(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169944
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】駆動装置及び駆動装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
E02F 9/20 20060101AFI20241129BHJP
E02F 9/22 20060101ALI20241129BHJP
F16H 1/28 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
E02F9/20 C
E02F9/22 E
F16H1/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086819
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】古田 倫子
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】弘津 聡一郎
(72)【発明者】
【氏名】久田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】小森 悦朗
【テーマコード(参考)】
2D003
3J027
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB03
2D003AB04
2D003BA01
2D003BA02
2D003BA05
2D003CA02
2D003CA10
2D003DA02
2D003DA04
2D003DB01
2D003DB02
2D003FA02
3J027FA37
3J027FB10
3J027GB03
3J027GC13
3J027GE29
(57)【要約】
【課題】回転駆動する装置に加わる衝撃荷重を緩和でき、かつ駆動効率の低下を防止できる駆動装置及び駆動装置の制御方法を提供する。
【解決手段】実施形態の駆動装置1は、各々ブーム102、アーム103、及びバケット104を回転させる電動アクチュエータ2と、車体101とスイングブラケット105との間に連結されたダンパ9と、を備える。ダンパ9は、ブーム102、アーム103、及びバケット104のいずれかに加わる衝撃荷重を緩和する機能を有効にする有効モードと、ブーム102、アーム103、及びバケット104のいずれかに加わる衝撃荷重を緩和する機能を無効にする無効モードと、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、
前記第1部材に接近離間するように、前記第1部材に対して回転自在に設けられた第2部材と、
前記第1部材に対して前記第2部材を回転させる電動アクチュエータと、
前記第1部材と前記第2部材とに連結されたダンパと、
を備え、
前記ダンパは、前記第1部材及び前記第2部材のいずれかに加わる衝撃荷重を緩和する機能を有効にする有効モードと、前記第1部材及び前記第2部材のいずれかに加わる衝撃荷重を緩和する機能を無効にする無効モードと、を有する、
駆動装置。
【請求項2】
車体に設けられたスイングブラケットに回転自在に連結されたブームと、
前記ブームに回転自在に連結されたアームと、
前記アームに回転自在に連結されたアタッチメントと、
前記スイングブラケットと前記ブームとの連結部、前記ブームと前記アームとの連結部、及び前記アームと前記アタッチメントとの連結部の少なくともいずれかに設けられた電動アクチュエータと、
前記車体と前記スイングブラケットとに連結され、前記スイングブラケットに加わる衝撃荷重を緩和するダンパと、
を備えた、
駆動装置。
【請求項3】
前記ダンパは、電動流体アクチュエータを含み、
前記電動流体アクチュエータは、
シリンダと、
前記シリンダに流体を循環させる流体ポンプと、
前記流体ポンプを駆動させる流体アクチュエータ用電動モータと、
を備える、
請求項1又は請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記電動アクチュエータは、
アクチュエータ用電動モータと、
前記アクチュエータ用電動モータと一体化された減速機と、
を備え、
前記減速機は、
ケースと、
前記ケース内に収納され、前記アクチュエータ用電動モータから入力された回転を減速して出力する減速機構と、
を備え、
前記ケースは、前記流体が貯留されるタンクと兼用されている、
請求項3に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記電動流体アクチュエータと前記電動アクチュエータとが一体化されている、
請求項4に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記流体ポンプと前記ケースとは、前記流体が流れる管を介して連結されており、
前記管は外気中に露出している、
請求項4に記載の駆動装置。
【請求項7】
駆動部材と、
前記駆動部材を駆動させる流体回転機及び電動回転機と、
を備え、
前記流体回転機及び前記電動回転機は同軸上に配置されているとともに、前記流体回転機の回転を出力する流体機出力部と前記電動回転機の回転を出力する電動機出力部とが対向配置されており、
前記流体機出力部と前記電動機出力部とが前記駆動部材を介して連結されている、
駆動装置。
【請求項8】
前記流体回転機は、軸方向で前記流体機出力部とは反対側に設けられた流体機固定部を有し、
前記流体機固定部に対して前記流体機出力部が回転され、
前記電動回転機は、軸方向で前記電動機出力部とは反対側に設けられた電動機固定部を有し、
前記電動機固定部に対して前記電動機出力部が回転され、
前記流体機固定部及び前記電動機出力部は、前記駆動部材とは別の固定部材に固定されている、
請求項7に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記流体回転機は、
液体が供給及び排出される体積室を有するロータ部と、
前記体積室に前記液体を供給及び排出するポートを有するバルブプレートと、
を備え、
前記ロータ部は、前記体積室に前記液体が供給及び排出されることによって回転力を発生し、
前記バルブプレートは、前記流体機出力部と一体となって回転する、
請求項7又は請求項8に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記ロータ部は、
内歯歯車と、
前記内歯歯車の径方向内側で遊星運動する外歯歯車と、
を備え、
前記内歯歯車と前記外歯歯車との間に前記体積室が形成されている、
請求項9に記載の駆動装置。
【請求項11】
第1部材と、
前記第1部材に接近離間するように、前記第1部材に対して回転自在に設けられた第2部材と、
前記第1部材に対して前記第2部材を回転させる電動アクチュエータと、
前記第1部材と前記第2部材とに連結されたダンパと、
を備え、
前記ダンパは、前記第1部材及び前記第2部材のいずれかに加わる衝撃荷重を緩和する機能を有効にする有効モードと、前記第1部材及び前記第2部材のいずれかに加わる衝撃荷重を緩和する機能を無効とする無効モードと、を有する、駆動装置の制御方法であって、
前記第1部材及び前記第2部材のいずれかに加わる衝撃荷重が予め定めた閾値を超えた場合に前記有効モードとし、
前記第1部材及び前記第2部材のいずれかに加わる衝撃荷重が予め定めた閾値以下の場合に前記無効モードとする、
駆動装置の制御方法。
【請求項12】
駆動部材と、
前記駆動部材を駆動させる流体回転機及び電動回転機と、
前記流体回転機を駆動させる流体をタンクに還流させるタンク流路と、
を備え、
前記流体回転機及び前記電動回転機は同軸上に配置されているとともに、前記流体回転機の回転を出力する流体機出力部と前記電動回転機の回転を出力する電動機出力部とが対向配置されており、
前記流体機出力部と前記電動機出力部とが前記駆動部材を介して連結されている、駆動装置の制御方法であって、
前記電動回転機によって回生エネルギーを得る場合に、前記タンク流路を開放し、
前記流体回転機を前記電動回転機の回転を静止するブレーキとして機能させる場合、前記タンク流路を遮断する、
