(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169921
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】吸収性パッド、及び吸収性パッド包装体
(51)【国際特許分類】
A61F 13/56 20060101AFI20241129BHJP
A61F 13/534 20060101ALI20241129BHJP
A61F 13/536 20060101ALI20241129BHJP
A61F 13/511 20060101ALI20241129BHJP
A61F 13/514 20060101ALI20241129BHJP
B65D 85/07 20170101ALI20241129BHJP
【FI】
A61F13/56 110
A61F13/534 110
A61F13/536 100
A61F13/511 110
A61F13/514 500
B65D85/07
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086784
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉村 安寧
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 光
【テーマコード(参考)】
3B200
3E068
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BA16
3B200BB03
3B200CA11
3B200DA13
3B200DB02
3B200DB11
3B200DB12
3B200DB16
3B200DC05
3B200DD10
3B200DE06
3B200DE07
3B200DE09
3B200DE16
3B200DF08
3E068AA40
3E068AB08
3E068AC07
3E068BB09
3E068CC22
3E068CE03
3E068DE01
3E068EE25
(57)【要約】
【課題】尿失禁用ショーツ等の吸収性下着に設けられる吸水部を有効に活用しつつ吸水部の吸収量を補完することができ、ズレ難くかつ着脱が容易である、吸収性下着専用の使い捨ての吸収性パッド、及び吸収性パッド包装体を提供する。
【解決手段】本開示に係る吸収性パッド10は、肌側の液透過性のトップシート11と、トップシート11の非肌側に位置する液透過性のバックシート12と、トップシート11とバックシート12との間に配置される吸収体13と、バックシート12の非肌側面12aに幅方向に互いに離間して設けられる少なくとも1対の液不透過性シート14と、1対の液不透過性シート14の各々の非肌側面に設けられるフックテープ15と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌側の液透過性のトップシートと、
前記トップシートの非肌側に位置する液透過性のバックシートと、
前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収体と、
前記バックシートの非肌側面に幅方向に互いに離間して設けられる少なくとも1対の液不透過性シートと、
前記1対の液不透過性シートの各々の非肌側面に設けられるフックテープと、を備える
ことを特徴とする吸収性パッド。
【請求項2】
前記1対の液不透過性シートは、長手方向に沿って延び、
前記フックテープは、各液不透過性シートの長手方向の両側に設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の吸収性パッド。
【請求項3】
前記吸収体は、フラッフレスの2枚の親水性不織布の間にSAPがホットメルト接着剤で固定されたSAPシートである
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸収性パッド。
【請求項4】
前記吸収性パッドの肌側面には、幅方向の両側に配置されて長手方向に延び、前記トップシートから前記吸収体にかけて設けられる少なくとも1対のチャネルエンボスが設けられ、
前記1対のチャネルエンボスは、長手方向の中央部分が幅方向の中央に向かって凸となる形状を有する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸収性パッド。
【請求項5】
前記1対の液不透過性シートの幅方向の長さは、前記吸収性パッドの最長幅の10%以上25%以下である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸収性パッド。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の吸収性パッドを幅方向に沿う2箇所の折り目で前記トップシートを内側にして3つ折りにした状態で複数枚積層した複数の吸収性パッドと、
