(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169974
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】コネクタ構造
(51)【国際特許分類】
H01R 13/46 20060101AFI20241129BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
H01R13/46 304Z
H01R13/52 301H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086867
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】藤田 伶於奈
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE11
5E087FF03
5E087FF12
5E087HH02
5E087LL04
5E087LL13
5E087MM09
5E087QQ04
5E087RR12
5E087RR49
(57)【要約】
【課題】本発明は、がたつきを抑制しつつ筐体への保持力の向上を図ったコネクタ構造を提供することを目的とする。
【解決手段】取付け孔100を有する筐体10に組み付けられるコネクタ構造1であって、取付け孔100の一方側の端部10fに当接されるフランジ23を有する第1コネクタ2と、該第1コネクタに嵌合される第2コネクタ3と、該第2コネクタから引き出された電線11を支持するカバー4と、該カバーに係止されるとともに、取付け孔100の他方側の端部10bに当接可能なプレート部材5と、を備え、カバーは、一方側の端部に設けられているとともに第2コネクタを係止するコネクタ係止部71と、他方側の端部に設けられているとともにプレート部材を係止するプレート係止部82と、を有し、コネクタ係止部71は一対で設けられ、各コネクタ係止部71には、取付け孔100の内面に押圧状態で当接される当接部71Rが設けられている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付け孔を有する筐体に組み付けられるコネクタ構造であって、
前記取付け孔の一方側の端部に当接されるフランジを有する第1コネクタと、
該第1コネクタに係合するとともに、前記第1コネクタの内部に挿入されて前記第1コネクタに嵌合される第2コネクタと、
該第2コネクタから引き出された電線を支持するカバーと、
該カバーに係止されるとともに、前記取付け孔の他方側の端部に当接可能なプレート部材と、を備え、
前記カバーは、該カバーの前記一方側の端部に設けられているとともに前記第2コネクタを係止するコネクタ係止部と、該カバーの前記他方側の端部に設けられているとともに 前記プレート部材を係止するプレート係止部と、を有し、
前記コネクタ係止部は、前記取付け孔が延在する方向に対して直交する直交方向に対向して一対で設けられ、
前記各コネクタ係止部には、それぞれ、前記取付け孔の内面に押圧状態で当接される当接部が設けられていることを特徴とするコネクタ構造。
【請求項2】
前記カバーは、前記一方側に向かうにしたがって、前記直交方向の寸法が徐々に大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ構造。
【請求項3】
前記筐体と前記フランジとの間に介在するシール部材を有し、
前記第1コネクタと前記第2コネクタとが係合するとともに、前記コネクタ係止部が前記第2コネクタを係止し、前記プレート部材が前記プレート係止部に係止されるとともに前記取付け孔の他方側の端部に当接した状態で、
前記第1コネクタ、前記第2コネクタ、及び前記カバーは、前記他方側に付勢されているとともに、前記フランジは、前記取付け孔の一方側の端部にて、前記シール部材に押圧状態で当接されていることを特徴とする請求項1または2に記載のコネクタ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には、多種多様な電子機器が搭載され、電子機器に電力や制御信号等を伝えるために、ワイヤハーネスが配索されている。ワイヤハーネスは、複数の電線と、コネクタと、を備え、このコネクタを電子機器のコネクタや他のワイヤハーネスのコネクタに嵌合させることで、電子機器や他のワイヤハーネスに接続されている。このようなワイヤハーネスを構成する部品として、電線が挿通される取付け孔を有する壁部に取り付けられる防水部品が開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された従来の防水部品は、取付け孔に挿入される挿入部を有するハウジング本体と、該ハウジング本体の内部に収容されるマットシールと、該マットシールをハウジング本体との間に挟んで保持するマットシールカバーと、ハウジング本体の挿入部の外周面に装着されて取付け孔との間に介在するOリングと、を備える。
