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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169958
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】冷却システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/20 20060101AFI20241129BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
G06F1/20 C
G06F1/20 B
G06F1/20 D
H05K7/20 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086837
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】原 伸英
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322AB10
5E322DA01
5E322DB04
5E322DB06
5E322FA01
(57)【要約】
【課題】冷却効率を向上させることができる冷却システムを提供する。
【解決手段】冷却システムは、発熱体を冷却する複数の冷却装置、冷却装置に冷媒を分配する入口側ヘッダ、及び、各冷却装置から冷媒が排出される出口側ヘッダを有する冷却ユニットと、出口側ヘッダと入口側ヘッダとを接続する自然循環ライン、及び、自然循環ラインの中途であって冷却ユニットの上方に設置された第1熱交換器を有する自然循環部と、出口側ヘッダと入口側ヘッダとを接続する強制循環ライン、強制循環ラインの中途に設けられて第1熱交換器よりも容量が大きい第2熱交換器、及び、強制循環ラインに設けられて、出口側ヘッダから入口側ヘッダに向かって冷媒を圧送するポンプを有する強制循環部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体を冷却する複数の冷却装置、前記冷却装置に冷媒を分配する入口側ヘッダ、及び、各前記冷却装置から前記冷媒が排出される出口側ヘッダを有する冷却ユニットと、
前記出口側ヘッダと前記入口側ヘッダとを接続する自然循環ライン、及び、前記自然循環ラインの中途であって前記冷却ユニットの上方に設置された第1熱交換器を有する自然循環部と、
前記出口側ヘッダと前記入口側ヘッダとを接続する強制循環ライン、前記強制循環ラインの中途に設けられて前記第1熱交換器よりも容量が大きい第2熱交換器、及び、前記強制循環ラインに設けられて、前記出口側ヘッダから前記入口側ヘッダに向かって前記冷媒を圧送するポンプを有する強制循環部と、
を備える冷却システム。
【請求項2】
前記冷媒の流通系統を、前記自然循環ライン及び前記強制循環ラインの少なくとも一方となるように切り替える切替部を備える請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記第2熱交換器は、前記冷却ユニットに対して下方に配置されている請求項1又は2に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記自然循環ラインは、前記複数の冷却装置よりも上方に配置され、前記第1熱交換器で熱交換を行った前記冷媒を前記入口側ヘッダに導入する導入ラインを有し、
前記ポンプは、前記複数の冷却装置よりも下方に配置されている請求項1又は2に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記第1熱交換器の上方に配置され、下方の空気を上方に排出する排気流路を内部に有した上下方向に延びるダクトをさらに備える請求項1又は2に記載の冷却システム。
【請求項6】
前記第1熱交換器は、
前記出口側ヘッダから前記冷媒が供給される供給部と、
前記入口側ヘッダに向けて前記冷媒を排出する排出部と、
を有し、
前記供給部が前記排出部よりも上方に位置するように、前記第1熱交換器が設置されている請求項1又は2に記載の冷却システム。
【請求項7】
発熱体を冷却する複数の冷却装置、前記冷却装置に冷媒を分配する入口側ヘッダ、及び、各前記冷却装置から前記冷媒が排出される出口側ヘッダを有する冷却ユニットと、
前記出口側ヘッダと前記入口側ヘッダとを接続する自然循環ライン、及び、前記自然循環ラインの中途であって前記冷却ユニットの上方に設置された第1熱交換器を有する自然循環部と、
前記自然循環ラインの前記第1熱交換器よりも下流側と前記入口側ヘッダとを接続する強制循環ライン、及び、前記強制循環ラインに設けられて、前記出口側ヘッダから前記入口側ヘッダに向かって前記冷媒を圧送するポンプを有する強制循環部と、
を備え、
前記自然循環ラインは、前記複数の冷却装置よりも上方に配置され、前記第1熱交換器で熱交換を行った前記冷媒を前記入口側ヘッダに導入する導入ラインを有し、
前記ポンプは、前記複数の冷却装置よりも下方に配置されている冷却システム。
【請求項8】
前記第1熱交換器の上方に配置され、下方の空気を上方に排出する排気流路を内部に有した上下方向に延びるダクトをさらに備える請求項7に記載の冷却システム。
【請求項9】
複数の前記冷却ユニットと、
前記冷却ユニットごとに設けられた複数の前記自然循環部、及び複数の前記強制循環部と、
を備え、
前記ダクトは、
複数の前記第1熱交換器の各々に対して上方に配置され、下方から内部に空気を導入するダクト導入部と、
複数の前記ダクト導入部の上端部同士を接続し、各前記ダクト導入部から導入された空気を合流させるダクトヘッダ部と、
前記ダクトヘッダ部から上方に延び、前記ダクトヘッダ部によって合流された空気を上方に向けて排出するダクト排出部と、
を有する請求項8に記載の冷却システム。
【請求項10】
発熱体を冷却する複数の冷却装置、前記冷却装置に冷媒を分配する入口側ヘッダ、及び、各前記冷却装置から前記冷媒が排出される出口側ヘッダを有する冷却ユニットと、
前記出口側ヘッダと前記入口側ヘッダとを接続する自然循環ライン、及び、前記自然循環ラインの中途であって前記冷却ユニットの上方に設置された第1熱交換器を有する自然循環部と、
前記第1熱交換器の上方に配置され、下方の空気を上方に排出する排気流路を内部に有した上下方向に延びるダクトと、
を備える冷却システム。
【請求項11】
前記第1熱交換器は、
前記出口側ヘッダから前記冷媒が供給される供給部と、
前記入口側ヘッダに向けて前記冷媒を排出する排出部と、
を有し、
前記供給部が前記排出部よりも上方に位置するように、前記第1熱交換器が設置されている請求項10に記載の冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばサーバルーム等に配置されたコンピュータやサーバ等の電子機器は、稼動に伴って発熱する。このような発熱体を冷却するため、例えば特許文献1に示すような冷却システムが考案されている。特許文献1の冷却システムは、蒸発器と凝縮器との間に冷媒の自然循環機構と強制循環機構との二つの循環機構を有している。これら二つの循環機構は、切り替え可能とされている。自然循環機構は、発熱体の発熱を利用して冷媒を自然循環させる。これに対し、強制循環機構は、ポンプによって冷媒を強制循環させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-190553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の冷却システムでは、自然循環機構と強制循環機構とで共通の一の凝縮器を用いて発熱体と熱交換を行った後の冷媒を冷却する。このため、凝縮器の冷却能力が発熱量に対して不十分な場合には、自然循環機構から強制循環機構に切り替えたとしても、発熱体の冷却効率が低下することがあった。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、冷却効率を向上させることができる冷却システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る冷却システムは、発熱体を冷却する複数の冷却装置、前記冷却装置に冷媒を分配する入口側ヘッダ、及び、各前記冷却装置から前記冷媒が排出される出口側ヘッダを有する冷却ユニットと、前記出口側ヘッダと前記入口側ヘッダとを接続する自然循環ライン、及び、前記自然循環ラインの中途であって前記冷却ユニットの上方に設置された第1熱交換器を有する自然循環部と、前記出口側ヘッダと前記入口側ヘッダとを接続する強制循環ライン、前記強制循環ラインの中途に設けられて前記第1熱交換器よりも容量が大きい第2熱交換器、及び、前記強制循環ラインに設けられて、前記出口側ヘッダから前記入口側ヘッダに向かって前記冷媒を圧送するポンプを有する強制循環部と、を備える。
【0007】
本開示に係る冷却システムは、発熱体を冷却する複数の冷却装置、前記冷却装置に冷媒を分配する入口側ヘッダ、及び、各前記冷却装置から前記冷媒が排出される出口側ヘッダを有する冷却ユニットと、前記出口側ヘッダと前記入口側ヘッダとを接続する自然循環ライン、及び、前記自然循環ラインの中途であって前記冷却ユニットの上方に設置された第1熱交換器を有する自然循環部と、前記自然循環ラインの前記第1熱交換器よりも下流側と前記入口側ヘッダとを接続する強制循環ライン、及び、前記強制循環ラインに設けられて、前記出口側ヘッダから前記入口側ヘッダに向かって前記冷媒を圧送するポンプを有する強制循環部と、を備え、前記自然循環ラインは、前記複数の冷却装置よりも上方に配置され、前記第1熱交換器で熱交換を行った前記冷媒を前記入口側ヘッダに導入する導入ラインを有し、前記ポンプは、前記複数の冷却装置よりも下方に配置されている。
【0008】
本開示に係る冷却システムは、発熱体を冷却する複数の冷却装置、前記冷却装置に冷媒を分配する入口側ヘッダ、及び、各前記冷却装置から前記冷媒が排出される出口側ヘッダを有する冷却ユニットと、前記出口側ヘッダと前記入口側ヘッダとを接続する自然循環ライン、及び、前記自然循環ラインの中途であって前記冷却ユニットの上方に設置された第1熱交換器を有する自然循環部と、前記第1熱交換器の上方に配置され、下方の空気を上方に排出する排気流路を内部に有した上下方向に延びるダクトと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の冷却システムによれば、冷却効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の第1実施形態に係る冷却システムの概略図である。
図2】本開示の第1実施形態に係る冷却システムの全体構成を示す系統図である。
図3】本開示の第1実施形態に係る第1熱交換器の斜視図である。
図4】本開示の第1実施形態に係る制御ユニットの機能ブロック図である。
図5】本開示の第1実施形態に係る冷媒の流通系統が自然循環ラインに切り替えられた状態を示す図である。
図6】本開示の第1実施形態に係る冷媒の流通系統の切替手順を示すフローチャートである。
図7】本開示の第1実施形態に係る冷媒の流通系統が強制循環ラインに切り替えられた状態を示す図である。
図8】本開示の第1実施形態の第1変形例に係る冷却システムの全体構成を示す系統図である。
図9】本開示の第1実施形態の第2変形例に係る第1熱交換器の斜視図である。
図10】本開示の第1実施形態の第2変形例に係る第1熱交換器を上方から見た図である。
図11】本開示の第2実施形態に係る冷却システムの全体構成を示す系統図である。
