(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169950
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】オーダーメイド食事提案システム、オーダーメイド食事提案方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/60 20180101AFI20241129BHJP
【FI】
G16H20/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086825
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】524025071
【氏名又は名称】株式会社みらい無限レシピ
(74)【代理人】
【識別番号】100116861
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 義博
(72)【発明者】
【氏名】中村 守彦
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】腸内細菌叢の様相と自己評価とに基づきフィードバックをかけながらオーダーメイドの喫食管理をおこない自身の健康を維持改善するオーダーメイド食事提案システム、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】健康管理システム1は、喫食情報を逐次入力する喫食情報入力部401と、健康情報を逐次入力する健康情報入力部402と、腸内細菌叢情報を逐次入力する細菌叢情報入力部403と、入力された情報に基づいて個々人の健康状態を逐次評価する健康状態評価部407と、喫食情報と健康状態の履歴に基づいて個々人の喫食の履歴が健康状態に与えた影響を逐次判定する影響判定部408と、判定結果に基づいて、個々人の健康状態の維持改善の推移を観察するために所定期間継続的に摂取させる献立をそれぞれ逐次決定する献立決定部409と、献立情報を該当する個人に対して出力する献立情報出力部410と、を具備する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫食の内容、日時、その他の喫食に関する情報と、当該喫食をした個人を特定するID情報と、を組にした喫食情報を逐次入力する喫食情報入力手段と、
血圧、血糖値、内臓脂肪率、体温、便尿の回数、睡眠時間、むくみの程度、その他の、個人が自身にて測定ないし判定した健康に関わる情報と、当該測定ないし判定した日時と、当該測定ないし判定した個人を特定するID情報と、を組にした健康情報を逐次入力する健康情報入力手段と、
医療機関、測定機関、その他の検査機関にて逐次検査された腸内細菌叢に関する情報と、当該腸内細菌叢の取得日時と、当該腸内細菌叢を保有していた個人を特定するID情報と、を組にした細菌叢情報を逐次入力する細菌叢情報入力手段と、
健康情報入力手段により入力された健康情報と細菌叢情報入力手段により入力された細菌叢情報とに基づいて、個々人の健康状態をそれぞれ逐次評価する健康状態評価手段と、
喫食情報入力手段により入力された喫食情報の履歴と健康状態評価手段により評価された健康状態の履歴とに基づいて、個々人の喫食の履歴が健康状態に与えた影響をそれぞれ逐次判定する影響判定手段と、
影響判定手段による判定結果に基づいて、個々人の健康状態の維持改善の推移を観察するために所定期間継続的に摂取させる献立をそれぞれ逐次決定する献立決定手段と、
献立決定手段により決定された献立に関する情報である献立情報を該当する個人に対して出力する献立情報出力手段と、
を具備したことを特徴とするオーダーメイド食事提案システム。
【請求項2】
医療機関、測定機関、その他の検査機関にて逐次採血された血液から得られる情報と、当該採血日時と、当該採血にかかる個人を特定するID情報と、を組にした血液検査情報を逐次入力する血液検査情報入力手段を具備し、
健康状態評価手段は、健康情報入力手段により入力された健康情報と細菌叢情報入力手段により入力された細菌叢情報と血液検査情報入力手段により入力された血液検査情報とに基づいて、個々人の健康状態をそれぞれ逐次評価することを特徴とする請求項1に記載のオーダーメイド食事提案システム。
【請求項3】
内臓脂肪CT検査、ブドウ糖負荷試験、腎機能検査、腫瘍マーカー検査、心電図検査その他の特定の目的をもって検査された単数もしくは複数の検査により得られる情報と、当該検査日時と、当該検査にかかる個人を特定するID情報と、を組にした特定検査情報を逐次入力する特定検査情報入力手段を具備し、
健康状態評価手段は、健康情報入力手段により入力された健康情報と細菌叢情報入力手段により入力された細菌叢情報と特定検査情報入力手段により入力された特定検査情報とに基づいて、個々人の健康状態をそれぞれ逐次評価することを特徴とする請求項1に記載のオーダーメイド食事提案システム。
【請求項4】
献立決定手段は、AI、機械学習、または、ディープラーニングにより、個々人の献立を決定することを特徴とする請求項1、2または3に記載のオーダーメイド食事提案システム。
【請求項5】
喫食情報入力手段により入力された喫食情報、健康情報入力手段により入力された健康情報、および、細菌叢情報入力手段により入力された細菌叢情報、並びに、健康状態評価手段により評価された健康状態および/または影響判定手段により判定された判定結果を記録する記録手段を具備し、
献立決定手段は、記録手段により記録された情報を参照して個々人の献立を決定することを特徴とする請求項1、2または3に記載のオーダーメイド食事提案システム
【請求項6】
献立決定手段は、腸内細菌叢の逐次検査の所定回における検査に先立ち、個々人の腸内細菌叢の様相をそれぞれ変化させうる献立を決定し、
献立決定手段により決定された献立にかかる食事を提供する食事提供手段を具備したことを特徴とする請求項1、2または3に記載のオーダーメイド食事提案システム。
【請求項7】
個々人の健康状態の維持改善ないし増進または個々人の生活習慣病の予防を目的としたオーダーメイド食事提案プログラムであって、
コンピュータを、
喫食の内容、日時、その他の喫食に関する情報と、当該喫食をした個人を特定するID情報と、を組にした喫食情報を逐次入力する喫食情報入力手段、
血圧、血糖値、内臓脂肪率、体温、便尿の回数、睡眠時間、むくみの程度、その他の、個人が自身にて測定ないし判定した健康に関わる情報と、当該測定ないし判定した日時と、当該測定ないし判定した個人を特定するID情報と、を組にした健康情報を逐次入力する健康情報入力手段、
医療機関、測定機関、その他の検査機関にて逐次検査された腸内細菌叢に関する情報と、当該腸内細菌叢の取得日時と当該腸内細菌叢を保有していた個人を特定するID情報と、を組にした細菌叢情報を逐次入力する細菌叢情報入力手段、
