(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169953
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20241129BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
G06F1/16 312Z
G06F1/16 312E
H05K5/02 S
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086829
(22)【出願日】2023-05-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅島 一哉
(72)【発明者】
【氏名】中西 爽
(72)【発明者】
【氏名】岡本 雅士
(72)【発明者】
【氏名】佐野 哲也
【テーマコード(参考)】
4E360
【Fターム(参考)】
4E360AA02
4E360BB12
4E360EB03
4E360GA51
4E360GB43
(57)【要約】
【課題】外観品質を向上させることができる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器は、表示面を有するディスプレイパネルを搭載し、前記ディスプレイパネルの前記表示面とは反対側の裏面を筐体部材の内面側で支持した第1筐体と、前記第1筐体に対してヒンジを用いて相対的に回動可能に連結された第2筐体と、前記第2筐体に搭載された磁石と、前記第1筐体に搭載され、前記磁石の磁力を検出するセンサと、を備える。前記センサは、前記ディスプレイパネルの裏面と前記筐体部材の内面との間に配置され、前記ディスプレイパネルを透過した前記磁力を検出可能であり、前記筐体部材の内面には、前記センサが挿入される凹部が設けられている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラムシェル型の電子機器であって、
表示面を有するディスプレイパネルを搭載し、前記ディスプレイパネルの前記表示面とは反対側の裏面を筐体部材の内面側で支持した第1筐体と、
前記第1筐体に対してヒンジを用いて相対的に回動可能に連結された第2筐体と、
前記第2筐体に搭載された磁石と、
前記第1筐体に搭載され、前記磁石の磁力を検出するセンサと、
を備え、
前記センサは、前記ディスプレイパネルの裏面と前記筐体部材の内面との間に配置され、前記ディスプレイパネルを透過した前記磁力を検出可能であり、
前記筐体部材の内面には、前記センサが挿入される凹部が設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記筐体部材は、
プレート部と、
前記プレート部に接合された樹脂プレート部と、
を有し、
前記凹部は、前記樹脂プレート部の内面に形成されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器であって、
前記プレート部は、炭素繊維強化樹脂で形成されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の電子機器であって、
前記プレート部は、一部に貫通孔を有し、
前記樹脂プレート部は、前記貫通孔を埋めた状態で前記プレート部に接合されると共に、該樹脂プレート部の外面にはロゴが設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1に記載の電子機器であって、
さらに、前記ディスプレイパネルの裏面と前記筐体部材の内面との間に配置され、前記筐体部材の内面側を臨む一面に前記センサを実装したフレキシブル基板を備え、
前記フレキシブル基板は、前記一面における前記センサの周縁部が、前記筐体部材の内面で支持されている
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型PCのようなクラムシェル型の電子機器は、ディスプレイの消灯制御等を行うために2つの筐体の開閉状態を検出するセンサ(リッドセンサ)を搭載している(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の構成では、センサは、ディスプレイパネルの上部端面と筐体部材の立壁との間の隙間に配置されている。このため、この構成では、センサの設置スペース確保の観点から当該隙間を十分に確保する必要があった。その結果、この構成はベゼル幅の拡大を招き、機器の外観品質を低下させる場合があった。