図12】本開示の第2実施形態に係る制御ユニットの機能ブロック図である。
図13】本開示の第2実施形態に係る冷媒の流通系統の切替手順を示すフローチャートである。
図14】本開示の第2実施形態の第1変形例に係る冷却システムの全体構成を示す系統図である。
図15】本開示の第2実施形態の第2変形例に係る冷却システムの全体構成を示す系統図である。
図16】本開示の第3実施形態に係る冷却システムの全体構成を示す系統図である。
図17】本開示の第3実施形態に係る第1熱交換器の斜視図である。
図18】本開示の実施形態に係るハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
(冷却システムの構成)
以下、本開示の実施形態に係る冷却システム1について、図1から図7を参照して説明する。
図1図2に示すように、冷却システム1は、サーバラック2と、サーバ3と、冷却ユニット10と、自然循環部20と、強制循環部30と、切替部40と、リザーバ部50と、ダクト60と、センサ4と、制御ユニット70と、を備える。
なお、図1図2では、冷却システム1の各構成が模式的に図示されている。また、図1図2では、後述する冷媒Rが流れる配管やサーバラック2等、一部の構成が省略されている。
以下では、鉛直上下方向を単に「上下方向Dv」と称して説明する場合がある。また、上側には「Dvu」の符合を付し、下側には「Dvd」の符合を付す。
【0012】
(サーバラック)
サーバラック2は、上下方向Dvに延びる筐体である。サーバラック2は、例えばデータセンター等に設置されている。サーバラック2は、内部に複数のサーバ3を収容することができる。また、サーバラック2の天板2a上には、他の装置を載置することができる。
【0013】
(サーバ)
サーバ3は、サーバラック2内に上下方向Dvに並んで複数収容されている。
サーバ3は、ケーシング3aと、サーバボード3bと、発熱体3cと、を有する。
ケーシング3aは、水平方向に延在する箱型の筐体である。ケーシング3aは、サーバラック2に水平方向横向きに差し込まれている。ケーシング3aの内部には、サーバボード3bと、発熱体3cとが収容されている。サーバボード3bは、水平方向に延在している。
【0014】
(発熱体)
発熱体3cは、サーバボード3b上に載置された電子部品である。発熱体3cは、例えばサーバボード3bに設置されたCPUやGPU等のチップである。発熱体3cは、サーバボード3b上に水平方向に延在して複数設けられている。なお、図2では、簡略化のために、発熱体3cがサーバボード3bごとに1つずつ設置される場合が図示されている。1つのサーバボード3bに設置される発熱体3cの個数は、適宜変更可能である。これら発熱体3cは、稼動時に発熱する。発熱体3cには、最も効率良く稼動することができる温度域を有する。冷却システム1は、各発熱体3cを、この最も効率良く稼動することができる温度域まで冷却する。
【0015】
(冷却ユニット)
冷却ユニット10は、冷却装置11と、入口側ヘッダ12と、入口側分岐ライン13と、バルブ14と、出口側ヘッダ15と、出口側分岐ライン16と、を有する。
【0016】
(冷却装置)
冷却装置11は、複数設けられている。冷却装置11の個数は、適宜変個可能である。冷却装置11は、複数の発熱体3cの各々に取り付けられている。これら複数の冷却装置11は、取り付けられた発熱体3cを冷却する。冷却装置11には、冷媒Rが供給される。この冷媒Rとして、例えばHFC(Hydro Fluoro Carbon)やHFO(Hydro Fluoro Olefin)系の冷媒等が挙げられる。冷却装置11の内部には、この冷媒Rが流通する流路が形成されている。冷却装置11は、内部を流通する冷媒Rと発熱体3cとで熱交換を行わせることにより発熱体3cを冷却する。本実施形態の冷却装置11は、冷媒Rが内部を流通可能に形成された箱型のコールドプレート11aである。
【0017】
(入口側ヘッダ)
入口側ヘッダ12は、各冷却装置11に冷媒Rを分配する。入口側ヘッダ12は、上下方向Dvに延びている。入口側ヘッダ12には、冷却装置11ごとに複数の入口側分岐ライン13が設けられている。各入口側分岐ライン13は、入口側ヘッダ12と、冷却装置11とを接続している。分岐ラインは、入口側ヘッダ12で分配された冷媒Rを冷却装置11に導く。また、各入口側分岐ライン13には、バルブ14が設けられている。このバルブ14は、例えばニードルバルブであり、入口側分岐ライン13を開閉することができる。
【0018】
(出口側ヘッダ)
出口側ヘッダ15には、各冷却装置11から冷媒Rが排出される。出口側ヘッダ15は、上下方向Dvに延びている。出口側ヘッダ15には、冷却装置11ごとに複数の出口側分岐ライン16が設けられている。各出口側分岐ライン16は、出口側ヘッダ15と、各冷却装置11とを接続している。各冷却装置11で発熱体3cと熱交換を行って加熱された冷媒Rは、出口側分岐ライン16を介して出口側ヘッダ15で合流する。
【0019】
(自然循環部)
自然循環部20は、発熱体3cからの排熱により冷媒Rを加熱して生じる上昇流を利用して、冷媒Rを自然循環させる。自然循環部20は、自然循環ライン21と、第1熱交換器22と、送風ファン23と、逃がしバルブ24と、を有する。自然循環ライン21は、出口側ヘッダ15と入口側ヘッダ12とを接続している。第1熱交換器22は、自然循環ライン21の中途であって冷却ユニット10の上方に設置されている。以下、自然循環部20の各構成について詳細に説明する。
【0020】
(自然循環ライン)
自然循環ライン21は、第1自然循環ライン21aと、第2自然循環ライン21bと、導入ライン21cと、を有する。第1自然循環ライン21aは、出口側ヘッダ15の上端部と、第1熱交換器22とを接続している。第1自然循環ライン21aは、出口側ヘッダ15から第1熱交換器22に冷媒Rを導く。第1熱交換器22では、冷媒Rの熱交換が行われる。第2自然循環ライン21bは、第1熱交換器22から下方に延び、後述する強制循環部30のタンク34に接続されている。
【0021】
(導入ライン)
導入ライン21cは、第2自然循環ライン21bからバイパスしたバイパスラインである。導入ライン21cは、複数の冷却装置11よりも上方に配置されている。第1熱交換器22で熱交換が行われた冷媒Rは、第2自然循環ライン21bを介して導入ライン21cに供給される。導入ライン21cは、第1熱交換器22で熱交換を行った冷媒Rを入口側ヘッダ12に導入する。
【0022】
(第1熱交換器)
第1熱交換器22は、冷却装置11で発熱体3cと熱交換を行った冷媒Rを冷却する。第1熱交換器22の内部には、冷媒Rが流通可能な流路が形成されている。第1熱交換器22の近傍には、送風ファン23が設置されている。送風ファン23は、第1熱交換器22に向けて送風し、第1熱交換器22に空気Aを供給する。第1熱交換器22は、第1熱交換器22周辺の空気Aと冷媒Rとで熱交換を行わせて冷媒Rを冷却する空冷のラジエータ25である。ラジエータ25には、例えば空気Aが通過可能な隙間が形成されている。
【0023】
図3に示すように、第1熱交換器22は、サーバラック2の天板2a上に2台載置されている。各第1熱交換器22は、平板状に形成されている。第1熱交換器22は、出口側ヘッダ15から冷媒Rが供給される供給部25aと、入口側ヘッダ12に向けて冷媒Rを排出する排出部25bと、を有する。供給部25aが排出部25bよりも上方に位置するように、第1熱交換器22が水平面HLに対して傾斜して設置されている。より詳細には、2台の第1熱交換器22は、水平方向から見てV字状に傾斜して配置されている。
【0024】
また、第1熱交換器22には、設計圧力以上の圧力がかからないように第1熱交換器22内部のガスを逃がす逃がしバルブ24が設けられている。
【0025】
(強制循環部)
強制循環部30は、自然循環部20とは別に設けられ、発熱体3cの排熱による冷媒Rの加熱によらずに冷媒Rを循環させる機構である。強制循環部30は、強制循環ライン31と、別置きCDU32(Coolant Distribution Unit)と、チラー装置33と、タンク34と、ポンプ35とを有する。強制循環ライン31は、出口側ヘッダ15と入口側ヘッダ12とを接続している。別置きCDU32は、第2熱交換器36を有し、この第2熱交換器36は、強制循環ライン31の中途に設けられている。また、タンク34やポンプ35は、強制循環ライン31上の第2熱交換器36よりも下流側に設けられている。以下、強制循環部30の各構成について詳細に説明する。
【0026】
(強制循環ライン)
強制循環ライン31は、第1強制循環ライン31aと、第2強制循環ライン31bと、第3強制循環ライン31cと、を有する。第1強制循環ライン31aは、出口側ヘッダ15の下端部と、第2熱交換器36とを接続している。第1強制循環ライン31aは、出口側ヘッダ15から後述する第2熱交換器36に冷媒Rを導く。第2熱交換器36では、冷媒Rの熱交換が行われる。第2強制循環ライン31bは、第2熱交換器36と後述するタンク34とを接続している。第2強制循環ライン31bは、第2熱交換器36で熱交換を行った冷媒Rをタンク34に導く。タンク34内には、冷媒Rが一時的に貯蔵される。第3強制循環ライン31cは、タンク34と入口側ヘッダ12の下端部とを接続している。第3強制循環ライン31cは、タンク34に供給された冷媒Rを入口側ヘッダ12に導く。
【0027】
第3強制循環ライン31cは、ポンプ35が配置される複数のポンプライン37と、複数のポンプライン37が合流する合流ライン38とを有する。本実施形態では、ポンプライン37は、2本設けられている。ポンプライン37は1本のみ設けられていてもよく、3本以上の複数本設けられていてもよい。各ポンプライン37は、タンク34から延び、1本の合流ライン38に接続されている。合流ライン38は、複数のポンプライン37と入口側ヘッダ12の下端部とを接続している。
【0028】
(別置きCDU)
別置きCDU32は、第1熱交換器22とは別に設けられ、発熱体3cと熱交換を行って加熱された冷媒Rを冷却する機構である。別置きCDU32は、内部に第2熱交換器36を有する。
【0029】
(第2熱交換器)
第2熱交換器36は、冷却ユニット10に対して下側Dvdに配置されている。特に、本実施形態では、第2熱交換器36は、冷却ユニット10よりも下方に配置されている。なお、冷却ユニット10に対して下側Dvdとは、冷却ユニット10よりも下方に配置される場合に限られず、冷却ユニット10の下部と上下方向Dvで同程度の高さに配置される場合も含む。
【0030】
第2熱交換器36には、発熱体3cから第1強制循環ライン31aを介して冷媒Rが供給される。第2熱交換器36は、冷媒Rに熱交換を行わせて冷媒Rを冷却する。第2熱交換器36は、第1熱交換器22よりも容量が大きい。本実施形態の第2熱交換器36は、冷媒Rと内部を流れる冷却水Wとに熱交換を行わせて冷媒Rを冷却する、水冷プレート式の熱交換器である。
【0031】
第2熱交換器36は、複数の水冷プレート36aと、各水冷プレート36aの上流側と下流側に設けられた冷媒Rの流れを遮断可能なバルブ36bと、を有する。複数の水冷プレート36aは、並列に接続されている。なお、複数の水冷プレート36aは、直列に接続されていてもよい。これら複数の水冷プレート36aには、第1強制循環ライン31aを介して冷媒Rが供給されるとともに、外部から冷却水Wが供給される。各水冷プレート36aは、冷媒Rと冷却水Wとで熱交換を行わせる。これにより、冷媒Rは冷却され、冷却水Wは冷媒Rの排熱によって加熱される。加熱された冷却水Wは、チラー装置33に送られる。
【0032】
(チラー装置)
