(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169975
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】撮像装置、及びその制御方法、並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/667 20230101AFI20241129BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20241129BHJP
G03B 7/01 20210101ALI20241129BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20241129BHJP
G03B 7/091 20210101ALI20241129BHJP
G03B 19/02 20210101ALI20241129BHJP
【FI】
H04N23/667
H04N23/60 500
G03B7/01
G03B15/00 R
G03B7/091
G03B19/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086868
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】伊原 健太
【テーマコード(参考)】
2H002
2H054
5C122
【Fターム(参考)】
2H002AB02
2H002BB03
2H002FB04
2H002FB14
2H002FB22
2H002FB23
2H002FB24
2H002JA07
2H054BB11
5C122EA42
5C122EA44
5C122FA08
5C122FF03
5C122FH11
5C122FH14
5C122FK15
5C122FK16
5C122FL06
5C122GA01
5C122GA23
5C122HA13
5C122HA35
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】撮影の機会損失を低減する撮像装置、及びその制御方法、並びにプログラムを提供する。
【解決手段】シャッターボタン126の半押しで撮影準備を開始し、全押しで本撮影を行うレンズユニット交換式カメラ1は、撮像素子105、撮像素子105で生成された撮影画像を一時的に記録するシステムメモリ123、プリキャプチャ機能がONの場合に上記半押しがあると撮像素子105で生成された撮影画像をシステムメモリ123に一時的に記録するプリキャプチャ撮影を実施するシステム制御部150と、ユーザからプリキャプチャ機能のON/OFFの切替指示を受け付ける操作部124とを有する。システム制御部150は、撮影失敗確率評価値を取得し、その取得した撮影失敗確率評価値が所定閾値を超えた場合、プリキャプチャ機能をONとし、上記半押しがあるとプリキャプチャ撮影を実施する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の撮影指示に基づき撮影準備を開始し、第二の撮影指示に基づき本撮影を行う撮像装置であって、
レンズユニットを介して導かれた光学像から撮影画像を生成する撮像素子と、
前記撮影画像を一時的に記録する一時記録メモリと、
プリキャプチャ機能がONの場合、前記第一の撮影指示に基づき前記撮影画像を一時記録メモリに記録するプリキャプチャ撮影を制御するプリキャプチャ撮影制御手段と、
ユーザから前記プリキャプチャ機能のON/OFFの切替指示を受け付ける受付手段と、
撮影失敗確率評価値を取得する取得手段と、
を備え、
前記プリキャプチャ撮影制御手段は、前記撮影失敗確率評価値が所定閾値を超えた場合、前記プリキャプチャ機能をONとし、前記第一の撮影指示があった際、前記プリキャプチャ撮影を実施することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記プリキャプチャ撮影制御手段は、前記撮影画像から被写体が検知されなかった場合、前記撮影失敗確率評価値が所定閾値を超えた場合でも、前記プリキャプチャ機能をONとしないことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮影失敗確率評価値は、レンズ焦点距離、被写界深度、被写体の画角比、被写体速度、カメラ動き量、シャッタースピード、撮影環境の明るさ、画像ブレ量、手振れ補正値、撮影者の生体情報のいずれか一つ以上のパラメータ値を含むことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
ユーザの接眼を検知する第一の検知手段と、
ユーザの視線を検知する第二の検知手段と、
前記第一及び第二の撮影指示を行うためのシャッターボタンの上面に指が置かれていることを検知する第三の検知手段と、
を更に備え、
前記プリキャプチャ撮影制御手段は、前記第一~第三の検知手段のいずれかで検知されていると判断された場合に、前記取得手段は、前記撮影失敗確率評価値を取得することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項5】
前記プリキャプチャ撮影制御手段は、前記プリキャプチャ撮影を実施中に、前記撮影失敗確率評価値が前記所定閾値を下回っている場合、前記プリキャプチャ撮影を停止することを特徴とする請求項1記載に記載の撮像装置。
【請求項6】
被写体を検知する被写体検知手段と、
前記検知された被写体の種別を認識する認識手段と
を更に備え、
前記プリキャプチャ撮影制御手段は、前記認識された被写体の種別に応じて、前記所定閾値を変更することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
第一の撮影指示に基づき撮影準備を開始し、第二の撮影指示に基づき本撮影を行う撮像装置であって、
レンズユニットを介して導かれた光学像から撮影画像を生成する撮像素子と、
前記撮影画像を一時的に記録する一時記録メモリと、
レンズユニットのレンズ絞り値を取得する取得手段と、
プリキャプチャ機能がONの場合、前記第一の撮影指示に基づき前記撮影画像を一時記録メモリに記録するプリキャプチャ撮影を制御するプリキャプチャ撮影制御手段と、
ユーザから前記プリキャプチャ機能のON/OFFの切替指示を受け付ける受付手段と、
を備え、
前記プリキャプチャ撮影制御手段は、前記レンズ絞り値が所定絞り値以上開放されている場合、前記プリキャプチャ機能をONとし、前記第一の撮影指示があった際、前記プリキャプチャ撮影を実施することを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