【0005】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、外観品質を向上させることができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る電子機器は、クラムシェル型の電子機器であって、表示面を有するディスプレイパネルを搭載し、前記ディスプレイパネルの前記表示面とは反対側の裏面を筐体部材の内面側で支持した第1筐体と、前記第1筐体に対してヒンジを用いて相対的に回動可能に連結された第2筐体と、前記第2筐体に搭載された磁石と、前記第1筐体に搭載され、前記磁石の磁力を検出するセンサと、を備え、前記センサは、前記ディスプレイパネルの裏面と前記筐体部材の内面との間に配置され、前記ディスプレイパネルを透過した前記磁力を検出可能であり、前記筐体部材の内面には、前記センサが挿入される凹部が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の上記態様によれば、外観品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る電子機器を上から見下ろした模式的な平面図である。
【
図2】
図2は、筐体部材を外面側から見た模式的な背面図である。
【
図3】
図3は、筐体部材を内面側から見た模式的な正面図である。
【
図4B】
図4Bは、
図4Aに示す筐体部材の内面にフレキシブル基板を設けた構成での平面図である。
【
図6】
図6は、筐体間を0度姿勢に閉じた状態でのY1側端部及びその周辺部での模式的な側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る電子機器について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1は、一実施形態に係る電子機器10を上から見下ろした模式的な平面図である。
図1に示すように、本実施形態の電子機器10は、クラムシェル型のノート型PCであり、第1筐体11と第2筐体12とをヒンジ14によって相対的に回動可能に連結した構成である。本実施形態では、ノート型PCの電子機器10を例示しているが、電子機器は2つの筐体間を相対的に回動可能に連結したクラムシェル構造であればPC以外でもよい。
【0011】
第2筐体12は、扁平な箱体であり、第1筐体11と隣接している。第2筐体12の内部には、CPU等を搭載したマザーボード、バッテリ装置、メモリ、アンテナ装置等の各種電子部品が収容されている。第2筐体12の上面12aには、キーボード16及びタッチパッド17が臨んでいる。第2筐体12は、上面12aにタッチパネル式のディスプレイを搭載し、これにソフトウエア式のキーボードを表示してもよい。
【0012】
第1筐体11は、扁平な箱体である。第1筐体11は、ディスプレイパネル18を搭載している。以下、第1筐体11及びこれに搭載された各構成要素について、ディスプレイパネル18の表示面18aを視認するユーザから見た方向を基準とし、左右方向をそれぞれX1,X2方向、上下方向をそれぞれY1,Y2方向、奥行方向をそれぞれZ1,Z2方向と呼んで説明する。X1,X2方向をまとめてX方向と呼ぶこともあり、Y1,Y2方向及びZ1,Z2方向についても同様にY方向、Z方向と呼ぶことがある。
【0013】
ディスプレイパネル18の表示面18aは、第1筐体11のZ1側表面を臨んでいる。第1筐体11は、Z2側表面を形成する筐体部材20と、Z1側表面の外周を形成するベゼル部材22とを有する。第1筐体11の上下左右の側面は、筐体部材20の四周縁部から起立した立壁23によって形成されている。ベゼル部材22は、ディスプレイパネル18の表示面18aの外周縁部を囲む枠状の薄いプレートである。ヒンジ14は、第1筐体11のY2側縁部に連結され、X方向に延在する棒状のヒンジカバーで覆われている。
【0014】