チラー装置33は、第2熱交換器36で熱交換を行った冷媒Rを冷却する。チラー装置33で冷却された冷媒Rは、再び第2熱交換器36に供給されて、冷媒Rと熱交換を行う。
【0033】
(ポンプ)
ポンプ35は、出口側ヘッダ15から入口側ヘッダ12に向かって冷媒Rを圧送する。ポンプ35によって圧送された冷媒Rは、入口側ヘッドから各冷却装置11に分配されて、冷却システム1内を循環する。ポンプ35は、各ポンプライン37に1台ずつ配置されている。本実施形態では、1つの冷却ユニット10につき、2台のポンプ35が設置されている。また、これら2台のポンプ35は、複数の冷却装置11よりも下方に配置されている。例えば図示のように、ポンプ35は、サーバラック2内の最も下方の空間に収容されている。本実施形態のポンプ35は、内部の歯車が回転することで冷媒Rを吸い込んで圧送するギヤードポンプである。なお、ポンプ35は、スクリューポンプ等の他の方式のポンプであってもよい。
【0034】
(切替部)
切替部40は、冷媒Rの流通系統6を、自然循環ライン21及び強制循環ライン31の少なくとも一方となるように切り替える機構である。冷媒Rの流通系統6は、冷媒Rの流れる流路を意味する。この流通系統6は、自然循環ライン21と、強制循環ライン31とを含む。すなわち、切替部40は、自然循環ライン21と強制循環ライン31のいずれか一方、または自然循環ライン21と強制循環ライン31の両方に冷媒Rを流通可能に切り替えることができる。
【0035】
切替部40は、第1切替バルブ41と、第2切替バルブ42と、第3切替バルブ43と、第4切替バルブ44と、第5切替バルブ45と、第6切替バルブ46と、を有する。
第1切替バルブ41は、第1自然循環ライン21aに設けられている。第1切替バルブ41は、第1自然循環ライン21aを開閉する。
第2切替バルブ42は、第2自然循環ライン21bの下端部に設けられている。第2切替バルブ42は、タンク34の近傍に位置している。第2切替バルブ42は、第2自然循環ライン21bを開閉する。
第3切替バルブ43は、導入ライン21cに設けられている。第3切替バルブ43は、導入ライン21cを開閉する。
【0036】
第4切替バルブ44は、第1強制循環ライン31aに設けられている。第4切替バルブ44は、第1強制循環ライン31aを開閉する。
第5切替バルブ45は、第2強制循環ライン31b上のタンク34の近傍に設けられている。第5切替バルブ45は、第2強制循環ライン31bを開閉する。
第6切替バルブ46は、ポンプライン37上のポンプ35に対して上流側と下流側に設けられている。第6切替バルブ46は、ポンプライン37を開閉する。
【0037】
(リザーバ部)
リザーバ部50は、冷却システム1内を循環する冷媒Rの熱膨張による体積変化を吸収するために設けられている。リザーバ部50は、リザーバ管51と、リザーババルブ52と、を有する。
リザーバ管51は、上下方向Dvに延びて、第2自然循環ライン21bの上端部と下端部とを接続している。リザーバ管51の上端部と第2自然循環ライン21bとの接続部分は、導入ライン21cよりも上方に位置している。リザーバ管51の下端部と第2自然循環ライン21bとの接続部分は、タンク34よりも上方であって、第2切替バルブ42よりも下方に位置している。リザーババルブ52は、リザーバ管51の上端部と下端部とに設けられている。いずれか一方のリザーババルブ52を操作してリザーバ管51を開放することにより、冷媒Rの一部を回収して冷媒Rの熱膨張による体積変化を吸収することができる。
【0038】
(ダクト)
ダクト60は、第1熱交換器22の上方に配置されている。ダクト60は、上下方向Dvに延びている。ダクト60は、下方の空気Aを上方に排出する排気流路61を内部に有する。排気流路61の下端部には、空気Aが導入される入口開口部61aが設けられている。排気流路61の上端部には、排気流路61を流れた空気Aが排出される出口開口部61bが設けられている。
【0039】
ダクト60は、ダクト導入部62と、ダクト本体63と、ダクト排出部64と、を有する。ダクト導入部62は、下方の空気Aを排気流路61内に導入する。ダクト導入部62は、上下方向Dvに延び、上方に向かうにしたがい縮径したベルマウス状に形成されている。ダクト本体63は、ダクト導入部62の上端部から上方に延びる円筒状に形成されている。ダクト本体63とダクト導入部62とは連通している。ダクト排出部64は、ダクト本体63部の上端部に設けられている。ダクト排出部64は、ダクト本体63部から上方に向かうにしたがい水平方向に湾曲した円筒状に形成されている。ダクト排出部64は、ダクト本体63部と連通している。これらダクト導入部62と、ダクト本体63と、ダクト排出部64とによって、排気流路61が形成されている。ダクト本体63の下端部の開口が排気流路61の入口開口部61aとなる。ダクト排出部64の上端の開口は水平方向に開口している。このダクト排出部64の上端の開口が排気流路61の出口開口部61bとなる。
【0040】
(センサ)
センサ4は、サーバラック2毎の発熱量を取得する。センサ4によって取得されたサーバラック2毎の発熱量の情報は、制御ユニット70に送られる。本実施形態のように冷却システム1がサーバセンターに導入される場合、センサ4には、例えばインテリジェントPDU(Power Distribution Unit)が採用される。このインテリジェントPDUは、サーバラック2毎の電流値を観測することにより各サーバラック2の総発熱量を取得する。
なお、センサ4は、発熱体3cごとに発熱量を取得するものであってもよい。
【0041】
(制御ユニット)
制御ユニット70は、冷却システム1の各構成の動作を制御する。
図4に示すように制御ユニット70は、受信部71と、発熱温度判定部72と、制御部73との各機能部を有する。
受信部71は、センサ4から送信される温度情報等を受信する。
発熱温度判定部72は、受信部71によって受信された温度情報から発熱体3cの発熱温度が閾値以上か否かを判定する。
制御部73は、冷却システム1を構成する各種機器を制御する。また、制御部73は、切替制御部73aと、ポンプ制御部73bと、を有する。
切替制御部73aは、切替部40を制御して、冷媒Rの流通系統6を切り替えさせる。
ポンプ制御部73bは、ポンプ35を制御する。
【0042】
(冷却システムの操作方法の手順)
本実施形態に係る冷却システム1の操作方法の一例について説明する。
予め、図5に示すように、切替制御部73aが、切替部40を制御して冷媒Rの流通系統6を自然循環ライン21に切り替えさせる。
【0043】
図5は、冷媒Rの流通系統6が自然循環ライン21に切り替えられた状態を示している。図5では、切替部40によって開放されたラインは実線で示され、切替部40によって閉塞されたラインは破線で図示されている。
【0044】
この時、切替制御部73aが第1切替バルブ41、第2切替バルブ42、及び第3切替バルブ43を開かせる。これにより、自然循環ライン21が開放され、冷媒Rが自然循環ライン21を流通可能となる。さらに、切替制御部73aが第4切替バルブ44、第5切替バルブ45、及び第6切替バルブ46を閉じさせる。これにより、強制循環ライン31が開放され、冷媒Rが強制循環ライン31を流通不可となる。
【0045】
その後、発熱体3cが稼動すると、発熱体3cが発熱し、冷却装置11で冷媒Rと発熱体3cとの熱交換が開始される。これにより、発熱体3cが冷却されるとともに、発熱体3cの排熱により冷媒Rが加熱される。冷媒Rは冷却装置11内で加熱されると沸騰し、冷媒Rの密度が低下する。このような現象は、各冷却装置11内で発生する。これにより、冷却ユニット10から第1熱交換器22に向かう上昇流が発生する。このため、各冷却装置11で発熱体3cと熱交換を行った冷媒Rは、第1自然循環ライン21aを通って第1熱交換器22に送られる。
【0046】
第1熱交換器22には、送風ファン23から空気Aが供給される。第1熱交換器22は、冷媒Rと外部の空気Aとで熱交換を行い、冷媒Rの熱を空気Aに排出する。冷熱の排熱によって加熱された空気Aは、ダクト60内の排気流路61を通って屋外に排出される。
【0047】
一方で、第1熱交換器22では冷媒Rが冷却されて、冷媒Rの密度が大きくなる。これにより、冷媒Rが、第1熱交換器22から第2自然循環ライン21b、導入ライン21cを通って各冷却装置11に分配される。
このようにして、冷媒Rが発熱体3cの排熱を利用して自然循環部20内を自然循環する。これにより、発熱体3cの稼動中は常に発熱体3cが冷却される。
【0048】
ここで、発熱量に対し、第1熱交換器22の冷却能力が不十分な場合、冷媒Rが自然循環部20内を循環するうちに冷却装置11で冷媒Rが完全に気化してしまい、発熱体3cを十分に冷却できなくなる。このような事態を防ぐため、本実施形態では、冷却システム1には、切替部40によって冷媒Rの流通系統6を自然循環ライン21から強制循環ライン31に切り替える機能が備わっている。
【0049】
(流通系統の切替手順)
続いて、本実施形態に係る冷媒Rの流通系統6の切替手順について、図5から図7を参照して説明する。
図6は、冷媒Rの流通系統6の切替手順のフローである。
また、図7は、冷媒Rの流通系統6が強制循環ライン31に切り替えられた状態を示している。図7では、切替部40によって開放されたラインは実線で示され、切替部40によって閉塞されたラインは破線で図示されている。
【0050】
発熱体3cの温度は、常時又は周期的にセンサ4によって検出されている。センサ4は、検出した温度を周期的に制御ユニット70に送信する。
図6に示すように、まず、受信部71が発熱体3cの温度を受信する(ステップS11)。ステップS11の後、発熱温度判定部72は、発熱体3cの温度が閾値以上か否かを判定する(ステップS12)。この閾値は、制御ユニット70に予め設定されている。発熱体3cの温度が閾値以上の場合(ステップS12;YES)、発熱量に対して、自然循環部20の第1熱交換器22の冷却能力が不足していることになる。
【0051】
このため、次のステップでは、第1熱交換器22よりも容量の大きい第2熱交換器36で冷媒Rを冷却させるように、切り替える必要がある。まずは切替制御部73aが、切替部40を制御して、図7に示すように、冷媒Rの流通系統6を自然循環ライン21から強制循環ライン31に切り替える(ステップS13)。ステップS13では、切替制御部73aが、第1切替バルブ41、第2切替バルブ42、及び第3切替バルブ43を閉じて、自然循環ライン21を閉塞する。さらに、切替制御部73aは、第4切替バルブ44、第5切替バルブ45、及び第6切替バルブ46を開いて、強制循環ライン31を開放する。
【0052】
ステップS13の後、ポンプ制御部73bがポンプ35を駆動させる(ステップS14)。これにより、強制循環部30が稼動して、冷媒Rが強制循環部30内を循環し、第1熱交換器22よりも容量の大きい第2熱交換器36によって冷媒Rが冷却されるようになる。なお、ステップS12で、強制循環ライン31が既に開放されている場合、ステップS13、S14は省略される。
【0053】
一方、発熱体3cの温度が閾値以上でない場合(ステップS12;NO)、発熱量に対して、自然循環部20の第1熱交換器22の冷却能力は十分に足りていることとなる。
【0054】