駆動装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置及び駆動装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば油圧ショベル等の建設機械の駆動装置として、油圧モータや油圧シリンダ等の油圧を利用した装置がある。また、油圧を用いた装置に代わって、電動モータやリニアアクチュエータ等の電気を利用した装置もある。
【0003】
駆動装置として電動モータやリニアアクチュエータを利用する場合、これら電動モータリニアアクチュエータに加わる衝撃荷重によって駆動装置が損傷してしまう可能性があった。このため、衝撃荷重を吸収するためのさまざまな技術が提案されている。例えば、リニアアクチュエータに皿ばねやねじりばねによって構成される機構を設けた技術が提案されている。この機構は、過負荷時に作動することによってリニアアクチュエータの損傷を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術にあっては、回転駆動する駆動装置として電動モータを使用する場合、上記の構成を採用できないという課題があった。
しかも、実際に建設機械等で使用しようとした場合、大きな衝撃荷重に耐え得るように構成しようとすると装置が大型化してしまう。これにより駆動装置の駆動効率が低下してしまうという課題があった。
【0006】
本発明は、回転駆動する装置に加わる衝撃荷重を緩和でき、かつ駆動効率の低下を防止できる駆動装置及び駆動装置の制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る駆動装置は、第1部材と、前記第1部材に接近離間するように、前記第1部材に対して回転自在に設けられた第2部材と、前記第1部材に対して前記第2部材を回転させる電動アクチュエータと、前記第1部材と前記第2部材とに連結されたダンパと、を備え、前記ダンパは、前記第1部材及び前記第2部材のいずれかに加わる衝撃荷重を緩和する機能を有効にする有効モードと、前記第1部材及び前記第2部材のいずれかに加わる衝撃荷重を緩和する機能を無効にする無効モードと、を有する。
【0008】
このように構成することで、ダンパによって、回転駆動する電動アクチュエータに加わる衝撃荷重を緩和できる。電動アクチュエータの損傷を防止できる。
ダンパは、衝撃荷重を緩和する機能を有効にする有効モードと、衝撃荷重を緩和する機能を無効にする無効モードと、を有する。このため、ダンパが常時作用して電動アクチュエータに対する負荷となってしまうことを防止できる。よって、駆動装置の駆動効率の低下を防止できる。
【0009】
本発明の他の態様に係る駆動装置は、車体に設けられたスイングブラケットに回転自在に連結されたブームと、前記ブームに回転自在に連結されたアームと、前記アームに回転自在に連結されたアタッチメントと、前記スイングブラケットと前記ブームとの連結部、前記ブームと前記アームとの連結部、及び前記アームと前記アタッチメントとの連結部の少なくともいずれかに設けられた電動アクチュエータと、前記車体と前記スイングブラケットとに連結され、前記スイングブラケットに加わる衝撃荷重を緩和するダンパと、を備えた。
【0010】
このように構成することで、アーム、ブーム、及びアタッチメントに加わる衝撃荷重が電動アクチュエータに加わる前にスイングブラケットに伝達し、スイングブラケットを介してダンパに伝達できる。このダンパによって衝撃荷重を緩和できるので、回転駆動する電動アクチュエータに加わる衝撃荷重を緩和でき、電動アクチュエータの損傷を防止できる。
ダンパは、車体とスイングブラケットに連結されているので、ダンパが常時作用していても電動アクチュエータの負荷になってしまうことを防止できる。このため、駆動装置の駆動効率の低下を防止できる。
【0011】
上記構成において、前記ダンパは、電動流体アクチュエータを含み、前記電動流体アクチュエータは、シリンダと、前記シリンダに流体を循環させる流体ポンプと、前記流体ポンプを駆動させる流体アクチュエータ用電動モータと、を備えてもよい。
【0012】
上記構成において、前記電動アクチュエータは、アクチュエータ用電動モータと、前記アクチュエータ用電動モータと一体化された減速機と、を備え、前記減速機は、ケースと、前記ケース内に収納され、前記アクチュエータ用電動モータから入力された回転を減速して出力する減速機構と、を備え、前記ケースは、前記流体が貯留されるタンクと兼用されてもよい。
【0013】
上記構成において、前記電動流体アクチュエータと前記電動アクチュエータとが一体化されてもよい。
【0014】
上記構成において、前記流体ポンプと前記ケースとは、前記流体が流れる管を介して連結されており、前記管は外気中に露出してもよい。
【0015】
本発明の他の態様に係る駆動装置は、駆動部材と、前記駆動部材を駆動させる流体回転機及び電動回転機と、を備え、前記流体回転機及び前記電動回転機は同軸上に配置されているとともに、前記流体回転機の回転を出力する流体機出力部と前記電動回転機の回転を出力する電動機出力部とが対向配置されており、前記流体機出力部と前記電動機出力部とが前記駆動部材を介して連結されている。
【0016】
このように構成することで、駆動部材に衝撃荷重が加わった際、流体回転機によって電動回転機に加わる衝撃荷重を緩和できる。このため、回転駆動する電動回転機に加わる衝撃荷重を緩和でき、電動回転機の損傷を防止できる。
流体回転機によって電動回転機の駆動をアシストできるので、駆動装置の駆動効率を向上できる。
【0017】
上記構成において、前記流体回転機は、軸方向で前記流体機出力部とは反対側に設けられた流体機固定部を有し、前記流体機固定部に対して前記流体機出力部が回転され、前記電動回転機は、軸方向で前記電動機出力部とは反対側に設けられた電動機固定部を有し、前記電動機固定部に対して前記電動機出力部が回転され、前記流体機固定部及び前記電動機出力部は、前記駆動部材とは別の固定部材に固定されてもよい。
【0018】
上記構成において、前記流体回転機は、液体が供給及び排出される体積室を有するロータ部と、前記体積室に前記液体を供給及び排出するポートを有するバルブプレートと、を備え、前記ロータ部は、前記体積室に前記液体が供給及び排出されることによって回転力を発生し、前記バルブプレートは、前記流体機出力部と一体となって回転してもよい。
【0019】
上記構成において、前記ロータ部は、内歯歯車と、前記内歯歯車の径方向内側で遊星運動する外歯歯車と、を備え、前記内歯歯車と前記外歯歯車との間に前記体積室が形成されていてもよい。
【0020】
本発明の一態様に係る駆動装置の制御方法は、第1部材と、前記第1部材に接近離間するように、前記第1部材に対して回転自在に設けられた第2部材と、前記第1部材に対して前記第2部材を回転させる電動アクチュエータと、前記第1部材と前記第2部材とに連結されたダンパと、を備え、前記ダンパは、前記第1部材及び前記第2部材のいずれかに加わる衝撃荷重を緩和する機能を有効にする有効モードと、前記第1部材及び前記第2部材のいずれかに加わる衝撃荷重を緩和する機能を無効とする無効モードと、を有する、駆動装置の制御方法であって、前記第1部材及び前記第2部材のいずれかに加わる衝撃荷重が予め定めた閾値を超えた場合に前記有効モードとし、前記第1部材及び前記第2部材のいずれかに加わる衝撃荷重が予め定めた閾値以下の場合に前記無効モードとする、駆動装置の制御方法。
【0021】
このような方法とすることで、ダンパによって電動アクチュエータに加わる衝撃荷重を緩和できる。
ダンパを、衝撃荷重を緩和する機能を有効にする有効モードと、衝撃荷重を緩和する機能を無効にする無効モードと、に切り替えることにより、ダンパが電動アクチュエータに対する負荷となってしまうことを防止できる。よって、駆動装置の駆動効率の低下を防止できる。
【0022】
本発明の一態様に係る駆動装置の制御方法は、駆動部材と、前記駆動部材を駆動させる流体回転機及び電動回転機と、前記流体回転機を駆動させる流体をタンクに還流させるタンク流路と、を備え、前記流体回転機及び前記電動回転機は同軸上に配置されているとともに、前記流体回転機の回転を出力する流体機出力部と前記電動回転機の回転を出力する電動機出力部とが対向配置されており、前記流体機出力部と前記電動機出力部とが前記駆動部材を介して連結されている、駆動装置の制御方法であって、前記電動回転機によって回生エネルギーを得る場合に、前記タンク流路を開放し、前記流体回転機を前記電動回転機の回転を静止するブレーキとして機能させる場合、前記タンク流路を遮断する。
