(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169954
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】温水洗浄便座装置
(51)【国際特許分類】
E03D 9/08 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
E03D9/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086830
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】508191514
【氏名又は名称】カゴメディア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087479
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 好人
(72)【発明者】
【氏名】名雲 康晃
【テーマコード(参考)】
2D038
【Fターム(参考)】
2D038AA00
2D038JA05
2D038JH17
(57)【要約】
【課題】便器の日常の使用により汚れる部分を洗浄することができる温水洗浄便座装置を提供する。
【解決手段】便器の上に設置され、ノズルに形成された噴出孔から洗浄水を噴出させて局部洗浄を行う温水洗浄便座装置であって、ノズルを回転させる回転機構を更に有し、回転機構によりノズルを第1の方向に回転させて噴出孔の向きを変更し、噴出孔から洗浄水を噴出させることにより、便器の内壁の第1の部分を洗浄する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器の上に設置され、ノズルに形成された噴出孔から洗浄水を噴出させて局部洗浄を行う温水洗浄便座装置であって、
前記ノズルを回転させる回転機構を更に有し、
前記回転機構により前記ノズルを第1の方向に回転させて前記噴出孔の向きを変更し、前記噴出孔から洗浄水を噴出させることにより、前記便器の内壁の第1の部分を洗浄する
ことを特徴とする温水洗浄便座装置。
【請求項2】
請求項1記載の温水洗浄便座装置において、
前記回転機構により前記ノズルを前記第1の方向とは異なる第2の方向に回転させて前記噴出孔の向きを変更し、前記噴出孔から洗浄水を噴出させることにより、前記便器の内壁の前記第1の部分とは異なる第2の部分を洗浄する
ことを特徴とする温水洗浄便座装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は温水洗浄便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、便器の洗浄を行うトイレ装置として、便器を洗浄する便器洗浄部と、便座への使用者の着座を検知する着座検知部とを備え、着座検知部が使用者の離座を検知した後、便蓋を閉状態にする閉動作を行った後、便器洗浄部により便器を洗浄するトイレ装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、従来、便座の洗浄を行うトイレ装置として、便座部分を、軸を中心に回転させ、汚れている便座表面をシャワートイレのシャワーから噴出される水で洗浄できるようにしたトイレ装置が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-177894号公報
【特許文献2】特開2007-332749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、引用文献1のトイレ装置は、便器洗浄のための大掛かりな装置を必要とするという問題があった。また、引用文献2のトイレ装置は、日常の使用により汚れる部分を洗浄することができないという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、便器の日常の使用により汚れる部分を洗浄することができる温水洗浄便座装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による温水洗浄便座装置は、便器の上に設置され、ノズルに形成された噴出孔から洗浄水を噴出させて局部洗浄を行う温水洗浄便座装置であって、前記ノズルを回転させる回転機構を更に有し、前記回転機構により前記ノズルを第1の方向に回転させて前記噴出孔の向きを変更し、前記噴出孔から洗浄水を噴出させることにより、前記便器の内壁の第1の部分を洗浄することを特徴とする。