このため、次のステップでは、稼動エネルギーを抑えるために、容量の大きい第2熱交換器36から容量の小さい第1熱交換器22で冷媒Rを冷却するように切り替える必要がある。まずはポンプ制御部73bが、ポンプ35を停止させる(ステップS15)。ステップS15の後、切替制御部73aが、切替部40を制御して、冷媒Rの流通系統6を強制循環ライン31から自然循環ライン21に切り替える(ステップS16)。ステップS16では、切替制御部73aは、第4切替バルブ44、第5切替バルブ45、及び第6切替バルブ46を閉じて、強制循環ライン31を閉塞する。さらに、切替制御部73aが、第1切替バルブ41、第2切替バルブ42、及び第3切替バルブ43を開いて、自然循環ライン21を開放する。なお、ステップS12で、自然循環ライン21が既に開放されている場合、ステップS15、S16は省略される。
【0055】
以上の手順で、冷媒Rの流通系統6の切替が行われる。この冷媒Rの流通系統6の切替は、受信部71が発熱体3cの温度を受信する度に実行される。
なお、ステップS13では、自然循環ライン21を閉塞し、強制循環ライン31を開放するとしたが、これに限定されない。ステップS13では、自然循環ライン21と強制循環ライン31の両方を開放して、冷媒Rが自然循環ライン21と強制循環ライン31の両方を流れるようにしてもよい。この場合、第1熱交換器22と第2熱交換器36の両方で冷媒Rを冷却することができる。
【0056】
(作用効果)
本実施形態の冷却システム1は、以下に示す作用効果を発揮することができる。
【0057】
本実施形態では、冷却システム1は、冷却ユニット10と、自然循環部20と、強制循環部30と、を備える。冷却ユニット10は、複数の冷却装置11、入口側ヘッダ12、及び、出口側ヘッダ15を有する。複数の冷却装置11は、発熱体3cを冷却する。入口側ヘッダ12は、冷却装置11に冷媒Rを分配する。出口側ヘッダ15には、各冷却装置11から冷媒Rが排出される。自然循環部20は、自然循環ライン21、及び第1熱交換器22を有する。自然循環ライン21は、出口側ヘッダ15と入口側ヘッダ12とを接続している。第1熱交換器22は、自然循環ライン21の中途であって冷却ユニット10の上方に設置されている。強制循環部30は、強制循環ライン31、第2熱交換器36、及び、ポンプ35を有する。強制循環ライン31は、出口側ヘッダ15と入口側ヘッダ12とを接続している。第2熱交換器36は、強制循環ライン31の中途に設けられている。第2熱交換器36は、第1熱交換器22よりも容量が大きい。ポンプ35は、強制循環ライン31に設けられている。ポンプ35は、出口側ヘッダ15から入口側ヘッダ12に向かって冷媒Rを圧送する。
【0058】
上記構成によれば、各冷却装置11は、発熱体3cと冷媒Rとで熱交換とを行わせ、発熱体3cを冷却する。一方で冷媒Rは、発熱体3cの発熱によって加熱される。これにより、冷媒Rの密度が低下し、冷媒Rが上方へ流動する。自然循環部20は、この流れを利用して冷媒Rを自然循環させる。自然循環部20では、発熱体3cと熱交換を行った冷媒Rは、第1熱交換器22で冷却され、再び発熱体3cに供給される。また、強制循環部30は、ポンプ35の圧送力により冷媒Rを強制循環させる。強制循環部30では、ポンプ35によって圧送された冷媒Rは、発熱体3cによって熱交換を行った後、第2熱交換器36で冷却されて、再び発熱体3cに供給される。このように、自然循環部20では第1熱交換器22で冷媒Rが冷却され、強制循環部30では第2熱交換器36で冷媒Rが冷却される。第2熱交換器36の容量は、第1熱交換器22の容量よりも大きいため、自然循環部20の第1熱交換器22では冷却能力が不足する場合でも、強制循環部30を利用して第2熱交換器36で冷媒Rを十分に冷却することができる。
このようにして、どのような温度帯の発熱体3cでも十分に冷却しつつ、エネルギー効率良く発熱体3cを冷却することができる。したがって、本実施形態によれば、冷却能力を十分に確保しつつ、冷却システム1の冷却効率を向上させることができる。
【0059】
また、冷却システム1は、切替部40を備える。切替部40は、冷媒Rの流通系統6を、自然循環ライン21及び強制循環ライン31の少なくとも一方となるように切り替える。
【0060】
これにより、第1熱交換器22の冷却能力で発熱体3cを十分に冷却できる場合には、冷媒Rの流通系統6を、自然循環ライン21にのみ切り替えることができる。これにより、第1熱交換器22のみを用いて発熱体3cと熱交換を行った冷媒Rを冷却することができる。第1熱交換器22のみを利用するため、冷却システム1の運転にかかるエネルギー量を削減することができる。一方で、発熱量に対し、第1熱交換器22の冷却能力が不十分な場合には、冷媒Rの流通系統6を、強制循環ライン31のみ、又は自然循環ライン21と強制循環ライン31の両方に切り替えることができる。これにより、第1熱交換器22よりも容量の大きい第2熱交換器36を用いて、発熱体3cと熱交換を行った冷媒Rを冷却することができるので、冷媒Rを十分に冷却することができる。
このようにして、発熱量に応じて、自然循環ライン21と強制循環ライン31とを切り替えて冷媒Rを循環させることができる。よって、本実施形態によれば、冷却システム1の冷却効率をより一層向上させることができる。
【0061】
また、第2熱交換器36は、冷却ユニット10に対して下方に配置されている。
【0062】
強制循環部30では、冷媒Rは、主にポンプ35の圧送力により循環する。このため、第2熱交換器36に供給される冷媒Rは、完全に気化する前に第2熱交換器36に送られる。これにより、第2熱交換器36に供給される冷媒Rの密度は、第1熱交換器22に供給される冷媒Rの密度よりも高くなる。高密度の冷媒Rは下方に溜まりやすいため、本実施形態のように、第2熱交換器36が冷却ユニット10の下方に配置されることにより、第2熱交換器36に冷媒Rが供給されやすくなる。よって、第2熱交換器36は、冷媒Rをより一層効率良く冷却することができるので、冷却システム1の冷却効率をより一層向上させることができる。
【0063】
また、自然循環ライン21は、第1熱交換器22で熱交換を行った冷媒Rを入口側ヘッダ12に導入する導入ライン21cを有する。導入ライン21cは、複数の冷却装置11よりも上方に配置されている。ポンプ35は、複数の冷却装置11よりも下方に配置されている。
【0064】
このように、本実施形態では、導入ライン21cが複数の冷却装置11よりも上方に配置されている。このため、自然循環部20の流路長さを短くすることができる。よって、冷媒Rを自然循環させる際の圧力損失を抑制することができる。
一方で、ポンプ35には、冷却されて密度が上昇した冷媒Rが供給される。高密度の冷媒Rは下降しやすい。このため、本実施形態のように、ポンプ35が複数の冷却装置11に対して下方に配置されることにより、ポンプ35に冷媒Rが供給されやすくなる。これにより、ポンプ35から各冷却装置11への冷媒Rの安定した供給が可能となる。
よって、自然循環部20と強制循環部30との両方で冷媒Rを循環させ易くし、冷却システム1の冷却効率をより一層向上させることができる。
【0065】
また、強制循環部30は、強制循環ライン31に複数のポンプ35を有する。
【0066】
これにより、例えば複数のポンプ35のうち1台が予期せず動作を停止したとしても、他のポンプ35によって冷媒Rを循環させ続けることができる。このようにして、強制循環部30に冗長性を持たせることができる。
【0067】
また、冷却システム1は、第1熱交換器22の上方に配置されたダクト60をさらに備える。ダクト60は、上下方向Dvに延び、下方の空気Aを上方に排出する排気流路61を内部に有する。
【0068】
第1熱交換器22の周辺の空気Aは、冷媒Rの排熱を利用して加熱される。第1熱交換器22で加熱された高温の空気Aがダクト60内に供給される。これにより、ダクト60内の空気Aは、ダクト60外の空気Aよりも高温で密度が低くなり、ドラフト効果(煙突効果、ドラフト現象)が生じる。これにより、ダクト60の下方から上方に向かって空気Aが流れるようになる。このため、第1熱交換器22には空気Aが供給されやすくなり、第1熱交換器22による冷媒Rの冷却が促進される。よって、冷却システム1の冷却能力を向上させることができる。
【0069】
さらに、第1熱交換器22に空気Aを供給するために必要な、例えば第1熱交換に風を送る送風ファン23等の搬送力を削減することができる。発熱体3cの負荷が低い低負荷時には、発熱量が小さくなるため、ダクト60のドラフト効果による空気Aの流れによって第1熱交換器22への空気Aを十分に供給することも可能である。この場合、送風ファン23を停止することができる。このようして、エネルギー効率良く冷媒Rを冷却することができるので、冷却システム1の冷却効率をより一層向上させることができる。
【0070】
また、ダクト60は、下方の空気Aを排気流路61内に導入し、上方に向かうにしたがい縮径したベルマウス状のダクト導入部62を有する。
【0071】
これにより、ダクト60は、排気流路61内に空気Aをスムーズに導入させることができる。よって、空気A導入時の圧力損失を低減することができる。
【0072】
また、供給部25aが排出部25bよりも上方に位置するように、第1熱交換器22が設置されている。
【0073】
これにより、冷媒Rが供給部25aから排出部25bに向けて、第1熱交換器22内をスムーズに流れやすくなる。よって、自然循環部20内で冷媒Rを効率良く循環させることができるので、冷却システム1の冷却効率をより一層向上させることができる。
【0074】
続いて、第1実施形態の変形例について説明する。上述した第1実施形態と同様の構成については、同一の符号・名称を付す等して説明を適宜省略する。以下で説明しない構成は、第1実施形態と同一であるものとする。
【0075】
<第1実施形態の第1変形例>
第1実施形態の第1変形例について図8を参照して説明する。
本変形例の冷却システム1Aは、サーバラック2と、サーバ3と、冷却ユニット10と、自然循環部20Aと、強制循環部30と、切替部40と、リザーバ部50と、ダクト60と、センサ4と、制御ユニット70と、を備える。自然循環部20Aは、自然循環ライン21Aと、第1熱交換器22と、送風ファン23と、逃がしバルブ24と、を有する。自然循環ライン21Aは、第1自然循環ライン21aと、第2自然循環ライン21bと、導入ライン21Acと、を有する。
【0076】
図8に示すように、導入ライン21Acは、複数の冷却装置11よりも下方に配置されている。導入ライン21Acと第2自然循環ライン21bとの接続部分は、タンク34よりも上方であって、第2切替バルブ42、及び下側Dvdのリザーババルブ52よりも下方に位置している。導入ライン21Acと入口側ヘッダ12との接続部分は、複数の冷却装置11よりも下方に位置している。
【0077】
(作用効果)
本変形例の冷却システム1Aは、以下に示す作用効果を発揮することができる。
【0078】
本変形例では、導入ライン21Acは、複数の冷却装置11よりも下方に配置されている。
導入ライン21Acには、第1熱交換器22で冷却されて密度が上昇した冷媒Rが供給される。高密度の冷媒Rは下降しやすい。このため、本実施形態のように、導入ライン21Acが複数の冷却装置11に対して下方に配置されることにより、導入ライン21Acに冷媒Rが供給されやすくなる。これにより、導入ライン21Acから各冷却装置11への冷媒Rの安定した供給が可能となる。よって、自然循環部20Aで冷媒Rを循環させ易くし、冷却システム1Aの冷却効率をより一層向上させることができる。
【0079】
<第1実施形態の第2変形例>
続いて、第1実施形態の第2変形例について図9図10を参照して説明する。
本変形例の冷却システム1Bは、サーバラック2と、サーバ3と、冷却ユニット10と、自然循環部20Bと、強制循環部30と、切替部40と、リザーバ部50と、ダクト60と、センサ4と、制御ユニット70と、を備える。自然循環部20Bは、自然循環ライン21と、第1熱交換器22Bと、接続部26と、送風ファン23と、逃がしバルブ24と、を有する。