【0023】
このような方法とすることで、液圧モータを電動モータのブレーキとして機能させることができるので、駆動装置を簡素化できる。
電動モータによって回生エネルギーを得る場合、液圧モータによって阻害されることがない。このため、駆動装置の駆動効率を向上できる。
【発明の効果】
【0024】
上述の駆動装置及び駆動装置の制御方法は、回転駆動する装置に加わる衝撃荷重を緩和でき、かつ駆動効率の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第1実施形態における建設機械の概略構成図である。
【
図2】本発明の第1実施形態における電動アクチュエータの概略構成図である。
【
図3】本発明の第1実施形態におけるダンパの概略構成図である。
【
図4】本発明の第1実施形態における駆動装置の制御方法を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の第2実施形態における駆動装置の概略構成図である。
【
図6】本発明の第2実施形態における電動油圧アクチュエータの概略構成図である。
【
図7】本発明の第2実施形態の第1変形例における駆動装置の概略構成図である。
【
図8】本発明の第2実施形態の第2変形例における駆動装置の油圧回路図である。
【
図9】本発明の第2実施形態の第3変形例における駆動装置の概略構成図である。
【
図10】本発明の第2実施形態の第4変形例における駆動装置の概略構成図である。
【
図11】本発明の第3実施形態における駆動装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
[第1実施形態]
<建設機械>
図1は、第1実施形態に係る駆動装置1を備える建設機械100の概略構成図である。
建設機械100は、例えばパワーショベル等の掘削機の一種である。
図1に示すように、建設機械100は、走行部101a及び上部旋回部101bを有する車体101と、車体101に設けられたブーム102、アーム103、バケット(請求項におけるアタッチメントの一例)104、及び複数の駆動装置1と、を備える。以下の説明では、建設機械100を路面に載置した状態で上下方向をいうものとする。上部旋回部101bに対する前後方向及び左右方向を単に前後方向、左右方向などというものとする。
【0028】
上部旋回部101bは、走行部101aに対して上下方向を回転軸線方向として旋回する。上部旋回部101bには、スイングブラケット105を介してブーム102の基端102aが回転自在に連結されている。ブーム102の先端102bには、アーム103の基端103aが回転自在に連結されている。アーム103の先端103bには、バケット104が回転自在に連結されている。
【0029】
スイングブラケット105とブーム102との第1回転軸線J1、ブーム102とアーム103との第2回転軸線J2、及びアーム103とバケット104との第3回転軸線J3は、それぞれ左右方向に沿っている。スイングラケット105は、上部旋回部101bに左右方向に揺動自在に設けられている。スイングブラケット105とブーム102との連結部、ブーム102とアーム103との連結部、アーム103とバケット104との連結部には、それぞれ電動アクチュエータ2が設けられている。電動アクチュエータ2は、駆動装置1の一部を構成している。
【0030】
<駆動装置>
まず、
図2に基づいて電動アクチュエータ2について説明する。
図2は、電動アクチュエータ2の概略構成図である。
図2に示すように、電動アクチュエータ2は、アクチュエータ用電動モータ3と、アクチュエータ用電動モータ3と一体化された減速機4と、を備える。アクチュエータ用電動モータ3と減速機4とは軸方向に並んで配置されている。減速機4は、ケース5とケース5内に収納された減速機構6と、を備える。
【0031】
減速機構6は、アクチュエータ用電動モータ3から入力された回転を減速して出力する。減速機構6は、例えば複数の歯車により構成されている。ケース5は、減速機構6の出力部7として機能している。このような電動アクチュエータ2は、アクチュエータ用電動モータ3及び減速機4の回転軸線がそれぞれ対応する回転軸線J1~J3と一致するように設けられている。
【0032】
例えば、スイングブラケット105とブーム102との連結部に設けられた電動アクチュエータ2は、スイングブラケット105又はブーム102のいずれか一方に、アクチュエータ用電動モータ3が固定されている。スイングブラケット105又はブーム102のいずれか他方に、ケース5が固定されている。これにより、スイングブラケット105に対してブーム102が第1回転軸線J1回りに回転駆動する。
【0033】
例えば、ブーム102とアーム103との連結部に設けられた電動アクチュエータ2は、ブーム102又はアーム103のいずれか一方に、アクチュエータ用電動モータ3が固定されている。ブーム102又はアーム103のいずれか他方に、ケース5が固定されている。これにより、ブーム102に対してアーム103が第2回転軸線J2回りに回転駆動する。
【0034】
例えば、アーム103とバケット104との連結部に設けられた電動アクチュエータ2は、アーム103又はバケット104のいずれか一方に、アクチュエータ用電動モータ3が固定されている。アーム103又はバケット104のいずれか他方に、ケース5が固定されている。これにより、アーム103に対してバケット104が第3回転軸線J3回りに回転駆動する。
【0035】
各電動アクチュエータ2には、それぞれ衝撃検出センサ8が設けられている。衝撃検出センサ8は、ブーム102、アーム103及びバケット104に加わる衝撃荷重を検出する。衝撃検出センサ8としては、例えば歪センサ、電流値検出センサ、加速度センサ、角速度センサ等が挙げられる。歪センサであれば、例えばケース5に生じる歪を検出することで、ブーム102、アーム103又はバケット104に加わる衝撃荷重を検出する。歪の値が予め定めた閾値を超えた場合に、ブーム102、アーム103又はバケット104に過剰な衝撃荷重が加わっていると判断する。
【0036】
電流値検出センサであれば、アクチュエータ用電動モータ3に供給する電流値を検出する。電流値が予め定めた閾値を超えた場合に、ブーム102、アーム103又はバケット104に過剰な衝撃荷重が加わっていると判断する。
加速度センサや角速度センサであれば、ブーム102、アーム103又はバケット104を駆動させてからの減速度合いが予め定めた閾値を下回った場合に、ブーム102、アーム103又はバケット104に過剰な衝撃荷重が加わっていると判断する。加速度センサや角速度センサは、ブーム102、アーム103又はバケット104に設けることも可能である。以下の説明では、上述の閾値を総称して衝撃荷重閾値とする。
【0037】
駆動装置1は、電動アクチュエータ2の他に、ダンパ9を備える。ダンパ9は、上部旋回部101bとスイングブラケット105とに連結されるように設けられている。
ダンパ9は、スイングブラケット105に加わる衝撃荷重を緩和する。換言すれば、ブーム102、アーム103又はバケット104に加わる衝撃荷重はスイングブラケット105に伝達されるので、ダンパ9によってスイングブラケット105に加わる衝撃荷重を緩和することにより、結果的にブーム102、アーム103又はバケット104に加わる衝撃荷重を緩和する。
【0038】
図3は、ダンパ9の概略構成図である。
図1、
図3に示すように、ダンパ9は、例えば伸縮型のシリンダダンパである。ダンパ9は、シリンダ11と、シリンダ11内をシリンダ11の軸方向に沿ってスライド移動するピストンロッド12と、を備える。シリンダ11内は、ピストンロッド12のピストン13によって2つの油圧室14a,14bに隔てられている。シリンダ11内には、作動油が充填されている。2つの油圧室14a,14bには、これら2つの油圧室14a,14bを通じさせる流路14が連結されている。流路14には、開閉スイッチ15が設けられている。開閉スイッチ15は、流路14の作動油の流れを許容したり遮断したりする。