前記複数の吸収性パッドをまとめて包装する包装袋と、を備える
ことを特徴とする吸収性パッド包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、特に吸収性下着等と併用される吸収性パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
吸水性のある吸水部材を布製の下着に対して縫製により取り付けた失禁用ショーツや生理用ショーツ等の吸収性下着が開発されている。これらの吸収性下着は、少量の尿や経血を吸収して液戻りを最低限抑えることによって着用時の不快感を低減することができる。そして、より快適な着用感を得るために以下のような技術が開示されている。
【0003】
特許文献1には、尿失禁用ショーツが開示されている。尿失禁用ショーツは、ショーツ本体と尿失禁用パットとからなる。ショーツ本体は、ナイロン等の布地を適宜裁断して所定形状に形成し、それらを縫い合せて形成されており、尿失禁用パットに尿を吸水した状態でもショーツを正常な着用状態に維持し得る。尿失禁用パットは、防水性を有する防水シートと、表側から裏側への水分の浸透を許容し、裏側から表側への水分の浸出を抑制する浸透シートと、上下に複数層重ねられ、尿を吸収して保水する吸収保水シートと、を備える。尿失禁用パットは、その防水シートがショーツ本体の股部の裏面にその全周縁で縫着されている。尿失禁用パットの浸透シートには、上層保水シート及び下層保水シートからなる吸収保水シートが所定形状を囲むようにして縫着されている。着用者の失禁尿は、尿失禁用パットの浸透シートを介して吸収保水シートに集中して吸収、保水され、保水され、時間と共に上記所定形状を囲む縫着部を介して該所定形状の外部の吸収保水シートに徐々に浸出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の尿失禁用ショーツ(吸収性下着)では、ショーツ本体のクロッチ部分に逢着される尿失禁用パットは、尿失禁用パットの吸収能力以上の尿を吸収することができないので、尿の量が多い場合等には尿漏れが発生してしまう。尿の吸収量を補完するために、これらの尿失禁ショーツに縫着された尿失禁用パット(以下、「ショーツ側失禁パッド」という。)の上に、使い捨て失禁パッドを重ねて装着することが考えられるが、ショーツ側失禁パッドは、使い捨て失禁パッドからサイドへ漏れた尿しか吸収することができず、ショーツ側失禁パッドを有効に活用することが難しい。また、使い捨て失禁パッドの外に尿が漏れた場合、使い捨て失禁パッドのバックシートに設けられたずれ止め用の粘着層の接着力が弱まり、使い捨て失禁パッドがショーツ側失禁パッドからずれたり外れたりする可能性がある。使い捨て失禁パッドがショーツ側失禁パッドからずれたり外れたりしてしまうと、フィット性が損なわれ、尿漏れが発生する可能性がある。
【0006】
そこで、本開示は、尿失禁用ショーツ等の吸収性下着に設けられる吸水部を有効に活用しつつ吸水部の吸収量を補完することができ、ズレ難くかつ着脱が容易である、吸収性下着専用の使い捨ての吸収性パッド、及び吸収性パッド包装体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様の吸収性パッドは、肌側の液透過性のトップシートと、前記トップシートの非肌側に位置する液透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収体と、前記バックシートの非肌側面に幅方向に互いに離間して設けられる少なくとも1対の液不透過性シートと、前記1対の液不透過性シートの各々の非肌側面に設けられるフックテープと、を備える。
【0008】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様の吸収性パッドであって、前記1対の液不透過性シートは、長手方向に沿って延び、前記フックテープは、各液不透過性シートの長手方向の両側に設けられる。
【0009】
本発明の第3の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の吸収性パッドであって、前記吸収体は、フラッフレスの2枚の親水性不織布の間にSAPがホットメルト接着剤で固定されたSAPシートである。
【0010】
本発明の第4の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の吸収性パッドであって、前記吸収性パッドの肌側面には、幅方向の両側に配置されて長手方向に延び、前記トップシートから前記吸収体にかけて設けられる少なくとも1対のチャネルエンボスが設けられ、前記1対のチャネルエンボスは、長手方向の中央部分が幅方向の中央に向かって凸となる形状を有する。
【0011】