【0080】
図9図10に示すように、第1熱交換器22Bは、ラックの天板2a上に4つ載置されている。
図9図10では、各第1熱交換器22Bに冷媒Rを通過させる自然循環ライン21等の一部の構成の図示が省略されている。
【0081】
4つの第1熱交換器22Bは、天板2aの縁に沿って1周するように配置されている。第1熱交換器22Bは、天板2aの縁ごとに1つずつ設けられている。本変形例の第1熱交換器22Bは、第1実施形態と同様のラジエータ25である。各第1熱交換器22Bは、供給部25aと、排出部25bとを有する。供給部25aが排出部25bよりも上方に位置するように、各第1熱交換器22Bが設置されている。排出部25bは、天板2aの縁に沿うように取り付けられている。
隣り合う2つの第1熱交換器22Bの間には、接続部26がその隙間を埋めるように設けられている。各接続部26は、隣り合う第1熱交換同士を接続している。
【0082】
(作用効果)
本変形例の冷却システム1Bは、以下に示す作用効果を発揮することができる。
【0083】
本変形例では、複数の第1熱交換器22Bは、天板2aの縁に沿って1周するように配置されている。第1熱交換器22Bは、天板2aの縁ごとに1つずつ設けられている。
このようにすることで、空気Aの流れを阻害することなく、多くの第1熱交換器22Bをサーバラック2上に載置することができる。
【0084】
<第2実施形態>
続いて、第2実施形態について図11から図13を参照して説明する。上記実施形態、及び上記変形例と同様の構成については、同一の符号・名称を付す等して説明を適宜省略する。以下で説明しない構成は、上記実施形態、及び上記変形例と同一であるものとする。
【0085】
(冷却システム)
本実施形態では、冷却システム101は、サーバラック2と、サーバ3と、冷却ユニット10と、自然循環部120と、強制循環部130と、切替部140と、センサ4と、制御ユニット170と、を備える。
【0086】
(サーバラック)
サーバラック2は、第1実施形態と同様の上下方向Dvに延びる筐体である(図2参照)。
【0087】
(サーバ)
サーバ3は、サーバラック2内に上下方向Dvに並んで複数収容されている。サーバ3は、ケーシング3aと、サーバボード3bと、発熱体3cと、を有する。ケーシング3aは、サーバラック2に水平方向横向きに差し込まれている。ケーシング3aの内部には、サーバボード3bと、発熱体3cとが収容されている。サーバボード3bは、水平方向に延在している。サーバボード3bには、第1実施形態と同様に発熱体3cが取り付けられている。
【0088】
(冷却ユニット)
図11に示すように、冷却ユニット10は、複数の冷却装置11、入口側ヘッダ12、及び、出口側ヘッダ15を有する。複数の冷却装置11は、発熱体3cを冷却する。本実施形態の冷却装置11は、第1実施形態と同様のコールドプレート11aである。入口側ヘッダ12は、冷却装置11に冷媒Rを分配する。出口側ヘッダ15には、各冷却装置11から冷媒Rが排出される。
【0089】
(自然循環部)
自然循環部120は、自然循環ライン121と、第1熱交換器22と、送風ファン23と、ヘッダ27と、を有する。
自然循環ライン121は、出口側ヘッダ15と入口側ヘッダ12とを接続している。第1熱交換器22は、自然循環ライン121の中途であって冷却ユニット10の上方に設置されている。さらに、ヘッダ27は、自然循環ライン121の中途であって、第1熱交換器22よりも下流側、かつ下方に配置されている。以下、自然循環部120の各構成について詳細に説明する。
【0090】
自然循環ライン121は、第1自然循環ライン121aと、第2自然循環ライン121bと、導入ライン121cと、を有する。第1自然循環ライン121aは、出口側ヘッダ15の上端部と、第1熱交換器22とを接続している。第1自然循環ライン121aは、出口側ヘッダ15から第1熱交換器22に冷媒Rを導く。第1熱交換器22では、冷媒Rの熱交換が行われる。第2自然循環ライン121bは、第1熱交換器22から下方に延びている。
【0091】
導入ライン121cは、第2自然循環ライン121bからバイパスしたバイパスラインである。導入ライン121cは、ヘッダ27よりも下流側かつ下方に配置されている。また、導入ライン121cは、複数の冷却装置11よりも上方に配置されている。第1熱交換器22で熱交換が行われた冷媒Rは、ヘッダ27内に一時的に貯蔵された後、第2自然循環ライン121bを介して導入ライン121cに供給される。導入ライン121cは、第1熱交換器22で熱交換を行った冷媒Rを入口側ヘッダ12に導入する。
【0092】
第1熱交換器22は、冷却装置11で発熱体3cと熱交換を行った冷媒Rを冷却する。本実施形態の冷却装置11は、第1実施形態と同様の空冷のラジエータ25である。
ヘッダ27は、第1熱交換器22で冷却された冷媒Rを一時的に貯蔵することができる。
【0093】
(強制循環部)
強制循環部130は、発熱体3cの排熱による冷媒Rの加熱によらずに冷媒Rを循環させる機構である。強制循環部130は、強制循環ライン131と、ポンプ35とを有する。強制循環ライン131は、自然循環ライン121の第1熱交換器22よりも下流側と入口側ヘッダ12とを接続している。また、ポンプ35は、強制循環ライン131上の第2熱交換器36よりも下流側に設けられている。以下、強制循環部130の各構成について詳細に説明する。
【0094】
強制循環ライン131は、第2自然循環ライン121bの下端と、入口側ヘッダ12の下端とを接続している。強制循環ライン131には、第1熱交換器22による冷却後、ヘッダ27に一時的に貯蔵された冷媒Rが供給される。強制循環ライン131は、この冷却された冷媒Rを入口側ヘッダ12に導く。
【0095】
ポンプ35は、出口側ヘッダ15から入口側ヘッダ12に向かって冷媒Rを圧送する。ポンプ35によって圧送された冷媒Rは、入口側ヘッドから各冷却装置11に分配されて、冷却システム101内を循環する。ポンプ35は、複数の冷却装置11よりも下方に配置されている。
【0096】
(切替部)
切替部140は、第1切替バルブ141と、第2切替バルブ142と、を有する。
第1切替バルブ141は、導入ライン121cに設けられている。第1切替バルブ141は、導入ライン121cを開閉する。
第2切替バルブ142は、強制循環ライン131上であって、ポンプ35と入口側ヘッダ12との間に設けられている。第2切替バルブ142は、強制循環ライン131を開閉する。
【0097】
(センサ)
センサ4は、第1実施形態と同様にサーバラック2毎の発熱量を取得する。なお、センサ4は、発熱体3cごとに発熱量を取得するものであってもよい。
【0098】
(制御ユニット)
制御ユニット170は、冷却システム101の各構成の動作を制御する。
図12に示すように制御ユニット170は、受信部171と、発熱温度判定部172と、制御部173との各機能部を有する。
受信部171は、センサ4から送信される温度情報等を受信する。
発熱温度判定部172は、受信部171によって受信された温度情報から発熱体3cの発熱温度が閾値以上か否かを判定する。
制御部173は、冷却システム101を構成する各種機器を制御する。また、制御部173は、切替制御部173aと、ポンプ制御部173bと、を有する。
切替制御部173aは、切替部140を制御して、冷媒Rの流通系統106を切り替えさせる。流通系統106は、冷媒Rの流れる流路であり、自然循環ライン121と、強制循環ライン131とを含む。
ポンプ制御部173bは、ポンプ35を制御する。
【0099】
(冷却システムの操作方法の手順)
本実施形態に係る冷却システム101の操作方法の一例について説明する。
予め、切替制御部173aが、切替部140を制御して冷媒Rの流通系統106を自然循環ライン121に切り替えさせる。
【0100】
この時、切替制御部173aが第1切替バルブ141を開かせる。これにより、自然循環ライン121が開放され、冷媒Rが自然循環ライン121を流通可能となる。さらに、切替制御部173aが第2切替バルブ142を閉じさせる。これにより、強制循環ライン131が開放され、冷媒Rが強制循環ライン131を流通不可となる。
【0101】
その後、発熱体3cが稼動すると、発熱体3cが発熱し、冷却装置11で冷媒Rと発熱体3cとの熱交換が開始される。これにより、発熱体3cが冷却されるとともに、発熱体3cの排熱により冷媒Rが加熱される。冷媒Rは冷却装置11内で加熱されると沸騰し、冷媒Rの密度が低下する。このような現象は、各冷却装置11内で発生する。これにより、冷却ユニット10から第1熱交換器22に向かう上昇流が発生する。このため、各冷却装置11で発熱体3cと熱交換を行った冷媒Rは、第1自然循環ライン121aを通って第1熱交換器22に送られる。
【0102】
第1熱交換器22には、送風ファン23から空気Aが供給される。第1熱交換器22は、冷媒Rと外部の空気Aとで熱交換を行い、冷媒Rの熱を空気Aに排出する。
【0103】
一方で、第1熱交換器22では冷媒Rが冷却されて、冷媒Rの密度が大きくなる。これにより、冷媒Rが、第1熱交換器22から第2自然循環ライン121b、導入ライン121cを通って各冷却装置11に分配される。
このようにして、冷媒Rが発熱体3cの排熱を利用して自然循環部120内を自然循環する。これにより、発熱体3cの稼動中は常に発熱体3cが冷却される。
【0104】
ここで、発熱量に対し、第1熱交換器22の冷却能力が不十分な場合、冷媒Rが自然循環部120内を循環するうちに冷却装置11で冷媒Rが完全に気化してしまい、発熱体3cを十分に冷却できなくなる。このような事態を防ぐため、本実施形態では、冷却システム101には、切替部140によって冷媒Rの流通系統106を自然循環ライン121から強制循環ライン131に切り替える機能が備わっている。
【0105】
(流通系統の切替手順)
続いて、本実施形態に係る冷媒Rの流通系統106の切替手順について、図13を参照して説明する。
図13は、冷媒Rの流通系統106の切替手順のフローである。
【0106】
発熱体3cの温度は、常時又は周期的にセンサ4によって検出されている。センサ4は、検出した温度を周期的に制御ユニット170に送信する。
図13に示すように、まず、受信部171が発熱体3cの温度を受信する(ステップS21)。ステップS21の後、発熱温度判定部172は、発熱体3cの温度が閾値以上か否かを判定する(ステップS22)。この閾値は、制御ユニット170に予め設定されている。発熱体3cの温度が閾値以上の場合(ステップS22;YES)、発熱量に対して、自然循環部120の第1熱交換器22の冷却能力が不足していることになる。
【0107】
このため、次のステップでは、ポンプ35によって冷媒Rを圧送して冷媒Rの流量を増大させるように、切り替える必要がある。まずは切替制御部173aが、切替部140を制御して、図13に示すように、冷媒Rの流通系統106を自然循環ライン121から強制循環ライン131に切り替える(ステップS23)。ステップS23では、切替制御部173aが、第1切替バルブ141を閉じて、自然循環ライン121を閉塞する。さらに、切替制御部173aは、第2切替バルブ142を開いて、強制循環ライン131を開放する。
【0108】
ステップS13の後、ポンプ制御部173bがポンプ35を駆動させる(ステップS24)。これにより、強制循環部130が稼動して、冷媒Rが強制循環部130内を循環し、冷媒Rが下方から各冷却装置11に供給されるようになる。なお、ステップS22で、強制循環ライン131が既に開放されている場合、ステップS23、S24は省略される。
