IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 近畿車輌株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-鉄道車両の床構造 図1
  • 特開-鉄道車両の床構造 図2
  • 特開-鉄道車両の床構造 図3
  • 特開-鉄道車両の床構造 図4
  • 特開-鉄道車両の床構造 図5
  • 特開-鉄道車両の床構造 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169966
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】鉄道車両の床構造
(51)【国際特許分類】
   B61D 17/10 20060101AFI20241129BHJP
   B61D 17/00 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
B61D17/10
B61D17/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086853
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000163372
【氏名又は名称】近畿車輌株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118924
【弁理士】
【氏名又は名称】廣幸 正樹
(72)【発明者】
【氏名】広沢 賢
(72)【発明者】
【氏名】田淵 知
(72)【発明者】
【氏名】森戸 大海
(72)【発明者】
【氏名】新田 真一
(72)【発明者】
【氏名】清水 滉平
(57)【要約】
【課題】防音性と耐火性能を有する軽量な床構造を簡便に形成する。
【解決手段】台枠上に配置された下板と、
前記下板上に配置された下側断熱材と、
前記下板上に支持台で保持された制振板と、
前記制振板上に配置された耐火パネルと、
前記下板と前記下側断熱材との間、前記下側断熱材と前記制振板の間の少なくとも1カ所に、膨張性耐火塗料が塗布されている鉄道車両の床構造。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台枠上に配置された下板と、
前記下板上に配置された下側断熱材と、
前記下板上に支持台で保持された制振板と、
前記制振板上に配置された耐火パネルと、
前記下板と前記下側断熱材との間、前記下側断熱材と前記制振板の間の少なくとも1カ所に、膨張性耐火塗料が塗布されている鉄道車両の床構造。
【請求項2】
さらに、
前記制振板上に配置された上側断熱材を有し、
前記耐火パネルは前記上側断熱材の上に配置され、
前記下板と前記下側断熱材との間、前記下側断熱材と前記制振板の間、前記制振板と前記上側断熱材との間若しくは前記上側断熱材と前記耐火パネルとの間の少なくとも1カ所に、膨張性耐火塗料が塗布されている請求項1に記載された鉄道車両の床構造。
【請求項3】
前記上側断熱材の密度は、前記下側断熱材の密度より小さい請求項2に記載された鉄道車両の床構造。
【請求項4】
前記制振板は樹脂板の両面を鋼板で挟んで固定したものである請求項1乃至3の何れか一の請求項に記載された鉄道車両の床構造。
【請求項5】
前記制振板は、リブが設けられた鋼板である請求項1乃至3の何れか一の請求項に記載された鉄道車両の床構造。
【請求項6】
前記支持台がエラストマーで構成されている請求項1乃至3の何れか一の請求項に記載された鉄道車両の床構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鉄道車両の床構造に関するものであり、特に防音性と耐火性能を有する床構造を簡便に製造することができる構成を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両の場合、床下には、車輪を駆動するモータおよびその制御回路が懸架されており、大電流が流れるため火災の可能性がある。そのため、鉄道車両は万一火災が生じた場合に一定時間延焼を遅延できるような耐火性能が求められている。
【0003】