【0004】
ハウジング本体は、取付け孔に挿入される挿入部と、該挿入部の挿入方向逆側に設けられて壁部に当接するフランジ部と、挿入部の挿入方向側に連続して設けられて取付け孔の縁を係止する左右一対の係止爪と、挿入部の挿入方向側に連続して設けられてマットシールカバーを係止する上下一対のカバー係止部と、を備える。左右一対の係止爪は、それぞれ、弾性支持壁と、該弾性支持壁の先端に設けられて、取付け孔の縁を係止する爪部と、を備える。
【0005】
このような防水部品を組み立てる場合には、ハウジング本体の挿入部の外周面にOリングが装着された状態で、ハウジング本体の内部にマットシールを収容して、マットシールカバーをマットシールに近付ける。マットシールカバーが一対のカバー係止部に係止される。このようにして防水部品を組み立てる。また、組み立てた防水部品を壁部に取り付ける場合には、ハウジング本体における一対の係止爪を、壁部の取付け孔に近付けて挿入する。挿入が進んで、一対の係止爪が取付け孔の内周面に接触し、一対の係止爪が撓んで、自然状態に復元して、一対の係止爪の各爪部が取付け孔の縁を係止する。このようにして、防水部品は壁部に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら従来の防水部品は、ハウジング本体における左右一対の係止爪の各爪部が、壁部の取付け孔の縁を係止することによって、防水部品は壁部に取り付けられている。このため防水部品が壁部に取り付けられた状態で、一対の係止爪が対向する方向(左右方向)にがたつきが生じる場合があった。
【0008】
本発明は、がたつきを抑制しつつ筐体への保持力の向上を図ったコネクタ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、取付け孔を有する筐体に組み付けられるコネクタ構造であって、前記取付け孔の一方側の端部に当接されるフランジを有する第1コネクタと、該第1コネクタに係合するとともに、前記第1コネクタの内部に挿入されて前記第1コネクタに嵌合される第2コネクタと、該第2コネクタから引き出された電線を支持するカバーと、該カバーに係止されるとともに、前記取付け孔の他方側の端部に当接されるプレート部材と、を備え、前記カバーは、該カバーの前記一方側の端部に設けられているとともに前記第2コネクタを係止するコネクタ係止部と、該カバーの前記他方側の端部に設けられているとともに前記プレート部材を係止するプレート係止部と、を有し、前記コネクタ係止部は、前記取付け孔が延在する方向に対して直交する直交方向に対向して一対で設けられ、前記各コネクタ係止部には、それぞれ、前記取付け孔の内面に押圧状態で当接される当接部が設けられていることを特徴とするコネクタ構造である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、がたつきを抑制しつつ筐体への保持力の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るコネクタ構造が筐体に組み付けられた状態を示す平面図である。
【
図3】(A)は、前記コネクタ構造を構成する雌コネクタ(第2コネクタ)を後方から見た図であり、(B)は、(A)の要部を拡大して示す図である。
【
図4】前記コネクタ構造を構成するカバーを示す斜視図である。
【
図8】前記コネクタ構造を筐体に組み付ける手順を説明するための図であり、(A)は、前記コネクタ構造を構成する雄コネクタ(第1コネクタ)、雌コネクタ、及び電線カバーを筐体に近付ける様子を一部断面で示す図であり、(B)は(A)の後工程を示す図であって、抜止めプレートを取り付ける様子を示す図であり、(C)は(B)の後工程を示す図であって、前記コネクタ構造が前記筐体に組み付けられた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を
図1~8に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るコネクタ構造1が筐体10に組み付けられた状態を示す平面図である。
図2は、コネクタ構造1を示す分解斜視図である。
