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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169948
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】吸管走行装置及び吸管走行方法
(51)【国際特許分類】
   A62C 33/00 20060101AFI20241129BHJP
   B65H 75/38 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
A62C33/00 Z
B65H75/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086823
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】509080587
【氏名又は名称】株式会社モリタ
(71)【出願人】
【識別番号】000242530
【氏名又は名称】北菱電興株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100173406
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 真貴子
(74)【代理人】
【識別番号】100067301
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 順一
(72)【発明者】
【氏名】塩見 修一郎
(72)【発明者】
【氏名】橋本 圭一
(72)【発明者】
【氏名】府和 高志
(72)【発明者】
【氏名】詠 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】三井 将平
(72)【発明者】
【氏名】中川 和也
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩之
【テーマコード(参考)】
2E189
3F068
【Fターム(参考)】
2E189LB03
3F068AA07
3F068CA02
3F068CA04
3F068DA05
3F068EA08
3F068GA03
3F068GA08
(57)【要約】
【課題】
消防用吸管の巻き取りや繰り出しを行う吸管走行装置であって、巻き取り時に吸管の巻き緩みが生じ難く、また、吸管の走行速度を一定に維持することができ、走行速度の急激な変化による巻き込み事故が生じ難い安全性の高い吸管走行装置を提供する。
【解決手段】
回動アームが架台プレートに回動可能に固定されてリールの前後に配されており、一端が架台プレートに固定され、他端は回動アームに固定されている押圧手段が前記前後に配された回動アームをリールの回転軸に向けて一定の力で押圧することで回動アームが備えるインホイールモーターが吸管表面を押圧しており、インホイールモーターが前記吸管表面を押圧しながら回転することで吸管を走行させる吸管走行装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消防用吸管の巻き取り及び繰り出しを行う吸管走行装置であって、前記吸管走行装置は、
リールと1以上のインホイールモーターを備える一対の回動アームと一対の押圧手段を備え、前記一対の回動アームは架台プレートに回動可能に固定されてリールの前後に配されており、前記一対の押圧手段はそれぞれ一端が前記架台プレートに固定され、他端は回動アームに固定されて、前後に配された一対の回動アームをリールの回転軸に向けて一定の力で押圧することで一対の回動アームが備えるインホイールモーターが吸管表面を押圧しており、前記インホイールモーターが吸管表面を押圧しながら回転することで吸管を走行させる吸管走行装置。
【請求項2】
制御装置により、前記吸管の巻き取り時の走行速度が一定になるように制御された請求項1記載の吸管走行装置。
【請求項3】
制御装置により、前記吸管の繰り出し開始時の作業者の繰り出し速度を超えない速度で繰り出すように制御された請求項1又は2記載の吸管走行装置。
【請求項4】
前記押圧手段が、300N以上、かつ、1000N以下の力で回動アームを押圧するガススプリングである請求項1又は2記載の吸管走行装置。
【請求項5】
前記インホイールモーターがそれぞれ25N以上、かつ、85N以下の力で吸管を押圧する請求項1又は2記載の吸管走行装置。
【請求項6】
前記インホイールモーターの回転数がそれぞれ50rpm以上、かつ、1000rpm以下である請求項1又は2記載の吸管走行装置。