【0039】
開閉スイッチ15は、建設機械100に設けられた制御部20に接続されている。制御部20には、衝撃検出センサ8によって検出された値が信号として入力される。制御部20には、スイングブラケット105とブーム102との連結部(以下、BM連結部と称する)、ブーム102とアーム103との連結部(以下、AM連結部と称する)、及びアーム103とバケット104との連結部(以下、BKT連結部と称する)のそれぞれに対し、個別に衝撃荷重閾値が設定されている。制御部20は、衝撃検出センサ8から入力された信号と各衝撃荷重閾値とに基づいて、開閉スイッチ15の開閉制御を行う。
【0040】
このような構成のもと、ダンパ9は、上部旋回部101b又はスイングブラケット105のいずれか一方にシリンダ11が固定されている。ダンパ9は、上部旋回部101b又はスイングブラケット105のいずれか他方にピストンロッド12のロッド16が固定されている。
ロッド16に所定の衝撃荷重が加わると(
図3における矢印F参照)、ピストン13が押し込まれて2つの油圧室14a,14bの容積が変化しようとする。この際に生じる2つの油圧室14a,14bの間を移動する作動油の流れが抵抗となって、ロッド16に加わる衝撃荷重が緩和される。このとき、開閉スイッチ15によって流路14の作動油の流れは許容されている。
【0041】
これに対し、開閉スイッチ15によって流路の作動油の流れが遮断されるとピストンロッド12の移動が阻害される。このため、ダンパ9は、ロッド16に加わる衝撃荷重を緩和できない。すなわちダンパ9は、スイングブラケット105(ロッド16)に加わる衝撃荷重を緩和する機能を有効にする有効モードと、スイングブラケット105(ロッド16)に加わる衝撃荷重を緩和する機能を無効にする無効モードと、を有する。
【0042】
<駆動装置の制御方法>
次に、駆動装置1の制御方法についてより具体的に説明する。
図4は、駆動装置1の制御方法を示すフローチャートである。
駆動装置1では、建設機械100の停止時又は通常運転時にダンパ9は無効モードである。通常運転とは、建設機械100に過剰な衝撃荷重が加わっていない状態での運転をいう。
【0043】
図4に示すように、建設機械100に衝撃荷重が加わると(ステップST100)、その衝撃荷重は、BM連結部、AM連結部、及びBKT連結部のいずれかに設けられた衝撃検出センサ8によって検出される。
BM連結部の衝撃検出センサ8によって検出された場合(ステップST110)、制御部20は検出された衝撃荷重がBM連結部における衝撃荷重閾値を超えるか否かの判断を行う(ステップST111)。
【0044】
ステップST111における判断が「No」、つまり、BM連結部から検出された衝撃荷重が衝撃荷重閾値以下である場合、ダンパ9は無効モードのままである(ステップST140)。
ステップST111における判断が「Yes」、つまり、BM連結部から検出された衝撃荷重が衝撃荷重閾値を超える場合、制御部20は、ダンパ9を有効モードに切り替える(ステップST150)。すると、BM連結部からスイングブラケット105に伝達された衝撃荷重がダンパ9によって緩和される。この結果、BM連結部に加わる荷重が緩和される。
【0045】
続いて、制御部20はBM連結部から検出された衝撃荷重が衝撃荷重閾値以下まで低下したか否かの判断を行う(ステップST112)。
ステップST112における判断が「No」、つまり、BM連結部から検出された衝撃荷重が衝撃荷重閾値以下まで低下していない場合、ダンパ9は有効モードのままである(ステップST150)。
ステップST112における判断が「Yes」、つまり、BM連結部から検出された衝撃荷重が衝撃荷重閾値以下まで低下した場合、制御部20は、ダンパ9を無効モードに切り替える(ステップST160)。そして、建設機械100は通常運転に戻るか、又は停止する。
【0046】
一方、AM連結部の衝撃検出センサ8によって衝撃荷重が検出された場合(ステップST120)、制御部20は検出された衝撃荷重がAM連結部における衝撃荷重閾値を超えるか否かの判断を行う(ステップST121)。
ステップST121における判断が「No」、つまり、AM連結部から検出された衝撃荷重が衝撃荷重閾値以下である場合、ダンパ9は無効モードのままである(ステップST140)。
【0047】
ステップST121における判断が「Yes」、つまり、AM連結部から検出された衝撃荷重が衝撃荷重閾値を超える場合、制御部20は、ダンパ9を有効モードに切り替える(ステップST150)。すると、AM連結部からスイングブラケット105に伝達された衝撃荷重がダンパ9によって緩和される。この結果、AM連結部に加わる荷重が緩和される。
【0048】
続いて、制御部20はAM連結部から検出された衝撃荷重が衝撃荷重閾値以下まで低下したか否かの判断を行う(ステップST122)。
ステップST122における判断が「No」、つまり、AM連結部から検出された衝撃荷重が衝撃荷重閾値以下まで低下していない場合、ダンパ9は有効モードのままである(ステップST150)。
ステップST122における判断が「Yes」、つまり、AM連結部から検出された衝撃荷重が衝撃荷重閾値以下まで低下した場合、制御部20は、ダンパ9を無効モードに切り替える(ステップST160)。そして、建設機械100は通常運転に戻るか、又は停止する。
【0049】
一方、BKT連結部の衝撃検出センサ8によって衝撃荷重が検出された場合(ステップST130)、制御部20は検出された衝撃荷重がBKT連結部における衝撃荷重閾値を超えるか否かの判断を行う(ステップST131)。
ステップST121における判断が「No」、つまり、BKT連結部から検出された衝撃荷重が衝撃荷重閾値以下である場合、ダンパ9は無効モードのままである(ステップST140)。
【0050】
ステップST131における判断が「Yes」、つまり、BKT連結部から検出された衝撃荷重が衝撃荷重閾値を超える場合、制御部20は、ダンパ9を有効モードに切り替える(ステップST150)。すると、BKT連結部からスイングブラケット105に伝達された衝撃荷重がダンパ9によって緩和される。この結果、BKT連結部に加わる荷重が緩和される。
【0051】
続いて、制御部20はBKT連結部から検出された衝撃荷重が衝撃荷重閾値以下まで低下したか否かの判断を行う(ステップST132)。
ステップST132における判断が「No」、つまり、BKT連結部から検出された衝撃荷重が衝撃荷重閾値以下まで低下していない場合、ダンパ9は有効モードのままである(ステップST150)。
ステップST132における判断が「Yes」、つまり、BKT連結部から検出された衝撃荷重が衝撃荷重閾値以下まで低下した場合、制御部20は、ダンパ9を無効モードに切り替える(ステップST160)。そして、建設機械100は通常運転に戻るか、又は停止する。
【0052】
このように、上述の第1実施形態では、駆動装置1は、電動アクチュエータ2と、ダンパ9と、を備える。このため、ダンパ9によって、各連結部(BM連結部、AM連結部、BKT連結部)に加わる衝撃荷重を緩和できる。この結果、各連結部に設けられた電動アクチュエータ2に加わる衝撃荷重を緩和できる。よって、電動アクチュエータ2の損傷を防止できる。
【0053】
ダンパ9は、スイングブラケット105(ロッド16)に加わる衝撃荷重を緩和する機能を有効にする有効モードと、スイングブラケット105(ロッド16)に加わる衝撃荷重を緩和する機能を無効にする無効モードと、を有する。このため、ダンパ9が常時作用して電動アクチュエータ2に対する負荷となってしまうことを防止できる。よって、駆動装置1の駆動効率の低下を防止できる。
【0054】
駆動装置1の制御方法は、各連結部(BM連結部、AM連結部、BKT連結部)に加わる衝撃荷重が予め定めた衝撃荷重閾値を超えた場合にダンパ9を有効モードとしている。各連結部(BM連結部、AM連結部、BKT連結部)に加わる衝撃荷重が予め定めた衝撃荷重閾値以下の場合にダンパ9を無効モードとしている。このような方法とすることで、ダンパ9が電動アクチュエータ2に対する負荷となってしまうことを防止しつつ、ダンパ9によって電動アクチュエータ2に加わる衝撃荷重を効果的に緩和できる。このため、駆動装置1の駆動効率の低下を防止できる。