このような耐火性能を実現する耐火構造として、特許文献1には、台枠の下方にサブフロアを形成し、そこに断熱材を配置する構成が知られている。このような構造は、耐火性能を有する上に、断熱材自体が防音材ともなり、耐火性能と防音性を兼ね備える構造と言える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-130953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
サブフロアを形成し、断熱材を配置する構成は、耐火性能および防音性を発揮させることができるので、効果的であると言える。しかし、サブフロアを形成する分だけ車体重量は重くなり、工数の増加とそれに伴うコストアップといった課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みて想到されたものであり、耐火性能と防音性を兼ね備え、さらに軽量にできる鉄道車両の床構造を提供するものである。
【0007】
より具体的に本発明に係る鉄道車両の床構造は、
台枠上に配置された下板と、
前記下板上に配置された下側断熱材と、
前記下板上に支持台で保持された制振板と、
前記制振板上に配置された耐火パネルと、
前記下板と前記下側断熱材との間、前記下側断熱材と前記制振板の間の少なくとも1カ所に、膨張性耐火塗料が塗布されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る鉄道車両の床構造は、台枠上の下板と、下板より上に配置さえた耐火パネルの間に制振板を配置し、その下方に膨張性耐火塗料と断熱材を配置したので、制振板と断熱材によって防音性を発揮させ、台枠下方からの火災に関しては、膨張性耐火塗料が膨張し炭化することで変化した耐火材と、断熱材と、膨張性耐火塗料が膨張する際に断熱材中に浸み込み炭化することで得られる耐火断熱材の3層による耐火および断熱効果で客車への火災の延焼や高熱の伝導を抑制することができる。
【0009】
また、本発明に係る鉄道車両の床構造において、さらに制振板上にも断熱材と膨張性耐火塗料を配置したので、制振板の下側の構成と合わせ、通常時には防音性に寄与し、火災時には制振板の下側だけの構成でなく上側の構成とともに、さらに耐火および断熱効果が高まる。
【0010】
また、制振板の上下に断熱材と膨張性耐火塗料を配置するので、下方からの炎に対し、制振板の下側での耐火効果と上側での耐火効果が時間差を持った2段階で作用するため、客室内への延焼と温度上昇を効果的に遅延させることができる。
【0011】
また、これらの構造はサブフロアーの形成と比較すれば、はるかにコンパクトで軽量化が可能となる。そのため、コスト削減や施工工数の削減に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る鉄道車両の床構造の構成を示す図である。
図2】下方からの炎に対して制振板の下側の膨張性耐火塗料が膨張することで、熱遮断層を形成した様子を示す図である。
図3図2からさらに温度が上がり、制振板の上側の膨張性耐火塗料が膨張することで、熱遮断層を形成した様子を示す図である。
図4】制振板としてリブ付き鋼板を用いた場合の構成を示す図である。
図5】制振板を支持する支持台として弾性材を用いた場合の構成を示す図である。
図6】弾性支持台の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明に係る鉄道車両の床構造について図面を示し説明を行う。なお、以下の説明は、本発明のいくつかの実施形態を例示するものであり、本発明が以下の説明に限定されるものではない。以下の説明は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変することができる。なお、図および下記説明中「上」は重力上方向を言い、「下」は重力下方向をいう。
【0014】
(実施形態1)
図1に本発明に係る鉄道車両の床構造1の断面図を示す。本発明の床構造1は、台枠上に配置されている。図1は、台枠を軌道進行方向に対して垂直方向に切った断面の一部を示している。つまり、台枠の側梁100から軌道幅方向に台枠中央にかけた断面である。
【0015】
本発明に係る鉄道車両の床構造1は、台枠上に配置された下板10と、下板10上の下側断熱材30と、制振板14と、上側断熱材32と、耐火パネル18を含む。なお、耐火パネル18の上には床敷物20が配置してあってもよい。
【0016】
下板10は厚さ1~3mmのステンレス板が好適に利用できる。ある程度の透磁率を有していれば、床下などに配線される高電流電線(図示せず)からの漏れ磁界を低減させることができる。
