(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169925
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】補助吸収パッド
(51)【国際特許分類】
A61F 13/47 20060101AFI20241129BHJP
A61F 13/475 20060101ALI20241129BHJP
A61F 13/56 20060101ALI20241129BHJP
A61F 13/62 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
A61F13/47 100
A61F13/47 300
A61F13/475 100
A61F13/56 100
A61F13/56 200
A61F13/62 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086788
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】筒井 咲葵
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200CA11
3B200DA08
3B200DA10
3B200DB11
3B200DE03
3B200DE11
3B200DE16
(57)【要約】
【課題】特に漏れが生じ易い鼠径部に簡単に装着できて、着用中の違和感が少なく、効果的に漏れを吸収することが可能な補助吸収パッドを提供する。
【解決手段】本開示は、紙おむつの使用時に補助的に使用可能な補助吸収パッド10であって、着用時に肌側に位置する液透過性のトップシート14、非肌側に位置する液不透過性のバックシート、並びにトップシート14及びバックシートの間に配置される吸収体16を有するパッド本体11と、パッド本体11よりも幅方向の一側へ延出する延出部17を有し、パッド本体11の非肌側面に対して固定される延出シート12と、延出シート12の延出部17の幅方向の上記一側の端部の肌側面に設けられ、紙おむつに対して止着可能な止着手段13と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙おむつの使用時に補助的に使用可能な補助吸収パッドであって、
着用時に肌側に位置する液透過性のトップシート、非肌側に位置する液不透過性のバックシート、並びに前記トップシート及び前記バックシートの間に配置される吸収体を有するパッド本体と、
前記パッド本体よりも幅方向の一側へ延出する延出部を有し、前記パッド本体の非肌側面に対して固定される延出シートと、
前記延出シートの前記延出部の幅方向の前記一側の端部の肌側面に設けられ、前記紙おむつに対して止着可能な止着手段と、を備える
ことを特徴とする補助吸収パッド。
【請求項2】
前記パッド本体の幅方向の前記一側の端縁は、長手方向の中央側が幅方向の他側へ湾曲する凹形状に形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の補助吸収パッド。
【請求項3】
前記延出シートの前記延出部には、幅方向の前記一側の端縁から幅方向の他側へ延びるスリット又はミシン目が設けられ、
前記止着手段は、前記延出部の前記スリット又は前記ミシン目によって分割される各領域に設けられる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の補助吸収パッド。
【請求項4】
前記止着手段は、メカニカルフックテープである
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の補助吸収パッド。
【請求項5】
前記補助吸収パッドの長手方向の寸法は、100mm以上300mm以下であり、
前記補助吸収パッドの幅方向の寸法は、50mm以上200mm以下である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の補助吸収パッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、紙おむつを装着している人の脚周りの隙間からの漏れを吸収する補助吸収パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
着用者の状況に応じて、尿とりパッド等をインナーに使用し、パンツ型やテープ止め型の紙おむつをアウターとして装着することが一般的に行われている。アウターの紙おむつは、着用者の腹側部、背側部及び股間部を被覆するが、体格に比較して脚が細い着用者においては、脚周りからの排泄物の漏れが生じ易い。高齢者では脚が細くなる傾向が顕著であり、脚周りからの漏れの発生が多くなる。このような問題を解決するものとしては、例えば特許文献1の補助吸収性物品がある。
【0003】