本発明の第5の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の吸収性パッドであって、前記1対の液不透過性シートの幅方向の長さは、前記吸収性パッドの最長幅の10%以上25%以下である。
【0012】
本発明の第6の態様は、吸収性パッド包装体であって、上記第1の態様又は上記第2の態様の吸収性パッドを幅方向に沿う2箇所の折り目で前記トップシートを内側にして3つ折りにした状態で複数枚積層した複数の吸収性パッドと、前記複数の吸収性パッドをまとめて包装する包装袋と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、尿失禁用ショーツ等の吸収性下着に設けられる吸水部を有効に活用しつつ吸水部の吸収量を補完することができ、ズレ難くかつ着脱が容易である、吸収性下着専用の使い捨ての吸収性パッド、及び吸収性パッド包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る吸収性パッドの使用状態を示す説明図である。
【
図2】
図1の吸収性下着の股下部を肌側から視た状態を示す説明図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る吸収性パッドの肌側からの平面図である。
【
図4】
図3の吸収性パッドの非肌側からの平面図である。
【
図6】吸収性パッドの変形例を示す平面図であって、(a)は肌側から視た状態を、(b)は非肌側から視た状態をそれぞれ示す。
【
図7】本発明の一実施形態に係る吸収性パッド包装体の外観斜視図である。
【
図8】3つ折りにした状態の吸収性パッドを幅方向から視た状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る吸収性パッド及び吸収性パッド包装体について説明する。
【0016】
本明細書において、吸収性パッドの着用とは、体液の吸収前、吸収時、及び吸収後を問わず、吸収性パッドを取り付けた状態の吸収性下着を身体に装着した状態を意味する。また、「前側」とは、吸収性パッドを着用したときに着用者の腹側となる方向を意味し、「後側」とは、着用者の背側となる方向を意味する。また、左右方向とは、前方を向いた状態の着用者から視た左右方向をいう。また、吸収性パッドの各構成部材の長手方向とは、着用した際に着用者の前後に沿う方向を意味し、図中の矢印Xに沿った方向である。また、吸収性パッドの各構成部材の幅方向とは、着用した際に着用者の左右に沿う方向を意味し、図中の矢印Yに沿った方向である。また、吸収性パッドの各構成部材の厚み方向とは、各構成部材を積層する方向をいい、図中の矢印Zに沿った方向を意味する。また、「肌側」とは、厚み方向のうち吸収性パッドを着用したときの着用者の身体に向かう方向を意味し、「非肌側」とは、厚み方向のうち肌側とは反対の方向を意味する。また、体液とは、尿や血液、軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。さらに、吸収性パッドとしては、特に軽失禁用製品、生理用ナプキンが例示されるが、これに限定されるものではなく、その他の吸収性パッドであってもよい。
【0017】
[吸収性下着]
図1は、本発明の一実施形態に係る吸収性パッドの使用状態を示す説明図である。
図2は、
図1の吸収性下着の股下部を肌側から視た状態を示す説明図である。
【0018】
図1及び
図2に示すように、本開示に係る吸収性パッド10は、失禁用ショーツや生理用ショーツ等の吸収性下着1に取り付けられて使用される吸収性下着専用の使い捨ての吸収性パッド10である。
【0019】
吸収性下着1は、下着の外形を構成する下着本体2と、下着本体2の股下部(クロッチと称される場合もある。)の肌側面に固定的に設けられる(例えば縫い付けられる)吸水性のある吸水部材(吸水部)3とを備える。下着本体2は、布地(例えばナイロン、コットン等)や弾性部材(ゴム等)等によって形成される。吸水部材3は、例えば、肌側の液透過性のシートと非肌側の液不透過性のシートとの間に、高吸収性ポリマー等を主体とする吸水性を有するシートを配置したものであってよい。すなわち、吸収性下着1は、吸水部材3によって所定量の吸水性を有する下着である。なお、吸収性下着1は、着用者が着用可能な下着本体2と、下着本体2の股下部に固定的に設けられる吸水部材(吸水部)3とを少なくとも備えていればよい。吸収性下着1の形状は、特に限定されるものではないが、例えばショーツ型や、ボクサーパンツ型などが挙げられる。
【0020】
[吸収性パッド]
図3は、本発明の一実施形態に係る吸収性パッドの肌側からの平面図である。
図4は、
図3の吸収性パッドの非肌側からの平面図である。
図5は、
図3のV-V矢視断面図である。
図6は、吸収性パッドの変形例を示す平面図であって、(a)は肌側から視た状態を、(b)は非肌側から視た状態をそれぞれ示す。
【0021】
吸収性パッド10は、吸収性下着1の吸水部材3の肌側面に取り付けられて体液を吸収するための物品である(
図1及び
