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特開2024-169972シールリングの検査方法及びシールリングの検査装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169972
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】シールリングの検査方法及びシールリングの検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 13/005 20190101AFI20241129BHJP
【FI】
G01M13/005
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086864
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小澤 若葉
【テーマコード(参考)】
2G024
【Fターム(参考)】
2G024AA12
2G024BA06
2G024BA08
2G024CA05
2G024DA09
2G024FA02
(57)【要約】
【課題】誤判定を抑制可能なシールリングの検査方法及び検査装置を提供する。
【解決手段】シールリングの検査方法は、軸部材の周面に形成された溝部に装着されたシールリングを検査するシールリングの検査方法である。検査方法は、シールリングが装着された状態で軸部材を中心軸まわりに回転させて、シールリングの第1合口隙間と第2合口隙間とを検出する検出工程と、第1合口隙間の周方向に沿う第1幅寸法と第2合口隙間の周方向に沿う第2幅寸法とを測定する測定工程と、を備える。検査方法は、第1幅寸法と第2幅寸法とを比較し、第1幅寸法と第2幅寸法との差が第1の基準値よりも大きい場合にシールリングに異常があると判定する判定工程を備える。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部材の周面に形成された溝部に装着されたシールリングを検査するシールリングの検査方法であって、
前記シールリングは、周方向の一端部に設けられる第1合口構成部と、周方向の他端部に設けられて前記第1合口構成部と軸方向に重ねられる第2合口構成部と、を備え、前記第1合口構成部の先端部と周方向に対向する第1端面との間には第1合口隙間が形成され、前記第2合口構成部の先端部と周方向に対向する第2端面との間には第2合口隙間が形成され、
前記シールリングが装着された状態で前記軸部材を中心軸まわりに回転させて、前記第1合口隙間と前記第2合口隙間とを検出する検出工程と、
前記第1合口隙間の周方向に沿う第1幅寸法と前記第2合口隙間の周方向に沿う第2幅寸法とを測定する測定工程と、
前記第1幅寸法と前記第2幅寸法とを比較し、前記第1幅寸法と前記第2幅寸法との差が第1の基準値よりも大きい場合に前記シールリングに異常があると判定する判定工程と、
を備える、
シールリングの検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載のシールリングの検査方法であって、
前記判定工程では、
前記検出工程で前記第1合口隙間が複数検出された場合には、複数検出された前記第1合口隙間の前記第1幅寸法のうち最も大きい前記第1幅寸法と前記第2幅寸法との差が前記第1の基準値よりも大きい場合に前記シールリングに異常があると判定し、
前記検出工程で前記第2合口隙間が複数検出された場合には、複数検出された前記第2合口隙間の前記第2幅寸法のうち最も大きい前記第2幅寸法と前記第1幅寸法との差が前記第1の基準値よりも大きい場合に前記シールリングに異常があると判定する、
シールリングの検査方法。
【請求項3】
請求項1に記載のシールリングの検査方法であって、
前記判定工程では、前記検出工程で前記第1合口隙間及び前記第2合口隙間のそれぞれが複数検出された場合には、複数検出された前記第1合口隙間の前記第1幅寸法のうち最も大きい前記第1幅寸法と、複数検出された前記第2合口隙間の前記第2幅寸法のうち最も大きい前記第2幅寸法との差が前記第1の基準値よりも大きい場合に前記シールリングに異常があると判定する、
シールリングの検査方法。
【請求項4】
軸部材の周面に形成された溝部に装着されたシールリングを検査するシールリングの検査方法であって、
前記シールリングは、周方向の一端部に設けられる第1合口構成部と、周方向の他端部に設けられて前記第1合口構成部と軸方向に重ねられる第2合口構成部と、を備え、前記第1合口構成部の先端部と周方向に対向する第1端面との間には第1合口隙間が形成され、前記第2合口構成部の先端部と周方向に対向する第2端面との間には第2合口隙間が形成され、
前記シールリングが装着された状態で前記軸部材を中心軸まわりに回転させて、前記第1合口隙間と前記第2合口隙間とを検出する検出工程と、
前記第1合口隙間の周方向の第1中心位置と前記第2合口隙間の周方向の第2中心位置との離間距離を算出する算出工程と、
前記離間距離が第2の基準値よりも小さい場合に前記シールリングに異常があると判定する判定工程と、
を備える、
シールリングの検査方法。
【請求項5】
請求項4に記載のシールリングの検査方法であって、
前記算出工程では、前記検出工程で前記第1合口隙間及び前記第2合口隙間の少なくとも一方が複数検出された場合には、検出された総ての合口隙間において対となる合口隙間の組合せを想定するとともに、想定した対となる組合せの合口隙間の中心位置同士の離間距離をそれぞれ算出し、
前記判定工程では、複数算出された中心位置同士の離間距離のうち最も短い離間距離が前記第2の基準値よりも短い場合に前記シールリングに異常があると判定する、
シールリングの検査方法。
【請求項6】
軸部材の周面に形成された溝部に装着されたシールリングを検査するシールリングの検査装置であって、
前記シールリングは、周方向の一端部に設けられる第1合口構成部と、周方向の他端部に設けられて前記第1合口構成部と軸方向に重ねられる第2合口構成部と、を備え、前記第1合口構成部の先端部と周方向に対向する第1端面との間には第1合口隙間が形成され、前記第2合口構成部の先端部と周方向に対向する第2端面との間には第2合口隙間が形成され、
前記検査装置は、前記シールリングが装着された前記軸部材を中心軸まわりに回転させる回転駆動装置と、前記回転駆動装置で回転される前記軸部材に装着された前記シールリングを撮像する撮像装置と、前記撮像装置で撮像した画像を取得するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記撮像装置が撮像した画像から前記第1合口隙間と前記第2合口隙間とを検出し、
前記第1合口隙間の周方向に沿う第1幅寸法と前記第2合口隙間の周方向に沿う第2幅寸法とを測定し、
前記第1幅寸法と前記第2幅寸法とを比較し、前記第1幅寸法と前記第2幅寸法との差が第1の基準値よりも大きい場合に前記シールリングに異常があると判定する、
シールリングの検査装置。
【請求項7】
軸部材の周面に形成された溝部に装着されたシールリングを検査するシールリングの検査装置であって、
前記シールリングは、周方向の一端部に設けられる第1合口構成部と、周方向の他端部に設けられて前記第1合口構成部と軸方向に重ねられる第2合口構成部と、を備え、前記第1合口構成部の先端部と周方向に対向する第1端面との間には第1合口隙間が形成され、前記第2合口構成部の先端部と周方向に対向する第2端面との間には第2合口隙間が形成され、
