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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169962
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/824 20230101AFI20241129BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20241129BHJP
   H10K 59/122 20230101ALI20241129BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
H10K50/824
H10K50/10
H10K59/122
G09F9/30 349Z
G09F9/30 365
G09F9/30 348A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086843
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽成 淳
(72)【発明者】
【氏名】三宅 秀和
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB08
3K107CC33
3K107DD37
3K107DD89
3K107FF15
5C094BA27
5C094DA13
5C094DA15
5C094EA10
5C094EC04
(57)【要約】
【課題】 改善された配線構造を有する表示装置を提供する。
【解決手段】 概して、実施形態によれば、表示装置は、下電極、前記下電極に対向する上電極、および、前記下電極と前記上電極の間に配置され、前記下電極と前記上電極の電位差に応じて発光する有機層をそれぞれ含む複数の副画素と、下部および前記下部の側面から突出した上部を含み、前記複数の副画素の各々を囲う隔壁と、を備えている。前記隔壁は、前記下部が互いに積層された第1導電層および第2導電層を含む第1隔壁と、前記下部が絶縁層および当該絶縁層の上に配置された前記第2導電層を含む第2隔壁と、を備えている。さらに、前記第2隔壁の少なくとも一部にスリットが設けられている。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下電極、前記下電極に対向する上電極、および、前記下電極と前記上電極の間に配置され、前記下電極と前記上電極の電位差に応じて発光する有機層をそれぞれ含む複数の副画素と、
下部および前記下部の側面から突出した上部を含み、前記複数の副画素の各々を囲う隔壁と、
を備え、
前記隔壁は、
前記下部が互いに積層された第1導電層および第2導電層を含む第1隔壁と、
前記下部が絶縁層および当該絶縁層の上に配置された前記第2導電層を含む第2隔壁と、
を備え、
前記第2隔壁の少なくとも一部にスリットが設けられている、表示装置。
【請求項2】
前記スリットは、前記第2隔壁の前記上部および前記第2導電層を分断し、前記絶縁層を分断していない、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記スリットは、前記第2隔壁の前記上部、前記第2導電層および前記絶縁層を分断している、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
下電極、前記下電極に対向する上電極、および、前記下電極と前記上電極の間に配置され、前記下電極と前記上電極の電位差に応じて発光する有機層をそれぞれ含む複数の副画素と、
下部および前記下部の側面から突出した上部を含み、前記複数の副画素の各々を囲う隔壁と、
を備え、
前記隔壁は、
前記下部が第1高さを有する第1隔壁と、
前記下部が前記第1高さよりも小さい第2高さを有する第2隔壁と、
を備え、
前記第2隔壁の少なくとも一部にスリットが設けられている、表示装置。
【請求項5】
前記複数の副画素の各々において、少なくとも1辺が前記第1隔壁に面している、
請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記複数の副画素の各々の前記上電極は、前記第1隔壁の前記下部の側面に接触している、
請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第2隔壁は、前記スリットによって分断された第1部分と第2部分を有し、
前記第1部分と前記第2部分の間の空間に前記有機層および前記上電極が配置されていない、
請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記複数の副画素の各々において画素開口を有するリブをさらに備え、
前記隔壁は、前記リブの上に配置され、
前記リブのうち前記スリットが設けられた前記第2隔壁の下方に位置する部分の幅は、前記リブのうち前記第1隔壁の下方に位置する部分の幅よりも大きい、
請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記隔壁は、互いに平行に延びる複数の第2隔壁を含み、
前記スリットは、前記複数の第2隔壁の少なくとも1つに対して設けられ、前記第2隔壁の延出方向に延びている、
請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記複数の副画素は、第1色を表示する複数の第1副画素と、第2色を表示する複数の第2副画素と、第3色を表示する複数の第3副画素とを含み、
前記第1副画素の開口率は、前記第2副画素の開口率および前記第3副画素の開口率よりも大きく、
前記第1副画素の少なくとも1辺が前記第2隔壁に面している、
請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記複数の第1副画素は、前記第1隔壁および前記第2隔壁の間で直線状に並び、
隣り合う前記第1副画素の間に前記隔壁が配置されていない、
請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記複数の第1副画素は、前記第1隔壁および前記第2隔壁の間で直線状に並び、
前記第2隔壁は、隣り合う前記第1副画素の間で前記第1隔壁に向けて延びる突出部を有し、
前記突出部の先端は、前記第1隔壁と離間している、
請求項10に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されている。この表示素子は、下電極と、下電極を覆う有機層と、有機層を覆う上電極とを備えている。各表示素子の上電極には、表示領域に配置された配線を通じて共通電圧が印加される。これら上電極および配線は、表示領域と全体的に重なる共通電極を構成する。
【0003】
表示装置を備える電子機器に対し、近距離無線通信(NFC)のための電波を送受信するアンテナが表示装置に重ねた状態で組み込まれることがある。この場合においては、アンテナが発する磁界に起因した渦電流が共通電極に発生し得る。共通電極が低抵抗であると、渦電流により生じる磁界が強まり、アンテナによる通信を阻害する一因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-195677号公報
【特許文献2】特開2004-207217号公報
【特許文献3】特開2008-135325号公報
【特許文献4】特開2009-32673号公報
【特許文献5】特開2010-118191号公報
【特許文献6】国際公開第2018/179308号
【特許文献7】米国特許出願公開第2022/0077251号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、改善された配線構造を有する表示装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概して、実施形態によれば、表示装置は、下電極、前記下電極に対向する上電極、および、前記下電極と前記上電極の間に配置され、前記下電極と前記上電極の電位差に応じて発光する有機層をそれぞれ含む複数の副画素と、下部および前記下部の側面から突出した上部を含み、前記複数の副画素の各々を囲う隔壁と、を備えている。
【0007】
一実施形態において、前記隔壁は、前記下部が互いに積層された第1導電層および第2導電層を含む第1隔壁と、前記下部が絶縁層および当該絶縁層の上に配置された前記第2導電層を含む第2隔壁と、を備えている。さらに、前記第2隔壁の少なくとも一部にスリットが設けられている。
【0008】