特許文献1には、使い捨ておむつの脚開口に装着される補助吸収性物品が開示されている。この補助吸収性物品は、帯状体の長手方向両端部が連結されて筒状とされたものであり、一方の開口から装着者の脚を通し、当該一方の開口側の端部で使い捨ておむつの脚開口の周囲が覆われる程度まで引き上げて使用する。一方の開口側の端部に、使い捨ておむつの脚開口の周囲に対して着脱可能に連結されるおむつ連結部が設けられるとともに、他方の開口側の端部に、当該他方の開口側の端部を装着者の腿にフィットさせる口部弾性伸縮部材が設けられ、また、おむつ連結部を有する領域と口部弾性伸縮部材を有する領域との間に、内周面から吸収を行う吸収領域が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の補助吸収性物品では、筒状の補助吸収性物品を装着する場合には、装着時に脚を挿通させる必要があるので、衣服(ズボン)を脱がなければ装着することができず、装着に手間が掛かる。また、帯状の補助吸収性物品を脚に巻きつける場合には、装着時に使い捨ておむつの脚開口との間に隙間が生じ易く漏れ易くなる可能性があるので、隙間が生じないように巻きつける必要があり、装着に手間が掛かる。また、使い捨ておむつの脚開口から漏れた尿等を補助吸収性物品で吸収した後は、着用者の太ももが蒸れてしまい、不快感が生じてしまう可能性がある。また、補助吸収性物品を脚の周囲に装着するので、補助吸収性物品の上から着用する衣服のシルエットに影響が出てしまい、補助吸収性物品を装着した際の衣服の選択肢が狭まってしまう。
【0006】
そこで、本開示は、特に漏れが生じ易い鼠径部に簡単に装着できて、着用中の違和感が少なく、効果的に漏れを吸収することが可能な補助吸収パッドの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、紙おむつの使用時に補助的に使用可能な補助吸収パッドであって、着用時に肌側に位置する液透過性のトップシート、非肌側に位置する液不透過性のバックシート、並びに前記トップシート及び前記バックシートの間に配置される吸収体を有するパッド本体と、前記パッド本体よりも幅方向の一側へ延出する延出部を有し、前記パッド本体の非肌側面に対して固定される延出シートと、前記延出シートの前記延出部の幅方向の前記一側の端部の肌側面に設けられ、前記紙おむつに対して止着可能な止着手段と、を備える。
【0008】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様の補助吸収パッドであって、前記パッド本体の幅方向の前記一側の端縁は、長手方向の中央側が幅方向の他側へ湾曲する凹形状に形成される。
【0009】
本発明の第3の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の補助吸収パッドであって、前記延出シートの前記延出部には、幅方向の前記一側の端縁から幅方向の他側へ延びるスリット又はミシン目が設けられ、前記止着手段は、前記延出部の前記スリット又は前記ミシン目によって分割される各領域に設けられる。
【0010】
本発明の第4の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の補助吸収パッドであって、前記止着手段は、メカニカルフックテープである。
【0011】
本発明の第5の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の補助吸収パッドであって、前記補助吸収パッドの長手方向の寸法は、100mm以上300mm以下であり、前記補助吸収パッドの幅方向の寸法は、50mm以上200mm以下である。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、特に漏れが生じ易い鼠径部に簡単に装着できて、着用中の違和感が少なく、効果的に漏れを吸収することが可能な補助吸収パッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る補助吸収パッドの肌側からの平面図である。
【
図3】補助吸収パッドの変形例を示す
図2に対応する断面図である。
【
図4】補助吸収パッドの装着時の説明図であって、(a)は準備している状態を、(b)は鼠径部に当てた状態を、(c)は固定した状態をそれぞれ示す。
【
図5】補助吸収パッドを左右両側に装着した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る補助吸収パッドについて説明する。
【0015】