【0055】
上述の第1実施形態では、ダンパ9は、上部旋回部101bとスイングブラケット105とに連結されるように設けられている場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、ダンパ9は、回転自在に設けられた2つの部材(第1部材、第2部材)に連結されるように設けられていればよい。この場合、駆動装置1は、ダンパ9の他に、第1部材と、第1部材に接近離間するように、第1部材に対して回転自在に設けられた第2部材と、第1部材に対して第2部材を回転させる電動アクチュエータ2と、を備えていればよい。駆動装置1は、建設機械100に用いられていなくてもよい。
【0056】
建設機械100に駆動装置1を用いる場合、第1部材や第2部材は、例えばブーム102、アーム103、バケット104等である。
駆動装置1の使用を建設機械100に限定する場合、ダンパ9は、有効モードと無効モードとに切り替えできなくてもよい。ダンパ9が常時作用する状態であればよい。またこの場合、ダンパ9は、上部旋回部101bとスイングブラケット105とに連結されるように設ける。このように構成することで、ダンパ9が常時作用していても電動アクチュエータ2の負荷になってしまうことを防止できる。このため、衝撃荷重による電動アクチュエータ2の損傷を防止しつつ、駆動装置1の駆動効率の低下を防止できる。
【0057】
上述の第1実施形態では、ダンパ9は、例えば伸縮型のシリンダダンパである場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、スイングブラケット105等の衝撃荷重を緩和でき、かつ衝撃荷重を緩和する機能を有効にする有効モードと、衝撃荷重を緩和する機能を無効にする無効モードと、を有していればよい。例えばダンパ9は、伸縮型のシリンダダンパに代わって回転型のロータリーダンパとしてもよい。
【0058】
上述の第1実施形態では、ダンパ9は、シリンダ11内に作動油が充填されている場合について説明した。作動油の流れの抵抗によってロッド16に加わる衝撃荷重を緩和する場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、シリンダ11内に流体が充填されていればよい。流体の流れの抵抗によってロッド16に加わる衝撃荷重を緩和できればよい。例えば、作動油に代わって空気等の気体を用いることも可能である。
【0059】
その他、ダンパ9を以下のように構成してもよい。
【0060】
[第2実施形態]
<駆動装置>
次に、
図5、
図6に基づいて、第2実施形態について説明する。
図5は、第2実施形態における駆動装置201の概略構成図である。以下の説明において、前述の第1実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明を省略する(以下の実施形態及び変形例についても同様)。
【0061】
第2実施形態において、例えば建設機械100に駆動装置201が用いられる点は、前述の第1実施形態と同様である。駆動装置201が電動アクチュエータ2を備える点は、前述の第1実施形態と同様である。この他、駆動装置201の基本的構成は、前述の第1実施形態における駆動装置1と同様である(以下の実施形態及び変形例についても同様)。
【0062】
図5に示すように、第1実施形態と第2実施形態との相違点は、第2実施形態の駆動装置201では、第1実施形態のダンパ9に代わって電動油圧アクチュエータ30が設けられている点にある。
図5では、アーム103とバケット104とに連結されるように電動油圧アクチュエータ30を設けた場合を示している。
【0063】
図6は、電動油圧アクチュエータ30の概略構成図である。
図5、
図6に示すように、電動油圧アクチュエータ30は、油圧シリンダ31と、油圧シリンダ31に作動油を循環させる油圧ポンプ32と、作動油が貯留されているタンク33と、油圧ポンプ32を駆動させる油圧アクチュエータ用電動モータ34と、を備える。
油圧シリンダ31は、シリンダ35と、シリンダ35内をシリンダ35の軸方向に沿ってスライド移動するピストンロッド36と、を備える。
【0064】
シリンダ35内は、ピストンロッド36のピストン37によって2つの油圧室38a,38bに隔てられている。
油圧ポンプ32は、タンク33に貯留された作動油を、2つの油圧室38a,38bに供給したり、2つの油圧室38a,38bから排出したりする。これによりピストン37に作用する作動油の圧力によって、ピストンロッド36がスライド移動される。
【0065】
油圧アクチュエータ用電動モータ34は、例えばブラシレス電動モータである。油圧アクチュエータ用電動モータ34には、図示しないコイルに選択的に電流を供給するためのドライバ45が一体的に設けられている。ドライバ45は、例えば制御部20に接続されている。制御部20によって、油圧アクチュエータ用電動モータ34の駆動制御が行われる。
【0066】
このような構成のもと、電動油圧アクチュエータ30は、例えばアーム103にシリンダ35が固定されている。電動油圧アクチュエータ30は、例えばバケット104にピストンロッド36のロッド39が固定されている。そして、建設機械100の通常運転時には、電動アクチュエータ2を駆動させるとともに電動油圧アクチュエータ30を駆動させる。この際、これら2つのアクチュエータ2,30は、制御部20によって同期するように駆動制御されている。このように、これら2つのアクチュエータ2,30の駆動力を利用して、例えばアーム103に対してバケット104を駆動させる。
【0067】
これに対し、例えばバケット104に過剰な衝撃荷重が加わった場合、この衝撃荷重が電動アクチュエータ2と電動油圧アクチュエータ30とに分散して伝達される。しかも、例えば油圧ポンプ32をフリー駆動可能とすることで、油圧ポンプ32を介した各油圧室38a,38bの間における作動油の移動を許容する。これにより、電動油圧アクチュエータ30を、衝撃荷重を緩和させるダンパとして機能させることができる。
【0068】
このように、上述の第2実施形態では、駆動装置201は、第1実施形態のダンパ9に代えて電動油圧アクチュエータ30を備えている。このように構成することで、前述の第1実施形態と同様の効果を奏する。電動油圧アクチュエータ30では、油圧ポンプ32を介した各油圧室38a,38bの間における作動油の移動を許容したり遮断したりすることにより、前述の第1実施形態と同様にダンパを有効モードにしたり無効モードにしたりできる。
これらに加え、電動油圧アクチュエータ30によって電動アクチュエータ2の駆動をアシストすることができる。このため、駆動装置201の駆動効率を向上できる。
【0069】
[第2実施形態の第1変形例]
次に、
図7に基づいて、第2実施形態の第1変形例について説明する。
図7は、第2実施形態の第1変形例における駆動装置201の概略構成図である。
図7に示すように、例えば建設機械100のアタッチメントとして、バケット104に代えてグラップル106を使用する場合、グラップル106と電動油圧アクチュエータ30のシリンダ35とを管40a,40bを介して連結してもよい。このように構成し、シリンダ35内の作動油を、グラップル106を駆動するための油圧動力源として利用する。管40a,40bとしては、高圧チューブや金属製の配管等、耐圧性の高いものが使用される。
【0070】
したがって、上述の第2実施形態の第1変形例によれば、アタッチメントとして作動油を動力源とするもの(例えば、グラップル106)を使用する場合であっても、部品を追加することなくアタッチメントを駆動させることができる。このため、建設機械100等の駆動装置201が設けられる装置の汎用性を高めることができるとともに、部品点数の増加を抑えることができる。
【0071】
[第2実施形態の第2変形例]
次に、
図8に基づいて、第2実施形態の第2変形例について説明する。
図8は、第2実施形態の第2変形例における駆動装置201の油圧回路図である。