【0109】
一方、発熱体3cの温度が閾値以上でない場合(ステップS22;NO)、発熱量に対して、自然循環部120の第1熱交換器22の冷却能力は十分に足りていることとなる。
【0110】
このため、次のステップでは、稼動エネルギーを抑えるために、ポンプ35を稼動させる必要の無い自然循環部120で冷媒Rを循環させるように切り替える必要がある。まずはポンプ制御部173bが、ポンプ35を停止させる(ステップS25)。ステップS25の後、切替制御部173aが、切替部140を制御して、冷媒Rの流通系統106を強制循環ライン131から自然循環ライン121に切り替える(ステップS26)。ステップS26では、切替制御部173aは、第2切替バルブ142を閉じて、強制循環ライン131を閉塞する。さらに、切替制御部173aが、第1切替バルブ141を開いて、自然循環ライン121を開放する。なお、ステップS22で、自然循環ライン121が既に開放されている場合、ステップS25、S26は省略される。
【0111】
以上の手順で、冷媒Rの流通系統106の切替が行われる。この冷媒Rの流通系統106の切替は、受信部171が発熱体3cの温度を受信する度に実行される。
なお、ステップS23では、自然循環ライン121を閉塞し、強制循環ライン131を開放するとしたが、これに限定されない。ステップS23では、自然循環ライン121と強制循環ライン131の両方を開放して、冷媒Rが自然循環ライン121と強制循環ライン131の両方を流れるようにしてもよい。
【0112】
(作用効果)
本実施形態の冷却システム101は、以下に示す作用効果を発揮することができる。
【0113】
本実施形態では、自然循環ライン121は、第1熱交換器22で熱交換を行った冷媒Rを入口側ヘッダ12に導入する導入ライン121cを有する。導入ライン121cは、複数の冷却装置11よりも上方に配置されている。ポンプ35は、複数の冷却装置11よりも下方に配置されている。
【0114】
このように、本実施形態では、導入ライン121cが複数の冷却装置11よりも上方に配置されている。このため、自然循環部120の流路長さを短くすることができる。よって、冷媒Rを自然循環させる際の圧力損失を抑制することができる。
一方で、ポンプ35には、冷却されて密度が上昇した冷媒Rが供給される。高密度の冷媒Rは下降しやすい。このため、本実施形態のように、ポンプ35が複数の冷却装置11に対して下方に配置されることにより、ポンプ35に冷媒Rが供給されやすくなる。これにより、ポンプ35から各冷却装置11への冷媒Rの安定した供給が可能となる。
よって、自然循環部120と強制循環部130との両方で冷媒Rを循環させ易くし、冷却システム101の冷却効率をより一層向上させることができる。
【0115】
続いて、第2実施形態の変形例について説明する。上述した第2実施形態と同様の構成については、同一の符号・名称を付す等して説明を適宜省略する。以下で説明しない構成は、第2実施形態と同一であるものとする。
【0116】
<第2実施形態の第1変形例>
第2実施形態の第1変形例について図14を参照して説明する。
本変形例の冷却システム101Aは、サーバラック2と、サーバ3と、冷却ユニット10と、自然循環部120と、強制循環部130と、切替部140と、センサ4と、制御ユニット170とに加えて、ダクト60をさらに備える。
【0117】
(ダクト)
ダクト60は、第1熱交換器22の上方に配置されている。ダクト60は、上下方向Dvに延びている。ダクト60は、下方の空気Aを上方に排出する排気流路61を内部に有する。排気流路61の下端部には、空気Aが導入される入口開口部61aが設けられている。排気流路61の上端部には、排気流路61を流れた空気Aが排出される出口開口部61bが設けられている。
【0118】
本実施形態のダクト60は、第1実施形態と同様の形状に形成されている。すなわち、ダクト60は、ダクト導入部62と、ダクト本体63と、ダクト排出部64と、を有する。ダクト導入部62は、上下方向Dvに延び、上方に向かうにしたがい縮径したベルマウス状に形成されている。
【0119】
(作用効果)
本変形例の冷却システム101Aは、以下に示す作用効果を発揮することができる。
【0120】
本変形例の冷却システム101Aは、第1熱交換器22の上方に配置されたダクト60をさらに備える。ダクト60は、上下方向Dvに延び、下方の空気Aを上方に排出する排気流路61を内部に有する。
【0121】
第1熱交換器22の周辺の空気Aは、冷媒Rの排熱を利用して加熱される。第1熱交換器22で加熱された高温の空気Aがダクト60内に供給される。これにより、ダクト60内の空気Aは、ダクト60外の空気Aよりも高温で密度が低くなり、ドラフト効果(煙突効果、ドラフト現象)が生じる。これにより、ダクト60の下方から上方に向かって空気Aが流れるようになる。このため、第1熱交換器22には空気Aが供給されやすくなり、第1熱交換器22による冷媒Rの冷却が促進される。よって、冷却システム101Aの冷却効率を向上させることができる。
【0122】
さらに、第1熱交換器22に空気Aを供給するために必要な、例えば第1熱交換に風を送る送風ファン23等の搬送力を削減することができる。発熱体3cの負荷が低い低負荷時には、発熱量が小さくなるため、ダクト60のドラフト効果による空気Aの流れによって第1熱交換器22への空気Aを十分に供給することも可能である。この場合、送風ファン23を停止することができる。このようして、エネルギー効率良く冷媒Rを冷却することができるので、冷却システム101Aの冷却効率をより一層向上させることができる。
【0123】
<第2実施形態の第2変形例>
続いて、第2実施形態の第2変形例について図15を参照して説明する。
図15に示すように、本変形例の冷却システム101Bは、複数のユニット部5と、ダクト160とを有する。各ユニット部5が、サーバラック2と、サーバ3と、冷却ユニット10と、自然循環部120と、強制循環部130と、切替部140と、ダクト160と、センサ4と、制御ユニット170と、をさらに備える。すなわち、本変形例では、1つの冷却システム101Bが、複数の冷却ユニット10と、冷却ユニット10ごとに設けられた複数の自然循環部120、及び複数の強制循環部130と、を備える。
【0124】
本変形例のダクト160は、複数のユニット部5の上方に配置されている。ダクト160は、上下方向Dvに延びている。ダクト160は、第1実施形態と同様に、下方の空気Aを上方に排出する排気流路161を内部に有する。排気流路161の下端部には、空気Aが導入される入口開口部161aが設けられている。排気流路161の上端部には、排気流路161を流れた空気Aが排出される出口開口部161bが設けられている。
【0125】
ダクト160は、ダクト導入部162と、ダクトヘッダ部163と、ダクト排出部164と、を有する。ダクト導入部162は、複数の第1熱交換器22の各々に対して上方に配置され、下方から内部に空気Aを導入する。本変形例のダクト導入部162は、第1実施形態と同様に、上下方向Dvに延び、上方に向かうにしたがい縮径したベルマウス状に形成されている。ダクトヘッダ部163は、複数のダクト導入部162の上端部同士を接続し、各ダクト導入部162から導入された空気Aを合流させる。ダクトヘッダ部163は、水平方向に延びるように配置されている。ダクト排出部164は、ダクトヘッダ部163から上方に延び、ダクトヘッダ部163によって合流された空気Aを上方に向けて排出する。ダクト排出部164は、太さが一様な円筒状に形成されている。
【0126】
本変形例では、これらダクト導入部162と、ダクトヘッダ部163と、ダクト排出部164とによって、排気流路161が形成されている。各ダクト導入部162の下端部の開口が排気流路161の入口開口部161aとなる。また、ダクト排出部164の上端の開口が排気流路161の出口開口部161bとなる。
【0127】
(作用効果)
本変形例の冷却システム101Bは、以下に示す作用効果を発揮することができる。
【0128】
本変形例の冷却システム101Bは、1つの冷却システム101Bが、複数の冷却ユニット10と、冷却ユニット10ごとに設けられた複数の自然循環部120、及び複数の強制循環部130と、を備える。さらに、ダクト160は、ダクト導入部162と、ダクトヘッダ部163と、ダクト排出部164と、を有する。ダクト導入部162は、複数の第1熱交換器22の各々に対して上方に配置され、下方から内部に空気Aを導入する。ダクトヘッダ部163は、複数のダクト導入部162の上端部同士を接続し、各ダクト導入部162から導入された空気Aを合流させる。ダクト排出部164は、ダクトヘッダ部163から上方に延び、ダクトヘッダ部163によって合流された空気Aを上方に向けて排出する。
【0129】
上記構成によれば、複数の第1熱交換器22で空気Aが加熱された空気Aを1つの流れに合流させることができる。これにより、ダクト160の下方から上方に向かう空気Aの流れを加速させることができる。このため、ダクト160のドラフト効果を高めることができる。よって、第1熱交換器22には空気Aがより一層供給されやすくなり、第1熱交換器22による冷媒Rの冷却がより一層促進される。よって、冷却システム101Bの冷却効率をより一層向上させることができる。さらに、省スペース化を実現することができる。
【0130】
<第3実施形態>
続いて、第3実施形態について図16図17を参照して説明する。上記実施形態、及び上記変形例と同様の構成については、同一の符号・名称を付す等して説明を適宜省略する。以下で説明しない構成は、上記実施形態、及び上記変形例と同一であるものとする。
【0131】
(冷却システム)
本実施形態では、冷却システム201は、サーバラック2と、サーバ3と、冷却ユニット10と、自然循環部120と、制御ユニット270と、を備える。
【0132】
(サーバラック)
サーバラック2は、第1実施形態と同様の上下方向Dvに延びる筐体である(図2参照)。
【0133】
(サーバ)
サーバ3は、サーバラック2内に上下方向Dvに並んで複数収容されている。サーバ3は、ケーシング3aと、サーバボード3bと、発熱体3cと、を有する。ケーシング3aは、サーバラック2に水平方向横向きに差し込まれている。ケーシング3aの内部には、サーバボード3bと、発熱体3cとが収容されている。サーバボード3bは、水平方向に延在している。サーバボード3bには、第1実施形態と同様に発熱体3cが取り付けられている。
【0134】
(冷却ユニット)
図16に示すように、冷却ユニット10は、複数の冷却装置11、入口側ヘッダ12、及び、出口側ヘッダ15を有する。複数の冷却装置11は、発熱体3cを冷却する。本実施形態の冷却装置11は、第1実施形態と同様にコールドプレート11aである。入口側ヘッダ12は、冷却装置11に冷媒Rを分配する。出口側ヘッダ15には、各冷却装置11から冷媒Rが排出される。
【0135】
(自然循環部)
自然循環部120は、自然循環ライン121と、第1熱交換器22と、送風ファン23と、ヘッダ27と、バルブ28と、を有する。
自然循環ライン121は、出口側ヘッダ15と入口側ヘッダ12とを接続している。第1熱交換器22は、自然循環ライン121の中途であって冷却ユニット10の上方に設置されている。さらに、ヘッダ27は、自然循環ライン121の中途であって、第1熱交換器22よりも下流側、かつ下方に配置されている。以下、自然循環部120の各構成について詳細に説明する。
【0136】
