aによって、2つのローラー収容室に仕切られている。また、現像ハウジング51の後部には、トナーコンテナ(図示省略)からトナーが供給される供給口(図示省略)が設けられている。
【0029】
撹拌ローラー53は、一方のローラー収容室に収容されて、現像ハウジング51に回転可能に支持されている。供給ローラー55は、他方のローラー収容室に収容されて、現像ハウジング51に回転可能に支持されている。現像ローラー57は、供給ローラー55の上方において、一部が開口から露出するように配置されて、現像ハウジング51に回転可能に支持されている。ブレード59は、現像ローラー57と所定の間隔を開けて配置されて、現像ハウジング51に固定されている。
【0030】
トナーコンテナ(図示省略)から供給口を通って現像ハウジング51に供給されたトナーは、撹拌ローラー53と供給ローラー55とによって搬送されながら撹拌されて帯電する。帯電したトナーを含む現像剤は、供給ローラー55から現像ローラー57に供給されて、現像ローラー57の表面に磁気ブラシが形成される。磁気ブラシの層厚は、ブレード59によって規制される。このように形成された磁気ブラシに含まれるトナーによって、感光体ドラム45に形成された静電潜像が現像される。
【0031】
図4に示されるように、現像ハウジング51の底部の前半部の下面には、現像ハウジング51内のトナーの濃度を検知するセンサー61が取り付けられている。一般に、現像剤は、トナーコンテナ(図示省略)から現像ハウジング51の後部に設けられた供給口を通って供給され、撹拌ローラー53によって前方に搬送されながら撹拌される。このため、現像ハウジング51の前部において、トナー濃度が安定するようになっている。センサー61は、現像ハウジング51の前部内の現像剤のトナー濃度を検知するように配置されている。センサー61は、筐体3内に備えられた制御部(図示省略)と電気的に接続することで、計測された値を制御部に送信可能となっている。
【0032】
また、現像装置43は、現像ハウジング51の開口から露出した現像ローラー57が感光体ドラム45に近接する現像位置(図3A参照)から、現像ローラー57が感光体ドラム45から離間した離間位置(図3B参照)に、図3A及び図3Bの反時計回り方向に揺動可能に支持フレーム7の現像装置支持部に支持されている。前述のように、現像装置43は、メンテナンスや交換のために支持フレーム7に取り外し可能に支持されている。現像装置43の取り外し及び装着時に現像ローラー57と感光体ドラム45とが接触していると、現像ローラー57等によって感光体ドラム45が傷付く虞がある。そこで、現像装置43の取り外し及び装着時には、離間機構によって、現像装置43を現像位置(図3A参照)から離間位置(図3B参照)に揺動させるようになっている。
【0033】
次に、離間機構71の一例について、図3A及び図3Bと、図5図6A図6Cも参照して簡単に説明する。図5は現像ホルダー73と上段レール75及び下段レール77とを下方から見た斜視図、図6A図6Cは離間機構71を示す側面図である。離間機構71は、現像ホルダー73と、現像ホルダー73に設けられた上段レール75と、支持フレーム7の現像装置支持部に設けられた下段レール77と、リンク部材79と、を備えている。
【0034】
図5に示されるように、現像ホルダー73は、現像装置43が載置される底壁部73aと、現像装置43の後端部に対向する後壁部73bと、を有している。後壁部73bには、現像ローラー57の駆動ギア(図示省略)と噛み合い可能な駆動ギア73cが支持されている。駆動ギア73cは、モーター(図示省略)と電気的に接続されている。
【0035】
底壁部73aの右端部には、前後方向に離間して、円筒部73dが設けられている。各円筒部73dは、支持フレーム7の現像装置支持部に設けられた支点軸(図示省略)に外嵌されている。これにより、現像ホルダー73が、支点軸(円筒部73d)を中心として上下方向に揺動可能となっている(図3A及び図3B参照)。
【0036】
上段レール75は、現像ホルダー73の底壁部73aの下面の右端部に、前後方向に沿って固定されている。上段レール75の下面には、前後方向に所定の間隔を開けて複数個(例えば2個)の上凸部76が形成されている。上凸部76は略直方体形状であり、前側の面は、前側から後側に向かって下方に傾斜している。さらに、上段レール75の下面には、2個の上凸部76よりも前方に、矩形状の開口75aが形成されている。
【0037】
下段レール77は、現像ホルダー73の上段レール75に対向するように現像装置支持部の右端部に配置されて、前後方向に移動可能に現像装置支持部に支持されている。下段レール77の上面には、前後方向に所定の間隔を開けて複数個(例えば2個)の下凸部78が形成されている。下凸部78は略直方体形状であり、後側の面は、前側から後側に向かって下方に傾斜している。さらに、下段レール77の上面には、2個の下凸部78よりも前方に、センサー61と接続可能な中継基板81を支持する基板ホルダー支持部111が設けられている。中継基板81及び基板ホルダー支持部111については後述する。
【0038】
図6A等に示されるように、リンク部材79は、下段レール77と内カバー5とを連結している。内カバー5を下方に回動させることで、下段レール77はリンク部材79を介して前方に移動する。内カバー5を最も下方まで回動させると(図6C参照)、下段レール77は最も前方に移動する。この位置を第1の位置とする。内カバー5を上方に回動させると(図6A参照)、下段レール77はリンク部材79を介して最も後方に移動する。この位置を第2の位置とする。