前記検査装置は、前記シールリングが装着された前記軸部材を中心軸まわりに回転させる回転駆動装置と、前記回転駆動装置で回転される前記軸部材に装着された前記シールリングを撮像する撮像装置と、前記撮像装置で撮像した画像を取得するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記撮像装置が撮像した画像から前記第1合口隙間と前記第2合口隙間とを検出し、
前記第1合口隙間の周方向の第1中心位置と前記第2合口隙間の周方向の第2中心位置との離間距離を算出し、
前記離間距離が第2の基準値よりも小さい場合に前記シールリングに異常があると判定する、
シールリングの検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールリングの検査方法及びシールリングの検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動変速機が開示されている。この自動変速機の構成部品である軸部材には、シールリングが装着されている。このシールリングとしては、例えば特許文献2に開示された合口を有するシールリングが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-281239号公報
【特許文献2】特開2021-116822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シールリングの組付状態を判定する際には、例えば、合口隙間の幅寸法の大きさに基づいて判定する方法が挙げられる。
【0005】
この検査において合口隙間の幅寸法が所定値を超える類型としては、取付状態によってシールリングが広がり合口隙間の幅寸法が大きくなる場合と、シールリングの端部に折れが生ずることによって合口隙間の幅寸法が大きくなる場合とがある。このため、シールリングの合口隙間の幅寸法の大きさに基づいて一律に判定を行うと、取付状態によってシールリングが広がっている場合であっても、シールリングに異常があると誤判定する虞がある。
【0006】
そこで、取付状態によってシールリングに異常があると判定されないように比較値を大きくすることが考えられるが、この場合、シールリングの端部に折れが生じて合口隙間の幅寸法が大きくなった場合にシールリングの異常を判定できない虞がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、誤判定を抑制可能なシールリングの検査方法及びシールリングの検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様によれば、軸部材の周面に形成された溝部に装着されたシールリングを検査するシールリングの検査方法であって、前記シールリングは、周方向の一端部に設けられる第1合口構成部と、周方向の他端部に設けられて前記第1合口構成部と軸方向に重ねられる第2合口構成部と、を備え、前記第1合口構成部の先端部と周方向に対向する第1端面との間には第1合口隙間が形成され、前記第2合口構成部の先端部と周方向に対向する第2端面との間には第2合口隙間が形成され、前記シールリングが装着された状態で前記軸部材を中心軸まわりに回転させて、前記第1合口隙間と前記第2合口隙間とを検出する検出工程と、前記第1合口隙間の周方向に沿う第1幅寸法と前記第2合口隙間の周方向に沿う第2幅寸法とを測定する測定工程と、前記第1幅寸法と前記第2幅寸法とを比較し、前記第1幅寸法と前記第2幅寸法との差が第1の基準値よりも大きい場合に前記シールリングに異常があると判定する判定工程と、を備える、シールリングの検査方法が提供される。
【0009】
本発明の別の態様によれば、軸部材の周面に形成された溝部に装着されたシールリングを検査するシールリングの検査方法であって、前記シールリングは、周方向の一端部に設けられる第1合口構成部と、周方向の他端部に設けられて前記第1合口構成部と軸方向に重ねられる第2合口構成部と、を備え、前記第1合口構成部の先端部と周方向に対向する第1端面との間には第1合口隙間が形成され、前記第2合口構成部の先端部と周方向に対向する第2端面との間には第2合口隙間が形成され、前記シールリングが装着された状態で前記軸部材を中心軸まわりに回転させて、前記第1合口隙間と前記第2合口隙間とを検出する検出工程と、前記第1合口隙間の周方向の第1中心位置と前記第2合口隙間の周方向の第2中心位置との離間距離を算出する算出工程と、前記離間距離が第2の基準値よりも小さい場合に前記シールリングに異常があると判定する判定工程と、を備える、シールリングの検査方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明のある態様によれば、第1合口隙間の第1幅寸法と第2合口隙間の第2幅寸法とが略均等に広がる場合には、第1幅寸法と第2幅寸法との差に大きな変化は生じないので、シールリングに異常があると判定されない。一方、例えば第2合口構成部に折れが生じた場合には、第1合口隙間の第1幅寸法と第2合口隙間の第2幅寸法との差が第1の基準値よりも大きくなり、シールリングに異常があると判定される。
【0011】
よって、各合口隙間の幅寸法の大きさに基づいて、シールリングの判定を行う場合と比較して、誤判定の抑制が可能となる。
【0012】
本発明の別の態様によれば、第1合口隙間と第2合口隙間とが略均等に広がる場合には、第1合口隙間の第1中心位置と第2合口隙間の第2中心位置との離間距離に大きな変化は生じない。このため、第1中心位置と第2中心位置との離間距離は、第2の基準値よりも短くならないので、シールリングに異常があると判定されない。
【0013】
一方、例えば第2合口構成部に折れが生じた場合には、第2合口隙間の第2中心位置が第1合口隙間側へ移動し、第1中心位置と第2中心位置との離間距離は短くなる。これにより、第1中心位置と第2中心位置との離間距離は、第2の基準値よりも短くなり、シールリングに異常があると判定される。
【0014】
よって、各合口隙間の幅寸法の大きさに基づいて、シールリングの判定を行う場合と比較して、誤判定の抑制が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本実施形態に係る検査装置を示す側面図である。
図2図2は、シールリングの一例を示す斜視図である。
図3図3は、シールリングの要部を示す側面図であり、シールリングが規定の取付状態よりも広げられた取付状態を示す説明図である。
図4図4は、シールリングの要部を示す側面図であり、シールリングの端部に折れが生じた状態を示す説明図である。
図5図5は、シールリングの要部を示す側面図であり、シールリングが規定の取付状態よりも広げられた取付状態を示す説明図である。
図6図6は、シールリングの要部を示す側面図であり、シールリングの端部に折れが生じた状態を示す説明図である。
図7図7は、検査装置の動作を示すフローチャートである。
図8図8は、図7に続くフローチャートである。
図9図9は、寸法差検査処理を示すフローチャートである。
図10図10は、離間距離検査処理を示すフローチャートである。
図11図11は、二つの第1合口隙間と一つの第2合口隙間とが撮像されたシールリングの側面画像を示す図である。
図12図12は、一つの第1合口隙間と二つの第2合口隙間とが撮像されたシールリングの側面画像を示す図である。
図13図13は、二つの第1合口隙間と二つの第2合口隙間とが撮像されたシールリングの側面画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態に係るシールリング10の検査装置12について説明する。図1は、本実施形態に係る検査装置12を示す側面図である。図2は、シールリング10の一例を示す斜視図である。図2には、後述する第1合口隙間42及び第2合口隙間46の開いた状態が誇張して示されている。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る検査装置12は、例えば自動変速機の構成部品である軸部材14に装着されたシールリング10の取付状態を検査する装置である。