他の実施形態において、前記隔壁は、前記下部が第1高さを有する第1隔壁と、前記下部が前記第1高さよりも小さい第2高さを有する第2隔壁と、を備えている。さらに、前記第2隔壁の少なくとも一部にスリットが設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る表示装置の構成例を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る表示領域の概略的な平面図である。
図3図3は、図2に示す画素を拡大した概略的な平面図である。
図4図4は、図3中のIV-IV線に沿う表示装置の概略的な断面図である。
図5図5は、図3中のV-V線に沿う表示装置の概略的な断面図である。
図6図6は、図3中のVI-VI線に沿う表示装置の概略的な断面図である。
図7A図7Aは、第1実施形態に係る表示装置の製造工程の一部を示す概略的な断面図である。
図7B図7Bは、図7Aに続く工程を示す概略的な断面図である。
図7C図7Cは、図7Bに続く工程を示す概略的な断面図である。
図7D図7Dは、図7Cに続く工程を示す概略的な断面図である。
図7E図7Eは、図7Dに続く工程を示す概略的な断面図である。
図7F図7Fは、図7Eに続く工程を示す概略的な断面図である。
図7G図7Gは、図7Fに続く工程を示す概略的な断面図である。
図7H図7Hは、図7Gに続く工程を示す概略的な断面図である。
図8図8は、上電極を形成する工程を示す概略的な断面図である。
図9図9は、第1実施形態に係る表示装置の効果を説明するための図である。
図10図10は、第1実施形態に係る表示装置の効果を説明するための図である。
図11図11は、第1実施形態に係る第2隔壁の他の一例を示す概略的な断面図である。
図12A図12Aは、第1実施形態に係る表示装置の製造工程の他の一例を示す概略的な断面図である。
図12B図12Bは、図12Aに続く工程を示す概略的な断面図である。
図12C図12Cは、図12Bに続く工程を示す概略的な断面図である。
図12D図12Dは、図12Cに続く工程を示す概略的な断面図である。
図12E図12Eは、図12Dに続く工程を示す概略的な断面図である。
図13図13は、第2実施形態に係る表示装置の概略的な断面図である。
図14A図14Aは、第2実施形態に係る表示装置の製造工程の一部を示す概略的な断面図である。
図14B図14Bは、図14Aに続く工程を示す概略的な断面図である。
図14C図14Cは、図14Bに続く工程を示す概略的な断面図である。
図14D図14Dは、図14Cに続く工程を示す概略的な断面図である。
図14E図14Eは、図14Dに続く工程を示す概略的な断面図である。
図14F図14Fは、図14Eに続く工程を示す概略的な断面図である。
図15図15は、第2実施形態に係る第2隔壁の他の一例を示す概略的な断面図である。
図16図16は、第3実施形態に係る表示装置の概略的な断面図である。
図17図17は、第3実施形態に係る表示装置の他の概略的な断面図である。
図18A図18Aは、第3実施形態に係る表示装置の製造工程の一部を示す概略的な断面図である。
図18B図18Bは、図18Aに続く工程を示す概略的な断面図である。
図18C図18Cは、図18Bに続く工程を示す概略的な断面図である。
図18D図18Dは、図18Cに続く工程を示す概略的な断面図である。
図18E図18Eは、図18Dに続く工程を示す概略的な断面図である。
図19図19は、第3実施形態において上電極を形成する工程を示す概略的な断面図である。
図20図20は、第1変形例に係る第1隔壁および第2隔壁の概略的な平面図である。
図21図21は、第2変形例に係る第1隔壁および第2隔壁の概略的な平面図である。
図22図22は、第3変形例に係る第1隔壁および第2隔壁の概略的な平面図である。
図23図23は、第4変形例に係る第1隔壁および第2隔壁の概略的な平面図である。
図24図24は、第4変形例に係る第1隔壁および第2隔壁の他の概略的な平面図である。
図25図25は、第4変形例に係る接続部の他の例を示す概略的な平面図である。
図26図26は、第5変形例に係る第1隔壁および第2隔壁の概略的な平面図である。
図27図27は、第6変形例に係る第1隔壁および第2隔壁の概略的な平面図である。
図28図28は、第6変形例に係る第1隔壁および第2隔壁の他の概略的な平面図である。
図29図29は、第6変形例に係る接続部の他の例を示す概略的な平面図である。
図30図30は、第7変形例に係る第1隔壁および第2隔壁の概略的な平面図である。
図31図31は、第8変形例に係る第1隔壁および第2隔壁の概略的な平面図である。
図32図32は、第9変形例に係る第1隔壁および第2隔壁の概略的な平面図である。
図33図33は、第10変形例に係る第1隔壁および第2隔壁の概略的な平面図である。
図34図34は、第11変形例に係る第1隔壁および第2隔壁の概略的な平面図である。
図35図35は、第12変形例に係る第1隔壁および第2隔壁の概略的な平面図である。
図36図36は、第13変形例に係る第1隔壁および第2隔壁の概略的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
いくつかの実施形態について図面を参照しながら説明する。
開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0011】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向Xと称し、Y軸に沿った方向を第2方向Yと称し、Z軸に沿った方向を第3方向Zと称する。第3方向Zは、第1方向Xと第2方向Yを含む平面に対して法線方向である。また、第3方向Zと平行に各種要素を見ることを平面視という。Z軸の矢印が指す方向を上と称し、その反対方向を下と称すことがある。また、上、上方あるいは対向などの2つ以上の構成要素の相互の位置関係を示す用語により規定される状態は、これら構成要素が直接接する状態のみならず、空隙や他の構成要素を挟んで相互に離間している状態も含み得る。
【0012】
各実施形態に係る表示装置は、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であり、テレビ、パーソナルコンピュータ、車載機器、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話端末、ウェアラブル端末等の各種の電子機器に搭載され得る。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る表示装置DSPの構成例を示す図である。表示装置DSPは、絶縁性の基板10を備えている。基板10は、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAの周辺の周辺領域SAとを有している。基板10は、ガラスであってもよいし、可撓性を有する樹脂フィルムであってもよい。
【0014】
本実施形態においては、平面視における基板10の形状が長方形である。ただし、基板10の平面視における形状は長方形に限られず、正方形、円形あるいは楕円形などの他の形状であってもよい。
【0015】
表示領域DAは、第1方向Xおよび第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。画素PXは、異なる色を表示する複数の副画素SPを含む。本実施形態においては、画素PXが青色の副画素SP1と、緑色の副画素SP2と、赤色の副画素SP3とを含む場合を想定する。ここで、副画素SP1,SP2,SP3は、第1副画素、第2副画素および第3副画素の一例である。また、青色、緑色および赤色は、第1色、第2色および第3色の一例である。画素PXは、白色や黄色などの他の色の副画素SPを含んでもよい。また、画素PXを構成する副画素SPの数は3つに限定されない。
【0016】
副画素SPは、画素回路1と、画素回路1によって駆動される表示素子DEとを備えている。画素回路1は、画素スイッチ2と、駆動トランジスタ3と、キャパシタ4とを備えている。画素スイッチ2および駆動トランジスタ3は、例えば薄膜トランジスタにより構成されたスイッチング素子である。
【0017】
表示領域DAには、各副画素SPの画素回路1に走査信号を供給する複数の走査線Gと、各副画素SPの画素回路1に映像信号を供給する複数の信号線Sと、複数の電源線PLとが配置されている。図1の例においては、走査線Gおよび電源線PLが第1方向Xに延び、信号線Sが第2方向Yに延びている。
【0018】