【0017】
下板10上には、支持台12が所定間隔を開けて配置される。支持台12は、断面略正方形又は略長方形の中空角材が好適に利用できる。また支持台12は下板10上の軌道幅方向に複数設けられていてもよい。支持台12は制振板14を支持する。支持台12は、下板10と制振板14の距離である下側隙間22が、一定の距離になるように支持するのが好ましい。また、軌道幅方向で支持台12同士の間の距離も一定に配置するのが好ましい。
【0018】
しかし、台車や補機などが原因で発生するノイズのうち、抑制したい周波数の関係により支持台12同士の間の距離は一定間隔でない配置であってもよい。支持台12は、制振板14が振動する際の節になる箇所であり、支持台12から支持台12の距離を調節することで、共振周波数を調節することができるからである。
【0019】
支持台12同士の間には、下側断熱材30が配置される。下側断熱材30の厚みは、下側隙間22より薄く設定されている。
【0020】
また、制振板14上には、上側断熱材32が配される。上側断熱材32は、下側断熱材30よりも重量が軽いのが好ましい。この場合、上側断熱材32の密度32dが下側断熱材30の密度30dより小さいとしてもよい。上側断熱材32は、制振板14上に載置されるので、制振板14の振動を妨げないためである。
【0021】
制振板14は、サンドイッチ構造を有する制振板14rが用いられる。制振板14rの断面を図1(b)に示す。制振板14rは樹脂板14raの両面を鋼板14rbで挟持し一体化した構造を有する。つまり、樹脂板14raを鋼板14rbで挟むサンドイッチ構造を有するものである。制振板14rは、振動すると樹脂板14raが発熱することで、振動エネルギーを吸収し音を吸収することで防音効果を発揮する。制振板14rとして、具体的にはバイブレス(登録商標)等が挙げられる。
【0022】
図1(a)に戻り、支持台12上には制振板14rを挟持するように制振板押さえ16が配置される。制振板押さえ16は、少なくとも側梁100上に配置される支持台12上に配置される。言い換えると、台枠中心部付近の支持台12には、制振板押さえ16はなくてもよい。なお、支持台12および制振板押さえ16の側面にはヘルムホルツレゾネータの吸音孔が設けられ、雑音吸収に寄与する。
【0023】
制振板押さえ16の上には耐火パネル18が配置される。言い換えると、制振板押さえ16は、耐火パネル18を支持する。制振板14と耐火パネル18の間の距離を上側隙間24と呼ぶ。上側隙間24上には、上側断熱材32が配置される。上側断熱材32は、上側隙間24より薄い厚みで設定される。耐火パネル18の上には床敷物20が配置されてもよい。
【0024】
また、本発明に係る鉄道車両の床構造1では、下板10と下側断熱材30との間、下側断熱材30と制振板14の間、制振板14と上側断熱材32との間、若しくは耐火パネル18と上側断熱材32の間の少なくとも1カ所に膨張性耐火塗料34、36が塗られる。
【0025】
より具体的には下板10と下側断熱材30との間では、下板10の上面若しくは下側断熱材30の下面のいずれか若しくは両方に膨張性耐火塗料34aを塗布することができる。
【0026】
また、下側断熱材30と制振板14の間は、下側断熱材30の上面若しくは制振板14の下面の何れか若しくは両方に膨張性耐火塗料34bを塗布することができる。
【0027】
また、制振板14と上側断熱材32との間は、制振板14の上面若しくは上側断熱材32の下面の何れか若しくは両方に膨張性耐火塗料36aを塗布することができる。
【0028】
また、耐火パネル18と上側断熱材32の間は、上側断熱材32の上面若しくは耐火パネル18の下面の何れか若しくは両方に膨張性耐火塗料36bを塗布することができる。
【0029】
膨張性耐火塗料は、250℃付近から炭化しながら10~20倍程度に膨張し、断熱層を形成するものである。具体的には、リン酸アンモニウム等の発泡剤、デキストリンといった炭化剤、アクリル系等の樹脂、顔料、溶媒といった成分で構成される発泡性耐火塗料、膨張黒鉛等が挙げられる。
【0030】
以上の構成を有する本発明に係る鉄道車両の床構造1の作用について説明する。本発明に係る床構造1は、通常の運転時には、台車から台枠を伝って客室に流れる雑音に対して、支持台12を節とする振動が制振板14rに生じる。この振動は制振板14r中の樹脂板14raで熱に変換されることで吸収され、客室への雑音は減衰される。すなわち、客室に対する防音効果を奏する。なお、下側断熱材30および上側断熱材32も防音効果を奏する。