【請求項7】
前記インホイールモーターの表面が凹凸形状である請求項1又は2記載の吸管走行装置。
【請求項8】
リールの前後に配されたインホイールモーターが吸管表面を押圧しながら回転することで吸管を走行させる吸管走行方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消防用吸管を走行させて巻き取り及び繰り出しを行う吸管走行装置に関する。詳しくは、該吸管走行装置は、吸管の巻き取り径の変化に関わらず吸管表面を押圧しながら回転するインホイールモーターによって吸管を走行させるので、巻き取り時には巻き緩みが生じ難く、また、巻き取り時の走行速度を吸管の巻き取り径の変化に関わらず一定になるように制御できるので走行速度の急激な変化による巻き込み事故が生じ難い安全性の高い吸管走行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
消防用吸管とは動力消防ポンプの吸水口に結合して水を吸い上げるための導管である。
【0003】
吸水に際しては、吸管内部に高い負圧力がかかるため、消防用吸管は消防法によって規定される一定以上の非常に強固な構造を備えている。
【0004】
詳しくは、消防用吸管の技術上の規格を定める省令(耐負圧力)第11条に、長さが1m以上の消防用吸管の一端を塞ぎ、当該吸管内の真空度を94キロパスカル以上にして10分間放置した場合において、剥離、亀裂、漏れ、変形等が生じず、呼称が150~50までの吸管にあっては10%以上、呼称が40~25の吸管にあっては20%以上の縮みが生じないものであり、かつ、大気圧に戻した後10分以内にその縮みが2%以下になるものでなければならないと規定されている。
【0005】
なお、吸管は呼称により、25~150までの11種類の内径のものがある。
【0006】
吸管は消防車に積載されているリールに巻き取られた状態で保管され、消火活動時にはリールから繰り出されて使用される。
【0007】
繰り出された吸管は消火活動後にリールを電動や手動で回転させて巻き取るのが一般的である。
【0008】
しかし、リールを回転させて巻き取る方法では、巻き始め付近の巻き取り径が小さい時も、巻き終わり近くの巻き取り径が大きい時もリールが一定の速さで回転するため、吸管の巻き取り径が大きくなると吸管の走行速度が急に速くなり、側に居る消防士の身体や衣服が吸管に巻き込まれる、いわゆる巻き込み事故が生じる虞がある。
【0009】
また、吸管の構造は強固であるため、単にリールを回転させて巻き取る方法では巻き緩みが生じる虞がある。
【0010】
巻き緩みがあると、消防車の吸管を収納するスペースに収まらず、再度、巻き直しが必要になることがあるという問題がある。
【0011】
そこで、強固な構造を有する吸管を巻き取る際に巻き緩みが出ずに巻き直しの手間がなく、また、巻き取り時の吸管の走行速度が一定であって、巻き込み事故が生じ難い安全な吸管走行装置の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002-240994
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1には、回転自在に枢着される第1及び第2の案内ローラによって、ホースをドラムの外周面に案内誘導し、押圧移動手段によって、第1又は第2の案内ローラの少なくとも一方が、常にホースに接触して押圧することで、ドラムに巻回されるホースの緩みを防止することができるホース緩み防止装置が記載されている。
【0014】
しかしながら、特許文献1記載のホース緩み防止装置であると、巻き取り径によっては、第1及び第2の両方の案内ローラが接触してホースを押圧したり、第1又は第2のいずれかの案内ローラが接触してホースを押圧したりするため、常に一定の力でホースを押圧することができない。
【0015】
また、ホースリールを巻回してホースを巻き取るので、巻き取り径によってホースの走行速度が急激に変化して巻き込み事故が生じる虞がある。
【0016】