健康情報入力手段により入力された健康情報と細菌叢情報入力手段により入力された細菌叢情報とに基づいて、個々人の健康状態をそれぞれ逐次評価する健康状態評価手段、
喫食情報入力手段により入力された喫食情報の履歴と健康状態評価手段により評価された健康状態の履歴とに基づいて、個々人の喫食の履歴が健康状態に与えた影響をそれぞれ逐次判定する影響判定手段、
影響判定手段による判定結果に基づいて、個々人の健康状態の維持改善の推移を観察するために所定期間継続的に摂取させる献立をそれぞれ逐次決定する献立決定手段、および、
献立決定手段により決定された献立に関する情報である献立情報を該当する個人に対して出力する献立情報出力手段、
として機能させることを特徴とするオーダーメイド食事提案プログラム。
【請求項8】
喫食の内容、日時、その他の喫食に関する情報と、当該喫食をした個人を特定するID情報と、を組にした喫食情報を逐次入力する喫食情報入力工程と、
血圧、血糖値、内臓脂肪率、体温、便尿の回数、睡眠時間、むくみの程度、その他の、個人が自身にて測定ないし判定した健康に関わる情報と、当該測定ないし判定した日時と、当該測定ないし判定した個人を特定するID情報と、を組にした健康情報を逐次入力する健康情報入力工程と、
医療機関、測定機関、その他の検査機関にて逐次検査された腸内細菌叢に関する情報と、当該腸内細菌叢の取得日時と当該腸内細菌叢を保有していた個人を特定するID情報と、を組にした細菌叢情報を逐次入力する細菌叢情報入力工程と、
健康情報入力工程を経て入力された健康情報と細菌叢情報入力工程を経て入力された細菌叢情報とに基づいて、個々人の健康状態をそれぞれ逐次評価する健康状態評価工程と、
喫食情報入力工程を経て入力された喫食情報の履歴と健康状態評価工程を経て評価された健康状態の履歴とに基づいて、個々人の喫食の履歴が健康状態に与えた影響をそれぞれ逐次判定する影響判定工程と、
影響判定工程を経て得られた判定結果に基づいて、個々人の健康状態の維持改善の推移を観察するために所定期間継続的に摂取させる献立をそれぞれ逐次決定する献立決定工程と、
献立決定工程を経て決定された献立を該当する個人に対して出力する献立出力工程と、
を含んだことを特徴とするオーダーメイド食事提案方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食事履歴と腸内細菌叢の変化を対応づけ、機械学習やビッグデータを用いて、当該対象者に特化した食事提案を長期的におこなっていくオーダーメイド食事提案技術、オーダーメイド健康管理スステムに関する。
【背景技術】
【0002】
旧来から、食事と健康の因果関係は広く知られており、これに基づいて、健康管理、健康状態の維持増進、生活習慣病の予防などがおこなわれている。また、より医学的に、糖尿病患者であれば血糖値を自身で測定するなどして食事においても例えば糖質管理をおこなっている。高血圧の人であれば、血圧を適時自身で測定し、食事において塩分管理をおこないまた脂身の多い肉類の摂取を控えるなどしている。
【0003】
また、近年、腸内細菌叢(腸内フローラ)が着目され、腸内環境を整えることが健康維持につながるとの考えから、自身でヨーグルトを摂取したり、より積極的に薬を服用して腸内環境を整えたりすることなども提案されている。
【0004】
一方、非特許文献1に示されるように、800人全員に同じ食事メニューを一週間摂食させてみたところ、糖分を含むバナナとクッキーとでは、バナナでは血糖値が上昇するがクッキーでは上昇せず、逆に、クッキーでは血糖値が上昇するがバナナでは上昇しない、という被験者がいるという驚くべき結果が確認され、これは、腸内細菌叢が大きく影響するという知見が得られている。
すなわち、例えば糖尿病患者を例に挙げると、一般的には(統計的な傾向としては)糖分を控えるのが良いとは言えるものの、個々人に関しては、個別にどのような喫食内容がどのように血糖値に影響するかは予見できないということを示している。
【0005】
すなわち、摂取すべき食事内容は個々人により異なり、腸内細菌叢が大きく影響するものの、個々人に理想的な食事内容を決定していくのは困難である。その前段として、多様な飲食内容ないし飲食履歴が日々継続していく中で、何がどう影響したか、していくか、していく可能性があるか、の把握はそもそも困難であり、仮に腸内細菌叢の状態を指標としたとしても因果関係の把握は困難である。
健康の評価指標として、このほか例えば血糖値の推移をみていくのもよいが、健康をはかる指標はこれに限定されず、血圧、血色、むくみの程度といったものからγGTP、腫瘍マーカーなど、無数にあって、全体的総合的に考慮する必要があるため、食事と健康との個別具体的な把握は一層困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-211946
【特許文献2】特開2020-177518
【特許文献3】特開2022-115880
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】D. Zeevi, et al, "Personalized Nutrition by Prediction of Glycemic Responses", Cell. 2015 Nov 19;163(5):1079-1094.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、腸内細菌叢の様相と自己評価とに基づきフィードバックをかけながらオーダーメイドの喫食管理をおこない自身の健康を維持改善していくことが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載のオーダーメイド食事提案システムは、喫食の内容、日時、その他の喫食に関する情報と、当該喫食をした個人を特定するID情報と、を組にした喫食情報を逐次入力する喫食情報入力手段と、血圧、血糖値、内臓脂肪率、体温、便尿の回数、睡眠時間、むくみの程度、その他の、個人が自身にて測定ないし判定した健康に関わる情報と、当該測定ないし判定した日時と、当該測定ないし判定した個人を特定するID情報と、を組にした健康情報を逐次入力する健康情報入力手段と、医療機関、測定機関、その他の検査機関にて逐次検査された腸内細菌叢に関する情報と、当該腸内細菌叢の取得日時と、当該腸内細菌叢を保有していた個人を特定するID情報と、を組にした細菌叢情報を逐次入力する細菌叢情報入力手段と、健康情報入力手段により入力された健康情報と細菌叢情報入力手段により入力された細菌叢情報とに基づいて、個々人の健康状態をそれぞれ逐次評価する健康状態評価手段と、喫食情報入力手段により入力された喫食情報の履歴と健康状態評価手段により評価された健康状態の履歴とに基づいて、個々人の喫食の履歴が健康状態に与えた影響をそれぞれ逐次判定する影響判定手段と、影響判定手段による判定結果に基づいて、個々人の健康状態の維持改善の推移を観察するために所定期間継続的に摂取させる献立をそれぞれ逐次決定する献立決定手段と、献立決定手段により決定された献立に関する情報である献立情報を該当する個人に対して出力する献立情報出力手段と、を具備したことを特徴とする。