画素スイッチ2のゲート電極は、走査線Gに接続されている。画素スイッチ2のソース電極およびドレイン電極の一方は信号線Sに接続され、他方は駆動トランジスタ3のゲート電極およびキャパシタ4に接続されている。駆動トランジスタ3において、ソース電極およびドレイン電極の一方は電源線PLおよびキャパシタ4に接続され、他方は表示素子DEに接続されている。
【0019】
なお、画素回路1の構成は図示した例に限られない。例えば、画素回路1は、より多くの薄膜トランジスタおよびキャパシタを備えてもよい。
【0020】
図2は、本実施形態に係る表示領域DAの概略的な平面図である。表示領域DAには、導電性の隔壁6が配置されている。隔壁6は、表示素子DEに共通電圧を供給する配線として機能する。隔壁6は、副画素SP1,SP2,SP3を囲う格子状である。
【0021】
図2の例においては、複数の副画素SP1を含む画素列C1と、複数の副画素SP2,SP3を含む画素列Cmとが表示領域DAに形成されている。画素列C1と画素列Cmは、第1方向Xに交互に並んでいる。画素列C1においては、複数の副画素SP1が第2方向Yに並んでいる。画素列Cmにおいては、副画素SP2と副画素SP3が第2方向Yに交互に並んでいる。
【0022】
本実施形態において、隔壁6は、複数の第1隔壁6Aと、互いに平行に延びる複数の第2隔壁6B(斜線を付した部分)とを有している。これら隔壁6A,6Bの詳細な構造については、図5を用いて後述する。
【0023】
複数の第2隔壁6Bは、第2方向Yに直線状に延び、第1方向Xに間隔をあけて並んでいる。複数の第2隔壁6Bの少なくとも1つには、スリットSLが設けられている。図2においては全ての第2隔壁6BにスリットSLが設けられているが、この例に限られない。スリットSLは、第2隔壁6Bの延出方向(図2においては第2方向Y)に延びている。
【0024】
隣り合う2つの第2隔壁6Bの間には、画素列Cmと画素列C1が1つずつ配置されている。第1隔壁6Aは、隣り合う2つの第2隔壁6Bの間に位置する副画素SP1,SP2,SP3の境界に沿って形成されている。
【0025】
図3は、図2において鎖線枠で囲った画素PXを拡大した概略的な平面図である。表示領域DAには、リブ5が配置されている。隔壁6は、全体的にリブ5と重なっている。リブ5は、副画素SP1,SP2,SP3においてそれぞれ画素開口AP1,AP2,AP3を有している。
【0026】
図3の例においては、画素開口AP1が画素開口AP2よりも大きく、画素開口AP2が画素開口AP3よりも大きい。すなわち、副画素SP1,SP2,SP3のうちで副画素SP1の開口率が最も大きく、副画素SP3の開口率が最も小さい。
【0027】
副画素SP1は、画素開口AP1とそれぞれ重なる下電極LE1、上電極UE1および有機層OR1を備えている。副画素SP2は、画素開口AP2とそれぞれ重なる下電極LE2、上電極UE2および有機層OR2を備えている。副画素SP3は、画素開口AP3とそれぞれ重なる下電極LE3、上電極UE3および有機層OR3を備えている。下電極LE1,LE2,LE3、上電極UE1,UE2,UE3および有機層OR1,OR2,OR3の端部は、全体的にリブ5および隔壁6と重なっている。
【0028】
下電極LE1、上電極UE1および有機層OR1のうち画素開口AP1と重なる部分は、副画素SP1の表示素子DE1を構成する。下電極LE2、上電極UE2および有機層OR2のうち画素開口AP2と重なる部分は、副画素SP2の表示素子DE2を構成する。下電極LE3、上電極UE3および有機層OR3のうち画素開口AP3と重なる部分は、副画素SP3の表示素子DE3を構成する。表示素子DE1,DE2,DE3は、後述するキャップ層をさらに含んでもよい。リブ5および隔壁6は、これら表示素子DE1,DE2,DE3の各々を囲っている。
【0029】
例えば、上電極UE1および有機層OR1は、第2方向Yに並ぶ複数の副画素SP1にわたって形成されている。他の例として、隣り合う副画素SP1の上電極UE1および有機層OR1が隔壁6の上で分割されてもよい。
【0030】
副画素SP1,SP2,SP3(表示素子DE1,DE2,DE3)は、いずれも矩形状である。副画素SP1,SP2,SP3の各々において、4辺のうちの少なくとも1辺が第1隔壁6Aに面している。図3の例においては、副画素SP1,SP2,SP3の各々の3辺が第1隔壁6Aに面し、残りの1辺が第2隔壁6Bに面している。
【0031】
第1隔壁6Aは幅W1aを有し、第2隔壁6Bは幅W2aを有している。リブ5のうち第1隔壁6Aの下方に位置する部分は幅W1bを有し、第2隔壁6Bの下方に位置する部分は幅W2bを有している。幅W1bは幅W1aよりも大きく(W1a<W1b)、幅W2bは幅W2aよりも大きい(W2a<W2b)。図3の例においては、幅W2aが幅W1aよりも大きい(W1a<W2a)。また、幅W2bが幅W1bよりも大きい(W1b<W2b)。なお、隔壁6A,6Bおよびリブ5の幅の関係は、ここで例示したものに限られない。
【0032】
第2隔壁6Bは、スリットSLによって第1部分P1と第2部分P2に分断されている。第1部分P1および第2部分P2の幅は、例えば同等であるが、互いに異なってもよい。図3の例においては、スリットSLの幅が第1部分P1および第2部分P2のそれぞれの幅よりも小さい。上述の幅W2aは、第1部分P1、第2部分P2およびスリットSLの合計幅に相当する。
【0033】
図4は、図3中のIV-IV線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。上述の基板10の上に回路層11が配置されている。回路層11は、図1に示した画素回路1、走査線G、信号線Sおよび電源線PLなどの各種回路や配線を含む。回路層11は、有機絶縁層12により覆われている。有機絶縁層12は、回路層11により生じる凹凸を平坦化する平坦化膜として機能する。
【0034】
下電極LE1,LE2,LE3は、有機絶縁層12の上に配置されている。リブ5は、有機絶縁層12および下電極LE1,LE2,LE3の上に配置されている。下電極LE1,LE2,LE3の端部は、リブ5により覆われている。図4の断面には表れていないが、下電極LE1,LE2,LE3は、それぞれ有機絶縁層12に設けられたコンタクトホールを通じて回路層11の画素回路1に接続されている。
【0035】
隔壁6は、リブ5の上に配置された導電性を有する下部61と、下部61の上に配置された上部62とを含む。上部62は、下部61よりも大きい幅を有している。これにより、上部62の両端部が下部61の側面よりも突出している。このような隔壁6の形状は、オーバーハング状と呼ばれる。
【0036】
有機層OR1は、画素開口AP1を通じて下電極LE1を覆っている。上電極UE1は、有機層OR1を覆い、下電極LE1と対向している。有機層OR2は、画素開口AP2を通じて下電極LE2を覆っている。上電極UE2は、有機層OR2を覆い、下電極LE2と対向している。有機層OR3は、画素開口AP3を通じて下電極LE3を覆っている。上電極UE3は、有機層OR3を覆い、下電極LE3と対向している。上電極UE1,UE2,UE3は、隔壁6の下部61の側面に接触している。
【0037】
表示素子DE1は、上電極UE1の上に配置されたキャップ層CP1を含む。表示素子DE2は、上電極UE2の上に配置されたキャップ層CP2を含む。表示素子DE3は、上電極UE3の上に配置されたキャップ層CP3を含む。キャップ層CP1,CP2,CP3は、それぞれ有機層OR1,OR2,OR3が発する光の取り出し効率を向上させる光学調整層としての役割を有している。
【0038】
以下の説明においては、有機層OR1、上電極UE1およびキャップ層CP1を含む多層体を積層膜FL1と呼び、有機層OR2、上電極UE2およびキャップ層CP2を含む多層体を積層膜FL2と呼び、有機層OR3、上電極UE3およびキャップ層CP3を含む多層体を積層膜FL3と呼ぶ。
【0039】
積層膜FL1の一部は、上部62の上に位置している。当該一部は、積層膜FL1のうち隔壁6の下に位置する部分(表示素子DE1を構成する部分)と離間している。同様に、積層膜FL2の一部は上部62の上に位置し、当該一部は積層膜FL2のうち隔壁6の下に位置する部分(表示素子DE2を構成する部分)と離間している。さらに、積層膜FL3の一部は上部62の上に位置し、当該一部は積層膜FL3のうち隔壁6の下に位置する部分(表示素子DE3を構成する部分)と離間している。
【0040】
副画素SP1,SP2,SP3には、それぞれ封止層SE1,SE2,SE3が配置されている。封止層SE1は、積層膜FL1や副画素SP1の周囲の隔壁6を連続的に覆っている。封止層SE2は、積層膜FL2や副画素SP2の周囲の隔壁6を連続的に覆っている。封止層SE3は、積層膜FL3や副画素SP3の周囲の隔壁6を連続的に覆っている。