ディスプレイパネル18は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイで構成される。ディスプレイパネル18は、例えばガラス、液晶層、及び導光板等を積層してそれぞれの層の外周縁部同士を両面テープや接着剤等で固定した構造である。ディスプレイパネル18は、例えば表示面18aに対するタッチ操作が可能である。ディスプレイパネル18は、筐体部材20の内面20aに対して直接的に又は所定のブラケット等を介して間接的に両面粘着テープ等で固定される(
図3参照)。
【0015】
図2は、筐体部材20を外面20b側から見た模式的な背面図である。
図3は、筐体部材20を内面20a側から見た模式的な正面図である。
図2では、ディスプレイパネル18の外形を2点鎖線で示している。
【0016】
図2及び
図3に示すように、筐体部材20は、矩形状のプレート部26と、枠状のフレーム部27と、プレート部26の一部に埋め込まれた樹脂プレート部28とを有する。
【0017】
なお、本実施形態の筐体部材20は、外縁部から中央部に向かって滑らかに膨らんだドーム状の曲面20dを有する(
図5及び
図6参照)。曲面20dは、プレート部26を外周縁部から中央部に向かって外面20bがドーム状に膨らむように湾曲させることで、内面20aを皿状に窪ませたものである。曲面20dは筐体部材20の一部のみに形成されてもよい。筐体部材20は曲面20dを形成せず、全体を平面で形成してもよい。
【0018】
プレート部26は、筐体部材20のベースとなるプレートであり、筐体部材20の中央部を含む大部分を形成する。プレート部26は、炭素樹脂にマトリクス樹脂(例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂或いは熱可塑性樹脂)を含浸させたプリプレグを複数層積層した炭素繊維強化樹脂プレート(CFRPプレート)である。プレート部26はプリプレグ層間に発泡体等の中間材を挟んだ構成としてもよい。プレート部26は筐体部材20の外面20bの略全面を形成する。プレート部26は、炭素繊維強化樹脂ではなく、アルミニウム又はチタン等の金属で形成されてもよい。プレート部26は、フレーム部27又は樹脂プレート部28と同一又は異なる種類の樹脂で形成されてもよい。
【0019】
フレーム部27は、プレート部26の外周縁部に接合される。フレーム部27は、プレート部26の外周縁部に樹脂材を射出成形し、接合したものである。フレーム部27は、プレート部26の外周縁部の内面26aに積層され、プレート部26の外周端面を覆う部分が立壁23を形成する(
図5及び
図6も参照)。フレーム部27を形成する樹脂材は、例えばポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等であり、これらの樹脂にガラス繊維等の強化繊維を含有させた繊維強化樹脂(例えばGFRP)を用いてもよい。炭素繊維強化樹脂で形成されたプレート部26は、軽く且つ高強度であるが、機械加工や形状加工の施工性に問題がある。そこで筐体部材20は、プレート部26の周囲に樹脂材で形成されたフレーム部27を設け、このフレーム部27に形成する立壁23やねじ穴等の各種形状を形成している。
【0020】
図4Aは、
図3に示す樹脂プレート部28及びその周辺部の拡大図である。
図4Aでは、同一材料の樹脂で一体的に形成されるフレーム部27及び樹脂プレート部28と、炭素繊維強化樹脂で形成されるプレート部26とを明確に区別するため、フレーム部27及び樹脂プレート部28をドットパターンで表示している。
【0021】
図2~
図4Aに示すように、樹脂プレート部28は、プレート部26の一部に形成された貫通孔26bを埋めた状態でプレート部26と接合される(
図5及び
図6も参照)。樹脂プレート部28は、フレーム部27と同一の樹脂材で一体に形成されることができる。この場合、樹脂プレート部28は、プレート部26に対してフレーム部27と同時に射出成形するとよい。このため、本実施形態の樹脂プレート部28は、一部がフレーム部27と繋がっている。樹脂プレート部28は、フレーム部27と異なる樹脂材で形成されてもよいし、フレーム部27と別体に成形されてもよい。
【0022】
貫通孔26b及び樹脂プレート部28は、筐体部材20のX方向に沿う上下の縁部のうち、ヒンジ14が連結されるY2側の縁部とは反対側のY1側の縁部20cと、X2側でY方向に延びる縁部との角部の近くに設けられている。なお、