【0010】
すなわち、請求項1に係る発明は、喫食履歴を把握しながら自身による健康情報と腸内細菌叢の状態に基づいて健康状態の推移を観察し、次の喫食提案がなされるため、フィードバックをかけながらオーダーメイドの健康管理を実現する。
なお、本発明は、オーダーメイド食事提案システムと名付けられているが、観点の違いにより、適宜、オーダーメイドフローラ調整システム、生活習慣病予防改善システム、健康状態維持改善システム、健康増進システム、と表現することもできる。
【0011】
喫食に関する情報は広義であって、大まかなメニューの他、献立のそれぞれの使用食材・使用部位・使用量、調理方法、栄養素の種類・量・カロリーなどの情報が含まれていても良い。
健康に関わる情報(個人が自身にて測定ないし判定する情報)は、特に限定されず、例示したほか、気分の良否、寝覚めの良し悪し、日中の眠気、膨満感、便尿の色・量・性状、喉の渇き、なども含まれていても良い。また、適度な運動は腸内細菌叢を活性化し、体調の維持管理にも好ましいため、この健康に関わる情報には、運動内容や歩数を含ませても良い。
腸内細菌叢に関する情報は、いわゆる善玉菌、悪玉菌、日和見菌の種類と数量、特定の菌の増加率などを挙げることができるがこれに限定されない。腸内細菌叢に基づいてエンテロタイプを類別でき、日本人については概ね5タイプに分類される。腸内細菌叢の細かな情報を利用者に知らせる態様の他、わかりやすいエンテロタイプを通知し、喫食と腸内環境と健康リスク関連付けて認識させるようにすることもできる。
献立とは朝昼晩の三食に限定されず、間食や、飲み物なども含まれる。また、所定期間継続的に摂取させる献立とは、同一のメニューに限定されない。献立情報とは、献立のみに限定されず、例えばその献立を家庭で作る場合のレシピや喫食すべき時間帯なども付加された情報であってよい。
【0012】
請求項2に記載のオーダーメイド食事提案システムは、請求項1に記載のオーダーメイド食事提案システムにおいて、医療機関、測定機関、その他の検査機関にて逐次採血された血液から得られる情報と、当該採血日時と、当該採血にかかる個人を特定するID情報と、を組にした血液検査情報を逐次入力する血液検査情報入力手段を具備し、健康状態評価手段は、健康情報入力手段により入力された健康情報と細菌叢情報入力手段により入力された細菌叢情報と血液検査情報入力手段により入力された血液検査情報とに基づいて、個々人の健康状態をそれぞれ逐次評価することを特徴とする。
【0013】
すなわち、請求項2に係る発明は、喫食履歴を把握しながら自身による健康情報と腸内細菌叢の状態、そして血液検査結果に基づいて健康状態の推移を観察し、次の喫食提案がなされるため、フィードバックをかけながらオーダーメイドの健康管理を実現する。
【0014】
血液から得られる情報は、赤血球数や血小板数、白血球数、平均赤血球ヘモグロビン濃度といった、血球計数検査だけでなく、ALT、コレステロール、グリコアルブミンといった生化学検査結果等が含まれていても当然に良い。
【0015】
請求項3に記載のオーダーメイド食事提案システムは、請求項1に記載のオーダーメイド食事提案システムにおいて、内臓脂肪CT検査、ブドウ糖負荷試験、腎機能検査、腫瘍マーカー検査、心電図検査その他の特定の目的をもって検査された単数もしくは複数の検査により得られる情報と、当該検査日時と、当該検査にかかる個人を特定するID情報と、を組にした特定検査情報を逐次入力する特定検査情報入力手段を具備し、健康状態評価手段は、健康情報入力手段により入力された健康情報と細菌叢情報入力手段により入力された細菌叢情報と特定検査情報入力手段により入力された特定検査情報とに基づいて、個々人の健康状態をそれぞれ逐次評価することを特徴とする。
【0016】
すなわち、請求項3に係る発明は、喫食履歴を把握しながら自身による健康情報と腸内細菌叢の状態、そして特定検査結果に基づいて健康状態の推移を観察し、次の喫食提案がなされるため、フィードバックをかけながらオーダーメイドの健康管理を実現する。
【0017】
特定の目的を持ってなされる検査は、このほか、肝機能検査その他の内臓検査や各種のスクリーニング検査が該当する。腸内細菌の代謝物質のメタボローム解析も含まれる。
【0018】
請求項4に記載のオーダーメイド食事提案システムは、請求項1、2または3に記載のオーダーメイド食事提案システムにおいて、献立決定手段は、AI、機械学習、または、ディープラーニングにより、個々人の献立を決定することを特徴とする。
【0019】
すなわち、請求項4に係る発明は、これまで認識されてなかった因果関係も含めて、喫食と自身で認識する健康状態と腸内細菌叢と健康状態との関係に基づき、フィードバックをかけながら、より個々人に即したオーダーメイドの食事提案ひいては健康管理を実現する。
【0020】
なお、AI、機械学習、または、ディープラーニングに関しては、システム内のデータに限定されず、インターネットやクラウド上の大規模なデータにアクセスすることも制限されない。献立や献立に関連する情報(使用食材、量、調理方法、栄養素など)は、互いに関連し合う親和性の高い単語列であるたるため、大規模言語モデルを用いて献立を決定することもできる。たとえばGPT(Generative Pre-trained Transformer)を用いる例を挙げることができる。
【0021】
請求項5に記載のオーダーメイド食事提案システムは、請求項1、2または3に記載のオーダーメイド食事提案システムにおいて、喫食情報入力手段により入力された喫食情報、健康情報入力手段により入力された健康情報、および、細菌叢情報入力手段により入力された細菌叢情報、並びに、健康状態評価手段により評価された健康状態および/または影響判定手段により判定された判定結果を記録する記録手段を具備し、献立決定手段は、記録手段により記録された情報を参照して個々人の献立を決定することを特徴とする。
【0022】
すなわち、請求項5に係る発明は、喫食と自身で認識する健康状態と腸内細菌叢と健康状態との関係に基づき、フィードバックをかけながら、より個々人に即したオーダーメイドの食事提案ひいては健康管理を実現する。
【0023】
なお、献立の決定に際しては、記録手段内のデータに限定されず、インターネットやクラウド上の大規模なデータにアクセスして決定する態様も妨げられない。
なお、血液検査情報入力手段により入力された血液検査情報を含めてもよいし、特定検査情報入力手段により入力された特定検査情報を含めても良い。
【0024】
請求項6に記載のオーダーメイド食事提案システムは、請求項1、2または3に記載のオーダーメイド食事提案システムにおいて、献立決定手段は、腸内細菌叢の逐次検査の所定回における検査に先立ち、個々人の腸内細菌叢の様相をそれぞれ変化させうる献立を決定し、献立決定手段により決定された献立にかかる食事を提供する食事提供手段を具備したことを特徴とする。