【0041】
図4の例においては、副画素SP1,SP2の間の隔壁6上の積層膜FL1および封止層SE1が、当該隔壁6上の積層膜FL2および封止層SE2と離間している。また、副画素SP1,SP3の間の隔壁6上の積層膜FL1および封止層SE1が、当該隔壁6上の積層膜FL3および封止層SE3と離間している。
【0042】
隔壁6は、上電極UE1,UE2,UE3に給電するための配線としての役割を有するとともに、表示装置DSPの製造時に蒸着で形成される積層膜FL1,FL2,FL3を分断する役割も有している。このように積層膜FL1,FL2,FL3を分断することで、封止層SE1,SE2,SE3により個別に封止された表示素子DE1,DE2,DE3を得ることができる。
【0043】
封止層SE1,SE2,SE3は、樹脂層13により覆われている。樹脂層13により、隔壁6などに起因して生じる凹凸が平坦化される。樹脂層13は、封止層14により覆われている。樹脂層13および封止層14は、少なくとも表示領域DAの全体に連続的に設けられ、その一部が周辺領域SAにも及んでいる。図4の例においては、接着層15により封止層14にカバー部材16が貼り付けられている。他の例として、封止層14の上にさらに樹脂層が設けられてもよい。
【0044】
有機絶縁層12は、ポリイミドなどの有機絶縁材料で形成されている。リブ5および封止層14,SE1,SE2,SE3は、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン酸窒化物(SiON)または酸化アルミニウム(Al)などの無機絶縁材料で形成されている。一例では、リブ5がシリコン酸窒化物で形成され、封止層14,SE1,SE2,SE3がシリコン窒化物で形成されている。樹脂層13は、例えばエポキシ樹脂やアクリル樹脂などの樹脂材料(有機絶縁材料)で形成されている。
【0045】
接着層15としては、例えばOCA(Optical Clear Adhesive)を用いることができる。カバー部材16としては、例えば偏光板、タッチパネル、保護フィルムまたはカバーガラスを用いることができる。カバー部材16は、これら偏光板、タッチパネル、保護フィルムおよびカバーガラスの少なくとも2つの積層構造を有してもよい。
【0046】
下電極LE1,LE2,LE3は、例えば銀(Ag)で形成された反射層と、この反射層の上面および下面をそれぞれ覆う一対の導電性酸化物層とを有している。各導電性酸化物層は、例えばITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)またはIGZO(Indium Gallium Zinc Oxide)などの透明な導電性酸化物で形成することができる。
【0047】
上電極UE1,UE2,UE3は、例えばマグネシウムと銀の合金(MgAg)などの金属材料で形成されている。例えば、下電極LE1,LE2,LE3はアノードに相当し、上電極UE1,UE2,UE3はカソードに相当する。
【0048】
有機層OR1,OR2,OR3は、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、発光層、正孔ブロッキング層、電子輸送層および電子注入層の積層構造を有している。有機層OR1,OR2,OR3は、複数の発光層を含むいわゆるタンデム構造を有してもよい。
【0049】
キャップ層CP1,CP2,CP3は、例えば透明な複数の薄膜が重ねられた積層構造を有している。当該複数の薄膜は、無機材料によって形成された薄膜および有機材料によって形成された薄膜を含んでもよい。また、当該複数の薄膜は、互いに異なる屈折率を有している。例えば、これら薄膜の屈折率は、上電極UE1,UE2,UE3の屈折率および封止層SE1,SE2,SE3の屈折率と異なる。なお、キャップ層CP1,CP2,CP3の少なくとも1つが省略されてもよい。
【0050】
隔壁6には、共通電圧が供給されている。この共通電圧は、第1隔壁6Aの下部61の側面に接触した上電極UE1,UE2,UE3にそれぞれ供給される。下電極LE1,LE2,LE3には、それぞれ副画素SP1,SP2,SP3の画素回路1を通じて信号線Sの映像信号に応じた画素電圧が供給される。
【0051】
有機層OR1,OR2,OR3は、電圧の印加に応じて発光する。具体的には、下電極LE1と上電極UE1の間に電位差が形成されると、有機層OR1の発光層が青色の波長域の光を放つ。下電極LE2と上電極UE2の間に電位差が形成されると、有機層OR2の発光層が緑色の波長域の光を放つ。下電極LE3と上電極UE3の間に電位差が形成されると、有機層OR3の発光層が赤色の波長域の光を放つ。
【0052】
他の例として、有機層OR1,OR2,OR3の発光層が同一色(例えば白色)の光を放ってもよい。この場合において、表示装置DSPは、発光層が放つ光を副画素SP1,SP2,SP3に対応する色の光に変換するカラーフィルタを備えてもよい。また、表示装置DSPは、発光層が放つ光により励起して副画素SP1,SP2,SP3に応じた色の光を生成する量子ドットを含んだ層を備えてもよい。
【0053】
図5は、図3中のV-V線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。この図においては、基板10、回路層11、封止層14、接着層15およびカバー部材16の図示を省略している。
【0054】
第1隔壁6Aの下部61は、リブ5の上に配置された第1導電層63と、第1導電層63の上に配置された第2導電層64とを有している。一方、第2隔壁6Bの下部61は、リブ5の上に配置された絶縁層65と、絶縁層65の上に配置された第2導電層64とを有し、第1導電層63を有していない。
【0055】
スリットSLは、第2隔壁6Bの上部62および第2導電層64を分断している。すなわち、第1部分P1の上部62および第2導電層64と、第2部分P2の上部62および第2導電層64とがスリットSLを介して離間している。第1部分P1および第2部分P2の各々において、上部62の両端部が第2導電層64の側面から突出している。
【0056】
絶縁層65は、スリットSLによって分断されていない。すなわち、第1部分P1の第2導電層64および第2部分P2の第2導電層64は、第2隔壁6Bの幅方向(図5においては第1方向X)に連続的に形成された絶縁層65の上に配置されている。例えば、絶縁層65の両端部は、それぞれ第1部分P1および第2部分P2の上部62の下方に位置している。
【0057】
図5の例においては、第1隔壁6Aの第1導電層63の側面と第2導電層64の側面とが揃っている。一方、第2隔壁6Bにおいては、絶縁層65の両端部がそれぞれ第1部分P1および第2部分P2の第2導電層64の側面から突出している。
【0058】
図5の例においては、第1導電層63の厚さと、絶縁層65の厚さとが同等である。また、第1隔壁6Aおよび第2隔壁6Bの第2導電層64の厚さも同等である。したがって、第1隔壁6Aの下部61の高さHA(リブ5の上面から第1隔壁6Aの上部62までの距離)と、第2隔壁6Bの下部61の高さHB(リブ5の上面から第1部分P1および第2部分P2の上部62までの距離)とが同等である。
【0059】
図中左方のリブ5の上方において、上電極UE1,UE2は、いずれも第1隔壁6Aの第1導電層63の側面に接触している。図5の断面には表れていないが、上電極UE3も副画素SP3に面した第1隔壁6Aの第1導電層63の側面に接触している。上電極UE1,UE2,UE3は、第1隔壁6Aの第2導電層64の側面にさらに接触してもよい。
【0060】
図中右方のリブ5の上方において、上電極UE1,UE2は、いずれも第2隔壁6Bの絶縁層65の側面に接触している。図5の断面には表れていないが、上電極UE3も副画素SP3に面した第2隔壁6Bの絶縁層65の側面に接触している。上電極UE1,UE2,UE3は、第2隔壁6Bの第2導電層64の側面に接触していない。
【0061】
このような隔壁6の構成においては、主に第1隔壁6Aから上電極UE1,UE2,UE3に共通電圧が供給される。上電極UE1,UE2,UE3と第2隔壁6Bは、第1隔壁6Aを介して電気的に接続されているものの、直接は導通していない。
【0062】
不所望なリーク電流を抑制する観点からは、有機層OR1,OR2,OR3が第1隔壁6Aの第1導電層63に接触していないことが好ましい。図5の例においては、有機層OR1,OR2,OR3が絶縁層65と離間している。ただし、有機層OR1,OR2,OR3が絶縁層65と接触してもよい。
【0063】