図1に示すように、本実施形態に係るコネクタ構造1は、自動車等に配索されるワイヤハーネスを構成するものであり、取付け孔100に挿入された状態で、筐体10に組み付けられている。
【0013】
コネクタ構造1は、
図1、7に示すように、電線11が挿通される取付け孔100(
図7に示す)を有する筐体10に組み付けられるものであって、互いに嵌合可能な雄コネクタ2(第1コネクタ)および雌コネクタ3(第2コネクタ)と、該雌コネクタ3から引き出された電線11を支持する電線カバー4と、抜止めプレート5(プレート部材)と、筐体10と雄コネクタ2との間に介在するガスケット6(シール部材)と、を備える。
【0014】
以下では、筐体10の取付け孔100が貫通する方向を「前後方向X」と記し、「前後方向X」に直交する一方を「左右方向Y」と記し、「前後方向X」に直交する他方を「上下方向Z」と記す場合がある。また、前後方向Xのうち、雄コネクタ2の側を「前方X1(一方)」と記し、これとは反対側(電線カバー4の側)を「後方X2(他方)」と記す場合がある。
【0015】
雄コネクタ2は、
図2、7に示すように、複数本の雄端子20(
図2に示す)と、該雄端子20を支持する雄コネクタ本体21と、該雄コネクタ本体21から筒状に立設されて雄端子20を囲むフード部22と、雄コネクタ本体21から鍔状に延在して筐体10の前端面10f(
図7に示す、取付け孔の一方側の端部)に当接するフランジ23と、を備える。
【0016】
フード部22は、
図2に示すように、円筒状のフード部本体221と、雌コネクタ3の後述するロック部32に係合されるロック受け部(不図示)と、電線カバー4の後述する一対のコネクタ係止部71、71の先端面710が設置される一対のカバー設置部222、222と、を備える。
【0017】
ロック受け部は、フード部本体221の内部における上面に設けられている。
【0018】
一対のカバー設置部222、222は、
図2、7に示すように、フード部本体221の左右方向Yの端部に設けられている。各カバー設置部222は、フード部本体221の後方X2側の端縁を矩形状に切り欠いて形成された面から構成されたものであり、
図8(A)に示すように、電線カバー4の後述するコネクタ係止部71の先端面710が設置可能(接触可能)に構成されている。
【0019】
雌コネクタ3は、
図2、3に示すように、複数本の雌端子(不図示)と、該雌端子をそれぞれ収容する複数の端子収容室310を有する直方体状の雌コネクタ本体31と、該雌コネクタ本体31の上面から突出して設けられて雄コネクタ2のロック受け部に係合可能なロック部32と、雌コネクタ本体31に設けられて電線カバー4の後述する一対のコネクタ係止部71、71に係止される一対の係止受け部33、33と、を備える。
【0020】
一対の係止受け部33、33は、
図3(A)(B)に示すように、雌コネクタ本体31の後方X2の端縁から左右方向Yに板状に延出する一対の延出板331、331と、各延出板331に設けられてコネクタ係止部71の係止突起712が挿入される挿入孔332と、雌コネクタ本体31から左右方向Yに突出して設けられて、電線カバー4の後述する係止突起712に係止される突起受け部333と、を備える。
【0021】
各延出板331は、
図3(B)に示すように、上下方向Zおよび左右方向Yを含む平面から構成されているとともに、上下方向Zが長辺となるような長方形状に形成されている。
【0022】
挿入孔332は、
図3(B)に示すように、後方から見て矩形状に形成されているとともに、各延出板331の上端を切り欠いて形成されている。
【0023】
突起受け部333は、
図2、3(B)に示すように、各延出板331より前方X1に設けられているとともに、後方から見て、挿入孔332の上端側に設けられている。
【0024】
電線カバー4は、
図4~6に示すように、コネクタ係止構造7と、雌コネクタ3から引き出された複数の電線11を保持する電線保持部8と、コネクタ係止構造7と電線保持部8との間に両者に連続して設けられているとともに、コネクタ係止構造7(一方側)に向かうにしたがって左右方向Y(直交方向)の寸法が徐々に大きくなるように形成された一対の幅拡大部9、9と、を備える。
【0025】
コネクタ係止構造7は、
図4に示すように、雌コネクタ3に設けられた一対の係止受け部33、33を係止可能な一対のコネクタ係止部71、71と、該一対のコネクタ係止部71、71同士を連結する連結部72と、を備える。
【0026】
各コネクタ係止部71は、
図4、7に示すように、雄コネクタ2のカバー設置部222に設置される先端面710を有しているとともに、各係止受け部33を挿入可能な挿入空間70を有する係止部本体711と、挿入空間70の内部に設けられて、各係止受け部33の突起受け部333を係止可能な係止突起712(