【0025】
すなわち、請求項6に係る発明は、画一的、統計的な処理も可能となり、かつそこから得られる知見を利用することも可能となり、システムの信頼性を向上させ、より効率的なオーダーメイドの健康管理を実現する。具体的に食事が提供されるので、より正確な影響判定が可能となる。特に個々人が初めてシステムを利用する場合に画一的な献立を喫食してもらうことにより、客観的かつ効率的なスクリーニングが実現される。
【0026】
腸内細菌叢の逐次検査の所定回、とは、毎回でも良いし定期的となる回でもよい。提供された献立を喫食することにより、その影響を把握できる関係にあればよい。
腸内細菌叢の様相を変化させうる献立は、朝昼晩総てが同じメニューということでなく、また、朝は朝、夜は夜で常に同一のメニューが続くということでなく、変化を持たせても当然に良い。また、献立は1パターンに限定されず、複数パターンのメニュー群が用意されており個々人に選択させるようにしても当然によい。
このようなメニュー群を提供し喫食が可能なシステムは既に存在し、本願発明者の先行特許(文献1)に開示される技術を適用することができる。
【0027】
請求項7に記載のオーダーメイド食事提案プログラムは、個々人の健康状態の維持改善ないし増進または個々人の生活習慣病の予防を目的としたオーダーメイド食事提案プログラムであって、コンピュータを、喫食の内容、日時、その他の喫食に関する情報と、当該喫食をした個人を特定するID情報と、を組にした喫食情報を逐次入力する喫食情報入力手段、血圧、血糖値、内臓脂肪率、体温、便尿の回数、睡眠時間、むくみの程度、その他の、個人が自身にて測定ないし判定した健康に関わる情報と、当該測定ないし判定した日時と、当該測定ないし判定した個人を特定するID情報と、を組にした健康情報を逐次入力する健康情報入力手段、医療機関、測定機関、その他の検査機関にて逐次検査された腸内細菌叢に関する情報と、当該腸内細菌叢の取得日時と当該腸内細菌叢を保有していた個人を特定するID情報と、を組にした細菌叢情報を逐次入力する細菌叢情報入力手段、健康情報入力手段により入力された健康情報と細菌叢情報入力手段により入力された細菌叢情報とに基づいて、個々人の健康状態をそれぞれ逐次評価する健康状態評価手段、喫食情報入力手段により入力された喫食情報の履歴と健康状態評価手段により評価された健康状態の履歴とに基づいて、個々人の喫食の履歴が健康状態に与えた影響をそれぞれ逐次判定する影響判定手段、影響判定手段による判定結果に基づいて、個々人の健康状態の維持改善の推移を観察するために所定期間継続的に摂取させる献立をそれぞれ逐次決定する献立決定手段、および、献立決定手段により決定された献立に関する情報である献立情報を該当する個人に対して出力する献立情報出力手段、として機能させることを特徴とする。
【0028】
すなわち、請求項7に係る発明は、喫食履歴を把握しながら自身による健康情報と腸内細菌叢の状態に基づいて健康状態の推移を観察し、次の喫食提案がなされるため、フィードバックをかけながらオーダーメイドの健康管理を実現する。
【0029】
なお、請求項7に係る発明については、請求項2~請求項6に開示される技術を同様に適用できる(開示される各手段を、当該手段として機能させる様にする)。
【0030】
請求項8に記載のオーダーメイド食事提案方法は、喫食の内容、日時、その他の喫食に関する情報と、当該喫食をした個人を特定するID情報と、を組にした喫食情報を逐次入力する喫食情報入力工程と、血圧、血糖値、内臓脂肪率、体温、便尿の回数、睡眠時間、むくみの程度、その他の、個人が自身にて測定ないし判定した健康に関わる情報と、当該測定ないし判定した日時と、当該測定ないし判定した個人を特定するID情報と、を組にした健康情報を逐次入力する健康情報入力工程と、医療機関、測定機関、その他の検査機関にて逐次検査された腸内細菌叢に関する情報と、当該腸内細菌叢の取得日時と当該腸内細菌叢を保有していた個人を特定するID情報と、を組にした細菌叢情報を逐次入力する細菌叢情報入力工程と、健康情報入力工程を経て入力された健康情報と細菌叢情報入力工程を経て入力された細菌叢情報とに基づいて、個々人の健康状態をそれぞれ逐次評価する健康状態評価工程と、喫食情報入力工程を経て入力された喫食情報の履歴と健康状態評価工程を経て評価された健康状態の履歴とに基づいて、個々人の喫食の履歴が健康状態に与えた影響をそれぞれ逐次判定する影響判定工程と、影響判定工程を経て得られた判定結果に基づいて、個々人の健康状態の維持改善の推移を観察するために所定期間継続的に摂取させる献立をそれぞれ逐次決定する献立決定工程と、献立決定工程を経て決定された献立を該当する個人に対して出力する献立出力工程と、を含んだことを特徴とする。
【0031】
すなわち、請求項8に係る発明は、喫食履歴を把握しながら自身による健康情報と腸内細菌叢の状態に基づいて健康状態の推移を観察し、次の喫食提案がなされるため、フィードバックをかけながらオーダーメイドの健康管理を実現する。
【0032】
なお、請求項8に係る発明については、請求項2~請求項6に開示される技術を同様に適用できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、腸内細菌叢の様相等と自己測定とに基づきフィードバックをかけながらオーダーメイドの喫食管理をおこない自身の健康を維持改善していくことの可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図2】利用者端末装置のハードウェア構成の一例の説明図である。
【
図3】病院端末装置のハードウェア構成の一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
ここでは、本発明のオーダーメイド食事提案プログラムがインストールされたPCがネットワーク(インターネットやクラウドを含む)に接続されたシステムであるオーダーメイド食事提案システムについて説明する。
具体的に本システムは利用者の生活習慣病の予防を目的として運用されるものとし、その観点から、以降ではオーダーメイド食事提案システムを健康管理システムと適宜称することとする。
【0036】
<健康管理システムのハードウェア構成>
図1は、健康管理システムの構成概念図である。
健康管理システム1は、個々の利用者U(U1、U2、・・・)が所有する利用者端末装置10と、医療機関を含み医療検査会社等Hに備わる病院端末装置20とがインターネットNに接続されている基本構成を有する。このネットワーク(インターネットN)には、血液検査機関Bの端末装置と、半調理された冷凍食材を含み各種食材を提供するデリバリー会社Dの端末装置も接続されているものとする。
なお、腸内細菌叢の検査は医療検査会社等Hにて尿または便を用いておこなわれ、血液検査機関Bでは、通常の血液検査の他、併せてがん検査(腫瘍マーカー測定)もおこなわれるものとする。
また、個々の利用者Uは自身の家に冷凍庫付の冷蔵庫11を有しており、この冷蔵庫11も利用者端末装置10またはネットワークNに接続されているものとする。