第1部分P1と第2部分P2の間の空間には、積層膜FL1,FL2,FL3および封止層SE1,SE2,SE3が配置されていない。例えば、当該空間は、樹脂層13により満たされている。他の例として、当該空間に積層膜FL1,FL2,FL3および封止層SE1,SE2,SE3の一部が配置されてもよい。ただし、この場合においては、第1部分P1および第2部分P2が上電極UE1,UE2,UE3を介して導通しないことが好ましい。
【0064】
第1導電層63および第2導電層64は、例えば金属材料によって形成されている。この金属材料としては、例えばアルミニウム(Al)、アルミニウム-ネオジム合金(AlNd)、アルミニウム-イットリウム合金(AlY)またはアルミニウム-シリコン合金(AlSi)を用いることができる。第1導電層63および第2導電層64は、同じ材料で形成されてもよいし、異なる材料で形成されてもよい。
【0065】
上部62は、例えば金属材料によって形成されている。この金属材料としては、例えばチタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、モリブデン-タングステン合金(MoW)またはモリブデン-ニオブ合金(MoNb)を用いることができる。上部62は、これらの金属材料で形成された下層と、導電性酸化物で形成された上層との積層構造を有してもよい。この導電性酸化物としては、例えばITOまたはIZOを用いることができる。なお、上部62は、絶縁材料で形成された層を含んでもよい。
【0066】
絶縁層65は、例えばシリコン窒化物、シリコン酸化物またはシリコン酸窒化物のような無機絶縁材料で形成されている。絶縁層65は、有機絶縁材料で形成されてもよい。
【0067】
図6は、図3中のVI-VI線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図であり、第1隔壁6Aと第2隔壁6Bの境界付近の構造を示している。第1隔壁6Aの第2導電層64と、第2隔壁6Bの第2導電層64(図6においては第2部分P2の第2導電層64)は、互いに連続している。また、第1隔壁6Aの上部62と、第2隔壁6Bの上部62(図6においては第2部分P2の上部62)も互いに連続している。
【0068】
図6の例においては、第1導電層63の端部Eが絶縁層65の上に位置している。これにより、端部Eの上方において、第2導電層64および上部62が盛り上がった隆起部RPが形成されている。この例に限られず、端部Eが絶縁層65とリブ5の間に位置してもよい。
【0069】
続いて、表示装置DSPの製造方法について説明する。
表示装置DSPを製造するにあたっては、基板10の上に回路層11、有機絶縁層12および下電極LE1,LE2,LE3が順に形成される。その後、リブ5、隔壁6および表示素子DE1,DE2,DE3を形成するための工程が実施される。
【0070】
図7A乃至図7Hは、リブ5、隔壁6および表示素子DE1を形成するための工程を示す概略的な断面図である。これらの図においては、基板10および回路層11の図示を省略している。
【0071】
先ず、図7Aに示すように、リブ5に加工するためのリブ層5aが形成される。リブ層5aは、下電極LE1,LE2,LE3を全体的に覆っている。
【0072】
次に、図7Bに示すように、第2隔壁6Bを形成すべき位置に絶縁層65が形成される。さらに、図7Cに示すように、第1隔壁6Aを形成すべき位置に第1導電層63が形成される。
【0073】
絶縁層65および第1導電層63の形成後、図7Dに示すように、第2導電層64に加工するための第1層L1と、上部62に加工するための第2層L2とが形成される。第1層L1は、第1導電層63、絶縁層65およびリブ層5aを全体的に覆っている。第2層L2は、第1層L1を全体的に覆っている。
【0074】
その後、図7Eに示すように、第1層L1および第2層L2がパターニングされ、第2導電層64および上部62が形成される。このとき、絶縁層65の上方において第2導電層64および上部62が分断され、第1部分P1、第2部分P2およびこれらの間のスリットSLが形成される。これにより、第1隔壁6Aおよび第2隔壁6Bが完成する。
【0075】
上部62は、例えばウェットエッチングによってパターニングされる。第1層L1は、例えばドライエッチングとウェットエッチングによってパターニングされる。すなわち、先ずドライエッチングにより、第1層L1のうち上部62から露出した部分が除去される。次に、ウェットエッチングにより、上部62の下方に位置する第1層L1の幅が低減される。これらドライエッチングおよびウェットエッチングにおいては、第1導電層63も侵食され得る。そこで、第1層L1のパターニング前の第1導電層63の幅を、最終的な第1隔壁6Aに求められる第1導電層63の幅よりも大きくしておくことが好ましい。
【0076】
第1隔壁6Aおよび第2隔壁6Bの形成後、図7Fに示すようにリブ層5aがパターニングされ、画素開口AP1,AP2,AP3を有するリブ5が形成される。
【0077】
続いて、表示素子DE1,DE2,DE3を形成するための工程が実施される。表示素子DE1,DE2,DE3の形成順は特に限定されないが、一例では表示素子DE1が最初に形成され、表示素子DE2が2番目に形成され、表示素子DE3が最後に形成される。
【0078】
表示素子DE1の形成にあたっては、図7Gに示すように、製造途中の基板の全体に積層膜FL1および封止層SE1が形成される。積層膜FL1を構成する有機層OR1、上電極UE1およびキャップ層CP1は、いずれも蒸着によって形成される。封止層SE1は、CVD(Chemical Vapor Deposition)によって形成される。
【0079】
積層膜FL1は、オーバーハング状の第1隔壁6A、第2隔壁6Bの第1部分P1および第2部分P2によって分断される。封止層SE1は、分断さることなく積層膜FL1、第1隔壁6A、第1部分P1および第2部分P2を連続的に覆う。積層膜FL1および封止層SE1は、第1部分P1と第2部分P2の間の空間にも形成される。
【0080】
次に、図7Hに示すように、積層膜FL1および封止層SE1がパターニングされる。このパターニングにおいては、積層膜FL1および封止層SE1のうち副画素SP1に位置する部分が残され、他の部分が除去される。これにより、副画素SP1に表示素子DE1が形成された基板を得ることができる。なお、このパターニングにおいては、第1部分P1と第2部分P2の間の空間に形成された積層膜FL1および封止層SE1も除去される。
【0081】
表示素子DE2,DE3は、表示素子DE1と同様の工程によって形成される。表示素子DE1,DE2,DE3の形成後、樹脂層13および封止層14が形成される。さらに、接着層15を介してカバー部材16が貼り付けられ、表示装置DSPが完成する。
【0082】
図8は、上電極UE1を形成する工程を示す概略的な断面図である。上電極UE1を形成する際には、蒸着源から上電極UE1の蒸着材料が第3方向Zに対する拡がり角θをもって放射される。拡がり角θは、例えば最大で45度程度である。第2隔壁6Bの形状は、この蒸着材料が第2導電層64に付着しないように定められる。
【0083】
具体的には、第2導電層64への蒸着材料の付着を抑制するためには、第1部分P1および第2部分P2のそれぞれにおける上部62の突出長さLpと、第2導電層64の厚さT1との関係を適切に定めなければならない。突出長さLpは、第2導電層64の側面から上部62の端部までの距離に相当する。例えば、拡がり角θが45度の場合を想定すると、第2導電層64への蒸着材料の付着を抑制するためには、厚さT1を突出長さLp以下にする必要がある。
【0084】
一例では、突出長さLpが0.5μmである場合、厚さT1は0.5μm以下であることが好ましい。絶縁層65の厚さT2は、例えば厚さT1と同等の0.5μmである。この場合においては、高さHBが1.0μmである。
【0085】
図8の例のように絶縁層65の両端部が第2導電層64の側面から突出した構造においては、第2導電層64の厚さT1が小さすぎると、第2導電層64の側面を良好に覆うように封止層SE1を形成することが困難な場合があり得る。そこで、厚さT1を0.2μm以上確保することが好ましい。
【0086】
図8においては上電極UE1に着目したが、上電極UE2,UE3も上電極UE1と同様の蒸着によって形成される。突出長さLp以下となるように厚さT1を定めることで、上電極UE2,UE3の第2導電層64への付着を抑制することができる。また、厚さT1を例えば0.2μm以上とすることで、第2導電層64の側面を良好に覆うように封止層SE2,SE3を形成することができる。
【0087】