自然循環ライン121は、第1自然循環ライン121aと、第2自然循環ライン121bと、導入ライン121cと、を有する。第1自然循環ライン121aは、出口側ヘッダ15の上端部と、第1熱交換器22とを接続している。第1自然循環ライン121aは、出口側ヘッダ15から第1熱交換器22に冷媒Rを導く。第1熱交換器22では、冷媒Rの熱交換が行われる。第2自然循環ライン121bは、第1熱交換器22から下方に延びている。
【0137】
導入ライン121cは、第2自然循環ライン121bからバイパスしたバイパスラインである。導入ライン121cは、ヘッダ27よりも下流側かつ下方に配置されている。また、導入ライン121cは、複数の冷却装置11よりも上方に配置されている。第1熱交換器22で熱交換が行われた冷媒Rは、ヘッダ27内に一時的に貯蔵された後、第2自然循環ライン121bを介して導入ライン121cに供給される。導入ライン121cは、第1熱交換器22で熱交換を行った冷媒Rを入口側ヘッダ12に導入する。
【0138】
第1熱交換器22は、冷却装置11で発熱体3cと熱交換を行った冷媒Rを冷却する。本実施形態の冷却装置11は、第1実施形態と同様の空冷のラジエータ25である。
【0139】
第1熱交換器22は、例えばサーバラック2の天板2a上に1台載置されている。図17に示すように、第1熱交換器22は、平板状に形成されている。第1熱交換器22は、出口側ヘッダ15から冷媒Rが供給される供給部25aと、入口側ヘッダ12に向けて冷媒Rを排出する排出部25bと、を有する。供給部25aが排出部25bよりも上方に位置するように、第1熱交換器22が水平面HLに対して傾斜して設置されている。
【0140】
ヘッダ27は、第1熱交換器22で冷却された冷媒Rを一時的に貯蔵することができる。
バルブ28は、導入ライン121cに設けられている。バルブ28は、導入ライン121cを開閉する。
【0141】
(制御ユニット)
制御ユニット270は、冷却システム201の各構成の動作を制御する。制御ユニット270は、例えばバルブ28の開閉制御を行う。
【0142】
(冷却システムの操作方法の手順)
本実施形態に係る冷却システム201の操作方法の一例について説明する。
予め、制御ユニット270が導入ライン121cのバルブ28を開かせる。これにより、自然循環ライン121が開放され、冷媒Rが自然循環ライン121を流通可能となる。
【0143】
その後、発熱体3cが稼動すると、発熱体3cが発熱し、冷却装置11で冷媒Rと発熱体3cとの熱交換が開始される。これにより、発熱体3cが冷却されるとともに、発熱体3cの排熱により冷媒Rが加熱される。冷媒Rは冷却装置11内で加熱されると沸騰し、冷媒Rの密度が低下する。このような現象は、各冷却装置11内で発生する。これにより、冷却ユニット10から第1熱交換器22に向かう上昇流が発生する。このため、各冷却装置11で発熱体3cと熱交換を行った冷媒Rは、第1自然循環ライン121aを通って第1熱交換器22に送られる。
【0144】
第1熱交換器22には、送風ファン23から空気Aが供給される。第1熱交換器22は、冷媒Rと外部の空気Aとで熱交換を行い、冷媒Rの熱を空気Aに排出する。冷熱の排熱によって加熱された空気Aは、ダクト60内の排気流路61を通って屋外に排出される。
【0145】
一方で、第1熱交換器22では冷媒Rが冷却されて、冷媒Rの密度が大きくなる。これにより、冷媒Rが、第1熱交換器22から第2自然循環ライン121b、導入ライン121cを通って各冷却装置11に分配される。
このようにして、冷媒Rが発熱体3cの排熱を利用して自然循環部120内を自然循環する。これにより、発熱体3cの稼動中は常に発熱体3cが冷却される。
【0146】
(作用効果)
本実施形態の冷却システム201は、以下に示す作用効果を発揮することができる。
【0147】
本実施形態では、冷却システム201は、第1熱交換器22の上方に配置されたダクト60をさらに備える。ダクト60は、上下方向Dvに延び、下方の空気Aを上方に排出する排気流路61を内部に有する。
【0148】
第1熱交換器22の周辺の空気Aは、冷媒Rの排熱を利用して加熱される。第1熱交換器22で加熱された高温の空気Aがダクト60内に供給される。これにより、ダクト60内の空気Aは、ダクト60外の空気Aよりも高温で密度が低くなり、ドラフト効果(煙突効果、ドラフト現象)が生じる。これにより、ダクト60の下方から上方に向かって空気Aが流れるようになる。このため、第1熱交換器22には空気Aが供給されやすくなり、第1熱交換器22による冷媒Rの冷却が促進される。よって、冷却システム201の冷却能力を向上させることができる。
【0149】
さらに、第1熱交換器22に空気Aを供給するために必要な、例えば第1熱交換に風を送る送風ファン23等の搬送力を削減することができる。発熱体3cの負荷が低い低負荷時には、発熱量が小さくなるため、ダクト60のドラフト効果による空気Aの流れによって第1熱交換器22への空気Aを十分に供給することも可能である。この場合、送風ファン23を停止することができる。このようして、エネルギー効率良く冷媒Rを冷却することができるので、冷却システム201の冷却効率をより一層向上させることができる。
【0150】
また、供給部25aが排出部25bよりも上方に位置するように、第1熱交換器22が設置されている。
【0151】
これにより、冷媒Rが供給部25aから排出部25bに向けて、第1熱交換器22内をスムーズに流れやすくなる。よって、自然循環部120内で冷媒Rを効率良く循環させることができるので、冷却システム201の冷却効率をより一層向上させることができる。
【0152】
(ハードウェア構成)
上記実施形態の制御ユニット70、170、270は、図18に示すようなコンピュータに実装される。図18は、各実施形態に係る制御ユニット70、170、270が実装されるコンピュータの構成を示す概略ブロック図の一例である。コンピュータ1100は、プロセッサ1110と、メインメモリ1120と、ストレージ1130と、インタフェース1140とを備える。
【0153】
そして、制御ユニット70、170、27050の各機能部の動作は、プログラムの形式でストレージ1130に記憶されている。プロセッサ1110は、プログラムをストレージ1130から読み出してメインメモリ1120に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ1110は、プログラムに従って、記憶領域をメインメモリ1120に確保する。
【0154】
プログラムは、コンピュータ1100に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージ1130に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。また、コンピュータ1100は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ1110によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0155】
ストレージ1130の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ1130は、コンピュータ1100のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース1140または通信回線を介してコンピュータ1100に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ1100に配信される場合、配信を受けたコンピュータ1100が当該プログラムをメインメモリ1120に展開し、上記処理を実行してもよい。ストレージ1130は、一時的でない有形の記憶媒体であってもよい。
【0156】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ1130に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0157】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述した各実施形態及び各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0158】
なお、上記実施形態では、冷却システム1、1A、1B、101、101A、101B、201の冷却対象である発熱体3cは、サーバ3に搭載されたCPUやGPU等のチップであるとしたが、これに限るものではない。発熱体3cは、例えば車両に搭載される電子器機であってもよい。
【0159】
上記実施形態では、冷却装置11は、コールドプレート11aであるとしたがこれに限られない。冷却装置11は、例えば絶縁性の冷媒Rを貯留し、冷媒R中に発熱体3cを液浸させる容器であってもよい。
【0160】
上記実施形態では、第1熱交換器22、22Bは、空気Aと冷媒Rとで熱交換を行わせる空冷のラジエータ25であるとしたが、これに限定されない。例えば、第1熱交換器22、22Bは、第2熱交換器36のような冷却水と冷媒Rとで熱交換を行わせる水冷式プレート熱交換器であってもよい。
【0161】
上記実施形態では、第2熱交換器36は、水冷プレート36a式の熱交換器であるとしたが、これに限定されない。例えば、第2熱交換器36は、第1熱交換器22、22Bのような空気と冷媒Rとで熱交換を行わせる空冷のラジエータであってもよい。
【0162】
上記実施形態では、切替部40、140が制御ユニット70、170、270によって操作される場合について説明したが、これに限定されない。切替部40、140は、手動で操作されてもよい。
【0163】
上記実施形態では、ダクト60、160の形状について詳細に説明したが、ダクト60、160の形状は適宜変更可能である。例えば、ダクト導入部62、162が上下方向Dvに延び、上方に向かうにしたがい縮径したベルマウス状に形成されているとしたが、これに限定されない。ダクト導入部62、162は、太さが一様な筒状に形成されていてもよい。
【0164】
<付記>
各実施形態に記載の冷却システム1、1A、1B、101、101A、101B、201は、例えば以下のように把握される。
【0165】
(1)第1の態様に係る冷却システム1、1A、1Bは、発熱体3cを冷却する複数の冷却装置11、前記冷却装置11に冷媒Rを分配する入口側ヘッダ12、及び、各前記冷却装置11から前記冷媒Rが排出される出口側ヘッダ15を有する冷却ユニット10と、前記出口側ヘッダ15と前記入口側ヘッダ12とを接続する自然循環ライン21、21A及び、前記自然循環ライン21、21Aの中途であって前記冷却ユニット10の上方に設置された第1熱交換器22、22Bを有する自然循環部20、20A、20Bと、前記出口側ヘッダ15と前記入口側ヘッダ12とを接続する強制循環ライン31、前記強制循環ライン31の中途に設けられて前記第1熱交換器22、22Bよりも容量が大きい第2熱交換器36、及び、前記強制循環ライン31に設けられて、前記出口側ヘッダ15から前記入口側ヘッダ12に向かって前記冷媒Rを圧送するポンプ35を有する強制循環部30と、を備える。
【0166】