図3中の参照符号29は、ヒンジ14を筐体部材20に連結するための金属製のブラケットである。ブラケット29は、筐体部材20のY2側の縁部近傍で内面20aに固定され、例えば左右一対設けられる。
【0023】
貫通孔26bは、プレート部26を板厚方向に貫通する貫通孔であり、例えば略楕円形状或いは略三角形状に形成されている。樹脂プレート部28は貫通孔26bを埋めた状態で貫通孔26bの周囲のプレート部26と接合される。樹脂プレート部28は、
図5及び
図6中で貫通孔26bからZ1側に突出した部分の外周にフランジ形状を設け、このフランジ形状をプレート部26の内面26aに積層してもよい。プレート部26は、貫通孔26bの周縁部の内面26aにザグリ状の凹部を設け、この凹部に樹脂プレート部28を積層してもよい。樹脂プレート部28の内面28aはプレート部26の内面26aと面一又は略面一に設定されてもよい。
【0024】
図2に示すように、樹脂プレート部28は、筐体部材20の外面20bにロゴ30を設けるために用いることができる(
図6も参照)。ロゴ30は、文字列、図形若しくは標章、又はこれらの組合せによって電子機器10の製品名やメーカ名等を表示するものである。ロゴ30は、例えば筐体部材20の外面20bの一部を形成する樹脂プレート部28の外面にロゴ30の形状に応じた溝を設け、この溝に金属製等のインレットロゴ(インレットマーク)を取り付けた構成とすることができる。ロゴ30の構成はインレットロゴ以外であってもよい。ロゴ30は、例えば樹脂プレート部28の表面に刻印やプリントによって形成されてもよい。
【0025】
なお、
図1~
図3に示すように、筐体部材20は、縁部20cの略中央に外側(Y1方向)に突出した突出部31を備える。突出部31は縁部20cの一部のみをY1側に拡大したものである。突出部31は、ディスプレイパネル18のY1側の端面18cと縁部20cを形成する立壁23との間の隙間G(
図6参照)を全体としてY方向に幅狭に形成しつつ、カメラモジュール32の設置スペースのみを拡大するものである。
図3中の参照符号31aは突出部31を貫通する矩形状の繰り抜き孔である。繰り抜き孔31aはカメラモジュール32の設置スペースをZ方向にも拡大するものである。繰り抜き孔31aは、Z1側はベゼル部材22で覆われ、Z2側は外面20bに固定される蓋部材31bで閉じられる。
【0026】
図3及び
図4Aに示すように、樹脂プレート部28の内面28aには、小径の孔部33と、凹部34とが形成されている。
【0027】
孔部33は、内面28a側に設けられ、ロゴ30の一部を点灯させるLEDライトの光を透過させる光透過窓33aが嵌め込まれる。孔部33及び光透過窓33aは複数位置に設けられてもよいし、或いはより広範囲に設けられてもよい。孔部33及び光透過窓33aは省略されてもよい。
【0028】
凹部34は、例えば円形の凹みであり、筐体部材20の内面20aに形成されている。より具体的には、凹部34は筐体部材20の内面20aの一部を形成する樹脂プレート部28の内面28aに形成されている。凹部34は後述するセンサ38が挿入される。凹部34は、センサ38が内面20a(28a)に押圧されることを回避するための逃げ部である(
図5及び
図6も参照)。
【0029】
図4Bは、
図4Aに示す筐体部材20の内面20aにフレキシブル基板36を設けた構成での平面図である。
図5は、
図4A中のV-V線に沿う模式的な断面図である。
図5は、凹部34にセンサ38を配置する動作を示している。
図6は、筐体11,12間を0度姿勢に閉じた状態でのY1側端部及びその周辺部での模式的な側面断面図である。
【0030】
図6に示す0度姿勢は、筐体11,12間を閉じ、互いの面方向が平行した状態で積層される収納姿勢である。0度姿勢ではディスプレイパネル18の表示面18aがキーボード16やタッチパッド17と対面する。筐体11,12間は、0度姿勢から互いの面方向が直交する90度姿勢を越えて、互いの面方向が平行して面方向に並んで隣接する180度姿勢まで回動可能である。筐体11,12間の最大回動角度は180度未満でもよい。
【0031】
図4B~
図6に示すように、第1筐体11は、フレキシブル基板36と、フレキシブル基板36に実装されたセンサ38とを搭載している。
【0032】