図9および図10は、本実施形態に係る表示装置DSPの効果を説明するための図である。表示装置DSPが搭載される電子機器は、近距離無線通信(NFC)のためのアンテナAT1を備えることがある。アンテナAT1は、例えば表示装置DSPの裏面(図4に示す基板10の下面)に対向するように配置され、表示装置DSPを通じて他の電子機器のアンテナAT2と無線通信する。
【0088】
表示領域DAに配置された隔壁6および上電極UE1,UE2,UE3は、共通電圧が印加される共通電極CEを構成する。アンテナAT1,AT2間の無線通信時には、アンテナAT1が形成する磁界M1により共通電極CEに渦電流Iが発生する。渦電流Iにより、磁界M1を打ち消す方向の磁界M2が形成され、信号強度が減衰する。そのため、表示装置DSPを介して無線通信を行う場合には通信感度が低下し得る。特に、主に金属材料で形成された格子状の隔壁6が表示領域DAの全体に形成されている場合には、共通電極CEが低抵抗となる。これにより、大きい渦電流Iとそれに伴う強い磁界M2が生じ、通信感度が低下しやすい。
【0089】
これに対し、本実施形態においては、隔壁6が第1隔壁6Aと第2隔壁6Bを有しており、上電極UE1,UE2,UE3への給電は下部61が全体的に導電層で形成された第1隔壁6Aが担う。これに対し、第2隔壁6Bは、上電極UE1,UE2,UE3と直接は導通していない。共通電極CEの抵抗は、副画素SP1と副画素SP2、副画素SP1と副画素SP3、副画素SP2と副画素SP3のそれぞれの副画素間に略網目状に配置された隔壁6の上部62と第1隔壁6Aと第2隔壁6Bの抵抗、および、上電極UE1,UE2,UE3と隔壁6との接続状態で規定される。このうち、第2隔壁6B部分の抵抗は、第1隔壁6A部分の抵抗に対して、例えば、半分程度になるため、このような第2隔壁6Bを表示領域DAに設けることにより、共通電極CEの抵抗が増加する。結果として、共通電極CEの渦電流を抑制することになるので、通信感度の低下を緩和することができる。
【0090】
さらに、本実施形態においては、第2隔壁6BがスリットSLによって第1部分P1と第2部分P2に分断されている。これにより、共通電極CEの抵抗、特にスリットSLを横切る方向の抵抗が一層増加し、通信感度の低下を抑制する効果が高まる。
【0091】
第2隔壁6Bは、第1隔壁6Aと同じく積層膜FL1,FL2,FL3を分断する機能を発揮する。そのため、第2隔壁6Bを設けた場合でも、積層膜FL1,FL2,FL3を副画素SP1,SP2,SP3の周囲で分断し、封止層SE1,SE2,SE3により良好に封止することが可能である。
【0092】
第1部分P1と第2部分P2の導通をより確実に抑制する観点からは、表示素子DE1の形成時に第1部分P1と第2部分P2の間の空間に形成される上電極UE1(図8参照)がその後のパターニングの工程におけるエッチングで除去されることが好ましい。本実施形態においては、スリットSLによって絶縁層65が分断されていないので、当該空間が浅く形成されている。そのため、当該空間の上電極UE1の除去が容易である。なお、仮に上電極UE1が完全には除去されない場合であっても、上電極UE1は第1部分P1および第2部分P2の第2導電層64に接触していないために、第1部分P1および第2部分P2の導通は抑制される。上電極UE2,UE3に関しても同様の効果を得ることができる。
【0093】
本実施形態にて開示した構成は、種々の態様に変形し得る。
図11は、本実施形態に係る第2隔壁6Bの他の一例を示す概略的な断面図である。この図の例においては、絶縁層65の両端部が、第1部分P1および第2部分P2の第2導電層64の側面から突出していない。これにより、絶縁層65と第2導電層64の側面が揃っている。このような構成であっても上述の効果を得ることができる。
【0094】
図12A乃至図12Eは、本実施形態に係る表示装置DSPの製造方法の他の一例を示す概略的な断面図である。図12Aにおいては、図7Aと同じく下電極LE1,LE2,LE3を全体的に覆うリブ層5aが形成されている。
【0095】
その後、図12Bに示すようにリブ層5aがパターニングされ、画素開口AP1,AP2,AP3を有するリブ5が形成される。すなわち、図12A乃至図12Eの例においては、隔壁6の形成前にリブ5が形成される。
【0096】
リブ5の形成後、図12Cに示すように、第2隔壁6Bを形成すべき位置に絶縁層65が形成され、第1隔壁6Aを形成すべき位置に第1導電層63が形成される。さらに、図12Dに示すように、第2導電層64に加工するための第1層L1と、上部62に加工するための第2層L2とが形成される。
【0097】
続いて、図12Eに示すように、第1層L1および第2層L2がパターニングされ、第2導電層64および上部62が形成される。これにより、第1隔壁6Aおよび第2隔壁6Bが完成する。以降の工程は、本実施形態において上述したものと同様である。
【0098】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。特に言及しない構成および効果は第1実施形態と同様である。
【0099】
図13は、第2実施形態に係る表示装置DSPの概略的な断面図であり、図5と同じく図3中のV-V線に沿う構造を示している。本実施形態においては、第2隔壁6Bの絶縁層65がスリットSLにおいて分断されている。これにより、第1部分P1および第2部分P2それぞれの下部61が全体的に離間している。
【0100】
第1実施形態と同じく、第1部分P1と第2部分P2の間の空間には積層膜FL1,FL2,FL3および封止層SE1,SE2,SE3が配置されていない。例えば、当該空間は、樹脂層13により満たされている。
【0101】
図14A乃至図14Fは、第2実施形態に係る表示装置DSPにおけるリブ5および隔壁6を形成するための工程を示す概略的な断面図である。これらの図においては、基板10および回路層11の図示を省略している。
【0102】
図14Aにおいては、図7Aと同じく下電極LE1,LE2,LE3を全体的に覆うリブ層5aが形成されている。
【0103】
リブ層5aの形成後、図14Bに示すように、第2隔壁6Bの第1部分P1と第2部分P2を形成すべき位置にそれぞれ絶縁層65が形成される。さらに、図14Cに示すように、第1隔壁6Aを形成すべき位置に第1導電層63が形成される。
【0104】
次に、図14Dに示すように、第2導電層64に加工するための第1層L1と、上部62に加工するための第2層L2とが形成される。その後、図14Eに示すように、第1層L1および第2層L2がパターニングされ、第2導電層64および上部62が形成される。これにより、第1隔壁6Aおよび第2隔壁6Bが完成する。
【0105】
第1隔壁6Aおよび第2隔壁6Bの形成後、図14Fに示すようにリブ層5aがパターニングされ、画素開口AP1,AP2,AP3を有するリブ5が形成される。以降の工程は、第1実施形態において上述したものと同様である。
【0106】
なお、図14A乃至図14Fにおいては、隔壁6の形成後に画素開口AP1,AP2,AP3が形成される例を示した。他の例として、画素開口AP1,AP2,AP3の形成後に隔壁6が形成されてもよい。
【0107】
図15は、本実施形態に係る第2隔壁6Bの他の一例を示す概略的な断面図である。この図の例においては、第1部分P1および第2部分P2の各々において、絶縁層65の両端部が第2導電層64の側面から突出していない。これにより、絶縁層65と第2導電層64の側面が揃っている。
以上説明した本実施形態の構成であっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0108】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。特に言及しない構成および効果は第1実施形態と同様である。
【0109】
図16は、第3実施形態に係る表示装置DSPの概略的な断面図であり、図5と同じく図3中のV-V線に沿う構造を示している。本実施形態においては、第2隔壁6Bの下部61が第2導電層64によって構成され、第1導電層63および絶縁層65を有していない。一方で、第1隔壁6Aは、第1実施形態と同じく第1導電層63および第2導電層64を有している。これにより、第2隔壁6Bの高さHBは、第1隔壁6Aの高さHAよりも小さい。
【0110】
図中右方のリブ5の上方において、上電極UE1,UE2は、いずれも第2隔壁6Bの第1部分P1および第2部分P2の下部61(第2導電層64)に接触していない。図16の断面には表れていないが、上電極UE3も副画素SP3に面した第2隔壁6Bの下部61の側面に接触していない。
【0111】