【0018】
軸部材14の先端部には、大径のドラム部16が設けられている(図1においてドラム部16の断面が示されている)。軸部材14の周面18には、ドラム部16側から順に、第1溝部20、第2溝部22、第3溝部24、第4溝部26、及び第5溝部28が形成されている。各溝部22、24,26,28には、シールリング10が装着されている。
【0019】
(シールリング)
図2に示すように、シールリング10は、長尺状の板材が円形に形成されたリング本体30を備えている。リング本体30の周方向Cの一端部には、リング本体30よりも軸方向Aの厚み寸法が小さい第1合口構成部32が形成されており、第1合口構成部32の軸方向Aの一方側には、第1段差部34が形成されている。リング本体30の周方向Cの他端部には、リング本体30よりも軸方向Aの厚み寸法が小さい第2合口構成部36が形成されており、第2合口構成部36の軸方向Aの他方側には、第2段差部38が形成されている。
【0020】
第1合口構成部32は、第2段差部38に沿って配置される。また、第2合口構成部36は、第1段差部34に沿って配置される。これにより、第1合口構成部32と第2合口構成部36とは、軸方向Aで重ねられる。
【0021】
第1合口構成部32の先端部32aと、当該先端部32aが周方向Cで対向するリング本体30の第1端面40との間には、第1合口隙間42を形成可能である。第2合口構成部36の先端部36aと、当該先端部36aが周方向Cで対向するリング本体30の第2端面44との間には、第2合口隙間46を形成可能である。
【0022】
これにより、シールリング10は、装着箇所の外径寸法に応じて内径寸法を変更可能であり、シールリング10には、軸部材14に装着された状態で第1合口構成部32の先端部32aと第1端面40との間に第1合口隙間42が形成される。また、シールリング10には、第2合口構成部36の先端部36aと第2端面44との間に第2合口隙間46が形成される。
【0023】
(検査装置)
図1に示すように、検査装置12は、軸部材14を支持するステージ50と、ステージ50に支持された軸部材14を中心軸まわりに回転させる回転駆動装置52と、を備える。また、検査装置12は、回転駆動装置52で回転される軸部材14に装着されたシールリング10を撮像する撮像装置54と、撮像装置54で撮像した画像を取得するコントローラ56と、を備える。
【0024】
ステージ50は、軸部材14を回転可能に位置決めする位置決め部58を有する。ステージ50は、検査装置12の装置本体60に第1昇降装置62を介して支持されている。第1昇降装置62は、内蔵したエアシリンダを作動してステージ50を昇降する。
【0025】
撮像装置54は、装置本体60の支柱64に第2昇降装置66を介して支持されている。第2昇降装置66は、内蔵したサーボシリンダを作動して撮像装置54を昇降させる。
【0026】
回転駆動装置52は、支柱64から延びる梁部68に設けられている。回転駆動装置52は、軸部材14の端部を把持する回転用チャック70と、回転用チャック70を上下動させる第3昇降装置72と、回転用チャック70を回転させる回転駆動部74と、を備える。第3昇降装置72は、サーボシリンダで構成され、回転駆動部74は、駆動モータで構成される。
【0027】
コントローラ56は、例えばCPU、メモリ、入出力インターフェース等で構成される。コントローラ56は、CPUがメモリに記憶された処理プログラムに従って動作することで、各昇降装置62、66、72と、回転駆動装置52の回転用チャック70、第3昇降装置72、及び回転駆動部74とを制御する。
【0028】
これにより、コントローラ56は、第1昇降装置62を作動して軸部材14がセットされたステージ50を上昇させるとともに、回転駆動装置52の回転用チャック70を作動させて軸部材14の端部を回転用チャック70で保持する。このとき、コントローラ56は、検査対象となる軸部材14の長さに応じて第3昇降装置72を作動させることで、回転用チャック70を軸部材14の端部の高さ位置に合わせることができる。
【0029】
そして、コントローラ56は、回転駆動装置52の回転駆動部74を作動させてシールリング10が装着された軸部材14を中心軸まわりに回転させるとともに、軸部材14に装着されたシールリング10を撮像装置54で撮像して撮像データを取得する。
【0030】
ここで、コントローラ56は、第2昇降装置66を作動して撮像装置54を上下動することができる。これにより、コントローラ56は、第1溝部20及び第2溝部22に装着されたシールリング10の撮像と、第3溝部24、第4溝部26、及び第5溝部28に装着されたシールリング10の撮像とを分けて行うことができる。
【0031】
図1及び図2に示すように、コントローラ56は、画像解析技術を用いて撮像装置54で撮像した画像からシールリング10の第1合口隙間42と第2合口隙間46とを検出する(検出工程)。また、コントローラ56は、第1合口隙間42の周方向Cに沿う第1幅寸法80(図2参照)と第2合口隙間46の周方向Cに沿う第2幅寸法82(図2参照)とを測定する(測定工程)。さらに、コントローラ56は、測定した第1幅寸法80と第2幅寸法82とを比較し、第1幅寸法80と第2幅寸法82との寸法差が、例えば予めメモリに記憶された第1の基準値よりも大きい場合にシールリング10に異常があると判定する(判定工程)。
【0032】
ここで、第1の基準値は、検査対象となる軸部材14にシールリング10を装着した状態で、第1幅寸法80と第2幅寸法82とに生じ得る設計上の寸法差に許容誤差を加えた値に設定されている。
【0033】
ここで、シールリング10に異常があるか否かの判定について図面を用いて具体的に説明する。
【0034】
図3は、シールリング10の要部を示す側面図であり、シールリング10が規定の取付状態よりも広げられた取付状態を示す説明図である。図4は、シールリング10の要部を示す側面図であり、シールリング10の端部に折れが生じた状態を示す説明図である。
【0035】
図3に示すように、シールリング10が広げられた状態で軸部材14に装着された場合、第1合口隙間42の第1幅寸法80と第2合口隙間46の第2幅寸法82とは、規定の取付状態よりもやや広がる。しかし、第1幅寸法80及び第2幅寸法82の両者が略均等に広がるため、第1幅寸法80と第2幅寸法82との寸法差は小さく、寸法差が第1の基準値以下と判定されるので、シールリング10に異常は無いと判定される。
【0036】
図4に示すように、軸部材14に装着されたシールリング10の端部に折れが生じ、例えば第2合口構成部36の先端が欠損した場合、第2合口隙間46の第2幅寸法82は、第1合口隙間42の第1幅寸法80よりも大きくなる。このため、第1幅寸法80と第2幅寸法82との寸法差は大きくなり、寸法差が第1の基準値よりも大きいと判断されるので、シールリング10に異常があると判定される。
【0037】
また、コントローラ56は、撮像装置54が撮像した画像から第1合口隙間42と第2合口隙間46とを検出する(検出工程)。さらに、コントローラ56は、第1合口隙間42の周方向Cの第1中心位置84(図2参照)と第2合口隙間46の周方向Cの第2中心位置86(図2参照)との離間距離88を算出する(算出工程)。そして、コントローラ56は、算出した離間距離88が、例えばメモリに記憶された第2の基準値よりも小さい場合にシールリング10に異常があると判定する(判定工程)。