本明細書において、補助吸収パッドの着用とは、体液の吸収前、吸収時、及び吸収後を問わず、補助吸収パッドを紙おむつに装着することによって身体に装着した状態を意味する。また、長手方向とは、パッド本体の長手の方向を意味し、補助吸収パッドを着用した際に着用者の前後に沿う方向であり、図中の矢印Xに沿った方向である。また、幅方向とは、パッド本体の短手の方向を意味し、長手方向と交叉(直交)する方向であり、図中の矢印Yに沿った方向である。また、補助吸収パッドの厚み方向とは、各構成部材を積層する方向をいい、図中の矢印Zに沿った方向を意味する。また、「前後方向」は、補助吸収パッドを着用した着用者の前後方向を意味する。また、補助吸収パッドの各構成部材の「肌側」とは、厚み方向のうち補助吸収パッドを着用した際に着用者の身体(脚)に向かう方向を意味し、図中の矢印Zが向く方向とする。また、「非肌側」とは、厚み方向のうち肌側とは反対の方向を意味し、図中の矢印Zが向く方向とは反対側の方向とする。また、体液とは、尿や血液、軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る補助吸収パッドの肌側からの平面図である。
図2は、
図1のII-II矢視断面図である。
図3は、補助吸収パッドの変形例を示す
図2に対応する断面図である。
【0017】
[補助吸収パッド]
本実施形態に係る補助吸収パッド10は、紙おむつ1(
図4参照)を装着している人の脚周りの隙間からの漏れを吸収するために、紙おむつ1の使用時に補助的に使用可能な補助吸収パッド10である。補助吸収パッド10は、着用者の鼠径部に配置され、紙おむつ1に対して固定されて使用される。
【0018】
図1及び
図2に示すように、補助吸収パッド10は、体液を吸収するパッド本体11と、パッド本体11から幅方向の一側(図中の矢印Yが指し示す方向)へ延出する延出シート12と、延出シート12に設けられる止着手段13とを備える。なお、以下の説明では、幅方向の一側(図中の矢印Yが指し示す方向)を単に「上記一側」と称し、幅方向の他側(図中の矢印Yとは反対方向)を、単に「上記他側」と称する。
【0019】
補助吸収パッド10の長手方向の長さ(パッド本体11の長手方向の長さ)L1は、100mm以上300mm以下であることが好ましい。補助吸収パッド10の幅方向の長さ(パッド本体11の幅方向の長さ及び延出シート12の後述する延出部17を含む長さ)W1は、50mm以上200mm以下であることが好ましい。なお、補助吸収パッド10の長手方向の長さL1の上記範囲の下限値は、150mmであることがより好ましい。また、補助吸収パッド10の長手方向の長さL1の上記範囲の上限値は、180mmであることがより好ましい。また、補助吸収パッド10の幅方向の長さW1の上記範囲の下限値は、100mmであることがより好ましい。また、補助吸収パッド10の幅方向の長さW1の上記範囲の上限値は、150mmであることがより好ましい。
【0020】
(パッド本体)
図1及び
図2に示すように、パッド本体11は、着用時に肌側に位置する液透過性のトップシート14と、着用時に非肌側に位置する液不透過性のバックシート15と、トップシート14とバックシート15との間に配置される吸収体16とを有する。トップシート14は、吸収体16を挟んで、バックシート15に対向して配置される。なお、パッド本体11は、トップシート14、及びバックシート15以外の他のシート(例えば、吸収体16を包むカバーシート等)を有していてもよい。
【0021】
パッド本体11の形状は、特に限定されるものではないが、例えば、略矩形型や小判型等が挙げられる。パッド本体11の形状がいずれの形状であっても、パッド本体11の上記一側の端縁11aは、長手方向の中央側が上記他側へ湾曲する凹形状に形成されることが好ましい。これにより、補助吸収パッド10を着用者の鼠径部に配置した際に、パッド本体11の上記一側の端縁11aを、紙おむつ1の鼠径部の脚開口2(
図4参照)に沿わせてフィットさせることができるので、紙おむつ1からの体液の漏れ(以下、単に「漏れ」という。)をパッド本体11によって好適に吸収することができる。
【0022】
パッド本体11の長手方向の長さL1は、100mm以上300mm以下であることが好ましい。パッド本体11の最も長い箇所の幅方向の長さW2は、80mm以上120mm以下であることが好ましい。パッド本体11の最も短い箇所の幅方向の長さW3は、50mm以上100mm以下であることが好ましい。パッド本体11の寸法を上記範囲に設定することにより、紙おむつ1の脚開口2からの漏れを吸収するのに適した補助吸収パッド10を得ることができる。
【0023】
(トップシート)
図1及び
図2に示すように、トップシート14は、吸収体16に向けて体液を速やかに通過させて吸収体16の面方向に体液を拡散させる液透過性のシート状基材である。トップシート14は、着用者の肌に直接当接してもよいように、柔らかな感触で、肌に刺激を与えない基材が好ましい。基材の一例としては、例えば、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布等の不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム、これらの2種以上を積層した複層シート等が挙げられる。これらの中でも、トップシート14は、エアスルー不織布、又はスパンボンド不織布であることが好ましい。
【0024】