【0031】
次に台枠より下で火災が生じた場合の動作を、図2および図3を参照して説明する。図2は、下板10と下側断熱材30との間に膨張性耐火塗料34aを、制振板14rと上側断熱材32との間に膨張性耐火塗料36aを配置させた場合の例を示す。より具体的には下板10の上に膨張性耐火塗料34aを、制振板14rの上に膨張性耐火塗料36aを塗布する。台枠の下方で火災が発生すると床構造1内の温度が上昇し、まず膨張性耐火塗料34aが膨張し、耐火材34axとなる。
【0032】
耐火材34axは、火災による熱で溶融するとともに発泡しながら膨張し炭化する。そして、下側断熱材30を押し上げながら、膨張する先端部が、下側断熱材30の繊維間に入り込み炭化する。つまり、下側断熱材30の繊維構造に発泡した炭化物が侵入し、新たな耐火断熱材34mixを形成する。この耐火断熱材34mixは、耐火性能と断熱性の両方を兼ね備えた部材と言える。
【0033】
以上のように、下側隙間22は、耐火材34axと耐火断熱材34mixと下側断熱材30で充たされる。言い換えると、下側隙間22は、耐火材34axと耐火断熱材34mixと下側断熱材30で構成される熱遮断層22xに変化したと言える。熱遮断層22xは、主に耐火材34axおよび耐火断熱材34mixによって火災の延焼を押さえ、耐火断熱材34mixと下側断熱材30によって熱の伝導を抑制する。
【0034】
図3は、図2からさらに温度が上昇し、膨張性耐火塗料36aが溶融し膨張した状態を示す。下側隙間22で形成された熱遮断層22xによる温度上昇の抑制能力を超えて、上側隙間24内の温度が上昇し、一定温度を超えた場合、膨張性耐火塗料36aが膨張しながら炭化することで、耐火材36axに変化する。そして、上側断熱材32を押し上げながら、膨張する先端部が上側断熱材32の繊維構造に侵入し炭化し、新たな耐火断熱材36mixとなる。結果、上側隙間24は、耐火材36axと、耐火断熱材36mixと、上側断熱材32の組み合わせによる熱遮断層24xに変化する。
【0035】
このように制振板14の上下に断熱材と膨張性耐火塗料を配置させると、断熱材は制振板14の振動を妨げないので、上下の断熱材と制振板14によって、防音効果を奏することができる。一方、台枠の下で発生する火災に対しては、図2および図3で示したように、時間間隔をあけた2段階で火災の延焼と熱の伝導を抑制することができ、客車内への延焼と温度上昇の速度を抑制し、乗客の退避時間を長くすることができる。
【0036】
なお、断熱材と膨張性耐火塗料の上下関係を逆にすれば、耐火材と断熱材の上下関係が逆になった熱遮断層を形成することができる。
【0037】
また、上記の様に上側隙間24および下側隙間22の両方に膨張性耐火塗料を塗布しておくことで、時間をおいた2段階の熱遮断効果を得られるので好適であるが、上下側隙間の一方にだけ膨張性耐火塗料を配するだけでも熱遮断効果を上げることができる。
【0038】
また、熱遮断層24xおよび熱遮断層22xは、断熱材と耐火断熱材と耐火材で充たされる状態を説明したが、断熱材の上に空気層があってもよい。空気層も断熱材の一種と考えられるからである。つまり、断熱層は空気層を含むといってもよい。
【0039】
本実施形態では、制振板14の上下に下側断熱材30および上側断熱材32と膨張性耐火塗料34および膨張性耐火塗料36を配置し、2段構造としたが、本発明は制振板14の下方に下側断熱材30および膨張性耐火塗料34を配しただけの、言わば1段構造としたものを排除するものではない。
【0040】
制振板14の下側だけに下側断熱材30と膨張性耐火塗料34a若しくは膨張性耐火塗料34bを配しただけの構成では、上側隙間24は、単に空気だけの層となり、火災が発生した場合でも上記で説明した熱遮断層24xとなることはない。しかし、制振板14の下側断熱材30と膨張性耐火塗料34(膨張性耐火塗料34aと膨張性耐火塗料34bの少なくとも何れか)だけの配置によって得られる。通常時(非火災時)は制振板14と下側断熱材30による防音効果と、火災時の熱遮断層22xによる延焼および熱伝導の抑制だけでも好適な安全性を得ることができる。
【0041】
(実施形態2)
図4は、制振板14をリブ付き鋼板14mとした例である。リブ付き鋼板14mは表面にリブ40が施された鋼板である。またリブ付き鋼板14mは、端部に背切り加工を施した上で、段加工(符号14pの部分)を行い、背の高い支持台12aと耐火パネル18の間で端部が支持される。リブ付き鋼板14mのリブ40がついた部分は、下板10と耐火パネル18の中間に配置される。