【0038】
ここで、第2の基準値は、検査対象となる軸部材14にシールリング10を装着した状態で、第1合口隙間42の周方向Cの第1中心位置84(図2参照)と第2合口隙間46の周方向Cの第2中心位置86(図2参照)とに生じ得る設計上の離間距離に許容誤差を加えた値に設定されている。
【0039】
ここで、シールリング10に異常があるか否かの判定について、図面を用いて具体的に説明する。
【0040】
図5は、シールリング10の要部を示す側面図であり、シールリング10が規定の取付状態よりも広げられた取付状態を示す説明図である。図6は、シールリング10の要部を示す側面図であり、シールリング10の端部に折れが生じた状態を示す説明図である。
【0041】
図5に示すように、シールリング10が広げられた状態で軸部材14に装着された場合、第1合口隙間42と第2合口隙間46とは、既定の取付状態よりもやや広がる。しかし、第1合口隙間42の第1中心位置84と第2合口隙間46の第2中心位置86との離間距離88は、規定の取付状態の場合よりも小さくなることは無い。このため、第1中心位置84と第2中心位置86との離間距離88は、第2の基準値よりも小さくなることは無いので、シールリング10に異常があると判定されない。
【0042】
図6に示すように、軸部材14に装着されたシールリング10の端部に折れが生じ、例えば第2合口構成部36の先端が欠損した場合、第2合口隙間46の第2中心位置86は、規定の取付状態の場合よりも第1合口隙間42側へ移動する。このため、第1中心位置84と第2中心位置86との離間距離88は、第2の基準値よりも小さくなり、シールリング10に異常があると判定される。
【0043】
(動作説明)
次に、図7から図10に示すフローチャートを参照して、検査装置12の動作について具体的に説明する。なお、検査装置12には、検査対象となる軸部材14がセットされているものとする。また、撮像装置54は、軸部材14の第1溝部20及び第2溝部22に装着されたシールリング10の状態を撮像できる高さ位置に配置されているものとする(図1参照)。
【0044】
図7は、検査装置12の動作を示すフローチャートである。図8は、図7に続くフローチャートである。図9は、寸法差検査処理を示すフローチャートである。図10は、離間距離検査処理を示すフローチャートである。
【0045】
コントローラ56は、CPUがメモリに記憶された処理プログラムに従って動作して検査処理を開始すると、回転駆動装置52の回転駆動部74を制御して回転用チャック70に保持された軸部材14を中心軸まわりに回転させる(ステップS10)。
【0046】
また、コントローラ56は、撮像装置54で軸部材14の第1溝部20及び第2溝部22に装着されたシールリング10の撮像を開始させるとともに、撮像装置54から撮像データを順次入力してメモリに記憶する(ステップS12)。そして、コントローラ56は、軸部材14が、1.5周回転するまで軸部材14の回転及び撮像装置54による撮像を継続する(ステップS14)。
【0047】
ステップS14で、軸部材14を、1.5周回転したと判断した場合、コントローラ56は、回転駆動装置52の回転駆動部74を制御して軸部材14の回転を停止するとともに(ステップS16)、撮像装置54による撮像を停止する(ステップS18)。
【0048】
これにより、コントローラ56は、軸部材14の第1溝部20及び第2溝部22に装着されたシールリング10の側面画像90(図11等参照)を、1.5周分取得する。この側面画像90には、シールリング10の第1合口隙間42の画像と第2合口隙間46の画像とが含まれるので、側面画像90の取得によって第1合口隙間42と第2合口隙間46との検出が行われる。
【0049】
ここで、コントローラ56は、1.5周分の側面画像90(図11等参照)を取得する。このため、取得した側面画像90には、複数の合口隙間(42、46)が撮像され得る。複数の合口隙間(42、46)が撮像された側面画像90について図面を用いて具体的に説明する。
【0050】
図11は、二つの第1合口隙間42と一つの第2合口隙間46とが撮像されたシールリング10の画像としての側面画像90を示す図である。図12は、一つの第1合口隙間42と二つの第2合口隙間46とが撮像されたシールリング10の側面画像90を示す図である。図13は、二つの第1合口隙間42と二つの第2合口隙間46とが撮像されたシールリング10の側面画像90を示す図である。
【0051】
図11に示すように、軸部材14を1.5周回転させた際に側面画像90には、第1合口隙間42が二度撮像される場合があり、この場合、側面画像90には、二つの第1合口隙間42と一つの第2合口隙間46とが現れる。
【0052】
また、図12に示すように、軸部材14を1.5周回転させた際に側面画像90には、第2合口隙間46が二度撮像される場合があり、この場合、側面画像90には、一つの第1合口隙間42と二つの第2合口隙間46とが現れる。
【0053】
さらに、図13に示すように、軸部材14を1.5周回転させた際に側面画像90には、第1合口隙間42及び第2合口隙間46が二度撮像される場合があり、この場合、側面画像90には、二つの第1合口隙間42と二つの第2合口隙間46とが現れる。
【0054】
そして、コントローラ56は、寸法差検査処理を実行する(ステップS20)。
【0055】
(寸法差検査処理)
図9に示すように、寸法差検査処理においてコントローラ56は、取得した側面画像90を画像解析して各溝部20、22に装着された各シールリング10の第1合口隙間42と第2合口隙間46とを検出する(ステップSB10)。これにより、コントローラ56は、シールリング10が装着された状態で軸部材14を中心軸まわりに回転させて取得した側面画像90から第1合口隙間42と第2合口隙間46とを検出する(検出工程)。
【0056】
ここで、前述したように、側面画像90には、複数の合口隙間(42、46)が撮像されることがある。側面画像90に複数の合口隙間(42、46)が撮像されていた場合、コントローラ56は、総ての合口隙間(42、46)を検出する。
【0057】
なお、本実施形態では、軸部材14を中心軸まわりに回転させて側面画像90を取得した後に側面画像90を用いて第1合口隙間42と第2合口隙間46とを検出する場合について説明する。しかし、本実施形態の検査装置12は、この構成に限定されるものではない。例えば、検査装置12は、回転する軸部材14の側面画像90を取得しながら側面画像90から第1合口隙間42と第2合口隙間46とを検出してもよい。
【0058】
そして、コントローラ56は、側面画像90を画像解析して検出した第1合口隙間42の周方向Cに沿う第1幅寸法80(図2参照)と、第2合口隙間46の周方向Cに沿う第2幅寸法82(図2参照)とを測定する(ステップSB12:測定工程)。側面画像90に複数の合口隙間(42、46)が撮像されている場合、コントローラ56は、各合口隙間42、46の各幅寸法80、82を測定する。
【0059】
側面画像90に一つの第1合口隙間42と一つの第2合口隙間46とが撮像されている場合、コントローラ56は、画像解析して第1合口隙間42の第1幅寸法80と第2合口隙間46の第2幅寸法82との寸法差を演算して取得する(ステップSB14)。側面画像90に複数の合口隙間(42、46)が撮像されている場合、コントローラ56は、次のように寸法差を演算して取得する。
【0060】
図11に示すように、側面画像90に二つの第1合口隙間42と一つの第2合口隙間46とが検出された場合、コントローラ56は、二つの第1合口隙間42の第1幅寸法80のうち大きい方の第1幅寸法80と第2幅寸法82との差を演算して寸法差を取得する。