図4に示す)と、係止部本体711の外面に設けられて筐体10の内周面(取付け孔100を構成する内面)に当接可能な当接面71R(当接部)と、を備える。
図7において、係止突起712は省略されている。
【0027】
挿入空間70は、
図4に示すように、前後方向Xに対向する第1面70Aおよび第2面70Bと、該第1面70Aおよび第2面70Bの左右方向Yの端部に連続する第3面70Cと、第1面70A、第2面70B及び第3面70Cの下端に連続する第4面70Dと、を備え、第4面70Dに対向する上方Z1、および第3面70Cに対向する位置が開放されて構成されている。
【0028】
係止突起712は、
図4に示すように、第1面70Aの中央部に設けられているとともに、第1面70Aから前方X1に突出して設けられている。この係止突起712は、挿入空間70に設けられて、挿入空間70の内部に係止受け部33が挿入された際に、突起受け部333を係止可能に構成されている。
【0029】
当接面71Rは、
図5、6に示すように、筐体10の内周面と同程度の曲率を有する湾曲面から構成されていて、筐体10の内周面に押圧状態で面接触するように構成されている。このような当接面71Rが、筐体10の内周面に押圧状態で面接触することによって、電線カバー4が筐体10の取付け孔100から脱落することの抑制が図られている。
【0030】
電線保持部8は、
図2、4に示すように、電線保持部本体81と、該電線保持部本体81の外周面に設けられて抜止めプレート5を係止可能な一対の係止溝82、82(プレート係止部)と、を備える。
【0031】
電線保持部本体81は、左右方向Yに対向する一対の側壁811、811と、該一対の側壁811、811を連結する上側壁部812と、該上側壁部812から下方Z2に立設して設けられて一対の側壁811、811の間を仕切る仕切り壁813と、該仕切り壁813の下端に連続して上側壁部812に対向する下側壁部814と、を備える。
【0032】
各側壁811の外面811Rは、筐体10の内周面と同程度の曲率を有する湾曲面から構成されている。また各側壁811の外面811Rは、コネクタ係止構造7に設けられた一対の当接面71R、71Rに対して、左右方向Yの内方に位置している。
【0033】
上側壁部812は、
図2に示すように、一対の側壁811の上端より下方Z2側に設けられている。
【0034】
このような電線保持部本体81は、雌コネクタ3から引き出された複数の電線11が2つに分けられて、一対の側壁811、811のうち一方と仕切り壁813とによって構成された第1空間8S1、及び一対の側壁811、811のうち他方と仕切り壁813とによって構成された第2空間8S2、それぞれに挿通されて保持されるように構成されている。
【0035】
各係止溝82は、
図2、5に示すように、各側壁811の外面811Rに凹溝状に構成されているとともに、上下方向Zに延在して設けられている。係止溝82は、下方Z2側に設けられて抜止めプレート5の挟み部本体521に係止される第1係止溝82Aと、該第1係止溝82Aの上方Z1に設けられて抜止めプレート5の係止片522に係止される第2係止溝82Bと、を備える。
【0036】
第1係止溝82Aは、各側壁811の下端を切り欠いて形成されている。この第1係止溝82Aは、下方Z2に向かうにしたがって、(前後方向Xの)溝幅が徐々に広くなるように形成されているとともに、前後方向Xに交差する方向に延在して設けられて、抜止めプレート5が前後方向Xに交差する方向に延びた状態で、該抜止めプレート5を係止するように構成されている。
【0037】
このような係止溝82に抜止めプレート5が係止された状態では、抜止めプレート5の各挟み部52は、係止溝82によって、前後方向Xに交差する方向に延在している。即ち、
図1に示すように、各挟み部52が前後方向Xに交差する方向に延びた状態で、抜止めプレート5の台部51側の端部が、筐体10の後端面10bに当接し、抜止めプレート5が前後方向Xに交差する方向に延びた格好で、係止溝82に抜止めプレート5が係止される。これにより、雄コネクタ2のフランジ23が筐体10の取付け孔100の前端面10fに当接した状態で、雄コネクタ2、雌コネクタ3、及び電線カバー4が、後方X2に付勢されるように構成されている。
【0038】
一対の幅拡大部9、9は、
図6に示すように、左右方向Yに対向して設けられている。各幅拡大部9は、