図17は、第3実施形態に係る表示装置DSPの他の概略的な断面図であり、図6と同じく図3中のVI-VI線に沿う構造を示している。第1隔壁6Aの第2導電層64と、第2隔壁6Bの第2導電層64(図17においては第2部分P2の第2導電層64)は、互いに連続している。また、第1隔壁6Aの上部62と、第2隔壁6Bの上部62(図17においては第2部分P2の上部62)も互いに連続している。
【0112】
図17の例においては、第1隔壁6Aと第2隔壁6B(第2部分P2)の境界において、第1導電層63の端部Eに起因した段差STが上部62の表面に形成されている。
【0113】
図18A乃至図18Eは、第3実施形態に係る表示装置DSPにおけるリブ5および隔壁6を形成するための工程を示す概略的な断面図である。これらの図においては、基板10および回路層11の図示を省略している。
【0114】
図18Aにおいては、図7Aと同じく下電極LE1,LE2,LE3を全体的に覆うリブ層5aが形成されている。
【0115】
リブ層5aの形成後、図18Bに示すように、第1隔壁6Aを形成すべき位置に第1導電層63が形成される。さらに、図18Cに示すように、第2導電層64に加工するための第1層L1と、上部62に加工するための第2層L2とが形成される。第1層L1は、第1導電層63およびリブ層5aを全体的に覆っている。第2層L2は、第1層L1を全体的に覆っている。
【0116】
その後、図18Dに示すように、第1層L1および第2層L2がパターニングされ、第2導電層64および上部62が形成される。これにより、第1隔壁6Aおよび第2隔壁6Bが完成する。
【0117】
第1隔壁6Aおよび第2隔壁6Bの形成後、図18Eに示すようにリブ層5aがパターニングされ、画素開口AP1,AP2,AP3を有するリブ5が形成される。以降の工程は、第1実施形態において上述したものと同様である。
【0118】
なお、図18A乃至図18Eにおいては、隔壁6の形成後に画素開口AP1,AP2,AP3が形成される例を示した。他の例として、画素開口AP1,AP2,AP3の形成後に隔壁6が形成されてもよい。
【0119】
図19は、上電極UE1を形成する工程を示す概略的な断面図である。上述のとおり、上電極UE1を形成する際には、蒸着源から上電極UE1の蒸着材料が第3方向Zに対する拡がり角θをもって放射される。上部62の突出長さLpおよび第2隔壁6Bの高さHB(第2導電層64の厚さT1)は、この蒸着材料が第2導電層64に付着しないように定められる。
【0120】
例えば、拡がり角θが45度の場合を想定すると、第2導電層64への蒸着材料の付着を抑制するためには、高さHB(厚さT1)を突出長さLp以下にする必要がある。一例では、突出長さLpが0.5μmである場合、高さHBは0.5μm以下であることが好ましい。
【0121】
また、高さHBが小さすぎると、第2導電層64の側面を良好に覆うように封止層SE1を形成することが困難な場合があり得る。さらに、高さHBが小さすぎると、積層膜FL1が第2隔壁6Bによって分断されない可能性がある。そこで、高さHBを0.2μm以上確保することが好ましい。
【0122】
図19においては上電極UE1に着目したが、突出長さLp以下となるように高さHBを定めることで、上電極UE2,UE3の第2導電層64への付着を抑制することができる。また、高さHBを例えば0.2μm以上とすることで、第2隔壁6Bにより積層膜FL2,FL3を分断するとともに、第2導電層64の側面を良好に覆うように封止層SE2,SE3を形成することができる。
【0123】
本実施形態においては、第2隔壁6Bが低いために、第1部分P1と第2部分P2の間の空間が浅い。そのため、第1実施形態と同じく、当該空間に形成された上電極UE1の除去が容易である。なお、仮に上電極UE1が完全には除去されない場合であっても、上電極UE1は第1部分P1および第2部分P2の第2導電層64に接触していないために、第1部分P1および第2部分P2の導通は抑制される。上電極UE2,UE3に関しても同様の効果を得ることができる。
【0124】
本実施形態においても、第2隔壁6Bは、上電極UE1,UE2,UE3と直接は通電していない。このような第2隔壁6Bを表示領域DAに設けることにより、第1実施形態と同じく共通電極CEの抵抗が増加するため、近距離無線通信の通信感度の低下を抑制することができる。
【0125】
[変形例]
以下に、第1隔壁6Aおよび第2隔壁6Bの平面形状に関するいくつかの変形例を示す。各変形例における第2隔壁6Bには、第1乃至第3実施形態にて開示した構成を適用できる。また、各変形例における第1隔壁6Aの平面形状と第2隔壁6Bの平面形状は、互いに入れ替えてもよい。
【0126】
図20は、第1変形例に係る第1隔壁6Aおよび第2隔壁6Bの概略的な平面図である。第1変形例においては、図2の例に比べて第2隔壁6Bの数が減らされている。これにより、表示領域DAには、第2隔壁6Bに面しない副画素SP1,SP2,SP3が生じている。
【0127】
図21は、第2変形例に係る第1隔壁6Aおよび第2隔壁6Bの概略的な平面図である。第2変形例においては、第2方向Yに隣り合う副画素SP1の間にも第2隔壁6Bが配置されている。これにより、副画素SP1の3辺が第2隔壁3Bに面している。
【0128】
第2隔壁6Bのうち第2方向Yに隣り合う副画素SP1の間に位置する部分には、スリットSLが設けられていない。他の例として、この部分にスリットSLが設けられてもよい。
【0129】
図22は、第3変形例に係る第1隔壁6Aおよび第2隔壁6Bの概略的な平面図である。第3変形例における第2隔壁6Bの形状は、第2変形例と同様である。ただし、第3変形例においては、第2変形例に比べて第2隔壁6Bの数が減らされている。これにより、表示領域DAには、第2隔壁6Bに面しない副画素SP1,SP2,SP3が生じている。
【0130】
図23は、第4変形例に係る第1隔壁6Aおよび第2隔壁6Bの概略的な平面図である。第4変形例においては、第2方向Yに隣り合う副画素SP1の間に第1隔壁6Aおよび第2隔壁6Bの双方が配置されていない。すなわち、画素列C1を構成する複数の副画素SP1は、第1方向Xに隣り合う第1隔壁6Aおよび第2隔壁6Bの間で隔壁6を介さずに直線状に並んでいる。なお、第2方向Yに隣り合う副画素SP1の間には、リブ5が配置されている。
【0131】
このような構成においては、隔壁6が画素列C1に沿って分断される。これにより、隔壁6および上電極UE1,UE2,UE3で構成される共通電極CE(図9参照)の抵抗を一層高めることができる。
【0132】
図24は、第4変形例に係る第1隔壁6Aおよび第2隔壁6Bの他の概略的な平面図であり、表示領域DAと周辺領域SAの境界付近を示している。隔壁6は、画素列C1を介して隣り合う第1隔壁6Aおよび第2隔壁6Bを接続する接続部CNを有している。接続部CNは、例えば表示領域DAの第2方向Yにおける端部に位置している。このような接続部CNにより、画素列C1の第2方向Yにおける端部が閉じられる。
【0133】
図24の例においては、接続部CNが第2隔壁6Bによって構成されている。また、接続部CNにはスリットSLが設けられていない。他の例として、接続部CNにスリットSLが設けられてもよい。また、接続部CNは、第1隔壁6Aによって構成されてもよい。図24に示したものとは反対側に位置する画素列C1の第2方向Yにおける端部も接続部CNによって閉じられている。
【0134】
画素列C1においては、積層膜FL1(有機層OR1、上電極UE1およびキャップ層CP)および封止層SE1が複数の副画素SP1にわたって連続している。仮に、画素列C1の端部が隔壁6により閉じられていないと、積層膜FL1の端部を封止層SE1により封止することが困難である。これに対し、接続部CNが設けられていれば、画素列C1の端部においても積層膜FL1を良好に封止することができる。
【0135】
図25は、第4変形例に係る接続部CNの他の例を示す概略的な平面図である。この図の例においては、第2隔壁6Bによって構成された接続部CNが周辺領域SAに突出し、U字型に折り返されて第1隔壁6Aに接続されている。その他にも、接続部CNには種々の構成を適用し得る。
【0136】
図26は、第5変形例に係る第1隔壁6Aおよび第2隔壁6Bの概略的な平面図である。第5変形例においては、第4変形例に比べて第2隔壁6Bの数が減らされている。これにより、表示領域DAには、第2隔壁6Bに面しない副画素SP1,SP2,SP3が生じている。
【0137】
さらに、第2隔壁6Bに面しない副画素SP1により構成される画素列C1においては、第2方向Yに隣り合う副画素SP1の間に第1隔壁6Aが配置されている。この例に限られず、当該画素列C1において第2方向Yに隣り合う副画素SP1の間に隔壁6が配置されなくてもよい。