図2参照)。すなわち、吸収性パッド10は、吸収性下着1の吸水部材3の肌側面に肌側から重ねて使用され、吸水部材3の吸収量を補完する。
【0022】
図3~
図6に示すように、吸収性パッド10は、液透過性のトップシート11と、液透過性のバックシート12と、トップシート11とバックシート12との間に配置される吸収体13と、バックシート12に取り付けられる少なくとも1対の液不透過性シート14と、液不透過性シート14に取り付けられる複数(本実施形態では4つ)のフックテープ15と、を備える。また、
図3に示すように、吸収性パッド10は、上記トップシート11等に加えて、左右の立体ギャザー16を備えてもよい。
【0023】
吸収性パッド10の形状は、特に限定されるものではないが、例えば、砂時計型、略矩形型、小判型等が挙げられる。なお、本実施形態では、略矩形型の吸収性パッド10について説明する。
【0024】
(吸収性パッドの寸法)
吸収性パッド10の長手方向の寸法(最長寸法。以下同じ。)L1は、140mm以上400mm以下であることが好ましい。吸収性パッド10の幅方向の寸法W1は、50mm以上180mm以下であることが好ましい。吸収性パッド10の寸法を上記の範囲に調整することにより、軽失禁用製品、生理用ナプキンに適した吸収性パッド10を得ることができる。
【0025】
(トップシート)
トップシート11は、着用時に肌側に位置するシートであって、体液が吸収体13へと移動するような液透過性を備えた基材から形成される。基材の一例としては、例えば、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布等の不織布、サーマルボンド/スパンボンドを積層した複合不織布などがある。また、トップシート11には、液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施してもよい。これらのエンボス加工や穿孔加工を施すための方法としては、公知の方法を制限なく実施することができる。また、肌への刺激を低減させるため、トップシート11には、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させてもよい。
【0026】
(バックシート)
バックシート12は、着用時に非肌側に位置するシートであって、吸収体13側からの体液を非肌側へ移動させることが可能な液透過性を備えた基材から形成される。すなわち、バックシート12は、トップシート11の非肌側に位置する。バックシート12の基材としては、例えば、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布等の不織布、サーマルボンド/スパンボンドを積層した複合不織布などが挙げられる。バックシート12は、トップシート11と同じ基材から形成されてもよい。
【0027】
(吸収体)
図3及び
図5に示すように、吸収体13は、体液を吸収して保持可能な部分であり、トップシート11とバックシート12との間に配置される。吸収体13としては、例えば、基材としての吸収性繊維と、吸収性繊維に担持された高吸収性ポリマー(以下、「SAP」という場合がある。)とを含むフラッフ吸収体や、液吸収性シート間にSAP粒子を固着したSAPシートなどが挙げられる。この中でも特に、吸収体13は、フラッフレスの親水性不織布である2枚の液吸収性シートの間に、SAP粒子をホットメルト接着剤等で固着したSAPシートであることが好ましい。
【0028】
液吸収性シートを形成する親水性不織布としては、例えば、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布などの不織布や、スパンボンド/メルトブローン、スパンボンド/メルトブローン/スパンボンドを積層した複合不織布を挙げることができるが、特にエアスルー不織布であることが好ましい。
【0029】
高吸収性ポリマーとしては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸塩、ポリアスパラギン酸塩、(デンプン-アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸-ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン-無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等が挙げられる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸アルカリ金属塩がより好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムが更に好ましい。高吸収性ポリマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0030】