【0061】
また、図12に示すように、側面画像90に一つの第1合口隙間42と二つの第2合口隙間46とが撮像された場合、コントローラ56は、第2合口隙間46の第2幅寸法82のうち大きい方の第2幅寸法82と第1幅寸法80との差を演算して寸法差を取得する。
【0062】
また、図13に示すように、側面画像90に二つの第1合口隙間42と二つの第2合口隙間46とが撮像された場合、コントローラ56は、第1合口隙間42の第1幅寸法80のうち大きい方の第1幅寸法80と、第2合口隙間46の第2幅寸法82のうち大きい方の第2幅寸法82との差を演算して寸法差を取得する。
【0063】
そして、コントローラ56は、ステップSB14で取得した寸法差が、予めメモリに記憶された第1の基準値よりも大きいか否かを判断する(ステップSB16)。第1の基準値は、前述したように、検査対象となる軸部材14にシールリング10を装着した状態で、第1幅寸法80と第2幅寸法82とに生じ得る設計上の差に許容誤差を加えた値である。
【0064】
これにより、コントローラ56は、測定した第1幅寸法80と第2幅寸法82とを比較し、第1幅寸法80と第2幅寸法82との差が、予めメモリに記憶された第1の基準値よりも大きいか否かを判断する。
【0065】
また、コントローラ56は、側面画像90に第1合口隙間42が複数検出された場合に複数検出された第1合口隙間42の第1幅寸法80のうち最も大きい第1幅寸法80と第2合口隙間46の第2幅寸法82との差が第1の基準値よりも大きいか否かを判断する。また、コントローラ56は、第2合口隙間46が複数検出された場合に複数検出された第2合口隙間46の第2幅寸法82のうち最も大きい第2幅寸法82と第1合口隙間42の第1幅寸法80との差が第1の基準値よりも大きいか否かを判断する。
【0066】
さらに、コントローラ56は、側面画像90に第1合口隙間42及び第2合口隙間46のそれぞれが複数検出された場合に、複数検出された第1合口隙間42の第1幅寸法80のうち最も大きい第1幅寸法80と、複数検出された第2合口隙間46の第2幅寸法82のうち最も大きい第2幅寸法82との差が第1の基準値よりも大きいか否かを判断する。
【0067】
ステップSB16において、第1幅寸法80と第2幅寸法82との差が第1の基準値以下の場合、コントローラ56は、寸法差異常は無いと判断し、メモリに設定された寸法差異常フラグを「0」にして当該第1検査処理を呼び出した検査処理へ戻る。また、ステップSB16において、第1幅寸法80と第2幅寸法82との差が第1の基準値よりも大きい場合、コントローラ56は、寸法差異常が有ると判断し、メモリに設定された寸法差異常フラグを「1」にして当該寸法差検査処理を呼び出した検査処理へ戻る。
【0068】
なお、この寸法差異常フラグは、各溝部20、22、24、26、28に装着されたシールリング10毎に設定される。
【0069】
具体的に説明すると、軸部材14にシールリング10が規定の取付状態で装着されている場合、第1幅寸法80と第2幅寸法82との寸法差は第1の基準値以下となり、寸法差異常フラグは「0」とされる。また、取付状態によってシールリング10が規定の取付状態よりも広がってしまった場合、第1合口隙間42及び第2合口隙間46は、略均等に広がる(図3参照)。このため、第1幅寸法80と第2幅寸法82との寸法差は第1の基準値以下となり、寸法差異常フラグは「0」とされる。
【0070】
一方、例えば第2合口構成部36に折れが生じた場合には、第1合口隙間42の第1幅寸法80と第2合口隙間46の第2幅寸法82との差が第1の基準値よりも大きくなる(図4参照)。これにより、第1幅寸法80と第2幅寸法82との寸法差は、第1の基準値以下となり、寸法差異常フラグは「1」とされる。
【0071】
次に、図7に示すように、検査処理において、コントローラ56は、離間距離検査処理を実行する(ステップS22)。
【0072】
(離間距離検査処理)
すると、図10に示すように、離間距離検査処理においてコントローラ56は、取得した側面画像90を画像解析して各溝部20、22に装着された各シールリング10の第1合口隙間42と第2合口隙間46とを検出する(ステップSC10)。これにより、コントローラ56は、シールリング10が装着された状態で軸部材14を中心軸まわりに回転させて取得した側面画像90から第1合口隙間42と第2合口隙間46とを検出する(検出工程)。
【0073】
ここで、前述したように、側面画像90には、複数の合口隙間(42、46)が撮像されることがある。側面画像90に複数の合口隙間(42,46)が撮像されている場合、コントローラ56は、総ての合口隙間(42,46)を検出する。また、前述したように、コントローラ56は、回転する軸部材14の側面画像90を取得しながら側面画像90から第1合口隙間42と第2合口隙間46とを検出してもよい。
【0074】
また、コントローラ56は、側面画像90を画像解析して第1合口隙間42の周方向Cの第1中心位置84(図5参照)と第2合口隙間46の周方向Cの第2中心位置86(図5参照)を検出する(ステップSC12)。さらに、コントローラ56は、第1中心位置84と第2中心位置86との離間距離88(図5参照)を算出する(ステップSC14:算出工程)。各中心位置84、86の検出は、例えば各合口隙間42、46の重心位置から求める方法が挙げられる。
【0075】
側面画像90に複数の合口隙間(42、46)が撮像されている場合、コントローラ56は、検出された総ての合口隙間(42、46)において対となる合口隙間の組合せを想定する。そして、コントローラ56は、想定した対となる組合せの合口隙間の中心位置同士の離間距離をそれぞれ算出する。
【0076】
すなわち、図11に示すように、側面画像90に二つの第1合口隙間42a、42bと一つの第2合口隙間46とが検出された場合、コントローラ56は、一方の第1合口隙間42aと第2合口隙間46との組み合わせと、一方の第1合口隙間42aと他方の第1合口隙間42bとの組み合わせと、を想定する。また、コントローラ56は、第2合口隙間46と他方の第1合口隙間42bとの組み合わせを想定する。
【0077】
そして、コントローラ56は、一方の第1合口隙間42aの第1中心位置84と第2中心位置86との離間距離と、一方の第1合口隙間42aの第1中心位置84と他方の第1合口隙間42bの第1中心位置84との離間距離と、を算出する。また、コントローラ56は、第2中心位置86と他方の第1合口隙間42bの第1中心位置84との離間距離を算出する。
【0078】
また、図12に示すように、側面画像90に一つの第1合口隙間42と二つの第2合口隙間46a、46bとが撮像された場合、コントローラ56は、一方の第2合口隙間46aと第1合口隙間42との組み合わせを想定する。また、コントローラ56は、一方の第2合口隙間46aと他方の第2合口隙間46bとの組み合わせと、第1合口隙間42と他方の第2合口隙間46bとの組み合わせと、を想定する。そして、コントローラ56は、想定した各組合せにおける中心位置(84、86)同士の離間距離をそれぞれ算出する。
【0079】
また、図13に示すように、側面画像90に二つの第1合口隙間42a、42bと二つの第2合口隙間46a、46bとが撮像された場合、コントローラ56は、一方の第1合口隙間42aと一方の第2合口隙間46aとの組み合わせを想定する。また、コントローラ56は、一方の第1合口隙間42aと他方の第1合口隙間42bとの組み合わせと、一方の第1合口隙間42aと他方の第2合口隙間46bとの組み合わせと、を想定する。さらに、コントローラ56は、一方の第2合口隙間46aと他方の第1合口隙間42bとの組み合わせと、一方の第2合口隙間46aと他方の第2合口隙間46bとの組み合わせと、を想定する。また、コントローラ56は、他方の第1合口隙間42bと他方の第2合口隙間46bとの組み合わせを想定する。そして、コントローラ56は、想定した各組合せにおける中心位置(84、86)同士の離間距離をそれぞれ算出する。