図8に示すように、駆動装置201を構成する電動油圧アクチュエータ30に、制御弁41,42を設けてもよい。制御弁41,42は、油圧ポンプ32とアタッチメント(グラップル106)や油圧シリンダ31との間に設けられる。制御弁41,42は、制御部20によって駆動制御される。
【0072】
制御弁41,42は、例えば建設機械100のアタッチメントとして、作動油を動力源とするもの(例えば、グラップル106)を使用する場合、以下のように使用される。すなわち、制御弁41,42によって、油圧ポンプ32からアタッチメント(グラップル106)や油圧シリンダ31に供給される作動油の流量を調整する。
【0073】
したがって、上述の第2実施形態の第2変形例によれば、駆動装置201を簡素化しつつ、アタッチメント(グラップル106)や油圧シリンダ31を効率よく駆動させることができる。
【0074】
[第2実施形態の第3変形例]
次に、
図9に基づいて、第2実施形態の第3変形例について説明する。
図9は、第2実施形態の第3変形例における駆動装置201の概略構成図である。
図9に示すように、電動油圧アクチュエータ30にタンク33を設けなくてもよい。これに代えて、電動アクチュエータ2のケース5をタンク33と兼用してもよい。すなわち、減速機4のケース5内には、減速機構6の摩耗を抑制する目的として作動油(潤滑油)が充填されている。この作動油を油圧シリンダ31の駆動用として用いる。
【0075】
ケース5は、管43a,43bを介して油圧ポンプ32に連結されている。管43a,43bとしては、高圧チューブや金属製の配管等、耐圧性の高いものが使用される。油圧ポンプ32は、ケース5内の作動油を油圧シリンダ31に供給、又は油圧シリンダ31から排出することにより、油圧シリンダ31を駆動させる。
【0076】
ケース5を有する減速機4、又は管43a,43bには、油圧ポンプ32によって吸引されるケース5内の作動油を濾過する図示しない濾過部が設けられている。これにより、減速機構6で発生する摩耗粉等が油圧ポンプ32に吸引されてしまうことを防止できる。濾過部としては、例えば摩耗粉を吸着するマグネットやフィルタ等である。
【0077】
このように上述の第3変形例では、電動アクチュエータ2のケース5を、作動油を貯留するためのタンク33と兼用している。このため、電動油圧アクチュエータ30の部品点数を減少でき、駆動装置201の全体を小型化、軽量化できる。よって、駆動装置201の駆動効率をさらに向上できる。
【0078】
管43a,43bは、外気に露出されてもよいし、電動アクチュエータ2や電動油圧アクチュエータ30の内部に収納されてもよい。管43a,43bを外気に露出する場合、これら管43a,43bを流れる作動油を放熱できる。管43a,43bを流れることで冷却された作動油が減速機4、油圧ポンプ32、及び油圧シリンダ31を潤滑する。このため、作動油によって減速機4、油圧ポンプ32、及び油圧シリンダ31等を効率よく冷却できる。
【0079】
この他、例えば管43a,43bを流れる作動油内の鉄粉の量を検出してもよい。このように構成することで、鉄粉の量が所定値よりも多ければ減速機構6や油圧ポンプ32等が異常摩耗していると判断できる。すなわち、管43a,43bを流れる作動油内の鉄粉の量を検出することで、電動アクチュエータ2や電動油圧アクチュエータ30の故障検出を行うことが可能になる。
【0080】
[第2実施形態の第4変形例]
次に、
図10に基づいて、第2実施形態の第4変形例について説明する。
図10は、第2実施形態の第4変形例における駆動装置201の概略構成図である。
図10に示すように、電動アクチュエータ2と電動油圧アクチュエータ30とを一体化してもよい。上述の第2実施形態では、アーム103に電動油圧アクチュエータ30のシリンダ35を固定した。第4変形例では、例えば電動アクチュエータ2のケース5にシリンダ35を固定している。
【0081】
この構成では、電動アクチュエータ2の駆動に伴って電動油圧アクチュエータ30が回転移動する。電動アクチュエータ2の駆動力が電動油圧アクチュエータ30を介してバケット104に伝達されるので、バケット104が駆動される。この際、電動アクチュエータ2と電動油圧アクチュエータ30とを別々に駆動させてもよいし、別々に駆動させてもよい。電動アクチュエータ2の駆動量と電動油圧アクチュエータ30の駆動量(ロッド39の伸縮量)とを合算した値がアーム103に対するバケット104の移動量となる。
第4変形例では、ケース5をタンク33と兼用してもよいし、電動油圧アクチュエータ30にタンク33を設けてもよい。
【0082】
このように、第4変形例では、電動アクチュエータ2と電動油圧アクチュエータ30とが一体化されている。このため、例えばアーム103に電動油圧アクチュエータ30を固定するためのブラケット等を設ける必要がない。よって、駆動装置201の部品点数を削減できる。
【0083】
電動アクチュエータ2の駆動量と電動油圧アクチュエータ30の駆動量(ロッド39の伸縮量)とを合算した値がアーム103に対するバケット104の移動量となるので、各アクチュエータ2,30の駆動量を抑えることができる。この分、各アクチュエータ2,30の製品寿命を延命化させることが可能になる。
【0084】
第4変形例では、電動アクチュエータ2のケース5に電動油圧アクチュエータ30のシリンダ35を固定した場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、バケット104にシリンダ35を固定し、ケース5に電動油圧アクチュエータ30のロッド39を固定してもよい。
【0085】
上述の第2実施形態及び各変形例では、駆動装置201は、例えばアーム103に対してバケット104を駆動させる場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、駆動装置201は、ブーム102に対してアーム103を駆動させたり、スイングブラケット105に対してブーム102を駆動させたりするために用いられてもよい。例えばブーム102とアーム103とに連結されるように電動油圧アクチュエータ30を設けたり、スイングブラケット105とブーム102とに連結されるように電動油圧アクチュエータ30を設けたりしてもよい。BM連結部やAM連結部に設けられた電動アクチュエータ2と電動油圧アクチュエータ30とを一体化してもよい。
【0086】
上述の第2実施形態及び各変形例では、駆動源が作動油である電動油圧アクチュエータ30について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、さまざまな流体を駆動源とする電動流体アクチュエータでもよい。油圧シリンダ31及び油圧ポンプ32は、タンクに貯留された流体によって駆動できればよい。流体としては、液体に限らず気体でもよい。
【0087】
上述の第1実施形態、第2実施形態、及び各変形例では、電動アクチュエータ2は、アクチュエータ用電動モータ3と、アクチュエータ用電動モータ3と一体化された減速機4と、を備える場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、電動アクチュエータ2は、回転自在に設けられた2つの部材(第1部材、第2部材)を駆動させるように構成されていればよい。例えば、電動アクチュエータ2をリニアアクチュエータとしてもよい。
【0088】
[第3実施形態]
<駆動装置>
次に、
図11に基づいて、第3実施形態について説明する。
図11は、第3実施形態における駆動装置301の概略構成図である。
図11に示すように、第1実施形態と第2実施形態との相違点は、第3実施形態の駆動装置301では、第1実施形態のダンパ9に代わって油圧アクチュエータ(請求項における流体回転機の一例)50が設けられている点にある。
【0089】
第3実施形態の電動アクチュエータ2の外観は、前述の第1実施形態における
図2に示す電動アクチュエータ2の外観と異なるが、基本的構成は同一である。すなわち、第3実施形態の電動アクチュエータ2は、アクチュエータ用電動モータ3と、アクチュエータ用電動モータ3と一体化された減速機4と、を備える。
【0090】