本発明者らは前記の諸問題を解決することを技術的課題とし、試行錯誤的な多くの試作、実験を重ねた結果、リールと1以上のインホイールモーターを備える一対の回動アームと一対の押圧手段を備え、前記一対の回動アームは架台プレートに回動可能に固定されてリールの前後に配されており、前記一対の押圧手段はそれぞれ一端が前記架台プレートに固定され、他端は回動アームに固定されて、前後に配された一対の回動アームをリールの回転軸に向けて一定の力で押圧することで一対の回動アームが備えるインホイールモーターが吸管表面を押圧しており、前記インホイールモーターが吸管表面を押圧しながら回転することで吸管を走行させる吸管走行装置であれば、インホイールモーターが吸管の巻き取り径に関わらず吸管表面を押圧して回転することで吸管を走行させるので、強固な構造を有する吸管であっても巻き緩みが生じ難く、また、インホイールモーターの回転によって吸管を走行させるから、巻き取り時の速度を一定に維持することができ、走行速度の急激な変化による巻き込み事故が生じ難い安全な吸管走行装置になるという知見を得て本発明を完成させたものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記技術的課題は次のとおりの本発明によって解決できる。
【0018】
本発明は、消防用吸管の巻き取り及び繰り出しを行う吸管走行装置であって、前記吸管走行装置は、リールと1以上のインホイールモーターを備える一対の回動アームと一対の押圧手段を備え、前記一対の回動アームは架台プレートに回動可能に固定されてリールの前後に配されており、前記一対の押圧手段はそれぞれ一端が前記架台プレートに固定され、他端は回動アームに固定されて、前後に配された一対の回動アームをリールの回転軸に向けて一定の力で押圧することで一対の回動アームが備えるインホイールモーターが吸管表面を押圧しており、前記インホイールモーターが吸管表面を押圧しながら回転することで吸管を走行させる吸管走行装置である。
【0019】
また本発明は、制御装置により、前記吸管の巻き取り時の走行速度が一定になるように制御された前記の吸管走行装置である。
【0020】
また本発明は、制御装置により、前記吸管の繰り出し開始時の作業者の繰り出し速度を超えない速度で繰り出すように制御された前記の吸管走行装置である。
【0021】
また本発明は、前記押圧手段が、300N以上、かつ、1000N以下の力で回動アームを押圧するガススプリングである前記の吸管走行装置である。
【0022】
また本発明は、前記インホイールモーターがそれぞれ25N以上、かつ、85N以下の力で吸管を押圧する前記の吸管走行装置である。
【0023】
また本発明は、前記インホイールモーターの回転数がそれぞれ50rpm以上、かつ、1000rpm以下である前記の吸管走行装置である。
【0024】
また本発明は、前記インホイールモーターの表面が凹凸形状である前記の吸管走行装置である。
【0025】
また本発明は、リールの前後に配されたインホイールモーターが吸管表面を押圧しながら回転することで吸管を走行させる吸管走行方法である。
【発明の効果】
【0026】
本発明であれば、巻き取り径に関わらずリールに巻き取られる吸管の下方部を常に一定の力で押圧しながら巻き取ることができるので強固な構造を有する吸管であっても巻き緩みが生じ難い。
【0027】
また、インホイールモーターの回転数を制御する制御装置を備えれば、吸管の走行速度をインホイールモーターの回転数によって直接制御できるため、巻き取り径に関わらず巻き取り時の吸管の走行速度が一定になるように制御することができ、走行速度の急激な変化による巻き込み事故が生じ難い安全性の高い吸管走行装置になる。
【0028】
また、繰り出し時には、繰り出し開始時の作業者の繰り出し速度を超えない速度で繰り出すよう制御すれば、安全に作業者の繰り出し作業をアシストできる吸管走行装置になる。
【0029】
また、インホイールモーターの表面が凹凸形状であれば、吸管と引っ掛かり易くなるので、より安定した走行を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明における吸管走行装置の巻き終わり時(下出し)を示す模式図である。
図2】本発明におけるリールの繰り出し終わり(下出し)を示す模式図である。
図3】本発明における吸管走行装置の巻き終わり時(上出し)を示す模式図である。
図4】本発明におけるリールの繰り出し終わり(上出し)を示す模式図である。
図5】本発明におけるリールを表した図である。
図6】本発明における複数のインホイールモーターを備える回動アームと押圧手段を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本明細書においては、吸管の繰り出し方向を「前」、繰り出し方向と反対方向を「後」とし、巻き取り又は繰り出しのために吸管を送ることを「走行」と言う。
【0032】
吸管の繰り出しは下出し(図1及び図2)であっても、上出し(図3及び図4)であってもよい。
【0033】
また、「巻き取り径」とは、リールに巻き取られた吸管の径を表し、巻き取り時には巻き取り径は徐々に大きくなり、繰り出し時には巻き取り径は徐々に小さくなる。
