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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169959
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】ケーブル固定装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/00 20060101AFI20241129BHJP
   H02G 3/22 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
H05K7/00 F
H05K7/00 U
H02G3/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086840
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000105659
【氏名又は名称】ニデックコンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 博英
(72)【発明者】
【氏名】飛内 康宏
(72)【発明者】
【氏名】井ノ口 貴敏
【テーマコード(参考)】
4E352
5G363
【Fターム(参考)】
4E352AA02
4E352BB02
4E352CC04
4E352CC52
4E352DD02
4E352DR03
4E352DR33
4E352DR39
4E352DR40
4E352EE03
4E352EE10
4E352GG17
5G363AA12
5G363BA01
5G363CB01
(57)【要約】

【課題】 本発明の実施形態は、ケーブルの回転方向の位置を確実に規制することができるとともに、固定強度及び耐久性を向上させることが可能なケーブル固定装置を提供する。
【解決手段】 固定部12は、第1開口12dと、第2開口12gとを含む。ヘッド11は、ケーブル13を保持する挿入部11bと、挿入部の近傍に配置された第3開口11hと、を含む。挿入部11bは、その周囲に配置された複数の突起11cを含む。第1開口12dは、挿入部の複数の突起11cが挿入される複数の切欠き部12eと、隣り合う2つの切欠き部の間に配置された複数の係合部12fと、を含む。固定部材20は、ヘッド11の挿入部11bが第1開口12dの内部において回転され、第3開口11hが第2開口12gに一致された状態において、第2開口12gと第3開口11hに挿入される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルに設けられたヘッドと、前記ヘッドが固定される電子機器の固定部と、を具備するケーブル固定装置であって、
前記固定部は、第1面と、前記第1面に平行な第2面と、前記第1面から前記第2面に貫通され、前記ケーブルと前記ヘッドの一部が挿入される第1開口と、前記第1開口の近傍に配置され、前記第1面から前記第2面に貫通された第2開口とを含み、
前記ヘッドは、前記固定部の第1面に接触され、前記第1開口と前記第2開口とを覆うことが可能な第3面と、前記第3面に平行な第4面と、前記第3面に対して垂直に設けられ、前記ケーブルを保持し、前記第1開口に挿入される挿入部と、前記第4面から前記第3面に貫通され、前記第2開口に対向可能な第3開口と、を含み、
前記挿入部は、その周囲で前記第3面から離れた位置に複数の突起を含み、
前記第1開口は、前記挿入部の前記複数の突起が挿入される複数の切欠き部と、隣り合う2つの前記切欠き部の間に配置され、前記ヘッドの前記挿入部が前記第1開口に挿入され、前記挿入部の中心を通る軸の周り方向に回転されたとき、前記複数の突起が接触することが可能な複数の係合部と、を含み、
前記ヘッドの前記挿入部が前記第1開口に挿入され、前記挿入部の中心を通る軸の周り方向に回転され、前記第3開口が前記第2開口に対向された状態において、前記第2開口と前記第3開口に挿入される固定部材と、
を具備することを特徴とするケーブル固定装置。
【請求項2】
前記ヘッドの前記複数の突起と前記第3面との間の距離は、前記固定部の前記第1面と前記第2面との間の厚み以下であることを特徴とする請求項1に記載のケーブル固定装置。
【請求項3】
前記固定部材は、リベットであることを特徴とする請求項1に記載のケーブル固定装置。
【請求項4】
前記リベットは、心棒がかしめられた状態において、前記心棒の長さが前記ヘッドの前記第4面と前記固定部の前記第2面との間の距離以下であることを特徴とする請求項3に記載のケーブル固定装置。
【請求項5】