トップシート14には、液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施してもよい。これらのエンボス加工や穿孔加工を施すための方法としては、公知の方法を制限なく実施することができる。また、肌への刺激を低減させるため、トップシート14には、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させてもよい。
【0025】
(バックシート)
図1及び
図2に示すように、バックシート15は、吸収体16が保持する体液が着用者の衣類を濡らさないような液不透過性を備えた基材を用いて形成されればよく、該基材としては、例えば、樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布との積層体である複合シート等が挙げられる。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布等の単層不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布積層体、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布積層体等の複合不織布、これらの複合材料等が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。これらの中でも、バックシート15は、通気性又は非通気性のポリエチレン(PE)フィルムであることが好ましい。バックシート15に通気性を備えさせるためには、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合したり、バックシート15にエンボス加工を施したりすればよい。なお、フィラーとしては炭酸カルシウムを挙げることができ、その配合方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。
【0026】
バックシート15は、吸収体16の全域を非肌側から覆う面積を少なくとも有していればよい。
図2に示すように、本実施形態のバックシート15は、吸収体16の全域を肌側から覆うトップシート14と略同じ大きさに形成しているが、これに限定されるものではない。例えば、
図3に示すように、バックシート15の上記他側を、本実施形態よりも長く形成し、吸収体16よりも上記他側で肌側へ折り返して、肌側のトップシート14に対して接合してもよい。この場合、補助吸収パッド10を装着した際に液不透過性のバックシート15が吸収体16の下方に位置しているので、吸収体16からの下方への漏れを防止することができる。なお、
図3では、
図2の部材と対応する部材には、同一の符号を付している。
【0027】
(吸収体)
図1及び
図2に示すように、吸収体16としては、例えば、吸収性繊維と高吸収性ポリマー(以下、「SAP」という場合がある。)とを含むフラッフ吸収体や、液吸収性シート間にSAP粒子を固着したSAPシートが挙げられる。これらの中でも、吸収体16は、吸収性繊維(フラッフパルプ)とSAPとを含むフラッフ吸収体であることが好ましい。
【0028】
吸収性繊維は、一般に生理用ナプキンや紙おむつ、尿取りパッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュー、吸収紙、親水性不織布等を挙げることができる。フラッフパルプとしては、木材パルプ(例えば、サウザンパインやダグラスファー等の針葉樹晒クラフトパルプ(N-BKP))、合成繊維、樹脂繊維、非木材パルプ等を綿状に解繊したものを挙げることができる。また、液吸収性シートとしては、上記吸収性繊維の1種又は2種以上から構成されるシートが挙げられる。
【0029】
高吸収性ポリマーとしては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸塩、ポリアスパラギン酸塩、(デンプン-アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸-ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン-無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等が挙げられる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸アルカリ金属塩がより好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムが更に好ましい。高吸収性ポリマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0030】
(カバーシート)