利用者端末装置10と病院端末装置20、また、血液検査機関Bやデリバリー会社Dの端末装置は、汎用のコンピュータ、たとえば、パーソナルコンピュータ(PC)を用いることができるので、その外観構成については説明を省略する。なお、PCには、タブレット型PCやスマートフォン等も含まれるものとする。
【0037】
健康管理システム1は、利用者が自身でおこなうセルフチェック(血圧測定、内臓脂肪率測定、血糖値測定、むくみの程度評価、睡眠の質評価など)と、病院等における腸内細菌叢の検査結果等とに基づいて健康状態を評価し、AIや機械学習も用いて生活習慣病予防の観点から当該利用者により適した食事・飲み物の提案をおこなっていく。そして、実際の喫食履歴を追っていきながら、都度腸内細菌叢の変化やセルフチェックの変化を把握し、より当該利用者に適した食事等の提案をおこなう、というフィードバックを繰り返し、個々人に対してオーダーメイドの健康状態の改善・維持をおこなっていくシステムである。
本システムでは、ネット上の膨大なデータも利用するので、例えば、単に塩分の少ない食事、脂肪分の少ない食事、繊維質の多い食事、という旧来の画一的な体質改善メニューの提案とはならず、ネット上の成功例に基づいて、本来的には変えていきにくい食習慣を本人に意識させることなく、必要に応じて変えていくような献立提案も可能となり、また、予防医学の最新の研究成果等も適宜利用していく、という利点を有する。そしてセルフチェックも入れるので、利用者の健康意識を高めた状態での活用が実現できる。加えて、実際に腸内細菌叢の状態も好適化していく、血液検査結果も平常範囲に落ち着いていく、という客観的な成功体験も感じ取れるので、永続的な利用も促されることとなる。
【0038】
<利用者端末装置10のハードウェア構成>
図2は、利用者端末装置10のハードウェア構成の一例について説明した図である。利用者端末装置10は、そのハードウェア構成として、CPU101と、ROM102と、RAM103と、ストレージ104と、グラフィックスカード105と、モニタ106と、キーボード107(KB107)と、マウス108(MOUSE108)と、ネットワークカード109と、QRコードリーダ111を有する(QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標。2次元バーコードである)。なお、モニタ106はタッチパネルになっており、マウス108のない構成としても良い。
【0039】
CPU101は、OSと共に利用者端末装置10全体を制御し、喫食情報や健康情報を入出力し、また、献立情報を出力する処理をおこなう。また、冷凍食材の利用、補充等の処理もおこなう。具体的には、CPU101は、ストレージ104に格納されているプログラムに従って、喫食に関する情報の処理、健康に関わる情報の処理、献立情報の出力処理、食材の管理等をおこなう。適宜作業データをRAM103に一時保存する制御等もおこなう。
【0040】
ROM102は、ブートプログラム等を記憶する。使用の態様によっては、ROM102は、利用者端末装置10の制御プログラムを格納しておいてもよい。RAM103は、CPU101のワークエリアとして使用する。具体的には、ストレージ104から読み出されたデータの内容やプログラム内容などを一時的に格納する。
【0041】
ストレージ104は、オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションプログラムを格納するアプリケーション部110と、各種データを格納するデータ格納部140とにより構成される。
アプリケーション部110は、利用者端末装置10全体を制御するOS120と、本システムの利用者側のプログラムである健康管理プログラム130とにより構成される。
【0042】
健康管理プログラム130は、
利用者の喫食に関する情報と健康に関わる情報を逐次入出力する利用者情報入出力プログラム131と、
献立情報を表示する表示プログラム132と、
冷蔵庫11の入出庫管理をおこない、適宜不足分を発注処理する食材管理プログラム133と、
により構成される。
なお、実際のプログラムは、多数のコンポーネントやDLLなどにより構成される。後述する機能的構成は、プログラムが単体若しくは複数で、場合によってはデータ格納部140およびネットワークN上にある情報と協働して各種実現される。
【0043】
データ格納部140は、利用者のID情報と、喫食に関する情報と、健康に関わる情報と、食材管理情報と、を格納する。
「喫食に関する情報」とは、摂取した食事内容および飲み物の内容およびその日時が含まれる情報である。食事内容および飲み物内容は極力細かな情報であることが好ましい。冷蔵庫11を利用する場合には、この食事内容、飲み物の内容はQRコードリーダ111等を介して自動的に取得され、利用者の入力負担は軽減される。食事内容の具体例としては、例えば、主食「ビーフカツカレー」、副食「ほうれん草のおひたし」の献立であるとし、ビーフカツカレーについては、ご飯の分量、カレーの使用野菜、カツのグラム数、塩分、脂肪分、カロリー、その他の栄養素量などの情報である。喫食時刻も含まれる。
「健康に関わる情報」とは、血圧、血糖値、内臓脂肪率、体温、便尿の回数、睡眠時間、むくみの程度などであり、数値情報の他、むくみの程度などに関しては、むくみ程度、大、中、小、なしを、4,3,2,1という評価値に置き換えた情報である。また、測定時刻、評価時刻も含まれる。
食材管理情報は、冷蔵庫11内に格納されている食材の種類、個数、ストック履歴、注文履歴を格納する。食材はデリバリー会社Dから配送される。
データ格納部140は、また、献立情報も格納する。冷蔵庫11から取り出した食材は、単に盛り付けるだけでよいものから、解凍・加熱調理する必要のあるものもあり、各種調理方法、レシピも献立情報として格納される。
【0044】
グラフィックスカード105は、モニタ106へ出力すべき画像信号を送出する。グラフィックスカード105は、出力すべき画像信号を格納するVRAMと、処理された画像信号をモニタ106へ出力する画像出力インターフェース(画像出力I/F)も備える。画像出力I/Fは、VRAMに展開されたRGB画像データをモニタ106へ出力する。
【0045】
キーボード107は、その押下によりテキスト入力、各種処理の決定入力等をおこなう。本システムでは、血圧値、血糖値、内臓脂肪率の入力などをおこなう。
マウス108は左クリック、右クリック、スクロールをおこなう。本システムでは、セルフチェックの際のむくみの程度をプルダウンメニューから決定する際等に使用する。
【0046】
ネットワークカード109は、利用者端末装置10をネットワークNに接続する。ネットワークに接続することにより、病院端末装置20に各種情報を送信でき、また、病院端末装置20から献立情報を受け取ることができる。