図5に示すように、上側柱部91と、下側柱部92と、を備える。上側柱部91は、コネクタ係止構造7の各係止部本体711と電線保持部8の各側壁811との間に位置しているとともに、上側柱部91の前端は、コネクタ係止構造7の各係止部本体711の上端に連続し、上側柱部91の後端は、電線保持部8の各側壁811の上端に連続して設けられている。また、下側柱部92は、コネクタ係止構造7の各係止部本体711と電線保持部8の各側壁811との間に位置しているとともに、下側柱部92の前端は、コネクタ係止構造7の各係止部本体711の下端に連続し、下側柱部92の後端は、電線保持部8の各側壁811の下端に連続して設けられている。
【0039】
このような電線カバー4は、上下方向Zの中央部において、一対のコネクタ係止部71、71における一対の当接面71R、71R間の寸法が、電線保持部8における一対の側壁811、811における一対の外面811R、811R間の寸法より大きい寸法になるように形成されているとともに、電線カバー4が筐体10の取付け孔100の内部に挿入された状態で、一対の当接面71R、71Rが、取付け孔100の内面に押圧状態で当接するように構成されている。
【0040】
抜止めプレート5は、
図2に示すように、金属板に打抜き加工および曲げ加工が施されて構成されたものであり、台部51と、該台部51に連続するとともに折れ曲がって上方Z1に延びる一対の挟み部52、52と、を備える。一対の挟み部52、52は、上下方向Zに延在する仮想軸を中心とする線対称となるように構成されている。各挟み部52は、円弧状に形成されて電線カバー4に設けられた第1係止溝82Aを係止する挟み部本体521と、該挟み部本体521の先端に設けられて電線カバー4に設けられた第2係止溝82Bを係止する係止片522と、を備える。
【0041】
このような抜止めプレート5は、挟み部本体521が第1係止溝82Aに係止され、係止片522が第2係止溝82Bに係止された状態で、抜止めプレート5の台部51側の端部が、筐体10の後端面10bに当接し、抜止めプレート5が前後方向Xに交差する方向に延びた格好で、筐体10の後端面10b(取付け孔の他方側の端部)に当接するように構成されている。
【0042】
ガスケット6は、
図7に示すように、筐体10の取付け孔100の前端部に装着されるものであって、弾性体から構成されているとともにリング状に形成されている。
【0043】
このような筐体10にコネクタ構造1を組み付ける場合には、
図8(A)に示すように、まず予めガスケット6を筐体10の取付け孔100の前端部に装着しておく。電線11の前方X1側の端末部に雌端子を接続し、雌端子を端子収容室310の内部に収容して、電線11の後方X2側を雌コネクタ3から引き出しておく。さらに、引き出された電線11の後方X2側は、電線カバー4における第1空間8S1および第2空間8S2のそれぞれに挿通させて、電線カバー4から後方X2に引き出しておく。また、筐体10は、電線カバー4の後方X2に位置し、電線カバー4から引き出された電線11の後方X2側は、筐体10の取付け孔100に挿通されている。
【0044】
続いて、雌コネクタ3の後端に電線カバー4の前端を近付けるとともに、雌コネクタ3の上方Z1に、電線カバー4の各コネクタ係止部71を近付けて、各係止受け部33を各コネクタ係止部71の挿入空間70に挿入する。挿入が進んで、各コネクタ係止部71の係止突起712が各係止受け部33の突起受け部333に接触し、突起受け部333を乗り上げて、乗り越える。このようにして、各コネクタ係止部71が各係止受け部33を係止する。これにより、雌コネクタ3と電線カバー4とが機械的に接続される。
【0045】
続いて、雄コネクタ2のフード部22に雌コネクタ3の前端部を近付けて、フード部22の内部に雌コネクタ3を挿入する。挿入が進んで、雄コネクタ2の雄端子20と雌コネクタ3の雌端子とが電気的に接続されるとともに、雄コネクタ2および雌コネクタ3が嵌合する。また、雄コネクタ2のロック受け部に雌コネクタ3のロック部32が係合する。これにより、雄コネクタ2および雌コネクタ3の嵌合状態が維持される。これと略同時に、電線カバー4におけるコネクタ係止部71の先端面710が、雄コネクタ2のカバー設置部222に設置される。このようにして、雄コネクタ2、雌コネクタ3、及び電線カバー4が機械的に接続される。
【0046】