前記第1開口の前記複数の係合部のうちの1つと前記第2開口の中心との間の距離は、他の係合部と前記第2開口の中心との間の距離より長いことを特徴とする請求項1に記載のケーブル固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば電子機器に適用されるケーブルの固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の筐体にケーブルを固定する手段として、種々のケーブル固定装置が開発されている(例えば特許文献1乃至7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭57-163777号公報
【特許文献2】実開昭63-005678号公報
【特許文献3】実開昭52-043698号公報
【特許文献4】特開平02-298099号公報
【特許文献5】特開2002-094258号公報
【特許文献6】特許第3233415号公報
【特許文献7】特許第5776988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トルクセンサ等の電子機器において、筐体にケーブルを装着する場合、Eリングやブッシングを用いて、筐体に対するケーブルの抜け止めと回転方向の位置規制が行われている。
【0005】
しかし、ブッシングの材料は、弾性体、例えばゴム材料であるため、筐体に対するケーブルの確実な抜け止めと回転方向の位置規制が困難であり、固定強度を向上させること、及び耐久性を向上させることが困難であった。
【0006】
本発明の実施形態は、ケーブルの回転方向の位置を確実に規制することができるとともに、固定強度及び耐久性を向上させることが可能なケーブル固定装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態のケーブル固定装置は、ケーブルに設けられたヘッドと、前記ヘッドが固定される電子機器の固定部と、を具備するケーブル固定装置であって、前記固定部は、第1面と、前記第1面に平行な第2面と、前記第1面から前記第2面に貫通され、前記ケーブルと前記ヘッドの一部が挿入される第1開口と、前記第1開口の近傍に配置され、前記第1面から前記第2面に貫通された第2開口とを含み、前記ヘッドは、前記固定部の第1面に接触され、前記第1開口と前記第2開口とを覆うことが可能な第3面と、前記第3面に平行な第4面と、前記第3面に対して垂直に設けられ、前記ケーブルを保持し、前記第1開口に挿入される挿入部と、前記第4面から前記第3面に貫通され、前記第2開口に対向可能な第3開口と、を含み、前記挿入部は、その周囲で前記第3面から離れた位置に複数の突起を含み、前記第1開口は、前記挿入部の前記複数の突起が挿入される複数の切欠き部と、隣り合う2つの前記切欠き部の間に配置され、前記ヘッドの前記挿入部が前記第1開口に挿入され、前記挿入部の中心を通る軸の周り方向に回転されたとき、前記複数の突起が接触することが可能な複数の係合部と、を含み、前記ヘッドの前記挿入部が前記第1開口に挿入され、前記挿入部の中心を通る軸の周り方向に回転され、前記第3開口が前記第2開口に対向された状態において、前記第2開口と前記第3開口に挿入される固定部材と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係るケーブル固定装置を示す平面図。
図2図1に示すケーブル固定装置の側面図。
図3図1に示す筐体の裏面を示す平面図。
図4図1に示すケーブルのヘッドを示す側面図。
図5図4に示すヘッドの裏面を示す平面図。
図6】第1実施形態の動作を示すものであり、筐体とヘッドの裏面を示す平面図。
図7図6と異なる動作状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。図面において、同一部分には、同一符号を付している。
【0010】
(第1実施形態)
図1乃至図3において、第1実施形態に係るケーブル固定装置10は、ヘッド11と、ヘッド11が固定される固定部としての電子機器の筐体12とを具備している。
【0011】
第1実施形態において、電子機器は、例えばロボットアームに装着されるトルクセンサであるが、これに限定されるものではなく、様々な電子機器に適用することが可能である。筐体12は、トルクセンサを収容する例えばケース、又はカバーであるが、これに限らず、例えば電子機器が取り付けられる例えばボード、又はフレームであってもよい。
【0012】