前記プリキャプチャ撮影制御手段は、前記撮影画像から被写体が検知されなかった場合、前記取得手段により取得された前記レンズ絞り値が所定以上開放されていても、前記プリキャプチャ機能をONとしないことを特徴とする請求項7記載の撮像装置。
【請求項9】
ユーザの接眼を検知する第一の検知手段と、
ユーザの視線を検知する第二の検知手段と、
前記第一及び第二の撮影指示を行うためのシャッターボタンの上面に指が置かれていることを検知する第三の検知手段と、
を更に備え、
前記プリキャプチャ撮影制御手段は、前記第一~第三の検知手段のいずれかで検知されていると判断された場合に、前記取得手段は、前記レンズ絞り値を取得することを特徴とする請求項7記載の撮像装置。
【請求項10】
被写体を検知する被写体検知手段と、
前記検知された被写体の種別を認識する認識手段と
を更に備え、
前記プリキャプチャ撮影制御手段は、前記認識された被写体の種別に応じて、前記所定絞り値を変更することを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項11】
第一の撮影指示に基づき撮影準備を開始し、第二の撮影指示に基づき本撮影を行う撮像装置であって、
レンズユニットを介して導かれた光学像から撮影画像を生成する撮像素子と、
前記撮影画像を一時的に記録する一時記録メモリと、
レンズユニットのレンズ焦点距離を取得する取得手段と、
プリキャプチャ機能がONの場合、前記第一の撮影指示に基づき前記撮影画像を一時記録メモリに記録するプリキャプチャ撮影を制御するプリキャプチャ撮影制御手段と、
ユーザから前記プリキャプチャ機能のON/OFFの切替指示を受け付ける受付手段と、
を備え、
前記プリキャプチャ撮影制御手段は、前記レンズ焦点距離が所定距離以上長い場合、前記プリキャプチャ機能をONとし、前記第一の撮影指示があった際、前記プリキャプチャ撮影を実施することを特徴とする撮像装置。
【請求項12】
前記プリキャプチャ撮影制御手段は、前記撮影画像から被写体が検知されなかった場合、前記取得手段により取得された前記レンズ焦点距離が所定以上長くても、前記プリキャプチャ機能をONとしないことを特徴とする請求項11記載の撮像装置。
【請求項13】
ユーザの接眼を検知する第一の検知手段と、
ユーザの視線を検知する第二の検知手段と、
前記第一及び第二の撮影指示を行うためのシャッターボタンの上面に指が置かれていることを検知する第三の検知手段と、
を更に備え、
前記プリキャプチャ撮影制御手段は、前記第一~第三の検知手段のいずれかで検知されていると判断された場合に、前記取得手段は、前記レンズ焦点距離を取得することを特徴とする請求項11記載の撮像装置。
【請求項14】
被写体を検知する被写体検知手段と、
前記検知された被写体の種別を認識する認識手段と
を更に備え、
前記プリキャプチャ撮影制御手段は、前記認識された被写体の種別に応じて、前記所定距離を変更することを特徴とする請求項11に記載の撮像装置。
【請求項15】
第一の撮影指示に基づき撮影準備を開始し、第二の撮影指示に基づき本撮影を行う撮像装置の制御方法であって、
レンズユニットを介して導かれた光学像から撮影画像を撮像素子で生成する生成ステップと、
前記撮影画像を一時記録メモリで一時的に記録する一時記録ステップと、
プリキャプチャ機能がONの場合、前記第一の撮影指示に基づき前記生成ステップで生成された前記撮影画像を前記一時記録ステップで一時的に記録するプリキャプチャ撮影を制御するプリキャプチャ撮影制御ステップと、
ユーザから前記プリキャプチャ機能のON/OFFの切替指示を受け付ける受付ステップと、
撮影失敗確率評価値を取得する取得ステップと、
を有し、
前記プリキャプチャ撮影制御ステップにおいて、前記撮影失敗確率評価値が所定閾値を超えた場合、前記プリキャプチャ機能がONとされ、前記第一の撮影指示があった際、前記プリキャプチャ撮影が実施されることを特徴とする制御方法。
【請求項16】
第一の撮影指示に基づき撮影準備を開始し、第二の撮影指示に基づき本撮影を行う撮像装置の制御方法であって、
レンズユニットを介して導かれた光学像から撮影画像を撮像素子で生成する生成ステップと、
前記撮影画像を一時記録メモリで一時的に記録する一時記録ステップと、
レンズユニットのレンズ絞り値を取得する取得ステップと、
プリキャプチャ機能がONの場合、前記第一の撮影指示に基づき前記生成ステップで生成された前記撮影画像を前記一時記録ステップで一時的に記録するプリキャプチャ撮影を制御するプリキャプチャ撮影制御ステップと、
ユーザから前記プリキャプチャ機能のON/OFFの切替指示を受け付ける受付ステップと、
を有し、
前記プリキャプチャ撮影制御ステップにおいて、前記レンズ絞り値が所定絞り値以上開放されている場合、前記プリキャプチャ機能がONとされ、前記第一の撮影指示があった際、前記プリキャプチャ撮影が実施されることを特徴とする制御方法。
【請求項17】
第一の撮影指示に基づき撮影準備を開始し、第二の撮影指示に基づき本撮影を行う撮像装置の制御方法であって、
レンズユニットを介して導かれた光学像から撮影画像を撮像素子で生成する生成ステップと、
前記撮影画像を一時記録メモリで一時的に記録する一時記録ステップと、
レンズユニットのレンズ焦点距離を取得する取得ステップと、
プリキャプチャ機能がONの場合、前記第一の撮影指示に基づき前記生成ステップで生成された前記撮影画像を前記一時記録ステップで一時的に記録するプリキャプチャ撮影を制御するプリキャプチャ撮影制御ステップと、
ユーザから前記プリキャプチャ機能のON/OFFの切替指示を受け付ける受付ステップと、
を有し、
前記プリキャプチャ撮影制御ステップにおいて、前記レンズ焦点距離が所定距離以上長い場合、前記プリキャプチャ機能がONとされ、前記第一の撮影指示があった際、前記プリキャプチャ撮影が実施されることを特徴とする制御方法。
【請求項18】
コンピュータを、請求項1に記載された撮像装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項19】
コンピュータを、請求項7に記載された撮像装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項20】
コンピュータを、請求項11に記載された撮像装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、及びその制御方法、並びにプログラムに関し、特にプリキャプチャ機能を搭載する撮像装置、及びその制御方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラなどの撮像装置において、撮影者がカメラのレリーズ釦を押下して撮影指示をしてから、実際に撮影記録開始するまでのタイムラグにより、撮影者の所望の画像を撮影することが困難という課題がある。
【0003】