なお、本実施形態では、吸収体13をSAPシートとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、フラッフ吸収体であってもよいし、SAPシートを複数枚積層したものであってもよいし、或いは、フラッフ吸収体とSAPシートとを積層ものであってもよい。
【0031】
(カバーシート)
吸収体13は、吸収体13からのSAP粒子の漏洩防止や吸収体13の形状の安定化の目的から、吸収体13を包むような、カバーシート(図示省略)を有していてもよい。カバーシートの基材としては、親水性を有するものであればよく、例えば、ティッシュ、吸収紙、エアレイド不織布、スパンボンド不織布等の親水性不織布を挙げることができる。これらの中でも、スパンボンド不織布が好ましい。また、カバーシートを複数備える場合は、複数のカバーシートの基材は同一のものであっても異なるものであってもよい。また、トップシート11とカバーシートとの間に、体液をカバーシート側から吸収体13側へ迅速に捕捉し分配するためのADL層を設けてもよい。
【0032】
(立体ギャザー)
左右の立体ギャザー16は、着用者が排泄した体液の横モレを防止するために、吸収性パッド10の幅方向の両端付近で長手方向に沿ってトップシート11の肌側面に固定される。立体ギャザー16は、撥水性及び/又は防水性のシート部材16aと、弾性伸縮部材16bとを含む。
【0033】
シート部材16aは撥水性及び/又は防水性を有するシートであり、例えば不織布から構成される。シート部材16a用の不織布としては、疎水性繊維にて形成された撥水性及び/又は防水性(液不透過性)の不織布を特に限定なく使用でき、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布積層体である複合不織布(SMS不織布)等が挙げられる。シート部材16aは、本実施形態では幅方向の外端(固定端)がバックシート12の幅方向の両端付近に固定され、幅方向の途中部分がトップシート11の幅方向の両端付近に固定され、幅方向の内端が起立性を有する自由端となっている。
【0034】
弾性伸縮部材16bは、シート部材16aの自由端(他端)付近に長手方向に沿って配設され、該自由端に起立性を付与し、シート部材16aの自由端及びその近傍領域を装着者の体型に合わせて変形可能にする。弾性伸縮部材16bとしては、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリウレタン等からなる、糸状、紐状、帯状のものを適宜使用することができる。
【0035】
なお、本実施形態では、吸収性パッド10に立体ギャザー16を設けたが、着用時の違和感を低減させるためには、立体ギャザー16を設けないことが好ましい。
【0036】
(液不透過性シート)
図4及び
図5に示すように、1対の液不透過性シート14は、バックシート12の非肌側面12aに幅方向に互いに離間して設けられる。本実施形態では、バックシート12の非肌側面12aの幅方向の両端縁部に配置されて、吸収性パッド10の長手方向の一端部から他端部まで長手方向に沿って延びる。
【0037】
液不透過性シート14は、液不透過性を備えた基材を用いて形成されていればよく、樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布とを積層した複合シートといった材料から形成される。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布等の複数の同種及び/又は異種の不織布を積層した複合不織布及びこれらの複合材料が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン等のフィルム、ポリエチレンとポリプロピレンとの複合フィルム等が挙げられる。液不透過性シート14としては、これらの中でも特に、通気性のポリエチレンフィルムが好ましい。
【0038】
液不透過性シート14は、バックシート12と異なる色であることが好ましい。或いは、液不透過性シート14には、模様や柄等の印刷を施すことが好ましい。これにより、液不透過性シート14が目立つようになるので、使用者は液不透過性シート14を視認することによって吸収性パッド10の非肌側面を認識し易くなる。
【0039】
1対の液不透過性シート14の幅方向の長さW2は、吸収性パッド10の最長幅W1の10%以上25%以下であることが好ましい。1対の液不透過性シート14の幅方向の長さW2を上記範囲に設定することにより、後述するフックテープ15を固定する領域を確保できるとともに、1対の液不透過性シート14間の領域(バックシート12が露出している領域)の幅を広く確保することができる。
【0040】
なお、本実施形態では、1対の液不透過性シート14を設けたが、これに限定されるものではなく、少なくとも1対の液不透過性シート14を設けていればよい。例えば、吸収性パッド10の幅方向の一側及び他側の双方に、長手方向に沿って延びて幅方向に並列する複数の液不透過性シート14を設けてもよいし、或いは、長手方向に直列的に並ぶ複数の液不透過性シート14を設けてもよい。