この後、筐体10に対して、雄コネクタ2、雌コネクタ3、及び電線カバー4を後方X2に移動させる。電線カバー4が筐体10に近付いて、電線カバー4の筐体10における取付け孔100の内部への挿入が開始する。挿入が進んで、電線カバー4における各コネクタ係止部71の当接面71Rが取付け孔100の内面に当接される。さらに挿入が進んで、当接面71Rが取付け孔100の内面に当接された状態のまま、取付け孔100の内面に摺動され、さらに挿入が進んで、筐体10の前端面10fに、雄コネクタ2のフランジ23が当接して、雄コネクタ2、雌コネクタ3、及び電線カバー4は取付け孔100の所定位置に位置付けられる。この際、各コネクタ係止部71の当接面71Rが取付け孔100の内面に押圧状態で当接されている。また、雄コネクタ2のフランジ23は、取付け孔100の前方X1側(一方側)の端部にて、ガスケット6に当接されている。
【0047】
この後、
図8(B)に示すように、抜止めプレート5が筐体10の後端面10bに対向する格好で、抜止めプレート5における一対の係止片522を電線カバー4における一対の係止溝82、82に近付けて挿入する。これにより、
図8(C)に示すように、抜止めプレート5における一対の挟み部本体521それぞれが電線カバー4における一対の係止溝82、82の各第1係止溝82Aに係止され、抜止めプレート5における一対の係止片522それぞれが、電線カバー4における一対の係止溝82、82の各第2係止溝82Bに係止される。これにより、
図8(C)に示すように、抜止めプレート5の台部51側の端部が、筐体10の後端面10bに当接し、抜止めプレート5が前後方向Xに交差する方向に延びた格好で、雄コネクタ2、雌コネクタ3、及び電線カバー4は、後方X2に付勢される。これにより、雄コネクタ2のフランジ23は、取付け孔100の前方X1側(一方側)の端部にて、ガスケット6に押圧状態で当接される。このようにして、コネクタ構造1の筐体10への組付けが完了する。
【0048】
上述した実施形態によれば、電線カバー4(カバー)は、雌コネクタ3(第2コネクタ)を係止するコネクタ係止部71を有し、コネクタ係止部71は、取付け孔100が延在する方向(前後方向X)に対して直交する直交方向(左右方向Y)に対向して一対で設けられ、各コネクタ係止部71には、それぞれ、取付け孔100の内面に押圧状態で当接される当接面71R(当接部)が設けられている。これによれば、筐体10に組み付けられた状態で、コネクタ係止部71の当接面71Rが、筐体10の内面に押圧状態で当接されていることにより、取付け孔100の内部においてがたつきが抑制されるとともに、筐体10への保持力の向上が図られる。
【0049】
また、電線カバー4(カバー)は、前方X1側(一方側)に向かうにしたがって、左右方向Y(直交方向)の寸法が徐々に大きくなるように形成されている。これによれば、筐体10に組み付けられた状態で、コネクタ係止部71の当接面71Rが、筐体10の内面に押圧状態で当接可能な構成を実現できる。
【0050】
また、筐体10とフランジ23との間に介在するガスケット6(シール部材)を有し、雄コネクタ2(第1コネクタ)と雌コネクタ3(第2コネクタ)とが係合するとともに、コネクタ係止部71が雌コネクタ3を係止し、抜止めプレート5が係止溝82(プレート係止部)に係止されるとともに取付け孔100の後端面10b(他方側の端部)に当接した状態で、雄コネクタ2、雌コネクタ3、及び電線カバー4は、後方X2に付勢されているとともに、フランジ23は、取付け孔100の前端面10f(一方側の端部)にて、ガスケット6に押圧状態で当接される。これによれば、フランジ23は、取付け孔100の前方X1側(一方側)の端部にて、ガスケット6に押圧状態で当接されていることとなり、筐体10の取付け孔100の前端部から取付け孔100内部へ液体が浸入すること、取付け孔100内部から液体が漏れでることの抑制を図ることができる。即ち、コネクタ構造1が筐体10に組み付けられた状態で、前後方向Xに直交する方向の変位が抑制されることとなり、よって、コネクタ構造1から引き出された電線11に外力が作用したとしても、コネクタ構造1の変位が抑制されていることにより、フランジ23の筐体10に対する位置ずれが抑制されて、筐体10の取付け孔100の前端部における止水性の向上が図られることとなる。
【0051】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0052】
1 コネクタ構造
2 雄コネクタ(第1コネクタ)
23 フランジ
3 雌コネクタ(第2コネクタ)
4 電線カバー(カバー)
5 抜止めプレート(プレート部材)
6 ガスケット(シール部材)
71、71 コネクタ係止部
71R 当接面(当接部)
82 係止溝(プレート係止部)
10 筐体
10f 前端面(取付け孔の一方側の端部)
10b 後端面(取付け孔の他方側の端部)
100 取付け孔
X 前後方向(取付け孔が延在する方向)
Y 左右方向(直交方向)