これに対して、特許文献1では、上記の課題を鑑みてプリキャプチャ機能を搭載するカメラが提案されている。これは、レリーズ釦の1段目が押下されている間、バッファメモリに所定枚数保存するように撮影を繰り返し実行する。レリーズ釦の2段目が押された時点でバッファメモリに保存された画像とレリーズ釦の2段目が押下された時点で撮影された画像を記録メディアに保存するものである。
【0004】
このようなプリキャプチャ機能を利用することで、撮影者が撮影指示をした瞬間から遡って撮影記録することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された従来技術は、プリキャプチャ機能を使用する設定にされている時、レリーズ釦の1段目の押下中に一定周期でプリキャプチャ撮影を行う技術である。そのため、撮影者がプリキャプチャ撮影を行うつもりではあったが、プリキャプチャ機能を使用する設定をし忘れてしまったという場合、撮影者がレリーズ釦の1段目を押下していてもプリキャプチャ撮影は行われず、撮影の機会損失になってしまう。
【0007】
よって本発明は、撮影の機会損失を低減する撮像装置、及びその制御方法、並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る撮像装置は、第一の撮影指示に基づき撮影準備を開始し、第二の撮影指示に基づき本撮影を行う撮像装置であって、レンズユニットを介して導かれた光学像から撮影画像を生成する撮像素子と、前記撮影画像を一時的に記録する一時記録メモリと、プリキャプチャ機能がONの場合、前記第一の撮影指示に基づき前記撮影画像を一時記録メモリに記録するプリキャプチャ撮影を制御するプリキャプチャ撮影制御手段と、ユーザから前記プリキャプチャ機能のON/OFFの切替指示を受け付ける受付手段と、撮影失敗確率評価値を取得する取得手段と、を備え、前記プリキャプチャ撮影制御手段は、前記撮影失敗確率評価値が所定閾値を超えた場合、前記プリキャプチャ機能をONとし、前記第一の撮影指示があった際、前記プリキャプチャ撮影を実施することを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項7に係る撮像装置は、第一の撮影指示に基づき撮影準備を開始し、第二の撮影指示に基づき本撮影を行う撮像装置であって、レンズユニットを介して導かれた光学像から撮影画像を生成する撮像素子と、前記撮影画像を一時的に記録する一時記録メモリと、レンズユニットのレンズ絞り値を取得する取得手段と、プリキャプチャ機能がONの場合、前記第一の撮影指示に基づき前記撮影画像を一時記録メモリに記録するプリキャプチャ撮影を制御するプリキャプチャ撮影制御手段と、ユーザから前記プリキャプチャ機能のON/OFFの切替指示を受け付ける受付手段と、を備え、前記プリキャプチャ撮影制御手段は、前記レンズ絞り値が所定絞り値以上開放されている場合、前記プリキャプチャ機能をONとし、前記第一の撮影指示があった際、前記プリキャプチャ撮影を実施することを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の請求項11に係る撮像装置は、第一の撮影指示に基づき撮影準備を開始し、第二の撮影指示に基づき本撮影を行う撮像装置であって、レンズユニットを介して導かれた光学像から撮影画像を生成する撮像素子と、前記撮影画像を一時的に記録する一時記録メモリと、レンズユニットのレンズ焦点距離を取得する取得手段と、プリキャプチャ機能がONの場合、前記第一の撮影指示に基づき前記撮影画像を一時記録メモリに記録するプリキャプチャ撮影を制御するプリキャプチャ撮影制御手段と、ユーザから前記プリキャプチャ機能のON/OFFの切替指示を受け付ける受付手段と、備え、前記プリキャプチャ撮影制御手段は、前記レンズ焦点距離が所定距離以上長い場合、前記プリキャプチャ機能をONとし、前記第一の撮影指示があった際、前記プリキャプチャ撮影を実施することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、撮影の機会損失を低減する撮像装置、及びその制御方法、並びにプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る撮像装置としてのカメラ本体を含むレンズユニット交換式カメラのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】カメラ本体で実行される本発明のプリキャプチャ撮影の動作を説明するためのブロック図である。
【
図3】本発明の第一の実施形態に係るプリキャプチャ撮影制御処理のフローチャートである。
【
図4】本発明の第二の実施形態に係るプリキャプチャ撮影制御処理のフローチャートである。
【
図5】本発明の第三の実施形態に係るプリキャプチャ撮影制御処理のフローチャートである。
【
図6】本発明の第4の実施形態に係るプリキャプチャ撮影制御処理のフローチャートである。
【
図7】本発明の第5の実施形態に係るプリキャプチャ撮影制御処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る撮像装置としてのカメラ本体100を含むレンズユニット交換式カメラのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0015】
図1において、レンズユニット交換式カメラ1は、カメラ本体100と、入射光をカメラ本体100内の撮像素子105に導くレンズユニット200で構成されるレンズユニット交換式カメラである。
【0016】
カメラ本体100は、コネクタ101、レンズマウント102、シャッター103、シャッター制御部104、撮像素子105、画像処理部106、記録媒体107、IBIS制御部108、表示部111、及び温度取得部121を備える。また、システムタイマー122、システムメモリ123、操作部124、電源スイッチ125、シャッターボタン126、無線接続部129、生体情報取得部130、メモリ140、システム制御部150、電源制御部160、及び電源部170を備える。
【0017】
また
図1に示すように、レンズユニット200は、コネクタ201、レンズマウント202、絞り203、レンズ制御部204、及びレンズ205を備える。
【0018】
まずカメラ本体100の構成について説明する。
【0019】
シャッター制御部104は、画像処理部106からの露出情報に基づいて、絞り203を制御するレンズ制御部204と連携しながら、シャッター103を制御する。
【0020】
撮像素子105は、レンズ205、絞り203、レンズマウント202,102、シャッター103を介して不図示の被写体の光学像が結像し、その光学像を電気信号に変換し、撮影画像を生成する。
【0021】