フレキシブル基板36は、例えば可撓性を持った絶縁性フィルムを用い、薄く且つ柔軟に形成したフレキシブルプリント基板(FPC:Flexible printed circuit)である。フレキシブル基板36は、樹脂プレート部28の内面28aを含む筐体部材20の内面20aに沿って配策される。フレキシブル基板36は、一端部のZ2側面(一面36a)にセンサ38が実装されている。一面36aにはロゴ30の光透過窓33aを照射するLEDライトも実装されている。フレキシブル基板36の他端部は、内面20aをY2方向に延在して第2筐体12内へと引き込まれ、第2筐体12内のマザーボード等に接続される。
【0033】
センサ38は、筐体11,12の開閉状態を検出するリッドセンサである。センサ38は、例えばホールセンサである。センサ38は、第2筐体12に搭載された磁石40の磁力40aを検出するものである(
図6参照)。センサ38は、フレキシブル基板36の一面36aに実装され、一面36aから盛り上がるように突出している。センサ38は、ディスプレイパネル18の表示面18aとは反対側の裏面18bと、筐体部材20の内面20aとの間に配置される。つまりフレキシブル基板36は、少なくともセンサ38を実装した部分が裏面18bと内面20aとの隙間に差し込まれた位置にある。
【0034】
センサ38は凹部34に挿入される。つまり凹部34はセンサ38を挿入可能な外径と深さを有する。本実施形態では、センサ38の高さは例えば0.8mm程度であり、凹部34の深さは例えば1.5mm程度としている。フレキシブル基板36は、センサ38が凹部34に挿入された状態で、一面36aにおけるセンサ38の周縁部が内面28aに当接して支持される。センサ38は凹部34に完全に挿入されている必要はなく、一部のみが挿入されていてもよい。但し、この場合にも凹部34はセンサ38の全高を挿入可能な深さを有していることが好ましい。
【0035】
図6に示すように、磁石40は第2筐体12に搭載されている。磁石40は、筐体11,12間を0度姿勢に閉じた際、センサ38とZ方向にオーバーラップする位置に配置される(
図1も参照)。磁石40は第2筐体12の上面12aに可能な限り近い位置に配置されることが好ましい。これによりセンサ38は、筐体11,12間が0度姿勢に近い所定角度、例えば10度姿勢で磁石40が発する磁力40aを円滑に検出することができる。
【0036】
電子機器10は、第1筐体11を0度方向に閉じる動作(クローズ動作)時は、例えば筐体11,12間が10度以下の角度となった際にセンサ38が磁力40aを検出し、所定の信号を送信する。そこで電子機器10は、例えばマザーボードに実装されたCPUがセンサ38の信号を受信してディスプレイパネル18を消灯制御する。電子機器10は、第1筐体11を0度から180度方向に開く動作(オープン動作)時は、例えば筐体11,12間が10度を超えた角度となった際にセンサ38が磁力40aを検出できなくなる。そこで電子機器10は、例えばCPUの制御下にディスプレイパネル18を点灯制御する。
【0037】
このように、センサ38は第2筐体12の上面12a及びディスプレイパネル18を透過した磁力40aを検出する。このため、第2筐体12の上面12aを形成するカバー部材12bは、全体又は少なくとも磁石40の直上の一部が非磁性材料で形成されている。また、ディスプレイパネル18は、裏面18b及び四周端面を補強するバックプレート18dも含め、センサ38のZ2方向には磁性材料が使用されない構成とされている。バックプレート18dの材質は、例えばアルミニウムである。なお、フレキシブル基板36もセンサ38のZ2方向は非磁性材料で構成されている。
【0038】
この場合、本実施形態の電子機器10は、第2筐体12に搭載された磁石40と、ディスプレイパネル18を有する第1筐体11に搭載され、磁石40の磁力40aを検出するセンサ38とを備える。センサ38は、ディスプレイパネル18の裏面18bと筐体部材20の内面20aとの間に配置され、ディスプレイパネル18を透過した磁力40aを検出可能である。
【0039】
このように、電子機器10は筐体11,12の開閉状態を検出するリッドセンサとなるセンサ38がディスプレイパネル18の裏面18b側に配置される。つまりセンサ38がディスプレイパネル18とZ方向にオーバーラップする。このため電子機器10は、ディスプレイパネル18の外周端面の側部、具体的にはY1側の端面18cとこれと対向する立壁23との間の隙間Gや、他の端面と立壁23との間にセンサ38を配置するスペースを確保する必要がない。その結果、電子機器10は隙間G等を覆うベゼル部材22の幅寸法を抑制でき、外観品質を向上することができる。