上記構成によれば、各冷却装置11は、発熱体3cと冷媒Rとで熱交換とを行わせ、発熱体3cを冷却する。一方で冷媒Rは、発熱体3cの発熱によって加熱される。これにより、冷媒Rの密度が低下し、冷媒Rが上方へ流動する。自然循環部20、20A、20Bは、この流れを利用して冷媒Rを自然循環させる。自然循環部20、20A、20Bでは、発熱体3cと熱交換を行った冷媒Rは、第1熱交換器22、22Bで冷却され、再び発熱体3cに供給される。また、強制循環部30は、ポンプ35の圧送力により冷媒Rを強制循環させる。強制循環部30では、ポンプ35によって圧送された冷媒Rは、発熱体3cによって熱交換を行った後、第2熱交換器36で冷却されて、再び発熱体3cに供給される。このように、自然循環部20、20A、20Bでは第1熱交換器22、22Bで冷媒Rが冷却され、強制循環部30、130では第2熱交換器36で冷媒Rが冷却される。第2熱交換器36の容量は、第1熱交換器22、22Bの容量よりも大きいため、自然循環部20、20A、20Bの第1熱交換器22、22Bでは冷却能力が不足する場合でも、強制循環部30を利用して第2熱交換器36で冷媒Rを十分に冷却することができる。
【0167】
(2)第2の態様の冷却システム1、1A、1Bは、第1の態様の冷却システム1、1A、1Bであって、前記冷媒Rの流通系統を、前記自然循環ライン21、21A及び前記強制循環ライン31の少なくとも一方となるように切り替える切替部40を備えてもよい。
【0168】
これにより、第1熱交換器22、22Bの冷却能力で発熱体3cを十分に冷却できる場合には、冷媒Rの流通系統を、自然循環ライン21、21Aにのみ切り替えることができる。これにより、第1熱交換器22、22Bのみを用いて発熱体3cと熱交換を行った冷媒Rを冷却することができる。第1熱交換器22、22Bのみを利用するため、冷却システム1、1A、1Bの運転にかかるエネルギー量を削減することができる。一方で、発熱量に対し、第1熱交換器22、22Bの冷却能力が不十分な場合には、冷媒Rの流通系統を、強制循環ライン31のみ、又は自然循環ライン21、21Aと強制循環ライン31の両方に切り替えることができる。これにより、第1熱交換器22、22Bよりも容量の大きい第2熱交換器36を用いて、発熱体3cと熱交換を行った冷媒Rを冷却することができるので、冷媒Rを十分に冷却することができる。
【0169】
(3)第3の態様の冷却システム1、1A、1Bは、第1又は第2の態様の冷却システム1、1A、1Bであって、前記第2熱交換器36は、前記冷却ユニット10に対して下方に配置されていてもよい。
【0170】
強制循環部30では、冷媒Rは、主にポンプ35の圧送力により循環する。このため、第2熱交換器36に供給される冷媒Rは、完全に気化する前に第2熱交換器36に送られる。これにより、第2熱交換器36に供給される冷媒Rの密度は、第1熱交換器22、22Bに供給される冷媒Rの密度よりも高くなる。高密度の冷媒Rは下方に溜まりやすいため、本実施形態のように、第2熱交換器36が冷却ユニット10の下方に配置されることにより、第2熱交換器36に冷媒Rが供給されやすくなる。
【0171】
(4)第4の態様の冷却システム1、1Bは、第1から第3のいずれか1つの態様の冷却システム1、1Bであって、前記自然循環ライン21は、前記複数の冷却装置11よりも上方に配置され、前記第1熱交換器22で熱交換を行った前記冷媒Rを前記入口側ヘッダ12に導入する導入ライン21cを有し、前記ポンプ35は、前記複数の冷却装置11よりも下方に配置されていてもよい。
【0172】
本態様では、導入ライン21cが複数の冷却装置11よりも上方に配置されている。このため、自然循環部20の流路長さを短くすることができる。よって、冷媒Rを自然循環させる際の圧力損失を抑制することができる。
一方で、ポンプ35には、冷却されて密度が上昇した冷媒Rが供給される。高密度の冷媒Rは下降しやすい。このため、本態様のように、ポンプ35が複数の冷却装置11に対して下方に配置されることにより、ポンプ35に冷媒Rが供給されやすくなる。これにより、ポンプ35から各冷却装置11への冷媒Rの安定した供給が可能となる。
【0173】
(5)第5の態様の冷却システム1、1A、1Bは、第1から第4のいずれか1つの態様の冷却システム1、1A、1Bであって、前記第1熱交換器22、22Bの上方に配置され、下方の空気Aを上方に排出する排気流路61を内部に有した上下方向Dvに延びるダクト60をさらに備えてもよい。
【0174】
第1熱交換器22、22Bの周辺の空気Aは、冷媒Rの排熱を利用して加熱される。第1熱交換器22、22Bで加熱された高温の空気Aがダクト60内に供給される。これにより、ダクト60内の空気Aは、ダクト60外の空気Aよりも高温で密度が低くなり、ドラフト効果(煙突効果、ドラフト現象)が生じる。これにより、ダクト60の下方から上方に向かって空気Aが流れるようになる。このため、第1熱交換器22、22Bには空気Aが供給されやすくなり、第1熱交換器22、22Bによる冷媒Rの冷却が促進される。さらに、第1熱交換器22、22Bに空気Aを供給するために必要な、例えば第1熱交換に風を送る送風ファン23等の搬送力を削減することができる。
【0175】
(6)第6の態様の冷却システム1、1A、1Bは、第1から第5のいずれか1つの態様の冷却システム1、1A、1Bであって、前記第1熱交換器22、22Bは、前記出口側ヘッダ15から前記冷媒Rが供給される供給部25aと、前記入口側ヘッダ12に向けて前記冷媒Rを排出する排出部25bと、を有し、前記供給部25aが前記排出部25bよりも上方に位置するように、前記第1熱交換器22、22Bが設置されていてもよい。
【0176】
これにより、冷媒Rが供給部25aから排出部25bに向けて、第1熱交換器22、22B内をスムーズに流れやすくなる。
【0177】
(7)第7の態様に係る冷却システム101、101A,101Bは、発熱体3cを冷却する複数の冷却装置11、前記冷却装置11に冷媒Rを分配する入口側ヘッダ12、及び、各前記冷却装置11から前記冷媒Rが排出される出口側ヘッダ15を有する冷却ユニット10と、前記出口側ヘッダ15と前記入口側ヘッダ12とを接続する自然循環ライン121、及び、前記自然循環ライン21、21A、121の中途であって前記冷却ユニット10の上方に設置された第1熱交換器22を有する自然循環部120と、前記自然循環ライン121の前記第1熱交換器22よりも下流側と前記入口側ヘッダ12とを接続する強制循環ライン131、及び、前記強制循環ライン131に設けられて、前記出口側ヘッダ15から前記入口側ヘッダ12に向かって前記冷媒Rを圧送するポンプ35を有する強制循環部130と、を備え、前記自然循環ライン121は、前記複数の冷却装置11よりも上方に配置され、前記第1熱交換器22で熱交換を行った前記冷媒Rを前記入口側ヘッダ12に導入する導入ライン121cを有し、前記ポンプ35は、前記複数の冷却装置11よりも下方に配置されている。
【0178】
(8)第8の態様に係る冷却システム101、101A、101Bは、第7の態様の冷却システム101、101A、101Bであって、前記第1熱交換器22の上方に配置され、下方の空気Aを上方に排出する排気流路61、161を内部に有した上下方向Dvに延びるダクト60、160をさらに備えてもよい。
【0179】
(9)第9の態様に係る冷却システム101Bは、第8の態様の冷却システム101Bであって、複数の前記冷却ユニット10と、前記冷却ユニット10ごとに設けられた複数の前記自然循環部120、及び複数の前記強制循環部130と、を備え、前記ダクト160は、複数の前記第1熱交換器22の各々に対して上方に配置され、下方から内部に空気Aを導入するダクト導入部162と、複数の前記ダクト導入部162の上端部同士を接続し、各前記ダクト導入部162から導入された空気Aを合流させるダクトヘッダ部163と、前記ダクトヘッダ部163から上方に延び、前記ダクトヘッダ部163によって合流された空気Aを上方に向けて排出するダクト排出部164と、を有してもよい。
【0180】
上記構成によれば、複数の第1熱交換器22で空気Aが加熱された空気Aを1つの流れに合流させることができる。これにより、ダクト160の下方から上方に向かう空気Aの流れを加速させることができる。さらに、省スペース化を実現することができる。
【0181】
(10)第10の態様に係る冷却システム201は、発熱体3cを冷却する複数の冷却装置11、前記冷却装置11に冷媒Rを分配する入口側ヘッダ12、及び、各前記冷却装置11から前記冷媒Rが排出される出口側ヘッダ15を有する冷却ユニット10と、前記出口側ヘッダ15と前記入口側ヘッダ12とを接続する自然循環ライン121、及び、前記自然循環ライン121の中途であって前記冷却ユニット10の上方に設置された第1熱交換器22を有する自然循環部120と、前記第1熱交換器22の上方に配置され、下方の空気Aを上方に排出する排気流路61を内部に有した上下方向Dvに延びるダクト60と、を備える。
【0182】
(11)第11の態様に係る冷却システム201は、第10の態様の冷却システム201であって、前記第1熱交換器22、22Bは、前記出口側ヘッダ15から前記冷媒Rが供給される供給部25aと、前記入口側ヘッダ12に向けて前記冷媒Rを排出する排出部25bと、を有し、前記供給部25aが前記排出部25bよりも上方に位置するように、前記第1熱交換器22が設置されていてもよい。
【符号の説明】
【0183】
1…冷却システム 2…サーバラック 2a…天板 3…サーバ 3a…ケーシング 3b…サーバボード 3c…発熱体 4…センサ 6…流通系統 10…冷却ユニット 11…冷却装置 11a…コールドプレート 12…入口側ヘッダ 13…入口側分岐ライン 14…バルブ 15…出口側ヘッダ 16…出口側分岐ライン 20…自然循環部 21…自然循環ライン 21a…第1自然循環ライン 21b…第2自然循環ライン 21c…導入ライン 22…第1熱交換器 23…送風ファン 24…逃がしバルブ 25…ラジエータ 25a…供給部 25b…排出部 30…強制循環部 31…強制循環ライン 31a…第1強制循環ライン 31b…第2強制循環ライン 31c…第3強制循環ライン 32…別置きCDU 33…チラー装置 34…タンク 35…ポンプ 36…第2熱交換器 36a…水冷プレート 36b…バルブ 37…ポンプライン 38…合流ライン 40…切替部 41…第1切替バルブ 42…第2切替バルブ 43…第3切替バルブ 44…第4切替バルブ 45…第5切替バルブ 46…第6切替バルブ 50…リザーバ部 51…リザーバ管 52…リザーババルブ 60…ダクト 61…排気流路 61a…入口開口部 61b…出口開口部 62…ダクト導入部 63…ダクト本体 64…ダクト排出部 70…制御ユニット 71…受信部 72…発熱温度判定部 73…制御部 73a…切替制御部 73b…ポンプ制御部 A…空気 Dv…上下方向 Dvu…上側 Dvd…下側 HL…水平面 R…冷媒 W…冷却水
1A…冷却システム 20A…自然循環部 21A…自然循環ライン 21Ac…導入ライン
1B…冷却システム 20B…自然循環部 22B…第1熱交換器 26…接続部
101…冷却システム 120…自然循環部 121…自然循環ライン 121a…第1自然循環ライン 121b…第2自然循環ライン 121c…導入ライン 27…ヘッダ 130…強制循環部 131…強制循環ライン 140…切替部 141…第1切替バルブ 142…第2切替バルブ 170…制御ユニット 171…受信部 172…発熱温度判定部 173…制御部 173a…切替制御部 173b…ポンプ制御部
101A…冷却システム
101B…冷却システム 5…ユニット部 106…流通系統 160…ダクト 161…排気流路 161a…入口開口部 161b…出口開口部 162…ダクト導入部 163…ダクトヘッダ部 164…ダクト排出部
201…冷却システム 28…バルブ 270…制御ユニット
1100…コンピュータ 1110…プロセッサ 1120…メインメモリ 1130…ストレージ 1140…インタフェース
図1
図2
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