【0034】
本発明における吸管走行装置はリール20の前後に1以上のインホイールモーター30を備える一対の回動アーム6を備えた吸管走行装置である(図1)。
【0035】
図5に示す通り、リール20の回転軸21には吸管1の一方の端部を固定できる固定部23を有し、また、回転軸21の外周には巻き取りレール22を備える。
【0036】
固定部23に固定された吸管1は巻き取りレール22に沿って巻き取られる。
【0037】
リール20は吸管走行装置を積載する消防車等の車体に固定されていることが好ましい。
【0038】
リール20の下方には架台プレート11が車体に固定されており、架台プレート11には一対の回動アーム6が回動軸61でリールの回転軸21に向けて回転運動するようにリールの前後に固定されている。
【0039】
一対の回動アーム6には押圧手段8の一端が固定されており、押圧手段8のもう一端81は架台プレート11に固定されている。
【0040】
押圧手段8は常時回動アーム6を一定の力で押圧しており、回動アーム6に備えられたインホイールモーター30は吸管の走行時及び収納時(巻き終わり時)、繰り出し終わり時のいずれも吸管表面を押圧している。
【0041】
吸管の走行時には、押圧手段8が伸縮してリールの回転軸21に向かって一定の力で回動アーム6を押圧するため、回動アーム6に備えられたインホイールモーター30が一定の力で吸管表面を押圧することができる。
【0042】
詳しくは、吸管の繰り出し時は、巻き取り径が徐々に小さくなるため、各押圧手段8が徐々に伸びて各回動アームを押し上げ、各回動アームは回転軸61を支点として回転運動により立ち上がることでインホイールモーター30が吸管の巻き取り径の変化に追従することができ、吸管の押圧を維持できる(図2及び図4)。
【0043】
また、巻き取り時は、巻き取り径が徐々に大きくなるため、各押圧手段8が徐々に縮んで各回動アームは回転軸61を支点として回転運動により水平に近づくことでインホイールモーター30が吸管の巻き取り径の変化に追従することができ、吸管の押圧を維持できる(図1及び図3)。
【0044】
各押圧手段8が各回動アーム6を押圧する力は300N~1000Nであることが好ましい。
【0045】
300Nより低いと、巻き緩みが生じる虞があり、1000Nを超えると、インホイールモーターに負荷がかかりすぎる虞があるからである。
【0046】
各押圧手段8は同一の力で回動アーム6を押圧してもよいし、異なる力で押圧してもよい。
【0047】
本発明における押圧手段8としてガススプリングを例示する。
【0048】
ガススプリングであると、走行時の巻き取り径の変化に追従して一定の力で回動アームを押圧することができるからである。
【0049】
各回動アーム6が備えるインホイールモーターは1~10個であることが好ましい。
【0050】
10個より多いと押圧手段8の力が各インホイールモーターに均等に伝わらず、各インホイールモーターの吸管を押圧する力にバラツキが生じ易くなり、巻き緩みが生じる虞があるからである。
【0051】
各回動アーム6が備えるインホイールモーターの個数は同一であることが好ましいが異なっていてもよい。
【0052】
インホイールモーターを2以上備える場合には支持材にインホイールモーターを固定し、支持材を回動アームと回動可能に固定して回動アームの途中に複数の回動軸を設けることが好ましい(図6)。
【0053】
また、回動アームや支持材の途中の回動軸は、隣接するインホイールモーターの中央に設けることが好ましい。
【0054】
各インホイールモーターに力が伝達され易くなり、均等な力で吸管表面を押圧できるからである。
【0055】
各インホイールモーターが吸管表面を押圧する力は25N~85Nであることが好ましい。
【0056】
25N以下であると巻き緩みが生じる虞があり、85Nを超えるとインホイールモーターに負荷がかかりすぎる虞があるからである。
【0057】
本発明においては、各インホイールモーターの吸管表面を押圧する力が同一であることが好ましいが、異なっていてもよい。
【0058】
インホイールモーターの表面は凹凸形状であってもよい。
【0059】
吸管表面はジャバラ状に形成されているため、インホイールモーター表面が凹凸形状であると、ジャバラ状の表面を有する吸管にインホイールモーターが引っ掛かり易くなり、より安定した走行を維持することができるからである。
【0060】
インホイールモーター30の回転数は制御装置によって制御されていることが好ましい。
【0061】
巻き取り時には、インホイールモーターの回転数を制御することで一定の所望の走行速度で走行させることができ、巻き込み事故を生じ難くすることができるからである。