【0039】
図6Aに示されるように、内カバー5が完全に閉じられた状態では、下段レール77は第2の位置に移動し、下凸部78が上段レール75の上凸部76に乗り上げて、現像装置43は、図3Aに示される現像位置に揺動している。図6Bに示されるように、内カバー5を所定位置まで開くと、下段レール77が第1の位置に移動し、下凸部78が上凸部76から前方に離間する。この結果、現像装置43は、支点軸(円筒部73d)を中心として、図3Bに示される離間位置に揺動する。図6Cに示されるように、内カバー5が完全に開かれるまで、下段レール77は第1の位置に維持され、現像装置43は離間位置に維持される。
【0040】
このように内カバー5を開くことで、現像装置43が筐体3の開口から露出すると共に現像ローラー57が感光体ドラム45から離間する。したがって、内カバー5を開いた後、現像装置43を前方に引き出すことで、現像ローラー57が感光体ドラム45と干渉することなく、現像装置43を取り外すことができるようになっている。
【0041】
また、上段レール75と下段レール77とは、前述のセンサー61と電気的に接続可能な通信用の中継基板81を支持している。前述のように、センサー61で計測された値は、中継基板81を介して制御部に送信される。以下、上段レール75と下段レール77によって中継基板81が支持される構造について説明する。
【0042】
まず、中継基板81について、図7A図7Cを参照して説明する。図7Aは中継基板81を示す斜視図、図7Bは基板ホルダー91を示す斜視図、図7Cは基板ホルダー91に支持された中継基板81を示す斜視図である。
【0043】
図7Aに示されるように、中継基板81は矩形状を有し、長手方向(前後方向)の一端部(前端部)と中央部とに、幅方向に長い大面積部81aが形成されている。中央側の大面積部81aの上面には、センサー61と電気的に接触可能な直方体状の接触部83が形成されている。前端側の大面積部81aの上面には、直方体状の突部85が形成されている。
【0044】
図7Bに示されるように、基板ホルダー91は、矩形の枠状部材であり、長手方向(前後方向)の両端部93、95(前端部93、後端部95)と、両端部93、95を接続する一対の側板部97と、を有し、両端部93、95と一対の側板部97との間に中空部が形成されている。両端部93、95には、互いに向かう合う方向に延びる前後の押さえ片93a、95aが、両端部93、95間の開口に突き出すように形成されている。前後の押さえ片93a、95a間には所定の空間が開いている。
【0045】
前端部93には、上下方向に沿った矩形状の開口99が形成されている。前端部93の端面(前面)には、突部101が形成されている。突部101の下面は、前から後に向かって下方に傾斜している。さらに、両側板部97の外側の面の略中央部には、幅方向(左右方向)に突き出す一対のボス103が形成されている。
【0046】
図7Cに示されるように、中継基板81は、中央側の大面積部81aが、基板ホルダー91の側板部97に載置されて、前後の押さえ片93a、95aとの間に挟まれるように、基板ホルダー91に支持されている。中継基板81の接触部83は、前後の押さえ片93a、95a間の空間から上方に突出している。中継基板81の突部85は、前端部93の開口99に下方から嵌め込まれている。
【0047】
このように中継基板81を支持した基板ホルダー91は、上段レール75に形成された開口75a(図5参照)に、上下方向に移動可能に嵌め込まれると共に、下段レール77に設けられた基板ホルダー支持部111(図5参照)に支持されている。基板ホルダー91は、下段レール77の第2の位置から第1の位置への移動に伴って、センサー61と接触する上位置とセンサー61から下方に離間した下位置へ移動する。
【0048】
次に、基板ホルダー支持部111について、図5と、図8A図9Bも参照して説明する。図8Aは下段レール77を上側から見た斜視図、図8Bは基板ホルダー支持部111を示す側面図、図9Aは上位置に移動した中継基板81を示す側面図、図9Bは下位置に移動した中継基板81を示す側面図である。
【0049】
図8A図5に示されるように、基板ホルダー支持部111は、2個の下凸部78よりも前方に設けられている。図8Bに示されるように、基板ホルダー支持部111には、前後方向に離間した前後の台座部113と、前後の台座部113の間において左右方向に離間した左右のガイド壁115と、が形成されている。台座部113は、扁平な直方体形状を有している。台座部113の上面は平坦に形成され、後側の面は、前から後に向かって下方に傾斜している。左右のガイド壁115には、それぞれガイド溝117が形成されている。ガイド溝117は、台座部113の上面と平行な水平部と、水平部の後端部から後方に向かって下方に傾斜した傾斜部と、を有している。傾斜部の水平面に対する角度は、台座部113の後面の水平面に対する角度と等しい。
【0050】
前述のように、基板ホルダー91は、上段レール75の開口75a(図5参照)に上下方向に移動可能に嵌め込まれていると共に、下段レール77の基板ホルダー支持部111に支持されている。詳細には、図9A及び図9Bに示されるように、基板ホルダー91は、左右のガイド壁115間に配置されて、左右のボス103が、左右のガイド溝117に挿入されている。