【0040】
ところで、ディスプレイパネル18は、表示面18aに対するタッチ操作を受けた場合や電子機器10の落下等による衝撃を受けた際、Z2側に撓んだり移動したりする場合がある。そうすると第1筐体11は、裏面18bと内面20aと隙間が潰され、ここに配置されたセンサ38が裏面18bからの圧力を受ける可能性がある。このような場合、センサ38及びディスプレイパネル18の一方又は両方が破損する懸念がある。なお、このような問題の回避のためには、センサ38と裏面18bとの間隔を拡大する方法が考えられる。ところが、この方法では、第1筐体11の厚みが増大し、結果として電子機器10の外観品質を損なう。また、センサ38と磁石40との距離も拡大するため、センサ38が磁力40aを円滑に検出することができなくなる懸念もある。
【0041】
そこで、本実施形態の電子機器10は筐体部材20の内面20aにセンサ38が挿入される凹部34を設けている。これにより電子機器10は、ディスプレイパネル18が内面20a側への撓み等を生じた場合であっても、裏面18bからセンサ38が圧力を受けることを抑制できる。つまり凹部34はセンサ38の逃げ部として機能する。その結果、電子機器10は、センサ38をディスプレイパネル18の裏面18b側に配置してベゼル幅を狭小化しつつ、センサ38及びディスプレイパネル18の破損の問題も抑制することができる。
【0042】
特にセンサ38は、第1筐体11を100度前後に開いた電子機器10の通常使用時に、ユーザが第1筐体11の角度を調整した際の誤検出を防止する必要がある。すなわちセンサ38が第2筐体12に近い位置、つまりヒンジ14に近い位置に配置されていると、第1筐体11が僅かに回動しただけで磁力40aを検出し、ディスプレイパネル18が消灯される懸念がある。そこで、例えば特許文献1の従来構成では、ディスプレイパネルの上部端面の上方にセンサを配置している。ところが、このセンサの位置は、本実施形態の
図6に示す隙間Gに相当する。このため従来構成では、センサの設置スペースを確保するために隙間GをY方向に拡大する必要がある。その結果、ベゼル幅が拡大し、外観品質を損なう可能性があった。この点、電子機器10は、センサ38を縁部20cに近い位置に配置しつつ、ディスプレイパネル18の裏面18b側に配置している。このため電子機器10は上記のような誤検出の問題と外観品質低下の問題を同時に解消可能となっている。なお、仮にセンサ38が第2筐体12に搭載され、磁石40を第1筐体11に搭載した場合は、センサ38がユーザの腕時計等の磁性体に反応するといった誤検出の問題もある。
【0043】
本実施形態の筐体部材20は、プレート部26と、樹脂で形成され、プレート部26に接合された樹脂プレート部28とを有する。凹部34は樹脂プレート部28の内面28aに形成されている。すなわち筐体部材20は全体として薄い一枚板で形成されるため、センサ38の高さ分の深さを有する凹部34を形成すると、筐体部材20全体が厚肉化し、重量も増加する。そこで、本実施形態では、樹脂プレート部28に凹部34を設けている。これにより凹部34の形成のためにある程度の厚みを必要とする樹脂プレート部28を筐体部材20の一部のみに限定することができる。その結果、筐体部材20は、その全体の厚肉化を回避しつつ、必要十分な深さの凹部34を容易に形成できる。特にプレート部26が炭素繊維強化樹脂製の場合、その形状加工が一層難しく、凹部34を所望の形状に加工することが難しい。このため、樹脂プレート部28は炭素繊維強化樹脂製のプレート部26を用いた構成において特に有効であるとも言える。例えば筐体部材20全体が樹脂製の場合等では、一部のみの厚肉化や凹部34の形状加工が比較的容易であるため、樹脂プレート部28は省略されてもよい。
【0044】
プレート部26は一部に貫通孔26bを有し、樹脂プレート部28は貫通孔26bを埋めた状態でプレート部26に接合し、樹脂プレート部28の外面にはロゴ30を設けた構成としてもよい。そうすると、プレート部26の一部に設けた樹脂プレート部28をロゴ30及び凹部34の形成部材として兼用できる。その結果、筐体部材20の部品コストや製造コストが抑制される。特に本実施形態のロゴ30は一部に光透過窓33aを有する。そして、この光透過窓33aを照射するLEDライトもセンサ38と近い位置でフレキシブル基板36に実装できるため、フレキシブル基板36の部品コストも抑制できる。