また、ネットワークカード109を介して、利用者端末装置10は冷蔵庫11にも接続される。冷蔵庫11に関わる技術は文献1に開示しているので詳細な説明は省略するが、献立情報にしたがって献立を食す際、または、(半調理された)冷蔵食品群や冷凍食品群を組み合わせてメニューを仕上げる際、QRコードリーダ111と共働して食材等の出庫管理がなされる。また、デリバリー会社Dから届く食材の補充分を追加する際に入庫管理がなされる。
【0047】
QRコードリーダ111は、食材に表示されているQRコードを読み取り、食材の入出庫管理に資する。また、解凍方法、調理方法等をモニタ106に表示させるためにも使用される。
【0048】
<病院端末装置20のハードウェア構成>
図3は、病院端末装置20のハードウェア構成の一例について説明した図である。病院端末装置20は、そのハードウェア構成として、CPU201と、ROM202と、RAM203と、ストレージ204と、グラフィックスカード205と、モニタ206と、キーボード207(KB207)と、マウス208(MOUSE208)と、ネットワークカード209と、を有する。
【0049】
CPU201は、OSと共に病院端末装置20全体を制御し、個々人に対するオーダーメイドの健康管理をおこなう。具体的には、CPU201は、ストレージ204に格納されているプログラム等に従って、生活習慣病の実効的な予防を実現する食事提供をおこなう(喫食履歴に基づいて個々人の腸内細菌叢等の変化をモニタリングし、AIを用いてビッグデータも利用しながら長期的な食事管理をおこなっていく)。CPU201は、このほか適宜作業データをRAM203に一時保存する制御等もおこなう。
【0050】
ROM202は、ブートプログラム等を記憶する。使用の態様によっては、ROM202は、病院端末装置20の制御プログラムを格納しておいてもよい。RAM203は、CPU201のワークエリアとして使用する。具体的には、ストレージ204から読み出されたデータやネットワークNに存在する情報、また、プログラム内容などを一時的に格納する。
【0051】
ストレージ204は、オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションプログラムを格納するアプリケーション部210と、各種データを格納するデータ格納部240とにより構成される。
アプリケーション部210は、病院端末装置20全体を制御するOS220と、本システムの病院側のプログラムである解析提案プログラム230とにより構成される。
【0052】
解析提案プログラム230は、
個々の利用者から送信される喫食情報、健康情報、これらに付随する各種情報を逐次入力する喫食健康情報入力プログラム231と、
個々の利用者の細菌叢情報、血液情報、腫瘍マーカーの測定などの特定検査情報、これらに付随する各種情報を逐次入力する検査結果情報入力プログラム232と、
入力された各種情報から個々の利用者の健康状態を評価するとともに、その個別の喫食履歴が当該個人の健康状態に与えた影響を判定ないし評価する評価プログラム233と、
生活習慣病予防の観点から個々人の健康状態の維持改善の推移を観察するために、次の腸内細菌叢等の測定までの間に摂取してもらいたい献立を決定する献立決定プログラム234と、
献立情報と、これに付随する各種情報を利用者個々人宛に送出する送出プログラム235と、
データ格納部240に格納されている情報およびインターネットを介して取得できる情報から、機械学習をおこない学習モデルを順次定義ないし設定していく学習プログラム236と、
により構成される。
なお、実際のプログラムは、多数のコンポーネントやDLLなどにより構成される。後述する機能的構成は、プログラムが単体若しくは複数で、場合によってはデータ格納部240およびネットワークN上にある情報と協働して各種実現される。
【0053】
データ格納部240は、利用者DB241と献立情報DB242とにより構成される。
利用者DB241は、利用者個々人のID情報に紐付けられた、喫食情報、健康情報、細菌叢情報、血液検査情報、および、特定検査情報、を格納し、また、喫食履歴が健康状態に与えた影響の評価結果も格納する。
献立情報DB242は、各種の献立の中身(主菜、副菜、小鉢、飲み物など、の種類、量、使用食材、栄養素などの情報)と、朝昼晩の食事内容や間食の情報、摂取日数などに関する情報を格納する。既に利用者に提供した情報と学習により決定され今後提供予定の献立の情報の両方を含む。
データ格納部240に情報を格納しておくことにより(また、インターネット上の情報も利用することにより)、利用者が増えれば増えるほど、また、システムが使用されて履歴が長期間にわたるものとなるほど、喫食履歴と腸内細菌叢等の変化とが明示的にまたは潜在的に関係づけられ(学習され)、食事提供を介してオーダーメイドの健康管理(生活習慣病の予防)が実現される。
【0054】
グラフィックスカード205は、モニタ206へ出力すべき画像信号を送出する。グラフィックスカード205は、出力すべき画像信号を格納するVRAMと、処理された画像信号をモニタ206へ出力する画像出力インターフェース(画像出力I/F)も備える。画像出力I/Fは、VRAMに展開されたRGB画像データをモニタ206へ出力する。
【0055】
キーボード207は、その押下によりテキスト入力、各種処理の決定入力等をおこなう。本システムでは、腸内細菌叢に関する情報入力、その他、血液検査結果、特定検査の結果などの入力をおこなう。
マウス208は左クリック、右クリック、スクロールをおこなう。本システムでは、セルフチェックの際のむくみの程度をプルダウンメニューから決定する際等に使用する。
【0056】
ネットワークカード209は、病院端末装置20をネットワークNに接続する。ネットワークに接続することにより、利用者端末装置10へ各種情報を送信でき、また、クラウドその他インターネット上で得られる情報を介して学習モデルの構築、リバイズが実現される。
【0057】
<システムの機能的構成>
図4は、健康管理システム1の機能説明図である。
健康管理システム1は、その機能的構成として、喫食情報入力部401と、健康情報入力部402と、細菌叢情報入力部403と、血液検査情報入力部404と、特定検査情報入力部405と、データ格納部406と、健康状態評価部407と、影響判定部408と、献立決定部409と、献立情報出力部410と、食事提供部411と、学習部412と、を有する。
【0058】
喫食情報入力部401は、喫食の内容、日時、その他の喫食に関する情報と、当該喫食をした個人を特定するID情報と、を組にした喫食情報を逐次入力する。
喫食情報入力部401は、たとえば、K/B107、RAM103、利用者情報入出力プログラム131、データ格納部140、NIC209、喫食健康情報入力プログラム231、利用者DB241などによりその機能を実現することができる。
なお、データ格納部140に記録させることにより、喫食内容、日時の記録機能も持たせることができる。
【0059】