【0042】
また、膨張性耐火塗料は、リブ付き鋼板14mの上面と下板10の上面に塗布される場合で説明を行うが、図1のように他の箇所に塗布することもできる。それぞれ膨張性耐火塗料36aと膨張性耐火塗料34aである。また、背の高い支持台12aの側面にはヘルムホルツレゾネータの吸音孔が設けられて、雑音吸収に寄与する。
【0043】
図4のように制振板14としてリブ付き鋼板14mを用いると、リブ40の部分と段加工14pの部分によりリブ付き鋼板14m自体の剛性が高く、その結果制振性が高いので、台車側からの振動を減衰することができる。
【0044】
なお、火災時に下側隙間22において、膨張性耐火塗料34aが膨張し耐火材34axに変わることで下側隙間22を熱遮断層22xに変え、同様に上側隙間24を熱遮断層24xに変わることで熱遮断効果を奏するのは、実施形態1の場合と同様である。
【0045】
(実施形態3)
図5は制振板14に通常の鋼板14nを用い、支持台12を弾性支持台12nとした場合を示す。図6に弾性支持台12nの拡大図を示す。図6(a)は弾性支持台12nの組立図であり、図6(b)はボルトを含めた図であり、図6(c)および(d)は、それぞれ弾性支持台12nが伸長している場合(図6(c))と収縮している場合(図6(d))である。
【0046】
図6(a)を参照して、弾性支持台12nは金属製の上座50及び下座52と、上座50と下座52に挟持されるエラストマー54で構成される。エラストマー54は硬質ゴム材等が好適に利用できる。
【0047】
上座50および下座52には貫通孔(それぞれ符号50hと符号52h)が形成されており、それぞれの貫通孔には雌ネジ(それぞれ符号50fと符号52f)が形成されている。また、エラストマー54にも雌ネジが形成されている。上側の雌ネジを符号54uf、下側の雌ネジを符号54dfで表した。弾性支持台12nは下座52とエラストマー54と上座50を重ねて、上方向および下方向から上側ボルト56uと下側ボルト56dを螺挿し、固定する。
【0048】
弾性支持台12nは図5において、側梁100と下板10(若しくは下板10だけ)に下側ボルト56dで固定され、鋼板14nに上側ボルト56uで固定される。こうすることにより、エラストマー54は上下を別々に固定される。つまり、エラストマー54中を貫通する1本のネジで鋼板14nと下板10に固定されていない。
【0049】
図6(c)および図6(d)を再度参照して、エラストマー54が上下別々に固定されているので、エラストマー54の真ん中を中心に上下にエラストマー54は伸縮することができ、下方からの振動を効果的に減衰させることができる。この結果、鋼板14nの振動を吸収し、客室への雑音の伝達を妨げる。なお、上側断熱材32および下側断熱材30は実施形態1および実施形態2と同じ物を利用することができる。
【0050】
なお、火災時に下側隙間22において、膨張性耐火塗料34aが膨張し耐火材34axに変わることで下側隙間22を熱遮断層22xに変え、同様に上側隙間24を熱遮断層24xに変わることで熱遮断効果を奏するのは、実施形態1および実施形態2の場合と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の床構造は鉄道車両の床構造として好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 床構造
10 下板
12 支持台
12n 弾性支持台
14 制振板
14r 制振板
14ra 樹脂板
14rb 鋼板
14m リブ付き鋼板
14n 鋼板
14p 段加工
16 制振板押さえ
18 耐火パネル
20 床敷物
22 下側隙間
22x 熱遮断層
24x 熱遮断層
24 上側隙間
30 下側断熱材
30d 密度
32 上側断熱材
32d 密度
34 膨張性耐火塗料
34a 膨張性耐火塗料
34b 膨張性耐火塗料
34ax 耐火材
34mix 耐火断熱材
36 膨張性耐火塗料
36a 膨張性耐火塗料
36ax 耐火材
36mix 耐火断熱材
40 リブ
50 上座
52 下座
50h 貫通孔
52h 貫通孔
54uf 上側の雌ネジ
54df 下側の雌ネジ
54 エラストマー
56u 上側ボルト
56d 下側ボルト
100 側梁
図1
図2
図3
図4
図5
図6