筐体12は、円形の第1面(以下、表面と言う)12aと、第1面12aと平行な第2面(以下、裏面と言う)12bと、表面12a及び裏面12bの周囲に設けられた側面12cとを含み、裏面12bと側面12cとにより形成された空間に図示せぬトルクセンサが収容される。筐体12は、金属、例えばステンレススチール、又はプラスチックなどの樹脂で形成される。
【0013】
図3に示すように、筐体12は、表面12aから裏面12bに貫通された第1開口12dと第2開口12gとを含んでいる。第1開口12dは、主にヘッド11を装着するために使用され、第2開口12gは、ヘッド11を固定するために使用される。
【0014】
第1開口12d及び第2開口12gは、円形の表面12aの一部に設けられている。具体的には、図3において、第1開口12d及び第2開口12gは、筐体12の周囲近傍に設けられている。しかし、第1開口12d及び第2開口12gは、筐体12の中央部に設けられていてもよい。
【0015】
第1開口12dは、後述するヘッド11の複数の突起11cに対応する複数の切欠き部12eと、隣接する2つの切欠き部12eの間に設けられた係合部12fとを含んでいる。本実施形態において、切欠き部12eは、例えば互いに90°離れて4つ設けられている。切欠き部12eと係合部12fの数は、それぞれ4つであるが、これに限定されるものではなく、2つ、3つ、又は5つ以上であってもよい。
【0016】
さらに、第2開口12gは、第1開口12dの近傍に設けられている。第2開口12gは、例えば第1開口12dの隣接する2つの切欠き部12eの間から直交する方向に第1開口12dから離れて配置されている。具体的には、第2開口12gの中心は、第1開口12dの中心から距離L1だけ離れている。
【0017】
第2開口12gは、後述するように、ヘッド11を筐体12に固定する固定部材としてのリベット20を挿入するために使用される。図3に示すように、複数の係合部12fのうちの1つと第2開口12gの中心との間の距離L4は、他の3つの係合部12fと第2開口12gの中心との間の距離より長い。これにより、後述するリベット20と係合部12fの1つとの距離を大きくすることができ、筐体12に対するヘッド11の固定力を増加することが可能である。
【0018】
図4図5に示すように、ヘッド11は、例えば樹脂、又は弾性体、例えばゴム又は軟質PVC(Poly Vinyl Chloride)により構成されてもよい。
【0019】
ヘッド11は、ケーブル13の例えば中間部に設けられる。ヘッド11は、筐体12の第1開口12dに固定される。ヘッド11は、筐体12の表面12aに接触される第3面(以下、裏面と言う)11aと、裏面11aに対して垂直に設けられた円筒状の挿入部11bと、係止部11eと、を含んでいる。
【0020】
ケーブル13は、ヘッド11の長手方向の一端から挿入部11bの中心を通って配置されており、ヘッド11の内部において、ほぼ直角に折曲されている(以下、ケーブル13又は挿入部11bの中心を通る線を軸と言う)。
【0021】
挿入部11bは、筐体12の第1開口12dに挿入することが可能な寸法及び形状を有し、挿入部11bは、周囲に複数の突起11cを含んでいる。複数の突起11cは、挿入部11bの周囲に互いに90°離れて例えば4つ設けられている。4つの突起11cの形状は、第1開口12dの切欠き部12eと相似形であり、切欠き部12eより僅かに小さい。突起11cの数は、4つに限らず、切欠き部12eと同様に、2つ、3つ又は5つ以上であってもよい。
【0022】
複数の突起11cは、ヘッド11の裏面11aから距離L3だけ離れて配置されている。換言すると、ヘッド11の裏面11aと複数の突起11cとの間には、距離L3の隙間11dがある。距離L3は、図2に示す筐体12の表面12aと裏面12bとの間の厚みT1と同等、又は同等より僅かに短い(L3≦T1)。
【0023】
図2図4に示すように、係止部11eは、ヘッド11の挿入部11bと直交する方向で、ケーブル13と反対方向に延出されている。係止部11eは、固定部材としての例えばリベット20を収容するための凹部11gを有している。凹部11gは、ヘッド11の裏面11aと平行な第4面(以下、底面と言う)11fを有している。凹部11gの底面11fは、裏面11aに貫通する第3開口11hを有している。しかし、ヘッド11の係止部11eは、必ずしも凹部11gを必要とせず、第4面としての底面11fに相当する面と、第3開口11hを有していればよい。
【0024】
図5に示すように、第3開口11hは、例えば1つの突起11cの先端から離れた位置に配置されている。第3開口11hの中心から挿入部11bの軸からまでの距離L2は、第2開口12gの中心から筐体12の第1開口12dの中心までの距離L1と等しい(L1=L2)。
【0025】