健康情報入力部402は、体重、歩数、血圧、血糖値、内臓脂肪率、体温、便尿の回数、睡眠時間、むくみの程度、その他の、個人が自身にて測定ないし判定した健康に関わる情報と、当該測定ないし判定した日時と、当該測定ないし判定した個人を特定するID情報と、を組にした健康情報を逐次入力する。生活習慣病は、たとえば、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、慢性腎臓病などが挙げられるが、自身で測定ないし評価するので、健康意識も自然に高められることとなる。なお、基礎情報として、身長、性別、生年月日なども適宜入力しておく。
健康情報入力部402は、たとえば、K/B107、RAM103、利用者情報入出力プログラム131、データ格納部140、NIC209、喫食健康情報入力プログラム231、利用者DB241などによりその機能を実現することができる。
【0060】
細菌叢情報入力部403は、医療検査会社等Hにて逐次検査された腸内細菌叢に関する情報と、当該腸内細菌叢の取得日時と、当該腸内細菌叢を保有していた個人を特定するID情報と、を組にした細菌叢情報を逐次入力する。腸内細菌叢の検査は便や尿を用いておこなうことができるが、本実施の形態では、逐次検査をおこなっていくので負担の少ない検尿にておこなう(便検査の方が正確であるため、たとえば、半年に一度の便検査をおこなうようにしてもよい)。腸内細菌叢の様相の変化を追っていくことで、喫食履歴と健康状態との潜在的な因果関係を抽出、評価、献立への反映が可能となる。
細菌叢情報入力部403は、たとえば、検査結果情報入力プログラム232、NIC209、RAM203、利用者DB241などによりその機能を実現することができる。
【0061】
血液検査情報入力部404は、血液検査機関Bにて逐次採血された血液から得られる情報と、当該採血日時と、当該採血にかかる個人を特定するID情報と、を組にした血液検査情報を逐次入力する。血液からは様々な健康状態に関する知見が得られるので本実施の形態では、腸内細菌叢に加えて血液の検査結果も個々人の健康状態の評価のために利用する。
血液検査情報入力部404は、たとえば、検査結果情報入力プログラム232、NIC209、RAM203、利用者DB241などによりその機能を実現することができる。
【0062】
特定検査情報入力部405は、医療検査会社等Hにて、腸内細菌叢の検査のために採取した尿を用いて腫瘍マーカーの検査もおこなうこととし、その検査結果と、検査日時と、当該検査にかかる個人を特定するID情報と、を組にした特定検査情報を逐次入力する。癌になる確率は居住国や人種、食生活によっても異なるが、日本では男性が65%女性は50%程度である。生活習慣病が気になる年齢にいたると癌も心配となるので、検尿での逐次検査は利用者の安心感にもつながり、また、生活習慣も見直す副次的な効果も期待できる。
特定検査情報入力部405は、たとえば、検査結果情報入力プログラム232、NIC209、RAM203、利用者DB241などによりその機能を実現することができる。
【0063】
データ格納部406は、喫食情報入力部401により入力された喫食情報、健康情報入力部402により入力された健康情報、細菌叢情報入力部403により入力された細菌叢情報、血液検査情報入力部404により入力された血液検査情報、および、特定検査情報入力部405により入力された特定検査情報、並びに、健康状態評価部407により評価された健康状態、および、影響判定部408による判定結果を記録する。仕様の態様により献立決定部409により決定された献立の情報も記録しても良い。逐次累積していくデーであって、機械学習のための基礎データにも利用される。なお、
図4においては、データ格納部406(二重枠)に格納される情報を送出する機能部(喫食情報入力部401、健康情報入力部402、細菌叢情報入力部403、血液検査情報入力部404、特定検査情報入力部405、健康状態評価部407、影響判定部408、献立決定部409)を太枠で示した。
データ格納部406は、利用者DB241、喫食健康情報入力プログラム231、検査結果情報入力プログラム232、利用者情報入出力プログラム131、学習プログラム236、RAM203などによりその機能を実現することができる。
【0064】
健康状態評価部407は、健康情報入力部402により入力された健康情報と細菌叢情報入力部403により入力された細菌叢情報と血液検査情報入力部404により入力された血液検査情報と特定検査情報入力部405により入力された特定検査情報とに基づいて、個々人の健康状態をそれぞれ逐次評価する。腸内細菌叢に関して言えば、いわゆる善玉菌の絶対量の数値増や数量の伸び率、悪玉菌の絶対量の数値減や数量の低減率、日和見菌の善玉菌化などを評価する。評価に際してはそれぞれ入力された数値に重みをかけてもよいし、特定の数値情報の閾値越えなどに加点するなどしてもよい。
健康状態評価部407は、たとえば、利用者DB241、評価プログラム233、NIC209、CPU201、RAM203などによりその機能を実現することができる。なお、ネットワークN上の情報を参酌するようにしてもよい。
【0065】
影響判定部408は、喫食情報入力部401により入力された喫食情報の履歴と健康状態評価部407により評価された健康状態の履歴とに基づいて、個々人の喫食の履歴が健康状態に与えた影響をそれぞれ逐次判定する。判定に関しては、前回から今回の評価の間の喫食について塩分が少なかったので血圧が下がった、というような単調ないし線形的な因果関係でなく、履歴を追って判定する。これにより総合的複合的な影響評価をおこなうことができる。たとえば、機械学習やディープラーニングをここでも利用することにより、ある時期γGTPの数値が上がるが、その上がり方は、数ヶ月後に腸内細菌叢の善玉菌の上昇をもたらすというようなこれまで認識できていなかった評価も可能となる。
影響判定部408は、評価プログラム233、CPU201とRAM203、利用者DB241、学習プログラム236などによりその機能を実現することができる。なお、ネットワークN上の情報を参酌するようにしてもよい。
【0066】
献立決定部409は、影響判定部408による判定結果に基づいて、個々人の健康状態の維持改善の推移を観察するために所定期間(例えば次の腸内細菌叢検査(すなわち検尿)までの期間)継続的に摂取させる献立をそれぞれ逐次決定する。換言すれば献立決定部409は、腸内細菌叢を中心として個々人の健康状態をモニタリングしながらオーダーメイドの献立を作成する。腸内細菌叢の理想のバランスは、善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7とされているので、この比率に近づけるもしくは保つことを一つの目標値として献立を決定してもよい。なお、本システムでは、実際に利用者が喫食した内容も情報として入手するので、当該提案した献立を喫食したかしなかったかも把握でき、その原因(あまり当該利用者にとっては好きではない献立であったか等)を推定して、提案献立の喫食率を高めていくことも可能となる。また、オーダーメイドではあるが、利用者が増え、また、履歴が蓄積していくことにより、ビッグデータとして活用できることとなり、実効性のある様々な効果的な喫食提案が可能となる。また、健康状態の改善に伴って、たとえば、基本献立の内容を少しずつ変更していくこともできる(機能性を高める食材を含む献立も提案でき、健康状態の改善傾向が見られない場合は、従来と大幅に異なる献立の提案もできる)。