【0041】
(フックテープ)
図4及び
図5に示すように、複数(本実施形態では4つ)のフックテープ15は、複数のフック(図示省略)を有する帯状の部材であって、吸収性パッド10を吸収性下着1の吸水部材3の肌側面に取付可能にする。フックテープ15としては、テープ止めタイプのおむつのウエストを固定するために一般的に使用されているものを適用することができる。フックテープ15の大きさは特に限定されるものではない。
【0042】
フックテープ15は、1対の液不透過性シート14の各々の非肌側面14aの長手方向の両側の端部に設けられ、液不透過性シート14の非肌側面に固定される。すなわち、本実施形態では、幅方向の片側2つ(両側で4つ)のフックテープ15が設けられる。複数のフックテープ15は、吸収性パッド10に幅方向に対称的に設けられる。なお、本実施形態では、4つのフックテープ15を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、吸収性パッド10幅方向の両側に配置されて、長手方向に沿って延びる1対のフックテープ15を設けてもよい。
【0043】
(チャネルエンボス)
図6に示すように、吸収性パッド10の肌側面に少なくとも1対のチャネルエンボス17を設けてもよい。なお、
図6には、砂時計型の吸収性パッド10を図示しており、略矩形型の吸収性パッド10に対応する部材に対して略矩形型の吸収性パッド10と同じ符号を付している。
【0044】
1対のチャネルエンボス17は、吸収性パッド10の幅方向の両側に配置されて長手方向に延び、トップシート11から吸収体13にかけて設けられる。1対のチャネルエンボス17は、長手方向の中央部分が幅方向の中央に向かって凸となる形状を有する。なお、チャネルエンボス17を2対以上設けてもよい。
【0045】
[吸収性パッド包装体]
図7は、本発明の一実施形態に係る吸収性パッド包装体の外観斜視図である。
図8は、3つ折りにした状態の吸収性パッドを幅方向から視た状態を示す概略図である。なお、
図7では、内部の複数の吸収性パッド10を概略的に図示している。また、
図8には、折り畳んだ状態で互いに積層された2つの吸収性パッド10を図示しているが、包装袋101に包装される複数の吸収性パッド10は、2つに限定されるものではない。
【0046】
図7に示すように、本発明の一実施形態に係る吸収性パッド包装体100は、複数の上述した吸収性パッド10と、複数の吸収性パッド10をまとめて包装する包装袋101と、を備える。本実施形態の吸収性パッド包装体100は、複数の吸収性パッド10を包装袋101によって包装した状態で、略六面体形状となっている。
【0047】
(包装袋)
包装袋101は、複数の吸収性パッド10を包装する袋状の部材であって、シート状の部材によって構成される。包装袋101は、特に限定されるものではないが、例えば、PE(Polyethylene)、PET(Polyethylene terephthalate)、PP(Polypropylene)、PS(Polystyrene)等の柔らかな樹脂材によって形成されることが好ましい。
【0048】
(複数の吸収性パッド)
図7に示すように、複数の吸収性パッド10は、それぞれ3つ折りにされて折り畳まれた状態で包装袋101内に収納されている。なお、
図7では、複数の吸収性パッド10を、上下2段で図面上の横方向に積層しているが、これに限定されるものではない。
【0049】
図8に示すように、包装袋101内の各吸収性パッド10は、幅方向に沿う2箇所の折り目a1,a2(
図3参照)でトップシート11を内側にした状態で3つ折りに折り畳まれた状態で、互いに積層されている。なお、折り目a1,a2とは、吸収性パッド10を折り畳んだ結果発生する曲折部分を意味し、折り易いように加工等が施された部分に限定されるものではない。
【0050】
次に、吸収性パッド10の折り畳み方について説明する。吸収性パッド10を折り畳む際には、先ず、吸収性パッド10の長手方向の一側(
図3では下側)を他側(
図3では上側)へ向かって、上記他側の端部よりも手前まで、トップシート11が内側になるように折り返す。この状態では、吸収性パッド10は、長手方向の上記一側が一方の折り目a1に沿って折り畳まれている。次に、吸収性パッド10の長手方向の上記他側を、前の手順で折り返した部分に対して重なるように上記一側へ、トップシート11が内側になるように折り返す(
図8に示す状態)。この状態では、吸収性パッド10は、上記一側が一方の折り目a1に沿って折り畳まれ、上記他側が他方の折り目a2に沿って折り畳まれている。3つ折りに折り畳まれた状態の吸収性パッド10の上記一側のフックテープ15は、上記他側のトップシート11に対向してトップシート11を係止する。また、3つ折りに折り畳まれた状態の吸収性パッド10の上記他側のフックテープ15は、外側(