アクチュエータ用電動モータ3には、外フランジ部21が設けられている。外フランジ部21は、例えばBM連結部、AM連結部、及びBKT連結部のいずれかでブーム102、アーム103、バケット104、又はスイングブラケット105に電動アクチュエータ2を固定するための固定部(請求項における電動機固定部の一例)である。第3実施形態における電動アクチュエータ2は、請求項における電動回転機の一例である。第3実施形態における電動アクチュエータ2の出力部7は、請求項における電動機出力部の一例である。
【0091】
油圧アクチュエータ50は、タンク33から作動油が吸入、又はタンク33に作動油が排出される吸排部52と、吸排部52から吸入された作動油を動力源として回転される駆動部53と、を備える。油圧アクチュエータ50は、電動アクチュエータ2と同軸上に配置されている。吸排部52と駆動部53とは軸方向に並んで配置されている。油圧アクチュエータ50は、駆動部53と電動アクチュエータ2の出力部7(ケース5)とが軸方向で対向するように配置されている。
【0092】
吸排部52には、2つの吸排ポート54a,54bが設けられている。2つの吸排ポート54a,54bは、タンク流路71を介してタンク33に連結されている。タンク流路71の途中には、リリーフバルブ72及び制御弁73が設けられている。
吸排ポート54a,54bを介して駆動部53に作動油が吸入されたり駆動部53から作動油が排出されたりする。リリーフバルブ72は、タンク33から吸排部52に吸入される作動油の圧力を制限している。制御弁73は、タンク流路71への作動油の流れを制御する。
【0093】
吸排部52には、外フランジ部55が設けられている。外フランジ部55は、例えばBM連結部、AM連結部、及びBKT連結部のいずれかでブーム102、アーム103、バケット104、又はスイングブラケット105に油圧アクチュエータ50を固定するための固定部(請求項における流体機固定部の一例)である。
【0094】
駆動部53は、ケース56と、ケース56内に収納されたロータ部57及びバルブプレート58と、を備える。
ロータ部57は、内歯歯車61と、内歯歯車61の径方向内側に配置された外歯歯車62と、を備える。内歯歯車61は、円環状に形成されている。内歯歯車61の外周部は、ケース56に固定されている。内歯歯車61の内周部には、内歯61aが形成されている。
【0095】
外歯歯車62の外周部には、内歯61aに噛み合う外歯62aが形成されている。内歯歯車61と外歯歯車62との間には、複数の体積室63が形成される。これら体積室63に作動油を供給することにより、内歯歯車61の径方向内側で外歯歯車62が遊星運動される。
バルブプレート58は、ケース56の吸排部52側に設けられている。バルブプレート58は、ケース56に固定されている。バルブプレート58には、吸排部52と所定の体積室63とを通じさせるポート58aが形成されている。バルブプレート58は、ポート58aを介し、吸排部52から供給された作動油を所定の体積室63に供給したり、所定の体積室63から作動油を排出したりする。
【0096】
このような構成のもと、吸排部52からバルブプレート58を介して所定の体積室63に作動油が供給されると、作動油が供給された体積室63とその他の体積室63との間に圧力差が生じる。これにより、内歯歯車61の径方向内側で外歯歯車62が遊星運動される。このとき、作動油が供給された体積室63とは別の体積室63からバルブプレート58を介して吸排部52に作動油が排出される。
【0097】
内歯歯車61の径方向内側で外歯歯車62が遊星運動されると、内歯歯車61と外歯歯車62との噛み合い位置がずれる。これにより、内歯歯車61に回転力が発生される。すると、内歯歯車61と一体化されているケース56及びバルブプレート58も回転される。すなわち、ケース56は、吸排部52(外フランジ部55)に対して回転する油圧アクチュエータ50の出力部(請求項における流体機出力部の一例)60として機能している。
バルブプレート58が回転されることにより、作動油が供給される体積室63が順次切り替わる。このため、内歯歯車61に継続的に回転力が発生される。
【0098】
電動アクチュエータ2のケース5(出力部7)と油圧アクチュエータ50のケース56(出力部60)とは、BM連結部、AM連結部、及びBKT連結部のうち、各外フランジ部21,55が固定された部材に対応する部材を介して連結されている。すなわち、例えばBKT連結部において、アーム103に各外フランジ部21,55が固定されている場合、各ケース5,56は、バケット104を介して連結されている(
図1を併せて参照)。このような場合、バケット104は、請求項における駆動部材に相当する。
【0099】
<駆動装置の動作>
次に、駆動装置301の動作について説明する。
以下の説明では、BKT連結部に駆動装置301が設けられているものとする。駆動装置301は、アーム103に各外フランジ部21,55が固定されるとともに、バケット104に各ケース5,56が固定されているものとする。制御弁73によって、タンク流路71は開放されている。
【0100】
電動アクチュエータ2を駆動させると、ケース5(出力部7)によりバケット104に回転力が伝達される。そして、バケット104を介し、油圧アクチュエータ50のケース56(出力部60)にケース5の回転力が伝達される。すると、2つのケース5,56及びバケット104が一体となって回転する。
【0101】
油圧アクチュエータ50では、ケース56が回転することにより、このケース56と一体となってバルブプレート58が回転される。すると、タンク33の作動油が吸排部52及びバルブプレート58を介して体積室63に供給される。バルブプレート58が回転し続けることにより、電動油圧アクチュエータ30にも回転力が発生する。この電動油圧アクチュエータ30の回転力によって電動アクチュエータ2の駆動がアシストされる。このように、これら2つのアクチュエータ2,50の駆動力を利用して、例えばアーム103に対してバケット104を駆動させる。
【0102】
これに対し、例えばバケット104に過剰な衝撃荷重が加わった場合、この衝撃荷重が電動アクチュエータ2と油圧アクチュエータ50とに分散して伝達される。このとき、油圧アクチュエータ50では、駆動部53に作動油が充満されている。このため、作動油の圧縮によって油圧アクチュエータ50に伝達される衝撃荷重が緩和される。すなわち、油圧アクチュエータ50を、衝撃荷重を緩和させるダンパとして機能させることができる。
【0103】
<駆動装置の制御方法>
上記のように駆動装置301を駆動させる場合の他に、駆動装置301の制御方法として油圧アクチュエータ50によって電動アクチュエータ2にブレーキ力を付与するブレーキモードと、電動アクチュエータ2によって回生エネルギーを得る回生モードと、がある。
ブレーキモードでは、制御弁73によってタンク流路71を遮断する。これにより、油圧アクチュエータ50とタンク33との間の作動油の循環(流れ)が遮断され、ケース56の回転が阻止される。このため、油圧アクチュエータ50によって電動アクチュエータ2にブレーキ力が付与される。
【0104】
回生モードでは、上述の駆動装置の動作の説明と同様に、制御弁73によって、タンク流路71は開放されている。このため、各ケース5,56を自由回転させることが可能である。この結果、電動アクチュエータ2のアクチュエータ用電動モータ3によって、回生エネルギーを得ることが可能になる。
【0105】
このように、上述の第3実施形態では、前述の第2実施形態と同様の効果を奏する。これに加え、電動アクチュエータ2と油圧アクチュエータ50とが同軸上に配置されている。電動アクチュエータ2の出力部7(ケース5)と油圧アクチュエータ50の出力部60(ケース56)とが対向配置されている。これら出力部7,60が駆動部材(バケット104、ブーム102、アーム103、スイングブラケット105)を介して連結されている。このため、駆動部材(バケット104、ブーム102、アーム103、スイングブラケット105)に衝撃荷重が加わった際、油圧アクチュエータ50によって電動アクチュエータ2に加わる衝撃荷重を緩和でき、電動アクチュエータ2の損傷を防止できる。油圧アクチュエータ50によって電動アクチュエータ2の駆動をアシストできるので、駆動装置301の駆動効率を向上できる。
【0106】