【0080】
側面画像90に一つの第1合口隙間42と一つの第2合口隙間46とが撮像された場合、コントローラ56は、第1中心位置84と第2中心位置86との離間距離が予めメモリに記憶された第2の基準値よりも小さいか否かを判断する(ステップSC14)。第2の基準値は、前述したように、検査対象となる軸部材14にシールリング10を装着した状態で、第1合口隙間42の周方向Cの第1中心位置84と第2合口隙間46の周方向Cの第2中心位置86とに生じ得る設計上の離間距離88に許容誤差を加えた値である。
【0081】
側面画像90に複数の合口隙間(42、46)が撮像されている場合、コントローラ56は、ステップSC14で複数算出された中心位置同士の離間距離のうち最も短い離間距離が第2の基準値よりも短いか否かを判断する(ステップSC14)。ここで、最も短い離間距離は、隣接する第1合口隙間42の第1中心位置84と第2合口隙間46の第2中心位置86との離間距離となる。
【0082】
ステップSC14において、算出した離間距離88が第2の基準値以上と判断した場合、コントローラ56は、離間距離異常は無いと判断し、メモリに設定された離間距離差異常フラグを「0」にして当該離間距離検査処理を呼び出した検査処理へ戻る。また、ステップSC14において、算出した離間距離88が第2の基準値よりも小さいと判断した場合、コントローラ56は、離間距離異常が有ると判断し、メモリに設定された離間距離異常フラグを「1」にして当該離間距離検査処理を呼び出した検査処理へ戻る。
【0083】
なお、この離間距離異常フラグは、各溝部20、22、24、26、28に装着されたシールリング10毎に設定される。
【0084】
具体的に説明すると、軸部材14にシールリング10が規定の取付状態で装着されている場合、第1合口隙間42の第1中心位置84と第2合口隙間46の第2中心位置86との離間距離88は、第2の基準値以上となり、離間距離差異常フラグは「0」とされる。また、取付状態によってシールリング10が広がってしまい第1合口隙間42の第1幅寸法80と第2合口隙間46の第2幅寸法82とが略均等に広がった場合には、第1合口隙間42と第2合口隙間46との離間距離88に大きな変化は生じない(図5参照)。このため、第1中心位置84と第2中心位置86との離間距離88は、第2の基準値以上となり、離間距離差異常フラグは「0」とされる。
【0085】
一方、例えば第2合口構成部36に折れが生じた場合には、第2合口隙間46の第2中心位置86が第1合口隙間42側へ移動し、第1中心位置84と第2中心位置86との離間距離88は短くなる。これにより、第1中心位置84と第2中心位置86との離間距離88は、第2の基準値よりも短くなり、離間距離差異常フラグは「1」とされる(図6参照)。
【0086】
そして、図7に示すように、検査処理において、コントローラ56は、第1昇降装置62を制御して軸部材14の第3溝部24、第4溝部26、及び第5溝部28に装着されたシールリング10を撮像できる高さ位置まで撮像装置54を上昇させる(ステップS24)。
【0087】
また、図8に示すように、コントローラ56は、回転駆動装置52の回転駆動部74を制御して軸部材14を中心軸まわりに回転させる(ステップS26)。さらに、コントローラ56は、撮像装置54で軸部材14の第3溝部24、第4溝部26、及び第5溝部28に装着されたシールリング10の撮像を開始するとともに、撮像データを順次入力してメモリに記憶する(ステップS28)。また、コントローラ56は、軸部材14が、1.5周回転するまで軸部材14の回転及び撮像装置54による撮像を継続する(ステップS30)。
【0088】
ステップS30で、軸部材14を1.5周回転したと判断した場合、コントローラ56は、回転駆動装置52の回転駆動部74を制御して軸部材14の回転を停止するとともに(ステップS32)、撮像装置54による撮像を停止する(ステップS34)。
【0089】
これにより、コントローラ56は、軸部材14の第3溝部24、第4溝部26、及び第5溝部28に装着されたシールリング10の側面画像90を、1.5周分取得する。この側面画像90には、シールリング10の第1合口隙間42の画像と第2合口隙間46の画像とが含まれるので、側面画像90の取得によって第1合口隙間42と第2合口隙間46との検出が行われる。
【0090】
ここで、コントローラ56は、1.5周分の側面画像90を取得するため、前述したように、取得した側面画像90には、複数の合口隙間(42、46)が撮像され得る(図11から図13参照)。
【0091】
そして、コントローラ56は、前述した寸法差検査処理を実行して各溝部24、26、28に装着された各シールリング10に対して検査を行う(ステップS36)。この寸法差検査処理の説明については、前述と同様のため説明を割愛する。
【0092】
また、コントローラ56は、前述した離間距離検査処理を実行して各溝部24、26、28に装着された各シールリング10に対して検査を行う(ステップS38)。この離間距離検査処理の説明については、前述と同様のため説明を割愛する。
【0093】
そして、コントローラ56は、前述したいずれかの検査において異常が有るか否かを、寸法差異常フラグ又は離間距離異常フラグのいずれかに「1」が有るか否かから判断する(ステップS40)。
【0094】
ステップS40において、いずれの検査でも異常が無いと判断した場合、コントローラ56は、当該検査処理を終了する。一方、ステップS40において、いずれかの検査で異常が有ると判断した場合、コントローラ56は、例えばスピーカから警音を鳴らし、シールリング10に異常がある旨を利用者に報知して当該検査処理を終了する。このとき、コントローラ56は、どの溝のシールリング10に異常があるかをモニタ等に表示してもよい。
【0095】
このように、本実施形態の検査装置12は、寸法差検査処理(ステップS20、S36)での判定結果と、離間距離検査処理(ステップS22、S38)での判定結果とを用いて、シールリング10の状態を判定する。このため、いずれか一方の検査処理のみで判定する場合と比較して、判定精度を高めることが可能となる。
【0096】
(作用及び効果)
以上のように構成された検査装置12の主な作用効果についてまとめて説明する。
【0097】
(1)シールリング10の検査方法は、軸部材14の周面18に形成された溝部(20、22、24、26、28)に装着されたシールリング10を検査する検査方法である。シールリング10は、周方向Cの一端部に設けられる第1合口構成部32と、周方向Cの他端部に設けられて第1合口構成部32と軸方向Aに重ねられる第2合口構成部36と、を備える。シールリング10の第1合口構成部32の先端部32aと周方向Cに対向する第1端面40との間には第1合口隙間42が形成され、第2合口構成部36の先端部36aと周方向Cに対向する第2端面44との間には第2合口隙間46が形成される。シールリング10の検査方法は、シールリング10が装着された状態で軸部材14を中心軸まわりに回転させて、第1合口隙間42と第2合口隙間46とを検出する検出工程(ステップS10~S18、S26~S34、SB10)を備える。シールリング10の検査方法は、第1合口隙間42の周方向Cに沿う第1幅寸法80と第2合口隙間46の周方向Cに沿う第2幅寸法82とを測定する測定工程(ステップSB12)を備える。シールリング10の検査方法は、第1幅寸法80と第2幅寸法82とを比較し、第1幅寸法80と第2幅寸法82との差が第1の基準値よりも大きい場合にシールリング10に異常があると判定する判定工程(ステップSB14~SB16)を備える。