画像処理部106は、撮像素子105より入力される撮影画像に対して、所定の演算処理を行い、演算結果に基づいて、画素補間処理、色変換処理やホワイトバランス処理等の画像処理を施し、表示部111に出力する。また、画像処理部106は、JPEG等の画像圧縮機能や、ライブビュー画像から撮影対象の被写体を検知する被写体検知機能を有する。
【0022】
記録媒体107は、撮影画像等のデータの記録または読み出しを行うための半導体メモリ等の着脱可能な記録媒体である。
【0023】
IBIS制御部108は、IBIS(In body Image Stabilizer)制御を行うカメラ内手振れ補正機構であり、カメラ本体100の揺れ等を、撮像素子105を移動させることによって補正を行う制御をすることが可能である。
【0024】
温度取得部121は、カメラ本体100の各場所に配置されており、配置されている部分においての温度を取得可能である。
【0025】
操作部124は、システム制御部150に各種所定の動作指示を入力する操作手段である。これらの操作手段はスイッチやダイヤル、タッチパネル、視線検知によるポインティング、音声認識装置等のいずれか一つ又はそれらの組み合わせにより構成される。ユーザは操作部124(受付手段)を用いて後述するプリキャプチャ機能のON/OFFの切替指示を行うことも可能である。
【0026】
システムタイマー122は、各種制御に用いる時間や、内蔵された時計の時間を計測する。
【0027】
システムメモリ123は、RAMが用いられる。システムメモリ123には、システム制御部150の動作用の定数、変数、メモリ140から読み出したプログラム等を展開する。
【0028】
電源スイッチ125は、カメラ本体100の電源ON、電源OFFの各モードを切り替え設定することができる。
【0029】
シャッターボタン126は、撮影指示を行うための操作部である。シャッターボタン126は、その上面に指が置かれているかを検知するタッチセンサ(不図示:第三の検知手段)が設けられており、その検知結果はシステム制御部150に送信される。
【0030】
第一シャッタースイッチ127は、カメラ本体100に設けられたシャッターボタン126の操作途中、いわゆる半押しでONとなり、第一シャッタースイッチ信号SW1(第一の撮影指示)を発生する。システム制御部150は、シャッターボタン126からの第一シャッタースイッチ信号SW1を受けて、オートフォーカス処理、自動露出処理、オートホワイトバランス処理、フラッシュプリ発光処理、プリキャプチャ撮影等の撮影準備動作を開始する。第一シャッタースイッチ信号SW1は、半押し動作の終了によりOFFとなる。
【0031】
第二シャッタースイッチ128は、シャッターボタン126の操作完了、いわゆる全押しでONとなり、第二シャッタースイッチ信号SW2(第二の撮影指示)を発生する。システム制御部150は、シャッターボタン126からの第二シャッタースイッチ信号SW2を受けて、本撮影を行う。尚、プリキャプチャ機能がONの場合、第一の撮影指示に引き続き第二の撮影指示が行われると、撮像素子105からの信号読み出しから記録媒体107に画像データを書き込むまでの一連の撮影処理の動作が行われる。すなわち、シャッターボタン126の半押し操作によりプリキャプチャ撮影が行われ、その後、シャッターボタン126の全押し操作により本撮影が行われ、得られたプリキャプチャ撮影画像群および本撮影画像を記録媒体107に対して保存する。
【0032】
無線接続部129は、カメラ本体100を無線LANに接続する、無線LANに接続しないというモードを切り替えることができる。また、無線接続時の無線接続遅延時間をメモリ140に格納する。
【0033】
生体情報取得部130は、撮影者の生体情報である、血圧、脳波、視線などの生体情報を取得する。また、生体情報取得部130は、不図示のEVFにある接眼検知センサ(第一の検知手段)からの撮影者が接眼しているか否かを示す接眼検知情報や、EVFにある視線検知センサ(第二の検知手段)からの撮影者の視線検知結果を示す視線検知情報を取得する。
【0034】
メモリ140は、電気的に消去・記憶可能な不揮発性メモリも含まれ、ROMが用いられる。システム制御部150の動作用の定数、プログラム等が記憶される。ここでいう、プログラムとは、本実施形態にて後述する各種フローチャートを実行するためのプログラムのことである。
【0035】
システム制御部150は、少なくとも一つのプロセッサーを有する制御部であり、カメラ本体100全体の動作を制御する。
【0036】
電源制御部160は、電池検出回路、保護回路、DCDCコンバータ、LDOレギュレータ等から構成されている。電池装着の有無や電池種類、残量検出や過電流を検出した際には電源を遮断することにより電源回路に接続された負荷回路を保護する機能を有する。システム制御部の指示に基づき、電源部170を制御し、所望の電源電圧を所望の期間、カメラ本体100の各部に供給する。
【0037】
電源部170は、アルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Li電池等の二次電池、ACアダプター等からなる。
【0038】
レンズマウント102,202は、カメラ本体100をレンズユニット200と接続するためのインターフェースである。コネクタ101,201は、カメラ本体100とレンズユニット200とを電気的に接続するコネクタであり、コネクタ101はシステム制御部150により制御され、コネクタ201はレンズ制御部204により制御される。
【0039】
レンズユニット200は、交換レンズタイプのレンズユニットであり、不図示の被写体の光学像をレンズ205から、絞り203、レンズマウント202,102、シャッター103を介して導き、撮像素子105上に結像することができる。
【0040】
次にレンズユニット200の構成について説明する。
【0041】
レンズ制御部204は、レンズユニット200全体を制御する。レンズ制御部204は、動作用の定数、変数、プログラム等を記憶するメモリやレンズユニット200固有の番号等の識別情報、管理情報、開放絞り値や最小絞り値、焦点距離等の機能情報、現在や過去の各設定値等を保持する不揮発メモリの機能も備える。レンズ制御部204は、画像処理部106より測定された画像の合焦状態に応じて、レンズ205のフォーカシングを制御し、撮像素子105に入射する被写体像の結像位置を変更することでAF動作を行うことが可能である。また、レンズ制御部204は絞り203の制御や、レンズ205のズーミングを制御する機能も兼ね備える。
【0042】
次に、カメラ本体100で実行される本発明のプリキャプチャ撮影の動作について
図2のブロック図を用いて説明する。
【0043】
図2に示すように、システム制御部150は、判断部151及び通信部152を有する。
【0044】