各アクチュエータ2,50は、それぞれ軸方向で出力部7,60(ケース5,56)とは反対側に設けられた外フランジ部21,55を備える。これら外フランジ部21,55は、例えばアーム103に固定されている。アーム103に対して回転するバケット104に、出力部7,60(ケース5,56)が固定されている。このため、外フランジ部21,55が固定される固定部材(アーム103等)に対して駆動部材(バケット104等)を効率よく駆動させることができる。
【0107】
油圧アクチュエータ50は、体積室63を有するロータ部57と、体積室63に作動油を供給及び体積室63から作動油を排出するバルブプレート58と、を備える。バルブプレート58は、出力部60(ケース56)と一体となって回転する。このため、電動アクチュエータ2と油圧アクチュエータ50とを確実に同期させることができる。よって、油圧アクチュエータ50の駆動制御を簡素化でき、駆動装置301の駆動効率をさらに向上できる。
【0108】
ロータ部57は、内歯歯車61と、内歯歯車61の径方向内側で遊星運動する外歯歯車62と、を備える。内歯歯車61と外歯歯車62との間に、体積室63が形成されている。このような構成とすることで、油圧アクチュエータ50は大きなトルクを得ることができる。このため、駆動装置301の駆動効率をさらに向上できる。
【0109】
駆動装置301の制御方法は、回生モードでは、制御弁73によって、タンク流路71を開放している。このため、各ケース5,56を自由回転させることが可能になる。よって、電動アクチュエータ2のアクチュエータ用電動モータ3によって、回生エネルギーを得ることが可能になる。
ブレーキモードでは、制御弁73によってタンク流路71を遮断する。これにより、油圧アクチュエータ50とタンク33との間の作動油の循環(流れ)が遮断され、ケース56の回転が阻止される。このため、油圧アクチュエータ50によって電動アクチュエータ2にブレーキ力を付与することができる。
【0110】
上述の第3実施形態では、油圧アクチュエータ50の駆動源は作動油である場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、さまざまな液体を駆動源とする流体機器で、かつ電動アクチュエータ2と同軸を回転軸線とする回転機器であればよい。
【0111】
上述の第3実施形態では、電動アクチュエータ2は、アクチュエータ用電動モータ3と、アクチュエータ用電動モータ3と一体化された減速機4と、を備える場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、電動アクチュエータ2は、油圧アクチュエータ50と同軸を回転軸線とする電動の回転機器であればよい。電動アクチュエータ2は、減速機4を備えていなくてもよい。
【0112】
上述の第3実施形態では、油圧アクチュエータ50は、ケース56が出力部60を兼ねている場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、ケース56とは別に出力軸を設けてもよい。この場合、この出力軸とバルブプレート58とが一体となって回転するように構成する。
【0113】
上述の第3実施形態では、電動アクチュエータ2のアクチュエータ用電動モータ3に、外フランジ部21を設けた場合について説明した。外フランジ部21を、ブーム102、アーム103、バケット104、又はスイングブラケット105に電動アクチュエータ2を固定するための固定部(請求項における電動機固定部の一例)とした場合について説明した。油圧アクチュエータ50の吸排部52に、外フランジ部55を設けた場合について説明した。外フランジ部55を、ブーム102、アーム103、バケット104、又はスイングブラケット105に油圧アクチュエータ50を固定するための固定部(請求項における流体機固定部の一例)とした場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、各々固定部はブーム102、アーム103、バケット104、又はスイングブラケット105に電動アクチュエータ2や油圧アクチュエータ50を固定できる構成であればよい。
【0114】
上述の第3実施形態では、タンク33と油圧アクチュエータ50との間でタンク流路71を介して閉回路を形成した場合について説明した。タンク流路71の途中にリリーフバルブ72や制御弁73を設けた場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、電動アクチュエータ2の駆動をアシストするように油圧アクチュエータ50が駆動できればよい。例えば制御弁73を設けずに回生モードやブレーキモードの切り替えを行わなくてもよい。リリーフバルブ72に代わって制御弁を設けることも可能である。これにより、油圧アクチュエータ50内の急な圧力上昇を緩和してもよい。
【0115】
油圧アクチュエータ50の油圧回路を開回路とすることも可能である。開回路の場合、油圧アクチュエータ50の逆駆動力を保持するために、流路の途中にいわゆるカウンターバランス弁を設けることが望ましい。
【0116】
上述の第3実施形態では、油圧アクチュエータ50は内歯歯車61と外歯歯車62とにより体積室63を構成し、体積室63に作動油を供給、排出するバルブプレート58を備えたものである場合について説明した。バルブプレート58を外部(ケース56)から回転させることにより、油圧アクチュエータ50の駆動力を得る場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、油圧アクチュエータ50は、外部から出力部を回転させることにより駆動力を得られる構成であればよい。
【0117】
例えば、油圧アクチュエータ50は、いわゆる斜板式の油圧モータであってもよい。この種の油圧モータは、斜板と、斜板に沿って回転軸回りに移動する複数のピストンと、斜板とピストンとの間に設けられたタイミングプレートと、各ピストンがスライド移動自在に挿入されるとともに回転軸線回りに回転するシリンダブロックと、を備える。
【0118】
この種の油圧モータでは、タイミングプレートは、バルブプレート58と同様に機能する。シリンダブロックは、ロータ部57と同様に機能する。すなわち、タイミングプレートを回転させることにより、シリンダブロックが回転されるとともにシリンダブロック内でピストンが往復動する。すると、シリンダブロック内に作動油が供給されたりシリンダブロックから作動油を排出されたりして、シリンダブロックに回転力が発生される。これにより、油圧モータの駆動力を得ることが可能になる。
【0119】
その他、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、電動アクチュエータ2は、ケース5が出力部7を兼ねている場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、ケース5とは別に出力軸を設けてもよい。
【0120】
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0121】
1,201,301…駆動装置
2…電動アクチュエータ(電動回転機)
3…アクチュエータ用電動モータ
4…減速機
5…ケース
6…減速機構
7…出力部(電動機出力部)
9…ダンパ
11,35…シリンダ
16,39…ロッド
20…制御部
21…外フランジ部(電動機固定部)
30…電動油圧アクチュエータ(電動流体アクチュエータ)
32…油圧ポンプ(流体ポンプ)
33…タンク
34…油圧アクチュエータ用電動モータ(流体アクチュエータ用電動モータ)
43a,43b…管
50…油圧アクチュエータ(流体回転機)
55…外フランジ部(流体機固定部)
57…ロータ部
58…バルブプレート
58a…ポート
60…出力部(流体出力部)
61…内歯歯車
62…外歯歯車
63…体積室
71…タンク流路
101…車体
102…ブーム(第1部材、第2部材、駆動部材、固定部材)
103…アーム(第1部材、第2部材、駆動部材、固定部材)
104…バケット(第1部材、第2部材、駆動部材、固定部材)
105…スイングブラケット(第1部材、第2部材、駆動部材、固定部材)
106…グラップル(第1部材、第2部材、駆動部材、固定部材)