SAP粒子の漏洩防止や吸収体16の形状の安定化の目的から、吸収体16を包むような、カバーシート(図示省略)を設けてもよい。カバーシートの基材としては、親水性を有するものであればよく、例えば、ティッシュ、吸収紙、エアレイド不織布、スパンボンド不織布等の親水性不織布を挙げることができる。これらの中でも、スパンボンド不織布が好ましい。また、カバーシートを複数備える場合は、複数のカバーシートの基材は同一のものであっても異なるものであってもよい。また、トップシート14とカバーシートとの間に、体液をカバーシート側から吸収体16側へ迅速に捕捉し分配するためのADL層を設けてもよい。
【0031】
(延出シート)
図1及び
図2に示すように、延出シート12は、紙おむつ12に対して取り付けられた際にパッド本体11を支持するシートであって、パッド本体11の非肌側面(本実施形態ではバックシート15の非肌側面)に対して固定される。延出シート12は、パッド本体11の上記一側の端縁11aよりも上記一側へ延出する延出部17を有する。延出シート12のうち延出部17よりも上記他側のバックシート15に対向する領域は、少なくとも一部がバックシート15に対して固定される。延出シート12のバックシート15に対向する領域のうち、パッド本体11の上記一側の端縁11aの近傍は、バックシート15に対して固定されなくてもよい。延出シート12の長手方向の長さL2は、130mm以上150mm以下であることが好ましい。
【0032】
延出部17には、上記一側の端縁17aから上記他側へ延びるスリット又はミシン目が設けられることが好ましい。スリット又はミシン目を設ける数は、1本~3本であることが好ましい。本実施形態の延出部17には、上記一側の端部に複数(2つ)のミシン目18が設けられる。複数のミシン目18は、長手方向に互いに離間して配置され、破断することによって、延出部17の上記一側の端部を、3つの領域19a,19b,19cに分割する。
【0033】
なお、本実施形態では、延出部17にミシン目18を設けたが、ミシン目18に代えて、予め切断されたスリットを設けてもよい。また、スリット又はミシン目を、延出部17の上記一側の端部のみではなく、延出部17の上記一側の端縁17aからパッド本体11の上記一側の端縁11a辺りまで延ばしてもよい。或いは、延出部17にスリット又はミシン目を設けなくてもよい。
【0034】
延出シート12は、不織布であることが好ましく、基材の一例としては、例えば、スパンボンド不織布や、SMMS(スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布)不織布等が挙げられる。延出シート12の厚みは、トップシート14やバックシート15よりも厚い方が好ましい。延出シート12の坪量は、30g/m2以上100g/m2以下であることが好ましい。
【0035】
図2に示すように、本実施形態の延出シート12の上記他側は、バックシート15の上記他側と略同じ位置まで延びているが、これに限定されるものではない。例えば、
図3に示すように、延出シート12の上記他側を、本実施形態よりも長く形成し、バックシート15と共に吸収体16よりも上記他側で肌側へ折り返してもよい。
【0036】
(止着手段)
止着手段13は、延出シート12の延出部17を紙おむつ1へ止着するための手段であって、延出部17の上記一側の端部の肌側面17bに設けられ、紙おむつ1に対して止着可能である。
【0037】
止着手段13は、延出シート12の延出部17の上記一側の端部に長手方向に沿って延びるように設けられることが好ましい。上述したように延出部17にスリット又はミシン目を設ける場合には、止着手段13は、スリット又はミシン目によって分割される各領域(本実施形態では3つの領域19a,19b,19c)のそれぞれに設けられる。この場合であっても、各領域(本実施形態では3つの領域19a,19b,19c)に設けられる止着手段13は、全体として長手方向に沿って延びるように設けられることが好ましい。
【0038】
止着手段13は、例えば、延出部17の肌側面17bに設けられる粘着層であってもよいし、或いはメカニカルフックテープであってもよい。これらの中でも、止着手段13は、メカニカルフックテープであることが好ましい。
【0039】
止着手段13として粘着層を設ける場合、粘着層を形成する粘着剤としては、特に限定はないが、例えば、ポリアクリル酸エステル、酢酸ビニル-エチレン共重合体、酢酸ビニル-アクリル共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、スチレン-アクリル系共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ブタジエン-スチレン共重合体等のホットメルト系粘着剤が挙げられる。これらを、1種のみを使用しても、複数をブレンドして使用してもよい。この場合、使用前の補助吸収パッド10の止着手段13として粘着層には、剥離可能なシート(剥離紙等)を貼り付けて、粘着層を保護してもよい。
【0040】
(使用方法)
次に、補助吸収パッド10の使用方法の一例について説明する。なお、補助吸収パッド10の使用方法はこれに限定されるものではない。
【0041】