【0008】
上述した温水洗浄便座装置において、前記回転機構により前記ノズルを前記第1の方向とは異なる第2の方向に回転させて前記噴出孔の向きを変更し、前記噴出孔から洗浄水を噴出させることにより、前記便器の内壁の前記第1の部分とは異なる第2の部分を洗浄することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上の通り、本発明によれば、便器の上に設置され、ノズルに形成された噴出孔から洗浄水を噴出させて局部洗浄を行う温水洗浄便座装置であって、ノズルを回転させる回転機構を更に有し、回転機構によりノズルを第1の方向に回転させて噴出孔の向きを変更し、噴出孔から洗浄水を噴出させることにより、便器の内壁の第1の部分を洗浄するようにしたので、便器の日常の使用により汚れる部分を洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は本発明の一実施形態による温水洗浄便座装置を示す図である。
【
図2】
図2は本発明の一実施形態による温水洗浄便座装置の局部洗浄時の動作のフローチャートである。
【
図3】
図3は本発明の一実施形態による温水洗浄便座装置の局部洗浄時の動作を説明する図である。
【
図4】
図4は本発明の一実施形態による温水洗浄便座装置の便器洗浄時の動作のフローチャートである。
【
図5】
図5は本発明の一実施形態による温水洗浄便座装置の便器洗浄時の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[一実施形態]
本発明の一実施形態による温水洗浄便座装置について
図1乃至
図5を用いて説明する。
図1は本実施形態の温水洗浄便座装置を示す図であり、
図2及び
図3は本実施形態の温水洗浄便座装置の局部洗浄時の動作を説明するための図であり、
図4及び
図5は本実施形態の温水洗浄便座装置の便器洗浄時の動作を説明するための図である。
【0012】
(温水洗浄便座装置の構造)
本実施形態の温水洗浄便座装置10は、
図1に示すように、便器1の上面に取り付けられた便座装置本体12と、便座装置本体12に対して開閉可能に支持された便座14と、便座装置本体12に対して開閉可能に支持された便蓋16と、使用者による各種操作が可能な操作パネル18を有している。
【0013】
本実施形態の便座装置本体12には、洗浄水を人体局部に噴出するためのノズル30が設けられている。ノズル30の先端側の一面には複数の噴出孔30aが形成されている。これにより、洗浄水はノズル30先端に形成された噴出孔30aから所定の方向に噴出される。
【0014】
また、本実施形態のノズル30は、洗浄水が供給されるとその水圧により伸長し、洗浄水の供給が停止されると収縮する水圧伸縮式のノズルとして構成されている。更に、図示していないが、ノズル30自体を右方向又は左方向に回転させるノズル回転機構が更に設けられている。これにより、ノズル30から噴出する洗浄水の方向を自在に変更することができる。
【0015】
また、図示していないが、洗浄水の流量を検出する流量センサ、洗浄水の勢いを調整する水勢調整部、洗浄水を加熱する熱交換ユニット、加熱後の洗浄水の温度を検出する水温センサ等が設けられている。これにより、ノズル30から適温の洗浄水を適切な勢いで噴出させることができる。
【0016】
また、本実施形態の温水洗浄便座装置10には、装置全体を制御する制御装置(図示せず)が設けられている。
【0017】
(局部洗浄時の動作)
本実施形態の温水洗浄便座装置の局部洗浄時の動作について
図2及び
図3を用いて説明する。なお、局部洗浄時には使用者が便座14に着座しているが、
図3は説明の便宜のため便座14を上げた状態でのノズル30近辺の便器1の状態を示している。
【0018】
使用者が便座14に着座して用便が終了し、操作パネル18のおしり洗浄開始スイッチ(図示せず)を操作すると局部洗浄動作が開始する。
【0019】
まず、
図2に示すように、水圧によりノズル30が伸長する(ステップS10)。ノズル30が予め定められた長さまで伸長すると、洗浄水が供給され、ノズル30先端に形成された噴出孔30aから所定の方向に洗浄水がシャワー噴射される(ステップS11)。ノズル30先端の噴出孔30aは上方を向いているので、洗浄水が着座している使用者の局部に当たり局部が洗浄される。
【0020】