判断部151(プリキャプチャ撮影制御手段)は、カメラ本体100で設定することが可能な撮影時のパラメータをメモリ140に保存してあるものの中から読み出し、プリキャプチャ撮影を制御する。
【0045】
具体的には、判断部151は、プリキャプチャ機能がONの場合、シャッターボタン126が半押しされている間、撮像素子105で撮像画像の生成を繰り返し、画像処理部106でその撮像画像の画像処理を行い、画像データとして通信部152へ送る。通信部152は、画像処理部106からの画像データをシステムメモリ123(一時記録メモリ)へと展開をし、画像データを一時的に貯めておく。このとき一定時間経過後の画像データについては順次システムメモリ123から消去される。
【0046】
また、システムタイマー122でシステムメモリ123に取得している画像データ1枚ずつに時間情報を与える。
【0047】
続いてシャッターボタン126の全押しがあると、本撮影を実行し、これにより得られた本撮影画像だけでなく、システムメモリ123に一時的に貯められていた画像データも記録媒体107へプリキャプチャ撮影画像群として保存する。
【0048】
記録媒体107に保存された本撮影画像及びプリキャプチャ撮影画像群を表示部111で表示を行う。
【0049】
(第1の実施形態)
以下、
図3のフローチャートを参照して、本発明の第一の実施形態に係る、プリキャプチャ撮影制御処理について説明する。ここで、プリキャプチャ撮影とは、プリキャプチャ機能がONであって且つ、シャッターボタン126の半押しの操作(第一の撮影指示)があった場合、システムメモリ123に所定枚数保存するように撮影を繰り返し実行することを指す。
【0050】
本処理は、システム制御部150がメモリ140に記憶されるプログラムをシステムメモリ123に展開して読み出すことにより実行される。尚、本処理開始前はプリキャプチャ機能はOFFである。
【0051】
まずステップS100では、システム制御部150(取得手段)が、撮影失敗確率評価値を取得する。
【0052】
撮影失敗確率評価値とは、シャッターボタン126の操作完了、いわゆる全押し(撮影指示)の操作による本撮影が失敗する確率を評価するためのパラメータ値である。例えば、レンズ焦点距離、被写界深度(レンズ絞り値)、被写体の画角比、被写体速度、カメラ動き量、シャッタースピード、撮影環境の明るさ、画像ブレ量、手振れ補正値、撮影者の生体情報である血圧、脳波、視線等がこのパラメータ値として用いうる。ここで焦点距離、被写界深度はレンズ制御部204から取得し、被写体の画角比、被写体速度は画像処理部106から取得し、カメラ動き量、画像ブレ量、IBIS補正値はIBIS制御部108から取得する。また、シャッタースピードはシャッター制御部104から取得し、撮影環境明るさはシステム制御部150自身から取得し、撮影者の生体情報である血圧、脳波、視線は生体情報取得部130から取得する。
【0053】
ステップS101では、ステップS100で取得した撮影失敗確率評価値が所定閾値を超えているか否かを判断部151で判断する。例えば、焦点距離が撮影失敗確率評価値である場合は、その値が所定以上長いときに所定閾値を超えていると判断される。また、被写界深度が撮影失敗確率評価値である場合は、その値が所定以上浅いときに所定閾値を超えていると判断される。本実施形態では、上記例示した撮影失敗確率評価値として用いうる複数のパラメータ値の内、1つでも所定閾値を超えていると判断部151が判断した場合(ステップS100でYES)、ステップS102へ移行し、そうでない場合はステップS100に戻る。
【0054】
ステップS102では、撮像素子105に入射するライブビュー画像に対する、画像処理部106で処理した結果または、生体情報取得部130によって得られた生体情報結果を用いて、被写体を検知しているか否かを判断部151で判断する。被写体を検知している場合(ステップS102でYES)、プリキャプチャ機能をONにしてステップS103へ移行し、そうでない場合はステップS100に戻る。本実施形態では、ライブビュー画像に、壁や空などの一様なものや、鳥や物など撮影対象でないものが写っている場合は被写体を検知していないと判断される。尚、本ステップはカメラ本体100の消費電力を抑えることを目的としており、撮影の機会損失の低減を優先する場合は、ステップS101でYESの際、直接ステップS103に進んでもよい。後述するステップS203においても同様である。
【0055】
ステップS103では、システム制御部150が第一の撮影指示を例えばシャッターボタン126から取得したか否かを判断部151で判断する。第一の撮影指示を取得した場合(ステップS103でYES)、ステップS104へ移行し、そうでない場合はステップS100に戻る。
【0056】
ステップS104では、第一の撮影指示を取得している間、システムメモリ123に所定枚数保存するようにプリキャプチャ撮影を実施し、第一の撮影指示が終了するとプリキャプチャ機能をOFFとし、本処理を終了する。
【0057】
本実施形態によれば、撮影失敗確率評価値が所定閾値を超えており且つ被写体を検知している場合に、プリキャプチャ機能をONとし、第一の撮影指示に応じてプリキャプチャ撮影を実施する。これにより、撮影の機会損失を低減することが可能となる。
【0058】
(第2の実施形態)
以下、
図4のフローチャートを参照して、本発明の第二の実施形態に係る、プリキャプチャ撮影制御処理について説明する。
【0059】
本処理も第一の実施形態と同様、システム制御部150がメモリ140に記憶されるプログラムをシステムメモリ123に展開して読み出すことにより実行される。また、本処理も開始前はプリキャプチャ機能はOFFである。
【0060】
まずステップS200では、システム制御部150がレンズ制御部204からレンズ絞り値を取得する(取得手段)。
【0061】
ステップS201では、システム制御部150がレンズ制御部204からレンズ焦点距離を取得する(取得手段)。
【0062】
ステップS202では、ステップS200で取得したレンズ絞り値が所定絞り値以上開放されているか否か、ステップS201で取得したレンズ焦点距離が所定距離以上長いか否か、を判断部151で判断する。レンズ絞り値が所定絞り値以上開放されている場合、またはレンズ焦点距離が所定距離以上長い場合(ステップS202でYES)、ステップS203に進み、それ以外の場合はステップS200に戻る。ここでレンズ絞り値が所定絞り値以上開放されている状態とは、被写体深度が浅く、主被写体にピントを合わせることが難しい状態を指す。また、レンズ焦点距離が所定距離以上長い状態とは、視野が狭く、画角内に主被写体を収めることが難しい状態を指す。すなわち、本ステップは、主被写体の撮影が難しく、本撮影が失敗する確率が高いか否かを判断している。