図4は、補助吸収パッドの装着時の説明図であって、(a)は準備している状態を、(b)は鼠径部に当てた状態を、(c)は固定した状態をそれぞれ示す。
図5は、補助吸収パッドを左右両側に装着した状態を示す説明図である。なお、
図5及び
図6は、紙おむつ1を装着した着用者の腰回りを前方から視た状態を示す概略的な図である。
図5には、補助吸収パッド10を着用者の左側の鼠径部に装着する状態が図示されている。
【0042】
図5(a)に示すように、補助吸収パッド10を使用する場合には、先ず、パッド本体11の上記一側の端縁11aを上記一側へ露出させるように、延出シート12の延出部17を非肌側へ折り返した状態(以下、「折り返し状態」と称する。)にする。
【0043】
次に、
図5(b)に示すように、パッド本体11の上記一側の端縁11aを鼠径部側へ向けて、トップシート14を着用者の太ももの内側に当接させた状態で、折り返し状態の補助吸収パッド10を上方の鼠径部へ向かってスライド移動させる。そして、パッド本体11の上記一側の端縁11aを、紙おむつ1の立体ギャザー(図示省略)よりも外側、かつ鼠径部の脚開口2のギャザーの内側にフィットさせる。
【0044】
次に、
図5(c)に示すように、延出シート12の延出部17を、折り返し状態から元に戻しつつ、止着手段13によって紙おむつ1の表面に止着する。
図6に示すように、着用者の右側の鼠径部にも左側と同様にして、補助吸収パッド10を装着する。
【0045】
上記のように構成された補助吸収パッド10は、パッド本体11よりも上記一側へ延出する延出部17を有する延出シート12と、延出シート12の延出部17を紙おむつ1に対して止着可能な止着手段13とを備える。このため、上述したように、延出部17を折り返し状態にして、折り返し状態の補助吸収パッド10を上方の鼠径部へ向かって着用者の太ももの内側に沿ってスライドさせることによって、補助吸収パッド10を容易に鼠径部に配置することができる。また、補助吸収パッド10を鼠径部に配置した後、延出シート12の延出部17を、折り返し状態から元に戻すことによって、補助吸収パッド10を紙おむつ1に対して容易に止着することができ、鼠径部に容易に装着することができる。
【0046】
また、補助吸収パッド10を着用者の太ももの内側に沿って鼠径部へ向かってスライドさせて装着するので、衣服(ズボン)を完全に脱ぐことなく、着用したまま少し下へずらすだけで、寝たきりの状態でも簡単に装着することができる。
【0047】
また、パッド本体11の上記一側の端縁11aを紙おむつ1の立体ギャザー(図示省略)と脚との間に入れ込むように装着するので、隙間が生じ難く、漏れ難い。
【0048】
また、補助吸収パッド10を止着手段13によって紙おむつ1に止着するので、所望の位置に装着することができ、着用者の事情に応じて装着位置を変更することができる。
【0049】
また、紙おむつ1から体液等が漏れ、補助吸収パッド10の吸収体16で吸収した場合であっても、吸収体16が鼠径部に配置されているので、不快感が少ない。
【0050】
また、着用者の鼠径部に装着する補助吸収パッド10であり、比較的コンパクトなサイズであるので、その上から衣服(例えばタイトな衣服)を着用しても衣服のシルエットに影響が出難い。
【0051】
したがって、本実施形態によれば、特に漏れが生じ易い鼠径部に簡単に装着できて、着用中の違和感が少なく、効果的に漏れを吸収することが可能な補助吸収パッド10を提供することができる。
【0052】
また、パッド本体11の上記一側の端縁11aは、長手方向の中央側が上記他側へ湾曲する凹形状に形成されるので、パッド本体11の上記一側の端縁11aを、紙おむつ1の立体ギャザー(図示省略)よりも外側、かつ脚開口2のギャザーの内側にフィットさせた際の隙間の発生を防止することができる。
【0053】
また、延出シート12の延出部17には、上記一側の端縁17aから上記他側へ延びるスリット又はミシン目が設けられるので、延出部17の上記一側の端部を複数に分割することができる。また、延出部17の上記一側の端部を複数に分割した場合には、止着手段13は、延出部17のスリット又はミシン目によって分割される各領域に設けられる。このため、延出シート12の延出部17の各領域を互いに広げた状態で紙おむつ1の股下部の表面に止着することができるので、パッド本体11を脚に沿わせた状態で補助吸収パッド10を装着することができる。
【0054】
また、止着手段13を、メカニカルフックテープにすることによって、粘着層等を設ける場合とは異なり、剥離シート等が不要となる。また、止着手段13を、メカニカルフックテープにすることによって、粘着層等を設ける場合とは異なり、位置調節等を行う際の複数回の着脱が可能となる。
【0055】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0056】
10:補助吸収パッド
11:パッド本体
12:延出シート
13:止着手段
14:トップシート
15:バックシート
16:吸収体
17:延出部
18:ミシン目