【0062】
巻き取り時に一定の速度で走行させる制御方法として、インホイールモーターを一定の回転数で回転させた後、巻き終わり時に回転数を徐々に下げるように制御する方法を例示する。
【0063】
また、繰り出し時には、作業者の繰り出し開始時の速度を超えないようにインホイールモーターの回転数を制御して繰り出しをアシストしたり、作業者が繰り出しを停止すれば、インホイールモーターの回転を停止してアシストを停止したりすることができるからである。
【0064】
なお、本発明においては、リールにエンコーダーを設置して、エンコーダーによってリールの回転数を計測し、所定の回転数に達した時にインホイールモーターの回転を停止するよう制御してもよい。
【実施例0065】
(実施の形態)
図1に示す吸管走行装置を例として本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0066】
リールは車体に固定した。
【0067】
架台プレートは車体に固定した。
【0068】
リールの前後に回動アーム6を配置し、回動アーム6の一端(回転軸61)を架台プレート11に固定した。
【0069】
回動アーム6が備えるインホイールモーター(YIHM2410-HD-KV40/Shenzhen Two Ant Technology Co., Ltd.製)を各4個とした。
【0070】
図6に示す通り、回動アーム6は、回転軸61以外に回転軸62、63、64を備える回動アームを使用した。
【0071】
回転軸62、64はそれぞれ支持材A、Bを介して二つのインホイールモーターを回動可能に固定し、回転軸63は支持材Cを介して支持材A、Bを回動可能に固定した。
【0072】
回転軸62と64はそれぞれ、互いに隣接する二つのインホイールモーターの中央に位置し、回転軸63は、回転軸62と64の中央に位置するようにして、隣接する各インホイールモーターのそれぞれの中央に回転軸を設けた。
【0073】
回転軸61、回転軸62、回転軸63及び回転軸64はいずれも回転方向が規制されていないため、押圧手段8の力は4つのインホイールモーター30に伝達され、各インホイールモーター30は吸管の巻き取り径の変化に追従し、常に吸管を一定の力で押圧しながら回転することができる。
【0074】
押圧手段8として産業用ガススプリング(押出し式)(ACE Controls Japan L.L.C.製)を使用した。
【0075】
押圧手段8の一端81は架台プレート11に固定し、もう一端は回動アーム6に固定し、回動アーム6を400Nの力で押圧した。
【0076】
回動アーム6を400Nで押圧すると、4つのインホイールモーターの合計100N以上で吸管表面を押圧することになる。
【0077】
(巻き取り)
巻き取り時においては、回動アーム6の各インホイールモーター30は250rpmで回転するように設定し、巻き終わりに近づくにつれ回転数が遅くなるように制御装置で制御した。
【0078】
リール20には、エンコーダー(IXARCロータリーエンコーダ OCD-S101B-0412-C10S-2RW/POSITAL社製)を設置してリールの回転数を測定し、所定の回転数で停止するよう制御装置で制御した。
【0079】
(繰り出し)
繰り出し時においては、吸管の繰り出し開始時の作業者の繰り出し速度を超えない速度で繰りだせるように設定し、巻き取り時と同様にリールの回転数で制御して停止するようにした。
【0080】
実施の形態に係る吸管走行装置により巻き取った吸管は巻き緩みがないことが目視により確認できた。
【0081】
また、巻き取り時において一定の速度を維持することが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、吸管の巻き取り径が変化しても押圧しながら回転するインホイールモーターによって吸管を走行させるため、巻き取り時には巻き緩みが生じ難く、また、インホイールモーターの回転数を制御することで巻き取り時の走行速度を一定にすることができるから、走行速度の急激な変化による巻き込み事故が生じ難い安全性の高い吸管走行装置である。
したがって、本発明の産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0083】
1 吸管
6 回動アーム
8 押圧手段
11 架台プレート
20 リール
21 リールの回転軸
22 巻き取りレール
23 固定部
30 インホイールモーター
61~64 回動アームの途中の回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6