【0063】
ステップS203では、ステップS103と同様の処理を行って、被写体を検知しているか否かを判断部151で判断する。被写体を検知している場合(ステップS203でYES)、プリキャプチャ機能をONにしてステップS204へ移行し、そうでない場合はステップS200に戻る。
【0064】
ステップS204では、システム制御部150が第一の撮影指示を例えばシャッターボタン126から取得したか否かを判断部151で判断する。第一の撮影指示を取得した場合(ステップS204でYES)、ステップS205へ移行し、そうでない場合はステップS200に戻る。
【0065】
ステップS205では、第一の撮影指示を取得している間、システムメモリ123に所定枚数保存するように撮影を実行するプリキャプチャ撮影を実施し、第一の撮影指示が終了するとプリキャプチャ機能をOFFとし、本処理を終了する。
【0066】
本実施形態によれば、レンズ絞り値が所定以上開放している、またはレンズ焦点距離が所定以上長く、且つ被写体を検知している場合に、プリキャプチャ機能をONとし、第一の撮影指示に応じてプリキャプチャ撮影を実施する。これにより、撮影の機会損失を低減することが可能となる。
【0067】
(第3の実施形態)
本実施形態は、第一の実施形態や第二の実施形態の処理を開始する前に、ユーザの撮影意図が高いか否かを確認する。
【0068】
以下、
図5のフローチャートを参照して、本発明の第三の実施形態に係る、プリキャプチャ撮影制御処理について説明する。
【0069】
本処理も第一、第二の実施形態と同様、システム制御部150がメモリ140に記憶されるプログラムをシステムメモリ123に展開して読み出すことにより実行される。また、本処理も開始前はプリキャプチャ機能はOFFである。
【0070】
まずステップS300では、システム制御部150が、生体情報取得部130から接眼検知情報を取得し、接眼検知している場合(ステップS300でYES)、ステップS100,S200のいずれかへ移行する。一方、接眼検知していない場合(ステップS300でNO)、ステップS301へ移行する。
【0071】
ステップS301では、システム制御部150が、生体情報取得部130から視線検知情報を取得し、視線検知している場合(ステップS301でYES)、ステップS100,S200のいずれかへ移行する。一方、視線検知していない場合(ステップS301でNO)、ステップS302へ移行する。
【0072】
ステップS302では、システム制御部150が、シャッターボタン126の上面に指が置かれているか否かの検知結果をシャッターボタン126から取得する。シャッターボタン126の上面に指が置かれている場合(ステップS302でYES)、ステップS100,S200のいずれかへ移行する一方、置かれていない場合(ステップS302でNO)、ステップS300へ戻る。
【0073】
本実施形態によれば、ユーザの撮影意図が高いと想定される各ケース(ステップS300でYES、ステップS301でYES、ステップS302でYES)に該当するか、事前に確認する。この確認の結果、ユーザの撮影意図が高いと想定される場合、ステップS100に進み、撮影失敗確率評価値の取得や、ステップS200に進み、レンズ絞り値またはレンズ焦点距離の取得を行い、プリキャプチャ機能をONとするか決定する。一方、上記各ケースのいずれにも該当せず、ユーザの撮影意図が低いと想定される場合、そのまま本処理を終了し、第一の撮影指示があってもプリキャプチャ撮影は実施しない。これにより、ユーザが望んでいないにもかかわらず、プリキャプチャ機能が不必要にONとなってしまうことを防止できる。
【0074】
(第4の実施形態)
本実施形態は、プリキャプチャ撮影の実行中に、撮影失敗確率評価値が所定閾値以下となった場合、プリキャプチャ撮影を停止する。
【0075】
例えば、撮影失敗確率評価値が被写体速度の場合、被写体速度が所定速度を超えている場合、本撮影が失敗する確率は高いため、プリキャプチャ機能をONとすることが望ましい。しかし、プリキャプチャ撮影中に、途中から被写体の動きが遅くなり被写体速度が所定速度以下となった場合、本撮影が失敗する確率は低くなり、プリキャプチャ撮影は不要となる。本実施形態はこのようなケースに利用される例外処理である。
【0076】
以下、
図6のフローチャートを参照して、本発明の第4の実施形態に係る、プリキャプチャ撮影制御処理について説明する。
【0077】
本処理も第一~第三の実施形態と同様、システム制御部150がメモリ140に記憶されるプログラムをシステムメモリ123に展開して読み出すことにより実行される。尚、本処理は、プリキャプチャ機能がONであって、且つ、シャッターボタン126の半押しの操作がなされたときに開始する。
【0078】
まずステップS400では、プリキャプチャ撮影を実施する。
【0079】
ステップS401では、システム制御部150が、撮影失敗確率評価値を取得する。撮影失敗確率評価値についてはステップS100の説明の際に前述しているため、重複した説明は省略する。
【0080】
ステップS402では、ステップS401で取得した撮影失敗確率評価値が所定閾値を超えているか否かを判断部151で判断する。所定閾値を超えていない場合には、(ステップS403へ移行し、そうでない場合はステップS401に戻る。尚、本実施形態では、上述した撮影失敗確率評価値として用いうる複数のパラメータ値の内、1つでも所定閾値を超えている場合、撮影失敗確率評価値が所定閾値を超えていると判断部151は判断する。
【0081】
ステップS403では、プリキャプチャ撮影を停止する。
【0082】
本実施形態によれば、プリキャプチャ撮影を実施している際に撮影失敗確率評価値を取得し、その値が所定閾値を超えていない場合には、プリキャプチャ撮影を停止する。これにより、本撮影が失敗する確率が低い場合に無駄にプリキャプチャ撮影を実施することを防止できる。
【0083】
(第5の実施形態)
本実施形態は、第一の実施形態の処理を開始する前に、撮影対象の被写体は本撮影が失敗する可能性が高い被写体であるか否かを確認する。
【0084】
例えば、画像処理部106の被写体検知機能により、ライブビュー画像から撮影対象の被写体として飛行機や鳥などの小さく動きの早い被写体が検知される場合がある。この場合、撮影対象の被写体が人物である場合と比べて本撮影が失敗確率が低くなるため、プリキャプチャ機能をONとすることが望ましい。本実施形態はこのようなケースに利用される処理である。
【0085】
以下、
図7のフローチャートを参照して、本発明の第5の実施形態に係る、プリキャプチャ撮影制御処理について説明する。
【0086】
本処理も第一~第4の実施形態と同様、システム制御部150がメモリ140に記憶されるプログラムをシステムメモリ123に展開して読み出すことにより実行される。また、本処理も開始前はプリキャプチャ機能はOFFである。