【0098】
本実施形態によれば、第1合口隙間42の第1幅寸法80と第2合口隙間46の第2幅寸法82とが略均等に広がる場合には、第1幅寸法80と第2幅寸法82との差に大きな変化は生じない。このため、第1合口隙間42の第1幅寸法80と第2合口隙間46の第2幅寸法82との差が第1の基準値よりも大きくなることは無いので、シールリング10に異常があると判定されない。
【0099】
一方、例えば第2合口構成部36に折れが生じた場合には、第1合口隙間42の第1幅寸法80と第2合口隙間46の第2幅寸法82との差が第1の基準値よりも大きくなり、シールリング10に異常があると判定される。
【0100】
このように、取付状態によってシールリング10が広がり、両合口隙間42、46の各幅寸法80、82が大きくなった場合には、シールリング10に異常があると判定されない。一方、シールリング10の端部に折れが生じ、一方の合口隙間(46)の幅寸法(82)が大きくなった場合には、シールリング10に異常があると判定される。
【0101】
よって、各合口隙間42、46の各幅寸法80、82の大きさに基づいて、シールリング10の判定を行う場合と比較して、誤判定の抑制が可能となる。
【0102】
また、本実施形態では、シールリング10が装着された軸部材14を中心軸まわりに回転させて第1合口隙間42と第2合口隙間46とを検出する。このため、例えば撮像装置54を軸部材14の外周面に沿って移動しながら第1合口隙間42と第2合口隙間46とを検出する場合と比較して、各合口隙間42、46の検出が容易となる。
【0103】
(2)シールリング10の検査方法において、判定工程(ステップSB14~SB16)では、検出工程(ステップS10~S18、S26~S34、SB10)で第1合口隙間42が複数検出された場合には、複数検出された第1合口隙間42a、42bの第1幅寸法80のうち最も大きい第1幅寸法80と第2幅寸法82との差が第1の基準値よりも大きい場合にシールリング10に異常があると判定し、検出工程(ステップS10~S18、S26~S34、SB10)で第2合口隙間46が複数検出された場合には、複数検出された第2合口隙間46a、46bの第2幅寸法82のうち最も大きい第2幅寸法82と第1幅寸法80との差が第1の基準値よりも大きい場合にシールリング10に異常があると判定する。
【0104】
本実施形態おいて、軸部材14を回転して合口隙間を検出する場合、検出工程(ステップS10~S18、S26~S34、SB10)において第1合口隙間42又は第2合口隙間46が複数検出されることがある。この場合でも複数検出された第1合口隙間42a、42bの第1幅寸法80のうち最も大きい第1幅寸法80、又は複数検出された第2合口隙間46a、46bの第2幅寸法82のうち最も大きい第2幅寸法82を用いることで、誤判定の抑制が可能となる。
【0105】
(3)シールリング10の検査方法において、判定工程(ステップSB14~SB16)では、検出工程(ステップS10~S18、S26~S34、SB10)で第1合口隙間42及び第2合口隙間46のそれぞれが複数検出された場合には、複数検出された第1合口隙間42a、42bの第1幅寸法80のうち最も大きい第1幅寸法80と、複数検出された第2合口隙間46a、46bの第2幅寸法82のうち最も大きい第2幅寸法82との差が第1の基準値よりも大きい場合にシールリング10に異常があると判定する。
【0106】
本実施形態おいて、軸部材14を回転して合口隙間を検出する場合、検出工程(ステップS10~S18、S26~S34、SB10)において第1合口隙間42及び第2合口隙間46のそれぞれが複数検出されることがある。この場合であっても複数検出された第1合口隙間42a、42bの第1幅寸法80のうち最も大きい第1幅寸法80と、複数検出された第2合口隙間46a、46bの第2幅寸法82のうち最も大きい第2幅寸法82とを用いることで、誤判定の抑制が可能となる。
【0107】
(4)シールリング10の検査方法は、軸部材14の周面18に形成された溝部(20、22、24、26、28)に装着されたシールリング10を検査する検査方法である。シールリング10は、周方向Cの一端部に設けられる第1合口構成部32と、周方向Cの他端部に設けられて第1合口構成部32と軸方向Aに重ねられる第2合口構成部36と、を備える。シールリング10の第1合口構成部32の先端部32aと周方向Cに対向する第1端面40との間には第1合口隙間42が形成され、第2合口構成部36の先端部36aと周方向Cに対向する第2端面44との間には第2合口隙間46が形成される。シールリング10の検査方法は、シールリング10が装着された状態で軸部材14を中心軸まわりに回転させて、第1合口隙間42と第2合口隙間46とを検出する検出工程(ステップS10~S18、S26~S34、SC10)を備える。シールリング10の検査方法は、第1合口隙間42の周方向Cの第1中心位置84と第2合口隙間46の周方向Cの第2中心位置86との離間距離88を算出する算出工程(ステップSC12、SC14)を備える。シールリング10の検査方法は、離間距離88が第2の基準値よりも小さい場合にシールリング10に異常があると判定する判定工程(ステップSC14)を備える。
【0108】
本実施形態によれば、第1合口隙間42と第2合口隙間46とが略均等に広がる場合には、第1合口隙間42の第1中心位置84と第2合口隙間46の第2中心位置86との離間距離88に大きな変化は生じない。このため、第1中心位置84と第2中心位置86との離間距離88は、第2の基準値よりも短くならないので、シールリング10に異常があると判定されない。
【0109】
一方、例えば第2合口構成部36に折れが生じた場合には、第2合口隙間46の第2中心位置86が第1合口隙間42側へ移動し、第1中心位置84と第2中心位置86との離間距離88は短くなる。これにより、第1中心位置84と第2中心位置86との離間距離88は、第2の基準値よりも短くなり、シールリング10に異常があると判定される。
【0110】
このように、取付状態によってシールリング10が広がり、両合口隙間42、46の各幅寸法80、82が大きくなった場合には、シールリング10に異常があると判定されない。一方、シールリング10の端部に折れが生じ、第1中心位置84と第2中心位置86との離間距離88が短くなった場合には、シールリング10に異常があると判定される。
【0111】
よって、各合口隙間42、46の各幅寸法80、82の大きさに基づいて、シールリング10の判定を行う場合と比較して、誤判定の抑制が可能となる。
【0112】
また、本実施形態では、シールリング10が装着された軸部材14を中心軸まわりに回転させて第1合口隙間42と第2合口隙間46とを検出する。このため、例えば撮像装置54を軸部材14の外周面に沿って移動しながら第1合口隙間42と第2合口隙間46とを検出する場合と比較して、各合口隙間42、46の検出が容易となる。
【0113】
(5)シールリング10の検査方法において、算出工程(ステップSC12、SC14)では、検出工程(ステップS10~S18、S26~S34、SC10)で第1合口隙間42及び第2合口隙間46の少なくとも一方が複数検出された場合には、検出された総ての合口隙間42a、42b、46a、46bにおいて対となる合口隙間の組合せを想定するとともに、想定した対となる組合せの合口隙間の中心位置同士の離間距離をそれぞれ算出する。判定工程(ステップSC14)では、複数算出された中心位置同士の離間距離のうち最も短い離間距離が第2の基準値よりも短い場合にシールリング10に異常があると判定する。