局部洗浄が終了して、使用者が操作パネル18のおしり洗浄終了スイッチ(図示せず)を操作すると、噴出孔30aから洗浄水のシャワー噴射が停止され、水圧減圧によりノズル30が収縮して当初の位置に収納される(ステップS12)。
【0021】
これにより、一連の温水洗浄便座装置の局部洗浄動作が終了する。
【0022】
(便器洗浄時の動作)
本実施形態の温水洗浄便座装置の便器洗浄時の動作について
図4及び
図5を用いて説明する。なお、通常は便座14を下ろした状態で便器洗浄するが、
図5は説明の便宜のため便座14を上げた状態でのノズル30近辺の便器1の状態を示している。
【0023】
便器洗浄は、使用者が温水洗浄便座装置を使用していないときに行う。例えば、使用者が操作パネル18の便器洗浄スイッチ(図示せず)を操作したときに行ったり、また、使用者が温水洗浄便座装置を使用した直後、使用者が温水洗浄便座装置を使用して一定時間の経過後、1時間毎などの所定の時間間隔ごと等に自動的に行ったりする。
【0024】
まず、
図4に示すように、水圧によりノズル30が伸長する(ステップS20)。ノズル30が予め定められた長さまで伸長すると、ノズル30を、右方向に例えば90度回転させる(ステップS21)。これにより、回転後のノズル30先端の噴出孔30a′は右方向を向くことになる。この状態で、洗浄水が供給されると、ノズル30先端に形成された噴出孔30a′から右方向に洗浄水がシャワー噴射される(ステップS22)。これにより、便器1の右側内壁上部1aがシャワー噴射された洗浄水により洗浄される。この洗浄は予め定められた所定時間行われた後に停止される。
【0025】
なお、ステップS21でのノズル30の回転角度の90度はあくまで例示であって、ノズル30の形状や、噴出孔30aの位置、洗浄水の噴射の強さ等に基づいて、噴射された洗浄水が適切な強度で、便器1の右側内壁上部1aの洗浄予定部分に当たるようになるように決定する。
【0026】
便器1の右側内壁上部1aの洗浄が終了すると、ノズル30を、左方向に例えば180度回転させる(ステップS23)。これにより、ノズル30先端の噴出孔30a″は左方向を向くことになる。この状態で、洗浄水が供給されると、ノズル30先端に形成された噴出孔30a′から左方向に洗浄水がシャワー噴射される(ステップS24)。これにより、便器1の左側内壁上部1bがシャワー噴射された洗浄水により洗浄される。この洗浄は予め定められた所定時間行われた後に停止される。
【0027】
なお、ステップS23でのノズル30の回転角度の180度はあくまで例示であって、ノズル30の形状や、噴出孔30aの位置、洗浄水の噴射の強さ等に基づいて、噴射された洗浄水が適切な強度で、便器1の左側内壁上部1bの洗浄予定部分に当たるようになるように決定する。
【0028】
便器1の左側内壁上部1bの洗浄が終了すると、ノズル30を、右方向に例えば90度回転させる(ステップS25)。これにより、ノズル30先端の噴出孔30aは当初の上方向を向くことになる。
【0029】
左右の便器洗浄が終了すると、水圧を減圧させてノズル30が収縮して当初の位置に収納される(ステップS26)。
【0030】
これにより、一連の温水洗浄便座装置の便器洗浄動作が終了する。
【0031】
なお、便器1の汚れの状態によっては、ステップS21からステップS25を複数回繰り返してもよい。
【0032】
また、便座14を上げた状態で便器洗浄してもよい。ノズル30先端の噴出孔30aは上方を向いているときには洗浄水を噴射しないようにしているので、便座14を上げた状態でも周囲に洗浄水が飛び散ることがない。
【0033】
以上の通り、本実施形態によれば、簡便な機構を追加するだけで、局部洗浄を行うノズルを用いて便器の洗浄をも行うことができる。しかも、便器の内壁上部は汚れやすく、かつ、洗浄ブラシ等を用いても洗浄することが困難な部分であり、この部分を定期的に頻繁に洗浄して便器の清潔を維持することができる。
【0034】
[変形実施形態]
上記実施形態に限らず、種々の変形が可能である。
上述した実施形態はあくまで例示であって、本発明の範囲内で種々の変形が可能である。
【0035】
なお、上記実施形態における表記、表現、態様等は、一例であり、これに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0036】
1…便器
1a…右側内壁上部
1b…左側内壁上部
10…温水洗浄便座装置
12…便座装置本体
14…便座
16…便蓋
18…操作パネル
30…ノズル
30a、30a′、30a″…噴出孔