【0087】
まずステップS500では、システム制御部150が、画像処理部106の被写体検知機能(被写体検知手段)を用いて、被写体を検知する。
【0088】
ステップS501では、ステップS500で検知した被写体の種別は認識可能か否かを判断する。具体的には、まず、ステップS500で検知した被写体から、システム制御部150及び画像処理部106が、特徴点を割り出す。次に、メモリ140に格納されている被写体候補の特徴点と比較して、一定以上の類似度を有するかを判断部151(認識手段)で判断する。一定以上の類似度を有する場合、ステップS500で検知した被写体の種別は認識可能、すなわち、メモリ140に格納されている被写体候補であると判断し(ステップS501でYES)、ステップS502へ移行する。一方、一定以上の類似度を有していない場合、ステップS500で検知した被写体の種別は認識できないと判断し(ステップS501でNO)、ステップS500に戻る。
【0089】
ステップS502では、ステップS501で認識された被写体の種別に応じて、所定閾値を変更する。例えば、ステップS501で認識された被写体が、鳥のように、被写体の動きが早く、被写体の大きさも小さい種別や、飛行機のように、被写体の動きが早い種別などは、本撮影で失敗する確率が高いため、撮影失敗確率評価値の所定閾値を高くする。一方、ステップS501で認識された被写体が、建物などのように、動くことがない種別の場合は、本撮影で失敗する確率が低いため、撮影失敗確率評価値の所定閾値を低くする。
【0090】
ステップS503では、ステップS100へ移行し、本処理を終了する。
【0091】
本実施形態によれば、検知された被写体の種別に応じて撮影失敗確率評価値の所定閾値を変更するので、プリキャプチャ撮影を精度よく実施することができる。
【0092】
尚、検知された被写体の種別に応じてステップS202の判定に用いる所定絞り値を変更したり、所定距離を変更したりし、ステップS503では、ステップS200へ移行するようにしてもよい。例えば、本撮影で失敗する確率が高い被写体の種別については、所定絞り値をより大きな値(開放側)に変更し、所定距離をより長い距離に変更する。
【0093】
(その他の実施形態)
尚、本実施形態では、1つ以上の機能を実現するプログラムを、ネットワークまたは記憶媒体を介してシステムまたは装置のコンピュータに供給し、そのシステムまたは装置のシステム制御部がプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。システム制御部は、1つまたは複数のプロセッサーまたは回路を有し、実行可能命令を読み出し実行するために、分離した複数のシステム制御部または分離した複数のプロセッサーまたは回路のネットワークを含みうる。
【0094】
プロセッサーまたは回路は、中央演算処理装置(CPU)、マイクロプロセッシングユニット(MPU)、グラフィクスプロセッシングユニット(GPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含みうる。また、プロセッサーまたは回路は、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、データフロープロセッサ(DFP)、またはニューラルプロセッシングユニット(NPU)を含みうる。
【0095】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0096】
本実施形態の開示は、以下の構成、方法、並びにプログラムを含む。
(構成1)第一の撮影指示に基づき撮影準備を開始し、第二の撮影指示に基づき本撮影を行う撮像装置であって、レンズユニットを介して導かれた光学像から撮影画像を生成する撮像素子と、前記撮影画像を一時的に記録する一時記録メモリと、プリキャプチャ機能がONの場合、前記第一の撮影指示に基づき前記撮影画像を一時記録メモリに記録するプリキャプチャ撮影を制御するプリキャプチャ撮影制御手段と、ユーザから前記プリキャプチャ機能のON/OFFの切替指示を受け付ける受付手段と、撮影失敗確率評価値を取得する取得手段と、を備え、前記プリキャプチャ撮影制御手段は、前記撮影失敗確率評価値が所定閾値を超えた場合、前記プリキャプチャ機能をONとし、前記第一の撮影指示があった際、前記プリキャプチャ撮影を実施することを特徴とする撮像装置。
(構成2)前記プリキャプチャ撮影制御手段は、前記撮影画像から被写体が検知されなかった場合、前記撮影失敗確率評価値が所定閾値を超えた場合でも、前記プリキャプチャ機能をONとしないことを特徴とする構成1記載の撮像装置。
(構成3)前記撮影失敗確率評価値は、レンズ焦点距離、被写界深度、被写体の画角比、被写体速度、カメラ動き量、シャッタースピード、撮影環境の明るさ、画像ブレ量、手振れ補正値、撮影者の生体情報のいずれか一つ以上のパラメータ値を含むことを特徴とする構成1又は2記載の撮像装置。
(構成4)ユーザの接眼を検知する第一の検知手段と、ユーザの視線を検知する第二の検知手段と、前記第一及び第二の撮影指示を行うためのシャッターボタンの上面に指が置かれていることを検知する第三の検知手段と、を更に備え、前記プリキャプチャ撮影制御手段は、前記第一~第三の検知手段のいずれかで検知されていると判断された場合に、前記取得手段は、前記撮影失敗確率評価値を取得することを特徴とする構成1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
(構成5)前記プリキャプチャ撮影制御手段は、前記プリキャプチャ撮影を実施中に、前記撮影失敗確率評価値が前記所定閾値を下回っている場合、前記プリキャプチャ撮影を停止することを特徴とする構成1乃至4のいずれか1項に記載に記載の撮像装置。
(構成6)被写体を検知する被写体検知手段と、前記検知された被写体の種別を認識する認識手段と更に備え、前記プリキャプチャ撮影制御手段は、前記認識された被写体の種別に応じて、前記所定閾値を変更することを特徴とする構成1乃至5のいずれか1項に記載の撮像装置。
(構成7)第一の撮影指示に基づき撮影準備を開始し、第二の撮影指示に基づき本撮影を行う撮像装置であって、レンズユニットを介して導かれた光学像から撮影画像を生成する撮像素子と、前記撮影画像を一時的に記録する一時記録メモリと、レンズユニットのレンズ絞り値を取得する取得手段と、プリキャプチャ機能がONの場合、前記第一の撮影指示に基づき前記撮影画像を一時記録メモリに記録するプリキャプチャ撮影を制御するプリキャプチャ撮影制御手段と、ユーザから前記プリキャプチャ機能のON/OFFの切替指示を受け付ける受付手段と、を備え、前記プリキャプチャ撮影制御手段は、前記レンズ絞り値が所定絞り値以上開放されている場合、前記プリキャプチャ機能をONとし、前記第一の撮影指示があった際、前記プリキャプチャ撮影を実施することを特徴とする撮像装置。