図8では上側)へ向かって露出し、当該吸収性パッド10上に積層される他の吸収性パッド10の液不透過性シート14の非肌側面14a(
図4参照)に対向して当接する。
【0051】
上記のように構成された吸収性パッド10では、非肌面側にフックテープ15を備えるので、吸収性下着1の吸水部材3に重ねて使用する際にズレ難く、また、吸収性下着1への着脱を容易に行うことができる。
【0052】
また、トップシート11の非肌側に吸収体13を備えるので、吸収性パッド10を吸収性下着1の吸水部材3に重ねて使用することによって、排出される体液を、先ず吸収性パッド10の吸収体13で吸収することができる。
【0053】
また、液透過性のバックシート12を備えるので、吸収性パッド10を吸収性下着1の吸水部材3に重ねて使用する際に、吸収性パッド10の吸収体13が十分に体液を吸収して吸収量の上限に達すると、体液は、バックシート12を透過して吸収性下着1の吸水部材3へ移動する。このように、吸収性パッド10側の体液を、バックシート12を透過させて吸収性下着1の吸水部材3側へ移動させることができるので、吸収性下着1の吸水部材3の吸収量を吸収体13の吸収量によって補完するとともに、吸収性下着1に設けられる吸水部材3を有効に活用することができる。
【0054】
また、少なくとも1対の液不透過性シート14を、バックシート12の非肌側面12aに幅方向に互いに離間して設けるので、吸収性パッド10からバックシート12を透過して吸収性下着1の吸水部材3側へ移動する体液は、バックシート12のうち1対の液不透過性シート14間の領域を透過する。このため、吸収性パッド10から吸収性下着1側へ体液が移動する際に、吸収性パッド10の幅方向の外側への体液の漏れ(サイド漏れ)を抑えることができる。
【0055】
従って、本実施形態によれば、尿失禁用ショーツ等の吸収性下着1に設けられる吸水部材3を有効に活用しつつ吸水部材3の吸収量を補完することができ、ズレ難くかつ着脱が容易である、吸収性下着専用の使い捨ての吸収性パッド10、及び吸収性パッド包装体100を提供することができる。
【0056】
また、1対の液不透過性シート14を、長手方向に沿って延ばすことによって、吸収性パッド10から吸収性下着1側へ体液が移動する際に、吸収性パッド10の幅方向の外側への体液の漏れ(サイド漏れ)を効果的に抑えることができる。
【0057】
また、フックテープ15を、各液不透過性シート14の長手方向の両側に設けることによって、長手方向に長尺のフックテープを設ける場合とは異なり、フックテープ15の量を抑えつつ、吸収性パッド10を吸収性下着1側へ取り付けることができる。
【0058】
また、吸収体13を、フラッフレスの2枚の親水性不織布の間にSAPがホットメルト接着剤で固定されたSAPシートにすることによって、吸収性下着1側の吸収量を補助することに適した薄型の吸収性パッド10にすることができる。
【0059】
また、少なくとも1対のチャネルエンボス17を設けることによって、トップシート11の表面における液拡散性及び吸収体13内部における液拡散性が向上することで吸収速度が向上し、着用感の低下を抑制することができる。また、1対のチャネルエンボス17の長手方向の中央部分を幅方向の中央に向かって凸となる形状にすることによって、体液が集中し易い吸収性パッド10の中央部分から長手方向の両側へ体液を拡散することができる。
【0060】
また、上記のように構成された吸収性パッド包装体100では、複数の吸収性パッド10を、トップシート11を内側にして3つ折りにした状態で積層する。3つ折りに折り畳まれた状態の吸収性パッド10の上記一側のフックテープ15は、上記他側のトップシート11に対向してトップシート11を係止するので、3つ折りに折り畳まれた状態を保持することができる。
【0061】
また、3つ折りに折り畳まれた状態の吸収性パッド10の上記他側のフックテープ15は、外側(
図8では上側)へ向かって露出し、当該吸収性パッド10上に積層される他の吸収性パッド10の液不透過性シート14に対向して当接する。すなわち、3つ折りに折り畳まれた状態で積層された複数の吸収性パッド10は、フックテープ15によっては互いに係止されない。このため、吸収性パッド包装体100から1つの吸収性パッド10を取り出す際に、当該吸収性パッド10と共に他の吸収性パッド10を意図せず取り出してしまうことを防止することができる。
【0062】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0063】
1:吸収性下着
3:吸水部材(吸水部)
10:吸収性パッド
11:トップシート
12:バックシート
12a:バックシートの非肌側面
13:吸収体
14:1対の液不透過性シート
14a:液不透過性シートの非肌側面
15:フックテープ
17:1対のチャネルエンボス
100:吸収性パッド包装体
101:包装袋