【0138】
図27は、第6変形例に係る第1隔壁6Aおよび第2隔壁6Bの概略的な平面図である。第6変形例の基本的な構成は第5変形例と同様である。ただし、第2隔壁6Bは、第1隔壁6Aに向けて突出する複数の突出部PTを有している。突出部PTは、第2方向Yに隣り合う副画素SP1の間に位置している。突出部PTの先端は、第1隔壁6Aと離間している。
【0139】
このような突出部PTを設けることで、第1隔壁6Aと第2隔壁6Bの間に位置する画素列C1と、第1隔壁6Aによって全周を囲われた画素列C1の見栄えを均一化することができる。
【0140】
図27においては、突出部PTにスリットSLが設けられていない。他の例として、突出部PTにスリットSLが設けられてもよい。
【0141】
図28は、第6変形例に係る第1隔壁6Aおよび第2隔壁6Bの他の概略的な平面図であり、表示領域DAと周辺領域SAの境界付近を示している。第6変形例においても、画素列C1の第2方向Yにおける端部が接続部CNにより閉じられている。接続部CNは、図28に示すように第2隔壁6Bによって構成されてもよいし、第1隔壁6Aによって構成されてもよい。図28に示したものとは反対側に位置する画素列C1の第2方向Yにおける端部も接続部CNによって閉じられている。
【0142】
図29は、第6変形例に係る接続部CNの他の例を示す概略的な平面図である。この図の例においては、第2隔壁6Bによって構成された接続部CNが周辺領域SAに突出し、U字型に折り返されて第1隔壁6Aに接続されている。その他にも、接続部CNには種々の構成を適用し得る。
【0143】
図30は、第7変形例に係る第1隔壁6Aおよび第2隔壁6Bの概略的な平面図である。この図に示す第2隔壁6Bは、図29に示したものと同様の平面形状を有している。ただし、第1方向Xにおける第2隔壁6Bの配置間隔が図29に比べて大きい。例えば、1.4型の表示装置DSPにおいて、第1方向Xの画素数が450である場合、第2隔壁6Bは、画面を8乃至16分割する程度の間隔(56乃至28画素程度)で配置し得る。なお、第2隔壁6Bの配置間隔は、表示装置DSPに重ねられるアンテナの特性などの他の要因を考慮して適宜に定めればよい。
【0144】
図31は、第8変形例に係る第1隔壁6Aおよび第2隔壁6Bの概略的な平面図である。第8変形例においては、複数の第2隔壁6Bが第1方向Xに延び、第2方向Yに一定の間隔で並んでいる。スリットSLも第1方向Xに延びている。
【0145】
副画素SP1においては、2辺が第2隔壁6Bに面している。一方、副画素SP2,SP3においては、1辺が第2隔壁6Bに面している。なお、第2隔壁6Bは、より広い間隔で配置されてもよい。他の変形例に係る構成においても同様に、第2隔壁6Bが第1方向Xに延びてもよい。
【0146】
図32は、第9変形例に係る第1隔壁6Aおよび第2隔壁6Bの概略的な平面図である。第9変形例においては、第2隔壁6Bが格子状である。第2隔壁6Bによって囲われた各領域には、副画素SP1,SP2,SP3が1つずつ配置されている。さらに、これら副画素SP1,SP2,SP3の境界に第1隔壁6Aが配置されている。なお、第2隔壁6Bは、より多くの副画素SP1,SP2,SP3を1つの閉領域に囲う形状であってもよい。
【0147】
図32においては、第2隔壁6Bのうち第2方向Yに延びる部分に対してスリットSLが設けられている。第2隔壁6Bのうち第1方向Xに延びる部分に対してはスリットSLが設けられていない。
【0148】
図33は、第10変形例に係る第1隔壁6Aおよび第2隔壁6Bの概略的な平面図である。この図に示す第2隔壁6Bは、図32に示したものと同様の格子状である。ただし、第10変形例においては、第2隔壁6Bのうち第1方向Xに延びる部分に対してスリットSLが設けられている。第2隔壁6Bのうち第2方向Yに延びる部分に対してはスリットSLが設けられていない。
【0149】
図34は、第11変形例に係る第1隔壁6Aおよび第2隔壁6Bの概略的な平面図である。第11変形例においては、画素PXを構成する副画素SP1,SP2,SP3が第1方向Xに並んでいる。これにより、表示領域DAには、第2方向Yに並ぶ複数の副画素SP1を含む画素列C1と、第2方向Yに並ぶ複数の副画素SP2を含む画素列C2と、第2方向Yに並ぶ複数の副画素SP3を含む画素列C3とが形成されている。
【0150】
図34の例においては、第2方向Yに延びる複数の第2隔壁6Bが第1方向Xに間隔を空けて配置され、各第2隔壁6Bに対してスリットSLが設けられている。隣り合う第2隔壁6Bの間には、画素列C1,C2,C3が1つずつ配置されている。第1隔壁6Aは、隣り合う第2隔壁6Bの間で副画素SP1,SP2,SP3の境界に配置されている。
【0151】
なお、第11変形例において、隣り合う第2隔壁6Bの間により多くの画素列C1,C2,C3が配置されてもよい。また、第2隔壁6BおよびスリットSLは、第1方向Xに延びてもよい。
【0152】
図35は、第12変形例に係る第1隔壁6Aおよび第2隔壁6Bの概略的な平面図である。第12変形例においては、画素PXが第4色を表示する副画素SP4をさらに含んでいる。例えば、第4色は白色である。表示領域DAには、画素列C1,C2,C3に加え、第2方向Yに並ぶ複数の副画素SP4を含む画素列C4が形成されている。
【0153】
図35の例においては、第2方向Yに延びる複数の第2隔壁6Bが第1方向Xに間隔を空けて配置され、各第2隔壁6Bに対してスリットSLが設けられている。隣り合う第2隔壁6Bの間には、画素列C1,C2,C3,C4が1つずつ配置されている。第1隔壁6Aは、隣り合う第2隔壁6Bの間で副画素SP1,SP2,SP3,SP4の境界に配置されている。
【0154】
なお、第12変形例において、隣り合う第2隔壁6Bの間により多くの画素列C1,C2,C3,C4が配置されてもよい。また、第2隔壁6BおよびスリットSLは、第1方向Xに延びてもよい。
【0155】
図36は、第13変形例に係る第1隔壁6Aおよび第2隔壁6Bの概略的な平面図である。第13変形例においては、第12変形例と同じく、画素PXが副画素SP1,SP2,SP3,SP4を含んでいる。画素PXにおいて、副画素SP1,SP2が第1方向Xに並び、副画素SP3,SP4が第1方向Xに並んでいる。さらに、副画素SP1,SP4が第2方向Yに並び、副画素SP2,SP3が第2方向Yに並んでいる。これにより、表示領域DAには、副画素SP1,SP4が第2方向Yに交互に並ぶ画素列Cm1と、副画素SP2,SP3が第2方向Yに交互に並ぶ画素列Cm2とが形成されている。なお、画素PXにおける副画素SP1,SP2,SP3,SP4の配置は適宜に変更し得る。
【0156】
図36の例においては、第2方向Yに延びる複数の第2隔壁6Bが第1方向Xに間隔を空けて配置され、各第2隔壁6Bに対してスリットSLが設けられている。隣り合う第2隔壁6Bの間には、画素列Cm1,Cm2が1つずつ配置されている。第1隔壁6Aは、隣り合う第2隔壁6Bの間で副画素SP1,SP2,SP3,SP4の境界に配置されている。
【0157】
なお、第13変形例において、隣り合う第2隔壁6Bの間により多くの画素列Cm1,Cm2が配置されてもよい。また、第2隔壁6BおよびスリットSLは、第1方向Xに延びてもよい。
【0158】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置も、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に属する。
【0159】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0160】
また、上述の各実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0161】
DSP…表示装置、DA…表示領域、SA…周辺領域、PX…画素、SP1,SP2,SP3…副画素、LE1,LE2,LE3…下電極、OR1,OR2,OR3…有機層、UE1,UE2,UE3…上電極、SE1,SE2,SE3…封止層、5…リブ、6…隔壁、6A…第1隔壁、6B…第2隔壁、61…下部、62…上部、63…第1導電層、64…第2導電層、65…絶縁層、SL…スリット、P1…第1部分、P2…第2部分。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図14F
図15
図16
図17
図18A
図18B
図18C
図18D
図18E
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36