第3開口11hの直径と筐体12の第2開口12gの直径は等しく、第3開口11hと第2開口12gが一致された状態において、第3開口11h及び第2開口12gに図2に示すようにリベット20の心棒を挿入することが可能とされている。
【0026】
上記構成において、ケーブル13が設けられたヘッド11を筐体12に取付ける動作について説明する。
【0027】
図6に示すように、先ず、ヘッド11の挿入部11b及び挿入部11bから引き出されたケーブル13が筐体12の第1開口12d内に挿入される。この際、ヘッド11の複数の突起11cが第1開口12dの複数の切欠き部12eに対応するように、ヘッド11の挿入部11bが第1開口12d内に挿入される。
【0028】
具体的には、ヘッド11の係止部11eが第2開口12gから時計回り方向に45°回転された状態において、ヘッド11の挿入部11bが第1開口12d内に挿入される。
【0029】
図6に示す状態より、複数の突起11cと筐体12の裏面12bとの摩擦力に抗してヘッド11が図示矢印A方向(反時計回り方向)に例えば45°回転されると、複数の突起11cが切欠き部12eの位置から係合部12fの位置に移動され、複数の突起11cが複数の係合部12fに圧接される。このため、ヘッド11の第3面11aが第1開口12dの周囲に圧接され、第1開口12dは、ヘッド11の第3面11aにより覆われて、密閉される。
【0030】
図7は、複数の突起11cが複数の係合部12fに圧接された状態を示している。この状態において、筐体12の第2開口12gとヘッド11の第3開口11hの位置が一致される。次いで、第3開口11hから第2開口12gにリベット20の心棒が挿入される。リベット20の心棒は、筐体12の裏面12b側において、潰されてかしめられる。したがって、図1図2に示すように、ヘッド11が筐体12にリベット20により固定される。リベット20がかしめられることにより、リベット20の心棒の長さL5は、筐体12の厚みT1と凹部11gの底面11fの厚みとの和の長さL6以下(L5≦L6)となる。このため、ヘッド11の第3面11aが第2開口12gの周囲に圧接され、第2開口12gは、ヘッド11により密閉される。
【0031】
図1図2に示す筐体12に対するヘッド11の固定状態は、リベット20が破壊されるまで保持される。したがって、筐体12に対するヘッド11及びケーブル13の回転方向の位置を確実に規制することができる。
【0032】
(実施形態の効果)
上記実施形態によれば、ヘッド11の挿入部11bは、複数の突起11cを含み、筐体12の第1開口12dは、複数の切欠き部12eと複数の係合部12fとを含み、複数の突起11cが複数の係合部12fに当接することにより、ヘッド11が第1開口12dから抜けることが防止されている。
【0033】
さらに、ヘッド11は、第3開口11hを含み、筐体12は、第2開口12gを含み、ヘッド11の第3開口11hと筐体12の第2開口12gとが一致された状態において、第3開口11hと第2開口12gとの中にリベット20を挿入し、リベット20の心棒をかしめることにより、ヘッド11が筐体12に固定される。このため、ヘッド11を筐体12に対して確実に固定することが可能であり、ヘッド11が筐体12に対して回転することを防止できる。したがって、ケーブル13の回転方向の位置を確実に規制することができる。
【0034】
しかも、リベット20を用いて、ヘッド11を筐体12に固定しているため、ヘッド11が樹脂材料で形成されていても、高い固定強度を得ることができ、耐久性も向上させることが可能である。
【0035】
例えばネジを用いてヘッド11を筐体12に固定する場合、樹脂材料で形成されたヘッド11に対するネジの締結条件、例えばトルクを管理する必要がある。さらに、ネジの緩みを防止するため、接着剤を塗布する必要がある。このため、製造コストが高騰する。
【0036】
しかし、本実施形態のように、リベット20を用いてヘッド11を筐体12に固定することにより、ヘッド11が樹脂材料で形成されていても、トルクの管理や接着剤を塗布することが不要であるため、製造コストの高騰を抑制することが可能である。
【0037】
その他、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0038】
10…ケーブル固定装置、11…ヘッド、11a…第3面(裏面)、11b…挿入部、11c…突起、11h…第3開口、11f…第4面(底面)、12…固定部(筐体)、12a…第1面(表面)、12b…第2面(裏面)、12d…第1開口、12e…切欠き部、12f…係合部、12g…第2開口、20…リベット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7