【0051】
なお、中継基板81は、筐体3内に設けられた制御部と信号線や電源線を介して接続している。このような線は、例えば、下段レール77に形成された開口(図示省略)を通って制御部に接続されている。
【0052】
上記構成を有する画像形成装置1において、現像装置43の装着時及び取り外し時のセンサー61に対する中継基板81の挙動について、図9A及び図9B等を参照して説明する。
【0053】
離間機構71によって下段レール77が第2の位置に移動して、現像装置43が現像位置に揺動した状態(図3A参照)では、図9Aに示されるように、基板ホルダー91の前端部93と後端部95とは、下段レール77の前後の台座部113の上面に載置されている。すなわち、基板ホルダー91は上位置に移動して、中継基板81の接触部83がセンサー61と接触している。これにより、センサー61と中継基板81とが導通して、センサー61で計測された値が中継基板81を介して制御部に送信される。また、基板ホルダー91の左右のボス103は、下段レール77のガイド溝117の前端部に挿入されている。
【0054】
現像装置43のメンテナンスや交換時には、前述のように、内カバー5が開かれる。これにより、下段レール77が第2の位置から第1の位置へ前方に向かって移動し、現像装置43が離間位置に揺動して、現像ローラー57が感光体ドラム45から離間する(図3B参照)。下段レール77がこのように移動すると、図9Bに示されるように、前後の台座部113が基板ホルダー91の前端部93と後端部95とから前方に離間し、基板ホルダー91が、上段レール75の開口75a(図5参照)内において、上位置から下位置に移動する。
【0055】
下段レール77の移動時に基板ホルダー91の前端部93と後端部95とが前後の台座部113の上面に沿って移動している間は、左右のボス103は左右のガイド溝117の水平部内を移動する。前端部93と後端部95とが前後の台座部113の後面に沿って移動している間は、左右のボス103は左右のガイド溝117の傾斜部内を下方に移動する。このように下段レール77が第1の位置に移動すると、基板ホルダー91は上段レール75の開口75a内で下位置に移動する。この結果、中継基板81とセンサー61との電気的な接触が遮断される。
【0056】
その後、現像装置43を現像ホルダー73に対して前方に引き出すことで、現像装置43を現像ホルダー73から取り外すことができる。この際、現像ローラー57が感光体ドラム45と干渉したりセンサー61が中継基板81と干渉したりすることなく、現像装置43を取り外すことができる。
【0057】
また、現像装置43を現像ホルダー73に装着した後、内カバー5を上方に回動させると、下段レール77が後方に向かって第2の位置に移動し、現像装置43が現像位置に揺動する(図3A参照)。さらに、基板ホルダー91の突部101の下面と後端部95とが、下段レール77の前後の台座部113の後側の面に沿って上方に案内されると共に左右のボス103が左右のガイド溝117に沿って案内されて、基板ホルダー91の前端部93と後端部95とが前後の台座部113の上面に乗り上げる。これにより、基板ホルダー91が、上段レール75の開口75aで上位置に移動する。この結果、中継基板81の接触部83がセンサー61の接触部に接触して両者が導通する。
【0058】
上記説明したように、本発明によれば、センサー61と制御部とを中継する中継基板81(基板ホルダー91)が支持フレーム7の側に配置されているので、中継基板81と制御部との間の信号線等の処理を、筐体3の側で行うことができる。このため、現像装置43の自動生産が可能となり、生産効率を上げることができる。
【0059】
さらに、現像装置43の取り外し時に、中継基板81がセンサー61や現像装置43等と干渉しないので、中継基板81やセンサー61等の損傷を防止できる。また、離間機構71によって現像装置43と共にセンサー61が移動するのみでは、センサー61と中継基板81とが安定して接触しないおそれがある。しかし、本発明では、離間機構71によって現像装置43が離間位置から現像位置に移動すると共に、中継基板81が下位置から上位置へ移動してセンサー61に接触する。これにより、センサー61と中継基板81とをより確実に接触させることができる。
【0060】
また、中継基板81を支持する基板ホルダー91が、下段レール77に形成された台座部113の傾斜面に沿って下位置から上位置へ移動する。さらに、基板ホルダー91のボス103がガイド溝117に沿って案内されて、基板ホルダー91が上位置と下位置とに移動する。このように、基板ホルダー91を安定して移動させることができる。
【0061】
本発明は特定の実施形態について記載されてきたが、本発明は上記実施形態に限定されない。本発明の範囲及び主旨を逸脱しない限りにおいて、当業者は上記実施形態を改変可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 画像形成装置
5 内カバー
7 支持フレーム
43 現像装置
45 感光体ドラム
51 現像ハウジング
57 現像ローラー
61 センサー
71 離間機構
73 現像ホルダー
75 上段レール
76 上凸部
77 下段レール
78 下凸部
81 中継基板
91 基板ホルダー
103 ボス
113 台座部
117 ガイド溝
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B