献立決定部409は、たとえば、献立決定プログラム234、献立情報DB242、学習プログラム236、NIC209、ネットワークNなどによりその機能を実現することができる。なお、ネットワークN上の情報を参酌するようにしてもよい。
【0067】
献立情報出力部410は、献立決定部409により決定された献立に関する情報である献立情報を該当する個人に対して出力する。次回の検査までの全献立を送っても実際に喫食してもらえるかは不確定であるので、適宜付加情報をつけ、たとえば、この回とこの回は、特にブロッコリーの花蕾をそれぞれ50gずつ必ず喫食してほしい、というような、強弱をつけた情報を付加しても良い。
また、現在のエンテロタイプと望ましいエンテロタイプを示し、現在の献立(もしくは近時の献立群が)望ましいエンテロタイプにどう近づいていくものであるか、等を認識させるなどの付加情報を表示し、利用者に、食生活が健康に与える影響を常に意識させるような運用をしてもよい。
献立情報出力部410は、たとえば、送出プログラム235と、献立情報DB242と、NIC209と、OS210と、NIC109と、OS120と、表示プログラム132と、モニタ106などによりその機能を実現することができる。
【0068】
食事提供部411は、献立決定部409により決定された献立にかかる食事を提供する。提供は広義であり、デリバリー会社Dからの食材提供も、冷蔵庫11から食材が取り出されることも含まれる。なお、食材が半調理された冷凍品である場合の態様は文献1の開示例を利用できる。食事提供部411は必要に応じて、在庫管理に基づきデリバリー会社Dへ自動発注する様にすることともできる。
食事提供部411は、食材管理プログラム133、データ格納部140、OS120、CPU101,NIC109などによりその機能を実現できる。
【0069】
学習部412は、データ格納部240に格納されている情報に基づき、また、クラウド上、インターネット上の情報も参照して、機械学習により、生活習慣病の予防の観点に基づき学習モデルを順次定義ないし設定していく。学習の方法は教師ありモデルでも、教師なしモデルでもよい。適宜バックプロパゲーションを用いてもよいし、畳み込みニューラルネットワークを用いてもよい。
学習部412は、CPU201、RAM203、学習プログラム236、データ格納部240、NIC209、ネットワークNなどにその機能を実現できる。なお、ネットワークN上の情報を参酌するようにしてもよい。
【0070】
なお、利用者が健康管理システム1の利用開始初期に当たっては、より効率的にオーダーメイドの献立ないし健康管理の恩恵を受けるために、スターターキットのような献立で喫食を進めて行くことが好ましい。基本献立による喫食を2週間程度続けて、病態改善傾向を把握し、病態改善の有無により、喫食タイミングを変更させるような献立情報を作成することもできる。
また、定期的に、画一メニューを喫食してもらうようにしてもよい。腸内細菌叢の変化や健康状態の変化を予測し、予想値とのずれから、学習モデルがよりよくなっているかを評価可能となる。
【0071】
健康管理システム1は、膨大なデータから影響の有無を探り当てるので、たとえば、食後ヨーグルトの摂取タイミングを改善傾向に応じて変更していく、摂取頻度や摂取量を変更していく、ヨーグルトのトッピングを変えていく、というような、細かな設定ないし変更と腸内細菌叢の変化、健康状態の変化を追っていくことができ、次の献立にフィードバックさせていくことが可能となる。
【0072】
なお、各プログラムや機能的構成はこれに限定されない。特に各構成は固定的でなく、たとえば、データ格納部140やデータ格納部240は、クラウド上に構成することもできる。
利用者端末装置10には、健康状態に対する自己判断の記録機能を持たせるようにしても良いし、喫食タイミングのアラート機能を付加してもよい。
【0073】
以上説明したように、健康管理システム1は、一律な食事・献立を提案するのではなく、腸内細菌叢や血液検査のデータ等に基づき、個々の病態、健康志向、健康状態などを反映させたオーダーメイド献立を提供し生活習慣病の予防、疾病予防を可能にする。特に、薬剤等を使用せずとも個々人に即した自然な「食」習慣改善も実現でき、健康寿命を伸ばすことにも資することとなる。
なお、生活習慣病の予防という観点を少し変え、利用者の持病の緩和改善を目的とした健康管理(献立管理、献立提供)技術として本発明を捉えることもできる。たとえば、利用開始初期に病態に合った「基本献立」を提案して運用を開始し、次第に当該利用者にとって理想的な献立に近づけ維持していくようにすることが可能である。本発明ではAI等を用いてデータマイニングもできるので、糖尿病患者である場合は、血糖値が上がる食材とそうでない食材を見つけ、これに基づいて献立を作成し、病態の改善・予防を実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、生活習慣病の予防にも好適に実装できる。オーダーメイドのDASH食への適用もでき、高血圧予防に資する。このほか、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症(痛風)の食事療法としても効果的に実装できる。
なお、口腔内細菌叢も生活習慣病に関連していることに鑑み、腸内細菌叢と共に、または腸内細菌叢にかえて、口腔内細菌叢の情報も用いることもでき。
【符号の説明】
【0075】
1 健康管理システム
10 利用者端末装置
11 冷蔵庫
20 病院端末装置
104 ストレージ
109 ネットワークカード
111 QRコードリーダ
110 アプリケーション部
120 OS
130 健康管理プログラム
131 利用者情報入出力プログラム
132 表示プログラム
133 食材管理プログラム
140 データ格納部
204 ストレージ
209 ネットワークカード
210 アプリケーション部
220 OS
230 解析提案プログラム
231 喫食健康情報入力プログラム
232 検査結果情報入力プログラム
233 評価プログラム
234 献立決定プログラム
235 送出プログラム
236 学習プログラム
240 データ格納部
241 利用者DB
242 献立情報DB
401 喫食情報入力部
402 健康情報入力部
403 細菌叢情報入力部
404 血液検査情報入力部
405 特定検査情報入力部
406 データ格納部
407 健康状態評価部
408 影響判定部
409 献立決定部
410 献立情報出力部
411 食事提供部
412 学習部