【0114】
本実施形態おいて、軸部材14を回転させて合口隙間を検出する場合、検出工程(ステップS10~S18、S26~S34、SC10)において第1合口隙間42及び第2合口隙間46の少なくとも一方が複数検出されることがある。このような場合であっても、検出された総ての合口隙間42a、42b、46a、46bにおいて対となる合口隙間の組合せを想定し、各組合せの合口隙間の中心位置同士の離間距離のうち最も短い離間距離を判定に用いることで、誤判定の抑制が可能となる。
【0115】
(6)シールリング10の検査装置12は、軸部材14の周面18に形成された溝部(20、22、24、26、28)に装着されたシールリング10を検査する検査装置12である。シールリング10は、周方向Cの一端部に設けられる第1合口構成部32と、周方向Cの他端部に設けられて第1合口構成部32と軸方向Aに重ねられる第2合口構成部36と、を備える。シールリング10の第1合口構成部32の先端部32aと周方向Cに対向する第1端面40との間には第1合口隙間42が形成され、第2合口構成部36の先端部36aと周方向Cに対向する第2端面44との間には第2合口隙間46が形成される。検査装置12は、シールリング10が装着された軸部材14を中心軸まわりに回転させる回転駆動装置52と、回転駆動装置52で回転される軸部材14に装着されたシールリング10を撮像する撮像装置54と、を備える。また、検査装置12は、撮像装置54で撮像した画像を取得するコントローラ56を備える。コントローラ56は、撮像装置54が撮像した画像から第1合口隙間42と第2合口隙間46とを検出し、第1合口隙間42の周方向Cに沿う第1幅寸法80と第2合口隙間46の周方向Cに沿う第2幅寸法82とを測定する。コントローラ56は、第1幅寸法80と第2幅寸法82とを比較し、第1幅寸法80と第2幅寸法82との差が第1の基準値よりも大きい場合にシールリング10に異常があると判定する。
【0116】
本実施形態の検査装置12は、軸部材14を中心軸まわりに回転させる回転駆動装置52と、回転駆動装置52で回転される軸部材14のシールリング10を撮像する撮像装置54と、撮像装置54で撮像した画像を取得するコントローラ56と、を用いることで、シールリング10の検査方法が実現可能となる。
【0117】
そして、前述したように、取付状態によってシールリング10が広がり、両合口隙間42、46の幅寸法が大きくなった場合に、コントローラ56は、シールリング10に異常があると判定しない。一方、シールリング10の端部に折れが生じ、一方の合口隙間(42、46)の幅寸法が大きくなった場合に、コントローラ56は、シールリング10に異常があると判定する。
【0118】
よって、各合口隙間42、46の各幅寸法80、82の大きさに基づいて、シールリング10の判定を行う場合と比較して、誤判定の抑制が可能となる。
【0119】
また、コントローラ56は、撮像装置54から取得した画像を用いて判定を行う。このため、撮像装置54による撮像後において、撮像装置54から取得した複数の画像を纏めて処理することが可能となる。これにより、検査装置12は、判定に要する処理効率を高めることが可能となる。
【0120】
(7)シールリング10の検査装置12は、軸部材14の周面18に形成された溝部(20、22、24、26、28)に装着されたシールリング10を検査する検査装置12である。シールリング10は、周方向Cの一端部に設けられる第1合口構成部32と、周方向Cの他端部に設けられて第1合口構成部32と軸方向Aに重ねられる第2合口構成部36と、を備える。シールリング10の第1合口構成部32の先端部32aと周方向Cに対向する第1端面40との間には第1合口隙間42が形成され、第2合口構成部36の先端部36aと周方向Cに対向する第2端面44との間には第2合口隙間46が形成される。検査装置12は、シールリング10が装着された軸部材14を中心軸まわりに回転させる回転駆動装置52と、回転駆動装置52で回転される軸部材14に装着されたシールリング10を撮像する撮像装置54と、を備える。検査装置12は、撮像装置54で撮像した画像を取得するコントローラ56を備える。コントローラ56は、撮像装置54が撮像した画像から第1合口隙間42と第2合口隙間46とを検出し、第1合口隙間42の周方向Cの第1中心位置84と第2合口隙間46の周方向Cの第2中心位置86との離間距離88を算出する。コントローラ56は、離間距離88が第2の基準値よりも小さい場合にシールリング10に異常があると判定する。
【0121】
本実施形態の検査装置12は、軸部材14を中心軸まわりに回転させる回転駆動装置52と、回転駆動装置52で回転される軸部材14のシールリング10を撮像する撮像装置54と、撮像装置54で撮像した画像を取得するコントローラ56と、を用いることで、シールリング10の検査方法が実現可能となる。
【0122】
そして、前述したように、取付状態によってシールリング10が広がり、両合口隙間42、46の幅寸法80、82が大きくなった場合に、コントローラ56は、シールリング10に異常があると判定しない。一方、シールリング10の端部に折れが生じ、第1中心位置84と第2中心位置86との離間距離88が短くなった場合に、コントローラ56は、シールリング10に異常があると判定する。
【0123】
よって、各合口隙間42、46の各幅寸法80、82の大きさに基づいて、シールリング10の判定を行う場合と比較して、誤判定の抑制が可能となる。
【0124】
また、コントローラ56は、撮像装置54から取得した画像を用いて判定を行う。このため、撮像装置54による撮像後において、撮像装置54から取得した複数の画像を纏めて処理することが可能となる。これにより、検査装置12は、判定に要する処理効率を高めることが可能となる。
【0125】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0126】
上記実施形態では、寸法差検査処理(ステップS20、S36)での判定結果と離間距離検査処理(ステップS22、S38)での判定結果とを用いて、シールリング10の状態を判定したが、本実施形態は、この構成に限定されるものではない。例えば、検査装置12は、寸法差検査処理(ステップS20、S36)での判定結果及び離間距離検査処理(ステップS22、S38)での判定結果のいずれか一方の検査処理のみでシールリング10の状態を判定してもよい。
【0127】
また、上記実施形態では、側面画像90に第1合口隙間42が二つ撮像された場合、又は/及び第2合口隙間46が二つ撮像された場合を例に挙げて説明したが、本検査装置は、この構成に限定されるものでない。本検査装置12は、側面画像90に三つ以上の第1合口隙間42又は三つ以上の第2合口隙間46が撮像された場合であっても判定を行うことができる。
【符号の説明】
【0128】
10 シールリング
12 検査装置
14 軸部材
18 周面
20 第1溝部
22 第2溝部
24 第3溝部
26 第4溝部
28 第5溝部
32 第1合口構成部
32a 先端部
36 第2合口構成部
36a 先端部
40 第1端面
42、42a、42b 第1合口隙間
44 第2端面
46、46a、46b 第2合口隙間
52 回転駆動装置
54 撮像装置
56 コントローラ
80 第1幅寸法
82 第2幅寸法
84 第1中心位置
86 第2中心位置
88 離間距離
90 側面画像(画像)
A 軸方向
C 周方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13