【0045】
センサ38は筐体部材20の内面20A側を臨むフレキシブル基板36の一面36aに実装されている。この際、
図6に示すように、フレキシブル基板36は一面36aにおけるセンサ38の周縁部が筐体部材20の内面20(28a)で支持されている。このため、電子機器10は、例えばフレキシブル基板36が裏面18bによって強く押圧された場合であっても、フレキシブル基板36が内面20(28a)で支持され、反対側の一面36aに設けたセンサ38が凹部34内で確実に保護される。このため、センサ38及びディスプレイパネル18の破損が一層抑制される。
【0046】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0047】
10 電子機器
11 第1筐体
12 第2筐体
14 ヒンジ
18 ディスプレイパネル
20 筐体部材
26 プレート部
26b 貫通孔
27 フレーム部
28 樹脂プレート部
30 ロゴ
34 凹部
36 フレキシブル基板
38 センサ
40 磁石
【手続補正書】
【提出日】2024-08-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラムシェル型の電子機器であって、
表示面を有するディスプレイパネルを搭載し、前記ディスプレイパネルの前記表示面とは反対側の裏面を筐体部材の内面側で支持した第1筐体と、
前記第1筐体に対してヒンジを用いて相対的に回動可能に連結された第2筐体と、
前記第2筐体に搭載された磁石と、
前記第1筐体に搭載され、少なくとも前記第1筐体と前記第2筐体とが閉じられた姿勢において前記磁石の磁力を検出するセンサと、
を備え、
前記センサは、前記ディスプレイパネルの裏面と前記筐体部材の内面との間に配置され、
少なくとも前記閉じられた姿勢において前記磁石と前記センサとを結ぶ直線上に磁性材料が配置されないことで、前記センサは、前記ディスプレイパネルを透過した前記磁力を検出可能であり、
前記筐体部材の内面には、前記センサが挿入される凹部が設けられ、
前記凹部の深さは、前記センサの高さよりも大きい
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
クラムシェル型の電子機器であって、
表示面を有するディスプレイパネルを搭載し、前記ディスプレイパネルの前記表示面とは反対側の裏面を筐体部材の内面側で支持した第1筐体と、
前記第1筐体に対してヒンジを用いて相対的に回動可能に連結された第2筐体と、
前記第2筐体に搭載された磁石と、
前記第1筐体に搭載され、少なくとも前記第1筐体と前記第2筐体とが閉じられた姿勢において前記磁石の磁力を検出するセンサと、
を備え、
前記センサは、前記ディスプレイパネルの裏面と前記筐体部材の内面との間に配置され、
少なくとも前記閉じられた姿勢において前記磁石と前記センサとを結ぶ直線上に磁性材料が配置されないことで、前記センサは、前記ディスプレイパネルを透過した前記磁力を検出可能であり、
前記筐体部材の内面には、前記センサが挿入される凹部が設けられ、
前記筐体部材は、
プレート部と、
前記プレート部に接合された樹脂プレート部と、
を有し、
前記凹部は、前記樹脂プレート部の内面に形成されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器であって、
前記プレート部は、炭素繊維強化樹脂で形成されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の電子機器であって、
前記プレート部は、一部に貫通孔を有し、
前記樹脂プレート部は、前記貫通孔を埋めた状態で前記プレート部に接合されると共に、該樹脂プレート部の外面にはロゴが設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の電子機器であって、
さらに、前記ディスプレイパネルの裏面と前記筐体部材の内面との間に配置され、前記筐体部材の内面側を臨む一面に前記センサを実装したフレキシブル基板を備え、
前記フレキシブル基板は、前記一面における前記センサの周縁部が、前記筐体部材の内面で支持されている
ことを特徴とする電子機器。