(構成8)前記プリキャプチャ撮影制御手段は、前記撮影画像から被写体が検知されなかった場合、前記取得手段により取得された前記レンズ絞り値が所定以上開放されていても、前記プリキャプチャ機能をONとしないことを特徴とする構成7記載の撮像装置。
(構成9)ユーザの接眼を検知する第一の検知手段と、ユーザの視線を検知する第二の検知手段と、前記第一及び第二の撮影指示を行うためのシャッターボタンの上面に指が置かれていることを検知する第三の検知手段と、を更に備え、前記プリキャプチャ撮影制御手段は、前記第一~第三の検知手段のいずれかで検知されていると判断された場合に、前記取得手段は、前記レンズ絞り値を取得することを特徴とする構成7又は8記載の撮像装置。
(構成10)被写体を検知する検知手段と、前記検知された被写体の種別を認識する認識手段と更に備え、前記プリキャプチャ撮影制御手段は、前記認識された被写体の種別に応じて、前記所定絞り値を変更することを特徴とする構成7乃至9のいずれか1項に記載の撮像装置。
(構成11)第一の撮影指示に基づき撮影準備を開始し、第二の撮影指示に基づき本撮影を行う撮像装置であって、レンズユニットを介して導かれた光学像から撮影画像を生成する撮像素子と、前記撮影画像を一時的に記録する一時記録メモリと、レンズユニットのレンズ焦点距離を取得する取得手段と、プリキャプチャ機能がONの場合、前記第一の撮影指示に基づき前記撮影画像を一時記録メモリに記録するプリキャプチャ撮影を制御するプリキャプチャ撮影制御手段と、ユーザから前記プリキャプチャ機能のON/OFFの切替指示を受け付ける受付手段と、備え、前記プリキャプチャ撮影制御手段は、前記レンズ焦点距離が所定距離以上長い場合、前記プリキャプチャ機能をONとし、前記第一の撮影指示があった際、前記プリキャプチャ撮影を実施することを特徴とする撮像装置。
(構成12)前記プリキャプチャ撮影制御手段は、前記撮影画像から被写体が検知されなかった場合、前記取得手段により取得された前記レンズ焦点距離が所定以上長くても、前記プリキャプチャ機能をONとしないことを特徴とする構成11記載の撮像装置。
(構成13)ユーザの接眼を検知する第一の検知手段と、ユーザの視線を検知する第二の検知手段と、前記第一及び第二の撮影指示を行うためのシャッターボタンの上面に指が置かれていることを検知する第三の検知手段と、を更に備え、前記プリキャプチャ撮影制御手段は、前記第一~第三の検知手段のいずれかで検知されていると判断された場合に、前記取得手段は、前記レンズ焦点距離を取得することを特徴とする構成11又は12記載の撮像装置。
(構成14)被写体を検知する検知手段と、前記検知された被写体の種別を認識する認識手段と更に備え、前記プリキャプチャ撮影制御手段は、前記認識された被写体の種別に応じて、前記所定距離を変更することを特徴とする構成11乃至13のいずれか1項に記載の撮像装置。
(方法1)第一の撮影指示に基づき撮影準備を開始し、第二の撮影指示に基づき本撮影を行う撮像装置の制御方法であって、レンズユニットを介して導かれた光学像から撮影画像を撮像素子で生成する生成ステップと、前記撮影画像を一時記録メモリで一時的に記録する一時記録ステップと、プリキャプチャ機能がONの場合、前記第一の撮影指示に基づき前記生成ステップで生成された前記撮影画像を前記一時記録ステップで一時的に記録するプリキャプチャ撮影を制御するプリキャプチャ撮影制御ステップと、ユーザから前記プリキャプチャ機能のON/OFFの切替指示を受け付ける受付ステップと、撮影失敗確率評価値を取得する取得ステップと、を有し、前記プリキャプチャ撮影制御ステップにおいて、前記撮影失敗確率評価値が所定閾値を超えた場合、前記プリキャプチャ機能がONとされ、前記第一の撮影指示があった際、前記プリキャプチャ撮影が実施されることを特徴とする制御方法。
(方法2)第一の撮影指示に基づき撮影準備を開始し、第二の撮影指示に基づき本撮影を行う撮像装置の制御方法であって、レンズユニットを介して導かれた光学像から撮影画像を撮像素子で生成する生成ステップと、前記撮影画像を一時記録メモリで一時的に記録する一時記録ステップと、レンズユニットのレンズ絞り値を取得する取得ステップと、プリキャプチャ機能がONの場合、前記第一の撮影指示に基づき前記生成ステップで生成された前記撮影画像を前記一時記録ステップで一時的に記録するプリキャプチャ撮影を制御するプリキャプチャ撮影制御ステップと、ユーザから前記プリキャプチャ機能のON/OFFの切替指示を受け付ける受付ステップと、を有し、前記プリキャプチャ撮影制御ステップにおいて、前記レンズ絞り値が所定絞り値以上開放されている場合、前記プリキャプチャ機能がONとされ、前記第一の撮影指示があった際、前記プリキャプチャ撮影が実施されることを特徴とする制御方法。
(方法3)第一の撮影指示に基づき撮影準備を開始し、第二の撮影指示に基づき本撮影を行う撮像装置の制御方法であって、レンズユニットを介して導かれた光学像から撮影画像を撮像素子で生成する生成ステップと、前記撮影画像を一時記録メモリで一時的に記録する一時記録ステップと、レンズユニットのレンズ焦点距離を取得する取得ステップと、プリキャプチャ機能がONの場合、前記第一の撮影指示に基づき前記生成ステップで生成された前記撮影画像を前記一時記録ステップで一時的に記録するプリキャプチャ撮影を制御するプリキャプチャ撮影制御ステップと、ユーザから前記プリキャプチャ機能のON/OFFの切替指示を受け付ける受付ステップと、を有し、前記プリキャプチャ撮影制御ステップにおいて、前記レンズ焦点距離が所定距離以上長い場合、前記プリキャプチャ機能がONとされ、前記第一の撮影指示があった際、前記プリキャプチャ撮影が実施されることを特徴とする制御方法。
(プログラム1)コンピュータを、構成1乃至14のいずれか1項に記載された撮像装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0097】
100 カメラ本体
101 コネクタ
102 レンズマウント
103 シャッター
104 シャッター制御部
105 撮像素子
106 画像処理部
107 記録媒体
108 IBIS制御部
111 表示部
121 温度取得部
122 システムタイマー
123 システムメモリ
124 操作部
125 電源スイッチ
126 シャッターボタン
127 第一シャッタースイッチ
128 第二シャッタースイッチ
129 無線接続部
130 生体情報取得部
140 メモリ
150 システム制御部
151 判断部
152 通信部
160 電源制御部
170 電源部
200 レンズユニット
201 コネクタ
202 レンズマウント
203 絞り
204 レンズ制御部
205 レンズ